狙撃手・多々良   作:おべ

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ワノ国④

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花の都

 

 

 

「まだ、雨か」

 

 

 

 雨が降り続ける。ポツリポツリと唸れているような淡い雨。黒く厚い雲で覆われ、降り止むことはない。かれこれ3日間、カエルの鳴き声は賑やかで、合唱を聴く毎日。

 

 

 

「お出かけやすか?」

 

 

 

 叩いた晦日(かいじつ)を待つ、謀反人。

 光月おでんにその家臣9名がいるであろう、羅刹町の牢屋敷近くにある旅館の一室で2人の男女は雑談を交わす。

 

 

 

「少し、外へ出る出て行く。茶々良も来るか?」

 

 

 

「私も行きやす」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 今日は肌寒い。

 この町に来てからではあるが、三日三晩続くこの自然の雫は流石に参る。最初から分かっていたことであるが、いざそこにいるとなると、気持ちも次第に変化するもの。当初は問題なくとも心の変化というものは簡単に止められるものではない。

 

 

 

「茶々良、準備できたか?」

 

 

 

 黒く厚着の南天模様の入った、茶々良の髪の毛と同じ浅葱の羽織りに、藺草(いぐさ)を綾織りに裏に絹布を張って作った被り傘を被る男性――多々良。背中には愛銃の雷管式36口径・多々良が風呂敷に包まれ大事そうに持ち歩いている。

 

 

 

「少々お待ちを」

 

 

 

 赤みがかった菖蒲(あやめ)の花を連想する藤色、杜若(かきつば)と菖蒲が寄り添い合うように連立する刺繍の入った子供サイズの着物。髪の毛は整えられ、月白の(かんざし)が嵌められ(こうがい)も綺麗に添えられている。

 

 

 

「傘は?」

 

 

 

「こちらの編笠を使うやす」

 

 

 

 雨具対策を見受けられなかったため訊いてみると包み袋から1つの半月形に二つ折りされた折編笠を手に取る。それを簪の付けた髪の毛の上から装着しようと試みる。しかし、簪が邪魔しているようで、渋々その月白の簪を取り外し懐にしまう。

 

 

 

「準備できやした」

 

 

「そう、なら行くぞ」

 

 

 

 まだ雨が降る中2人の男女――いや、2人の親子は地面に会え凌ぐ水溜りを避けつつ目的の地へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

――白舞・刃武港

 

 

 

河川ではなく森の獣道を長らく進み、町に出て暫くして、大きな港が見えて来る。花の都の中心街から離れ、ここは白舞の刃武港。多くの黒い船が船舶している。形は違えど掲げている旗の模様は同じで、2本の角を生やしたいドクロマークであった。

 

 

 

百獣海賊団。百獣のカイドウが船長を務める実力至上主義の海賊で、今現在黒炭オロチと協力関係を築いており、ここから近い鬼ヶ島を海賊の本拠地として根城にしている。のちの話であるが、シーザーによるSMILEの開発により動物系悪魔の実の能力者を多数保有し、四皇の中で武闘派と呼ばれる海賊団となる。

 

 

 

「おい!貴様!ここから先は立ち入り禁止だ!」

 

 

 

 屈強な筋肉ダルマ。顔は悪人ヅラ、両手には剣が握られ、多々良を脅するように間合いを詰めてくる。

 

 

 

「あんたらのボスに用がある」

 

 

 

 多々良の目的はカイドウ。黒炭オロチでも良いのだが、海賊として通じるのはカイドウのみ。強い奴は歓迎のスタンスを取るカイドウならば、多々良の企む商談も円滑に遂行できるであろう。それに今接触する事で協力関係くらいは築きたいというのが本音。これにより、自然な流れでオロチの下へつける。

 

 

 

「アゥゥン?オメェみてぇな青二才がノコノコ会えると思うなよ!」

 

 

 

 中指を立てながら煽る。ニヤつき、その白い歯を見せびらかす。

 

 

 

「お!綺麗な嬢ちゃんがおるぞ。俺と遊ばねぇか。グヘェヘェ!」

 

 

 

 獲物を見定めた瞳で多々良の横に聳え立つ茶々良を舐め回すように見て行く。ゲスい顔を浮かべており、次第にどんよりとした空気が流れ始める。

 

 

 

「オレ達は先を行かせてもらおう」

 

 

 

 目の前の筋肉ダルマ含む百獣海賊団の下っ端連中を無視して、百獣海賊団の船には乗り込もうとかけられている階段に足を踏み入れる。

 

 

 

「オオィ無視すんじゃねぇ!マジでブチ殺すぞ!」

 

 

 

「わ!離れろやす!」

 

 

 

 多々良は腕を掴まれ、後ろに続く茶々良は軽々と持ち上げられる。

 

 

 

「チンピラ風情に用はねぇ。オレ達は君たちのボス、カイドウに用がある。痛い目を見たくないなら、さっさとその手を離し、オレの前から消え失せろ」

 

 

 

 威圧をかけながら吐き捨てる。こんなところで油を売っている暇はない。

 

 

 

「テメェ…」

 

 

 

 筋肉ダルマは冷や汗をかきビビっているようだが、寸前で踏み止まり、こちらを睨みつける。取り巻き連中に捕えられた茶々良は多々良の圧力に負け、腰を抜かしていた。捕まっていた茶々良はトコトコと戻って来る。

 

 

 

「殺す」

 

 

 

 宣言と同時に多々良の頭部目掛けて左右に持っている剣を振り回す。だが、その全ての攻撃を見聞色の覇気で優雅に躱し、一本も当たらず、疲れて来たのか次第に筋肉ダルマはガス欠状態。へばり始め最初の威勢が消えていた。

 

 

 

「なんで、当たらねぇ。クソが」

 

 

 

 イライラしながらも多々良に向けるその殺意が篭った視線は継続している。疲労でも心は死んでないようで、こちらの次の行動を伺うような臨戦状態。流石百獣海賊団にいるだけあって、その度胸は据わっている。

 

 

 

「やめておけ」

 

 

 

「――死ねぇ!」

 

 

 

 パーン

 

 

 

 筋肉ダルマの後ろに控えていた1人の部下が不意をついて多々良に銃口を向けた。その後、引き金を引き、その発射した弾丸は多々良の顔面部を直撃する。だが、血を吐く事はなかった。 着弾寸前の所で武装色の覇気を纏い、その攻撃から難を逃れた。

 

 

 

「なんで、無事なんだ!?」

 

 

 

「知るか!上に報告しろ!」

 

 

 

 海賊ごっこしているチンピラ風情が慌てふためきながら、あれやこれやと報告しに行く。

 

 

 

 

――バッサバッサ

 

 

 

 しかし、向かおうとした矢先、1人の巨体がその場に空から降りるように姿を現わせた。

 

 

 

 全身黒尽くめ。背中に黒い翼と湧き出すように燃える炎。顔を仮面で覆い隠す、腰に刀をかけた剣士――火災のキング。動物系古代種の悪魔の実である、リュウリュウの実 モデル プテラノドンを食べており、変身後、プテラノドンの姿に変貌し自慢の凄まじいスピードで飛行し攻撃する。

 

 

 

「おい…テメェら騒がしいぞ」

 

 

 

 トーンの低い声で呟く。声はチンピラの方へ向いているが意識は多々良の方を向いていた。

 

 

 

「倆紅の多々良だな。シャボンディ諸島の件は耳にしている」

 

 

 

「火災のキングか。丁度いいカイドウの所へ案内しろ」

 

 

 

「普段ならNOだが、こちとら時期が悪い。ささっと用件を済ませるんだな」

 

 

 

 殺気は溢れながらも今は戦う気はないらしい。国乗っ取りの件で忙しいだろうし、余計な面倒ごとで計画をご破算にしたくない。

 

 

 

「こっちだ」

 

 

 

 港の中でも1番頑丈そうな船に親指で指差すキング。

 何かしらの支障をきたして、カイドウに迷惑をかけたくないキングはさっさと多々良の案内を終わらせたい。

 

 

 

「オレ1人でも行けるぞ。鬼ヶ島にいるんだろ」

 

 

 

「いる。だが、1人で行かせたとあったら、風潮が悪くなりかねん。こちとらプライドがある。仕事1つまともにできねぇのはこの海賊団にいらねぇ」

 

 

 

「そうか。なら、黙ってキングについて行くよ」

 

 

 

「ふんっ」

 

 

 

 カイドウの居場所は分からないが、明らかに鬼ヶ島の方から強力なエルルギーを感じる。おそらくカイドウ本人であるため、キングが来なければ勝手に多々良は向かおうと考えた。キングも分かっているのだろう。どうなろうが、多々良とカイドウが接触するという未来は変えられない。少しでも穏便に済ませるためにも、キングは案内役に買って出た。

 

 

「今日のカイドウの機嫌は?」

 

 

 

「良くも悪くもねぇ。しいていうならばオロチのせいで酒癖が悪いくらいだ」

 

 

 

 頭を押さえながらカイドウの機嫌を語るキング。仮面をつけ中の表情は分からないものの、手を動かす仕草からして、荒れていることが伺える。その原因がオロチということもあって、百獣海賊団は何もできないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

――ゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

 

 

「今会ったら、即戦闘か?」

 

 

 

「ああ。先程、クイーンの屑がそれで伸びてた」

 

 

 

 鬼ヶ島から視線を逸らさずにキングに訊く。キングはその多々良の射抜くような睨みつける瞳を横に疑問を持ちながらも、聞かれたことを口にする。しかし、何も多々良は反応しない。そこでキングは多々良が見ているであろう、視線の先へ目を細めて見るとそこには――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――青い龍。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巨大な和風の青い龍――百獣のカイドウがこちらの船に近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウオロロロロロロロロ!!!!!!キング…テメェ…探したぞ!!!!!」

 

 

 

 

 キングを睨みつけるようにその空飛ぶ蜥蜴は吐き捨てる。それと同時にキングの顔は仮面越しに青ざめた。

 

 

 




vsカイドウ!楽しみ。

昨日の投稿まじすまん。説明文系書かないように意識してるんだけど。
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