狙撃手・多々良   作:おべ

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多々良

――パーン

 

 

 

『雷管式36口径』。

そのマスケット銃から放たれた銃弾は、1人の人間、脳天を貫いた。頭部に風穴が開いたそれは、糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちた。

 

 

 

「やっぱいいねぇ。人を殺すのは」

 

 

 

笑みを浮かべる黒髪に黒目の1人の少年は今もなお血が四方八方に広がる死体を眺めながら呟いた。手には愛銃の『雷管式36口径・多々良』、自分の名前が刻まれた得物を手にしている。

 

「だが、人を殺した所でオレが得するわけではねぇ。精々、煩い銃声が耳に残るだけだな」

 

1人愚痴を溢しながら背を死体に向け、その場から立ち去る。道中、愛銃の手入れをするのか、懐から取り出したハンカチで優しく磨いていた。

 

 

 

 

――グゥ〜

 

 

 

 

「腹が減ったな。朝食もまだだし、適度な店で食うとするか」

 

 

腹が鳴った。

 

今日彼が起きたのは朝日が昇っていない、まだ肌寒い早朝。日々の覇気の修行を終え、気分転換、暇つぶしついでに、港にいた海賊を愛銃と共に襲った。敵は弱かったが、打つ時の快感が楽しかったため、黙々と蹴散らした。

 

 

時間が過ぎるのは早いもので気づいたら、海賊達は屍と成り果てていた。全ての死体が頭から花が咲くように血の絨毯ができており、その紅の赤より美しい絨毯に足を踏み入れると、自分がアカデミー賞を受賞した大スターの気分になれた。

 

 

「おっちゃん、飯」

 

 

腹が鳴り、兎に角何か腹に入れたいと思い、近くにある一軒の大きなレストランに立ち寄る。

 

 

『レストラン・ポワレ』

主に焼き魚の評判が良く、海賊にも好評なメシ屋。

 

 

「今が旬のメニューで、それと酒」

 

 

店に入るといそいそと店主が目の前にいるカウンター席へ行き、注文をしながら腰を下ろす。気分的に選ぶ気にならなかったため適当に頼んだ。

 

 

「強ぇな」

 

 

腕枕しながら料理を待とうと思い、頭を預けかけた時、隣に座っている1人の巨体がそう口にした。明らかに多々良のことに対して呟いていたが、意識がこちらになかったためとりあえず無視することにする。

 

 

 

数分して料理と酒が来ると、匂いで分かっていたのか、閉じていた瞼を擦りながら、スタンばっていた。目の前に料理が置かれるとフォークを手にし、その白身魚を頬張る。そして、グイッと一緒に出されているエールを一気に飲み干す。

 

 

「おれんとこの船に乗らねぇかぁ」

 

 

完食するのを見計らってその巨体はこちらに話しかける。視線は相変わらず上の空だが、先程とは違い意識は向けられていた。

 

 

「少しの期間ならいいぞ」

 

 

即答。

 

多々良は最近この街が飽きてきており、後数日したら適当な船に忍び込もうと思っていた。修行が苦というわけではなく、単に面白みが欠けていたことに由来する。それにどの船に乗っても、行き先は殆ど変わらない。ここは偉大なる航路(グランドライン)前半の海、7つのルートの1つ。シャボンディ諸島行きの最後の補給地点だ。

 

 

――ニヤリ

 

 

 

了承したことが嬉しいのか巨体は口角が上げ、景気良く酒を飲み干し、喉を鳴らす。まるでこちらが入ることを見据えていたような表情を浮かべていた。

 

 

 

「少しだけだからな…あんたの()()になったつもりはねぇぞ」

 

 

 

慌てて訂正する。

この巨体が何か勘違いしていると思い、多々良は睨みながら言う。誘われるのは嬉しいが時期的に都合が悪いため、なるべく人様の船に乗りたくない。それと、本能的に此奴が親父になることはプライドの高い多々良にとって侮辱を味わう事を意味し、認めたくないのだ。これが本音ではあるが、表には絶対に出さない。

 

 

 

――グラララ

 

 

 

特徴的な笑い声。

独特な雰囲気を醸し出す者はこの世界では極少数。主に人の上に立つ権利があり、覇気を使いこなせるカリスマ性が備わっている。

 

 

「短い間お世話になるわ。ニューゲート」

 

 

エドワード・ニューゲート。

元ロックス海賊団にしてのちに白ひげ海賊団を立ち上げ世界に君臨する強者。

 

 

「グラララ。オメェがいれば、少しは退屈がなくなりゃぁ」

 

 

お代わりしたエールを飲みながら、嬉しそうに話す。目尻を寄せた表情とは打って変わり、凛々としたやる気に満ちたその瞳は、決意した少年のようだ。

 

 

「あっそ。オレは好きにやる」

 

 

多々良は好きにやる。

何のためにニューゲートからの誘いを条件付きとはいえ、ハッキリと断らなかったのか。決まっている。その方が今後に繋がるからだ。確かにこれから、ロジャーやシキ、ガープ、ゼファーと言った、世界の放蕩者が暴れ、世界の秩序を壊す可能性も否めないが、それ以上に多々良の価値観が最重視される。

 

 

 

多々良は転生者だ。

本来の歴史など妄想した小説に過ぎない。ゴミ屑に過ぎない。所詮、物語を進めるための妄想が大前提の攻略本に過ぎないのだ。そんなキャンパスに描いた絵に、1つの色だけで左右させられる、不可視な歴史とは多々良にとって、都合の悪いもので、絶対にあてにしたくないのが本音だ。

 

 

 

 

「グラララ…好きにやれ。息子は自由だ!」

 

 

 

 

伝わったかは分からないが、多々良の考え方は理解しなくても、それらを重んじる志しはあるだろう。仁義のある、家族を見守れる番人だ。味方にならなくても、邪魔することはない。

 

 

 

――ニヤ

 

 

 

訂正。

絶対に乱入してくる。証拠はないが近い将来、家族を守るという大義名分を掲げて介入してくるだろう。その時は直ぐにニューゲートから離れたい。元々、多々良は原作の大物とは接触したくないのだ。確かに面白そうという感情は否定しないが、だからといって自ら足を突っ込む必要はない。人様の船に乗りたくない以上、変に刺激を与えることは控えなければならない。メリットとデメリットを天秤にかけた時どちらが利益になり得るか。それを考慮して自分が描く未来へ向けて手を動かしたい。

 

 

 

「息子にはならねぇよ。オレは…オレの腕を信じて突き進むだけだ」

 

 

多々良はとりあえず海に出てから、今後の展開について考えてみたい。今は原作から30年前くらいだろう。ロジャーはまだ健在で、海賊王にすらなっていない。それらを視野に入れ、今後のプランを立案しなければ、回りに回ってツケが自分に帰ってくる。それが嫌なため、多々良は極力面倒ごとは避けつつも、自分がやりたいことは躊躇なく実行に移したい。そんなことを思いながら、ニューゲートの背中に着いて行く。

 

 


 

 

名前 綾小路(あやのこうじ)多々良(たたら)

性別 男性

年齢 自称10歳

好きな食べ物 枝豆 そら豆

嫌いな食べ物 トマト 青梗菜(チンゲンサイ)

好きなキャラ ベポ

嫌いなキャラ エース ルフィ

武器 雷管式36口径・多々良

出身 不明

能力 不明

家族構成 不明

懸賞金 なし→不明

 

 

 

 




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