遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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反省しろ自分……!


STORY98:勝利の存在しない決闘(デュエル)

 

ラース:LP 0

手札:0枚

フィールド

:モンスター無し

:スカル・オーバーロード(通常魔法)

 

 

 

黎:LP 3200

手札:6枚

フィールド

:W・S ライトニング・ガルーダ(ATK 4600)

:W・S ボーガン・ド・ショモー(ATK 4900)、W・S カープラント・ドラゴン(ATK 4400)

:伏せカード2枚

 

 

 

フィオ:LP 4000

手札:3枚

フィールド

:EXモンスターゾーン無し

:フルール・ド・バロネス(ATK 3000)、相剣大公-承影(ATK 4200)、守護天霊ロガエス(ATK 2400)

:伏せカード1枚、神の居城-ヴァルハラ(永続魔法)、天空の聖域(フィールド魔法)

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

「馬鹿な、ライフがゼロなのにデュエルが終わっていないだと!?」

「……有り得ない、何が起きてるの」

「マズいですよこれ、本当にマズいです」

 

 ライフがゼロになり、デッキのカードも無くなった。否、自分から無くしたのに、ラースは敗北していない。

 あの野郎、敗北条件を書き換えるカードを発動したって事かよ。

 

「『スカル・オーバーロード』の効果により、除外されているカードを全て持ち主の墓地に戻す。これで『承影』の攻撃力は下がる」

「くっ!」

「そして除外されていたカードの中から好きなカードを1枚手札に戻す。我は『会稽白骨惑星』を選択し、再び発動」

 

 

相剣大公-承影:ATK 4200→3000

 

 

 雲海の古跡に囲まれていた場が再び割れ、奴の足元から瘴気の沸き立つ死の世界が生まれる。

 これで、俺達は再び白骨化したゾンビを倒さないといけなくなった。

 だがそれ以上の問題は、ラースがデュエルというカードゲームを行う上で決して破ってはならない禁を犯しているという事である。

 

「何故だラース、何故お前のライフはゼロになったのにデュエルが終わらない」

「そう焦るな、今教えてやる」

 

 効果処理が終わったのか、ラースは己の黒く武骨なディスクから発動した魔法カードを引き抜き俺達に見せた。

 見た目は普通の魔法カード、漂う気配もラースの持つそれと大差は無い。絵柄も豪華なローブを纏った骸骨が黒いエネルギーの塊を構えた……、そう、『黒魔術のカーテン』のカードに何となく似ている。

 

「我は魔法カード『スカル・オーバーロード』を発動した。これは我を死者とするカードだ」

「死者にする、だと?」

「然様。死者に明日は無く、命も無い。そこにあるのはただ嘗てその地に生きていたという事、故に我はそれらを対価として失ったのだ」

 

 成程、ライフとデッキが消えたのはそういう事か。

 未来と現在を支払って、過去に縋りつく──奴は今、本物のゾンビになった。死という結末に辿り着かない、浅ましい存在に。

 

「『スカル・オーバーロード』はライフとデッキを対価に我を死者にした。死者とは即ち、闇のゲームの敗者だ。しかし我はこうして生きている、生きてデュエルを続けている。これが何を意味するか分かるか?」

「テメェ……!」

「そうだ、我は今後ダメージを受けぬ、デッキからカードをドローできなくとも負けぬ。貴様らがこれまで何千年何万年と積み重ねてきた生死の歴史(デュエルのルール)そのものが、貴様らに牙を剥くのだ。死者は死なず、生者は死ぬという当然の道理そのものが敵となったのだ!」

「そ、そんな!?」

 

 デュエルモンスターズに於いて、勝利方法は複数存在する。だがその大半は【相手のライフポイントを0にする】【相手のデッキを0枚にしてドローさせる】の2通りに帰結してしまう。

 そして削れるライフもデッキも消えた今、それらで勝利する事は不可能となった。

 他に方法があるとすれば特殊勝利だが、俺のデッキにも、フィオの使っているデッキにもそれは入っていない。

 成程、こうすれば俺達はラースに負ける。何せ『勝てない』のだから。極端な話、ラースは今後ドローゴー(何もしない)で俺達のデッキ切れを待つだけで良い。

 

「そしてこのカードを発動したデュエル中、我のライフはゼロから変動せぬ。更に通常ドローとして墓地から好きなカードを手札が5枚になるよう戻すのだ」

 

 

 

スカル・オーバーロード(オリジナル)

【通常魔法】

このカードの発動・効果は無効にならず、発動してから効果処理が終了するまで相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(1):自分のLPを全て払い、自分の手札・デッキのカードを全て墓地へ送って発動できる。

除外状態である全てのカードを持ち主の墓地に戻し、墓地に戻った自分のカードの中から1枚を選び手札に戻す。

デュエル中、自分は以下の効果を適用する。

●自分のLPは0から変化しない。

●自分はLPが0でも敗北せず、デッキからドローできなくても敗北しない。

●自分が通常ドローを行う場合、代わりに自分の墓地から手札が5枚になるようカードを選び手札に加える(相手はこの5枚のカードを確認できない)。

●自分がカードの効果でデッキからカードを手札に加える場合、代わりに自分の墓地から好きなカードをその枚数分手札に加える。

●自分・相手のカードの、このカードのコントローラーの墓地のカードの枚数を参照する効果は無効となる。

(2):(1)で墓地に送ったカードの効果は、次の自分スタンバイフェイズまで無効となり発動できない。

 

 

 

 アリかよこんなの、敗北そのものが無いじゃねぇか!

 デッキから墓地に行ったカードは暫く使えないが、それでもその間に倒せないなら何の意味もネェ!

 しかもフィールド魔法が復活しやがった、これでアンデット族モンスターは破壊耐性を持ったに等しい。クソ骨野郎が……!

 

「ど、どうしよう黎……、こんなのどうやって倒せば良いんだよ……。わたし、ライフもデッキもゼロの相手の倒し方なんて知らないよ!」

 

 だが。

 

「それでも、踏ん張れフィオ」

「ふ、踏ん張れって」

「確かに、今の奴は無敵にして不死だ。限りあるリソースを分配して切り崩す俺達(生者)ではいつかスタミナの差ですり潰される」

「敗北宣言じゃん!」

「だが、それでも、足掻け。最後の1秒まで諦めず足掻くんだ。死者は死者の国にいるからこそ死者、生者の国にしゃしゃり出て来た奴は火葬して土葬して水葬して骨の欠片も残さず分解されるんだよ。それが俺達の理屈、俺達の道理だ、現世に来たならあいつらも現世のルールに従っているんだ」

 

 無敵、不死身、完璧。

 そんなのはデュエルでは有り得ない。

 鉄壁の布陣も永遠には続かない、どこかでスタミナが切れたり予想外の対策を喰らったりして崩れるものだ。

 無論、その対処法が俺の手の中に無ければ意味は無い。

 それでもどこかに隙があると信じて、俺は諦めない、諦めたくないんだ。

 

「フィオ、俺は死人だ。だからこそ分かる。あんな骨に負ける程、人間は弱くない。喰らい付け、白骨死体なんて蹴り砕いてしまえ」

「……了解!」

「その意気だ」

 

 諦めなければ勝てる、というのは幻想でしかない。

 だが諦めたら勝てるかも知れない未来は絶対に掴めない、限りなくゼロに等しい数値であっても勝利できる可能性があるのなら、それに手を伸ばす。

 敗北ではなく勝利を得たくば、それしか道は無いのだから。

 

「有りもしない希望に縋るか、愚かよな」

「俺の目には、ルールを捻じ曲げてまで敗北から逃げ惑うお前の方が愚かで可哀想な奴に見えるが?」

「笑止、なら己の愚かさを知らぬまま死ね! 我は墓地の『エクスポート・エクトプラズム』を除外し効果発動! 墓地及び除外ゾーンにこれが3枚存在する場合、内1枚を除外する事でエクストラデッキから“スカル”モンスターの効果と攻撃力を無効にして特殊召喚する!」

 

 成程な、あのカードは前のターンに『自家融解』で墓地に仕込んであったカード。『スカル・オーバーロード』の制限は受けないのか。

 

「我は3枚を墓地から除外! 現れよ、そして我に傅け! 『スカル・ウィングヴィラン』、『スカル・ウェイストファイター』、『スカル・ディスアポイントナイト』!」

『『『オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!』』』

 

 

スカル・ウィングヴィラン:ATK 0

スカル・ウェイストファイター:ATK 0

スカル・ディスアポイントナイト:ATK 0

相剣大公-承影:ATK 3000→3300

 

 

 一気に3体のモンスター。『スカル・オーバーロード』のデメリットを見越した布陣は事前に仕込んでおいたか。

 骨の鳥人間、骨の鎧男、骨の騎士が並んだがいずれも攻撃力は0……。何を狙っている。

 

「『承影』の効果! フィールドと墓地のカードを1枚ずつ除外する!」

「『エクスポート・エクトプラズム』の効果! それを無効にし、除外ゾーンのこのカードを全て裏側表示にする!」

「くっ!」

 

 

 

エクスポート・エクトプラズム(オリジナル)

【通常罠】

このカード名の(1)の効果はデュエル中に3回まで使用でき、(2)の効果はデュエル中1度しか発動できない。

このカードの効果を発動するターン、自分は他の方法でEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分の墓地及び除外状態の自分の「エクスポート・エクトプラズム」の合計が3枚の場合、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。

自分のEXデッキから「スカル」モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力は0になり効果は無効となる。

(2):このカードが除外されたターン、相手のモンスター効果が発動した場合に発動できる。

その発動を無効にする。

その後、除外状態のこのカード、及び同名カードを全て裏側表示の除外状態にする。

 

 

 

「バトル! 我は3体のモンスターで『ボーガン・ド・ショモー』を攻撃! さぁ、負けて来るが良い!」

「何!?」

「やられたそういう事か!」

 

 ラースの指令を受け、俺の鳥女に向かって3体の骨モンスターが飛び込んで来た。一瞬でそいつらは矢で撃ち抜かれるが……。

 

「フィールド魔法『会稽白骨惑星』の効果により、たった今破壊された我のモンスターは攻撃力を1500アップし特殊召喚される!」

「っ、そうか! 奴のライフは今ゼロ! どれだけ自爆特攻してもゼロはゼロのままなんだ!」

「そうだ、本来なら自分の首を絞める行為だが、奴は死者となった! 首を絞めたって死なない!」

「カァークィハハハハハハハッ! ようやっと分かったか、我が貴様らに敗北する事は有り得ないという絶対の真実が!」

 

 

スカル・ウィングヴィラン:ATK 2100→3600→3300

スカル・ウェイストファイター:ATK 2300→3800→3500

スカル・ディスアポイントナイト:ATK 2500→4000→3700

 

 

 これは……、想像以上に厄介だぞ……!

 奴のフィールド魔法はモンスターの破壊がトリガーになって、破壊されたモンスターを蘇生する。だからその上から殴り続ければいつかライフをゼロにする事は理論上可能だ。だが自分のカードでライフをゼロにしてデュエルを続行させられてはそれができない。奴にはもう傷を付けられるライフが無い、死者に痛みを与える事はできない。

 

「さぁ再び戦闘だ! まずは『ウィングヴィラン』で今度は『ライトニング・ガルーダ』を攻撃! この瞬間、『ウィングヴィラン』の効果発動! 1ターンに1度、このモンスターがバトルを行う場合、相手の効果は無効となり攻撃力は半減する!」

「っ!?」

 

 

W・S ライトニング・ガルーダ:ATK 4600→2300

 

 

「黎のモンスターの攻撃力が!?」

 

 骸の鳥をまとった鳥人間の突進により、雷をまとった鳥神の力が大きく削がれてしまった。

 そのまま突進してきた敵の攻撃を受け止める事もできず、心臓を真正面から貫かれてしまう。更にはその余波が俺を真正面から襲い、俺を数メートル吹き飛ばして片膝を付かせてくる。

 

 

黎:LP 3200→2200

 

 

「ぐ、が……っ!」

「更にモンスターを戦闘で破壊した時、貴様らのモンスターを全て破壊し、1体につき2000のダメージを与える! この時“破壊されない”耐性を貫通する! 死ねぇ!」

「主殿!」

 

 くっそ、破壊耐性を与えるモンスターを潰されたか。だがそっちを通すワケにはいかない!

 

「カウ、ンター罠……ッ! 『バックドライブ・ストーム』発動! 効果ダメージを与える効果を無効にして、ぐっ、破壊する!」

「『会稽白骨惑星』の効果で特殊召喚されたモンスターは効果では破壊されぬ!」

「だがダメージを無効にする事は、っ、できる!」

 

 風には風を。死を運ぶ風には、同じく死を運ぶ風を。

 追加で放たれた暴風にこちらも暴風で対抗、両者の台風が如き大風は相殺し合い消滅した。

 くっそ、イッテェな……。弱って来ている俺の肉体にはこの程度の、たった1000ぽっちのダメージすら厳しいのか、情けない……!

 

 

 

バックドライブ・ストーム(オリジナル)

【カウンター罠】

(1):自分フィールドに「W・S」モンスターが存在し、効果ダメージを与える効果が発動した時に発動できる。

その発動を無効にして破壊し、それがモンスターカードなら攻撃力分のダメージを与える。

この効果の発動に対し、相手はカードの効果を発動できない。

(2):自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、ダメージステップにこのカードを除外して発動できる。

その戦闘で発生するダメージは半分になる。

 

 

 

「ならば続いて『ウェイストファイター』で『承影』を攻撃! この瞬間、『ウェイストファイター』の効果発動! このカードがバトルする時、自分フィールドの他の“スカル”モンスターの数×2000の攻撃力を得る!」

 

 

スカル・ウェイストファイター:ATK 3500→7500

 

 

「攻撃力7500っ!?」

「4200のダメージで終わりだ!」

「マスター、避けてぇっ!」

「俺は……っ、墓地の『バックドライブ・ストーム』を……ぐっ、除外! ダメージを半減させるっ!」

「黎! ……っ、『承影』の効果! 除外されたカードが増えた事でステータスが100増減する!」

 

 

相剣大公-承影:ATK 3300→3400

スカル・ウェイストファイター:ATK 7500→7400

 

 

「鬱陶しい、いい加減に失せよ!」

「がっ、ぐ、ぁあああああああああああああああああああっ!」

 

 

フィオ:LP 4000→2000

 

 

 強烈な右ストレートを受け、龍面の大剣士が吹き飛ぶ。その余波で同様にフィオも茶髪を散らしながら吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。

 

「がはっ!?」

「マスター!」

「いかん、直撃だ!」

「フィオッ! しっかりしろ、フィオッ! すまない、受け止め、られなかったっ、っ!」

「いっつつ……。はい、謝らない、いったた……。ちゃんと受け身取ったし、そもそも隣で守るためにいるんだから、君の保護なんて期待して立ってないよ……!」

「フィオ……」

「それに、まだ終わってない……!」

「然様、我にはまだ攻撃可能なモンスターが1体いる。更に『承影』が消滅した事で我のモンスターの攻撃力は元に戻っておるぞ」

 

 

スカル・ウィングヴィラン:ATK 3200→3600

スカル・ウェイストファイター:ATK 7400→3800

スカル・ディスアポイントナイト:ATK 3600→4000

 

 

「さぁやれ『スカル・ディスアポイントナイト』、『守護天霊ロガエス』を攻撃ィ! 『ディスアポイントナイト』のモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを2つ使い、相手モンスターを全て破壊する!」

「だがそのモンスターは墓地から復活させたモンスター、オーバーレイ・ユニットは──」

「このモンスターは他のモンスターが全て攻撃宣言を行っている場合、オーバーレイ・ユニットを使わずに効果を発動できるのだ! ただし攻撃力分のダメージを受けるがなぁ!」

「またライフがゼロなのを利用された!?」

 

 髑髏の騎士が鎧に格納されていた骨の翼を広げ、そこから黒い光の榴弾を無数に放つ。

 破壊の黒は全てのモンスターを巻き込み、俺達のモンスターは1体も残らず消滅した。

 

「『ロガエス』と『バロネス』が!?」

「こっちも全滅だぜ……!」

「更にこの効果を使用した場合、このモンスターは2回攻撃ができる! まずは貴様だバランサー、死ねぇ!」

「リバースカード、オープン! 『レベル・レジストウォール』! 破壊された『バロネス』を対象に発動し、デッキから効果を無効にしてレベルの合計が10になるようモンスターを特殊召喚する! わたしを守って、皆!」

 

 

イーバ:DEF 200/☆1

ブーテン:DEF 300/☆1

マジェスティ・ヒュペリオン:DEF 2700/☆8

 

 

 破壊されたモンスターの魂は別の壁モンスターに。フィオだって雑魚じゃない、一廉(ひとかど)のデュエリストとして場に壁モンスターを並べて防御の陣形を張る。

 一瞬だけ止まった髑髏の翼騎士は、その切っ先を今度は俺に向けた。

 

「なら貴様から駆除してやる、死ねぇ!」

「『ガード・ブロック』発動! ダメージを0にして1枚ドロー!」

「だがこのカードは2回攻撃できる! 今度こそ死ね、“騎士”の魂ィッ!」

「俺は墓地に存在する『スウォーム・レイニアスズ』の効果発動! デュエル中1度だけこのカードを攻撃表示で特殊召喚し、戦闘を継続する! 更に相手モンスターの攻撃力の半分を自分の攻撃力に加える!」

 

 

W・S スウォーム・レイニアスズ:ATK 500→2500

 

 

「邪魔だ、羽虫めが!」

「っ、──っっ! ……が、ぁ……、ぐ……っ!」

 

 

黎:LP 2200→700

 

 

 あっぶね……。

 怒涛の二連撃を前に俺達は辛うじて攻撃を受け止め切った。状況はかなりキツいが、それでも死ぬよりマシだろう。

 

 

 

スカル・ウィングヴィラン(融合・効果モンスター)(オリジナル)

星6

風属性/アンデット族

ATK 2100/DEF 1200

属性の異なる「スカル」モンスター×2体

(1):1ターンに1度、このカードが戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。

戦闘を行う相手モンスターの効果は無効となり攻撃力は半分になる。

(2):このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。

相手モンスターを全て破壊し、1体につき2000ダメージを相手に与える。

この時「破壊されない」効果は無効となる。

(3):このカードがモンスター効果で除外された場合に発動できる。

自分の墓地からレベル8以上の闇属性モンスターを手札に戻す。

 

 

 

スカル・ウェイストファイター(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)

星5

地属性/アンデット族

ATK 2300/DEF 1300

「スカル」チューナー+チューナー以外のモンスター1体

(1):このカードが戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。

ダメージ計算終了時まで、このカードの攻撃力は自分フィールドの他の「スカル」モンスターの数×2000アップする。

(2):このカードが効果によってフィールドを離れた時に発動できる。

デッキから攻撃力の合計が2300以下になるようアンデット族モンスターを手札に加える。

自分のLPが相手より少ない場合、更に攻撃力の合計が2300未満になるよう相手は自分フィールドのモンスターを裏側表示で除外しなくてはならない。

(3):墓地のこのカードと「スカル」モンスターを2体除外して発動できる。

自分フィールドに「骨片トークン」(アンデット族・地・星2・攻/守0)3体を守備表示で特殊召喚する。

 

 

 

スカル・ディスアポイントナイト(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)

ランク4

光属性/アンデット族

ATK 2500/DEF 2500

アンデット族レベル4モンスター×2

(1):このカードのX素材を任意の数取り除いて発動できる。

このターン、このモンスターは2回攻撃できる。

その後、取り除いた数によって以下の効果を発動する。

●1つ:モンスターの攻撃を無効にする。

●2つ:相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

(2):自分フィールドの他のモンスターが攻撃宣言を行っている場合、このカードはX素材を取り除かずに(1)の効果を発動できる。

その場合、自分はこのカードの攻撃力分のダメージを受ける。

(3):このカードが除外された場合に発動できる。

自分の墓地または除外状態のフィールド魔法を1枚選んで手札に戻す。

 

 

 

「……さ、サー、大丈夫!?」

「何とか……な……っ!」

「辛うじて防いだか、しかし苦痛の時を伸ばしているに過ぎぬ。我はこれでターンエンドだ」

 

 

 

ラース:LP 0

手札:0枚

フィールド

:EXモンスターゾーン無し

:スカル・ウィングヴィラン(ATK 3600)、スカル・ウェイストファイター(ATK 3800)、スカル・ディスアポイントナイト(ATK 4000・ORU:0)

:会稽白骨惑星(フィールド魔法)

 

 

 

 何とか生き残れたか……。

 このままでは奴の言う通りジリ貧だ。何とかして手を打たないと。

 手札は7枚、だがどのカードを使ってもライフもデッキも無くなった死者を滅ぼせない。さてどうしたものか。

 

「すぅー……、ふぅー……」

 

 全身の痛みが全く引かない。呼吸を整えて息の乱れを静めても、頭痛や熱病の時のようなフラつく感じがする。

 フィオも綺麗な明るい茶髪が泥まみれ、花も恥じらう年頃の乙女の柔肌も傷だらけだ。ああ、自分の情けなさに吐き気がするぜ。

 それでも俺達はまだ戦える、戦えるんだ。今は奴をどう倒すかだけに意識を集中させろ。

 

「……サー……」

「お2人を、信じましょう……!」

「迷った時はカードを引くのみ。俺のターン、ドロー!」

 

 ……駄目だ、このカードではラースという悪霊を祓う事はできない。

 今の奴は亡霊だ、実体は無くただただ生きる者を害する。剣も銃も効かないアレを倒すには尋常ならざる手法が必要だが、果たしてそれを見つけられるか。

 

「黎、あんなのどうやって倒せば……!」

「分からん。だがそれでも、俺はライフが1でも残っている限り、デッキにカードが1枚でも残っている限り、指が1本でも動く限り、諦めはしない。諦めたら死ぬんだ、死んでラースに食われてしまうんだ。最後の1分1秒まで戦う覚悟を決めろ、フィオ」

「……分かってるよ!」

「ならば良し! まずは鬱陶しい3匹のアンデットから倒す、俺は手札から『W・S シャドー・ハーピー』を召喚!」

『キャハッ!』

 

 デュエルでやる事は変わらない。

 モンスターを倒す、魔法・罠カードを破壊する。

 デッキのリソースが切れるまでそれを繰り返すんだ。何度でも、何度でも!

 

「『シャドー・ハーピー』の効果発動! 俺の墓地から“W・S”1体を除外し、その攻撃力1500につき1体『ハーピー・トークン』を特殊召喚する! 俺は墓地の『ボーガン・ド・ショモー』を除外! 『ショモー』の攻撃力は3100、よってトークンを2体特殊召喚だ!」

 

 

W・S シャドー・ハーピー:ATK 1000

ハーピー・トークン:DEF 1000

ハーピー・トークン:DEF 1000

 

 

 くノ一風味な翼人少女が羽をまき散らし、場にしもべを作り出す。

 これ以上あいつらをのさばらせるワケには行かない、このターンで叩く!

 

「現れろ、常闇に揺蕩うサーキット! 召喚条件は“W・S”モンスターを含む、風属性モンスター2体以上! 俺は3体のモンスターをセット!」

 

 

LM=右・右下・下

 

 

「リンク召喚! 吹き荒れろ、リンク3! 『W・S 風神ヴァユタ・プラーナ』!」

『ぬぅん!』

 

 

W・S 風神ヴァユタ・プラーナ:ATK 2000

 

 

「『ヴァユタ・プラーナ』はリンク召喚に成功した時、墓地と手札から同じレベルの“W・S”を特殊召喚できる。蘇れ、『W・S シャドー・ハーピー』! そして手札から『W・S フェーン・ジョイン・エレファント』!」

『イエーイ!』

『パォオオオッ!』

 

 

W・S シャドー・ハーピー:ATK 1000

W・S フェーン・ジョイン・エレファント:ATK 1900

 

 

 青肌の猛々しい風神に導かれ再びフィールドに現れる忍者風のハーピィ、そして新たに熱風を身にまとう象も参戦する。

 息継ぎすら惜しい、もっと、もっとだ。

 もっとモンスターを展開して、もっと奴を返り討ちにするくらい強く押し込め。

 命が何だ、死がどうした。

 今ここで痛みに怯んでいたら、何も守れない。

 

「何体モンスターを呼んでも無意味! 死者は殺せぬ!」

「殺せないなら、殺せるまで殺すまでだ! そうやって俺達はグラトニーに勝った! レベル4の『シャドー・ハーピー』と『ジョイン・エレファント』でオーバーレイ!」

 

 

☆4×☆4=★4

 

 

「エクシーズ召喚! ランク4、『W・S ブリザード・アルバトロス』!」

『ア゛ァァ!』

「『ブリザード・アルバトロス』の効果! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、墓地から“W・S”1体を回収し通常召喚する! もう1度現れろ、『スウォーム・レイニアスズ』!」

『ピィーッ!』

「『スウォーム・レイニアスズ』の効果により、手札から別の“W・S”を召喚する! 2体目の『シャドー・ハーピー』を召喚!

 更にこの瞬間、墓地に送られた『フェーン・ジョイン・エレファント』の効果発動! 墓地からこのカードと風属性モンスター1体を除外し、“W・S”を融合召喚する! 俺は墓地からさっき戻された『風車獣デセルバ』を除外!」

「これは!」

「渦巻く風よ、熱風に巻き上げられし巨獣を引き込み、ここに生まれ変われ! 融合召喚! レベル7、『W・S 幻獣帝スカイ・キマイラ』!

 更にレベル4の『シャドー・ハーピー』にレベル4の『スウォーム・レイニアスズ』をチューニング! 黒き暴風、曇天を引き裂く鍵爪の雄姿となる!」

 

 

☆4+☆4=☆8

 

 

「シンクロ召喚! 吹きすさべ、レベル8! 『W・S ブラックウィング・アサルトソード』!」

『GAAAAAAAAAAAAAA!』

『タァッ!』

 

 

W・S ブリザード・アルバトロス:ATK 2400/ORU 2→1

W・S 幻獣帝スカイ・キマイラ:ATK 2100

W・S ブラックウィング・アサルトソード:ATK 2800

 

 

 一気にモンスターを4体フィールドに出す。奴の3体より多い数を。

 これが、今の手札で出せる全力。今の手札で出せる一番強いフォーメーション。

 吹雪のアホウドリ、空色の双頭キメラ、長剣を構える鴉の剣士。そこに風の神を合わせた合計4体、これ以上のモンスターは今は出せない。

 このままブッ叩く!

 

「行くぞバトル! 俺は『ブリザード・アルバトロス』で『ウェイストファイター』を攻撃!」

「『ウェイストファイター』の効果! 攻撃力が4000アップする!」

「手札から『W・S ビル風小僧』を墓地に捨てて効果発動! 相手モンスターの攻撃力が1000ポイント以上変化する時、それを無効にして同じ数値分だけ相手モンスターの攻撃力をダウンさせる!」

「何だと!?」

 

 

 

W・S シャドー・ハーピー(効果モンスター)(オリジナル)

星4

風属性/鳥獣族

ATK 1000/DEF 1000

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードの召喚に成功した時、自分の墓地から「W・S」モンスター1体を除外して発動できる。

除外したモンスターの攻撃力1500につき「ハーピー・トークン」(鳥獣族・風・星1・攻/守0)を1体特殊召喚する。

このトークンはリリースできない。

 

 

 

W・S フェーン・ジョイン・エレファント(オリジナル)

星4

風属性/炎族

ATK 1900/DEF 1000

(1):このカードが破壊以外の方法で墓地に送られた場合に発動できる。

墓地のこのカードと風属性モンスター1体を融合素材として除外し、風属性Lモンスターのリンク先に「W・S」融合モンスターを融合召喚する。

(2):このカードとレベル6以上の「W・S」モンスターを融合素材にしたモンスターは以下の効果を得る。

●このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果・魔法・罠カードを発動できない。

 

 

 

W・S ビル風小僧(オリジナル)

星3

風属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

(1):自分フィールドに「W・S」モンスターが存在し、相手モンスターの攻撃力が1000以上アップする場合に発動できる。

手札・フィールドのこのカードを墓地に送り、その発動を無効にする。

その後、無効になった数値分だけその相手モンスターの攻撃力をダウンさせる。

 

 

 

スカル・ウェイストファイター:ATK 3800→0

 

 

「“フリーズ・ヘビーラッシュ”!」

「ぐぉおおおお!」

「続けて『スカイ・キマイラ』で『ウィングヴィラン』を攻撃!」

「『ウィングヴィラン』の効果発動! 貴様のモンスター効果を無効にし攻撃力を半減させる!」

「融合素材になった『フェーン・ジョイン・エレファント』の効果! このカードを素材にした”W・S”が攻撃する時、相手の効果は発動できない! 更に『スカイ・キマイラ』の効果により、相手モンスターの元々の攻撃力を0にして自分の攻撃力を倍にする!」

 

 

スカル・ウィングヴィラン:ATK 3600→1500

W・S 幻獣帝スカイ・キマイラ:ATK 2100→4200

 

 

「“キマイラ・デストロイグライド”!」

「攻撃力4200だと!? ぐぬっ!」

「まだまだぁ! 更に『アサルトソード』で『ディスアポイントナイト』を攻撃! 速攻魔法『収縮』発動! お前のモンスターの元々の攻撃力を半分にする! 喰らえ、“ブラックボルト・スラッシュ”!」

「オーバーレイ・ユニットを踏み倒す効果は他の自分モンスターが攻撃した後のみ、相手のターンでは使えない!」

「ぬぐぁあああっ!」

 

 

スカル・ディスアポイントナイト:ATK 4000→2750

 

 

 氷をまとうアホウドリ、青い魔獣、黒い鳥剣士が飛び上がり、それを敵の骨人達が追いかける。

 双方共に上空で殴り合い切り合い嚙みつき合いの激突を繰り広げるが、滑空による突進がぶつかった時、重量差によって勝者が決定した。

 敵は死んで骨だけ、重さでは勝てないのだ。

 

「3体とも粉砕! 『会稽白骨惑星』の効果で蘇生したモンスターは再復活できない、よってそいつらがフィールド魔法の効果で特殊召喚される事は無い!」

「ぐ、ぬぅ……!」

「ハッ、死者を名乗る割には痛みは感じるらしいな?」

「ほざけ!」

「ならもう一撃だ! 『ヴァユタ・プラーナ』でダイレクトアタック! “烈風のマールティ・ナックル”!」

「ぐごぁああああああああああ!」

 

 最後に風神の鉄拳制裁がボディブローで叩き込まれた。

 これだけブチ込んでやれば普通は吹っ飛んでライフも尽きる。ましてや敵の手札は0枚、降参してもおかしくは無い。

 普通なら(・・・・)、な。

 

「ク、ククハハハハ……!」

「やはり駄目か……」

 

 

ラース:LP 0→0→0→0→0

 

 

 殴って参るのは生きている奴だけ、命の無い敵では無意味。

 減るライフが無いのでは、殴った所で何も変わらない、何も変えられない。

 

「駄目だ黎、ライフは0で行き止まりだ。これ以上は減らないよ……」

「バトルフェイズ終了時に『スカイ・キマイラ』の攻撃力は元に戻る。そしてこの瞬間『ヴァユタ・プラーナ』の効果を発動。1ターンに1度、リンク先の“W・S”の攻撃力・守備力が変化した時、その数値だけライフを回復する」

 

 

W・S 幻獣帝スカイ・キマイラ:ATK 4200→2100

黎:LP 700→2800

 

 

「そしてフィールド魔法『会稽白骨惑星』の効果により、除外されている『バックドライブ・ストーム』を墓地に戻す。カードを2枚伏せて、ターンエンド」

「無駄だ、無駄無駄。足掻いた所で何も変わらん、そよ風如きに何が成せる」

 

 

 

黎:LP 2800

手札:1枚

フィールド

:W・S ヴァユタ・プラーナ(ATK 2000・左のEXモンスターゾーンに配置)

:W・S ブリザード・アルバトロス(ATK 2400・ORU:1・『W・S ヴァユタ・プラーナ』の右下のリンク先に配置)、W・S 幻獣帝スカイ・キマイラ(ATK 2100・『W・S ヴァユタ・プラーナ』の下のリンク先に配置)、W・S ブラックウィング・アサルトソード(ATK 2800)

:伏せカード2枚

 

 

 

 7枚も手札を使ってこれだからな、本来なら7150もの大ダメージを与えられたんだが……。

 『負け』が無い相手がこんなにも面倒だとは思わなかったぜ。

 

「わたしのターン、ドロー! 『強欲な壺』を発動、デッキから2枚ドロー!」

「クク、バランサーよ、貴様なら分かるであろう? どう足掻こうとも現実は変わらぬ、邪神様の復活と共に全ては終わるのだとな」

「……そうだね、お前の言う通りだ。変化なんて望むべくも無い、お前すら倒せないのに邪神なんて対処できない」

 

 フィオ……。

 目を閉じ、圧倒的な敵の闇を前に彼女は肩を落としている。やはり隣に立つ事を認めるべきではなかったのだろうか。

 

「でも」

「ぬ?」

「それでもわたしは、黎が諦めないのなら、わたしだって諦めない。わたしは自分の責任から逃げないためにここにいるんだ、だから足掻く!」

「愚か者めが、人間なぞに感化されるとは天使の恥であろうに」

「何とでも言えば良い、曲げる気は無いよ」

 

 天使、か……。

 ここまで来ればフィオの正体にも勘付く。

 そうか、そういう事か。

 お前は最初からずっと責任を果たそうとしてくれていたんだな。

 だが今はそれに構う余裕はゼロ、デュエルに集中だ。

 

「手札は4枚、行くぞ!」

「例え聖なる光であろうと、死して動く骨は浄化できぬ! 我らは死者、冥府の民! 神の手届かぬ(かそ)けき恨みよ!」

「死者なら死者の国に帰れ! ここは人の国、精霊の世界! 骸の道理が通ずるものか! わたしは『創造の代行者 ヴィーナス』を召喚!」

『ハッ!』

「そして『天空の聖水』を発動! デッキから『パーシアスの神域』を手札に加え、更に『マジェスティ・ヒュペリオン』と『ヴィーナス』がいる事でわたしのライフを1000回復!」

 

 

創造の代行者 ヴィーナス:ATK 1600

フィオ:LP 2000→3000

 

 

「わたしはレベル8の『マジェスティ・ヒュペリオン』とレベル1の『イーバ』に、レベル1の『ブーテン』をチューニング!

 その炎は愛、その炎は法、その炎は鋭き剣! 光明よ、天の流れを司る太陽の輝きを以て、全てを照らす眩き焔となれ!」

 

 

☆8+☆1+☆1=☆10

 

 

「シンクロ召喚! 希望の明日よ、今ここに! 『マスターフレア・ヒュペリオン』!」

『ハァァァァァァァ、トァァッ!』

「『イーバ』の効果で墓地から『フェアリー・アーチャー』と『ヘカテリス』を除外し、デッキからレベル2以下の天使族を2体手札に加える。わたしは『神秘の代行者アース』と『宣告の狂信者(デクレアード・ディヴォーティー)』をサーチする」

 

 

マスターフレア・ヒュペリオン:ATK 3200

 

 

 召喚されたのは金色の炎を背負う太陽神。あまねく代行者の頂点に座す大いなる炎の神様。

 ここまででフィオは、大型シンクロモンスターであるレベル10のシンクロ召喚を3度もこなした。もうあのデッキは完璧に彼女の手に馴染んでいると見て良いだろう。

 

「『ヴィーナス』の効果発動。ライフを1500払い、3体の『神聖なる球体(ホーリーシャイン・ボール)』を特殊召喚する。ぐっ、うぅぅぅ……!」

 

 

神聖なる球体:DEF 500

神聖なる球体:DEF 500

神聖なる球体:DEF 500

 

フィオ:LP 3000→1500

 

 

 場に再び天使族モンスターが満ち、フィオのフィールドに渋滞を起こす。

 あまり無理をして欲しくない、1500ライフは初期4000ではかなり重いコストなのだから。

 

「さぁ行くよ! ここで墓地から『ブーテン』の効果を発動、自身を除外する事で『ヴィーナス』をチューナーにする!」

「何、チューナーでは無いモンスターをチューナーにするだと!?」

「レベル2の『神聖なる球体』3体に、レベル3の『ヴィーナス』をチューニング! 氷の世界を貫く魔槍! その眼にて睥睨する世界の終わりに座せ!」

 

 

☆2+☆2+☆2+☆3=☆9

 

 

「シンクロ召喚! 世界を凍てつかせろ! 『氷結界の龍トリシューラ』!」

『クァアアアアアアアアアア!』

 

 

氷結界の龍トリシューラ:ATK 2700

 

 

 一列に並んだ緑の輪に変化した金色の天使が、引き連れる白亜の球体を取り込み氷の魔龍を生み出す。

 本来なら強力なシンクロモンスター、打点も効果も優れたカードだが……。

 

「『トリシューラ』の効果発動! シンクロ召喚した時、相手の手札・フィールド・墓地のカードを1枚ずつゲームから除外する! わたしは場と墓地の『会稽白骨惑星』を除外!」

「ほう」

「これで墓地に残った同名カードは1枚! そしてフィールド魔法の効果で墓地に戻せるのは1ターンに1枚のみ、『会稽白骨惑星』を戻せば他のカードは戻せない!」

 

 成程、フィオはラースのフィールド魔法の厄介さに目を付け、利用し辛くしたのか。

 確かに奴はデッキを失った、破壊してもこれまで共通して発動していたリクルートは使えない。除外状態から戻すにせよ、毎ターン1枚しか戻せない上に単体でアドバンテージを回復するには戦闘を介する必要がある。そして毎ターン5枚のカードをサルベージできるが、逆に言えばフィールド魔法を含めさせるのなら、それはサルベージ内容が4枚になるという事である。

 これであいつのテンポを遅くして、チャンスを伺うつもりなのか。

 

「まだまだまだまだぁ! わたしは『マスターフレア・ヒュペリオン』の効果発動! 『天空神騎士(セレスティアルナイト)ロードパーシアス』を墓地に送る! そして手札から『宣告の狂信者(デクレアード・ディヴォーティー)』を捨てて『天空の聖域』に関わりのあるカードをサーチする効果を使う! わたしが選ぶのは『神罰』!」

「だが我の通常ドローが墓地から5枚カードを戻すのは既にルールである! いかに神であろうと規定は規定、死者の国の常識には及ばぬ!」

「構うものか! 墓地の『マジェスティ・ヒュペリオン』の効果! わたしは墓地からさっき強制的に戻された『プルート』を除外し、特殊召喚する!」

 

 

マジェスティ・ヒュペリオン:ATK 2100

 

 

「永続魔法『パーシアスの神域』を発動して、バトルだ! わたしは『マジェスティ・ヒュペリオン』『マスターフレア・ヒュペリオン』『トリシューラ』でダイレクトアタック! “エクリプス・ストリーマ”! “アルティメット・シャイニング”! “エターナル・バースト・ブリザード”!」

「ぐぉおおおおおおおおおおおお!」

 

 

マジェスティ・ヒュペリオン:ATK 2100→2400

マスターフレア・ヒュペリオン:ATK 3200→3500

ラース:LP 0→0→0→0

 

 

 二重になった太陽の熱線、そして猛吹雪が同時にラースを襲う。

 これだけでも8000超え、初期ライフ8000でもワンキルのダメージだが、ライフが0の奴にとっては些事にすらならない。事実、ラースは大きく後退ったもののすぐに不敵な嘲笑を浮かべつつ、悠々と歩いて元の位置に戻って来た。

 服も焦げて斬れて髪も凍ってるのに、文字通りピンピンしてやがる。痛覚ってモンがねぇのかよ。

 

「終わりか?」

「……!」

「クハッ! 手札がまだ5枚もあると言うのに、所詮は人間の器ではその程度よ!」

 

 フィオの手札の枚数は変わっていない。

 だがその4枚の内2枚は『アース』と『神罰』……。どちらも速効性に欠く、逆転の一手にはなれないだろう。

 

「更に魔法カード『予約カウンター』を発動! 手札のカウンター罠『神の宣告』を捨てて、このターンの終わりにデッキからカウンター罠を2枚手札に加える!」

 

 

 

宣告の狂信者(効果モンスター)(オリジナル)

星2

光属性/天使族

ATK 300/DEF 500

このカードは特殊召喚できず、このカード名の(1)の効果はデュエル中1度しか発動できない。

(1):このカードの召喚に成功した時、手札から攻撃力より守備力が高い光属性・天使族モンスターを2枚まで捨てて発動できる。

自分の墓地に存在する、または除外されているカウンター罠を2枚まで、自分の魔法・罠ゾーンに伏せる。

このターン、自分は魔法・罠カードを伏せる事はできない。

(2):自分フィールドの裏側表示のカウンター罠が相手によって破壊された時に発動できる。

墓地からこのカードを除外し、破壊されたカードを自分フィールドにセットする。

(3):このカードの(1)(2)の効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動でき、フィールドを離れた場合除外される。

 

 

 

予約カウンター(オリジナル)

【通常魔法】

(1):自分の魔法・罠ゾーンに裏側表示でカードが存在しない場合、手札のカウンター罠を1枚捨てて発動できる。

このターンのエンドフェイズに、デッキからカウンター罠を2枚まで手札に加える(同名カードは1枚まで)。

 

 

 

「カードを2枚セット、そしてエンドフェイズに『龍皇の波動』と2枚目の『神罰』を手札に加える。これでターンエンド!」

 

 

 

フィオ:LP 1500

手札:『神秘の代行者アース』『龍皇の波動』『神罰』

フィールド

:マスターフレア・ヒュペリオン(ATK 3500・右のEXモンスターゾーンに配置)

:氷結界の龍トリシューラ(ATK 2700)、マジェスティ・ヒュペリオン(ATK 2400)

:伏せカード2枚(内1枚は『神罰』)、パーシアスの神域(永続魔法)、神の居城-ヴァルハラ(永続魔法)、天空の聖域(フィールド魔法)

 

 

 

「我のターン! 『スカル・オーバーロード』の新たなルールにより、墓地のカードを5枚ドロー!」

 

 ここからラースの墓地効果が復活する。

 一応俺とフィオでEXモンスターゾーンは両方封鎖したが、それでどうにかなる相手では無いだろう。

 俺の2枚のリバースカードに加えてフィオも『神罰』がバックにあるし、モンスターも合計7体いる。だが、それでもラースを抑えられる予感が、しない……!

 

「まずはこれだ、フィールド魔法『会稽白骨惑星』を発動。今更何かを説明する必要もあるまい?」

「……ああ、進めろ」

「主殿、構えろ。来るぞ」

「マスター、お気を付けて」

 

 ラースの手により、再び世界に死の気配が漂う墓地が刻まれる。俺達の場は雲上の遺跡のままなのがせめてもの救いだろう。いくら俺でも、あんな不気味な場所で戦うのを喜べはしないのだ。

 そして言うまでもなく、ラースの悍ましい戦術は更に続く。

 

「続けて我はマジックカード『スカル・デスペンド』を発動! 我の墓地から“スカル”ペンデュラムをそのままセッティングする! よって墓地からスケール-1の『スカル・アルファ』とスケール-12の『スカル・オメガ』をセッティング!」

「ペンデュラムスケールがマイナスだって!?」

「モンスターのレベルを参照する数値がマイナスだと!?」

「死者と亡者の狭間で震える振り子よ、この世を滅ぼす邪道を導け! ペンデュラム召喚!」

 

 怒り男の背後に浮かび上がる、額にΑ(アルファ)Ω(オメガ)がそれぞれ刻まれた赤と青のしゃれこうべ(・・・・・・)。その2柱の狭間で茨のような刺々しい糸に吊るされた闇が揺れ、円形の召喚ゲートを開いた。

 そこから飛び出したドス黒い光は、5つ。

 

 

-1=-12

 

 

「出現せよ、我が下僕共! レベル1『スカル・イーター』! レベル3『スカル・シンクローン』! レベル4『スカル・ウルフ』! レベル6『スカル・サルベージャー』! レベル9『スカル・カノン』!」

 

 

スカル・イーター:DEF 0

スカル・シンクローン:DEF 800

スカル・ウルフ:DEF 500

スカル・サルベージャー:DEF 2000

スカル・カノン:DEF 1600

 

 

 現れたモンスターは当然5体。

 いずれも守備力は低いが、このまま壁にするとは到底思えない。

 加えて言えば奴の手札はターン開始時に5枚、そこから2枚魔法カードを発動して3枚になっていた。なのに今もまた3枚、であればあのモンスター達は墓地からペンデュラム召喚されたのだろう。

 減らないライフ、減らないデッキ、減らない手札、減らないリソース……。死という概念を生者にもたらす、まさに墓地に無数に埋葬されている骸の如し、か。

 

「『アルファ』と『オメガ』はその効果により手札とエクストラデッキからモンスターをペンデュラム召喚できぬ。だが代わりに、我の墓地からレベルの違う“スカル”モンスターを召喚できるのだ」

「だろうね、手札が減ってないもの」

「墓地にありったけデッキを落としたのは、そういう意図もあったのか……」

 

 

 

スカル・イーター(効果モンスター)(オリジナル)

星1

闇属性/アンデット族

ATK 0/DEF 0

このカードを通常召喚する場合、裏側守備表示でしか出せない。

このカードの攻撃力は相手の場に表側表示で存在するモンスター1体につき100ポイントアップする。

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の場の最も攻撃力が高いモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。

このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり、次の自分のターンのエンドフェイズ時まで表示形式を変更する事ができない。

 

 

 

スカル・シンクローン(チューナー・効果モンスター)(オリジナル)

星3

闇属性/アンデット族

ATK 1300/DEF 800

このカード名の(2)の効果はデュエル中1度しか発動できない。

(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターを持ち主の空いているメインモンスターゾーンに移動させる。

この効果の発動に対し、相手はカードの効果を発動できない。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地から「スカル」Sモンスターを除外して発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

 

スカル・ウルフ(効果モンスター)(オリジナル)

星4

闇属性/アンデット族

ATK 500/DEF 500

このカードはデッキから特殊召喚する事はできない。

このカードが「スカル」と名のついたシンクロモンスターまたはエクシーズモンスターの素材となった時、エンドフェイズまで相手は魔法・罠を発動する事はできない。

 

 

 

スカル・サルベージャー(効果モンスター)(オリジナル)

星6

闇属性/戦士族

ATK 2000/DEF 2000

このカードがアドバンス召喚に成功した時、自分の墓地に存在するアンデット族モンスターを1体、効果を無効にして守備表示で特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターは、表示形式の変更ができない。

 

 

 

スカル・カノン(効果モンスター)(オリジナル)

星9

闇属性/機械族

ATK 0/DEF 1600

1ターンに1度、自分の墓地に存在する「スカル」と名のついたモンスターを1体、装備カード扱いとして1体だけこのカードに装備できる。

このカードの攻撃力は、装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

1ターンに1度、このカードに装備されたモンスターを1体墓地に送る事で、送ったモンスターの攻撃力の半分だけ相手にダメージを与える。

このカードが破壊される時、このカードが装備したモンスターを代わりに破壊する。

 

 

 

「『スカル・シンクローン』の効果発動、貴様の『ヴァユタ・プラーナ』をメインモンスターゾーンに移動させる。この効果の発動に対し、相手はカードの効果を発動できない」

 

 しまった、これではEXモンスターゾーン1ヶ所を奴も利用可能になってしまう。

 しかも移動させられた先は俺の場の端、リンク先にモンスターは無い。『ブラックウィング・アサルトソード』を右から2番目に置いたのは失敗だったか……。

 

「さぁ、行くぞ?」

「っ!」

「……!」

「出現せよ、亡骸の嗤う絶望回路!」

 

 天から降り注ぐ慈雨を受け止めるかのように大きく腕を広げるラース。そして奴の足元に巨大な銀色のサーキットが生まれ、そこに5体の骨のモンスターが飛び込んでいく。

 

「召喚条件はカード名の異なる“スカル”モンスター2体以上。我は『スカル・イーター』『スカル・シンクローン』『スカル・ウルフ』『スカル・サルベージャー』『スカル・カノン』をリンクマーカーにセット」

 

 リンク5……!

 

「我が死は灰となりて止まらず、(また)あらゆる命を燃やす黒。愚かなる人類よ、死を忘れし後に日輪を掴み、魂の髄まで焼き(つい)えよ!」

 

 

LM=左・左下・下・右下・右

 

 

「リンク召喚! 目覚めよ、絶対の死を運べ! 『スカル・アビズマクス・ヘルノボーグ』!」

『HEEEEEEEEEEEEEEBOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』

 

 

スカル・アビズマクス・ヘルノボーグ:ATK 10000

 

 

 現れたのは、絶対なる“死”を告げる者。狼の毛皮を被った死神にして、この世の絶望や混沌から這い出したかのような底知れぬ深淵の黒だった。

 その手にした黒い鎌は命を刈り尽くす鋭い刃が砥がれ抜かれており、狼の頭に対する人の頭骨の面という組み合わせと黒い外套が、奴の死の使者という雰囲気を強調している。

 

「『ヘルノボーグ』の効果発動。このモンスターは2体以下の素材で召喚された時、ターンを強制終了し自身の効果を無効にする。だが逆に5体のモンスターを素材とした時、それら全てを可能な限り墓地から特殊召喚する!」

「何だと!?」

「そんな!?」

 

 

スカル・イーター:ATK 0

スカル・シンクローン:ATK 1300

スカル・ウルフ:ATK 500

スカル・サルベージャー:ATK 2000

スカル・カノン:DEF 1600

 

 

 また一気にモンスターが、5体も!?

 しかも内1体はチューナーで自己再生持ち、シンクロもエクシーズも出せるじゃねぇか。この陣形で一気に雪崩れ込まれたら、2人とも仕留められてしまう!

 

「クカハハハ、精々踊ってみせよ。貴様らが足掻いた分だけ我の勝利はより素晴らしい供物となるのだ」

「っ!」

「……っ!」

「主殿、構えろ……!」

「来ますよマスター!」

「……絶対持ち堪えて」

「さぁ、我のお楽しみはこれからだぁぁぁ!」

 

 絶望は……、どうやら門を開けてすらいなかったらしい。

 ラースのフィールドに並ぶ6体分の骨が、俺達を嘲笑うかのようにカタカタと音を立てた。

 

 

to be continued

 




次回──『黎、死す』

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