地学者真中あおの取材レポート   作:伝説の超三毛猫

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※あおは本当に疲れています。


P7, ワープスター

「ぽよ! ぽぉよ!」

 

「………なにこれ」

 

 …それは、全身が桃色の生命体だった。円形に丸い手足が生えたような姿で、言語は通じない。でも、言葉の端々からは善意のようなものを感じた。

 

「…ねぇ、写真撮ってもいい?」

 

「ぷい?」

 

「……えーと」

 

 話しかけると、よく分からないのか首をかしげ――首がないように見えるのにこんな言い方するのか分からないけど―――不思議そうな表情をする。

 知能はあまり高くなさそう、と思ってると。

 

「ぽーよ! ぽよぽよ!」

 

「え! なに?」

 

 いつの間にか手を引っ張られて、ふわふわと浮いている『それ』に乗せられた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はいもしもし! 木ノ幡です!』

 

「……あぁ、みら?」

 

『あれ……? あお、なんか声の調子悪くない?』

 

「うん……まぁ、ちょっと、ね」

 

『今度は何があったの?』

 

「色々……ありすぎちゃった。

 疲れたよ……私」

 

『あお?』

 

「丸いピンクの可愛い生き物を見つけてね。話しかけたの。言葉が通じなかったのにも関わらず、宙に浮く星の元へ行った。それが間違いだった。」

 

『な、何言ってるの??』

 

「ピンクの生き物に星に乗せられたかと思えば、地面の穴に入って……マジルテとかいう洞窟に連れてかれたよ。信じられない景色をいくつも見たよ」

 

『………例えば?』

 

「密林や、水晶の畑……あと、地底とは思えない塔や空間もあった」

 

『あお、それ絶対気のせいか夢だよ。地下には流石に森は無いし、深く掘ろうにも地層しかないんだよ?』

 

「………知ってる。星に乗ったまま真っ逆さまに落ちていった時はさすがに覚悟したよ。

 あの後色々あって地球に戻ってこれた―――と思うんだけど……今私が聞いてるみらの声って…幻聴とかじゃあないんだよね?」

 

『当たり前でしょ!? ていうかあお、無事なの!?』

 

「うん……無事。お土産も持って帰れたし、どこも怪我してないよ。

 でも……………物凄く、眠たい」

 

『寝ちゃダメ!!! 起きて、あお!!』

 

「あっ……星が流れてる。

 彗星かな? いや……彗星じゃないか。彗星はもっとこう、ぱぁーってなるよね…」

 

『ねぇそれ多分人工衛星じゃあないかな!!? 戻ってきてあお!!!』

 

「みら…ちょっと、喋るのも……っくうになってきた………おゃ……み…み…ら………」

 

『ちょっと、ウソ!!?あお!? 起きてってば!! あおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

 一晩明けて、目覚めた私は、真っ先にスマホを確認した。

 そこには、みらの怒涛のメッセ通知と摩訶不思議な地下洞窟で取った写真集が確かに、あった。手元にも、それが事実であるかのように、宝物が転がっている。

 

 ……久しぶりにみらの家に戻ろう。そして、迷惑をかけた事を謝ろう。

 

 その後、みらの実家に向かったところ、出てきたみらに出会い頭に3時間も説教され、三日三晩私から離れてくれなかった。

 でもまぁ、仕方ないか。気分としては……なんだか、悪くない。

 ……冒険の内容はともかく、だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ワープスター】

 ピンクの生命体の可愛さに釣られることなかれ。誘いに乗ったら最後、訳のわからない所へ連れて行かれてしまう。彼(?)は私を守ってくれたとはいえ、あんな九死に一生を得たかのような経験はもうこりごりだ。

 




☆ワープスター

『星のカービィ』の主人公、カービィの最も有名な乗り物。乗るとキラキラと星をまきながらカービィを次のステージまで自動で運んでいってくれる。作品によってはメタナイトやデデデ大王、バンダナワドルディやマルク、マホロアまで乗る。

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