遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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ざっと5カ月ぶりの投稿……
どうせ見てる人なんてもういないだろうけども、ケジメとして完結させたいのです





フィオ・桜「「なーにかな、なーにかな! 今回は、これ!」」



ラヴァルバル・チェイン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
炎属性/海竜族
ATK 1800/DEF 1000
レベル4モンスター×2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。
●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。



フィオ「今や禁止カードのエクシーズモンスターだね、2種類の効果を持っているよ」

桜「主に禁止になった理由は、その素材の緩さと墓地肥やしだ。『グローアップ・バルブ』、『Emトリック・クラウン』、“儀式魔人”、“彼岸”……。相性の良いカードは腐る程ある」

フィオ「カードプールが増えれば増える程、サーチ効果そのものとして反映されるもんね。あっ、デッキトップに置く効果も忘れないであげてね!」


STORY101:恥知らずの命 或いは前世のお話

 

SIDE:黎

 

 

 一番古い記憶は、培養槽の中。

 人間で換算すれば3歳くらいの肉体の時だ。

 

「……」

 

 唐突な自分語りをしよう。

 

 

 

 

 

 俺達の正体、それは生物兵器だ。

 

 

 

 

 

 俺と都が産まれた世界は、一言で言えば世紀末だった。

 化石燃料が2000年代には既に枯渇し、残り少ない天然資源を巡って各国が諍いを起こし続ける世界。そんな事すればもっと減ると分かっていても、誰もが止める事ができない。そんなアホが雁首揃えて国の舵取りをしているゴミみたいな世界。

 何故そんな愚かだったのか。

 答えは簡単、利権だ。

 戦争には金が要る。

 燃料は勿論、食料、水、火薬、兵器やスコップ等に使う鉄、GPSなんかに使う半導体、その他多数。金額を書き出したら億は軽く行くし、兆を超えても不思議じゃない。

 戦争特需、という奴である。

 それをあらゆる国のお偉いさんが狙い、戦争を吹っ掛けては資源を奪った。勿論、国にとっては大赤字(黒字になったのはそいつらだけ)である。

 大人しくしていれば50年は何とか慎ましく暮らせるだけの化石燃料があったのに、そいつらは目先の金だけを求めて戦争を加速させたのだ。

 人類が気付いた時は、既に時遅し。もう戦争で大腕を振るう事ができるだけの物資は殆ど残っておらず、後に残っていたのは0.1%にも満たない裕福な人間と、毎日飢えていた一般人達だった。

 戦場に落ちていた無数の鉄塊だって、集めた所で腹の足しになんてなりはしない。溶かして加工するだけの燃料も設備も無い。

 俺はXX0X50年を迎えずに死んだが、恐らくXXYYX0年になる前に人類は滅んだだろう。無能な指導者達の手で。

 さて俺と都が産み出された理由はそうした化石燃料の不足によるものだった。

 人間を超えた人間、銃で撃たれても死なない超人、従順にしてローコストな人造兵器。それを目指して産まれた試験管ベビー(ホムンクルス)、それが俺と都。

 いや、もっとちゃんと表現しよう。

 個体名『YU-001』と『YM-185』だ。

 

「俺は遊馬崎黎、そしてあいつは都。ああ、そうさ。YUでそのまま『ユ』と呼んだから『ユマサキ』、名前は数字の語呂合わせで適当に思いついただけだ。深い意味があったんでも、誰かから譲って貰ったんでもネェよ」

 

 当時、俺達は世界中から集められた優秀……とされる遺伝子を掛け合わせて産み出された。

 何か通称があった気がするが、もう覚えていない。

 兎に角、俺も都も、そして俺達以外(・・・・)もそうして産まれたのである。

 ある者はオリンピック級に足が速い男と、ギネス並みに耳の良い女で。

 ある者は目覚ましい剣道の才能を持つ男と、常人の数倍の早さで暗算できる男で。

 ある者は類稀な卓越した経営の才能を持つ女と、聖母か菩薩が如き慈愛の心を持つ女で。

 ある者は圧倒的な暴力で裏社会で誰からも恐れられた女と、世界有数の銃撃の腕前を持つ男で。

 彼ら彼女らの遺伝子を掛け合わせ、無数の子供が人工授精によって作られて兵士としてプログラミングされていった。研究施設にあったデータによれば、そうして産まれた子供の数は6桁に届いた。

 

 

 

 だがそれは……、当然ながら上手く行くワケが無かった。

 

 

 

 当然だ、才能と才能を掛け合わせて親のスペックを全部持って行けるなら、この世はとっくに天才だらけになる。

 そうならないからこその遺伝、だからこそのDNAだ。

 結局、無駄に資源を食い荒らして養えもしない赤子を作った罪で研究は潰れ、責任者である女はクビになった。

 さぞ悔しかっただろうが、しかしその中に2人だけ、偶然にも上手く行ったギフテッドが現れる。

 それが俺──食って取り込んだ物を自分の手足のように操る化物の男。

 そして都──その血に半無限の再生能力を与える不死鳥の女。

 偶然にも俺達は同じ母親の血から産まれていた。だから先に作られた存在である俺は兄で、後から作られたアイツは妹なのだ。……まぁその母親が何て国の誰かなんて、覚える気も無かったから記憶には一欠片だって残ってはいないのだが。

 

「そうして俺は自我を得た後、自分を閉じ込めている水槽を自力で破壊。唯一俺と一緒に逃げられると見込んだ都を連れて、研究施設を破壊して逃げたんだ」

 

 幸か不幸か、自分の体の動かし方も、機械の誤魔化し方も、何番の培養槽にいる誰が自分と連れ立つに相応しいかも、奴らにインプットされたデータが教えてくれた。人を殺める事への抵抗なんて1度も教えてくれなかった癖に、人体の破壊方法は何通りも教えてくれた。

 故に、俺が去った時には既に研究所は血の海だった。

 ラノベによくありそうな善良な研究員なんていなかった、いたのは俺を駆除(・・)しようとする警備員と、震える手でレーザー銃を向ける科学者崩れだけ。

 だから俺は、食った。

 人間の骨肉を。

 銃の鉄を。

 施設のリノリウムの床を。

 紙束の資料を。

 火薬を。

 木を。

 およそ研究所にあるあらゆる有形物を。

 

 

 

 

 

 そして他の兄弟(・・)ですらも。

 

 

 

 

 

 仕方なかった、なんて口が裂けても言いやしねぇさ。

 言い訳はしない。

 殺すために殺したし、殺す必要が無い命も殺した。

 生きるために肉が必要だったし、より体を強くするためにそれ以外も必要だった。

 だから兎に角食った、食って食って食いまくって、撃たれて撃たれて撃たれ続けて、それでも研究所が半ば更地になるくらいあれこれ食い散らかして。

 そうして背中越しにあの女の罵倒を聞きながら、近くの山の中に逃げたのだ。

 

「何で責任者を殺さなかったか、って言われてもな……。その時は憎しみとかなかったんだよ。物心ついた子供だったし、都に至っては言葉もロクに喋れないくらいの子だったんだぞ。下らないクソ女1人より、これから一緒に生きていく女の子の方が大事だろ」

 

 山狩りはすぐに始まった。

 チンピラが上質な兵器を持たされ、金目的で俺達を殺しに来た。俺に食われるとも知らずに。

 1人目は泣いてる女だった。前払いされた金で借金を返したらしい。

 だから殺した。アイツは俺より都を先に殺そうとしたから、逆に手足を噛み砕いてから川に沈めてやった。

 2人目はその女の彼氏だった。今で言うDV彼氏で、借金はこいつが作ったとの事。

 躊躇い無く殺した。頸動脈に刃状の爪を立て、皮膚ごと太い血管を引き千切った。

 3人目は……、いやここから先は似たようなものか。

 斯くして俺は人類に敵対した。

 身を隠すために顔を物理的に書き換えた事もあったし、殺しに来た奴を拷問して情報を引き出した事もある。

 敵の兵士共に囲まれた時は1人を盾に銃を防いだり、軍用ヘリを叩き落して連中を火達磨にした。喉が渇けば血を飲み干し、腹が空けば生きていようとも肉を喰らった。

 学校にも行った。俺も都も別人に成りすまして、裏で買った身分で書類を作って、別人として通った。友達は、できなかったけれども。それでも大人がいる事を知れたし、友人という概念も知れた。世界に1人ぼっち、否、2人ぼっちじゃないと知れたのである。

 何かの拍子に正体がバレて逃げた事もある。逃げる途中で追手は何人だって殺した、それこそ首を引き千切って頭を塀に突き刺すなんて外道働きで相手の戦意を削った事もあった。

 

 21年。

 

 俺が自分を0歳と定義し、あの世界で過ごした日々だ。

 都は1年後に『製造』されたから、アイツは20年になる。

 楽しい事より苦しい事の方が多かった。

 笑える事より痛い事の方がいっぱいだった。

 それでも。

 それでも、だ。

 俺達はあの世界で生きた。恨みも憎しみもあるが、同時に愛着もある。

 

「俺達は知っている、人間なんて『そんな程度』ではある。だが『それ以上』でもあるんだ、と」

 

 笑いながら都の首に刃を充てた女がいた。死なない事に罵倒を飛ばしながら死んでいった。

 恐怖に抗いながら俺達に声を張った男がいた。その勇気に敬意を表し、何もせず俺達は立ち去った。

 化物と知ってなお温かいパンを売ってくれた少女がいた。その心こそ当時の俺達には何よりも嬉しかった。

 無辜の誰かを人質にした老害議員がいた。鼻で嗤ってそいつだけ丁寧に時間をかけて殺してやった。

 

 軍を指揮した男がいた。部下を皆殺しにしたら命乞いを始めたので、半日くらいかけて千切りにしてやった。

 あの女の部下が町中に毒をまいた。俺も都も平気だったが、全て俺達のせいにされたので内臓だけ生体電気を過剰に増加させて焼いてやった。

 国のトップが兵士として雇いたいと交渉に来た。巧妙な嘘だったので潜んでる奴だけ串刺しにしてそいつの目の前で八つ裂きにしてやった。

 

 知事が護衛も無しに会いに来た。俺がいると不安にさせるから町から出て行って欲しかったらしい。荷造りの時間だけ貰い、素直にそこから去った。

 友達と思っていた奴が今際の際に本音を語ってくれた。俺のせいで死んだ事に、最期まで恨み言の1つも無かった。

 渋い退役軍人が戦いのコツを教えてくれた。拳の握り方、蹴りの放ち方、逃げの見極め方、あの人から教わった事は多かった。

 

「その途中で出会ったのが、デュエルだ」

 

 デュエルは楽しかった。

 カードで頭を使うのもそうだが、絵柄も美しい。プレイングは平等で、カードの資産の差と持っている運の差が勝負を分ける。

 1枚のカードに1つの物語があり、1つのデッキに1人分の歴史があり。

 作り話だと分かっていた(こっちの世界では史実だが)。それでもそこにある神秘的なストーリー──有り体に言えば、人間じゃない色々な種族のお話は、俺達には魅力的だったのだ。

 ツノがあっても良い、羽があっても良い。肌が変な色でも、腕が2本じゃなくても、そこに生きている事が許される。

 彼らは『モンスター』であり、そこに生きる事を許された『命』でもあった。

 それは……、人間の世界に産まれてしまった俺と都にとっては救いでもあったんだ。

 

 そこに行く事は勿論できない。

 けれど。

 カードを通じて、彼らと会話する事は楽しかった。

 非人間であろうとも、そこに生きる事が許されている彼らに、きっと俺は憧れていたのだろう。

 

「予想外のカードを予想外の方法で使う奴がいたのも楽しかったよ。……その度にあっと言わされて、その時だけは俺は化物じゃなく1人の人間のプレイヤーになれていた、そんな気がするんだ」

 

 『くず鉄のかかし』というカードがある。

 ある奴は発動したこれを『サイクロン』で破壊し、何と『ダブル・アップ・チャンス』に繋げた。

 セット状態に戻る、という邪魔なアクションを潰してタイミングを強引に合わせたのである。

 

 『魔力の泉』というカードがある。

 発動するとドローを可能にするが、相手の魔法・罠を無効・破壊できなくなってしまう。

 これを逆手に取り、バトルロイヤルで味方のカードが相手の『フルール・ド・バロネス』で無効化される時に割り込んで守るプレイングには驚かされた。

 

 楽しかった。

 そう来るのか、そんな使い方があるのか。そう思えるだけで人生に彩りが生まれ、都との話の種にもなった。デュエルモンスターズとは、俺と都にとってはただのカードゲームじゃなく、人生を支えてくれたものなのだ。

 あれがあったから俺はデュエルをする仲間がいたのだ。

 辛くて泣きそうになっても、都と一緒にまたカードに触りたいと願うだけで死にたいという思いは消えた。

 それが、俺達にとってのデュエルだった。

 

 無論、負ければ悔しい。

 負けて暴言を飛ばす人もいた。

 勝って煽りやがったカスもいた。

 それでも、それも含めて人間性なのである。

 勝って驕らず、負けて腐らず。

 そうできるのなら、きっと精神的に成熟した立派な人間になれたというものなのだろう。

 

 そう。

 全部、人だ。

 人間なのだ。

 俺1人の好悪の感情で、否、誰かの良い悪いの感情だけでその行き先全てを左右してはならないのだ。

 

「さて、と。俺の大雑把な人生の道のりは以上だ。良い奴がいた、悪い奴がいた。その中で時に逃げて、時に戦って、時に殺して、時に傷付けられて、って所さ」

「成程な」

 

 そんな俺の語りに返す言葉が1つ。

 

「今更なんだが……、これ聞いてて楽しい?」

「興味があったのだ」

 

 『冥王竜ヴァンダルギオン』。

 闇の領域を司る者。

 最後の宝玉を持つ黒き死の王だ。

 

 

  ☆

 

 

「ワシはこれまで多くの命を見て来た。尤も、おんしのように違う世界から転生、なんて者は殆どおらなんだがな」

「いるにはいたのか……」

「まぁなぁ、つい最近も3人ばかしこっちの世界で死んだぞ。他にも探せばいるかも知れんし、そんな事は無いかも知れん」

 

 カカカ、と苦笑いする竜王。

 別に自分だけの特別とか思ってはいないが、思ったより多いんだな、転生者。

 

「大抵の人間は善にも悪にもなりきれん、平和の訪れた時代なら猶更よ。多くはパソコンや書類と睨めっこしながら人生を過ごし、巨悪と関わる事も無ければ聖人を見る事も無い、十把一絡げな人生を送る。悪い事ではない、寧ろ大きなドラマが無いという事はそれだけ人の世が穏やかであるという事だ。

 それ故におんしのように悪を自称しながら善を是とする生き方は珍しい、悪徳を認めながら善の世界で生きる事は想像以上に難しいのじゃからな」

「そういうものか? 誰しも穏やかに平和的に生きたいと願うものだと思うが……」

「カッカッカッ、じゃがそんな奴が一々命のやり取りをするデュエルに放り込まれて、無事なワケがあるものか。おんしは充分『こっち』側よ、ただ『そっち』側にもいられるだけでな」

「闇が似合ってるのに光に生きる異端者と」

「そうは言うておらんぞ、異端なぞどこにでもおるし、否定すべきでも無し。おんしは偏執病(パラノイア)か?」

 

 ヒッデェ言われようだ。

 まぁ否定はしないが。

 殺す必要のあった命も、なかった命も、等しく奪った俺の意識はいつからか全てを敵と思ってしまう錯覚が植え付けられていた。

 一般的なパラノイアの症状の1つだ。

 

「さて、話を戻すとするかのう」

 

 ニヤリ、と一瞬笑った『ヴァンダルギオン』は、すぐに顔を真面目なものに戻す。

 

「ここがどこであるか、おんしはもう分かっておろう」

「数時間前に来たばかりの場所を忘れるってのは無理があるんでね」

 

 周囲を見渡す。

 薄暗い色合いの謎の空間。上も下も無く、右も左も無い。まるで広い海のド真ん中にいるかのような気すらする、あの世とこの世の境界線。三途の川の(ほとり)だ。

 まさか『ジョーカー』との戦いの後に落ちたこの場所にもう1度来るとは、人生何があるか分からないものである。

 死者が、それも2度も死んだ愚物が、生死を語るなんて片腹痛いが。

 

「どこまで覚えておる」

「……ラースと戦って勝利した所までは」

 

 ラース。

 憤怒。

 邪神の最後の護衛にして最強の護衛。

 喪服のような黒いスーツを羽織った、オールバックの筋肉質な大男。黒い双斧を操り、“スカル”と名の付いたカテゴリを使う。

 奴の発動したカード『スカル・オーバーロード』はライフとデッキが尽きても敗北しないようにし、ドローをサルベージに変更するカード。勝ち目が無いかと思いきや、墓地が消えればデッキ切れと同じ条件になると仮定して墓地のカードを全て除外。結果、奴はライブラリアウトならぬセメタリーアウトで敗死した。

 ……だが直前に斧で四等分にされた俺の肉体はそこで耐えきれず崩れてしまい、俺もまた勝利しながらも命が尽きてしまう。

 記憶にあるのは、ここまで。

 その後は分からない。

 

「おんしの肉体は限界であった。いかに頑丈な作りであろうと、な」

「所詮、化物であってもベースは人間だ。人間を滅ぼす兵器が精霊の力を受け入れ邪神と戦う、なんて想定じゃあ作られていない」

 

 俺のカタログスペックは至極単純、対人間の殺戮兵器だ。

 それを無視して無茶な使い方をすれば壊れるのも当然の事。

 一般的な人間であれば或いは精霊と調和できたのだろうとも思うが、生物兵器として産まれて生きて来た俺には望むべくも無い妄想である。

 フレイの薬や桜の治癒術で何とか耐えていたが、それでもあの場面でツケが襲って来た、という事だ。

 

「死んで当然、死ぬのが必然、死ぬまで戦って血を浴びて、戦いの中で死ぬべし、それが俺だ。化物に居場所はいらないからな」

「ここは前の世界では無いのにか」

「それでも、人間の世界だ。人間と精霊の世界だ。化物の世界じゃない」

 

 もし心残りがあるとすれば、邪神の討伐ができなかった事。

 あれはフィオにも桜にもできない、俺だけしか不可能な作業だ。

 何故ならそれは──

 

「おんし、死を受け入れるのか。心残りがあるだろう」

「死んでしまった以上、もうどうしようもない。それとも俺が嫌だって言ったら生き返らせてくれるのか、冥王竜よ」

「良いぞ」

 

 ……何ですって?

 

「特例で1度だけ蘇生させてやろうと言ったのだ」

「……特例、ね」

 

 そんな言葉を使われて飛びつける程、俺の頭は緩くない。

 特例であるのなら、その裏には必ず条件がある筈だ。

 そう訝しんだ俺に『ヴァンダルギオン』はクツクツと笑みを向ける。

 

「そんなもの、おんしが邪神を討伐する事が条件に決まっておろう」

 

 確かに、邪神は世界(人間界)を1つ呑めば精霊界を、そして別の次元の世界を喰らって成長していく。まだ何も食べていない今が最後の討伐のチャンス、故にその首を狩れる最も可能性の高い俺に期待をかける。

 何も間違っていない。

 だが。

 

「違うな」

「ほう」

 

 それは違う。

 

邪神を俺が殺すのは前提条件だ(・・・・・・・・・・・・・・)、アンタが俺を生き返らせる対価にはならない」

 

 俺がこの世界に転生させられたのは、都を攫った邪神をブチのめすためだ。

 そういう形で第2の命を貰ったのに、第3の命の対価がそれでは筋が通らない。それじゃあ折角貰った第2の命の意味が無くなってしまうし、遂行できなかった事に対する罰も帳消しになってしまう。

 ならば恐らく、『ヴァンダルギオン』は別の対価を隠している筈だ。

 俺を蘇らせる事で利となる何かが。

 

「フッ、良い目の付け所だな」

「世辞は要らないよ」

「なら本当の対価を話そう。貴様には1つ、試練を乗り越えて貰う」

「試練?」

「うむ。ハァッ!」

 

 気合い一発、黒い死の竜が足元に闇のエネルギーを収束させる。

 そこから生まれたのは殆ど黒と言って良い、紫色の宝玉。

 闇の宝玉であった。

 

「──!」

「さて、おんしなら分かるであろう、これが何なのか」

「……ああ」

「結構。しかし残念な事を1つ、おんしに言わねばならん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「闇の宝玉は、人間界に持ち出す事はできぬ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何、だと……!?

 

「闇だけではない、光の宝玉もだ」

「な、何故!?」

「この闇の宝玉から生まれる精霊の力の結晶、その名は……『D(ダークネス)S(スピリッツ)』」

 

 ダークネス、スピリッツ……?

 いや待て、ダークネス、だと?

 

「闇とは黒、闇とは憎悪、闇とは救い、そして闇とは運命。故にワシは、この宝玉の力で数年先の運命を見る事ができる。そう、2年程後に『ダークネス』と名乗る何某かが現れ、暴れ回る事もな」

「……“ダークネス・スピリッツ”なんてカードをあっちで使えば、それを誘発して未来予知より早い段階でそいつを起こしてしまうと」

「然様。名前が偶然一致しているだけであろうと、否、それだけで(・・・・・)闇の意志は目を覚ます。それが闇というものだ」

 

 迷惑な。

 名前には力が宿る、言霊という奴だ。

 精霊のパワーがある宝玉が解放されれば、それがダークネスに紐付けされて本来より早い段階で目覚めさせてしまう。

 あれは十代が3年間の集大成としての覚悟と仲間、そして『ネオス』がいたから乗り越えられた。色々言われているが、腐ってもラスボスなのだ。

 今の段階でそれをやったらお先真っ暗である。

 ダークネスだけに。

 ……いや笑えねぇや。

 

「そしてそれは、闇と対を成す光──『S(シャイニング)S(スピリッツ)』もまた然り」

 

 闇と光は表裏一体。片方だけが色濃く存在すれば、反対側もまたより色濃く生み出される。

 光を用いれば闇が強まり、闇を用いればそれを呼び水にされ……。

 何てこった、これじゃあ手詰まりだ。

 

「人間界以外で戦えればベストだが、あれだけ狡賢い奴がそれを叶えてくれるとは思えねぇ。それに下手をすれば俺に染み付いた光と闇の宝玉の力でダークネスを刺激してしまう……!」

「今はまだ光の宝玉を受け取って間が無いが故に、斯様な事は起こりはせぬ。しかし1度でも使えば……」

「だが他の属性は全て使ってしまった。既存の属性を使って倒せるような生易しい相手じゃない」

 

 邪神を倒すには新しい宝玉である光か闇が必要だった。

 プライドとの戦いで炎、エンヴィーとの戦いで草、スロウスとの戦いで地、グラトニーとの戦いで水、ラストとの戦いで雷、そしてラースとの戦いで風を使い、もう残弾が無い。

 これまでだって限界一杯で何とか掠め取った勝利を、今度は敵の親玉相手に更に厳しい条件でやれと言われているのだ。

 困惑する俺に『ヴァンダルギオン』は、「だからこその試練だ」と続ける。

 

「もし1つだけ可能性があるとすれば、それは邪神でも見通せないおんし自身のカードでしかない」

「……『ケイオス・フォース』」

「如何にも」

 

 確かに。

 アニメや漫画だけのカードなんて無限にあるし、二次創作でのオリカなんて腐る程ある。

 だがそれらは基本的に『物理的に存在するカード』という枠を出ない……、つまり俺が今いる世界を見れる邪神が知る事のできるカードばかりなのだ。

 それらで対抗できるような優しい敵じゃない。

 一方でこのRUMはフィオ──■■と邪神の力によって新しくこの世界に作られたカード、つまり対抗策なんて打てないのだ。

 希望を掛けられるとすれば、確かにこの1枚しかないだろう。

 

「おんし、それを何度使用した?」

「……4回」

 

 ラースの分身戦で初めて召喚した『希望皇ホープレイ・ネビュラ』。

 『ジョーカー』との戦いで死ぬ気を振り絞った『ヴァレルオーバーロード・CX(クロスエクスチャージ)・ドラゴン』。

 そしてラース本体との戦いで出した『混沌大宙母(カオスフォートレス)ジェムリングホルニ』と『ブラッディ・ロード・チェリー』。

 合計4枚。4回分だ。

 『ジョーカー』には何度も無効にされたが、それはノーカンって方向で。

 

「足りんな」

「何?」

「それではカオスの力を使いこなしたとは言えぬ」

「勘弁してくれ……、1回使うだけでも大きな負担があるんだぞ」

 

 初めて使った時でさえ脂汗を掻く程の負荷が生じたのだ、何度も使えるようなものじゃない。

 死ね、と言うのに等しいだろう。

 

「ここならどうじゃ」

「ここ?」

「ここは生と死の狭間の世界、これ即ち光と闇の境界線。然らばそのカードの負担を受け流す道も見えようぞ」

「……本当かぁ?」

 

 疑わしい。

 そんな俺の隠そうともしない視線に、黒い竜はニヤリと笑みを返す。

 

「疑うな、信じろ、それがおんしに必要な事だ」

「信じろ……、ね」

 

 難しい事を言ってくれる。

 どいつが敵かも分からない世界、笑顔で敵意を隠して探る事ばかりやって来た俺には無茶振りだ。

 原作キャラや違う世界のあいつらは良い奴だって分かったけれども、それでもやはり俺は……、ライやユウ達ですら、いつ笑って後ろから刺して来るかと思うと恐ろしく思ってしまう。無論、フィオや桜も。

 あいつらがそんな事する筈が無いと知っていても、恐怖は別だ。

 そして何より、俺が自身を信用ならない。

 人の世界に生きようとする、化物という自分に。

 

「ふむ」

 

 黒い竜王は一言そう呟くと、掌から泥のような何かを地面に流し始めた。

 

「どうやら百の言葉より一の戦いの方が、おんしを説得しやすそうだ」

 

 泥はやがて何かを形作るように固まる。

 始めは足。

 そこから胴体。

 腕にはデュエルディスクが形成され。

 そして顔。

 最後は腰まで届く長い髪。

 

「……俺か」

「然り、この闇の人形こそが貴様を試す」

 

 そこにいたのは、闇の泥で作られた真っ黒な俺。

 人を殺して来た鋭い目付きも。

 ボサボサに見えて実は手入れがされている長い髪も。

 無駄な脂肪も筋肉も無い身体も。

 そして楽しそうに顔を見せる鋭い八重歯の笑みも。

 俺がそこにいた。

 

「ワシからはただ1つ、勝て」

 

 闇の竜の声を受け、俺の頭の中でデュエリストとしてのスイッチが入った。

 腕を振ってデュエルディスクの衝撃スイッチを入れ、ブレードを展開させる。

 使うデッキを『ケイオス・フォース』に合わせて【ガガガ】デッキに変更。

 これで準備は整った。

 例え俺であろうと、俺のコピーであろうと関係無い。フィオと一緒に手に取ったこのカードで、俺は勝利する。その未来を掴むのみ。

 敗北は、もう1度の勝利を得るまでは許されないのだから。

 

「LPは8000、先攻はドローも攻撃もできない新マスタールール。準備は良いかおんしら!」

「いつでも!」

『来い!』

 

 

 

 

 

「『デュエル!』」

 

 

黎 VS 闇の人形

LP 8000 VS LP 8000

 

 

  ☆

 

 

 足元にメインモンスターゾーン、魔法・罠ゾーン、EXモンスターゾーンの合計22マスが表示され、フィールドが整う。

 

「先攻は俺だ」

 

 闇の世界での対戦相手は俺か。

 闇の人形。

 俺自身。

 死に行く外道には相応しい相手かも知れないな。

 

「魔法カード『昇格の天地降札(てんちこうさつ)』を発動! 手札のモンスター1枚を墓地に送り、デッキから“RUM”を1枚手札に加える。選択するのは当然『RUM-ケイオス・フォース』だ!」

『早速来たか』

 

 

 

昇格の天地降札(アニメオリジナル)

【通常魔法】

(1):自分の手札からモンスター1体を墓地に送って発動できる。

自分のデッキから「RUM」魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

 

 このサーチカードは手札を2枚消費して1枚をサーチするという、割に合わないカード。

 だが通常魔法というサーチ方法に乏しいカードを引っ張って来れるのなら、採用するに値する。

 

「続けて手札から『アステル・ドローン』を召喚!」

『はいっ!』

「レベル4のモンスターを通常召喚した時、『カゲトカゲ』は手札から特殊召喚できる!」

『カゲ~!』

 

 

アステル・ドローン:ATK 1600

カゲトカゲ:ATK 1100

 

 

 これで場に2体のモンスターが揃った。

 奴に動きは見られない……、手札誘発が無いのだろうか。

 

「俺はレベル4のモンスター2体でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」

 

 

☆4×☆4=★4

 

 

「現れろ、『ラヴァルバル・チェイン』!」

『ガァァッ!』

「『アステル・ドローン』の効果発動、エクシーズ素材になった時に1枚ドロー!」

 

 先陣を切るのは溶岩の鱗と炎の翼を持つ海竜。

 黎明期には墓地をピンポイントで肥やす効果が着目され、禁止カードにもなった1枚だ。

 

 

ラヴァルバル・チェイン:DEF 1000

 

 

 だが今回は効果は使わず、直接進化させる!

 

「そして手札から『RUM-ケイオス・フォース』を発動!このカードは自分フィールドのエクシーズモンスターを、種族と属性が同じでランクが2つまで高いカオス・エクシーズにランクアップさせる!

 俺はランク4の『ラヴァルバル・チェイン』でオーバーレイ・ネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」

『いきなりカオス化か、大盤振る舞いじゃねぇか!』

「お前が俺の姿に似せている事が無意味なワケが無い、なら最初から全力でブッ潰す!」

 

 俺の手札から発動した魔法カードの光を浴び、燃える海竜が赤紫色の光に変わって銀河の渦に飛び込む。

 混沌の螺旋は緑と黒の爆発を起こし、炎の海竜を新しい姿に生まれ変わらせていく。

 

 

★4→★6

 

 

「燃え盛れ、炎旱の鉄鎖! 無辺の海上すら封鎖し引き裂く赤き爪牙となれ! ランク6、『CX ラヴァルカオス・チェインソウ』!」

『GOOOOOOOOOOOOOOOOOO!』

 

 

CX ラヴァルカオス・チェインソウ:ATK 2200

 

 

 生み出されたのは赤く熱された鎖を身にまとう黒い海竜。翼や体毛は愚か、眼球や尾までもが燃えている。

 海の中でも消えない炎熱を操り、鱗すら燃え盛る異形の命だ。

 

「っ……!」

 

 途端に全身にのしかかる重さ。

 空気そのものが鉛になったようなプレッシャーが発生し、思わずその場でたたらを踏む。

 大丈夫、まだ大丈夫だ。

 

「……このモンスターの攻撃力は、オーバーレイ・ユニット1つにつき300アップする! 更に1ターンに1度、自身のオーバーレイ・ユニット1つにつき相手に300のダメージを与える! 900ポイントのダメージを喰らえ、“ブレイズ・チェーン”!」

『チィッ!』

 

 

CX ラヴァルカオス・チェインソウ:ATK 2200→3100

闇の人形:LP 8000→7100

 

 

 燃える鎖が敵に伸び、周囲の地面を穿って爆発を起こす。

 初手の小さなダメージだが、それでもダメージはダメージだ。

 

「俺は『チェインソウ』の最後の効果を発動。オーバーレイ・ユニットを1つ使い、デッキからカードを1枚裏側表示で除外する。この効果で除外されたカードは、次の自分のスタンバイフェイズに墓地に送るか手札に加える事ができる」

 

 

 

ラヴァルバル・チェイン(エクシーズ・効果モンスター)

ランク4

炎属性/海竜族

ATK 1800/DEF 1000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。

●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。

 

 

 

CX ラヴァルカオス・チェインソウ(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)

ランク6

炎属性/海竜族

ATK 2200/DEF 1200

レベル6モンスター×3

(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材1つにつき300アップする。

(2):1ターンに1度、自分のターンのメインフェイズ時に発動できる。

相手にこのカードのX素材の数×300ダメージを与える。

(3):このカードが「ラヴァルバル・チェイン」をX素材としている場合、以下の効果を得る。

●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキからカード1枚を選んで裏側表示で除外する。

この効果で除外されたカードは次の自分のターンのスタンバイフェイズに手札に加えるか墓地に送る。

 

 

 

CX ラヴァルカオス・チェインソウ:ATK 3100→2800/ORU 3→2

 

 

『オーバーレイ・ユニットが減り攻撃力は300ダウンだ』

「2800あれば十二分、俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

 

黎:LP 8000

手札:1枚

フィールド

:EXモンスターゾーン無し

:CX ラヴァルカオス・チェインソウ(ATK 2800/ORU:2)

:伏せカード1枚

 

 

 

 これで迎撃準備は整った。

 『ケイオス・フォース』でランクアップしたモンスターは相手の効果を受けない、『チェインソウ』は戦闘破壊以外では退かせない。そして攻撃力は2800ある、簡単には倒せない筈だ。

 

『行くぜ、俺のターンドロー!』

 

 さぁ、向こうはどう出る。

 火力でゴリ押すか。

 このターンは足踏みするか。

 

『俺は『アステル・ドローン』を召喚!』

『アハッ!』

 

 !?

 同じモンスターだと!?

 

 

アステル・ドローン:ATK 1600

 

 

『続けて手札から『Em(エンタメイジ)ハットトリッカー』を特殊召喚! フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは特殊召喚できる! 今フィールドには、お互いにモンスターが1体ずつ!』

 

 

Emハットトリッカー:DEF 1100

 

 

 くっ、これでレベル4モンスターが2体、あっちも準備を整えたか……!

 

 

 

Emハットトリッカー(効果モンスター)

星4

地属性/魔法使い族

ATK 1100/DEF 1100

(1):フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。

このカードにEmカウンターを1つ置く(最大3つまで)。

その後、その効果で自分が受けるダメージは0になる。

(3):このカードにEmカウンターが置かれ、そのEmカウンターが3つになった時に、このカードの攻撃力・守備力は3300になる。

 

 

 

『俺はレベル4の『アステル・ドローン』と『ハットトリッカー』でオーバーレイ!』

 

 

☆4×☆4=★4

 

 

『エクシーズ召喚、『クロノダイバー・リダン』! そして俺も『アステル・ドローン』の効果で1枚ドロー!』

 

 

クロノダイバー・リダン:ATK 2400

 

 

 ここで『リダン』か……。

 だが攻撃力は2400、戦闘に特化した効果も無い。何を狙っている。

 コンバットトリックを狙っているのかと訝しむ俺に対し、黒い俺はニヤリと笑って手札を1枚摘まんだ。

 

『そして』

 

 ……まさか。

 

『こいつの出番』

 

 奴が見せたカードは……、白と黒の破滅的な模様を描く、この世ならざる1枚。

 

「て、めぇ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は『RUM-ケイオス・フォース』を発動!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おいおいマジか……っ!

 こいつ俺のランク・アップ・マジックと同じカードを!!

 

『俺はランク4の『クロノダイバー・リダン』でオーバーレイ! カオス・エクシーズ・チェンジ!』

 

 奴の出した黒い外套の青年もまた混沌の渦に呑まれ、そして新たな姿に書き換わる。

 生まれた姿は、青い装飾を加えた衣装にモノクルをかけた怪盗風の男。ご丁寧に手袋も白から青に変わっていた。

 ちょっと、これは計算外にも程があるな。まさか同じカードでのカオス化合戦とか誰が予想できるんだよ。

 

『現れろ、ランク6! 時空を超え、混沌の渦すら盗み、青き宝玉の果てにその力を示せ! 『CX クロノダイバー・サピロスリダン』!』

『タァァッ!』

 

 

CX クロノダイバー・サピロスリダン:ATK 3000

 

 

「攻撃力3000だと!?」

『バトル! 俺は『サピロスリダン』で『チェインソウ』を攻撃! “クロック・トゥ・サファイア”!』

 

 クッソ、伏せたカードは相手モンスターに影響が及ぶから使えない。

 完全耐性がこんな形で俺を阻むとは……!

 

「っっ!」

 

 

黎:LP 8000→7800

 

 

 時間怪盗団の青年の鉄拳が燃える海竜を殴り倒し、爆発が起きる。

 爆風はそのまま俺を襲い、俺のライフに傷を付けた。

 一報で怪盗の青年はサファイア(サピロス)の装飾を揺らしながら飛び退き、爆風から逃れる。

 

『『サピロスリダン』の効果発動。互いのターンに1度、相手のデッキの1番上か相手の墓地のカードを1枚選び、このカードのオーバーレイ・ユニットにする。俺はお前の墓地の『ケイオス・フォース』を選択!』

「貴様、俺のランク・アップ・マジックを……!」

 

 

 

クロノダイバー・リダン(エクシーズ・効果モンスター)

ランク4

闇属性/サイキック族

ATK 2400/DEF 2000

レベル4モンスター×2

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。

相手のデッキの一番上のカードをこのカードのX素材とする。

(2):自分・相手ターンに発動できる。

このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。

その後、その種類により以下の効果を適用する。

●モンスター:このカードをエンドフェイズまで除外する。

●魔法:自分は1枚ドローする。

●罠:相手フィールドの表側表示カード1枚をデッキの一番上に戻す。

 

 

 

CX クロノダイバー・サピロスリダン(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)

ランク6

闇属性/サイキック族

ATK 3000/DEF 2600

レベル6モンスター×3

このカードの効果は、このカードが「クロノダイバー・リダン」をX素材としていない場合発動できない。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに発動できる。

相手のデッキの一番上、または相手の墓地のカードを1枚選び、このカードのX素材とする。

(2):自分・相手ターンに発動できる。

このカードのX素材を3種類(モンスター・魔法・罠)まで取り除く。

その後、その種類により以下の効果を適用する。

●モンスター:このカードはエンドフェイズまで他のモンスターの効果を受けず、対象を取らない効果ではフィールドを離れない。

●魔法:自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んでデッキの一番下に戻す。

●罠:相手フィールドのカード1枚をデッキの一番上に戻す。

 

 

 

CX クロノダイバー・サピロスリダン:ORU 3→4

 

 

『どうした、もう手詰まりか?』

「ほざけ! デュエルはこれからだ!」

『そうだ、もっと吼えろ。お前の力を見せてみるが良い。俺はリバースカードを2枚セットし、ターンエンド』

 

 

 

闇の人形:LP 7100

手札:2枚

フィールド

:EXモンスターゾーン無し

:CX クロノダイバー・サピロスリダン(ATK 3000/ORU:4)

:伏せカード2枚

 

 

 

 いきなり圧倒的なまでにアドバンテージを離されたな。

 だが敗北には程遠い、まだ俺はやれる。

 そう信じて右手の指をデッキトップに掛けた。

 

「俺の、ターン!」

 

 

to be continued

 

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