【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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78話_大砂漠内の大迷宮

レミアがハジメへの揺らぐ事の無い想いを告白してから2日後、オルクス大迷宮とライセン大迷宮を無事に攻略した幸利達3人が、ハジメ及び前以てエリセンへと来ていた香織達と合流した事で一行は新たな大迷宮を攻略する旅を再開する事となり、滞在していたレミア達の家を後にし、エリセンの町の人達からの出迎えの声を背にストリボーグへと乗り込んだ。

因みにその出迎えの声の中にレミアとミュウの母娘、リリアーナの姿はない、これは後述する理由から3人は既にハイリヒ王国にいるからである。

先述した告白を聞いて満更でも無かったが、ミュウの将来を考えると躊躇せざるを得なかったハジメは、一先ずその返事を保留する事にした。

とはいえレミアの好意を無碍には出来ない、というよりミュウの存在もあってか彼女もまたハジメにとって『大切な人』と見られる事はこれで確実、エヒトルジュエ及びその使徒、邪教関係者に人質として狙われる事は確定的明らかだ。

その魔の手からレミア及びミュウを守る上で、此処エリセンはハイリヒ王国との距離という意味でも海沿いの町故の見晴らしの良い地形という意味でも都合が悪過ぎる、ボルショイ・ティラーもフェアベルゲンやヘルシャー帝国、アンカジ公国に配布済みでマナジェネレーターを搭載した機体は既に無いのでレミアに渡す事が出来ない。

それを踏まえ此処よりもその身を護り易いのと、もしハジメがその想いを受け入れてレミアが王妃に、ミュウが王女になったとしても大丈夫な程慣れて貰う為に、2人はエリセンの町を離れハイリヒ王国の王宮で匿われる事となり、彼女達が住んでいた家はハジメ達の旅の拠点となり、ハジメ達も不在の間はエリセンに住まう者達が管理する事となった。

こうして昨日リリアーナ達と一緒にストリボーグで王国へと向かったミュウとレミア、その帰りに香織達4人は搭乗、ただ1人残っていたハジメと合流した…その際、ほんの数日だけとはいえ離れ離れになって余程寂しかったのか一晩どころか迷宮攻略に動いていた幸利達と合流するまで滅茶苦茶(ピー)しまくったのは余談だ。

こうして一行を乗せたストリボーグは、4つ目の大迷宮『グリューエン大火山』を目指し、東側に広がるグリューエン大砂漠へ突入した。

赤銅色の砂を巻き上げ続ける巨大な嵐の所為で三百六十度、見渡す限りその色のみ、肉眼では周囲が全く見えないと言うしかない砂漠の空中を、淳史らストリボーグのクルーが計器類を駆使して探索しながら航行させている中、

 

「なあ皆、ちょっと良いか?」

「どうかした、トシ?」

 

大迷宮攻略に向けてしばしの休憩をとっていたハジメ達に、幸利が何かを取り出しながら声を掛けて来た。

 

「オルクス大迷宮を攻略していた時、ユエが封印されていたっていう部屋に立ち寄ったんだ。その際にハジメが言っていた、何かが封印されているらしき紋章も見つけてな、それを月光蝶でこじ開けてやったら、こんな物が出て来たんだ」

「これは、アーティファクトかい?」

「というか月光蝶でこじ開けたって、何気に凄い事やっているね清水君…」

 

言うまでも無くそれはユエの叔父からのメッセージが記録されたアーティファクト、それに興味を示すハジメ達の一方、マックイー

 

「中の人一緒だけどメジロ家の令嬢じゃないからね、髪の色それっぽいけどゴールドシップちゃんにやたらと絡まれるウマ娘じゃないからね」

「か、香織?急にどうしたの一体?誰に対して言っているの?」

 

げふんげふん、香織はそれを手に入れる為に使った月光蝶の凄さに、それを編み出した幸利の凄さに改めて感心していた。

 

「ああ、映像記録用のな。発見された場所からして誰がそれを残したのかは想像つくだろうが、まあ一先ずは見てくれ、ソイツに残された全てを」

 

ユエが封印されていた部屋からという出処からアーティファクトを残していたのが誰か思い当たり多少なりとも警戒の色を見せた一行の様子を察知した幸利、話は映像を見てからだと促し、アーティファクトを起動した。

案の定と言うべきか、起動と共に出現したユエの叔父の映像を見て警戒心を露わにするユエ達、だが彼女達もハジメの影響かその行動に疑問を抱いていた故か、話を聞いている内にその警戒も薄れ、その複雑ながらもユエを第一にという想いを汲み取り、悲痛な面持ちとなって行った。

何より叔父――ディンリードが本当は自分の事を第一に思っていた事を知ったユエの悲しみは計り知れず、映像が終わりその姿が消えてから、ハジメの胸の中で何時までも泣き崩れていた。

 

「…トシ、これを此処で見せたのは、ユエに関して後顧の憂いを断つ為、という事かな?」

「ああ。何せあのエヒトルジュエがその身を狙っているって話だ、その為には手段を選ばないだろう。きっとディンリードがユエを封印した時だって、その身を手にするべくユエの実の父母とかを洗脳するなりして根回ししていたのかも知れねぇ、だからあんな手に出たのかもな。で、ユエの身を手にするのを阻止したディンリードは奴か、その眷属、或いは邪教の連中によって殺されただろう、実際直ぐに吸血族の国は滅んだらしいしな。いやそれだけならまだしも、亡骸を利用するなんて手を打っているかもしれん。もしそうなら、この事を知っておかないとマズいと思ったんだ」

 

そんなユエの一方、改めてエヒトルジュエの悪行、その自分勝手な目的を知ったハジメ達は憎悪と憤怒を滾らせると共に、改めて邪神討伐を誓ったのだった。

 

------------

 

「着いたぜ、皆。あれが、大迷宮があると言われているグリューエン大火山だ」

「あれが、グリューエン大火山。此処に神代魔法の1つを修得出来る魔法陣が…」

「砂嵐に囲われて見えなくなっているとかラピュ○かよ…」

 

その後、淳史からの連絡でグリューエン大火山に到着した事を知ったハジメ達は各々のISを展開しながら指令室に向かい、モニターに映しだされたその全容を目の当たりにした。

アンカジ公国より北方に約100Km進んだ先にあるグリューエン大火山、その見た目は直径約5Km、標高3000m程の巨石であり、富士山の様な円錐状の成層火山や、ハワイのキラウェア火山の様な薄っぺらい楯状火山といった所謂『火山』とイメージするそれとは違い、昭和新山の様な溶岩ドームに近い形状、山というより巨大な丘と言った方が良いだろう。

尤もその規模は標高400m足らずな昭和新山の比ではない、流石にアメリカ・カリフォルニア州北部にある世界最大の溶岩ドーム、ラッセン山には及ばないであろうが地球のそれらの中でも中々の位置につける事は間違いない。

そんなグリューエン大火山は七大迷宮の1つとして周知こそされているが、一方でオルクス大迷宮の様に冒険者が頻繁に訪れる訳では無い。

まあ、砂漠ならではの高温で尚且つ乾燥した過酷な気候、視界を0にすると言っても過言じゃない上に容赦なく身体にダメージを与えて来る砂嵐、そんな嵐に紛れて容赦なく奇襲を仕掛けるサンドワーム等の魔物達、それらを潜り抜けて大迷宮へと入ったかと思えば内部もサウナかと言いたくなる高温な気候と危険な地形、その割に魔石回収等の見返りは少ない、とあっては行きたくなる冒険者などいないに等しいだろうが…

尤もそれは並の冒険者であればの話であり、航宙空戦艦であるストリボーグを、気温の高低や砂嵐等も防げるシールドバリアを展開出来るISを、どうしてもこの大迷宮へ挑まねばならない理由を持つハジメ達は躊躇せず此処へと向かい、そして難なく見つけ出して見せた。

 

「それじゃあ、行ってくるよ。淳史達は此処で周囲の監視をお願いね」

「任せな!そっちも道中、気を付けて」

「まあハジメ達ならどんな襲撃も対処してくれるだろうけどな」

 

そしてハジメ達は、艦内に残る淳史達と一言二言交わして、ストリボーグを飛び出していった。

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