※下ネタ注意です
北の山脈地帯から僅か十数分でウルの町へと帰って来たハジメ達、それを成し遂げたストリボーグのスピードに終始戸惑いながらも、到着するや否やこの非常事態を直ぐ知らせなければと言わんばかりに町役場へと急いだウィルと、同じく直行した愛子を追ってハジメ達も役場へと向かった。
その途上ハジメに突っかかって来た神殿騎士達を軽くあしらいながら役場へと辿り着いた時、其処はまさかの情報に騒然となっており、ギルド支部長やウルの町の幹部、教会の司祭といった権力者達が情報を齎した愛子達に詰め寄っていた。
それも仕方の無い事だろう、魔人族との戦いからは地理的な意味で無縁だった筈のこの町がまさか魔物の大軍による侵略を受けるという絶望的な状況なんて夢にも思わないだろうから、尚普通なら戯言と切って捨てるだろうが、人間族のテリトリーにおいて『神の使徒』とも『豊穣の女神』とも称される愛子の言葉なのでそれを無視出来なかったのだ。
然しながら、此処にはそんな絶望を希望に変える存在が居た。
「ですが、此処にはそれに対処出来る方々がおります!彼らがそうです!」
詰め寄って来る権力者を制すかの様に宣言するウィル、彼が振り向いた先には、今しがたやって来たハジメ達の姿があった。
ウルの町へ到着する直前までストリボーグ艦橋の指令室にて行われたブリーフィング、其処でウルの町へ侵略するであろう魔物の大軍に対してどの様な対応をとるかが決められた。
要約するとこうだ。
まずウルの町に到着次第、貴族であるウィル及び『豊穣の女神』と慕われている愛子を通じて魔物の大軍が進軍している事、それに自分達が対処にあたる事、魔物の大軍は自分達で迎撃するから誰一人町の外に出ない様町民に連絡する事を町の権力者に伝える。
次に、翌日の午後ぐらいに町へと辿り着くであろう魔物の大軍への対処だが、其処に『豊穣の女神が遣わした巨神兵』との触れ込みでヴァスターガンダムを搭乗パイロットが決まっている機体全部、『豊穣の女神が現世へ舞い降りる際に乗り込んだ船』との触れ込みでストリボーグを前線に投入、殊にヴァスターガンダムは実戦テストも兼ねてマルチプルカノンを装着した状態で投入するフル装備振りだ。
幾ら十数万という大軍とは言えど相手は山脈地帯の魔物、オルクス大迷宮の最深部に住まう魔物ですら圧倒したハジメ達にとって敵では無く、エヒトルジュエ討伐目的であるマルチプルカノンを使用する事は勿論、ありったけのヴァスターガンダムを実戦投入する事自体も過剰戦力では無いかと言われそうではあるが、戦争において絶対は無い、特に今回はウルの町という何としても守るべき場所があるのだから一切の撃ち漏らしは許されないのだ。
これも、恋人である愛子に笑顔でいて欲しいが故に、日本に匹敵する食文化が育まれているウルの町のミームを根絶やしにしたくないが故に、嘗て愛子と交わした『大切な人以外を蔑ろにする『寂しい』生き方をしない』という約束を守りたいが故に、ハジメ自身の『敵以外に向けられた』優しい性根故に。
尤もそれらだけがウルの町を侵略しようとする魔物の大軍を迎撃する事を、その為にマルチプルカノンを装着したヴァスターガンダム及びストリボーグを『豊穣の女神』にまつわる物との触れ込みで投入する事を決断した理由じゃない、今後の旅を進めやすくする布石を打つ為でもある。
以前にも書いてはあるが、捜索に同行しようとした愛子にヴァスターガンダム・マイ及びその関連武装を渡し、それを装着した上での同行を許可したハジメ、この戦いでヴァスターガンダムの圧倒的な力を見せつければ「愛子もコイツを持っている、こっちだけ見ていたら寝首を掻っ切られるぞゴルァ」という威嚇にもなりうる。
更にヴァスターガンダム及びストリボーグを『豊穣の女神』にまつわる物と触れ込む事で、ウルの町の危機を愛子『様』が救ったと人々が噂を広め、彼女への支持が大いに広がる事で、人間族のテリトリーにおける影響力を強められる、そうなれば国や教会は愛子を、彼女の恋人であるハジメやその仲間を易々と害する事は出来なくなるだろう。
流石に愛子を囮にするのはちょっと…とハジメは思ったが、これからエヒトルジュエ討伐というこの世界を転覆させかねない大事を成そうとするハジメ達にとってアキレス腱と成り得るのが愛子だ、ヴァスターガンダムという天下無双の剣と『豊穣の女神』という万民を感服させるペンを持たせておくに越した事は無いのだ。
以上の理由から、魔物の大軍からウルの町を守る事を決めたハジメ達は、権力者達との交渉の末、自分達が前線に出て対処する事、魔物達を撃退するまで町内にいる人々や町を訪れた人たちを外に出さない事、愛子に何かあったら持てる限りの力で彼女を支える事を伝え、権力者達も普段からお世話になっている愛子の為ならばと快諾してくれた。
その際、ウルの町のギルド支部長がイルワと共に、ハジメ達が金ランクへ昇格する際の推薦人になる事を申し出、ハジメ達も折角ならと応じたのは余談である。
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こうして魔物の大軍との戦闘、及びその後の旅に向けての根回しを終えたハジメだったが、
「…あのー、三人共、さぁ」
「「「…」」」
ハジメが解決すべき懸案はまだ残っていた。
困惑と照れと愛おしさを含んだ複雑な表情を浮かべるハジメ、その右腕にはユエが、左腕にはシアが、そして背中にはティオが、しっかりと抱き着いて離れようとしなかった。
「…ハジメが、いなくなっちゃうと思ったんだから」
「…ユエさんの言う通りです、ハジメさん。ハジメさんがいなくなったら、私は、私は…!」
「…ハジメ殿にとって幸利殿は、あの場で命を賭してでも救わねばならぬ程の御方なのかも知れぬ。じゃが妾達にはハジメ殿、お主がそうなのじゃ。お主がのうなってしもうたら、我らは悲しいのじゃ…!」
やはりと言うべきか、ユエ達の目の前でハジメが幸利の月光蝶をまともに受けて身体がズタボロになり、あと少しで跡形も無くなってしまう所まで追い込まれていたのを、其処までして幸利を救け出そうとした事を引きずっていた様だ、その不安からか、権力者との話し合いが終わって役場を後にしてからハジメに密着し、そのままの状態が続いていた。
尚、香織と雫、優花と愛子は、ハジメにとって幸利が、自分達『恋人』や元の世界に残した両親という『家族』とはまた違う『親友』という立ち位置に唯一立つ幸利という存在がどれだけ大きいものかを理解していた為、ハジメの無茶な行動に釘を刺しながらも後々まで引きずる事は無かった。
尤もユエ達3人とは違ってズタボロになって行くハジメの姿を見ていないというのもあるだろうが…
然し、
「というか何でティオまでちゃっかり混ざっているのさ、僕と君、今日が初対面だよね?」
「んなっ!?お、お主、妾の、乙女の心を覗き込んで置いてそれは無いじゃろう!?」
「の、のぞっ!?」
ユエとシアはまだしも、何故初対面のティオまで抱き着いているのか、其処まで深い関係だったっけ?と思ったハジメが疑問をぶつけるが、返って来た答えは彼にとって思いがけない物だった。
ティオの心を覗き込んだ?一体いつの事?いやそもそもそんな技能は無かった筈…と慌てふためくハジメだったがふと昨晩、初めてティオの声を聞いたあの出来事を思い出した。
「もしかして、あの時の事…?」
「左様、妾の心に『直に』響いたハジメ殿の声を聞いた時、妾は運命を感じたのじゃ!ハジメ殿こそ妾と心を通わせ合う、側に寄りそうに相応しき御方であると!そしてその想いはハジメ殿を実際に見聞きして確信したのじゃ!英雄色を好むと言う、既に6人の想い人がいようと妾は7人目になれば良いだけ、この想いは一片たりとも揺らがぬ!」
「な、なんでやねん…」
まさかあの時の返事を言っているのかと聞いてみると案の定、その時の出来事が切っ掛けでティオはハジメに恋心を抱き、山脈地帯で行動を共にした事でそれは決定的な物となったのだった。
実態は
然しながら、理由がどうあれ彼女の想いを聞き取ったのも、彼女の脳に直接声が届く方法で返信したのも事実、それに言葉を交わさずとも心を通わせ合えるティオには側に居て欲しいという想いが…と言った感じで指摘する事など出来ないハジメは何時もの関西弁を口にしながら唖然とするだけだった。
それはさておき、結果的には何の問題も無く幸利を救け出したが、一歩間違えれば自分が死ぬかも知れない所を見せてしまった事で不安にさせたのも事実、どうにかそれを埋め合わせしないとな、と思ったハジメ。
「よし。ヤる?」
「「ヤる」」
「「ヤるわ」」
「ヤるですぅ」
「ヤるのじゃ」
「わ、私もヤります!」
…その埋め合わせの方法として提案したのがR-15なこの小説ではとても書けない物であり、しかもまるでちょっとした買い物に付き合う的なノリでそれと仄めかす感じで口にしていたが。
しかもユエ達3人に加えて香織達4人もそれを察しての返答が、ハジメと同じノリだった。
ムードも何もあった物じゃあない。
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「…なぁ、ハジメ?」
「ん?どうかした、トシ?」
翌朝の水妖精の宿、そのハジメが宿泊している一室に幸利が彼を起こそうと呼び掛けると、肌がやけにツヤツヤしていたハジメと、同じく肌がやけにツヤツヤしていて、足が生まれたての小鹿みたいになっていたのでハジメの肩を借りて立っている優花がドアから出て来た。
それと同時に漏れ出して来る所謂『イカ臭い』匂いを感じ取った幸利は、何となく中で何が、いや『ナニ』が行われていたかを察知、その上でハジメに尋ねた。
「…何発ヤったんだ?」
「20発から先は分からないや」
「アタシ以外みんなハジメのマルチプルカノンで呆気なく撃沈しちゃってね、アタシもついさっきまで抜かずに連発でヤったから足に力が入らなくて…」
「いや徹夜で何やってんだお前らぁぁぁぁ!?今日この後魔物の大軍を迎撃するの分かってんの!?」
「はっはっは、やっちゃったZE☆」
「いや、やっちゃったZE☆じゃないだろ!?本当にこの状態で戦えるのかよ!?」
「まあ大丈夫でしょ、生身で戦う訳じゃないんだし」
この一件が何処かにリークされたのか、ハジメは後に『下半神』という何ともアレな異名を轟かせる事になるのだが、それはまた別の話。