狙撃手・多々良   作:おべ

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レイリーvsガープ

 

 

 

 

 シャボンディ諸島・66番GR

 

 

 

「ガープ中将、起きてください」

 

 

 

「フゥ〜ガァ〜アァアアァア〜もう着いたのか?」

 

 

 

 目をこすり、眠たそうな欠伸を吐きながら甲板に出てくる男、モンキー・D・ガープ。部下のボガードに叩き起こされ、無理矢理連れ出された。

 

 

 

「着いたかじゃありません。もう、1時間前に到着しております」

 

 

 

 

「何!?どうしてわしを起こさんかった!!!」

 

 

 

「子供みたいにギャーギャー騒がないでください。とっくの昔から叩き起こしています」

 

 

 

 出発当初は行き先に待ちきれない子供のように騒いでいたのだが、暫くして、「着くまで起こすな」と言いながら、船室の中に入って行った。その後、シャボンディ諸島が見え始め、部屋へ行くと案の定、毛布をかけず、鼻提灯をつけながら爆睡しているガープ中将がいた。大声で起きないと分かりきっていたため、武装色の覇気を纏った鉄棒でぶん殴る。しかし、寝ていても勘がいいようで、丁重に覇気を纏った腕で防ぐ。そのため、ボガードは諦め放置していた。

 

 

 

「それは良いですから、早く戦って来てください」

 

 

 

「ああ、分かった」

 

 

 

 ボガードが早く行けと言うと、ガープは手を鳴らしながらシャボンディ諸島中枢へと旅立った。まるで遠足気分の筋肉ムキムキ小学生。途中も楽しく寄り道をしたり、お婆さんの手伝いをしたりと社会貢献に勤しむ地域のお巡りさん。

 

 

 

「やっと行かれましたか。私はとりあえず、ここの支部への挨拶を済ませておきましょう」

 

 

 

 溜め息混じりに今後のプランを作成するボガード。やっと問題児が森に放流されたことを確認し、肩の荷が下りる。猛獣が自主的に行っているため、とりあえず問題ごとは発生しないだろうと落胆的な考えを持ちながら、部下を連れ支部へ向かう。

 

 

 

「仮に問題起こしても私に影響はないでしょう」

 

 

 

 最終的に責任が行くのは十中八九、元帥であるセンゴクだ。そのため、胃はキリキリするも、センゴクとは違い余裕がある。苦労人ではあるが、世界政府の相手をしない彼はとても気軽だ。

 

 

 

「その前に一服しますか」

 

 

 

 ポケットから煙草を取り出しながら呟く。

 

 

 

 


 

 

 

 

「酷い目にあった」

 

 

 

 悪夢を見たかのように暗い顔を浮かべ、頭を押さえながら歩く剣士、シルバーズ・レイリー。シャクヤクのお叱りを受けた後、なんとか説得して釈放させてもらった。

 

 

 

「さて、早く多々良くんを見つけなければ」

 

 

 

 釈放条件に多々良を連れて来ることと言われてしまった。連れて来ることができなければ、金輪際あのバーには行けないことになっている。即ち出禁だ。折角の隠居先なのだ。そう簡単に手放すことができないため、渋々了承したのだ。

 

 

 

「やれやれ。久しぶりにあのおっかない姿を見てしまったな。さっさとケリをつけるべきだったか」

 

 

 

 多々良のことを思ってそう呟く。レイリーは今まで多々良との戦闘を楽しんでいた。久しぶりのイキのいい覇気使いに興奮してしまったのだ。敵を殺さないように本気を出すことは控えつつ、危険と思ったら解放する。そんなゆっくりと楽しいその時間を満喫した。結果的に膠着状態になったため、、とりあえずシャクヤクのいるバーに戻ったことが、今回のレイリーにとって愚策に等しく、シャクヤクを怒らせる条件を満たしてしまった。今後二度とやらないだろう。

 

 

 

「はあ〜まずは多々良くんか………うん?」

 

 

 

 早速多々良捜索を開始しようとした矢先、突然存在感を感じさせる覇気を捉えた。多々良の反応かと思い、その存在の方へ見聞色を使いながら足を進めて行くと、見覚えのある覇気を探知する。疑問を持ちながら、さらにそちらへ向かうとそこには幾つとなく拳を交え合わせた怪物、モンキー・D・ガープが手を鳴らしながら、待ち構えていた。

 

 

 

「ブワッハッハッハッ!やはり、レイリーか!」

 

 

 

 海軍の英雄。

 通称、ゲンコツのガープ。昇進の話しは数多あれど中将の座に居座り続ける海兵。悪魔の実は食べてないが、鍛え抜かれた強靭な肉体と覇気により多くの海賊達を豚箱に入れて来た。多くの海賊から恐れられ、市民からは絶大な信頼のあるヒーロー的存在。愛ある自慢の拳骨から放たれる攻撃は多くのものを貫き通し、悪魔の実の能力者ですら勝ってしまわれる。

 

 

 

「で、なぜお主がいる?」

 

 

 

「いや、何…ちょっとばっかし気になってのぅ」

 

 

 

「大方センゴクの手を振り切って独断で来たのだろう」

 

 

 

「なぜ、分かった!?」

 

 

 

「顔に描いておる」

 

 

 

 皮肉まじりに言ってみる。あいにく今のレイリーは少しイライラしている。シャクヤクの件もあるが、それ以上に厄介な奴、主にトラブルメーカーが目の前にいるからだ。

 

 

 

「それで私に何か用かね?」

 

 

 

「ああ。こちらからレイリーが暴れているという報告があってな。それを確かめるために来た」

 

 

 

「本音は?」

 

 

 

「レイリーとやり合える其奴と戦ってみたくてな。多々良だったか?元白ひげ海賊団のようだが」

 

 

 

 模範解答。

 海軍は今回の一件を見逃せないのだろうか。確かに元白ひげ海賊団にいたことを考慮すれば注目はすれど、海軍に不利益は発生してないはず。海賊を仕留め世界に貢献しているのだから問題はない。大方世界政府が動いていることも視野に入れるべきか。センゴクでおそらく止まっていることも考えれば、ガープは知らない可能性もあり得る。ワンチャン、ガープから情報を入手できたらいいなと思いながら、話しを進める。

 

 

 

 

「やはりか。まぁ、今は辞めとけ」

 

 

 

「何故だ!?」

 

 

 

「シャッキーに怒られる」

 

 

 

「シャッキー?」

 

 

 

「いや、忘れてくれ。兎に角、多々良とやり合うな!」

 

 

 

「そうか。なら、レイリー!わしに付き合え!」

 

 

 

「何にだ!?」

 

 

 

「暇つぶしにだ」――ニヤリ

 

 

 

 嫌な予感を覚える。

 今はいち早く多々良を捜索し見つけたいのだ。こんなところで道草を食っている暇はない。だが、ここでガープの提案を呑まなければ、多々良の捜索に支障をきたすおそれがある。ここは大人しく、じゃれ合っておくことにするべきか。

 

 

 

「いいだろう――お先に参る!」

 

 

 

「っあ!ズル!」

 

 

 

 レイリーは腰にある流れるように抜き、鞭のようにしなる居合でガープの鳩尾を狙う。

 

 

 

――ダァッン!

 

 

 

 だが、黒く染まった拳で剣をブン殴る。

 

 

 

「おりゃあああ!」

 

 

 

――スン!ビュシュー!

 

 

 

 豪快に振り回す。

 鍛え抜かれたその肉体を器用に扱い、ダンサーの如く、飛んでくる剣の軌跡を読むように避けていく。

 

 

 

「チッ!その腕貰い!」

 

 

 

「はっ!それは無理な相談だな。オリヤァァァ!」

 

 

 

 六式の1つである〈剃〉を使い間合いを詰め、ガープが振り上げたタイミングに黒く染まったその剣で右脇を滑るように切り抜く。

 

 

 

「そう簡単にはいかんか」

 

 

 

 寸前のところで〈鉄塊〉。

 体の脆い所を瞬間的に防御力を高め、関節の切断を食い止める。覇気で纏っていないため切り傷はついたものの、ガープはピンピンしている。

 

 

 

「ブワッハッハッハッ!まどろこっしい所を狙ってくるな」

 

 

 

「当たり前だ。強者相手に重要なのは関節を狙うこと。英雄であるあんたなら分かることだろ!?」

 

 

 

「そうだな。だがわしはそんな小手先には頼らん!」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 2人には会話しながら戦闘する余裕がある。これはあくまで暇つぶしであり、殺し合いではない。だが、ガープは気分屋だ。いつ、殺し合いになってもおかしくない。そのためレイリーはある意味苦労しながら戦っている。

 

 

 

――ギイイイイン!

 

 

 

 覇気と覇気が交じり合う。

愛あるその拳と銃弾すら断ち切るその劔が交差し合い、その中心から衝撃波が生まれる。空気の流れが大きく渦を巻き、あたりにある葉っぱや土、石ころが舞い上がる。

 

 

 

――ウウウゥゥゥ!!!

 

 

 

 

 音と共にシャボンディ全土に広がり、小鳥達が一斉に飛び逃げ出す。見ていた海賊もその覇気を受けてか、安全な所へ身を隠す。少しだが気絶し倒れている人も見受けられるほどで、その衝撃波の大きさを物語っていた。

 

 

 

「ようやく温まって来たわい」

 

 

 

 

「私は早く終わって欲しいのだがね」

 

 

 

「つれねぇな。ロジャーならいつもノリノリじゃぞ」

 

 

 

「ロジャーと一緒にするな」

 

 

 

 身体が温まり調子が乗って来たガープ。拳にしか纏っていなかったその黒い覇気は右腕全体を覆い被っており、腕一本に命が宿ったかのように錯覚を覚える。

 

 

 

 逆にやる気がなく、早くこの場を後にしたい、レイリー。相変わらず剣は黒く染まっており、ガープ同様に濃密な覇気が包み込むようコーティングされている。内心早く多々良の捜索へ行きたいものの、ガープとの戦闘を楽しみたいのか、笑みを浮かべ、ガープの瞳を覗き込む。

 

 

 

「私から行くぞ」

 

 

 

「ああ。どこからでも来い!レイリー!」

 

 

 

 

 レイリーの一言で殺し合いへと変貌し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

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