イチカと一夏の物語   作:コクトー

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イチカと一夏の戦い

 

イチカside

 オータムを見送った後、『青龍』を量子化した。 

 

「さて…あなたは授業中のはずなんですが…楯無さん」

 

「あら?やっぱり気づいてたのね。さすがはヒーロー」

 

 楯無さんが近くの木陰から出てきた。て言うより、

 

「そのヒーローって言うのやめてくださいよ。恥ずかしいです」

 

「じゃあグレンって呼ぶわ。私のこともさん抜きで楯無と呼びなさい♪」

 

「先輩なので断ります」

 

「会長権限で却下します♪」

 

「なんですかそれ…」

 

「知ってる?この学園、生徒会長の権力がかなり強いのよ。授業抜け出せるくらいに」

 

 楯無さんは『職権乱用』と書かれた扇子を開いた。いやわかってんならやめてくださいよ。

 

「で、権力まで使ってどうしたんですか?」

 

「彼女、どうするの?」

 

「彼女とは?簪のことですか?」

 

「さっき凍ってた女性よ。そもそもあれはなに?見たことない」

 

「どうもしませんよ。とりあえずラボで話を聞くだけです。『青龍』に関しては私の技術としか言えませんね」

 

「じゃあ彼女のISは?彼女ロシアの手の者でしょ?学園のセキュリティを軽く突破できるなんて焦ったけど」

 

「私から言わせればここのセキュリティは甘すぎます。仮にも世界で最もコアの集まってる施設なんですから。襲われたら間違いなくコアの一つや二つは持ってかれますね」

 

「あら?そこは手伝ってくれないのかしら?元亡国企業の二人に警備を頼んでる癖に」

 

「まぁなにかあったら動くくらいはしますがあまり期待しないでくださいよ?」

 

「なにもないのが一番なんだけどね」

 

「それは無理ですよ。私と一夏がいる限り必ずなにか起こります。断言しましょう。兎さんがスルーするとは思わない」

 

「困ることを断言してくれるわね。それとさっきの質問の答えは?」

 

「ISのことですか?もちろんもらいますよ。そういう条件(・・)を飲んでもらってるのですから」

 

 そう。私を襲ったIS並びに操縦者をもらう。それはきちんと認めてもらっている。ならそれをしない手はない。

 

「できれば返してくれたりしない?ロシアの国家代表としては自国のISが減るのは厳しいのよ」

 

「ロシア側との交渉次第ですかね?とりあえずは返すつもりはありません。まぁ自殺用のナノマシンを打ち込むような国ですから交渉する余地はほぼありませんが」

 

「困ったわね。あなたから力ずくで奪うのは厳しそうだわ。現に私の周り、ビットが囲んでない?勘だけど」

 

 正解である。今彼女の周りには龍型ビット四種で囲んである。先ほど量子化した『青龍』もステルス状態にして既に展開していた。かなり高性能のステルスなんですが…勘だとしても恐ろしい。

 

「一応気配消して近づいてくる人は警戒しますから。でも気づいたのはあなたがはじめてですよ」

 

 私はビットのステルスを解除し自分の周りに戻す。

 

「あら、光栄ね」

 

「それと、こっちが本音ですが、簪に手をだそうとした国を許すわけがありませんから」

 

 私は自然と殺気がでる。楯無さんも額に汗がにじんでいる。いけない、消さなければ。

 

「すいません、つい」

 

「あ、えぇ。大丈夫よ。それより簪ちゃんに手をだそうとしたってなに?」

 

「あれ?その辺は見てなかったのですか?国からの命令で私を狙い、近くにいた簪を殺して二人ともつれていこうとしたんですよ。させませんでしたけど」

 

「そんなことを命令したなんて……。ロシア側にいるのが怖くなるわね」

 

「と、そろそろ三十分ですか。連絡がくるはずなのですが…」

 

 ちょうど放送が入った。

 

『グレン君、勝負が終わったのでモニタールームに来てください。来次第試合を始めます』

 

 それで放送は切れる。

 

「と、言うことなのでいきますね。よかったら応援お願いします」

 

「えぇ。行かせてもらうわ。例のビット百基っていうのも気になるし」

 

「それはセシリアさんの態度次第ですね。一夏との戦いで女尊男卑がある程度抜けてなければ近接格闘のみでやります。勘ですが一夏ならばなにかしらやって惚れさせててもおかしくないですから」

 

 私は楯無さんの方に行くとそっと抱き締め、耳元でささやいた。

 

「じゃあ頑張るよ。楯無(・・)

 

 そしてアリーナにかけていった。

 

 残されたのは赤い顔の楯無さんだけだった。

イチカsideout

 

 

 

 

一夏side

「では私はでていきますね。勝負を見てしまってはフェアじゃありません」

 

 そう言ってグレンはモニタールームから出ていった。

 

「では織斑君、こちらに来てください」

 

 俺達は山田先生のあとをついていった。

 そしてISの射出ピットにあった、いや、いたのは、

 

「白……」

 

「はい!これが織斑君のIS、『白式』です!」

 

 若干黒みががりながらも完全なる白。それが白式。まだ一次移行前だからこの色なのかそれとも違うのかはわからないがとにかく白という印象がわく。

 

「早く装着しろ。オルコットは既に待っているぞ。ぶっつけ本番でものにしろ」

 

「この程度の障害、男なら乗り越えてみせろ一夏」

 

「織斑、早くしろ」

 

 俺は急かされるようにしてISの前にたった。

 

 俺はこれがなにか知っている。そんな感じがした。

 

「背中を預けるように、そうだ。座る感じでいい。あとはシステムが最適化する」

 

 千冬姉の言う通り、俺の体に合わせて形を変える。

 そしてハイパーセンサーによる視界がセシリアのISを捉える。

 

操縦者、セシリア・オルコット。搭乗機体、『ブルー・ティアーズ』。

 

「よし。ISは正常に動いているな。気分はどうだ?一夏?」

 

「あぁ、大丈夫だよ千冬姉。いける」

 

 悪くない。むしろとてもいい気分だ。

 

 俺のこと名前で読んでたし、心配してくれてるんだな。ハイパーセンサーによってわかった、千冬姉の声の震え。それによって細かい感情までわかるようだ。

 それとなく箒の方に意識を向ける。顔を向けなくてもハイパーセンサーのおかげで360度すべて見える。

 

「箒」

 

「な、なんだ?」

 

「行ってくる」

 

「!!あぁ、勝ってこい!一夏!」

 

「織斑一夏、白式でます!」

 

 ピットから射出され、俺は戦いの場へと舞った。

 

「あら?逃げずに来ましたのね、関心ですわ」

 

 俺のハイパーセンサーにブルー・ティアーズの全体が表示される。

 

 右手に特殊レーザーライフル《スターライトmkⅢ》が握られている。ISは原則宙に浮いているため自分より大きな兵器も楽に使える。

 

「最後のチャンスをあげますわ」

 

 試合開始のカウントが始まる。

 

「チャンスって?」

 

「わたくしが勝つのは自明の理。ですから今ここで土下座して謝ると言うなら許してあげないこともなくってよ?」

 

「そういうのはチャンスって言わないな」

 

『3 2 1』

 

「そう?残念ですわ。それなら」

 

『試合開始!』

 

「お別れですわね!」

 

 レーザーライフルから放たれた一撃が俺を襲う。なんとか白式のオートガードが守ってくれたが、左肩の一部にあたった。

 

(ダメージ46。シールドエネルギー残量554。負傷なし)

 

(くそ!俺が白式の反応速度に追い付いてない!)

 

「さあ踊りなさい。このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲ワルツで!!」

 

 再びレーザーが襲う。なんとか白式が反応してかわしているが、少しずつかすっていく。そのたびにエネルギーが削られるがたいしたダメージではない。

 

「白式!なにか装備は!?」

 

 俺の目の前に武器一覧のようなものが現れた。

 

近接ブレード×1

 

 それだけしか書かれていない。

 

「…それだけかよ!?しょうがねぇ。やってやる」

 

 俺は2.7mもあるブレードをかまえた。

 

「中、遠距離メインのわたくしに近接ブレードで挑む気ですの?なめられたものね」

 

「やってやるさ!」

 

「なら踊りなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

 セシリアの腰の辺りから四基のビットが飛び出した。それらはセシリアの操作で空中を飛び回り俺にレーザーを撃ってくる。それをなんとか交わし続ける。

 

「あらあら、いつまでもつかしら?」

 

「うっせーよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合開始から27分後、満身創痍な俺と余裕そうなセシリアがいた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

(シールドエネルギー残量54)

 

「よくもちましたわね。わたくしを前にしてこれだけもったのはあなたがはじめてでしてよ。光栄に思いなさい」

 

「そりゃ光栄だね。なら、もっと認めさせてみせるさ」

 

(さっきからあのビットは俺の死角を狙ってくる。それとあれを操ってる間セシリアは動けない。なら…)

 

「いきなさい!」

 

 再びビットが舞った。さて、反撃の時だ。

 ビットが来る場所がわかってるなら別に避けられないことはない。

 

 よし。ここだ!

 俺は突然反転し、後ろに来たビットを切りつけた。よし。一つ破壊成功だ。

 

「な!?」

 

 セシリアが驚いているうちにもう一つ壊す。よし。いけるぞ。

 

「お前は俺の死角を狙ってくる。それとあれを操ってる間お前は動けない。そうだろ?」

 

「ぐっ」

 

 図星のようだ。ならやり方はある。あとは集中するだけだ。落ち着け…。絶対にやれる。

 

 

 

 

一方モニタールームでは、

 

「織斑君すごいですね。セシリアさん相手にここまでやるなんて」

 

「いや、あれはだめだな」

 

「なんでですか?」

 

「あいつは昔から浮かれると右手を閉じたり開いたりする癖があるんだ。それをやるときは大抵しょうもないミスをする」

 

「あっ、織斑先生さすが姉弟ですね。やっぱり心配なんですね」

 

 山田先生は突然頭を捕まれる。

 

「山田先生、私はからかわれるのが嫌いだ」

 

「いたたたたた!いたいです!織斑先生!頭が!」

 

 アイアンクローが炸裂した。

 

「一夏…」

 

 箒は心配そうに一夏を見ていた。

 

 

 

 

 

 そしてその本人の一夏は、次のセシリアの攻撃を待っていた。

 

「くっ、いきなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

(よし、きた!)

 

 ビットが射出された瞬間、俺はセシリアに突っ込んだ。

 

「もらったぁぁぁあああ!!」

 

「甘いですわね。ブルー・ティアーズは六基ありましてよ!」

 

 セシリアは新たな二基のビットからミサイルをうちだした。勢いよく迫ってる一夏は避けれなかった。

 

「まずい!」

 

 ミサイルが直撃した。

 

 

 

「一夏!」

 

 モニタールームでは箒の叫びが響いた。

 

「馬鹿者が。機体に救われたな」

 

「それってどうゆう…」

 

 モニターには光輝く白式が映っていた。

 

 

 

 

「ふ、一次移行(ファーストシフト)!?まさかあなた、初期状態で戦ってましたの!?」

 

 機体が完全に俺に馴染む。あぁ、これでこいつは完全に俺の専用機になったんだな。

 

 視界にメッセージがうつる。

 

(一次移行完了。近接ブレード変更。近接ブレード『雪片弐型』)

 

 雪片。それはかつて千冬姉振るっていたISの刀の名称。

 つくづく思い知らされる。

 

「俺は最高の姉さんを持ったよ」

 

 俺は今までずっと守られてきた。でもこれからは守れる力がある。

 

「俺はみんな守る」

 

「は?あなた、なにを言って」

 

「とりあえずは千冬姉の名前を守るよ。というか、逆に笑われちまうかな」

 

「さっきからなにを言って…ああもう!面倒ですわ!」

 

 再び射出された二基のビット。俺はセシリアに向かう。

 

 今の俺ならこの剣の使い方がわかる。

 

 一閃。剣を振るった。ビットは慣性の法則に逆らわず落ちていく。

 

(いける!)

 

 セシリアの懐にもぐりこんだ。

 

『ビー。試合終了。勝者、セシリア・オルコット』

 

「「は?」」

 

 

 

 

 

 

 俺はシールドエネルギーが0になって落ちていった。

 

 

 




どうもコクトーです。


一夏君敗北!!
いやぁかっこいいね(笑)!惚れ惚れしちゃうねwwww!
IS同士の戦闘ってこれでいいのかな?
27分くらい端折りましたがまぁ大丈夫なはず!




ではまた次回
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