狙撃手・多々良   作:おべ

17 / 30
光月おでんの最期
ワノ国①


 

 

 

 

 

 

 

 

――パーン!

 

 

 

 人を殺す。普段と変哲のない光景。刃向かった者。挑んで来た者。逃げて来た者。捕らえに来たもの。みんな等しくその脳天を撃ち抜いて行く。

 

 

 

 

――パーン!

 

 

 

 海賊を見つけては殺す。覇気を持っていたとして無意味。ただただ貫通が遅れるだけであり、その差は秒に満たない。億越えがどうした。能力に頼りきった者に武装色を纏った弾丸は止められない。

 

 

 

 

――パーン

 

 

 

 海軍を見つけては殺す。将校クラスを一つ一つ仕留める。尉官然り、左官然り、将官然り、全てを平等に瞬殺だ。覇気を扱えない海兵は何もすることなく屍へ化して行く。多々良にとってはただの的に過ぎない。

 

 

 

 

――パーン

 

 

 

 ゴロツキを見つけては殺す。イラついたからから殺す。平和のためではない。ただ、多々良の自己満足による者。彼らが悪いのではない。運がなかっただけ。多々良の視界に入ってしまっただけ。

 

 

 

――パーン

 

 

 

 国の兵士を見つけては殺す。兵士は忠義のある者と暗躍する者、コネで成上ろうとする者、復讐する者。多々良は下らないの一言で銃口を彼らの後頭部めがけて引き金を引く。所詮は一般市民から徴兵された兵士。強者を前に逃げることしか許されない。そして、狙撃手にとって絶好の的。

 

 

 

 

――パーン

 

 

 

 市民を見つけては殺す。基準などない。ただ目の前にいたから。それだけの理由で男女子供関係なく、等しく殺す。

 

 

 

「今日もいい天気だな」

 

 

 

 

 何百、何千、何万と殺しながらも内に秘める心情は空のように自由で清々しい。多くの者をこの銃一丁で殺して来ているが、普段の何の変哲のない光景に笑み浮かべるだけで、亡くなった者の供養など頭にない。日常として、その過程で人を殺しているのだ。態々昨日の晩御飯を記憶しているほど、多々良はそこまで真面目じゃない。ただ人間という生物で今の時間を謳歌しているに過ぎない。

 

 

 

――クゥークゥー

 

 

 

 お日様の下、盗んだ船の上で波に揺られていると鳥の鳴き声が聞こえ出す。寝ていた身体を起こし聞こえる方向へ目を向けるとそこには1羽の鞄を肩にかけた鳥――ニュース・クーがいた。

 

 

 

「新聞を1つ、くれ」

 

 

 

 多々良は代金の500ベリーを渡し新聞を購入する。やりとりが終わると再度、クゥークゥーと泣きながら帰り地平線へと消えて行く。

 

 

 

「どれどれ。うーん、どうでもいいニュースばっかりだな。戦争の記事はあるな。あとで飛び込み参加するか。他のページは天竜人か、興味ねぇな。新世界はどうかな。ビックマムとニューゲートがまた懸賞金上げたのか。うーん。これだけ?モルガンズ仕事してくれよ〜」

 

 

 

 モルガンズに愚痴を零しながらパラパラと巡り面白そうな記事がないかなと探す。少し気になったとすれば新世界の海でビックマムとニューゲートが暴れまわっていることと各国で戦争が続き、それに伴い武器の輸入やお金の流れが大きく変化し激しくなっていること。新世界の猛者は放置するとして、今後の予定に各国の戦争でヒーロー活動、ジェルマ66の真似事でもしようと多々良は新聞を読みながら考える。

 

 

 

「大海賊時代始まってから早4年か。そろそろ、彼奴が死ぬ年じゃねぇか」

 

 

 

 

 新聞に掲載されている年を見て多々良は悪い笑みを浮かべる。海賊王のゴールド・ロジャーが処刑されてから4年。原作開始の18年前に位置する今年はONE PIECEの過去話において重要な回である。それは、光月モモの助の父親にあたる、光月おでんが黒炭オロチの策略に嵌ってしまい、5年裸で踊り続けるも、最終的に『釜茹での刑』に1時間耐え続け、その後銃殺刑により射殺され、亡くなった。自由奔放で大名として責任を放棄するおでんにも非があったとはいえ、おでんが死ぬ日まで市民がおでんが悪というムードを作っていた点において、なんとも哀れなだなと思ってしまう悲しい回だ。

 

 

 

 

「行くか」

 

 

 

 

 多々良は偉大なる航路(グランドライン)後半の海『新世界』にある国、ワノ国へ目指す。今は光月おでんが踊っている頃合い。黒炭系の策略に嵌りトントン拍子でカイドウとの直接対決間近といった感じであろう。多々良はその内容に興味がないと言えば嘘になるが、この世界で自由にやって行く上では、どうでもいいこと。多々良が重要視するのは、その先、光月おでんが敗北した後の話。

 

 

 

 今後を有利に進めるための重要なポジションを得るために、傳ジロー同様に多々良もワノ国で暗躍する予定だ。これはあくまでも予定であって、実現できなければ撤退する。だが、成功すれば今後のビジョンにおいて有利となる。ただし、その行動はある人を敵に回すことになるのだが。

 

 

 

「んじゃ、さっさと行くか!ワノ国へ!」

 

 

 

 多々良は急いでワノ国へ向かう。

 道中、新聞屋に寄りながら。

 

 

 

 


 

 

 

 

「ブワッハッハッハッ!多々良も相変わらずじゃのう」

 

 

 

 煎餅を頬張り事あるごとに笑い出す――モンキー・D・ガープ

 

 

 

「笑っている場合か!」

 

 

 

 カモメ帽子を被るアフロヘアーに三つ編みした顎髭――センゴク

 

 

 

「そりゃぁ、そうだろ。こんな記事見たら笑うに決まっているだろ」

 

 

 

 

 ガープはテーブルに広がっている新聞に指差し笑いこける。

 

 

 

 

『綾小路・多々良!侍を殺しに参る!』

 

 

 

『倆紅の多々良!カイドウを撃つのか!?』

 

 

 

『連続殺人の真犯人!それは――』

 

 

 

『白ひげ海賊団が不穏な動き!?』

 

 

 

 

 

 

 

 これはつい先日刊行された世界経済新聞の記事であり、内容からして多々良本人に加え社長のモルガンズが大きく関わっていることが伝わって来る。記事の内容はとてもシンプルなもので、鎖国を貫いて来た国――ワノ国に踏み込み、そこにいる侍を倒すというもの。また、在住している百獣海賊団に挑戦するという記事もあることから、四皇の座を狙っている可能性があると推測できる内容であった。

 

 

 

「ワノ国か。侍が強く近づけない国だったか。彼奴は何をしようとしているのやら」

 

 

 

 侍。

 ワノ国の力の根源ともされている武力に特化した者たち。強すぎるため世界政府の軍隊すら立ち入れない強国とされており、長い間無干渉状態であった。

 

 

 

 

「それは私としても分からん。唯一分かるのは喧嘩を売りに行くということ」

 

 

 

 記事にはカイドウというパワーワードを使用した。ロックスを知る者であれば、多々良がやろうとしていることについて、勝手に思い込んでくれるだろうという希望的観測。それだけでは足りない可能性もあるため、モルガンズに白ひげ海賊団の動きを濁すような表現で書くように依頼した。これができたのも、多々良が元白ひげ海賊団の隊長だったことが大きい。

 

 

 

「上は何か言っておったか?」

 

 

 

「いや、特になしだな。五老星からの具体的な命令は今のところない」

 

 

 

 今のところ。

 現時点において不干渉。傍観はするが基本行動を起こさないのが世界政府としての立場。だが、何か有事、隙が生まれた場合にはサイファーポールを通じで介入することになっている。これに関して、海軍側の人間で知っている者は、元帥を務めるセンゴクと世界政府全軍総帥である、元海軍元帥のコングのみである。

 

 

 

「わし、行っ――」

 

 

 

「ダメに決まっているだろ!!!」

 

 

 

 入り口のドアの前に先回りして叫ぶ、仏のセンゴク。今までの教訓を駆使して今回は何としても絶対に野放しにしないという気迫が感じられる。

 

 

 

「――え、まだわし言っておらんが」

 

 

 

 

 とぼけるように口にするガープ。どこか上の空だが頭に手を乗せ、あ、バレた?という表情。どう見ても隠す気がない。

 

 

 

 

「言わなくても分かる!お前の頭の中くらい!」

 

 

 

「な!?今馬鹿にしたやろ!」

 

 

 

「否定はしない!だが、これだけは言っておく!お前に振り回されるこっちの身にもなってみろ!!!」

 

 

 

 苦労人が今までの鬱憤を吐き捨てる。苦労人は毎日のように海軍の英雄と言う名の問題児から煮汁を飲まされているのだ。日々の海軍の仕事に追われ、海賊の対応に追われ、世界政府の対応に追われ、センゴクは既に疲弊しきっており、ガープに割く時間はない。そのため、次から次へと問題ごとを引っ張りだすガープには日頃からのイライラもあってか、今日のセンゴクは疲れきった顔を浮かべながらも、怒りを(あら)わにした。

 

 

 

 

「兎に角、今回は絶対に行くな!」

 

 

 

「分かった。分かった。今回は我慢するわい」

 

 

 

 今日のガープは普段よりも大人しい。ガープとてセンゴクの怒り具合を把握しているため、これ以上油を注ぐと今後に支障をきたしかねない、そこで今回は大人しく頷き書類整理に勤しむことを決める。まぁ、保証はしないが。

 

 

 

「今日はどんな手でも使ってお前を逃がさん!」

 

 

 

「え?わし信用されておらん」

 

 

 

 海軍の英雄になったとはいえ、同期から信用は皆無に近い。海軍本部の日常はいつも平穏である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワノ国・おでんの過去編スタート。多々良は何をしでかすのか。とりあえず、自由に行きますけどね。

オハラはとりあえず放置。別に過去編とかでやればいいし。今はワノ国で忙しくなると思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。