イチカside
私はシャルルさんの話を黙って聞いていた。そしてこう思った。『ふざけているのか』と。
親の命令?親がいない?特記事項?3年は大丈夫?
ふざけるなよ。
「現…実?」
「まず前提として話しておこう。俺は物心ついたころには親に相手にされなくなっていた」
「「!?」」
二人が驚く。今まで一度も話したことがない話ですからね。
「そして9歳のころには親に捨てられた」
「そんな…」
「でも、俺と千冬姉だって…」
「あなたにはまだ姉という存在がいたでしょう?私には誰もいなかったんですよ。私にとって唯一の友達だった人もこの世界に殺されました。もちろん殺した側は無実。その家族は街から消えていきましたしね」
怒りもいきすぎれば逆に落ち着いてくるもので口調が戻る。そして私は彼のことを思いだす。
「金持ちの、女のわがままのために彼は殺されたんですよ」
「そんな…」
「同情なんかいりませんよ。もう彼のことは吹っ切れましたから。それよりIS学園で行われていることを離しましょうか。まあまずは一夏に関係のあるのことです」
「俺に?」
「つい最近あったでしょう?謎のISの襲撃事件が」
「ああ。でも俺が軽い擦り傷作っただけで怪我人もなくすんだって聞いたぞ?箒も無事だったし」
「怪我人が出なかった?何を言ってるんですか?あなたの言うその篠ノ乃箒のバカな行動によって頭部打撲および出血した放送部の女生徒もいましたし、彼女らをかばって元日本代表候補生の簪はISの絶対防御を突き破られて意識不明の重症。それを私が治療しただけですよ」
「治療して怪我が治ったならよくないか?」
「怪我をしたという事実がある時点で十分に問題ですよ。あなたには問題なくてもね。そのあとのことが重要です。絶対防御を突き破られたときにISのコアが壊れましてね。簪にはIS委員会から出頭せよという命令が下りました」
「でもいってないじゃないか。特記事項があ」
「学園側はそれを受諾しました」
「え?」
「え?」
「学園側は受諾したといっているんですよ。特記事項の件を出してもかわりませんでしたよ。最終的に私の家族になってもらって対処しましたが」
「なんだ、対処できるんじゃないか」パァン!
私は一夏の頬を思いっきりはたいた。
「黙れ。続けます。簪はこの件で完全にこれまでの立場はなくなりました。代表候補生の立場も、更識の立場も」
一夏には更識のことはわからないかもしれませんがというか絶対わかりませんがそのまま続ける。
「では次の話に行きましょうか。これは一夏には関係ありませんが、10、95、137、19。この数字が意味することは分かりますか?」
二人は首をかしげる。
「正解は10か国、95回、137人、コア19こ。私がIS学園に来てから外部に襲われた回数ですよ」
「はぁ!?それはさすがに嘘だろ」
「ここのセキュリティーはすごいって聞いたけど…」
「穴だらけですよ。意図的に作られた」
そう。IS学園のセキュリティーに穴は数か所ある。全ての襲撃がそこから入ってきている。そこを埋めるために学園に進言しても問題はないとしてなにも対応はしない。なにか対処する為のものを置こうにもできなかった。教師部隊が出撃してきて破壊、あるいは回収していくのだ。そのため下手に技術力の高いものは置けない。ラボのほうにつながるものがってはいけないのだ。
「これでわかりましたか?特記事項なんて制度は本来存在しないも同然なのですよ。あなたが何も言われないのは織斑千冬の世界最強ブリュンヒルデの名前があるからですよ」
一夏は完全に黙り込む。
「と、まあこれが結局のところ現実ですよ。一夏には世界最強織斑千冬、私には技術チカラがなければあっという間に実験動物モルモットですよ」
「そこまで言わなくてもいいじゃない!一夏は、僕のために」
「現実を知るためです。しょうがありません。一夏、私が知る『現実』の一部を聞いてそれであなたはどうしますか?」
いろいろ言って怒りも収まってきたころに本題・・に入る。現実なんて私もまだ全然知りませんよ。私の知らないところで日々世界は移ろうもの。私ごときに理解できる道理はありませんよ。
「どうって…」
「シャルルさんの件です。あなたの返答次第で私は動きましょう」
「俺は……………」
「一夏…」
「俺は、シャルルを助けたい」
「どうやって?」
「そんなもんぱっとは浮かばない。でも、3年間の中で必ず助ける方法を考える」
「その前に介入があったとしたら?」
「そん時は俺が追い返してやる」
「よろしい。ならば少しくらいは手伝いましょう」
なにがいいですかね…いくつか浮かびますが…。
「その…ありがとう?」
「グレン、ありがとうな」
「礼を言われるようなことは何もありませんよ。今言われるとしたら非難の声だけですね。とりあえず今は外に話を漏らさないことを徹底しましょう。交渉の材料だけはいくつか用意しますので。まあ使いたくありませんが」
「俺もなんか考えてみないとな…」
「僕も頑張ってみるよ」
「では私はこれで失礼しますね。そろそろ帰らないとマドカに問いただされるかもしれませんし」
私は一夏の部屋を後にした。
その後二人はちょっとしたハプニングがあったり、セシリアさんがご飯を誘いに来てちょっと焦ったり、一夏が篠ノ乃さんとセシリアさんの二つの柔らかいふくらみによって理性をがりがり削られたり、シャルルさんが一夏に甘えたりしたそうですが私には関係ありません。
イチカsideout
一夏side
「それは本当ですの!?」
「はぁ!?あいつが?」
月曜の朝シャルル(男装ver)と廊下を歩いてくると教室から声が聞こえてきた。
「それが本当らしくって学園中この話題でもちきりなのよ!」
「そうそう!優勝したら織斑君と付き合えるんだって!!」
「俺がどうした?」
「「「きゃぁあああ!!」」」
「うわっ!」
集まってた女子たちがばらばらに散る。なんだったんだ?
「ななななな、なんでもありませんわよ!」
「じゃあ私行くわ。じゃあまたね」
残っていた鈴とセシリアも席に戻って行った。なんだったんだ?
俺も自分の席について先生たちを待つ。今日も一日頑張るか。
ちなみに教室の端のほうでは一人の少女、篠ノ乃箒が一人頭を抱えてこう考えていた。
『どうしてこうなった。それは私だけのはずなのに』
と……。
休憩時間になり、俺はダッシュしていったトイレからまたもや走って戻っていた。男子トイレは学内に3か所。必然的にダッシュする羽目に。しかも次は俺の死活問題となりうるIS基礎。まずいとあわてながらそれでいて先日のように『走るな!』と注意されないように慎重に走っていた。
「なぜこんなところで教師など!」
「やれやれ…」
途中の曲がり角の先から声が聞こえる。そっと耳を澄ませる。
「何度も言わせるな。私には私の役目がある」
「このような極東の地で何の役目があるというのですか!」
間違いなく千冬姉とボーデヴィッヒだ。
「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません」
「ほう」
「だいたい、この学園の生徒など一部を除きますが教官が教えるに足る人間ではありません」
「なぜだ?」
「ISをファッションかなにかと勘違いしているような程度の低い者たちに教官が時間を割かれるなど」
「そこまでにしとけよ小娘。見ない間に偉くなったものだな。15歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」
「私は…」
その声は震えている。恐怖なのだろう。力の前に感じる恐怖とかけがえのない存在に嫌われたかもしれない恐怖。
「さて、授業が始まるな。さっさと戻れ」
ラウラは黙ったまま帰って行った。
「そこで聞いている男子生徒、異常性癖は感心しないな」
「千冬姉、ボーデヴィッヒは一体何を」
「気づかれましたか」
「学校では織斑先生と呼べ」スパァアン!
反対の角からグレンも出てきていた。俺だけ叩かれる。
「お前ら、急げよ。走るな…とは言わん。ばれないように走れ」
「「はい」」
俺たちは走り出した。ちなみにグレンも俺とは違うとこのトイレに行っていたらしい。一緒に行けばよかったのに…。
一夏sideout
どうもコクトーです
明久一行よりも先に書きあがってしまった…
はっきり言って自分でもおの話はいまいち納得できてないので後日修正すると思います
ただあくまでそれは予定ですので…
今回の話ででてきたのはあくまでグレンの知る『現実』の一部です
全部は話してませんよ?
次はどこまでいけるかな?
ではまた次回