【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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28話_冒険者ギルドブルック支部

ブルックの街に入る際に多少のいざこざこそあったものの直ぐに解決し、門番に教えられた通りメインストリートを進むハジメ達、やがて一本の大剣が描かれた看板を掲げた施設――冒険者ギルドに辿り着いた、規模で言うとホルアドにあったそれと比べて二回りほど小さい小規模な物、というよりオルクス大迷宮の存在からホルアドのが大規模であって此処もそんなに小さい物では無いのかも知れないが。

それは兎も角、看板を確認したハジメ達が重厚そうな扉を開くと、荒くれ者達が集う場所という転移前に抱いていたイメージとはかけ離れた、清潔さを感じられる光景が其処にはあった。

それにまあ現実はこんな物だよなと納得しながら入ると、その物音に気付いたのか何人かの冒険者と思しき者達がその方に振り向き、その色んな意味で凄い第一印象を抱かせる一行に注目する者が続出した。

それも無理は無いだろう、何せこの世界は中世ヨーロッパと文化水準も街並みも同じ位なトータス、その市街地にプラグスーツという未来的・宇宙的な恰好をしたハジメ達の存在は只でさえ浮きに浮きまくっている上に、フィジーカーの如きマッチョだったりボォンキュボン(約1名は「小柄な割に」という注釈が付くが)だったりと魅惑的な彼らの身体が強調されまくっている物だから道行く人の視線を集めるのは当然と言えば当然の事、街に入ってからずっと注目の的になるのは必然であろう。

そしてそれは此処でも同じ事、美女と自信を持って言える顔立ちとプラグスーツで強調されたダイナマイトボディを見せつける香織達5人に見惚れたり、恋人と思しき存在にぶん殴られたりする男冒険者が続出するかと思えば、その香織達に嫉妬の意を向けたり、強者の雰囲気が滲み出ている顔立ちとこれまたプラグスーツで強調された細マッチョとゴリマッチョの間位なボディを見せつけるハジメに見惚れる女冒険者の姿も続出した。

此処でこういうファンタジー物ではテンプレと言って良い、香織達を目当てにちょっかいを掛ける輩が出て来る展開になりそうではあるが、ハジメの強者振りに気後れしたのもあってか観察するに留めるだけの様だった為に、邪魔される事無くハジメ達は正面奥のカウンターに辿り着いた。

そのカウンターにいた受付は…おばちゃんだった、ユエの倍ぐらいは横に広いおばちゃんだった。

 

「おやおや、随分と蠱惑的なお嬢さん達じゃないか。そんなお嬢さん達を両手に花どころか選り取り見取りとはやるねぇアンタ、そんな如何にもなガタイをしているだけはあるね。こんなお嬢さん達に囲まれるなんざそうそう無いんだから、ヘマして愛想尽かされない様にね?」

「あはは、肝に銘じておくよ」

 

この手の創作物では受付=美人女性のイメージが強かったのもあってか多少の拍子抜けこそしたが、香織達クラスの美女はいないでしょと思っていたのもあってかそれだけの感慨しか抱かなかったハジメ、そんな彼の内心を知ってか知らずか、おばちゃんは人好きのする笑みを浮かべながらハジメのモテ男振りを評しつつもだからこそ下手な真似はするなと説教を始めていた。

まさか初対面で説教されるとは思わなかったのか面くらいながらも応じたハジメの返答に「あらやだ、年取るとつい説教臭くなっちゃってねぇ、初対面なのにゴメンね」と謝ったおばちゃんという、何処かほっこりするやり取りが繰り広げられはしたが、即座に仕事モードに切り替わるのは流石にプロか。

 

「さて、じゃあ改めて。冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら」

「素材の買取を頼めるかい?」

「素材の買取だね。じゃあまずステータスプレートを出してくれるかい?」

「「「へ?」」」

「ん?あ、そっか、冒険者なら買取価格にボーナスが付くから、その確認でステータスプレートを使うのか」

「どうやら冒険者じゃあなかったみたいだね。確かに買取自体にステータスプレートは不要だけどね、お兄さんの言う通り、冒険者と確認できれば一割のボーナスが付いて売れるんだよ」

 

買取を依頼したハジメに応じたおばちゃんからステータスプレートの提示を求められて疑問符を浮かべる香織達だったが、ハジメがその理由に気付いた。

そう、おばちゃんの言う通り冒険者となれば様々な特典が付いて来る、生活に欠かせない魔石や回復薬を始めとした薬関係の素材は冒険者が入手した物が殆どであり、それらは魔物からの襲撃という危険を冒さなければ手に入れられないのだからそれも当然か。

 

「他にもギルドと提携している宿や店は一~二割程度割引いてくれるし、移動馬車を利用する時も高ランクなら無料で使えたりするね。どうする、登録しておくかい?登録には千ルタが必要だよ」

 

ルタとはトータスの北大陸、つまり人間族のテリトリーで扱われる共通の通貨だ。

ザガルタ鉱石という特殊な鉱石に他の鉱物を混ぜる事で異なった色の鉱石が出来、それに偽造防止の為に特殊な方法で刻印した貨幣が流通している。

色は其々、1ルタ相当の青、5ルタの赤、10ルタの黄、50ルタの紫、100ルタの緑、500ルタの白、1000ルタの黒、5000ルタの銀、そして10000ルタの金となっている、二千円札に該当する物が無かったり1000ルタ以上の物に人物画が描かれていなかったりする以外は日本のそれと同じ様な物となっている。

 

「折角だし登録して置こうかな。香織達もそれで良いかな?」

「そうだね、登録して置いて損は無いし」

「ええ、良い機会だし」

「勿論よ。はいこれ」

「それで悪いんだけど、持ち合わせが全くないから買取価格から差し引くという事にして欲しいな。ああ、最初の買取価格はそのままで良いから」

「アンタこんなに綺麗な子を揃えていて文無しなんて何やってんだい。ちゃんと上乗せしてあげるから、不自由させんじゃないよ?」

 

折角の機会だからとステータスプレートを持っていたハジメ達4人の冒険者登録をする事にしたが、所持金が全く無かったのでおばちゃんから再び説教されながらも、快く要望に応じてくれ、ステータスプレートを4人分差し出した。

因みにユエとシアの分も登録するかと聞かれたがそれは断った、何故なら2人共ステータスプレートを持っておらず、よって発行してから登録という流れとなるのだが、そうなると隠蔽されていない状態のステータスがおばちゃんの目につく事になる、2人の固有魔法やらヤバいステータス値やらが見られたら不味いとハジメは判断したのだ、決して発行代金がべらぼうに高いからではない。

何はともあれ多少の時間の後に戻って来たステータスプレート、其処には新たなる情報が表記された。

天職欄の横に職業の欄が出来、其処に『冒険者』という表記と、青色の点が付いたのだ。

この点は冒険者ランクを示しており、ランクが上がる度に赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、そして最高ランクで金、と変化する…そう、通貨の価値を示す色の如く変化するのだ。

つまり青色の冒険者は「お前はミジンコ、金ランクは神」と言われているのと一緒という訳である。

因みに戦闘系の天職を持たないで上がれる限界は黒との事、辛うじてではあるが四桁の価値を得られるので、天職無しで黒ランクとなった者は拍手喝采を受けるらしい、一騎当千と評されるのと同義だからそれも当然か。

 

「男なら頑張って黒を目指しなよ?お嬢さん達に格好悪い所見せない様にね」

「勿論さ。それで、買取は此処で良いの?」

「構わないよ。あたしは査定資格も持っているから見せて頂戴」

 

単なる受付だけに留まらず査定の資格も持っているという、おばちゃんの優秀振りに多少びっくりしつつもハジメは、予め宝物庫から入れ物ごと取り出しておいた素材を見せる。

するとおばちゃんが驚愕の表情を浮かべた。

 

「こ、これは!」

 

恐る恐る手に取り、隅から隅まで丹念に確かめたおばちゃん、緊張しきりな感じで顔を上げながら、ハジメに尋ねた。

 

「とんでもない物を持って来たね。これは、樹海の魔物だね?」

「うん。どうやって入手したかは…分かるよね?」

 

テンプレなら最もレアな大迷宮最深部に住む魔物の素材を出してそれに驚いた受付がギルド長を呼び出し、高額買取&即高ランク認定でウハウハ、となるだろうが流石にそれは無理がある。

何しろ『表向きの』オルクス大迷宮六十五階層に住まうベヒモスですら伝説の魔物扱いされているのだ、其処から更に奥深くに住まう魔物なぞ見た事も無ければ聞いた事も無く、文献にも掲載が無いに違いない、その強大さと未知さに即未確認生命体扱いされ、ドナドナされて終わりで済めば良いが、下手したら魔人族の手によって強大化した魔物扱いされた挙句、魔人族サイドのスパイとして捕まりかねない、そうなったらユエ達の素性がバレるなんて次元では済まなくなる。

尤も樹海に住まう魔物も厄介極まりない存在、その素材も相当なレア物なのでどうした物かと一瞬躊躇したが、其処はシアの気配察知による手助けがあったからと言い訳すれば問題ない。

 

「樹海に住まう魔物の素材は良質な物が多いからね、売って貰えるのは助かるよ。ざっと…

四十八万四千ルタって所だね。これで良いかい?中央ならもう少し高くなるだろうけどね」

「大丈夫だよ、ありがとう」

 

幾らレア物とはいえ其処まで高く売れるとは思わなかったのか驚きながらも素直に買取を承諾したハジメ、金ルタ貨幣48枚と黒ルタ貨幣4枚の計52枚を受け取った。

 

「そうだ、門番の人からこの街の簡易的な地図を貰えると聞いたんだけど…」

「ああ、ちょっと待っといで…

ほら、これだよ。お薦めの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」

 

ふと門番からの話を思い出したハジメがその話題を持ち掛けると、直ぐに出してくれたが…

 

「え、これが簡易的?こんな立派な地図を無料で良いの?金取ってもバチは当たらないどころか当然なレベルなんだけど…」

「構わないよ、あたしが趣味で書いているだけだからね。書士の天職を持っているから、それ位落書きみたいな物だよ」

 

その出来は簡易という言葉が信じられない位精巧なもので、有用な情報が簡潔に記載された素晴らしい物であった、こんなのを無料で貰うのは少々気が引けたのは言うまでも無い。

 

「ありがとう、助かるよ」

「良いって事さ。それより金はあるんだから、少しは良い所に泊まりなよ。治安が悪い訳じゃあ無いけど、男共がそんなの関係ねぇと言わんばかりに暴走しかねない程の可愛い子ちゃん揃いなんだからね」

「勿論」

 

最後まで面倒見の良いおばちゃんから再度の忠告を聞き入れ、ギルドを後にしたハジメ達。

 

「ふむ、色んな意味で面白そうな連中だね…」

 

見送った後のおばちゃんは、何処か楽しげに呟いていた。

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