イチカと一夏の物語   作:コクトー

21 / 35
イチカと一夏と始まり

 

 

イチカside

 私たちは今アリーナ席で試合が始まるのを今か今かと待っていた。

 

「試合まであと十分ってとこですかね。一夏もそろそろ出てくると思いますし」

 

「グレンはどっちが勝つと思う?」

 

 そう。クラス代表戦第一試合は一組代表の織斑一夏対二組代表凰鈴音の試合だ。ちなみに二試合目は簪が出る。個人的にはそちらもとても楽しみです。

 

「鈴でしょうね。一夏も成長はしてますし、『衝撃砲』を防ぐ術を見いだしていれば勝ち目はありそうですが…」

 

 『衝撃砲』、それは鈴の専用機『甲龍(シェンロン)』に搭載された第三世代兵器。見えない砲弾を打ち出すものだ。私やマドカのステルスとは違い、弾自体を見えなくするのではなく見えない砲弾を打つのだ。

 戦いにおいて攻撃が見えないのはそれだけでかなり不利になる。どこからくるかわからないのだ。

 

「兄さんは一夏を高くかっているのですか?」

 

「そうでもないですが、彼の成長速度は目を見張るものがありますよね。いいコーチがいて一月鍛えれば並の代表候補生は抜き去りますよ彼は」

 

「兄さんより強くなりますか?」

 

「私の成長もはやいですから。簡単には抜かせませんよ。マドカにも」

 

「必ず追い抜いて見せます」

 

「その意気です」

 

「ねぇ、グレンはモニタールームで見なくてよかったの?」

 

 試合前にセシリアに誘われていたのだ。まぁ篠ノ之さんの視線がきつくなったのもあって断ったけど…。

 

「あそこにいては動きにくいですから。一応なにかあっても対応できるようにスコールたちにはついてもらってますが簪も気を付けてくださいね」

 

「うん」 

 

 スコールはアリーナ上段、オータムはアリーナ下段にそれぞれ控えてもらっている。

 

「あっ一夏がでできましたね。始まりますよ」

 

 一夏がピットから出てきた。ようやく試合開始だ。

イチカsideout

 

 

 

 

一夏side

 俺がアリーナにでると、既に鈴が待っていた。鈴の専用機『甲龍』。読みだけだとどうしてもあのでっかい龍が浮かんでしまう。こうりゅうと呼ぼう…。

 

「一夏、今謝るならぼこぼこにするのをすこーし手加減してあげてもいいわよ」

 

「雀の涙くらいだろ?いいよ。それより全力でこい」

 

「一夏、ISの絶対防御は完全じゃないのよ?」

 

 そう。完全ではないのだ。シールドエネルギーを突破する攻撃力があればダメージは貫通する。そのための武器まであるのだ。

 

『それでは両者試合を開始してください』

 

ブー。

 

 ブザーがなった。それと同時に俺は雪片弐型を構える。が、それを見えないなにかに殴られた。

そしてすぐに本体も殴られた。

 

「今のはジャブだからね」

 

 再びなにかに殴られる。くそ、俺にもダメージが貫通してやがる。そんだけ攻撃力が高いのか!

 

 鈴のISの非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)から飛ばされるそれは要注意って聞いていたものだ。見えない砲弾。実際にやると恐ろしいな。

 俺は食らわないように不規則に飛び回る。後ろでクレーターができたりしてる。あぶねぇな。

 

 

 

一方モニタールームでは、先生を含めた四人が試合をみていた。

 

「なんだあれは」

 

「甲龍の第三世代兵器、衝撃砲ですわ。見えない砲弾。見るのは始めてですがやっかいそうですね」

 

「一夏…」

 

 セシリアの説明をまるで聞いていなかった箒は、一夏がダメージを受ける度自分も胸が痛んだ。

 

 

 

「よくかわすわね。衝撃砲は見えないのが売りなのに」

 

 大気の歪みをハイパーセンサーで感知して避ける。これじゃ遅い。

 鈴が打ち出す衝撃砲をかろうじて交わしている一夏だが、既にエネルギーは半分を切っていた。理由は鈴の持つ二本の変則青竜刀『双天牙月』。それをくっつけてブーメランのようにとばしてくるのだ。見える分かわしやすいがそれの影から衝撃が襲ってくる。雪片弐型で弾いてもそのあとを防げない。鈴は近接格闘もかなりの腕前らしく、近寄って攻撃しても対処されてしまう。

 

 このとき俺は、先週の訓練で千冬姉に言われたことを思い出していた。

 

 

 

「…バリアー無効化攻撃?」

 

「あぁ。私が世界一になったときに使っていたものだ。自身のシールドエネルギーを攻撃に転換し一撃に圧倒的な攻撃力をもたせる」

 

「それを俺は使えるのか?」

 

「あぁ。お前の雪片弐型ならそれができる。元々お前のような素人が射撃なぞろくにできるものか。それよりはなにか一つを極めたほうがいいだろう。近づいて切る。それだけだ。わかりやすいだろ?」

 

 たしかにわかりやすい。だが

 

「いやそれができれば苦労してないって」

 

「口の聞き方には気を付けろよ織斑。そのための技術を教えてやる。いいか………」

 

 

(鈴を倒すにはあれしかない!)

 

「鈴」

 

「なによ?」

 

「本気でいくからな」

 

「はっ!上等よ!」

 

 鈴が青竜刀を構える。勝負は一瞬。俺は雪片弐型を構え、一気に鈴に向かう。

 

 

ズガァァァアアアアアン!!

 

 が、それは謎のレーザーがアリーナの中央に撃ち込まれ阻まれた。

 

「なんだ?」

 

 アリーナの中央からはもくもくと煙が上がっている。

 

『一夏!試合は中止よ!ピットに戻りなさい!』

 

 ステージ中央にIS機体確認。ロックされています。

 

 白式から機械音でつげられる。

 

『一夏はやく!』

 

 鈴が急かす。が、中央のISは身動きひとつしなかった。が、その左右にあらたに四機着地した。

 

『織斑君!凰さん!すぐに避難してください!先生方がISで鎮圧します!』

 

 山田先生が慌ててつげる。

 

「先生方がくるまで俺らが足止めします。いけるな、鈴」

 

「誰にいってるのよ。任せなさい」

 

『だめですよ!?織斑くん!凰さん!』

 

 山田先生の声はそこまでしか聞こえなかった。あとから来た四機が一斉にアリーナの一点に腕をむける。そこにエネルギーがたまっていく。

 

「おい、やばいぞ!」

 

 一体に切りかかろうとする俺と鈴だったが、最初に来た一体がそれを阻む。

 

 そして無情にもアリーナのシールドを撃ち破るレーザーが四本一ヶ所に発射された。

 

「グレン!逃げてぇぇえええ!!」

 

 鈴の叫びもむなしくレーザーはアリーナのシールドを撃ち破り、一点に直撃した。

 

「グレン!」

 

 が、そこにはシールドピットを展開し、回りの生徒に余波がいかないようにしている無傷のグレンがいた。

 

 そしてグレンともう一人金色のISを、まとった女性がアリーナに降りる。それに向かってレーザーを撃った四機が襲いかかる。

 

 俺らは一機の相手で精一杯で助けに回ることはできなかった。

一夏sideout

 

 

 

 

イチカside

 レーザーがアリーナのシールドを破った時点で既に私は動き出していた。

 

「マドカ、オータム、避難経路の確保。もし扉がかなかなければ壊して構いません。スコール、突入準備。みなさん!すぐに避難を!」

 

 呆然とする生徒たちのなかから一つの悲鳴が響く。それを皮切りにあちこちで悲鳴が響き、出口に殺到する。が、人が減らない。みると出口の扉が封鎖されていた。

 

「マドカ、扉があかないようです。壊してください」

 

 そしてあらたに四機のISがアリーナに現れる。そして自分の方に腕をむける。

 

「あれの狙いは私ですか。シールドビット展開。私から離れて!」

 

 慌てて動く生徒たち。が、離れきる前にレーザーが発射された。

 それは軽々とシールドを撃ち破り、シールドビットがそれを吸収していく。

 

「ちょうどよく穴が開きましたね。スコール、突入します。一機頼みますよ?」

 

 金色のIS『ゴールデン・ドーン』を、まとったスコールがすぐとなりにくる。

 

「もう一機くれてもいいわよ?」

 

「一機倒したらマドカのサポートを。怪我人一人出さないように」

 

「ふふふ、無茶言わないでよね。さて」

 

 二人はアリーナに降りる。同時に四機がこちらに来る。

 

「兎さんの仕業ですかね?スコール、コアは回収。機体もできたらご褒美です」

 

「必ずやるわ」

 

 あっやる気が上がった。

 

 三機のISが向かってくる。

 

「一夏は二人がかりで一機なのに。そんなに嫌いですか?」

 

 私は二本の大鎌をかまえる。

 

「生体反応なし。私の人型と同類ですかね?『ダークサイズ』」

 

 向かってくる三機とすれ違い様に二機を切る。

 

 6つ(・・)になった二機は完全に機能を停止した。

 

「コア二つ回収。とりあえず入れときましょう」

 

 私はコアを量子変換してしまった。残るは一機。それも既に包囲がすんでいる。

 

「龍たちよ、やれ」

 

 合図と共に残る一機の足が凍りつき、氷ごと燃え上がる。普通の機体なら操縦者が倒れて終了だ。だがこれは無人機。意に介さずレーザーを撃ってきた。

 私はそれをシールドビットでとめる。

 

「終わらせますよ」

 

 私は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で近づく。それを打ち払おうと腕を振るってくるが、それを曲瞬時加速(ターン・イグニッション・ブースト)でかわし、そしてきっちり十個にばらす。コアも回収した。

 

 曲瞬時加速(ターン・イグニッション・ブースト)、それは本来直線でしかできない瞬時加速を円を描くように行う技。体にかかるGの都合で普通は不可能な技だ。私はPICのプログラムを弄ることでそれを可能にした。

 

「スコールは……もうサポートにいってますね。機体も回収したようですし。あとは一夏の方ですか」

 

 ふとそちらを見る。一夏が突撃態勢に、そして鈴は衝撃砲の準備をしている。終わりそうですね。と、そこに聞こえてはならない声が響く。

 

「一夏!男なら、男ならそれくらいどうにかできないでどうする!」

 

 まったくの無防備で放送席にたつ篠ノ之さんだった。

 

 無人機は腕を篠ノ之さんにむける。

 

「箒ぃぃいいい!逃げろおぉぉお!!」

 

 一夏が叫ぶ。箒の後ろからなぜか簪が現れる。

 

「簪!?なぜそこに!?」

 

 無情にも二人にむけてレーザーが撃たれる。簪は『打鉄弐式』を展開してレーザーから篠ノ之さんをかばう。が、それで防げる威力ではなかった。簪はレーザーに飛ばされ私の視界から消えた。

 

「箒!……よかった(・・・・)。無事みたいだ」

 

 一夏がそう安堵していた。無事?篠ノ之さんだけはな。簪は?わからない。なぜ安堵している?簪が見えてなかったのか?いやそんなはずはない。そこで私はあることに行きついた。こいつは|はじめからあそこにいた篠ノ之以外の人の心配をしていなかった《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》だけなのだと。

 

 私は瞬時に二人の相手の機体に肉薄し、コアだけ残し、完全にバラバラにして簪のもとへとんだ。

 

「簪!」

 

 私が放送席につくと、そこには無傷で気絶している篠ノ之と、奥の方で頭から多少の血を流し倒れる放送係の生徒。

 そして、機体がほぼ全壊し全身から血を流す簪だった。

 

「簪!絶対助けてやる!『再生全開』!」

 

 私はISを解除し、『治療能力』で簪と二人の生徒の傷をなくし治療した。が、その疲労ともう大丈夫だという安堵で私も倒れてしまった。

イチカsideout

 

 

 

 

 




どうもコクトーです。
やりすぎました。すいませんでした。


イチカのこの物語における一夏に対する考えみたいなのをまぜてみました。
原作一夏君は違いますよ?たぶん


実際原作のときは放送係の生徒はいなかったのでしょうか?
描写が一切なかったはずなのでわかりませんが。

この先一夏はどうなるのでしょうか?





ではまた次回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。