一夏side
「今日の訓練はここまでにする」
「や、やっと終わった…」
その場にボロボロな状態で座り込む。箒が訓練機を借りてきたことでセシリアとともに2対1の模擬戦が始まったのだ。もちろん俺は1の方。結果、ボロボロになり、エネルギー回復してボロボロになる。その繰り返し。疲れない方がおかしい。
「先にピットにいっているぞ」
箒たちは先にピットに戻っていく。俺も戻るとするか。
「お疲れ一夏。はい、タオル。飲み物はスポーツドリンクでいいよね?」
着替えもすんで俺と箒で休んでいると扉が開いて鈴が入ってくる。
「サンキュー。はぁ生き返る」
「ジジくさいのよあんた。変わらないわねそれ。若いくせに体のことばかり気にしてるとこ」
「若いうちから不摂生してたらいかんのだぞ。あとで泣くのは自分だ」
「あっそ。あのさぁ一夏、やっぱ私がいないと寂しかった?」
「まあ遊び相手が減るのは寂しいだろ」
「そうじゃなくてさ」
「ごほん!」
箒がわざとらしく咳をした。
「一夏、私は先に帰る。シャワーは先につかっていいぞ」
「おおそりゃありがたい」
「また後でな」
「……一夏、今のどうゆうこと?」
「ん?いつもは箒が先なんだが、さっきお願いしたんだよ。それで先にシャワー使っていいって」
「いつもぉ!?あんた、あの女とどうゆう関係よ!?」
「どうゆうって幼馴染みだが?」
「なんで幼馴染みとシャワーが関係あるのよ!」
「あれ?言ってなかったか?今俺あいつと同じ部屋なんだよ」
「は?」
「いやーなんか政府からの指示らしくてさ、急遽寮に入ることになったんだよ。でも相手が知ってるやつで助かったぜ」
「…………」
「ん?どうした?」
なんか急に黙り出したな。喋り疲れたのか?
「……ったらいいわけね……」
「?」
よく聞こえんかった。何て言ったんだろう。
「だから!幼馴染みだったらいいわけね!?」
「うお!?」
突然のことで驚いて反射的に身を引く。
「わかった。わかったわ。ええ、よくわかったわよ」
なにを納得してんだ?
「いい!覚えときなさい!幼馴染みは二人いるってことを!また後でね!」
そういって鈴は走っていった。慌ただしいやつだな。
「つか忘れてねーよ。なんなんだ?あいつ」
よくわからんが俺も戻るか。シャワーでさっぱりしよっと。こうして俺も部屋へ帰っていった。
一夏sideout
イチカside
私は訓練を終え、部屋に向かっていた。
「今日も疲れました。早くシャワーでさっぱりしたいですね」
男子というより私と一夏は現在寮の風呂にはいることが禁止されている。そのため、部屋についているシャワーになってしまうのだ。
実のところ私はラボの風呂に時々入ってたりするのだが…。
「あっグレン、今終わり?」
「兄さん、お疲れ様です」
「えぇ、先程終わったところです。二人もですか?」
「私は今日はここまでにしようと思って」
「私は簪に見てくれと頼まれていたので」
「そうですか。立ち話もなんですし部屋に戻りましょうか。マドカも来ますか?たしかお菓子が作ってあったはずなので」
「行きます!」
「グレンのお菓子…」
簪の目が輝いてる。気に入ってもらえたのでしょうか?
「兄さん、お礼に私を食べ」
「チョップ」ビシッ
「痛いです兄さん…」
「バカなことを言った罰です。簪も顔を赤くしてないで戻りますよ」
「……私も食べていいのに……でも私が食べるのも……」ゴニョゴニョ
聞こえなかった。うん何も聞こえませんでしたよ!
部屋に向かっていると、向こうから虚さんが歩いてきた。
「あっグレンさん。お嬢様を見ませんでしたか?」
「楯無さんですか?見てませんよ」
「私も…お姉ちゃん、また?」
「はい…。またです」
楯無さんは生徒会長なのだが、これでもかというくらい抜け出す。そのため虚さんの仕事量は半端ないらしい。それでも仕事を終わらせる虚さんって有能ですね。
「大変ですね。よかったら私たちの部屋に来ますか?ちょうどお菓子でも食べようと話してたんですよ」
「いいんですか?グレンさんの部屋…」
こうして四人は部屋に向かった。
そして私は何気なく部屋の扉を開けた。
「おかえりなさい♪お風呂にします?ご飯にします?それともわ・た」バタンッ!
慌てて扉を閉めた。そして目をこすり深呼吸をする。うんきっと見間違いですね。裸エプロンの楯無さんなんかいるはずありませんよね。三人も固まってますし。
再び扉をあける。
「おかえりなさい。虚にします?かんちゃんにします?それともわ・た・し?」
「なぜそうなるんですか!」
見間違いじゃなかった。
「お嬢様…」
「お姉ちゃん…」
「あれ?二人とも?なんでそんな目を…ってなんで腕をつかむのかしら?部屋の奥につれていってなにを…イヤー!!」
「自業自得だな」
「私たちはお菓子の準備でもしましょうか」
準備をして待つこと数分。
ちゃんと制服に着替えた楯無さんが戻ってきた。なぜ二人は顔を真っ赤にしてるんですか?なぜそんな目で私を見るんですか!?
「あら?お菓子?グレンの手作り?」
「は、はい。そうですよ」
「いただき♪あら、おいしいわ」
「ありがとうございます。ところで二人に何を?」
「ちょ~っと女同士の会話をね♪」
そういって腕に抱きつく楯無さん。
「まだシャワー浴びれてないので離してくれませんか?」
柔らかい感触がまずい!
「あらそうなの?気にしないから大丈夫よ。むしろいい匂い…」
クンクンとかぎはじめる楯無さん。恥ずかしい…。
と、反対側に虚さん。前から簪もきた。
「あのーナニヲシテラッシャルノデスカ?」
「グレンさんの匂い…」
「なんかクラクラする…けど…………悪くない」
悪くない。じゃないですよ簪!?マドカからの視線が痛い!
「マドカちゃん、空いてるわよ?」
楯無さんが背中を指差して笑う。マドカ?はっとした顔して近づくのやめましょう?そさてクンクンかぐのもやめましょう!
「みなさん、シャワーにいきたいのですが…」
「洗ってさしあげます」
「がんばる」
「がんばらなくていいですよ!?」
結局このあとしばらく解放されず解放されてからはすぐにシャワーに向かった。もちろん一人ですよ?お兄さん嘘は言いませんよ?……時と場合によりけりですが。
その後いい頃合いになり、みんなで食堂へ向かった。夜は何を食べようか…
イチカsideout
一夏side
「とゆうわけだから部屋かわって」
「ふざけるな」
少し早めの夕食後、部屋で箒とくつろいでると鈴が来た。
「別にふざけてなんかないわよ。篠ノ之さんも男が同室だと息がつまるでしょ?あたし気にならないから」
「結構だ。これは私と一夏の問題だ。部外者は首をつっこまないでもらおう」
「大丈夫。あたしも幼馴染みだから」
「なんの関係がある!」
二人の言い合いが続く。てか鈴のやつカバン持ってるが…
「鈴、お前まさかそれで荷物全部か?」
「そうよ。カバン一つでどこでも行けるわ。とにかく、今日からあたしここで暮らすから」
「ここは私の部屋だ!」
「一夏の部屋でもあるでしょ?問題ないわ」
「ふざけるなぁぁあああ!」
鈴の返しに腹が立ったのか箒が近くに立て掛けてあった木刀を手に切りかかる。
ギィィィイイイン!
鈴が腕だけ部分展開して止めていた。セシリアより早いな。グレンよりは…遅いかな?
「今の、あたしだったからよかったものの、生身ならほんとに危ないよ」
「ふん」
箒が木刀を下げる。確かに俺なら間違いなく直撃コースだな。展開とか間に合わねぇよ。
「それはそうと、一夏、約束覚えてる?」
約束?なんだったっけ?えーっと…あっあったなそういえば。
「思い出した。あれだろ?鈴が料理上手になったらってやつだろ?」
「そう!それそれ!」
「たしか毎日酢豚を――」
「うんうん」
「おごってくれるってやつだろ?」
「へ?」
鈴が固まった。
「鈴が料理うまくなったら毎日おごってくれんだろ?」
家計的にもすげぇ助かるしな。なによりタダだし。いや俺は今自分の記憶力を褒め称えたいな。
「……………」
「ん?」パアンッ!
頬に衝撃が来た。目の前には涙を浮かべて手を振り抜いてる鈴。
「最っ低!女の子との約束をちゃんと覚えてないなんて犬に噛まれて死ね!」
鈴はカバンをつかんで走り去ってしまった。
「……なんなんだ?あいつ?」
「一夏」
「ん?」
「馬に蹴られて死ね」
なんでだよ!
結局その日俺は訳もわからず早く布団に潜った。明日になったら機嫌も戻ってるだろ。
一夏sideout
どうもコクトーです。
原作読み返したけど簪まじかわいい。
そして祝!9巻発売!
会社が変わってすぐ延期でやばいんじゃね?とか思ってたけどよかった
早く読みたい!!!
次回予告は今回はなし!!
ではまた次回