【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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43話_魔物の大軍との戦い、そして…

北には山脈地帯、西にはウルディア湖という大きな湖が広がる事から食材や水等の資源が豊富な此処ウルの町、その北側の平原には今、9機ものヴァスターガンダムと、それらの母艦であるストリボーグが、北より大量の魔物を率いて襲撃して来るであろう魔人族への迎撃に対処すべく配備されている。

事前交渉で町民や町を訪れていた商人等は外に出るなと厳命する様にというウルの町の権力者達への要求が受け入れられたのもあってか、自分達以外に誰の姿も見当たらないこの平原で、襲撃を企てる魔人族、及び彼らが率いる魔物の大軍を今か今かと待ち構えていた。

その町民達、まさか魔人族との戦いの前線から遠く離れたこの町が襲撃のターゲットにされたばかりか、十数万という大量の魔物を送り込まれるとは思いも寄らなかったのか、その情報が伝えられた当初、町長を始めとした権力者達に罵詈雑言を浴びせたり、もうおしまいだと言わんばかりに泣き崩れたり、我先に逃げ出そうとしたりとパニックに陥ったが、それを『豊穣の女神』として名高い愛子がその場を鎮めた事で冷静さを取り戻し、権力者達からの通達と、故郷への想いから留まり、愛子達の為に自分達も何かせねばとやる気に満ちていた。

異世界に来ても教師として、人として皆を纏め上げ、正しき道へと導かんとする愛子の姿に改めて惚れ直したハジメや、教師としての敬意を覚えた香織達生徒、そしてこれ程の人ならハジメが惚れるのも分かると認めたユエ達、だからこそ彼女と共にこの町を守り抜いて見せると一致団結、本来ならエヒトルジュエ討伐用であるヴァスターガンダムやストリボーグを、これまた対エヒトルジュエ兵器であるマルチプルカノンを惜しみなく投入した。

尤もヴァスターガンダムに搭乗しての実戦はハジメ以外初めて、幸利とティオ、愛子に至っては試運転すら未経験であり、マルチプルカノンもその強力過ぎる威力からテストに最適な場所が見つからない為にテストを行っておらず、ぶっつけ本番での運用の為、不具合があったら困ると言う理由もあるが…

そんな彼ら、ヴァスターガンダム内にいるハジメ達に、ストリボーグから連絡が入った。

 

『前方より魔物の軍勢を確認、その距離十数キロ、到着まで一時間の予定!』

「了解!マルチプルカノン、魔力充填開始!」

 

魔物の軍勢が視認できる程の距離まで近づいて来たとの連絡、それを受けてハジメは、アヴグストの両腕に取り付けたファンネルビット型の兵器――ガンダムGのレコンギスタに登場するG系統MSの1つであるG-ルシファーのメイン武装『スカート・ファンネル』を模した、遠隔無線誘導式マルチプルカノン『ビットブラスター』に己の魔力を充填した。

因みにビットブラスターは本来、アヴグストの両腰に装着する物なのだが、ヴァスターガンダムは全て頭部のカメラアイによって視覚情報を得ている為、狙いをつけるべくカメラアイに近付ける為、態々両腕に移動させたのだ。

その横では、仮に第一射が不発だったり思った様な威力が出なかったりした時の為に他のヴァスターガンダムも各々のマルチプルカノンに魔力を充填しようとしていたが、

 

「マルチプルカノン、発射ァ!」

 

その必要は無かった。

ビットブラスター中央部に設けられたマルチプルカノン、その508mm口径の砲口から強大なエネルギーを有した極太のビームが放出、ほんの数瞬の内に魔物の大軍を貫き、射線上に居た魔物全てを跡形も無く消し飛ばしたのだから。

だがマルチプルカノンによるビーム砲撃はこれで終わらない。

射線上に居なかった魔物達をも殲滅すべくアヴグストが両腕を外側に広げる、それと共にマルチプルカノンから放出されているビームも鞭の如くしなって外側へと広がり、数多の魔物を薙ぎ払った。

 

「皆、追撃行くよ!1匹も逃がしちゃ駄目だよ!」

「分かっているわ、香織!」

「撃ち漏らしてウルの町を荒らされちゃあ堪らないものね!」

「ん!」

「MSの操縦は初めてじゃが、後れは取らぬ!」

「滅殺!ですぅ!」

「し、シアさん!?何処かのブーステッドマンの亡霊が乗り移っちゃってますよ!?」

「俺の月光蝶から逃げられると思うなよ!」

 

今の砲撃によってほぼ全てと言って良い位の魔物が塵と消えた平原、然しながら只ならぬ状況を察知してビームの魔の手から逃れたものもいるだろう、それを見越して、マルチプルカノンへの魔力充填を中断した香織達が各々のヴァスターガンダムを発進、ビームを避けたであろう魔物の殲滅及び、この大軍を指揮している魔人族の無力化に向かう。

 

「バーニング・ファイア!」

 

優花が搭乗するフィブラリが、SDガンダムGジェネレーションシリーズに登場するフェニックスガンダムの必殺技みたく全身を業火で纏い、視界に捉えた魔物に突進してそれを消し炭に変えたかと思えば、

 

「抹殺!ですぅ!」

 

先程愛子からツッコまれたのも意に介さず、機動戦士ガンダムSEEDに登場したブーステッドマンの1人であるクロト・ブエルの様に物騒な二文字熟語を言い放ったシアが搭乗するシンチャブリが、右手に装備した物凄くデカいメイス――内部に機関部を2門分内蔵し、打撃部を砲身に変形させる事でマルチプルカノンとして使用出来る様になる打撃武器兼用マルチプルカノン『メイスブラスター』を軽々と振り回して魔物を物言わぬ肉塊に変え、

 

「狙い撃つ!」

「喰らいなさい!」

 

ユエが搭乗するイユニは左腕に装備された盾に2門分内蔵*1された、雫が搭乗するナヤブリは両腕の二の腕部*2に装備された、機関部だけのマルチプルカノンからエネルギー弾を発射、数メートルサイズのクレーターを作る程の砲弾で魔物達を消し飛ばし、

 

「行くよ!トランザム!」

 

香織が搭乗するアクチャブリは、宣言と共に内部装甲から発するだけだった青い光を全身から放出し、他のヴァスターガンダムとは比べ物にならない速度で魔物をバッタバッタと叩き潰し、

 

「ま、待って下さーい!」

「やはり後で訓練が必要じゃのう、これは」

 

ぶっつけ本番での操縦だった為に他のMSから遅れた、愛子が搭乗するマイとティオが搭乗するアプリエルも続く。

そして、

 

「数多の身に宿りし魔力(マナ)よ、我が呼びかけに応じ、我の号令(オーダー)に従え!我こそは全ての魔力を統べし者なり!これが!『月光蝶』であぁぁぁぁる!」

「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

愛子やティオ同様にぶっつけ本番での操縦にも関わらず、ハジメ達と比べても桁違いな魔力に物言わせての推進力で香織達について来ていた幸利が搭乗するディカブリが、全身から紫を基調とした極彩色の魔力を噴出、それが魔物の大軍を従えていたであろう2人の男性らしき魔人族に殺到すると、2人揃って苦悶の声を上げ、その身は魔力と同じ色のステンドガラスみたいな繭に包まれ、声を発する事は無くなった。

 

「ストリボーグ、平原の魔物及び魔人族の反応は?」

『反応なしだ。流石だな南雲、何の被害も無く防衛に成功って事だ』

「了解、これより帰還する」

 

視界に捉えられる限りの魔物を殺し、頭目である魔人族を無力化したのを受け、ストリボーグに連絡を取るハジメ、返って来たのは襲撃して来た魔人族側の全滅、ウルの町の防衛が成功したという報だった。

それを受け帰還する事を伝え、香織達と共にウルの町へと戻るハジメ、口調こそ事務的だったが、内心はウルの町を守れた事、マルチプルカノンが己の思い通りのスペックを発揮できた事に安堵していた。

 

------------

 

「ハジメ君。玉井君達の事、宜しくお願いします」

「うん。任せてよ、愛子。玉井達は絶対に守り抜く。愛子も、ケガとか病気とか、後は教会からの干渉とかに気を付けてね」

 

その後、ウルの町に戻った一行は魔物の大軍を殲滅した事を報告、町が守られた事に対する住民たちの喝采を背に権力者達と事後処理を済ませた為、元々此処へ来る目的の1つだった捜索依頼の対象であるウィルを連れてフューレンへ向かう事となり、農地開拓の任務が残っている愛子とは此処でお別れとなった。

その去り際、ストリボーグのクルーとなった事で護衛から外れた淳史達の事を託すとハジメに頭を下げた愛子、ハジメもまた愛子に自愛する様伝え、

 

「愛子。これからまた暫く離れ離れになるけど、僕は君の事を、君という理想の教師たらんとする人が、導ける限りの人達を教え導かんとする僕の大好きな人がいてくれたから、僕は再び人の『善意』を信じられる様になった事を、一時も忘れない」

「は、はい!私も、ハジメ君の事を一時も忘れません!優しくて勇敢で、何事も一生懸命に取り組む私の大好きな人の事を!」

 

改めて互いの愛を誓い合った。

*1
砲身は、右腕に装備された槍の刺突部が、盾と接続する際に変形する

*2
砲身は前腕に装備されており、全力を発揮するには腕を伸ばして砲身を機関部に取り付ける




短かったですが、これで3章は終了、次回から4章に入ります。
そして次章を切っ掛けに、物語は原作から大きく乖離して行きます…
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