【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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序盤は下ネタ注意ですw


42話_ヴァスターガンダム大地に立つ

ハジメとその恋人達8人が徹夜で(ピー)していた事で全員が寝不足&ハジメ以外は足が生まれたての小鹿の様になってしまったので移動の為だけにISを展開せざるを得ないという状態、当然の如く起こしに行った幸利に続き、ロビーで待っていた淳史達から総ツッコミを受けたり、男性陣から「羨ましいぞコノヤロォォォォ!」と言いたげな視線を浴びたり、妙子と奈々から香織達7人のウォール・マリア、ウォール・ローゼを貫いた挙句ウォール・シーナにも猛攻を加えた末に陥落させ(骨抜きにし)たというハジメのマルチプルカノンが如何程の物か聞かれたりと大騒ぎだったが、戦闘の面で問題は無いと豪語したハジメに抜かりは無かった。

ヴァスターガンダムは搭乗者の魔力を燃料とし、ISを介した魔力の制御によって多種多様な動作を実現する、逆に言えば魔力制御さえ出来てしまえば動作に何の支障も無いということ、コクピットへの搭乗も基本的にISで行うので、ハジメと幸利は勿論、ハジメとの(ピー)で足腰が立たない状態の香織達も己の専用機に問題なく乗り込んでいた。

 

(思えば、俺はずっとハジメに助けられっ放しだったな。引き籠っていた俺を少しずつ外へと連れて行ってくれて、勉強とかもしっかり面倒見てくれた。俺を虐めていた連中もハジメの姿を見て恐れをなしたのかそれっきり近寄らなくなって、学校にも行けるようになった。父さんとも母さんとも、仲直り出来た。まあクソ兄達はハジメが恐ろしいのか捨て台詞吐きながら逃げる様に家を出て行ったけどな。そんなハジメに対してあの時の俺は、ただハジメという虎の威を借りて、ふんぞり返っていた狐だった。ハジメの「虎の威を借る狐で良いんだよ、一歩外に踏み出す切っ掛けになるのなら」という言葉に甘えて、虚勢を張っていた。あの時愛ちゃんがハジメを気にかけてくれなかったら、ハジメが色んな意味で引き籠る事になっていたかも知れない、俺がそれに気づいていた時には手遅れになっていたかも知れない。昨日の事もそうだ、復讐にはやる余り目前のハジメに気付かなくて、あと少しで殺す所だった。それでもハジメは笑って許してくれた。謝ったって許される事じゃ無い、一生かけても償え切れない事かも知れない。それでも俺はハジメと共に戦う。ハジメ達と、同じ道を歩む!)

 

自らの専用機としてハジメから貰ったヴァスターガンダム12号機『ディカブリ*1』、紫色の光を放つMSのコクピット内で幸利は、出撃の報を今か今かと待ちながら、今まで自分が歩んできた人生を振り返っていた。

同じゲームに嵌っていたのを切っ掛けに知り合い、偶々同じ中学の同級生だと判明した事で何かと気に掛けてくれたハジメ、そんな彼の気遣いによって立ち直った幸利だったが、この時のハジメは丁度『あの事件』が切っ掛けとなり、今まで文武両道の優等生だ稀代のエリートだとちやほやされていたのが嘘の様に避けられていた頃、入れ替わる様に知り合った幸利や香織達と親密な間柄になったのもあってか表向きは平然としていたが、今まで向けられた事の無かった恐怖や敵意と言った嫌悪感の込められた視線によって内心傷つき、何時しか両親、恋人である香織達、親友である幸利といった大切な人とそれ以外を区別し、大切じゃない人の気持ちを、例えば助けられたお礼がしたいといった『善意』を蔑ろにして来た。

そんなハジメが立ち直る切っ掛けとなったのは、当時南陽高校の社会科教師として赴任して来たばかりであった愛子の存在だった。

 

「南雲君、困っている人を見かけたら放って置けずについ手を差し伸べてしまう筈の君がそんな風になるには、きっと想像を絶する経験をして来たのだと思います。其処では他人の善意など無いに等しかったのだと、差し伸べられた手は悪意に塗れていたなんて事ばかりだったのだと思います。君が一番苦しい時を想像する事しか出来ない先生の言葉など、南雲君には軽いかも知れません。でも、どうか聞いて下さい」

 

ある日、何時もの如く人助けをし、お礼の言葉を聞く事無く去ったハジメの姿を目の当たりにした愛子がその翌日に彼を呼び出し、話を持ち掛けた。

 

「南雲君。君は将来、自衛官となって大切な人達がいるこの国を守りたいと言いましたよね?では南雲君、君は自衛隊に入隊しても今と同じ様に大切な人達以外の一切を蔑ろにして生きますか?そんな生き方が自衛隊という『組織』の中で出来ますか?自衛隊に入った途端、生き方を変えられますか?」

 

面倒臭そうにしながらも流石に此処で帰ったら指導拒否になるよねと一先ず話を聞く事にしたハジメに、愛子は一つ一つ確かめる様に言葉を紡いだ。

 

「南雲君、君には君の価値観があり、君の未来への選択は常に君自身に委ねられています。それに、先生が口を出して強制する様な事は出来ませんし、しません。ですが、君がどの様な未来を選ぶにしろ、大切な人以外の一切を蔑ろにし、目を背けるその生き方は…

とても『寂しい事』だと、先生は思うのです。きっとその生き方は、君にも君の大切な人にも幸せを齎さない。自衛官として大切な人を守るだけじゃ無く、幸せにする事を望むのならば、出来る範囲で良いから…

大切な人以外にも目を向ける事を、大切じゃない人の気持ちにも寄り添う事を、忘れないで下さい。一方的に助けるだけが優しさでは無いのは南雲君自身が気付いているでしょう、元々君が持っていた独りよがりじゃない優しさを…捨てないで下さい」

 

そう紡がれた愛子の言葉、その1つ1つがハジメの荒んだ心に染み渡り、傷を癒していった。

そして思い至った、元はと言えば恋人である香織達も、親友である幸利も、元は愛子の言う『大切じゃない人』ではないか、其処から親交を深めていった事で今の関係になったではないか、そんな簡単な事を何故忘れていたのか、と。

こうして、愛子の言う『独りよがりじゃない優しさ』を取り戻して振る舞いを改めたハジメ、相変わらず学校関係者の殆どから悪意を向けられてはいるが、その中でも淳史達の様な自分に憧れを抱く存在が、少ないながらも出て来たのは元の自分を取り戻したが故だろう。

一方の幸利はこの間、ハジメの異変に気付く事すら出来ず、後でその事を知って衝撃を受け、友である自分は何をやっていたのかと後悔、本当の意味で彼の友になろうと決意を固めた。

その後の幸利の行動がハジメの親友たりえる物かどうかは当事者のみぞ知るだが、トータスという異世界に無理矢理呼び出された後、彼は再び大きな過ちを犯してしまう。

オルクス大迷宮の奈落にハジメ達が転落、その光景を目の当たりにしてハジメ達が死んでしまったと思い込んだ、これは他のクラスメートもそう思ったのだから問題はない。

その下手人に等しい檜山及びその取り巻きに憎悪を抱き、彼らを無力化した上で捕縛し、王都にいるリリアーナのもとへ行き、ハジメ達が転落した事を告げると共に檜山達を突き出し、秘密裏に拘禁する様依頼した、これも檜山達が起こして来た問題を鑑みれば寧ろ友の、皆の為と言って良いだろう。

その後行方をくらまし、更なる力を得るべく魔物の肉を食したり闇魔法の真髄と称す『月光蝶』を習得したりした、これはハジメ達も通った道だ。

問題はその後だ、力を得る切っ掛けとなった、自分達をトータスへと無理矢理呼び出したエヒトルジュエへの憎悪を拡大解釈し、エヒトルジュエ及びそれを信仰する聖教教会に留まらず、信仰心の大小こそあれ皆が信者な人間族全体や、無理矢理呼び出される切っ掛けとなった魔人族全体に復讐の対象を広げ、月光蝶の力を駆使して視界に捉えた人間族を皆殺しにした事。

そして、親友であるハジメが目前にいても復讐心に囚われる余り気付かず、あと一歩で殺す所まで追い込んだ事。

前者は言うまでも無く、後者については被害者であるハジメは笑って許していたが、許されない事を仕出かしたのは幸利自身が分かっていた。

今ハジメ達のもとに戻り、彼らと元の世界に戻るべく一緒に戦うとしても償いきれる物では無いのも承知していた。

そもそも前者を、被害者の1人であるウィルに隠している時点で償いになっていないのも理解していた。

それでも彼はハジメ達と共に戦う、こんな自分を受け入れてくれた親友達の為に。

 

「清水幸利、ディカブリ。出るッ!」

 

魔人族が率いているであろう魔物の大軍、その前線がウルの町からでも見える所まで来たのを確認した幸利は、ストリボーグからのゴーサインを受けて出撃、大地に降り立った。

 

「南雲ハジメ、アヴグスト。発進!」

「白崎香織、アクチャブリ。行くよ!」

「八重樫雫、ナヤブリ。出るわ!」

「園部優花、フィブラリ。発進するわよ!」

「畑山愛子、マイ。出ます!」

「…ユエ、イユニ。出撃」

「シア・ハウリア、シンチャブリ。行くですぅ!」

「ティオ・クラルス、アプリエル。参る!」

 

幸利のディカブリに続いて、ハジメ達のMSも一斉に降り立った。

ハジメは言うまでも無くアヴグスト、愛子は先日渡された、山吹色の光を放つマイ、香織は青き光を放つ10号機『アクチャブリ*2』、雫は藍色の光を放つ11号機『ナヤブリ*3』、優花は赤き光を放つ2号機『フィブラリ*4』、ユエは黄色の光を放つ6号機『イユニ*5』、シアは水色の光を放つ9号機『シンチャブリ*6』、そしてティオはオレンジ色の光を放つ4号機『アプリエル*7』。

実を言うとティオは亜人族の一種で、五百年位前に聖教教会から異端の烙印を押された末に滅亡したとされる竜人族、自らの肉体を竜へと変身させる『竜化』という力を持つ等の強大な戦闘能力と、亜人族は持たないと言われている筈の魔力を多量に有した竜人の一族『クラルス族』の生まれである事、この地へは元々ハジメ達異世界からの来訪者達を調査する為にクラルス族の隠れ里から来た事が、昨晩の(ピー)の前に本人から告げられ、ティオがハジメに好意を抱いていた事、ハジメもまたティオに惹かれていた一方でその高い戦闘能力に目を付けた事から幸利と同じくガンダムパイロットとして旅の一行に加わり、アプリエル及び関連武装をプレゼントされたのだ。

閑話休題、魔物の大軍からウルの町を守るべく大地に降り立った9機のヴァスターガンダムと、その後方に浮かぶストリボーグ、各々が武装を構えながら、攻撃の時を待つ…!

*1
ロシア語で12月

*2
ロシア語で10月

*3
ロシア語で11月

*4
ロシア語で2月

*5
ロシア語で6月

*6
ロシア語で9月

*7
ロシア語で4月

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