【完結】機動戦士ガンダムRevolt   作:不知火新夜

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91話_例え姿形が変わろうと

大迷宮の1つであるハルツィナ樹海、その鬱蒼と生え揃った木々の間を進むハジメ達、そんな彼らに矢張りと言うべきか、樹海と言う事で昆虫を模したであろう魔物の群れが襲い掛かって来たが、一行は一騎当千を通り越して災厄クラスの化物揃い、ハジメのメルキューレによる縦横無尽・変幻自在な攻撃が、香織のスプィーシカによるレーザーが、雫のリェーズヴィエ、優花のキンジャールによる斬撃が、シアのヴァルによる打撃が魔物達に襲い掛かり、瞬く間にその命を刈り取って行った。

然し、

 

「だー、鬱陶しい!ハジメ、この辺り燃やしちゃって良い!?良いわよね!?」

「優花ちゃん、急に何を言い出しているの!?」

「優花、気持ちは分かるけど落ち着きなさい!」

「こんな鬱蒼とした中で火なんて使ったら被害は甚大、ユエさん達が巻き込まれかねませんよ!ISを纏っていないユエさん達に優花さんの炎が直撃したらどうなるか、考えずとも分かるでしょう!」

 

何処まで言っても木々が続くだけの光景、近くを見渡すだけの視界しか確保できない状況にイライラが少しずつ募っていたのか、ある程度進んだ所で優花がマジギレ、パリャーシを取り出しながら森を燃やすと言い出したのだ。

優花のまさかの発言に驚き、落ち着けと、考え直せと説得に当たる香織達だった、が、

 

「よし、やっちゃって」

「「「ゑ?」」」

「流石ハジメね、そうと決まれば」

「待って優花。シアの言う通りユエ達を巻き込むわけには行かない、なるべく魔力反応が無い、或いは薄い方向を狙ってやってね」

「何だって良いわ、このイライラを排除出来るならね!」

 

ハジメは逆にGOサインを出した。

ハジメのまさかの承諾に香織達が唖然とする中、ハジメからの許しを受けて早速燃やそうとパリャーシを構えようとした優花だったが、一応ハジメはユエ達を巻き込まない様配慮する様忠告した。

 

「ひゃっはァァァァ!汚物は消毒だァァァァ!」

「優花ちゃんが何時も以上にはっちゃけてる…」

「それだけ、この鬱蒼とした樹海にストレス溜め込んでいたのね…」

「だね。とはいえこれである程度の視界は確保出来る、探索も少なからずは効率化出来るね。或いは最初からやっちゃった方が良かったかも知れないね…」

「ま、まあそれは言いっこなしって事で一つ…」

 

その忠告をちゃんと聞いていたが故か、パリャーシを振り回して辺り一面を焦土に、ではなくちゃんと一定方向を狙って火炎放射を行って射線上の木々を焼き尽くした優花、とはいえ溜め込んでいたストレスが尋常じゃ無かった為か何時も以上にはっちゃけた様子の彼女にドン引きな香織達の一方、ハジメは許可を出した理由を説明した。

グリューエン大火山の暑さも道中の砂嵐も、メルジーネ海底遺跡の水中故の息苦しさも水流も物ともしなかったISの機能、その1つであるオートマッピング機能で同じ所をぐるぐる回るなんて事態は起こらないにしてもこの鬱蒼とした光景は、それによって数m先までも見渡せない視界の狭さまでは、それによる心理的圧力まではどうしようも無い、それを解消する為の火炎放射の許可だったのだ。

こうして樹海に、木々を燃やして出来た道が放射状に広がり、一行の視界も一気に開けた中、その道の1つに向かって来る1体の気配を捉えた。

樹々の合間から出て来たのは、所謂ファンタジー物に登場するゴブリンの様な外見の魔物、その魔物は此方の姿を見つけるや否や「グギャ!」と弾んだ様な声で鳴きながら向かおうとするも、自らの声にハッとしたかの様に動きを止めた。

そのまま此方を見ながら動かない魔物、顔の造形から殺意を滾らせて睨んでいる様にも見えるが、

 

「あの魔物、ユエじゃない?」

「そうね、ユエが変身した様ね」

「恐らく大迷宮の仕掛けで、転移と共に姿形を変えられたって訳ね。でも私達は騙せないわよ!」

「ですね。何処から如何見ても魔物ですけど、何故かユエさんだと確信出来るですぅ、何故でしょう?」

「揺るぎない絆の強さ、かな?」

「随分アバウトな…でもそうとしか説明できないのが何とも言えないですぅ」

「さっきのユエ達を模したスライムといい、逆に魔物の姿に変えられたユエ達といい、恐らくこの大迷宮で求められている事の1つは、そういった外見に騙される事の無い程の絆の強さかもね」

「ギャッギャッ♪」

 

一行の誰もが、その魔物がユエだと確信、敵意を引っ込めて近づいた。

実を優花の言う通り、大迷宮の仕掛けによってか転移と同時にユエの身体はゴブリンの様な魔物に変えられてしまったのである、恐らくはハジメの言う通り外見で騙されない絆の強さを試す為に。

尤もその点でハジメ達は何の問題も無いどころが充分過ぎる、姿形を変えられた事で会話もままならない状態なユエの言葉も全員が普通に聞き取れるという信じがたい事態も軽くスルーされ、一行は探索を再開した。

 

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その後、ティオが変身したと思しき魔物を発見した一行、だが、

 

「あれ明らかにティオだよね?」

「あの矢鱈肌を見せたがる所は明らかにティオよね」

「ギュゥ…」

「あんなのが竜人族なのか、竜人族の誇りは一体何処に…ね。

ヤり過ぎて色んな意味で目覚めるとかR-18なヤツだけだと思っていたけど現実に起こるなんてね…」

「そうなると私達も気を付けないとですね、ヤり過ぎてああなるとか洒落にならないですぅ」

「ぶっ!?お、思わず想像しちゃったわ…」

「し、雫ちゃん?何鼻血垂らしちゃってんの?まさか…」

「痴女一歩手前に追い込まれていたのが既に1人いたなんて…」

「やっぱり、控えないと不味いかな?」

「「「「それは駄目(ですぅ)!」」」」

「ギャッ!」

 

件のゴブリンみたいな外見の魔物は、着ていた服を全て破り捨て、やけに(ピー)アピールするかの様な挙動をしながら同族を攻撃していたのだ、周囲の同族もそれを迎撃する構えを見せるもののすっぽんぽんな姿で(ズギャーン!)な挙動をしながら襲い掛かる敵に戸惑いを隠せず、その隙を突かれて倒されるものが続出した。

「竜化の際に邪魔になる」という本人の説明(言い訳)から異様なまでに露出しているプラグスーツを身に着けているのはまだ良いとしても、ハジメ達他の王族が普段身に着けているマントの着用を拒否したり、事ある毎にハジメに対して(ピー)アピールしたりと「痴女じゃねぇか!」と突っ込まれても仕方ない言動が多々見受けられる今現在のティオ、それ故に直ぐに判別出来たのだが一方で、北方の山脈地帯で初めて対面した際の知的美女な彼女は、竜人族の誇りを体現していた彼女は一体何処へ行ったのかと一同は落胆、そうなってしまったのは恐らくハジメとの(ピー)で失神する程ヤり続け、それを何日も行った末にオトされたからでは無いかと思い至り、約一名そうなりかねない状況に追い込まれている者がいたので今後気を付けないとなとハジメは考える事となったのは余談である。

 

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そして、ブルタールに変身したらしい幸利とも合流した所で、この大迷宮におけるボス敵と思しき存在、所謂トレントと言われる巨木の魔物との戦闘に突入するもこれまた難なく退けたハジメ達、すると、

 

「再生している?」

 

優花の火炎放射によって消し炭となった巨木が、まるでビデオの巻き戻しみたく元の姿へと化したのだ。

まさかグリューエン大火山の最終試練みたく何度も倒すパターンなのかと身構えるハジメ達だったが、復活した巨大トレントは襲い掛かるでもなく、やがてこの大迷宮へ入る際の再現だと言わんばかりにその身を真っ二つに割り開き、巨大な洞を形成した。

 

「成る程、中ボスであると共に次のステージへの扉でもあった、という訳だね」

 

その洞へと入った直後、やはりさっきの大樹の再現だと言わんばかりに巨大な魔法陣が足元に出現したのを見て何処か納得したように呟くハジメ、そんな彼を他所に魔法陣に刻まれた転移の術式が発動した…!




コロナの予防接種等の予定が入る為、来週の更新はお休みします。

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