多々良の最後の攻撃。
覇気と覇気が擦れ合い拡散爆発を起こしながらその弾丸はロケットの如く突っ込んで来る。同じ覇気同士が喧嘩し合い圧縮された濃密な武装色が一気に膨張しその過程で膨大な覇気を噴射する。
――ゴゴゴゴゴゴ!!!!
大地が震える。
低音の大地と大地がぶつかり合う音。その凄まじい擦れ合う轟音は空気を貫き通し人々の耳に送り届ける。
――ガァァァ!!
――キーーーーン!!!!
覇気が津波の如くお背負い、竜巻の横に寝かせた弾丸が大地を滑るかのように空気の隙間を潜り抜ける。金属が空気と接触し、武装色の覇気が欠け始めた小さい傷が空気と擦れ、連鎖することによりその隙間から小高い音が鳴り響く。
圧力がある。
最大まで引き上げられたその覇気は流れるように弾丸に纏まり、螺旋上に覇気の欠片が喧嘩し合う。覇気と一緒に摩擦熱を起こし消えてなくなる。その過程で膨大なエネルギーを四方八方に噴射し、覇王色の如く、衝撃波という名の突風を巻き起こす。
「わしがやる!レイリーは後ろを任せた!」
「分かった。任せよう」
音よりも速い漆黒の弾丸を目の前にして1人の英雄――モンキー・D・ガープが腕を
レイリーはガープのサポートに徹する。敵の放つ弾丸は通常とは大きく理から外れている。〈梅重〉のような力はあれど単純さ乏しい。複雑で対応に困るまるでロジャーを技として置き換えたかのような破天荒な弾丸だ。生半可な武装色の覇気で受け止めれば、その腕は何処かへと塵となって、風共に運ばれるであろう。それだけにガープを心配になりながらもガープの指示に従い、ガープの背後へと回り込む。
「無理はするな」
「問題ないわい」
濃密な覇気に気が少し動転したのかレイリーはガープが心配になり声をかける。だが、そのガープ本人は高笑いし、問題ないと吐き捨てた。その瞳には恐怖というものが写っていたが、それ以上に多々良に対する好奇心が優っていた。口角を上げ笑みを浮かべる英雄を見てそれ以上ガープの心配はしなかった。
――ゴゴゴゴ!!!
あと少し。
弾丸が届くまであと少しという所で見聞色を大きく展開する。レイリーの役割はあくまでもサポートに徹すること。つまり、実際にその弾丸を封殺するわけではない。ガープの背中を預かりできないことをカバーする。それが後衛としての務め、前衛を指揮支援する指揮官としての役目だ。
「「来るぞ」」
2人の声が重なる。
互いに伸ばした見聞色でその漆黒を捉えた。片方はその片鱗を。片方はその矛先を。まるで落ちることを知らないその粒は彼らの目の前、目で捉えなくても何かが近づいて来るのだけははっきりと分かっていた。
――ギィギィィィィィイイインンン!!!
衝突。
愛ある拳と漆黒を纏う弾丸が正面衝突した。武装色を極めし者同士による攻撃。敵を侵食しようと取り込もうとする
「ック」
レイリーもそれを睨みつけ何もできない自分に恥じる。レイリーは剣術では勝るが、力による相殺は苦手なものとさせていた。普段なら剣でどうにもでもなるのだが、これに関しては白旗である。2日前に相殺した〈梅重〉ならば一考の余地があったのかもしれないが、今回の命がけにおいてレイリーの範疇に留まるものではない。現に目の前にロジャーのような錯覚を覚えてしまうようで、ガープをサポートするといいながらも傍観していてしまった。レイリーはこの時無力でいた。
「レイリー!わしは限界じゃ!」
ガープが吠える。
拳からは血がダラダラと流れ始め、骨は見えないが腕が悲鳴をあげる。武装色の覇気を纏っているとはいえ、その中身は所詮生身の人間だ。身体エネルギーでコーティングしていたとしても、その資本にあたる自分は1つしかなく、枯渇状態になりかければ、自然とその力は弱まるもの。結果、ガープは血が流れるだけに済んでおり、今は大丈夫だとしてもそのうち、それは崩壊し腕が消し飛ぶだろう。
「仕方ない」
レイリーはそう呟きガープの前に立つ。握られている剣に意識を向け次第に黒く変貌を見せる。武装色で覆われたそれは、力ではガープに負けるものの、斬ることに関して上回る。剣を構え今もなお、力を持続させる弾丸めがけて居合を取る。
――ギィッギィッギィッギィッ!!!!
横から叩き斬るように剣を横に寝かせ弾丸に食らいつく。ジャイロ回転した弾丸を横から叩いたことにより、耳を裂け斬るかのような連続した小高い音を鳴り響かせた。一定間隔にある切り込みに剣が当たり、それが連鎖することにより、――ギィィィンンン――という1つの音がレイリーを直撃する。鳴り止まることを知らないかのようで、その音は途絶えなかった。
「行くぞ!」
ガープの掛け声と共に息を合わせる。2人の考えはこの弾丸を封殺するのではなく、その矛先を空へと逃げさせること。被害を最小限に抑えたいことが彼らの本音。ガープは市民のために。レイリーは隠居先のために。
「おりゃああああ!!!」
「ふん!!!」
力を1つに合わせ、弾丸めがけて最後の攻撃。拳に力が入らないガープは無理矢理武装色を身体全体に纏い、弾丸からの圧を分散させる。レイリーは剣が耐えられる限界の覇気を纏い、見聞色で弾丸の弱点となり得る焦点を見つけ、そこ目掛けて力を再度入れ直す。
――ガァァァ!ガァッ、ガァァァンンン!!!
弾丸は進行方向を変える。少し向かう先が天をめがけるように浮き始め、その弾丸は螺旋上に回転しながら噴射しこの場を後にする。だが、思ったようにその弾丸は頑固のようで傾斜は少し上がるだけのようで、目の前に聳え立つヤルキマングローブに飛び込む。突然ヤルキマングローブは手も足も出さないで滅び、その次に生えるヤルキマングローブの先端も同じように塵と化した。
そしてそれを紙屑と化した漆黒の弾丸は空へと消え去り、この場にはその衝撃波として音だけが鳴り響いていた。
「終わったかのう」
ガープが呟く。覇気は既に解除しており、レイリーとの死闘もあってか拳から漏れ出す血は止まらないでいた。顔は青ざめており、気迫は健在であったが、浮かべる笑みは空元気のようだった。
「今手当する」
レイリーはガープと比べてダメージは少ない。あくまでもガープと比べてだが、重症を負うことはなくガープの手当てくらいは可能であった。
「胸が踊ったわい」
「喋るな。手当てが終わるまで」
そう言いレイリーは今やるべきことを急ピッチで進めていく。昔の船にいた船医から教わった方法でで黙々とやり、持参していた包帯でガープを応急処置する。その間、ガープは言いつけを守りそれが終わるまで力を抜き口を閉じていた。
「終わったぞ」
「済まないなレイリー」
「別にいいさ」
「やはり来て正解じゃわい。多々良は大物になるぞ」
「分かっている」
「ブワッハッハッハッ!楽しみだわい。ゲホッゲホッ」
「大丈夫か?」
「あぁ。少し無理したみたいだ。話したいことは山ほどあるが、今は休むことにするわい」
「そうか」
「ボガード!帰るぞ!」
見聞色で分かっていたためボガードを呼び出す。ガープが叫ぶといそいそとボガードが飛び出し、瀕死に近いガープに肩を貸す。
「またな」
「ああ」
別れの挨拶を言いガープはボガードと共に帰って行く。いつもの堂々とした背中ではなく、どこか虚しさがありながらも、やり切った感のあるものであった。
「私は多々良くんの所へ行くか」
見聞色で多々良が瀕死状態に陥っていることを知っている。それはガープよりも悲惨なもので、早く行かなければ生命活動に支障を果たす。そのため、レイリーは大地を蹴り、一刻も早く着くように飛躍する。
「私が一番苦労しているような」
気のせいだ。
苦い顔を浮かべながら今までの出来事を振り返る。このシャボンディ諸島に来てから不運の連鎖が続いている者は間違いなくレイリーであろう。
結果的にヤルキマングローブ全壊、半壊の各一本ずつと、2番GRエリア周辺に大きなクレーター、傷跡を残しこの戦闘は幕を閉じる。レイリーは軽傷。ガープは重傷。多々良はガープよりも酷い状態。
そして、この3人による激しい戦闘は翌日の新聞に大きく取り上げられる。
誤字報告
一さん様ありがとうございます。
やっと終わった。長いんだよ。書いていたら1万字超えるから嫌になって来たわ。分割して出すけどさ。そもそもの話、弾丸1発で大袈裟なんだよね。バギューンって書けばたったの5文字。盛りに持って書くとなんと10000字w。次からは削るか。
次回はとりあえず、平和な話となります。シャッキーとレイリーとかね。そんで、ちゃっちゃっとシャボンディ諸島を後にします。こっから、作者の妄想と偏見でアンチ・ヘイト!パチパチパチパチ!こっから暴れるわ。懸賞金も自由に上げて行きます!