――バナロ島
「…おお…エース……隊長…!!!」
"黒ひげ"こと、ティーチがおれを見上げそう口にする。
「よせ…今更"隊長"なんて……馬鹿にしてやがる…」
「…ほうあなたが、かの"火拳のエース"」
ラフィットもティーチに続き、確認するように伺う。
「ああ…そうだ…よろしくな
…オメェも立派に船長やってるんだろ。"黒ひげ海賊団''マーシャル・D・ティーチ船長」
「ゼハハハ…何だよエース久しぶりだな!どうしたんだ!?何故、ここが分かった?」
おれはオメェの笑い方が好すきだぜ。この臨場感…ゾクゾクする。
「ティーチ…不要な問答はやめようぜ。さっさと、本題に入ろうか」
「…ああ…分かった…じゃあ…一つだけ話をさせてくれ。
エース!!お前仲間にならねぇか!!おれと一緒に世界を取ろう!!!
手段は全て計画してある!
''白ひげ'の時代はもう終わりだ!!!
まず手始めに…この先のW7ウォーターセブンにいる''麦わらのルフィ''をぶち殺して政府への手土産げにする!どうだ!エース!」
ここまで原作通どおりに進んでいる。
だが、ここから先は未知の領域だ。本来の歴史を外れ、誤ちの連鎖が続く、先行きの見えない、長いトンネル。不安はある。それでも、おれは、いや、オレは――
「いいぜ…オメェの仲間なってやる」
黒ひげの元で生きることに決めた。
「!!??」
「どうした?何に驚いていやがる」
「ゼハハハ…それは親父を裏切ると見ていいんだな?」
「そう…言ってるだろ。それと、既に裏切ったオメェに言われたくねぇ」
「ゼハハハ…ゼハハハハハハ!!!よーし!お前を黒くろひげ海賊団''副船長''に任命してやる!!!一緒に白ひげを、いや世界をひっくり返してやろうぜ!!!」
ティーチが組めとばかりに手を差し出す。それに応えるようオレもティーチの手を固く握りしめる。
「ああ。以後宜しく頼む」
オレは悪い笑みを浮かべた。
「ウィッハハハハハァ!!こりゃあ…大事件だ!」
――両手を空そらに挙げ、叫げぶ者
「これも…運命か。想像以上に世界の煉瓦が崩れてく」
――海の地平線を眺め、未来を見据える者
「ハァ…ハァ…人生…なんどきも…予想がつかん」
――死にそう顔で今にも落馬しそうな者
「ホホホホ。これはお先が楽しみです。忙がしくなりますよ」
――ステッキ片手にステップを披露する者
ティーチの仲間達たちが思い思いにエースを歓迎する。
「よっしゃああ!今日はエース入団祝いに飲ぞ〜!ゼハハハ…ゼハハハハハハ!」
「まだ…陽は…高いぞ…ゲホッ」
「気にすんな!エースが加われば1万力だ!」
その後、エースを囲い陽が昇るまで飲んだ。
――全員、酒に溺れた
――港へ向う道中
「それで…どーするんだ?船長」
本来とは違う歴史を歩み、これからのティーチの動きが分からないオレは直接本人に訊いてみる。
「ああ…だいぶ計画は変かわってしまったが、これからW7へ向おうと思う」
ルフィを捕えに行くのか。だが、W7に海軍が来ているはず。それも、英雄の――
「――ガープ」
「ん?」
「"海軍の英雄''海軍本部中将の''伝説のガープ''がW7に来きているはずだ」
「マジか!?」
「ああ。オレがお前を追いかけてた時、ブルドックの艦隊をシャボンディ諸島近海で追い越した。おそらく、W7に向かっていたんだろ」
可愛い孫まごに会いたいが為に理由をつけて来たのであろう。今頃、海軍本部ではセンゴク元帥が『ガァーープーー』と叫けび散らしているのであろう。
「どうします?船長」
オレが『W7にガープが来ている』という情報を伝えるとティーチは急に進めていた歩を止め、腕組みしながら考え出す。ラフィットも同様に頭を悩ませる。
「ルフィはおそらくシャボンディ諸島に向うはずだ。そこで捕まえたらいいんじゃないか?」
「それは愚策かと思いますよ。あそこは、海軍本部に近い。それに天竜人もいますので刺激を与えかねません」
「最悪…大将か」
「ホホホホ。その通りです、副船長」
「ハァ…どちらにせよ…海軍本部中将以上は免がれないか…ゲホッ」
ドクQが血を吐きながら、ど正論を口にする。どちらにしろ、海軍の厄介になるんだ。政府への手土産が無い今、リスクは低い方が良いに決まっている。
「ウィーハッハッハ!どーすんだ!?船長!」
「よし!シャボンディに向かうぞ!さすがにガープ相手は酷だ!まだ…懸賞金はついてねぇが…立派なお尋ね者だ!シャボンディでどさくさに紛れるぞ!」
シャボンディ諸島に決まりか。
さすがにオレもガープの相手だけはしたくねぇ。
「ホホ。その方が賢明ですかね」
「ああ。それに今の時期だと…億超えルーキーがわんさかいるからなぁ…そうだろ?保安官さんよ〜」
「ホホホホ。よくご存知ですね。それとよく調べなさってる」
「そりゃそうだ…和の悪魔さん。家族の後始末は大変と聞く」
「ホホホホ。そこから先は藪ですよ」
「そうだな。ここで引くとしよう」
ラフィットは笑って応えるが、目は笑ってない。これ以上の発言は危険と判断し話しを打ち切る。その方が互いのためだろう。
「ゼハハハ…オメェら知り合いか?」
ティーチが興味を持ったのか乱入して来た。
「いや…知り合いじゃねぇ…今回が初めてだ」
「ホホ。初対面ですよ」
「そうか。だが…因縁があるなら早めに落とし前をつけとけよぉ…同士討ちになっても困る!」
「それはでいじょぶだ。なぁ…ラフィット」
「ええ。問題ありません」
「そのピリピリ感好きだゼェ。血がたぎるのはいいことだ。これからも宜よしく頼むゼェ…ゼハハハ…ゼハハハハハハ!!」
「ウィーハッハッハ!緊張感があるのはいいことだ!だが…その殺意をおれに向けるのだけは勘弁だぞ!」
「これも巡り合わせか……壁がある故に火花が激化するのであろう」
「ゲホッゲホッ…たまには…これも…悪くねぇ。ハァ…ここはひとつ…林檎で占なうか…ガバァ」
周りのギャラリー達が好き放題に言いやがる。だが、原作情報で突きラフィットの反応を見て楽しんでいたのは事実だ。
少し険悪ムードにその場の雰囲気でなりかけたが、本質的にオレとラフィットは殺し合うような関係じゃない。それを分かった上での揶揄い。別に身内で戦争が勃発してもティーチなら笑って許してくれるかもしれない。親父ほどまで行かずとも、野望を突き進むという感情を共有をしている点を鑑がみれば、昔より居心地はいい。
オレはこういう生き方も悪くねぇと思う。