キュィィィィィィ(吸い込む音)
ゴクッ(飲み込む音)
………(しかし なにもおこらなかった)
「わにゃわにゃ」
「わにゃ!」
「わにゃにゃ」
「…………」
―――皆さん、こんにちわ。真中あおです。
さて、地誌学や天文学、地学のレポートに忙殺されてはや数か月。今年も早いもので梅雨入りの季節になってしまいました。
そんな中、私は………
「「「わにゃ!!」」」
「……あ、えっと。ありがとう…?」
オレンジのまんまるい生き物に、住んでる家を占拠?されかかっています。
⋆
きっかけは、大学からの帰り道の隅にひっそりと捨てられていた謎の生き物を見つけたことでした。
オレンジの体表に、鏡餅の形の肌。まるで子猿のような球体生物が、段ボール箱に入れられて捨てられていた。
行きは晴れだったのに雨に降られた私は、コンビニで激安ビニール傘を買って帰っていたときにそれと出会った。傘の処分に困ってたので丁度いいと、雨に当たってたその生き物に傘をさし、その日はそのまま濡れて帰りました。
それから数日後に、私の家にどこからともなく、この丸っこい生き物が上がりこんで、ありとあらゆる家事をやりだした。
例えば、掃除。小さな体を生かして隅から隅まで行い、プロ顔負けのピッカピカな仕上がりにしてくれた。
例えば、料理。レポートやら大学の課題やらで食事の時間をすっぽかしがちな私を引き止め、食卓に呼んでくれる。手のかかるであろう料理をいくつも作ってくれる上に味も美味しかった。
最初の頃はよく分かんなくってちょっと怖かったけど、彼らの見た目が愛らしいのと…………なんか、その他諸々が相まって、慣れてしまった。
でも…私は、まだ彼らの事が何一つ分からない。その理由が―――
「ねぇ…どうして、こんなことしてくれるの?」
「わにゃわにゃ」
「わにゃわにゃ」
「えーっと、あなたたちは誰?」
「わにゃにゃにゃにゃ」
「……ど、どんなお名前なのかな?」
「わにゃ?」
「わにゃ…」
「わにゃにゃ…」
「………」
この、圧倒的な言語の壁だ。
彼らは家事をしてくれたりのんびりしてたり遊んでたりしてるんだけど、言葉が全然分からない。
何を尋ねても「わにゃわにゃ」と言うだけで、情報が一切伝わってこないのだ。英語やフランス語、中国語みたいに文法さえ分かればなんとなく意味が分かるのかもしれないが、いかんせん語彙が「わ」と「にゃ」しかない(ように聞こえる)ため手がかりすら掴めない。
どせいさん達の言葉とは別ベクトルで厄介だ。かろうじてボディランゲージや表情で感情はなんとなくわかるけど……それでも、具体的な事はさっぱりだ。
一応、みら達にも相談はしたけど…
『…見たことないわね、こんな生き物』
『そうですね。空島でも確認出来ませんでした』
『新しい宇宙人なのかしら〜?』
『私も初めて見ました。こんなかわいい生き物見たら、忘れませんよ』
『うわぁぁ〜〜!!かわいい! ねぇ、そっちに遊びに行ってもいい!? 触りたい!!!』
…みんな『知らない』とのことだった。
ちなみにだけど、みらは本当に遊びに来た。ワドルディをいじって揉みまくった挙げ句、追いかけっこしてただけだけど。
「…ねぇ、君たちはどこから来たんだい?」
「わにゃ?」
「君たちのふるさとはどの国なのかな? ひょっとして、地球じゃないとか? まさか、モンロー先輩の言う通り、宇宙人だったりして?」
「わにゃ!」
「わにゃわにゃ!」
「わにゃにゃ」
「……ふふっ」
相変わらず、何を言っているのかは分からないけど。
彼らのおかげか、最近ちょっとだけ、生活にゆとりが持てている気がする。
☆ワドルディ
『星のカービィ』シリーズに登場する、いわゆるザコキャラ。
カービィのような一頭身の丸く赤い(もしくはオレンジに近い赤)身体に黄褐色の鏡餅のような輪郭の顔、カービィと同じ縦長の目をした愛らしい外見をしている。『星のカービィ』シリーズではカービィを除いて皆勤賞を取っている。最新作『ディスカバリー』では、カービィが救出する味方キャラに選ばれている。
みなさんの好きな人は
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