【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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続きを書きたい欲望にかられたので、本日2話目の投稿です。


47話_ハジメ、父親になる

トータスでも最大の規模を誇る商業都市フューレン、その裏側に深く根を張る闇組織フリートホーフ。

表向きは人材派遣業者として知られてはいるが、その実態は所謂裏市場の総元締を担い、何の罪も無い幼子達を誘拐し、奴隷として市場に出回らせるやり口で人間族のテリトリーにおいて裏社会のトップ3に入る程の勢力を誇るこの組織だが、その存亡は最早風前の灯火と化していた。

その理由は言うまでも無く、ミュウを通してその実態を知ったハジメ達が、保安署を襲撃してまで再びミュウを誘拐しようとした事に対してマジギレ、襲撃によって混乱している保安署に代わって摘発(カチコミ)に乗り出し、フューレン内に点在する拠点を次々と潰し回ったからだ。

 

「Fervor,mei Sanguis!」

 

ハジメはメルキューレを暴れさせてフリートホーフ構成員達をタコ殴りにし、

 

「ふっ!はっ!やぁっ!」

 

雫はリェーズヴィエを用いた八重樫流剣術を披露、敵を次々と切り伏せ、

 

「汚物は消毒だぁぁぁぁ!」

 

優花はキンジャールを駆使して縦横無尽に切り裂いたり、遠方の標的に投げつけて突き刺したり、或いはパリャーシを取り出して建屋を火の海に変えたりし、

 

「行け、クルィロ!」

 

ユエはクルィロを飛び交わせて炎やビーム、冷気や雷を乱射し、

 

「どらっしゃぁぁぁぁい!」

 

シアはピサニエ・セドモイを振り回して敵をバッタバッタと吹っ飛ばしたり、ヴァルを取り出してフルボッコにしたりし、

 

「Let’s danceじゃ!」

 

ティオは両手に1丁ずつ携えたティスを駆使しての、それはそれは見事なガン=カタで敵を蹂躙、

 

「『月光蝶』であぁぁぁぁる!」

 

そして幸利は己の十八番である月光蝶を展開、紫を基調とした極彩色の魔力で満たされた建屋内にいる構成員達を、1人の例外も無く無力化して見せた。

こうして裏世界にその名を轟かせていたフリートホーフはこの日、実にアッサリと壊滅したのだった。

 

------------

 

「倒壊・焼失した建物40棟、半壊した建物31棟、重傷を負ったフリートホーフ構成員三百人余り…

で?何か言い訳はあるかい?」

「フリートホーフ構成員による襲撃で混乱に陥った保安署に代わって摘発したまでだけど、何か?」

「いやこれ摘発って感じじゃないよねどう考えても」

 

その日の夕方、冒険者ギルド・フューレン支部の応接室で、報告書片手にジト目でハジメ達を睨むイルワだったが、出された茶菓子をミュウに食べさせつつハジメはしれっと返していた。

実際保安署からは襲撃によって負傷した職員達の治療に香織達があたってくれた事、一度預かったミュウを奪うべく保安署を爆破するという暴挙が相当頭に来ていた事、そして日頃から自分達を馬鹿にする様に違法行為を続けていたフリートホーフには腹に据えかねていた事も相まって摘発(カチコミ)をして来たハジメ達の行動に感謝の言葉を署長自ら口にしていたのだが、実態はフューレンを混乱に陥れかねないテロ行為、それでこの街がパニックになってしまったらどうするんだと言わんばかりにイルワは溜息を吐き、胃が痛みだしたのかその辺りを撫で、ドットがさりげなく渡して来た胃薬を受け取った。

 

「まあやり過ぎ感は否めないけど、私達もフリートホーフに関しては手を焼いていたからね…

今回の件は正直助かったと言えば助かったと言える。彼らは明確な証拠を残さず、表向きは真っ当な商売をしているし、仮に違法な現場を検挙しても蜥蜴の尻尾切りでね、はっきり言って彼らの根絶なんて夢物語というのが現状だった。ただ、これで裏世界の均衡が大きく崩れたからね…

はぁ、保安署と連携する必要もあるし、冒険者も色々大変になりそうだよ」

「なら、その混乱に乗じてのさばろうとする他の犯罪組織を抑える為に、僕達の名を出せば良いんじゃないかな?一応、僕達を怒らせたらフリートホーフの後を追う事になるぞ、という見せしめも兼ねていたんだし。支部長お抱えの『金』、ウルの町を救った『女神の巨人兵』…

相当な抑止力になると思うんだけど」

「おや、良いのかい?それはすごく助かるんだけど…」

「まあ、持ちつ持たれつって所だよ。お世話になるんだし、何より僕達による摘発を切っ掛けにフューレンの裏組織による戦争が起きました、一般人が巻き込まれました、なんて展開は嫌過ぎるよ。フューレン支部長という大幹部に就いている貴方だ、その辺りの匙加減も分かるでしょ?」

「はは、まあね。なら君達の『名』を適切に使わせて貰うよ」

 

この摘発による後処理が大変そうなイルワを慮ってか、或いはその副作用で混乱が起きては堪らないと考えたか、自らの名を使って混乱を未然に防いではどうかと提案、イルワにとってもその提案は渡りに船だったのか、多少は躊躇しながらも応じた。

その後、ハジメの懸念通りフリートホーフの摘発に乗じて勢力を伸ばそうと画策した他の犯罪組織だったが、イルワの「なまはげが来るぞ~」と言わんばかりの効果的なハジメ達の名の使い方のお陰で大きな混乱が起きる事は無かった。

この一件を切っ掛けに一行は『フューレン支部長の懐刀』、ハジメは『白髪の水銀使い』、雫は『銀髪の剣鬼』、優花は『桃髪の世紀末女』、ユエは『金髪の奇術師』、シアは『水髪の破壊女神』、ティオは『黒髪の爆炎痴女』、幸利は『紫紺の蝶』との異名を轟かせる事になるのだが、それはまた別の話。

またこの一件で大暴れしたハジメ達の処遇について、イルワが関係各所を奔走した事、治安維持を目的とする筈の保安署が、やり方がどうあれ捜査に協力してくれたという理由で不問にするどころか感謝すらしてくれた事もあって問題なかったのも別の話。

 

「それで、そのミュウ君についてだけど…」

 

一先ずフリートホーフ摘発の件はこれで終わり、次はミュウの身柄について話は移った。

その当事者であるミュウは、イルワからの視線に驚き、またハジメ達と引き離されるのではないかと不安そうな表情で彼らを見上げた。

 

「此方で預かって、正規の手続きでエリセンに送還するか、君達に預けて依頼という形で送還して貰うか、2つの方法がある。君達はどっちが良いかな?」

 

そんなミュウを他所にイルワが提示した2つの案、前者は兎も角、後者に関しては誘拐された海人族の子を公的機関に預けなくて良いのかとハジメ達は首を傾げたが、イルワによるとハジメ達が『金』ランクである事と、今回の大暴れの原因がミュウの保護だったという事から、任せても良いんじゃないかという話になったそうだ。

元々保安署に預けつつも自分達が関われる余地は無いかと考えた末にメルキューレを渡したハジメなのだ、公的機関内でそういう話が上がっているのならそれに乗らない理由は無い、エリセンに向かう道中にある大火山へ寄る事についても、攻略メンバーでは無い淳史達に御守を任せれば問題ない。

 

「なら、後者で。ミュウ、一緒にエリセンに向かって、お家に帰ろう」

「うん!ありがとうなの、パパ!」

『パパ!?』

 

その意志を、エリセンに到着するまでとはいえ自分達の旅に同行する事をミュウに伝えたハジメだったが、それに対する返答、というよりその際のハジメへの呼び方が皆の度肝を抜いた。

 

「えーと、ミュウ?その、もう1回僕の事を読んで欲しいな」

「パパ」

「それは、アレかな?海人族の言葉で『お兄ちゃん』とか『ハジメ』って意味の言葉かな?」

「ううん、パパはパパなの」

「な、なんでやねん…」

 

まさかの父親呼ばわりに、聞き間違えじゃ無いか、海人族の方言じゃ無いかと何度も聞き返したハジメだったものの、ミュウがハジメを父親扱いしている事実が変わる筈も無く、何時もの如く関西弁でツッコミを入れていたが、そのツッコミが「何で自分がミュウのパパなのか?」と聞かれていると捉えたのか、ミュウはその訳を話し始めた。

 

「ミュウね、パパいないの。ミュウが生まれる前に神様の所に行っちゃったの。キーちゃんにもルーちゃんにもミーちゃんにもいるのにミュウにはいないの、だからハジメお兄ちゃんがパパなの」

「そっかぁ、僕がパパかぁ…」

 

やはりこの辺りは年相応と言うべきか、幼子らしい支離滅裂な理由でハジメを父親扱いするミュウ、然しながらハジメはそれを訂正しようとせず、何か考え込む様な仕草を見せ、

 

「うん、今後香織達と結婚して、皆との子供も近い内に出来ると思う。その予行練習と思えば良いか…

 

よし、分かった。今日から僕がミュウのパパだ。宜しくね、ミュウ!」

「うん!宜しくなの、パパ!」

 

やがて決意を固めたのか、一時的とはいえミュウの父親になる事を宣言したハジメ、ミュウも満面の笑みで、父親になってくれたハジメに抱き着いた。

 

「あ、それと、僕がパパという事は、香織達はママって事か。ミュウ、香織お姉ちゃん達の事、ママって呼んでくれないかな?」

「「「「「「!」」」」」」

 

因みに、一時的とはいえ自分が父親なら、その恋人であり既に結婚する意志も固めている香織達は母親って事になるんじゃないかと気づいたハジメが、一時だけとはいえ彼女達も母親扱いする様求め、それに反応した香織達6人がキラキラした目でミュウを見るが、

 

「やっ、ママはママ1人だけなの」

「パパンショーック!」

「「「「「「ママンショーック(ですぅ)(なのじゃぁ)!」」」」」」

「…何してんのお前ら」

「いやだから南雲はまだしも、ミュウちゃんにとってお前らはママじゃ無いっての」

 

自分の母親はエリセンにいる生みの母1人だけだと即答で拒否されて崩れ落ちたハジメ達と、そんな彼らにツッコミを入れる幸利達というコントかと言いたくなる光景が繰り広げられたのは余談だ。

何はともあれハジメ以外の男性陣は名前の後に「お兄ちゃん」呼び、女性陣は名前の後に「お姉ちゃん」呼びでまとまった。

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