簪side
イチカに言われた通り先に戻ってきた私はまだ若干混乱していた。
倉持が解析のために打鉄弐式を放置した可能性がある。
それを聞いただけでも大変なのにそのあとに起こったあの出来事。
突然現れたロシアからの刺客。ISをもっていて、さらに私には感知すらできなかったステルス迷彩。私は怖くて震えていた。それを彼はそっと後ろにかばってくれた。嬉しかった。また私はヒーローに助けられちゃったな…。
あのときもさっきも彼は私のヒーローだった。彼はヒーローなんかじゃないと言うが、私達にとって彼は絶対的なヒーローなのだ。それだけは譲れない。
そして刺客の女性がISを纏って近づいてきたとたん彼女は凍ってしまった。あれはいったいどうやったんだろう?彼の技術だって言ってたけど…。ポ○モンの冷Oビームみたいな感じかな?ラOラス、冷凍O-ム!ってアニメみたい。
先に戻ってきて見ていたセシリアさんと織斑君の試合の方も驚いた。なんと彼はセシリアさんの攻撃をよけてビットを落としたではないか!実際少ししか見てない私でもどこを狙って撃っているかわかるくらい単調な攻撃だったがそれでも気になる。あれは機体によるものだろうか?
驚く一方で私の打鉄弐式を放置してまで解析する価値はあるのだろうと思う私もいる。イギリスの第三世代兵器を素人が乗っていてもよけられる反応スピードと機体自体のスピード。普通の打鉄なんかめじゃないほどのスピードだ。
私はあの機体には負けたくない。私の作った機体で打ち負かして、倉持に後悔させてやろう。凍結させなければよかったと。そう思った。
そして勝負開始から二十七分。ついにセシリアさんのミサイルが彼を捉えた。終わりかと思ったその時、彼のISが
どこの主人公?と思ったがまぁ運が良かっただけかなと思い直した。
実際ISの一次移行の平均時間は30分~1時間。27分ならそれくらいだろう。
そのあと織斑君はいろいろと呟いてセシリアさんに突っ込んだ。恥ずかしい台詞が多かった。でも、主人公とかなら似合いそうなセリフだ。やっぱりどこの主人公?と思う。いや気のせいだろう。 でも……あんなセリフ…私もグレンに…。
目の前で真剣な顔をして同じセリフを告げるグレンを想像してみる。とたん顔が赤くなりつい顔を押さえてくねくねとしてしまった。ここがモニタールームでよかった。観客席だったら…。死にそう。
そして試合終了のブザーが鳴る。
『勝者、セシリア・オルコット』
あれだけ恥ずかしいことを言って負ける気持ちはどんなものだろうか。
簪sideout
一夏side
ピットに戻ってきた俺を迎えてくれたのは、
「よくもまあ持ち上げてくれたな。それでこの結果か、大馬鹿者」
千冬姉の説教だった。少しくらいほめてくれてもいいじゃないか!
「武器の特性を理解して使え。明日からは訓練をしろ。暇があればISの展開をしろ。わかったな」
「……はい」
「えっと、今は待機状態ですが、織斑君が望めばいつでも展開します。ただ使用にも規則があるので覚えてください。これです」
山田先生から鈍器かと思える冊子をもらった。あなたの町の電話帳の間違いじゃねぇの?これ?
「俺はみんな守る。だったか?」
ぐさっ!
「千冬姉の名前を守るよ。だったか?」
ぐさぐさっ!!
「よくもまあそんなことが言えたな」
今度は箒の説教だ。すごい刺さる。何がとは言わないがぐさぐさ刺さる。言葉ってこんなに痛いんだなぁ…。
「負けて悔しいか?一夏」
「あぁ悔しいさ。悔しくないわけないだろう?だけど、これから強くなればいいんだ」
「だな。明日からも私が訓練をつけてやる!」
「今度はISのも頼むな」
「まかせろ!」
そう言い張った箒だけどそういや箒もIS初心者だったっけ。グレンとかマドカとかにも頼んでみようかな?
「織斑、これからグレンとオルコットの試合を行う。お前もここでみていけ。同じ男性操縦者だ。いずれお前が超える壁でもある。実力は未知数だが見ておいて損はないだろう」
「そうするよ」
その時、グレンが簪さんとマドカと一緒に入ってきた。
一夏sideout
グレンside
「とりあえずモニタールームにむかえばいいでしょうか?」
私はアリーナの廊下を歩いていた。先ほどの放送が入ってから十分くらいがたった。思ったよりアリーナ内が入り組んでいて遠回りしていたら時間がかかってしまった。結果も分からないしあとで聞くとしますか。
「あっ、グレン」
「おぉ、兄さん!」
「簪にマドカ。どうしたのですか?」
「「グレン(兄さん)の応援」」
「ありがとうございます。ではモニタールームにいきましょう」
三人は歩きだした。
「ところで、試合はどうでしたか?」
「織斑君が…その…」
「?」
「恥ずかしいセリフを並べて突っ込んで自滅していたな。笑わせてもらった」
「どんなのですか?あとで記録を見してもらいましょう」
「たしか『俺はみんな守る』だったと思う」
「…守る…ですか…」
いいですね。嫌いじゃありません。
モニタールームの扉を開くと一夏達がいた。ここで見るようですね。セシリアさんにいい影響を与えることができたかな?それとも惚れさせたかな?
「お、グレンちょうどいいところに来たな!なぁグレン、お前の機体ってどんなの?」
「おや?気になるのですか?」
「そりゃそうだろ。お前の見たことないんだし」
「まぁ初お披露目ですね。普段はラボの地下で訓練してますし、見たことある人なんか数えるくらいですね。でもまぁそこは試合をお楽しみにってことで」
「まぁいいか」
「兄さん、今日はオペレーターか?」
「はい。しばらくはオペレーターですよ」
「おいグレン。なんのことだ?」
織斑先生がこわばった顔で聞く。
「私の機体ですよ。私は機体を複数持ってますから。基本的にはオペレーターを使いますが時には違うのを使うこともあります。驚かせたいときとか機体が調整中のときとか。今はほとんどラボに保管してあります。むやみに持ち歩く必要もありませんし」
「すべて知らせろ」
「データは開示しません」
「教師命令だ」
「IS委員会ならびに各国が認めています」
「知らん。ここでは私が法だ」
「断る。行きますよマドカ、簪」
私は織斑先生の鋭い眼差しを無視して射出ピットに向かった。
「さてマドカ、セシリアさん次第ではビットほとんど使いますから参考にしてくださいね」
「あぁ。楽しみだ」
「ほとんどっていくつくらい?」
「そうですね…さっきの龍型と他のは使いませんから…シールドビット含め200くらいですか?」
「200!?」
「兄さんのビット操作はもはやおかしいレベルだからな。私やスコールでも30が限界だというのに。他のやつも使うともう織斑千冬だろうと止められんだろうな。あんなの兄さん以外には作れん」
「簡単に作られては困りますよ。かなり頑張ったんですから。今度作るのも自信作ですよ」
「噂で聞いてたのの倍…グレンはもう普通じゃない気がする」
「兄さんに常識を求めると世界が変わるぞ簪。特にIS…いや機械に関してはな」
「そこまで言いますか?あっマドカ、聞かれたりしたら説明頼みますね。その間も試合は見逃さないように。今回はビットしか使いませんから」
もっとも、ビットが最も得意な武器ではないのですが。
「まぁ初めは気楽に見といてください。始めの十五分は動かないので。では」
私は専用機『
「あのときの…」
「えぇ。あのときから使い続けています。この子は私の相棒ですから」
そう。これはあの火事のときより前からずっと使っている相棒。この子の強化には惜しみ無く時間や能力を使ったし、手に入れたISのいいところは次々と強化してとりいれた。ビット、マテリアルハイ、高機動機体…様々なものを取り入れた。中には地球上に存在しない金属を使ったりもしている。もう一機同じのを作れと言われても不可能である。
「では、イチカ・グレナディーン、『
私はアリーナに飛び出した。
どうもコクトーです。
簪視点で始まった第11話。
イチカのISのデータが極一部出てきました。
やりすぎ感半端ない!
でも技術チートだからキニシナイ。
明日合格発表!
結果次第ではお休みするかも。
次回、ついにイチカの戦闘が!?
ではまた次回。