【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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103話_終わりという名の始まり

邪神エヒトルジュエを討伐し、ハジメ達が存在するのみとなった神域にて、討伐を成し遂げた余韻に浸る一行だが、何時までもそうしてはいられない事態が発生した。

神域の維持管理を邪神エヒトルジュエが担っていたのか、そのエヒトルジュエが討伐されたのを切っ掛けに空間が鳴動を始め、やがてバキバキという嫌な音と共に崩壊を始めたのである。

 

「皆、時間が無い。引き上げるよ!」

『了解!』

 

エヒトルジュエ討伐を果たして感極まったのか、一旦はコクピット外に出ていたものの、その事態を予め察知した為に大急ぎでアヴグストのコクピットに戻ったハジメが皆に指示を飛ばし、来た時と同じくWARPシステムを用いてトータスに帰還しようとした。

その時、

 

『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ』

「いやミレディ、誰1人呼んでへんわ」

『あいだぁっ!?』

 

突如としてこの神域に出現したミレディと思しき人型ゴーレム、テンション上がりまくりな状態で口上を述べようとしていたのだが、それを予め察知していたハジメがマルチプルチェーンガンからの銃撃によるツッコミを入れていた。

 

『いきなり何するんだよぉ、折角何か出来る事しなきゃなぁと思って来てあげたのに酷いじゃないかぁ』

「やかあしゃぁワレぇ、もうエヒトルジュエもノしてさあ帰るでって所やぞ。其処に余計な事しおって」

 

そんなハジメの容赦ない対応に文句を言うも無慈悲な返答を浴びせられるミレディ、とはいえハジメ達からすればエヒトルジュエ討伐も済ませて後は帰るだけ、全て終わったんだなという感慨に耽っていた所である、其処に余計な茶々を入れて来たミレディにイラっとして対応が容赦なくなるのも仕方の無いことではある。

 

『ところがどっこい、そうも行かないんだよねぇ。こんなデタラメな空間、放置していたらトータスをも巻き込んで連鎖崩壊するとの予測が出たからね、こうして私が片づけに参ったって事さ』

「…何?」

『そう、私の超奥義☆な魔法で神域の崩壊を誘導して圧縮ポンしちゃおうと思ってね。崩壊寸前だし、私のこの身体と魂魄を媒体に魔力を増大させれば十分出来る』

 

ところが、事態はハジメ達が考えていた様な単純な話では、エヒトルジュエを倒してはい終わりで済ませられる物では無かった。

エヒトルジュエが命乞いした際、その可能性を踏まえて脅迫しようとしていなかった事からその積りは無かったのだろうが、神域崩壊の煽りを受けてトータスが一緒に壊れる懸念が出て来たのだ。

その為にミレディが、恐らくは概念魔法と思しき魔法で今いった様な現象を引き起こして被害がトータスに及ぶのを防ごうと神域に来たのだろう、現にそれを使う為の時間稼ぎだと言わんばかりに、神域の崩壊が一時的にストップしていた。

 

「それには及ばないよ、それ用のアーティファクトをたった今作った所さ」

『う、うそん…?』

 

が、そんな事を話している間にハジメがそれ用のアーティファクトを作り上げていた。

Xラウンダーやイノベイター等の超感覚系技能を駆使してミレディが言っていた様な現象を引き起こす可能性を導き出し、それを成し遂げる概念を付加した手榴弾型のアーティファクトを作成する、という一連の動作をミレディが神域崩壊による被害に言及してから、それをどうやって食い止めるかについて説明するまでの僅かな時間で成し遂げたハジメ、元々有していた素質もそうだが先程迄のエヒトルジュエ達との決戦で大した消耗をしていなかったが故に出来た芸当である。

そんな神技とも言える事を片手間でやってのけたハジメに唖然とするしかないミレディを他所に帰還しようとする一行だったが、己を犠牲にする必要が無くなったと知って尚、神域を離れる素振りを見せないミレディの姿を見たハジメが何かに気付き、コクピットを飛び出して詰め寄った。

 

「さっき己の身体と魂魄を媒体にこの状況を解決する魔法を使うと言っていたね。まさか此処で死ぬ積りで来た、と…?」

『そうさ、仲間との、私の大切な人達との約束『悪い神を倒して世界を救おう!』なんて御伽噺みたいな、馬鹿げてるけど本気で交わし合った約束を果たしたいだけだよん。あの時何も出来ずに負けて、皆ばらばらになって、それでもって大迷宮なんて作って…ずっと、ずっとこの時を待ってた。

今、この時、この場所で、人々の為に全力を振るう事が、此処まで私が生き長らえた理由だもん』

「ふざけるな!SURVIVE(死ぬ事は許さない)!」

『ッ!?』

 

まさか此処で死ぬと決めたのではないか、そうハジメから問い詰められたミレディはあっさりと認めた。

邪神エヒトルジュエを倒す事、その為に己の限りを尽くす事こそ自分の生きる理由だと語るミレディ、その言葉が琴線に触れたのかマジギレしたハジメは、概念魔法を駆使してミレディが死ぬ事を禁じた。

 

「良いかミレディ・ライセン!邪神エヒトルジュエとその眷属を倒し、それに伴う被害を食い止めたらすべて終わりだと、世界が救われると思ったら大間違いだ!邪神は倒されど、長きに渡ってその支配を受け続けた世界は、民達はまだ何も変わってはいない!此処で正しい手を打たない限り、世界は第二、第三のエヒトルジュエによって再び支配される道を辿る事になってしまう!」

 

まさかの事態に動揺を隠せないミレディ、そんな彼女に構う事無くハジメは語り始めた、元凶を除けどその影響は未だに残っているトータス、その導き方を間違えれば新たなる邪神の手によって元の木阿弥と化してしまう、そうならない様に正しい手を打って行く事でやっと、邪神討伐は本当の意味で成せたと言える、そんな己の想いを。

 

「その第二、第三のエヒトルジュエに現時点で最も成り得るのが僕達だ!いや違う、エヒトルジュエは僕だ!心から信頼を寄せていた者達を、寄せてくれた者達を全て失い、後を追おうにも追えず、永遠の孤独に苛まれて尚死する事を選べず今に至った僕の、僕達の成れの果てだったんだ!もし僕達がしくじってしまえば、新たなる邪神としてこのトータスを今までと何も変わらぬ、いや下手したら今よりも邪悪な世界へ導く事になってしまう!今の僕達にはそれが出来る力も権威もある、出来てしまうんだ!」

 

その中でハジメは、嘗て抱いたエヒトルジュエと己との類似性に関する考え、自分もまたエヒトルジュエと同じ様な奴だという考えに向き合い続け、そして今エヒトルジュエと相対した事で至った結論を、エヒトルジュエもまた元は自分達と同じ様な存在で、然しながら自分達とは違って孤独となって永遠の時を迎えてしまったが故に狂ってしまったのだという答えを口にした。

 

「そうなってしまった時、一体誰が新たなる解放者を立ち上げる、誰がその想いを語り継いで行くんだ!もうオスカー・オルクスもラウス・バーンも、ナイズ・グリューエンもメイル・メルジーネも、リューティリス・ハルツィナもヴァンドゥル・シュネーもいない!貴方しか、ミレディ・ライセンにしか解放者の想いを、信念を語り継げる存在はいないんだ!

 

 

 

どうか、どうか生きてくれ!生きて、僕達の行く末を見守っていて欲しい…!」

 

そしてもし自分達が次のエヒトルジュエになってしまったら、その時は次の解放者達を集め、その想いを語り継いで欲しい、そうミレディに頼み込むハジメはやがて感極まったのか、その眼から涙が零れた。

ハルツィナ樹海での試練の際、亡きエリヒド王達から背中を押されたと感じて流した時、エヒトルジュエを討伐するまでメソメソ泣かないと心に決めていたハジメ、それ以来メルドの死に直面した際にも流さなかった涙は今、全てが終わり、いや始まった事で留めていた物が無くなり、ぽろぽろと零れ出した。

 

『全くもうしょうがないなぁ、其処まで頼み込まれちゃあ、受けない訳に行かないじゃん。

…分かったよ、君達がこの世界をどうしていくのか、陰から見守って行くとしよう』

 

此処で死ぬ事を封じ込まれた上、涙ながらに懇願されて断っては後味が悪い、そう思ったミレディはハジメからの頼みを受ける事にし、ライセン大峡谷の迷宮で再び生きて行く事を、トータスの未来を見守って行く事を決意した。

 

『皆、御免ね。そういう訳だから私、もう暫くはそっちに行けそうにないや。ハジメン達がこの世界をどんな風に導いていくのか、それが私達にとって思い描いていた通りになっていくのか、一緒に見守っていて欲しいな。それでもしハジメン達が導く世界が、それこそあのクソ野郎が支配していた時と変わりない物だったとしたら、その時は…』

 

もう一度力を、今一度この世界を支配から解放するべく、立ち上がる為の力を貸して下さい。

そう言い残し、ハジメ達も、残って死ぬと決めていたミレディも神域から立ち去った。

遂に誰もいなくなった神域、崩壊を抑え込んでいたミレディもいなくなった事で再び揺れ出した。

崩壊が再び始まる、と思われたがそれから間もなく、ハジメが残して来た手榴弾が光を放ち、

 

 

 

爆発と共に極々小さなブラックホールが形成、それは途轍もなく強力な重力によって神域の崩壊を内へ内へと誘導し、やがてすべてを吞み込んで消えた。




今話をもって8章は終了、次話から終章に入ります。
その終章ですが、戦後処理に纏わる順不同のエピソードを数話書いて完結とする予定です。
ハジメ達がエヒトルジュエを討伐を成し遂げ、後どう見せ場を作ろうかと不安ですが最後まで宜しくお願いします。
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