【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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遅くなってしまってすいません、諸事情からモチベーションが上がらず、書き上げるスピードが低下していました。

決してウマ娘に嵌っていたからではないです(ヲイ

それはさておき、今話から7章スタートです。


7章『グリューエン大火山とメルジーネ海底遺跡、と…』
76話_母娘の再会、と…


トータスの大陸北西部、人間族のテリトリーである北部側の西端に位置する海上の町エリセン、今言った通り海沿いを通り越して海上に浮かぶその町は亜人族の一種である海人族が住まい、漁業を主な産業としている。

此処の漁場でとれる海産物が齎す利益もあってか海人族はハイリヒ王国、ひいては聖教の庇護を受けている事から亜人族が住まう地域では異例の所謂「自治政府」として独立的な立場を得ていた。

そんなエリセンの町は今、蜂の巣を突いたかの如き大騒ぎとなっていた、空の彼方から船に見えなくも無い巨大な物体が町へと向かって来ているのを警備兵が見つけたのだ。

その報告を受けての、兵士達の物体への対応は得物であるトライデントを構えての包囲――言うまでも無いがその物体、ひいてはその所有者と敵対する気満々である。

それも無理も無いというしかない、少し前に町のアイドル的存在であるレミアの1人娘であるミュウが何者かによって誘拐されたばかりで住民達の警戒心が増していた所にこの事態だ、何が来ようと今度は誰一人手出しさせないと、その為にはどんな手でも使ってやると過激な思考に陥るのも致し方ない。

だがそれもその物体の正体を知れば無謀だと、一番やってはいけない選択だとツッコまれるだろう。

 

「控えなさい!貴方がたを御守りする者達の顔もお忘れですか!」

 

その物体の側面が唐突に開き、何者かが中から出て来た。

すわ敵襲かと一斉にトライデントを構える兵士達、その士気に水を差すかの如く響き渡る炸裂音。

いきなり響き渡った轟音に驚く兵士達だが、中から出て来た存在を見て更に驚愕、動揺が広がった。

 

「り、リリアーナ姫様!?」

「もう姫ではありません、王妃です」

 

何せその存在は、自分達を庇護しているハイリヒ王国の王妃であるリリアーナなのだから。

そう、既にお気づきだろうが、物体の正体はハジメ達を乗せたストリボーグである。

 

------------

 

「パパ、パパ。お家に帰るの。ママが待っているの!ママに会いたいの」

「そうだね、ミュウ。急ごう」

 

混乱しきりだったあの場を何とか治め、ミュウの家へと向かうハジメ達、特にミュウにとっては数カ月振りに我が家に帰れ、実の母親と再会出来るとあってか早く早く!と言わんばかりにハジメの腕を引っ張りながらの早足になっており、ハジメもそんなミュウの心情を察してかペースを合わせていた。

尤も此処まで急かす理由は、そういった望郷の念ばかりでは無いのだが。

敵襲かと思ったら実は自分達を庇護しているハイリヒ王国の首脳達を乗せた船が来訪したのだと分かり、気付かなかったとはいえとんだ無礼を働いてしまった事に青ざめた海人族の兵士達を如何にか宥めていた時、ミュウの母であるレミアの現状を知る事となった。

ミュウが攫われたその日、はぐれていた彼女をレミアが探していた所で、海岸近くで砂浜の足跡を消しているという不可解な行動をする男達と遭遇、ミュウの所在を尋ねようと近づいた瞬間「しまった」と言いたげな表情と共に男の1人が詠唱を始めたらしい。

その様子からミュウがいなくなった事に関与していると確信、彼女を取り戻そうと足跡が続いている方向へ行こうとしたレミアだったが、男の1人に殴られて転倒、追い打ちの如く放たれた炎弾が足に直撃、その衝撃で吹っ飛ばされて海に落ち、気絶したまま数時間漂っていたらしい。

帰りの遅いレミア達を捜索していた自警団の者達に助けられた事で一命は取り留めたものの、負傷して数時間も海水に晒され続けた事もあってレミアの足の神経はやられ、歩く事も泳ぐ事も出来ず、ミュウを探そうという思いを自警団や王国に一任するしか出来なかったそうな。

はぐれた所を攫われたとミュウが言っていたにも関わらず、兵士達が誘拐と断定出来たのは、それ故に殺気立っていたのはそういう背景があったのだ。

それを聞いていたのもあって、普段は年の割に落ち着いていると言われているミュウも早く母に会って安心させないと!と、居ても立ってもいられないといった様子であった。

其処へ、

 

「レミア、落ち着くんだ!その足じゃあ無理だ!」

「そうだよ、レミアちゃん!ミュウちゃんなら直ぐに来てくれるから!」

「嫌よ!ミュウが帰って来たのでしょう!?なら、私が行かないと!迎えに行ってあげないと!」

 

とある家から飛び出そうとしている女性を、数人の男女が抑えていた、その会話の様子からして、飛び出そうとしている女性がレミアで、知り合いがミュウの帰還を伝えた所なのだろう。

その声を聞いたミュウは、パァァ!という擬音が聞こえて来そうな程に顔を輝かせ、ステテテテー!という擬音が聞こえて来そうな勢いで疾走し、

 

「ママぁ!」

「ミュウ!?ミュウ!」

 

精一杯の大声で呼び掛けながら胸元へ飛び込んだ。

飛び込んで来た愛娘を、もう離さないと言わんばかりに抱きしめる母親という姿を周囲の人々が温かく見守る中、無事だった事への安堵や守れなかった後悔等の様々な感情が綯い交ぜになり「ごめんなさい」と何度も呟きながら大粒の涙を流すレミア、そんな母をミュウは心配そうな眼差しを向け、

 

「大丈夫なの、ママ。ミュウは此処にいるの。だから、大丈夫なの」

「ミュウ…」

 

その頭を優しく撫でながら慰めの言葉を掛けた。

離れ離れになる前は人一倍甘えん坊で寂しがり屋だった筈のミュウに気遣われるとは思わなかったのか、ポカンとした様子で見つめていたレミア、やがて娘の成長を実感したのか苦笑いを浮かべながらも安堵していたが、

 

「あ、そうだ!ママの足!足の怪我!やっぱり痛いの!?」

 

再会出来た喜びも落ち着いたのか先程聞いていた事、レミアが足に大けがを負っていた事を思い出し、悲鳴じみた声をあげた。

そんなミュウを宥めようと「大丈夫」と声を掛けようとしたレミア、だがミュウはそれよりも早く、この世で最も偉大で頼りになる『パパ』に助けを求めた。

 

「パパぁ!ママを救けて!ママの足が痛いの!」

「え、ミ、ミュウ!?今、何て…」

「パパぁ!早くぅ!」

「あら?あらら?やっぱり、パパって言ったの?ミュウ、パパって?」

 

まさかの事態に大量のハテナマークを浮かべて混乱しきりなレミア。

周囲も「レミアが、再婚?そんな、バカな…」「レミアちゃんにも、漸く次の春が来たのね!おめでたいわ!」「嘘だろ?誰か、嘘だと言ってくれ、俺のレミアさんが…」「パパ、だと!?俺の事か!?」「きっとクッ〇ングパパみたいな芸名とかそんな感じの奴だよ、うん、そうに違いない」「おい、緊急集会だ!レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバー全員に通達しろ!こりゃあ荒れるぞ!」等々色んな意味で危ない発言が飛び交う等騒々しくなった。

まあそれも無理は無い、ただでさえレミアとミュウの母娘は此処エリセンではアイドル的な存在、そんな家族に新たな一員が加わったなんて話は全く無かった(レミア本人に覚えが無いのだから当然だが)のだ、其処にいきなりミュウが『パパ』と呼ぶ存在がいるなんて爆弾が放り込まれたらこの様な混乱が起こるのは必然である。

然しながらその混乱と共に誤解が広まっていく状況、入り込むのは至難の業と言うしかなくなっているが、これを予測出来ない、割り込めない『パパ』ではない。

 

「任せて、ミュウ!レミアさん、一先ずはこれをどうぞ」

「あ、はい」

 

前以て聞いていたのもあり準備は万端、躊躇なく混乱の渦中へと入り込んだハジメ、周囲の視線が突き刺さるのもお構いなしにレミアの前へと歩み寄り、水が並々と入ったコップを差し出した。

 

「んく、んく…あ、あら?

足の感覚が、戻ってる?それに、う、動く!?」

 

勧められるがままその水を飲み干したレミア、だが次の瞬間、不思議な事が起こった。

余りにも痛々しい有様だった彼女の両足がビデオの早回しの如く一気に元通りになっただけでなく、火傷や骨折に伴う裂傷等で神経がズタボロになった為に消え失せていた感覚も復活、挙げ句に自分の意志で動かせる様になったのだ。

言うまでも無いが、ハジメが差し出した水の正体は神水、今起こった現象は神水を摂取した事による治癒作用である、レミアの怪我があくまで『損傷』であって『欠損』で無かったが故に出来た事なのだ。

だがレミアも周囲の人物もそんなの知ったこっちゃないので混乱は益々広がり、遅れてやってきたリリアーナ達と合流した後で何とか収まった。

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