イチカと一夏の物語   作:コクトー

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今回イチカと一夏の出番はありません

一「!?」

イ「あらら」


イチカと家族の交渉

 

???side

「よっと。スコール、コア抜くの手伝ってくんね?」

 

 凍ったままの私をつれてきた女性が私のISのコアを抜こうとしていた。

 

「いいわよ。ところで彼女は?」

 

 スコールと言われた女性が部屋の奥から出てきた。

 

「さぁ?グレンのやつがコア抜いて空き部屋に入れといてってさ。ロシアの刺客らしいよ」

 

「あら?ロシアというと楯無ちゃんが国家代表の国ね。その子が生徒会長をやってる学園に刺客を送るなんて何してるのかしら?」

 

 そう言ってスコールは近づいてきた。私は彼女を睨む。

 

「あら、怖い怖い。そんなに睨まなくてもいいじゃない。あとでグレンに慰めてもらおうかしら?」

 

「スコールならあたしが慰めてやるよ!」

 

「あらあら、オータムも慰められる側じゃない。彼に何度慰めてもらってたことか」

 

「う、うるせー!それとこれとは話が別だっつーの。てかあんた、名前は?」

 

「………」

 

「だんまりね。こうゆうときは名前を勝手に決めましょ。適当でいいわね。…田中でいいわ」

 

 なんだか名前を決められた。まぁなにも話す気はないが。

 

「じゃあ田中さん、さっそくコアを抜くわね。くすぐったいかもしれないから笑ってもいいわよ」

 

 拷問なら既に軍で耐える訓練をしてきた。何も話すまい。

 

「この辺りね。オータム、一時的に溶かすから『青龍』の準備をしといてちょうだい。取り出し次第また凍らすわ」

 

 逃げないように対策はバッチリすると言うわけか。なかなか手慣れているな。

 

「さてと、『赤龍』このへん溶かして」

 

 するとスコールは赤色の龍を出し、氷を一部溶かした。

 そしてコアが抜かれる。

 

「よし。オータム」

 

「あいよ。『青龍』!」

 

 再び凍らされる。それだけやってオータムは部屋からでた。

 

「さて、グレンが来る前に世間話でもしない?」

 

「貴様と話すことなぞなにもない。殺せ」

 

「あらあら、つれないわねえ。別に私たちはあなたを殺そうとしないわ」

 

 ふん、そうやって油断させる気か。その手には乗らん。

 

「そうね、じゃあ私の独り言でいいわ。このラボにはね、私とオータムともう一人マドカって子と、グレンの四人がいるの。そのうちグレン以外の私たちはね、もとテロ組織のメンバーよ」

 

「え?」

 

「私なんか特にね。テロ組織の幹部をやっていたわ。でもある日、私たちの部隊が裏切りにあってね、組織に狙われたのよ」

 

 なんか想像以上にハードなんだが…。世間話でするレベルじゃない!?

 

「その時にあったのがグレンよ。私たちを組織の追っ手から庇って、そしてかくまってくれた。その時に能力使ってナノマシン取り除いたり、IS使ったりってもうわけわかんなくてね…。でも…彼は、テロ組織にいたような私達を、家族として迎えてくれたのよ」

 

 家族か…。私は、生まれたときからずっと軍属で親なんか見たことなかったな。暇さえあれば訓練に次ぐ訓練。サボろうものならお仕置き。そんな日々だった。

 

「彼はさ、今最も世界の先を行ってるのよ。それこそ篠ノ之束博士よりもね」

 

「そんなことがありえるのか?」

 

 いつのまにか私は自然と話を聞いていた。

 

「えぇ。あなたも受けたあの龍型ビット。あれは今四種類あるんだけど、全部彼が開発したのよ。それ以外にも規格外よ」

 

「そんなことが…あの男は何が目的なんだ?そんな力があれば世界征服でも可能ではないか」

 

「そうね。彼が本気で狙えばたぶん一週間で世界は終わるわ。たぶんだけど、ISを越える兵器の設計図くらいならすでに頭の中にありそうだし」

 

 どれだけ規格外なんだ…。篠ノ之束を越えるほどの頭脳。世界各国から見れば喉から手が出るほどほしい人材だ。それどころか『男』が再び『女』より上に立つための兵器くらい作ってしまいそうなほどの。

 

「ではなぜそれを作らない?やつにとってこの女尊男卑の世の中なぞ目障りであろう。それなのに」

 

「えぇ。彼は常に男女平等を掲げてるわ。だから男でも女でもなにかあれば助ける。悪いことをしてれば懲らしめる。そんな人よ」

 

「……」

 

「まあ、私はそんな彼に引かれたんだけどね♪あぁ、早く来ないかしら?」

 

 スコールは頬を染め、恋する乙女とでも言いたげな顔でうっとりとしていた。すると、そこにオータムが戻ってきた。

 

「なあ、スコール、こいつこの女じゃね?ここのやつ」

 

 オータムはパソコンを手に、その画面を指差していた。そこにはロシアの代表候補生の一覧。しかも顔写真までついている。そこに、自分の顔もあった。

 

「そうね。でかしたわオータム」

 

 スコールはオータムをなで始めた。対するオータムはえへへと笑っている。嬉しいのだろうか。

 

「なになに…ロシアの代表候補生『ニーナ・ベレン』。それがあなたの名前ね。田中じゃなかったのね…」

 

「いやいや田中は思いっきり日本名だからあたらねぇよ」

 

「そう言えばそうね。まぁいいわ。ニーナさん、今からロシアと交渉するわ。スピーカーはオンにするから聞いといてね」

 

 そう言ってスコールは携帯でどこかに電話し始めた。

 

『はい、どちら様ですか?』

 

「あら?日本語できるのね。ロシア語かと思って緊張しちゃったわ」

 

『何の用件ですか?暇はありません早急にお願いします』

 

「イチカ・グレナディーンの代理で交渉するスコール・ミューゼル・グレナディーンよ。ロシアのコアのことで話があるわ。代表につないでくれる?」

 

 スコール・ミューゼル・グレナディーン。それが彼女のフルネームか。一国の代表とこれから話そうと言うのにえらく落ち着いている。場数が違う。そんな気がした。

 

『!?連絡をいれますので少々お待ちを』

 

「これからが大事なとこよ。しっかり聞いていてちょうだい」

 

 私もオータムも無言でうなずく。私はどうなるのだろうか…。任務の失敗ということで処分されるのだろうか?少なくとも強制送還並びに投獄は確定だ。

 

『すまない。待たせてしまったようだ。私が代表の『セルゲイ・セレズニョフ』だ』

 

 現在の軍のトップが出た。それだけグレナディーンの名は影響力があるのか。

 そして同時に私に命令をくだした張本人でもあった。

 

「私はイチカ・グレナディーンの代理のスコール・ミューゼル・グレナディーンです。時間もないそうですし、早速本題に入りましょう」

 

『我が国のコアの話しときいているが?』

 

「えぇ。本日、ロシアのコアを持つ刺客を一人捕縛しましてね。グレンももしコアが盗まれたものだったらとか最近思うそうで。その子がロシアの命令で動いてるらしいんだけど、説明あるかしら?」

 

『そのような命令を出した覚えはまったくないが、その者はそのような戯れ言を言っているのだな?』

 

「あら?聞いてる話と違うわね。彼女軍属の代表候補生と聞いているのだけど、全員の居場所は把握しているの?」

 

『ほぼ全員把握している。しかし一人の候補生と一ヶ月前から連絡が着かなくなっているのもまた事実だ』

 

「その子って専用器もちかしら?」

 

『そんなわけがない。が、連絡がつかなくなった頃に同時にコアが一つなくなっているのだ。我々はその者を犯人として指名手配(・・・・・・・・・)しているのだがなかなか捕まらん』

 

「その子ってもしかしてニーナとか言わない?」

 

『もしやその場にいるのか?ちょうどいい。そちらにいる犯罪者(・・・)を渡してくれないか。できることならその者が盗んだコアも返却願いたい』

 

 犯罪者。たしかにそう言った。私はあなたからISを渡され、あなたの命令で日本に行き、そしてイチカ・グレナディーンの誘拐をしようとした。それなのにいざ私に与えられた名は………犯罪者。

 私の苦労はなんだったのだろうか?軍の辛い訓練に耐え、代表候補生になり、任務も精一杯やってきた。その仕打ちがこれなのか?

 

 私の目からは涙がこぼれ落ちた。

 

「どちらも却下よ」

 

「『!?』」

 

 私を渡さない?どうゆうことだ?私のような犯罪者がいても悪いことしかない。それなのに……

 

『なぜだ?犯罪者を匿ってもいいことなどないだろう?むしろロシアを敵にまわしたいとしか思えん。それは困るだろう?』

 

「全然困ることなんてないけど?私達は現在ISコアを20保持している。操縦者も私含めみな国家代表クラスまで訓練してあるわ。それに、そちらの国家代表さんはグレンと懇意にしているのよ。それをわざわざ壊すようなことをして彼女、どちらにつくのかしら?」

 

『ぐっ、』

 

「それとね、彼って嘘や人を人と思わない行為って大嫌いなの。あなたの言葉、すべて彼女聞いてるわよ?今も絶望から涙を流して落ち込んでるわ」

 

『なら犯罪者はそちらに任せる。コアだけでも返却願えないか?ただでさえ限られた数のコアが減るのは困るのだ。国防の面から見てもな』

 

「知ってるかしら?ISってそもそも軍事目的の利用が禁止されてるのよ。国防に使うのは条約違反ね」

 

『実際に使うわけではない。ただ、あるかないかと言うことだけで大きく変わるのだ。それに、彼は盗まれたものだったら返そうと思っているのだろう?ならば代理の者が勝手に決めては』

 

「あら?なにをいってるのかしら?私が言ったのは『盗まれたものだったら』とまでよ。そこから先は『躊躇(ためら)いなくもらえるのに』よ。始めからきちんと話していればいいものを…変に嘘なんかつくもんだから…。今後ロシアのコアは交渉なしでもらうことが決定したわ。あなたのような人が代表なら交渉する価値がないもの」

 

『わかった!金か?金ならいくらでも払う!だから、』

 

「『だから返してくれ』かしら?答えはノーよ。彼お金なら結構持ってるもの。それと、彼から伝言よ。『家族に手をだすやつは容赦しない』。じゃあ失礼するわ、永遠に」

 

 そうしてスコールは電話を切った。それからオータムからパソコンを受け取って何かを調べ始めた。

 

「…あなた、本当に指名手配かかってるわよ。ロシア全土で」

 

「なに!?」

 

「うわーこりゃひでぇな。さっきのはったりじゃねぇよかよ。わざわざ日付も一ヶ月前になってら」

 

「おおかた、失敗すれば指名手配中の犯罪者として拘束、もし情報を少しでも得られれば上々。成功して戻ってきてもグレンを幽閉して世界で二人の男性IS操縦者の誘拐犯として拘束、そして処刑ってとこかしら?」

 

「そ、そんな…私の……私の努力は…いったい……」

 

 扉が開いた。しかし声はあまり聞こえてこない。

 

「た――――ま―――ど―――」

 

 私は目の前が暗くなった。

ニーナsideout

 

 




どうもコクトーです。

お気に入り100超えました!
前作より早いね!!
ありがとうございます!


タイトルの二人の出番がないという斬新な話となりました。
今回出た『赤龍』は2つ目の龍型ビットです。
炎をはくビットです。まさに龍!

オリキャラが二名出てきました
セルゲイ・セレズニョフ
ニーナ・ベレン
どちらも独自の設定です。ロシアの軍のトップが誰とか知りません!
関係者がいたら本当に申し訳ありません。

次回はイチカも出てきます。


ではまた次回
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