イチカと一夏の物語   作:コクトー

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イチカと一夏と言葉の重み

イチカside

 試合を終え、気絶したセシリアを抱き抱えながらピットに戻ると、先生達とマドカだけがいた。

 

「マドカ、参考になった?」

 

「最後の一個前のやつならできそうですが最後のはさすがに無理です」

 

「ならはじめは一つを二つにするところからです。それができたらビットを一つずつ増やしてやってください。頻度は二日に一度でいいので普段の訓練に加えましょう」

 

「わかりました。それならなんとか…」

 

「数が三つ増えるごとにごほうびをあげましょう」

 

「全力でやります!!」

 

「ただ普段の訓練をおろそかにしてはいけませんよ?それだけは約束です。まぁ、とりあえずは周一で休みを増やしてゆっくりやりましょう」

 

「はい!」

 

 元気のいい返事です。

 

「おや?三人はどうしました?」

 

「更識と篠ノ之は最後のを見て気絶した。織斑は反対側のピットに準備にいかせた。そしてグレン、貴様のビットの数を15まで制限する。試合でそれ以上使えば即失格だ」

 

「シールドビットは含めますか?あと他のやつも合わせてですか?」

 

「シールドビットは5つまで。レーザービットは10までだ。他のは使うな」

 

「さすがに龍型と人型は使いませんが武器型と特殊型はいいでしょう?レーザービットと合わせて10で」

 

「それはなんだ?それによって決める」

 

「私の意思で形を変えるビットです。主に剣や鎌、鎖などにしてます。特殊型はレーザービットと似たようなものです」

 

「それならかまわん。あとの二つは名前からして禁止だ。それとマドカ、お前のISも同様の制限をかける。かまわんな?」

 

「構いません。それで勝てる技術を身に付けます」

 

「よろしい」

 

「えっと、グレン君とマドカさん。二人も規則があるので読んでくださいね」

 

 私とマドカに一冊ずつ電話帳並みの冊子が渡された。これは…

 

「私はそもそも日常的にISの使用が認められてるのですが…」

 

「特例を認めるわけにはいかん。やむを得ないときのみ認める。どこぞの専用機持ちが勝手に使いかねんからな。人に被害のないよう守ってやれ」

 

 教室でのやりとりをしっていたようですね。お咎めはないようですが。

 

「私はこのままアリーナに戻ればいいですか?」

 

「待て。その前に一つ答えろ。お前はコアを作れるな?あれだけの数を量子化できるコアはない」

 

「そういえばビットのこととか話してましたけどここにはカメラや盗聴機などはありませんか?」

 

「ここにはない」

 

「あれ?織斑先生、ここにも監視カメラついてますよ?」

 

「織斑先生…」

 

「話せ」

 

 有無を言わせない感じで睨み付けてきた。堂々と嘘をつくとはね…

 

「あなたが信用に足る人なら話します。ですが一つだけ言っときますよ。私は襲われた際のコアを自由にできるんですよ?それをわざわざ置いとくと思いますか?それとあの数はそもそもコアを三つ使えば可能です。では行きます」

 

「…………」

 

 私はまだ睨んでいる織斑先生を無視してアリーナに出た。すると既に一夏はアリーナに出ていた。

 

「一夏、覚悟はいいですか?」

 

「正直あれを見たあとだとやりたくないな。あんなの勝てるわけねぇじゃん」

 

「大丈夫ですよ。試合中のビットは15までに制限されました。それと……………私を失望させないでくださいよ」

 

「失望?なんでだ?」

 

 気づいてないとは…これが織斑一夏ですか…。拍子抜けですね。

 

「あなたは自分の言葉に『重み』を感じないのですか?」

 

「感じてるさ。だからこれから努力して強くなろうと」

 

「全然感じてませんね。いいでしょう。全力で叩き潰す。言葉の意味を知れ」

 

 私は殺気を放ちながら剣と拳銃を構えた。

 

『3 2 1試合開始!』

 

 殺気を増幅させた。一夏はそれだけで動けなくなった。むしろ少しずつ距離を取ろうとしている。

 

「滑稽だな。これほどまでに弱いとは。かかってこいよ。叩き潰してやるから」

 

 私は口調をくずしながら一夏に言った。それでもむかってこない。一夏は周囲を距離を保ちながらゆっくりと旋回しはじめた。

 

「もういい。もういいよお前。さっさと帰って部屋にいろよ。お前の言った言葉はそれくらい軽いんだからさ!」

 

(なんなんだよいったい。さっきからグレンの感じがまるで違う。普段とは違って………怖い。近づきたくない)

 

「もう終わらせるか。炎剣『迦具土(カグツチ)』」

 

 私は剣に焔を纏わせた。

 

「織斑、俺が何に失望してるのか教えてやるよ。ビビりな子どもに特別講義だ」

 

「誰がびびりだ!」

 

「お前。お前だよ織斑。少なくとも俺にはそうしか見えねぇ。俺はな、お前のことを感心してたんだぜ?みんな守る。姉の名前を守る。かっけぇじゃん。その結果失敗してもそのために努力しようと思えたんだろ?上々じゃん。今はまだ練習なんだから。得るものがあって、守るって言ったやつが無事。大成功だよ。」

 

 織斑は俺の話を止まって聞いている。いや、アリーナの全員が止まっている。

 

「じゃあ本番。今が本番ならどうだ?間違いなくお前の守るものは一つ残らずなくなるぜ。そりゃそうだろう。本番なら今のお前みたいに怖くなって距離を取るだけの子どもなんかに守れるもんなんか何もねぇよ。守るってことはそんなに軽いもんじゃねえんだよ!俺は少なくとも守ろうと努力した。マドカ、スコールを、オータムを、家族を!そのために無謀なこともした。何度もした!テロ組織とも戦ったし、世界の代表達とも交渉した!どれだけ恐ろしいことでも、なんとかがんばってきたんだ!少なくとも敵に恐怖し、なにもしないだけの人間が!守るなんてかたるんじゃねぇよ!」

 

 俺は言いたいことを全部言い切った。

 

「さぁこいよ!お前の守るって言葉はそんなもんかよ!織斑一夏ぁぁあああ!!!」

 

 

(そうか…グレンは…グレンが何に失望していたのかようやくわかった。俺は守るって言っときながら、グレンを恐れて戦うことをやめようとした。そんな俺に失望してたんだ。なら今の俺がやることは一つだけだ!)

 

 一夏の目つきが変わった。

 

「すまねぇな、グレン。ようやく吹っ切れたぜ。俺の言葉はそんなに軽くない!俺の覚悟を見せてやるよ!」

 

 一夏は雪片弐型を手に突っ込んできた。

 

「見事!」

 

 私は、炎剣『迦具土』の最高の一刀でもって応えた。

 

『ビー、勝者、イチカ・グレナディーン』

 

 私の勝ちだ。しかし、一夏は自分の覚悟を見せた。だからこ私は最高の一刀で応えた。

 これで一夏は自分の言葉の重みを知った。守ることがどれだけ辛いのかを。ですが、一夏なら越えてくれるでしょう。絶対に。

 

 私は落ちている一夏を抱えてビットに戻った。

 

「一夏!」

 

 ビットの戻ると箒さんが一夏のもとへかけてきた。

 

「貴様!一夏に何をした!」

 

「?何って一夏の覚悟を問いただしただけですが?」

 

「決闘の最中に相手を動揺させるようなことを言って、それでも剣士か!」

 

「何を言ってるんですか?私の言葉で一夏が動揺したのは事実であり真実だったからでしょう?少なくとも戦いの前の一夏には私は剣を振るう気はありませんでしたよ。ですが、覚悟を見せてくれました。それを最高の一刀で応えずして何が男ですか?」

 

「それでも貴様が一夏になにも言わなければ!」

 

「今なお一夏は私の周りを旋回してますよ。断言します。あの一夏に剣を振るう覚悟はありません。せいぜい自分より弱いものを倒して喜んでるのが関の山です。自分より少しでも強ければ戦おうともしないですよ」

 

「貴様と話してても意味がない!一夏を渡せ。私が連れて行く」

 

 意味がないのはこっちなんですがね。この姉妹はどちらもこうなのですかね?

 私が嫌いなタイプです。

 

「では頼みます」

 

 篠ノ之さん(・・・・・)は私をきっと睨むと一夏をつれ出ていった。それと変わるように他のみんなが入ってきた。

 

「兄さん、お疲れ様です」

 

「グレン、お疲れ様」

 

「ありがとうございます。二人とも」

 

 簪の顔が若干赤い。なにか感じたのでしょうか…。

 

「グレン、貴様もいいことを言うな。さっきの一夏にはかなりきただろう」

 

「だな。あれでは戦う前から負けていた。それにしても、篠ノ之となにかありました?」

 

 マドカが核心をついてくる。さすがマドカ。

 

「私に一夏を動揺させて戦うなど剣士のすることかと何やら言われましてね。話についていけませんでした」

 

「…篠ノ之さんには織斑君が言葉で乱されて負けたとしか見えなかったんだと思う…」

 

「織斑先生、いつか彼女、なにかやらかしますよ。命に関わるレベルのことを」

 

「そうならないことを願うよ。これで終了だ。グレン、貴様がクラス代表だな」

 

「あの、その事なんですが、一夏に譲っていいですか?」

 

「なぜだ?」

 

「あいつはまだまだ強くなります。その機会はできるだけ多い方がいいでしょう?私は一夏に本当にみんな守れる男になってほしいんですよ」

 

 そう言うと織斑先生は許可を出してくれた。これでやらなくて済みますね。一夏に強くなってほしいのは確かですし、私は面倒くさい。一石二鳥ですね。

 

「では簪、私は今日はラボに行かないといけないので失礼します。帰りは遅くなるかもしれません」

 

「…わかった」

 

 簪は少し悲しそうでしたがあの女性には色々聞かないといけませんからね。

 

 こうして私とマドカははラボに向かった。

イチカsideout




どうもコクトーです。


イチカ対一夏
いかがだったでしょうか?
『言葉の重み』ってやつを考えて書いたらこんなことになりました。なんでだろう・・・
また代表は一夏君です。それは変わりません。

一夏はどう成長するのか!?
自分もわかりません!←大丈夫か作者


ではまた次回!
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