【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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11話_豹変(してないじゃんというツッコミは無しで)

「ん?んぅ…此処は…」

「あ、目が覚めた?おはよう」

 

それから暫くして目が覚めた香織達、寝ぼけ眼な彼女達の視界にまず入って来たのは、どうやら無事だったらしい自らの恋人と、自分と同じ人を愛した親友の姿、そして、

 

「な、なにこれ?こんな大量の武器どうしたの?」

「皆が目覚めるまで時間があったから、片っ端から武器の改良を進めていたんだよ」

 

地面に転がる銃火器や水筒らしき入れ物の数々。

そう、香織達が目覚めるまでの間にハジメは武器の改良を人数分終えていた。

まずはメインアームであるヴィーフリ、あらゆる部品をチタン合金製の物に置き換える事で4人の中では最も非力な香織でも問題なく運用出来るまでに軽量化、それ(及び後述する弾丸の高威力化)による反動の増大化に対しては、アメリカのクリスUSA社とピカティニー造兵廠が共同開発した反動吸収システム『クリス・スーパーV』を基にした機構を搭載する事で相殺する様にした。

サブアームであるグローサについても同じく部品をチタン合金製の物に置き換えて軽量化すると共に、グリップ部に滑り止めの溝を刻むチェッカリングを施し、反動によって銃が手から離れるのを阻止出来る様にした。

それらが使用する12.7×55mm弾も、全元素で2番目に比重が大きく(とはいえ一番大きいオスミウムとの差は僅か0.03g/㎤で、そのオスミウムは常温でも酸化しやすい)地球ではプラチナすらも上回る高価な金属であるイリジウムを弾芯に用いた弾丸『ボーク・スミェルチ*1弾』を開発、炸薬も調整する事で音速に今一歩届かない弾速はそのままに威力を増大化した。

尚、迷宮で採掘される鉱石は何も金属を主成分とした物ばかりでは無い、所謂可燃物を主成分とした鉱石である燃焼石もあった。

それまで鉱石を精錬した際に分離した不純物から銃弾用の炸薬を作るしかなかったハジメにとってこれは朗報であり、炸薬だけでなく爆弾等の開発も行えるようになったのである。

其処でハジメは新たにポンプアクション式グレネードランチャー『カスチョール*2』とヴィーフリ用アンダーバレル式グレネードランチャー『アブーフカ*3』を開発、更に様々な手榴弾の量産も行った。

因みに、新たに開発及び改良したのは武器だけではない、先程見つけた神結晶用の保存容器も開発した、と言っても流石にあのバランスボール級のサイズに合わせて作るのは無理があるのでまずは神結晶を人数分に分割して其々バスケットボール程の大きさの物とし、それに合わせた所謂ウォータージャグ型の保存容器『ヴァーダ*4』を作成、これによって無理なく持ち運び出来るサイズとなり、4人の誰かが大ダメージを負ったとしても其々が所有する容器を使って直ぐに回復出来る様になったのである。

ハジメが目覚めて拠点を確保し、香織達と共に避難、神結晶を見つけてから、香織達が目覚めるまでの時間はそれ程無かったにも関わらず此処までの装備を揃えるハジメの錬成師としての手際の良さに3人が驚きの余り言葉も出ない中、

 

「皆。目覚めて直ぐに話すべき事じゃあ無いとは思うけど、今の状況を皆にも知って欲しい。良いかな?」

「わ、分かったわ。と言ってもかなり危険な状況なのはひしひしと感じるけど…」

 

ハジメは現在判明している状況の説明をした。

それを聞いた香織達は揃って今後への不安を、発端であるあのベヒモスがいた空間へ飛ばされる原因となった檜山への恨み言を、ハジメ達の行動を止めさせたあの炎を仕掛けたのは檜山かその取り巻きではという憶測を、幸利の諫言をちゃんと聞き入れていればという後悔を口にしたが、ハジメの「今は生きて地上に帰る事を考えよう。生きて帰って来さえすれば檜山達を問い詰める事も、トシに謝る事も出来る」と諫め、改めて前夜(もう一日過ぎているかも知れないが)に立てた誓いを口にする事で切り替え、此処オルクス大迷宮からの脱出に向けての準備を始めた。

手榴弾を服に括り付け、弾丸を装填したグローサを左のホルスターに、同じく擲弾を装填しポンプアクションで薬室に送り込んだカスチョールを右のホルスターにセットし、ヴィーフリ(香織の物以外はアブーフカを装着、香織の物はフォアグリップを装着)にマガジンを装填しつつコッキングレバーを引いて薬室に弾丸を送り込み、ヴァーダを左手に、ヴィーフリを右腕で担ぐ様に持ち、

 

「皆、進軍を開始するよ。OK?」

「「「OK!」」」

 

デェェェェェェン!というBGMが聞こえて来そうな佇まいでハジメが掛けた問いに、彼を愛する3人の恋人達が快く応じた。

 

------------

 

結論から言うと、ハジメ達が置かれている状況はかなり厳しい物だと改めて思い知らされた。

とは言っても探索の方は順調そのもの、その最中にあのベヒモスとは比べ物にならない強さを有した魔物と遭遇して戦闘せざるを得なくなる場面もありはしたが、改良によって高威力化した銃火器、ハジメの的確な状況判断と指示、そして銃火器だけでは倒しきれないと見るや否や攻撃で怯んだ瞬間に頭上を取って標的の脳内に錬成を行使してズタボロにして絶命させる戦闘センスが功を奏し、傷一つなく切り抜けられはしている。

その探索の末に得られた結果は、此処から更に下の階層へと行き、終点を目指すしかないという事だ。

隅々までこの階層を探しても上の階層へ繋がっているであろう階段らしき物は見つからず(下の階層に繋がっているであろうそれはあったが)、ならばハジメの錬成を用いて其処までの道をこじ開けられないかと試したが、ある程度の高さまで掘り進めた所で全く反応しなくなってしまった事で、上に戻るという選択肢は無いと判明してしまったのだ。

 

「皆。ある程度予想はしていた事だけど、僕達は下の階層を進むしか道は無い様だね。それ即ち、どんどん強くなっていく魔物達が住まう中を切り抜けていかねばならないという事。幾ら神水を使えば傷を瞬時に回復させる事が出来ると言っても、それを使う間もなく死ぬなんてありえる話、慎重に慎重を重ねて進軍しなければならない、となれば脱出には相当な時間が掛かると言っても過言じゃないと僕は思う。であるならば食糧も必要だ。だけどさっき言った通り日帰りでの訓練を予定していたから持ち込みなど無く、現地調達するしかない。そしてこの迷宮で調達出来る食糧は魔物の肉だけ。

 

 

 

覚悟は、良いね?」

「うん。大丈夫だよ、ハジメ君」

「絶対に地上へ戻ると決めたもの、覚悟は出来ているわ、ハジメ」

「調理はアタシに任せて。幾ら腹を満たす為でもただ焼いただけなんて味気ないでしょ?」

 

脱出はかなりの長期に及ぶと判明し、こうなったら魔物の肉を食糧とするしかないと覚悟を決めたハジメ、香織達も同じく腹を括った、と言っても流石にただ焼いただけというのは優花の料理人としてのプライドに関わるらしく(器具の類はハジメが作れるが)調味料等がほぼ無いなりに美味しく作ろうと意気込んでいたが。

 

「それじゃあ」

「「「「いただきます」」」」

 

優花の手によって血抜き等の下処理が施され、こんがりと焼かれた魔物の肉を手に取り、リーダーであるハジメの号令と共に食べ始める4人。

まず食べるのは、二本の尻尾、目元には赤い線が入った大型犬位の大きさで、電撃を放つ固有魔法を有した狼らしき魔物、奈落で遭遇した中では最も弱いと思われる(あくまで此処において)魔物の肉だ。

 

「うん、あんまり美味しくないね」

「筋っぽくて、脂ぎっていて…

猛毒だとか以前に味が宜しくない。実際に食べた人は僕達みたいな状況だったのかもね」

「確かにそうね、こんなの毒が入っていなくても食べたいとは思わないわ」

「しっかり下処理して尚こんなのだから、ただ焼いただけならどんだけ酷い味だったんだか」

 

その何とも表現しがたい、ぶっちゃけ言えば不味い肉の味をボロクソに罵倒しながらも、贅沢は言っていられないと食べ進めるハジメ達、やがて最初の一品を食べ終え、保険である神水を摂取した頃、彼らの身体に異変が起こった。

 

「あ、が、あぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「う、あ、か、身体がぁぁぁ!?」

「い、ぎ、いったぁぁぁぁぁ!?」

「な、なに、がぁぁぁぁぁぁ!?」

 

突如として全身に襲い掛かる激しい痛み、それはまるで身体の内側から何かが侵蝕して来るかの様な物であり、時間が立てば立つほど激しくなっていった。

 

「し、神水は飲んだ、筈なのに、なんで、痛みが、治まらないの…!?」

「こ、こいつは、スリップダメージか…!」

「す、スリップダメージ…!?」

「RPGとかで、毒を貰った時とかに、少しずつ、体力が減って行く、状態の事だよ、きっと、魔物の肉に、含まれる、変質した魔力が、消化し終わるまで、僕達の身体を、むしばみ続け、それを神水が、治し続ける、一種のループ状態に、入ったんだ…!」

「そ、そんな、じゃあ痛みが治まるまで、我慢するしか無いって事なの…!?」

 

あらゆる傷を治すとされる神水を飲んだにも関わらず激しい痛みが襲い掛かる事に皆揃って戸惑いを隠せない中、その原因に思い当たったのか痛みに襲われながらも自らの推察を話すハジメ、それはある意味で正しかったが解決策がある訳ではない以上、優花が言う通り痛みが治まるまで耐え忍ぶしかない。

神水の治癒効果による影響で気絶という逃げ道すらも塞がれ、地面をのたうち回りながら終わりの見えない地獄に耐え忍ぶこと数分、ハジメ達の身体に変化が現れた。

まずは髪の毛、耐えられる限界などとっくに超えた痛みによるストレスか、或いは魔物の肉に含まれる変質した魔力の影響かは不明だが色素がどんどん抜けていき、黒々としていたハジメ、香織、雫の髪は灰を通り越してほぼ白っぽくなり(プラチナブロンドと言えなくもない香織等、個人差はあるが)、ギャルと誤解される要因の一つであった優花の茶髪は淡い色合いのピンク髪と化した。

次に其々の体つきも変化した。

ハジメは元々鍛えていたのもあって細マッチョと言える体つきだったのが、筋肉と骨格が濃密化・肥大化した事でより筋肉質な体つきになっていた、まるでフィジーク選手(フィジーカー)の如く。

香織と優花は胸等の出る所は出て、ウェスト等の引き締まる所は引き締まる、女性としてより魅力的な体つきに変化していた。

雫はハジメの様に筋肉と骨格の発達、香織達の様に女性として魅力的な部分の発達、その両方の変化が成された。

そして4人に共通する変化として、魔物にもあった赤黒い線が複数、体表に組み込まれた回路か、或いは移植された血管組織か、赤黒く脈動するという点を踏まえると何かしらのエネルギーを循環させるかの様なラインが胴体や手足の隅々まで走って行った。

痛みの余り絶叫をあげ、人の身から魔物の如き身へと変貌を遂げる様はまるで転生の如く、その生誕の儀は魔物の肉を消化し終わるまで続いた。

*1
ロシア語で死神

*2
ロシア語で焚火。ロシアのアンダーバレル式グレネードランチャー『GP-25』のコードネームでもある

*3
ロシア語で履物。ロシアのアンダーバレル式グレネードランチャー『GP-30』のコードネームでもある

*4
ロシア語で水

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