【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

103 / 107
100話_終わりの始まり

シュネー雪原の氷雪洞窟を攻略後、新たに修得した概念魔法のテストを兼ねて開発、一行のヴァスターガンダムに組み込まれた『WARP(何処へ行こうと逃がさない)システム』を用いてエヒトルジュエがいるとされる世界――神域へと突入したハジメ達、彼らの専用機は、先に投入されてガーランドを滅亡させた幸利のディカブリIJと同じく、劇的な変貌を遂げていた。

ハジメのアヴグストは、半分くらいが青に染まった装甲、その所々から棘が飛び出したように多数装着された緑色の剣型遠隔攻撃兵器…機動戦士ガンダムAGEにおける三代目主人公キオ・アスノの後期の専用機『ガンダムAGE-FX』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・アヴグストFX』に。

香織のアクチャブリは、変色によってトリコロールカラーと化した装甲、背部から天使の翼の様に生えた2対のウィングパーツ…機動新世紀ガンダムWシリーズの完結編であるEndlessWaltzにおける主人公ヒイロ・ユイの専用機『ガンダムウィングゼロカスタム』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・アクチャブリWZ(ウィングゼロ)』に。

雫のナヤブリは、アクチャブリWZと同じくトリコロールカラーと化した装甲、右肩に装備された、多数の剣型遠隔攻撃兵器をマウントした馬鹿でかい盾型パーツ…機動戦士ガンダム00シリーズの劇場版であるA Wakening of the Trailblazerにおける主人公、刹那・F・セイエイの専用機『ダブルオークアンタ』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・ナヤブリDQ(ダブルオークアンタ)』に。

優花のフィブラリは、黒く巨大化した肩部を始め所々変色した装甲、その黒い肩部装甲の背後に新設された巨大なリフレクター…機動新世紀ガンダムXにおける主人公ガロード・ランの後期の専用機『ガンダムダブルエックス』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・フィブラリDX(ダブルエックス)』に。

ユエのイユニは、外部装甲がトリコロールに、内部装甲が金色と化したカラーリング、背部に翼の如く4対装着された遠隔兵器…機動戦士ガンダムSEEDシリーズにおける主人公キラ・ヤマトの、SEED Destinyにおける後期の専用機『ストライクフリーダムガンダム』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・イユニSF(ストライクフリーダム)』に。

シアのシンチャブリは、所々が赤と黄色に染まった装甲、腰部に尻尾が生えたかの如く装着されたワイヤーブレード…機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズにおける主人公、三日月・オーガスの専用機『ガンダム・バルバトス』の最終形態『ガンダム・バルバトスルプスレクス』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・シンチャブリBR(バルバトスルプスレクス)』に。

そしてティオのアプリエルは、トリコロールカラーに黄色の4色がバランス良い配色で染まった装甲、肩部に装着されたエネルギー発生装置…機動武闘伝Gガンダムにおける主人公ドモン・カッシュの後期の専用機『ゴッドガンダム』を模した姿『ヴァスターガンダムペレストロイカ・アプリエルGD(ゴッド)』に。

所謂アナザーガンダムと呼ばれる、宇宙世紀ではない世界線での物語中における主人公の最終専用機を模した姿と化した8機のヴァスターガンダムは、エヒトルジュエがいるであろうエリアへの道をゆっくりと、だが着実に進んでいた。

その間に眷属等の襲撃があるかと警戒を怠らなかった一行だったが、どうやら向こうは本拠にて万全の準備を整えて迎え撃つ積りなのだろう、何事も無く最奥のエリアに、白一色の世界に辿り着いた。

 

『ようこそ、我が領域、その最奥へ』

 

そんな一行を出迎える様に響き渡る声、その直後、舞台の幕が開くかの様に空間が歪み、何かが姿を現した。

 

「デカァァァァイッ説明不要!」

「何なんですかあの丸太みたいな足?というかどう見ても足じゃないですよねあれ、別の目的で取り付けられたパーツですかね?」

「図体の割に頭が小さいのう、殆ど身体に埋まっておるではないか」

「へぇ。目には目を、歯には歯を、MSにはMSをって事かしら」

「まああれはMA(モビルアーマー)だけどね、正確には本体であるMSにハル・ユニットというバカでかいガワを取り付けたものだけど」

「さしずめ私達を召喚した時みたく、宇宙世紀の世界に転移魔法陣を展開して盗み出したって事だね」

「袖付きの連中も散々だな。状況打開の為の切り札を、アナハイム・エレクトロニクス社の協力も得て折角作り上げたのに、こんな奴にパクられるんだからな」

 

大聖堂に掲げられた絵やミレディ達解放者達からの情報から人間の様な姿形を想像していたハジメ達、だが現れたそれは色んな意味で違う存在だった。

ヴァスターガンダムの6倍近くの体高を有する深紅の巨躯、だが頭部は身体と比べて不自然な程小さく、ティオの言う通り身体に殆ど埋まってしまっている様に見える。

脚もシアの言う通り丸太の如き円柱、その底部に取り付けられたロケットの噴射口から足パーツというよりはブースターパーツと言った方が正しいだろう。

異様なものとなっているのは上記2か所だけではない、両肩の肩甲骨に当たる部分は腕と比べて明らかに発達しており、それ故か細く見える両腕、その先にある筈の指は大砲の砲身にしか見えなかった。

上記の様な明らかに不自然な部分はあれど人型に、MSに見えなくもない外見のMA、それは、

 

「…ネオ・ジオング。

ガンダムUCにて本体MSを担っていたシナンジュには確か新世代型サイコフレームが搭載されていて、それには魂を保存する力があると見聞きしている。成る程、ネオ・ジオングに乗り込むのではなく、シナンジュのサイコフレームに己の魂を宿す事でそれその物を、それを通じてネオ・ジオングその物をも貴様の新たなる肉体としたのか」

 

ネオ・ジオング。

機動戦士ガンダムUCにおけるラスボスで、ネオ・ジオンの残党で結成された武装組織『袖付き』の首魁であるフル・フロンタルが最終決戦において登場したMA、というより優花の言う通り本体MSにMA型の外装を取り付けたものと言った方が分かりやすい巨大兵器である。

エヒトルジュエが乗り込んでいると思しきそれには作中と同様その本体MSに、フル・フロンタルの専用機であるシナンジュが使われているが、そのシナンジュにはサイコミュと呼ばれる制御システムの機構を組み込んだ構造部材サイコフレームが用いられており、そしてサイコフレームの驚くべき特徴として、魂を保存する能力があると作中では描写されており、機動戦士ガンダムNTにおいてはサイコフレーム採用機であるフェネクスのパイロットで、作中のヒロインであるリタ・ベルナルの魂がサイコフレームに保存される形でフェネクスと一体化していた。

尤もガンダムNTの主人公ヨナ・バシュタは「意識が残っているだけで、命ではない」、ラスボスのゾルタン・アッカネンは「抜け殻、影の様な物」とその生存を否定しているのだが…

ともあれエヒトルジュエはその特徴を有したシナンジュに、その外付けユニットであるネオ・ジオングに目を付けて宇宙世紀の世界から強奪、己の肉体として見せたのだろうとハジメは推察した。

 

『如何にも。何やら貴様、我による神子の肉体掌握を阻まんとアーティファクトに細工をする等と無礼な真似をしていた様だが、全くの無駄骨だったな。今までそんな物を必死になって追い求めていたのがバカバカしくなる程の器を手に入れたのだからな、うん?』

「貴様が何を持ち出そうと、それこそ何になろうと関係ない。僕達は貴様を討伐する、それだけだ」

 

そんなハジメの推察を、余りにも上手く出来過ぎたと言わんばかりな尊大な口調で認めつつ、ハジメが施したとある対策の無意味さを嘲笑した。

実を言うとハジメは、ユエの正体を、それに関連するエヒトルジュエの狙いをディンリードの映像を通じて知った後、それを阻止すべくユエのISに細工を施していたのだ。

だがその細工もエヒトルジュエがシナンジュ、それを本体としたネオ・ジオングという新たな肉体を見つけた事で空振りとなった、それをモノアイだけの顔なので分からないがどや顔を浮かべているであろう様子でバカにするも、ハジメはそれに動じた素振りを見せず、己の決意を口にするのみだった。

 

『おっと。貴様らの相手が我だけだと思ったか?だとしたら大間違いだ。出でよ、我が使徒達よ!』

 

だがハジメ達が相手せねばならぬ敵は、ネオ・ジオングと化したエヒトルジュエだけでは無かった。

誰かを呼び出すべく右手を掲げるエヒトルジュエ、それに応じるかの様に、

 

「ネオ・ジオングの、軍勢…!」

「いや、あのモノクロなカラーリングはⅡネオ・ジオングか!」

 

ネオ・ジオングと化したエヒトルジュエと殆どそっくりな姿形、一方で深紅のネオ・ジオングに対してモノクロなカラーリングのMA、ガンダムNTの最終決戦においてゾルタン・アッカネンが搭乗したⅡネオ・ジオングが、二十機は下らないと言って良い軍勢でエヒトルジュエに追随する様に出現したのだ。

 

「その本体もガンダムNTと同じくシナンジュ・スタイン、それにも新世代型サイコフレームが搭載されているとなれば、眷属の魂を其処に宿して肉体とさせた訳ね」

「であろうな。妾達の様に扱いを心得ておるならまだしも、彼奴等に左様なノウハウがあるとは思えん、ならば己の肉体にして直接動かした方が合理的じゃからのう」

 

そのⅡネオ・ジオングに今現在搭乗しているのは誰なのか、仮にそうだとしてどうやって動かしているのか、その訳はエヒトルジュエという前例もあってか一行は直ぐに把握できた。

そう、エヒトルジュエは自らの魂をシナンジュに宿した様に、其々のⅡネオ・ジオングの本体MSであるシナンジュ・スタインに己の使徒達の魂を宿したのである、シナンジュの原型であるシナンジュ・スタインには当然、その構造材にサイコフレームが使われているが故に行えた芸当だ。

 

「でも原作においてシナンジュ・スタインは2機しか作られて無くて、その内の1機はあの赤いシナンジュの筈、となったらこの数は…!」

「もしかしたらシナンジュ・スタインを数十も量産したという可能性の宇宙世紀から持ち出したか」

「或いは宇宙世紀そっくりな世界が何十も存在していて、其々2機ずつ盗み出したのか、どちらかだね」

「うわぁ、捕まるどころか察知されもしないのを良い事にやりたい放題ですぅ」

『ははは、何とでも言うと良い!本来ならもっと調達する所だったのだが、まあ我の器が手に入っただけでも充分よ!』

 

とはいえ劇中に登場したシナンジュ・スタインはシナンジュに改装されたものも含めて2機だけ、作中で出されなかった可能性を含めても片手で数える程しか開発されていないだろうそれをどうやって此処まで揃えたのか、そんな疑問の答えも直ぐに推測出来た。

採算度外視で数十も量産した世界から根こそぎ強奪したか、或いは宇宙世紀の平行世界を手当たり次第に干渉して強奪しまくったか、どちらにせよ形振り構わぬやり方に一行がドン引きするも、当のエヒトルジュエはどこ吹く風だ。

 

「もう良い、SILENCE(黙ってろよクズが)

『ッ!?』

『あ、主!?イレギュラー、貴様、主に何を!?』

 

そんな奴と話す事はもうない、そう言わんばかりにハジメが言い放った瞬間、大笑いしていたエヒトルジュエが急に言葉を発しなくなったのだ。

別にエヒトルジュエが笑うのを止めたとかでは無いのは、慌てた様に顔、というより人間なら口があるであろう部分に手を当てている所からも明らか、その動揺振りは眷属達にも伝わった様で、一体何をしたのかとハジメを問い質すも彼は取り合う事無く、改めて宣言した。

 

「お前達は殺す、必ず。僕が、僕達が」

「「「「「「「「ガンダムだ!」」」」」」」」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。