イチカと一夏の物語   作:コクトー

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イチカと簪と家族

 

 

イチカside

「ん……ここは…」

 

「兄さん!」

 

「グレン!」

 

「グレンさん!」

 

「グレン!」

 

「あれ?みなさん、私はいったい」

 

 目を覚ますと、そこにはマドカや楯無さんらがいた。

 

「兄さんは放送席で倒れたのだ。力のつかいすぎだ。簪と放送係でそこにいた二人の傷をすべて治したんだ。疲労で倒れてもおかしくない」

 

「そうですか…簪は!?」

 

「かんちゃんは無事よ。でも…」

 

「それも時間の問題となりつつあります」

 

 楯無さんと虚さんが答える。

 

「どうゆうことですか?」

 

「実は、打鉄弐式のコアが壊れたの」

 

「それで日本は簪の代表候補生を剥奪。そしてIS学園にコアを破壊した重罪人(・・・)を渡せと勧告してきたわ」

 

「なっ!」

 

 信じられないことだった。

 

「それで学園側は!?」

 

「………上層部の独断でかんちゃんを渡すと話が決まったわ。今必死に抗議してる。でも…」

 

「上層部は話を聞く気がないように思われます」

 

「くそがっ!」

 

 私は壁を殴る。手が少しきれるが気にならなかった。

 

「織斑先生は何て言ってるのですか?あの人なら上層部も少しは」

 

「聞く気がなかったわ」

 

「織斑先生が言っても聞こうとしなかった…」

 

「ねぇグレン、かんちゃんを助けて!私には何もできない…」

 

 楯無さんは悔し涙を流す。最愛の妹を守れない。それが楯無さんにとってどれだけ辛いことか。

 

「方法は二つあります。一つはIS学園の規則の特記事項を盾に押しきる」

 

「それは既にやったわ。聞こうともしなかったけど…」

 

「もう一つは…」

 

「簪を俺の家族に迎えます」

 

「へ?」

 

「それはどうゆう…」

 

「私は私の家族に手を出させないと各国政府に通達しています。それで押しきる」

 

「日本自体を敵にまわす気なの!?」

 

「既にロシアを筆頭に十以上の国に情報を一切渡さないと告げています。それが増えるだけです。それに」

 

 目付きが変わる。

 

「大事な人を助けられるならそれくらい安すぎる。マドカ、俺の携帯を持ってこい」

 

「わかった」

 

「楯無さん、簪と会えますか?」

 

「え、えぇ」

 

「今すぐ行きます。簪はこの話は?」

 

「知ってるわ。今は本音がついてる」

 

「案内頼みます。最悪連れ去ります」

 

「わかったわ」

 

 私と楯無さんで簪の元へ向かう。虚さんと鈴には悪いが寮に戻ってもらった。ここからは危ない可能性もあるからな。

 

 扉を開く。政府のボディーガードらしき人が追い出そうとしてくるがちょっと眠ってもらった。

 

「簪」

 

「グレン!」

 

 簪は私に抱きつく。少し肩が震えている。怖かったのだろう。

 

「簪、今の状況は聞いていますか?」

 

「……うん」

 

「私は簪を助けたい。そこで………私の家族になりませんか?」

 

「ふぇえ!?」

 

「もしなるならこの状況は助かりますが今までの地位はほぼすべてなくなります。代表候補生はもとより……更識の家にはいられなくなります」

 

 その言葉にびくんと震える。

 

「グレン、どうゆうこと?私が更識家の現当主なのよ。更識の家にいられないってどうゆうこと?」

 

「楯無さんが当主なのは知っています。それでも私の家族になる人物はそれまでの家にはいられなくなるんです。現にマドカは本来織斑家の二女。ですがすでにそれはなくなっています。織斑家は現在二人姉弟なんですよ。戸籍も含めて」

 

「私が許可すれば」

 

「更識家の全員を納得させれますか?イレギュラーとも呼べる私の家族となった者をそのまま更識家の人間とすることを。私が裏でなんと呼ばれているか知らないわけではないでしょう?

『人類の敵』『ISを愚弄する者』。そんな存在の家族になることがなにを意味するかあなたならわかるでしょう?」

 

 すこし口調を強めて言う。

 

「簪、どうしますか?私としてはこれはあまりしたくありません。簪の未来を決めてしまいますから…」

 

 これを、受け入れればまともな未来はない。表立ってなにかをすることも厳しくなる可能性すらある。

 

「私は………私はグレンの家族になりたい…」

 

「………本当にいいのですか?断ったとしても私は必ず連れ戻します。他にも方法はきっとあります。それでも」

 

 私の口を簪の唇がふさいだ。

 

「いいの。私が決めたことだから。私は…昔、あなたに助けてもらった。あなたはヒーローなんだなって思った。それから辛いときいつもあなたを思った。あなたは私のヒーローだから。助けてくれるって。さっきも助けてくれた。私にとってヒーローは、あなたしかいない。

……お姉ちゃん、ごめんね。勝手に決めて。こんな私でも……更識家にいなくても……妹だって……お姉ちゃんの妹だって…呼んでくれる?」

 

 簪は涙を流しながら語った。

 語り終わると同時に楯無さんも泣きながら簪を抱き締めた。

 

「もちろん!もちろん!あなたは私の大事な妹!刀奈の妹の簪よ!周りがなんと言おうとそれは絶対変わらない!」

 

「お姉ちゃん…」

 

「かんちゃん…」

 

 二人は泣いた。抱き合ったまま。私はそれをただみていた。

 

 

 

 

 

「グレン、かんちゃんをお願い。見捨てたりなんかしたら死んでも許さないから」

 

「それはありません。家族は必ず守る。それだけは譲れない俺の意地だ」

 

 そこに、携帯をもったマドカが入ってきた。

 

「兄さん、持ってきました」

 

「ありがとうございます。少し電話をするので、お静かにお願いします」

 

プルルルル,プルルルルル,

 

 無機質な電話音が響く。

 

『はい、暮井です。どちら様で?』

 

 私が電話を掛けたのは日本のIS関係を取り仕切る総帥、暮井宗也さんだ。あの人ほど話のわかる人はいない。

 

「イチカ・グレナディーンです。更識簪の件で交渉があります。今よろしいですか?」

 

『更識?代表候補生の子だよな?彼女の件とはなんだ?スパイ行為でもしたのか?』

 

「とぼけないでください。簪の代表候補生の剥奪。ならびにコアを破壊した重罪人として引き渡すようにつうたつしたでしょう?」

 

『どうゆうことだ?私の元には今日IS学園関係はクラス代表戦が暴走ISの乱入により中止になったとしかないが。コアを破壊したとはどうゆうことだ?』

 

「なにも聞いていないのですか?」

 

 どうやらIS学園は色々と隠してるようですね。そして政府も。

 

『今確認している。コアの破壊について教えてもらえないか?』

 

「少々お待ちください」

 

「楯無さん、包み隠さず言っていいですか?学園は隠してることでしょう?」

 

「……かまわないわ」

 

「わかりました。すいませんお待たせして」

 

『かまわないさ。私も今は連絡待ちだからな』

 

「これらの自体はIS学園は箝口令をしいて秘匿しています。他の人に聞かれては困ることです。暮井さんのもとだけでとめてください、あと今誰もいませんか?」

 

『わかった。誰にも言わないでおこう。箝口令とは…。君も話してはまずいのでは?』

 

「私はまだ箝口令を言われてませんから」

 

『いやダメだろう…』

 

「続けます。本日試合中に正体不明の無人ISが五機襲来しました」

 

『無人ISだと?』

 

「はい。うち四機は私が壊したので間違いありません。四機のコアと機体を一機私が回収しました。今後の対応次第で日本政府にコア二つを送ります。未登録のコアなので問題はありません」

 

『この時点でついていけないことがいくつかあるのだが…』

 

「まだここからです。戦闘中、篠ノ之箒が放送室に突如現れ無謀な行動をし、その結果、敵のアリーナのシールドを破るほどの威力のレーザーが放送室を直撃。その際、篠ノ之箒と一般生徒二名を一般生徒二名をかばい簪が負傷」

 

『その生徒はどうなった!?』

 

「無人ISによる怪我はなく命に別状はありません。すでに治療し部屋に戻っています」

 

『よかった…生徒になにかあってそれを隠していたなら大問題だからな。してその行動は?』

 

「戦闘中、放送席に入り込み、そこにいた生徒二名を木刀で殴り負傷、気絶させ、一夏の激励と称してスピーカーで叫びISのレーザーがそこへ発射されました」

 

『続けてくれ』

 

「簪が打鉄弐式を纏いレーザーから篠ノ之箒を庇い機体は全壊、ならびに本人は重症。今は回復しています。ただ、その時にコアが壊れました」

 

『命に別状はないのだな?今そこにいるか?』

 

「はい。簪、少し変わってください」

 

「う、うん。あの」

 

『私は暮井宗也という。簪さん、生徒を守ってくれてありがとう。今連絡が来たがあまりにひどい仕打ちだ本当にすまない』

 

「え、あ、その」

 

『私の目が行き届いていないばかりに…すまない』

 

 簪は突然謝られてとうしていいかわからず困惑している様子だ。そこで電話を私に戻す。

 

「グレナディーンです、簪のことですが、簪は俺の家族になりました。手出しは許しません」

 

『…わかった。すぐに指示を出す。しかし、すでに代表候補生は解除されていた。もう一度戻そうにもすでに代わりとなる人物を決定しているようで戻せない』

 

「わかりました。それでは失礼します」

 

 私は電話を切った。

 

「簪、これからは簪・グレナディーンになります。いいですか?」

 

「うん。その、お願いします」

 

 こうしてあらたに家族が増えた。

 その日は簪をラボに案内し、スコールたちに説明した。そのあとスコールへのご褒美で大変だったがそれは別の話だ。明日からは簪の機体作り。大変ですね…。

 

 こうして夜も更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後私は、無人機を調べるのに時間がかかり、寮に戻るのが遅くなってしまった。決してスコールへのご褒美で遅くなったわけではない!

イチカsideout

 

 

 

 




どうもコクトーです

簪がグレンの家族となりました
これでグレナディーン家の人数が増えましたね
今後何人増えることでしょうか…

これでクラス代表戦は一区切りですね


ではまた次回
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