それは、いつものレポート編纂の作業中の事だった。
スマホが震え、親友からの電話を画面が知らせる。
「みら?」
『あお! さっき私ね、すごい人?もの?を見つけちゃった!!』
「すごい………? 何を見つけたの?」
『あのね、地下鉄を使おうとしたら、なんかすっごい広い駅に迷い込んでね、そこで怪盗団に出会ったんだよ!!』
「広い駅………怪盗???」
この親友は何を言っているんだろう?……最初にこのことを聞いた感想はこうだった。
しかし、話を詳しく聞いてみると、どうも本当に体験したっぽいと察した。
『線路がばぁーーーーーーーーっと続いていく感じで、なんだか、不安になるようなデザインでさ。
そこで怖い化け物?に見つからないように移動してたら、仮面をつけたカッコいい服の人達に出会ってね! その人達が「怪盗団」らしくって……』
……というか、みらはここまで具体的に生き生きとウソをつけない。
『写真は断られちゃったんだけど、色々と教えてもらったんだ!
広い駅がメメントスっていうたいしゅーのいしきのパレスだってこととか』
「待って、みら。パレス………っていうのは?」
『その人が見てるもう一つの現実……みたいだよ。』
「私やみらのその…パレスもあるってこと?」
『ほとんどの人のパレスになっているのがメメントスなんだって。個人のパレスを持ってるのはほんの一部だけらしいよ?』
「それにしても、みら……よくそのめめんとす?とやらから帰ってこれたね」
『入口まで送ってくれたんだよ! みんな優しかったし、猫のモナちゃんはもふもふだったんだ~!』
「猫………? か、怪盗団に猫がいたの!?」
『うん! まさか猫と会話できる日が来るなんてね〜!』
そう嬉しそうに語るみらに嘘はない。
『また会えるかな〜、モナちゃん!』
「分かった、みら。ちなみに、その広い駅で何か拾ったりした?」
『うん!! 銅貨やら銀貨やら、あと宝石っぽい石と綺麗な石をいっぱい!後であおに送るね!』
「う、うん……ありがと」
―――ちなみに、届いた銅貨銀貨は薄っぺらかったりギザギザだったり、果ては穴が空いてたりして価値は高くならなそうだった。
拾ったのだという石も殆どがただのアスファルトやコンクリート、堆積岩だった。数粒ほど、オニキスやパールといった本物の宝石があった事には驚きだったけど……。
余談だが、この出来事があってからというもの、みらは黒猫を見かける度に「モナちゃ〜ん」と呼びかけるようになった。余程、件の『怪盗団』とやらに再び会いたいようだ。……結果は空振りだけど。今の所は。
現段階では証拠はみらの証言だけで、持ち帰った物にも一見不自然なものはないように見える。詳しくはイノ先輩や桜先輩に聞くとしても、(みらのことは一番信用できる事を置いても)にわかに信じがたいと言わざるを得ない。みらの言ってた「モナちゃん」なる喋るネコが見つかれば話は別だけど、もしそんなのがあったら見てみたいような、ちょっと怖いような。
☆メメントス
『ペルソナ5』及び『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』に登場する、大衆意識のパレス。パレスとは個々人が歪んだ心で見ているもう一つの世界である異世界。大衆のパレスだけあってその規模も果てしなく、大衆の心によって姿形を変化させる。
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