遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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フィオ・都「「なーにかな、なーにかな! 今回は、これ!」」



フル・アーマード・エクシーズ
【通常罠】
(1):フィールドにXモンスターが存在する場合に発動できる。
Xモンスター1体のX召喚を行う。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスター以外の、自分のフィールド(表側表示)・墓地のXモンスター1体を以下の効果を持つ装備魔法カード扱いで対象のモンスターに装備する。
●装備モンスターの攻撃力は、このカードの攻撃力分アップする。
●装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。



フィオ「“アーマード・エクシーズ”シリーズの1枚だね」

都「1番目の効果はちょっと使い辛いから、基本的に手札コストとかにして2番目を狙っていく事になるよ」

フィオ「攻撃力アップは強力な数値を得られるけど、破壊耐性も付与される。ピンチに備えて盾にする方法も覚えておこう!」


STORY105:エクエス

黎:LP 125

手札:0枚

フィールド

:モンスター無し

:魔法・罠無し

 

 

 

闇の人形:LP 8000

手札:1枚

フィールド

:CX サイバー・ドラゴン・ネメシス(ATK 3600/CORU:4)(右のEXモンスターゾーンに配置)

:CX 超弩級砲塔大列車グスタフ・マキシマム(ATK 3600/CORU:2)、CNo.23 冥界の餓鬼騎士ランスダイト(ATK 2300/CORU:2)

:伏せカード1枚

 

 

 

「俺のターン、ドロォーッ!」

 

 状況は非常にマズい。

 俺の手札は今引いたカード1枚のみ。

 相手フィールドにはモンスターが3体。内2体はパーミッション効果を持つ。

 そしてバックが1枚伏せてあり、バーン効果持ちのモンスターもいる。

 ライフは残りカスも同然の数値、このターンで何とかしなければ俺に勝ち目は無い。

 右手で山札から引き当てたカード、これが最後の希望。俺の引いたカードは……。

 

(──『トライアングル・カオス・ゲート』か!)

 

 頭の中で複数のカードが光のラインを描き、無数に分岐するルートの中から更に枝分かれしていく。

 慌てず、脳内で整理する。

 このカードを使えば、逆転の芽はある。そのためには敵の無効化効果を回避しなくてはならない。

 空撃ちさせればできなくも無いが、もしこのターンで仕留め損ねればリソースの無駄遣いとなり己の首を絞める事になる。だがここで怖気づいて尻込みすればチャンスを棒に振るだろう。

 リスクを承知で飛び込め、そして次の一発で奴を倒せ。

 

(俺のEXデッキにはまだ10体のエクシーズモンスターが眠っている)

 

 どういう理屈なのか、カオス・エクシーズ達はその場で新しく生み出されている。つまり15枚の枠組みには入らない。

 だから進化先をイメージできれば、戦法は自由自在だ。

 

(後は、俺のイメージが奴を圧倒できるかどうか)

 

 集中しろ。奴を倒せる自分を形作れ。

 俺のイメージを、奴を一撃で倒せる姿をイメージしろ。

 

『諦めろ、この状況で何ができる』

「最後の1秒まで俺は絶対に諦めない。諦めたら人間は死ぬんだよ」

『化物のくせにかぁ?』

「揚げ足取ってる暇は無いぜ? 行くぞ!」

 

 これが最後、いや最期だ。

 燃やせ、命を。生きるために、死ぬために。

 

「俺は墓地の『トランザクション・ロールバック』の効果を発動! ライフを半分払ってこのカードを除外! そして俺の墓地の通常罠1枚と同じ効果を得る!」

 

 

黎:LP 125→63

 

 

「だがこの瞬間、お前の『ランスダイト』の効果が発動する」

『そうだ、こいつは毎ターン最初に発動した相手の効果を無効にする。強制効果だからプレイヤーの俺でも止める術はネェ』

「そしてこれで『ランスダイト』はもうこのターン効果は使えない!」

 

 良し、これで……。

 

『リバースカード、オープン!』

「!」

『罠カード『カオス・ハンドラー』! 俺の場のカオス・エクシーズが効果を発動した時、このカードと互いの墓地のモンスター、魔法カードの合計3枚をカオス・オーバーレイ・ユニットとして吸収する!』

「何!?」

『俺はお前の墓地の『ガガガマンサー』と俺の墓地の『埋葬呪文の宝札』を選択!』

 

 

CX サイバー・ドラゴン・ネメシス:ATK 3600→4500/CORU:4→7

 

 

『そして俺のデッキからカオス・エクシーズを指定する魔法・罠カードをセットする! 俺は『カオス・リアクター・バースト』をセットォ!』

「っ、そいつは伏せたターンに発動できるカード!」

 

 向こうも迎撃準備万端か。

 だがどの道、俺にできる事はこれしかない。

 やるぞ……!

 

「マジック発動、『トライアングル・カオス・ゲート』ォ! 俺の墓地からエクシーズモンスターを3体除外し、そのランクの合計の半分以下のランクを持ったエクシーズモンスターを、効果を無効にしてエクストラデッキから特殊召喚する!」

 

 

 

カオス・ハンドラー(オリジナル)

【通常罠】

(1):自分の「C」Xモンスターが効果を発動したターンに発動できる。

このカードと、お互いの墓地からモンスターカードと魔法カードを1枚ずつ選び、自分フィールドの「C」Xモンスターの下に重ねてX素材とする。

(この効果で重ねたX素材が相手の墓地に送られる事で効果を発動する場合、自分の効果として適用する)

その後、自分のデッキから「C」をテキストに含む魔法・罠カードを1枚選んで自分フィールドにセットできる。

(2):(1)の効果でセットしたカードがフィールドを離れる場合、代わりに自分フィールドのXモンスターの下に重ねてX素材とする事もできる。

 

 

 

トライアングル・カオス・ゲート(オリジナル)

【通常魔法】

このカード名の効果はデュエル中1度しか使用できない。

(1):自分の墓地から「C」Xモンスターを2体以上含んだXモンスターを3体除外して発動できる。

除外したXモンスターのランクの合計の半分以下の数値のランクを持つXモンスターを、EXデッキから効果を無効にして攻撃表示でEXモンスターゾーンに特殊召喚する。

この効果で「C」Xモンスターを3体除外した場合、特殊召喚したXモンスターのランクの数値分の枚数だけデッキの上からカードを裏側表示で除外し、墓地・デッキ・除外状態の「RUM」魔法カードを1枚手札に加える事ができる。

 

 

 

「俺は墓地から『ガガガ侍大将』、『ラヴァルカオス・チェインソウ』、『バグーレスカ』を除外! ランクの合計は18、よってランク8のこのカードを特殊召喚!

 宇宙創造の光と闇の狭間に漂いし真実の扉を叩く竜よ、逆巻く銀河すら越えて希望を導け! 現れろ、『No.62 銀河眼の(ギャラクシーアイズ・プライム)光子竜皇(・フォトン・ドラゴン)』!」

『クァガァアアアアアアアアアアアアアア!』

 

 

No.62 銀河眼の光子竜皇:ATK 4000

 

 

「そしてデッキの上からカードを8枚除外し、墓地の『ケイオス・フォース』を手札に戻す!」

 

 デッキから『ミラー・ガードナー』『タンホイザーゲート』『アストラルクリボー』『ゴブリンドバーグ』『次元幽閉』『ピンポイント・ガード』『ズバババンチョー-GC(ガガガコート)』『惨劇の慟哭』が除外され、墓地から再び白と黒の波動が描かれた魔法カードが手札に戻る。

 あーあー、痛いカードばかりが。

 それに墓地から魔法カードを回収した手に再び激痛が走る。常人なら悲鳴をあげているだろう。

 知った事じゃない。

 既に痛みにも慣れた。

 後は慣れた痛みが俺を蝕みきらない内に勝つのみ。

 

 

 

ミラー・ガードナー(効果モンスター)(オリジナル)

星2

光属性/機械族

ATK 100/DEF 200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールドの「ミラー・ガードナー」以外のモンスター1体を対象として発動できる。

このカードは対象モンスターと同じレベルになる。

(2):このカードが表側表示で存在し、自分の発動したカードの効果が無効になる場合に発動できる。

その効果が無効になる代わりに、自分のLPを半分にする事ができる。

 

 

 

惨劇の慟哭(オリジナル)

【永続罠】

(1):自分が直接攻撃でダメージを受けた時に発動できる。

攻撃力の合計がそのダメージの2倍以下になるように、自分の墓地からレベル4以下のモンスターを2体まで攻撃表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり攻撃力は半分となる。

またレベルは2倍になる。

(2):このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。

自分はデッキから1枚ドローし、このカードの(1)の効果で特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

 

 

 

「……勝負だ、黒い俺!」

『来い!』

「俺は『RUM-ケイオス・フォース』を発動!」

『この瞬間『ネメシス』の効果を発動! カオス・オーバーレイ・ユニットを1つ使い、その発動を無効にする!』

 

 俺の墓地に『ガガガシャーマン』がいる事は解っているハズ。

 なら狙いは当然……。

 

「墓地の『ガガガシャーマン』を除外し効果発動! 俺の魔法カードは無効化されない!」

『だがカオス・オーバーレイ・ユニットとして取り除かれた『ガガガマンサー』の効果により、攻撃力500アップだ! お前の墓地で発動する効果だが、『カオス・ハンドラー』の効果で俺の効果となる!』

「またか!」

 

 

CX サイバー・ドラゴン・ネメシス:ATK 4500→4200→4700

 

 

 攻撃力を上げて来たが、もう関係無い!

 後は一直線に突き進むだけだ!

 

「俺はランク8の『プライム・フォトン』でオーバーレイ!」

『キュアアアアアアアアアアアア!』

「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」

 

 水色に輝く銀河の龍が全身を光に変え、混沌の扉を突き破っていく。

 その先へ飛び立て。

 俺を置いてでも、勝利のために。

 

「宇宙創世すら貫く混沌の輝きよ、真実の扉に爪牙を突き立て逆巻く次元すら突き抜けろ!」

 

 

★8→★10

 

 

「君臨せよ、『CNo.62』!」

 

 一瞬だけ赤く光った『プライム・フォトン』は、再び全身に青い光をまとう。

 しかし赤色がなくなったのでもなく、両者は合わさり美しい淡い紫の光となって竜の存在を際立たせる。

 翼には別の進化体のように顔のような部位が追加され、瞳は赤色の銀河を宿して輝く。

 

「『銀河眼の(ギャラクシーアイズ・アルティメット)光子皇帝竜(プライム・フォトン・ドラゴン)』!」

『KuOoGAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 

 

CNo.62 銀河眼の光子竜皇帝:ATK 5000

 

 

 堂々たるその姿は、今ここに俺のために現れた。

 これが俺の最後のモンスター、奴を倒すための最後の切り札だ。

 

『カウンター罠、オープン! 『カオス・リアクター・バースト』!』

「来たか……!」

 

 そして相手もそれを知ってか、俺を迎撃する体制に移る。

 

『相手がランク・アップ・マジックでカオス化させた時に発動! 俺のモンスター1体の攻撃力を1000アップさせ、更にカオス化したモンスターとその進化前の攻撃力の合計を俺のモンスターに加える!』

「『プライム・フォトン』の攻撃力は4000、『アルティメットプライム』は5000……っ!」

『合計1万ポイント、攻撃力アップだ! 更に『カオス・ハンドラー』の効果により、『カオス・リアクター・バースト』は墓地に送らずカオス・オーバーレイ・ユニットになる! さぁ全てを吸収するが良い、『ネメシス』ァッ!』

 

 

CX サイバー・ドラゴン・ネメシス:ATK 4700→5000→6000→15000

 

 

「攻撃力1万5000だと!?」

『更にお前はこのターン、『カオス・リアクター・バースト』の効果で俺のモンスターを破壊できない! そして他のモンスターを攻撃しても俺にダメージを与えれない!』

「何だと!?」

 

 

 

カオス・リアクター・バースト(オリジナル)

【カウンター罠】

自分フィールドに「RUM」魔法カードの効果で特殊召喚された「C」Xモンスターが存在する場合、このカードはセットしたターンでも発動できる。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手が「RUM」魔法カードの効果で「C」XモンスターをX召喚した時、自分フィールドの「C」Xモンスター1体を対象に発動できる。

その攻撃力を、特殊召喚された相手の「C」Xモンスターと、そのモンスターをX召喚するために「RUM」の対象となりX素材となったモンスター1体の攻撃力の合計値+1000ポイントアップする。

その後、以下の効果を適用する。

●ターン終了時まで自分フィールドのXモンスターは相手によって破壊されない。

また相手はこの効果で攻撃力がアップしたモンスター以外を攻撃しても発生する戦闘ダメージは0となる。

●特殊召喚された相手の「C」Xモンスターの効果は無効となり破壊される。

 

 

 

『どうだ、これで手も足も出まい!』

 

 発動条件こそ厳しいが、その分バフは極めて強力。

 雑なモンスターをカオス化させても攻撃力3000~5000の強化が見込めると考えれば、成程このミラーマッチでこれ以上に圧倒的な効力は無い。

 だが。

 

「成程、凄まじい効果だ。だが失敗だったな、その効果は別のモンスターを対象に使うべきだった」

『何?』

「『アルティメットプライム』はカオス・オーバーレイ・ユニットを使う事で、フィールドのエクシーズモンスターカードのランクの合計×500ポイント攻撃力がアップする。今、フィールドのランクは『アルティメットプライム』自身の10とお前の場の3体の合計値30を合わせて40、効果を発動すれば攻撃力は2万アップする」

『攻撃力25000という事か!』

「そしてオーバーレイ・ユニットを持っている時、このカードと相手モンスター1体ずつをそのフェイズの終了時までフリーチェーンで除外し、戻って来た時に墓地の“ギャラクシーアイズ”モンスター1体をオーバーレイ・ユニットに吸収する事ができる。攻防一体の優秀なカードだ」

『っ!?』

「だがその強力な効果の裏には甚大な欠点が存在する」

『甚大な欠点だと?』

 

 このドラゴンの欠点は3つ。

 1つ目、光属性かドラゴン族以外のモンスターをカオス・オーバーレイ・ユニットにしている時、このカードは自壊する。魔法・罠なら問題は無いが、雑なモンスターを素材にすればその瞬間にドカン。幸い、今こいつの下に重なっているのは進化前の『プライム・フォトン(光属性・ドラゴン族)』1体のみ。

 2つ目、光属性以外のモンスターと戦闘を行った際、相手に与えるダメージは半減する。

 3つ目、ドラゴン族以外のモンスターと戦闘を行っても、相手に与えるダメージは半分になる。2つ目と合わせれば1/4だ。

 奴の場にいるモンスターは3体。

 『グスタフ・マキシマム』は地属性・機械族、『ランスダイト』は闇属性・アンデット族、そして『サイバー・ドラゴン・ネメシス』は光属性・機械族。

 『ネメシス』に攻撃しても25000から15000を引くだけで、ダメージは5000ポイントに留まる。これでは次のターンに『グスタフ・マキシマム』の効果で俺の敗北は免れない。

 仮に最も攻撃力の低い『ランスダイト』を殴ってもダメージは5675、半減を更に半減させるというのは、それ程までにダメージを減らす事を意味するのだ。

 

 

 

CNo.62 銀河眼の光子竜皇帝(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)

ランク10

光属性/ドラゴン族

ATK 5000/DEF 4300

レベル10モンスター×3

このカードのX素材に光属性、またはドラゴン族以外のモンスターカードが存在する場合、このカードを破壊する。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードが元々の属性が光属性以外のモンスターと戦闘を行う場合、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。

また元々の種族がドラゴン族以外のモンスターと戦闘を行う場合、相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。

(2):1ターンに1度、このカードが戦闘を行うダメージ計算時に、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで、フィールドのXモンスターカードのランクの合計×500アップする。

(3):このカードが「No.62 銀河眼の光子竜皇」をX素材としている場合、以下の効果を得る。

●1ターンに1度、相手モンスターの効果が発動した時に発動できる。

そのモンスターカードとこのカードをゲームから除外し、発動された相手の効果を無効にする。

この効果で除外したモンスターはそのフェイズ終了時に元の場所に戻る。

その後、自分の墓地から「ギャラクシーアイズ」モンスター1体を選び、このカードの下に重ねてX素材とする。

 

 

 

『ハッ、それじゃあ意味が無いな。次のターンで『グスタフ・マキシマム』の効果を無効にしたとしても、壁となるモンスターがいなければ結局ダイレクトアタックを受けてテメェは終わりだ』

「そうだな、今のままなら俺はお前に勝てない。今のままならな」

『あぁん?』

「真っ黒野郎、お前は2つミスを犯した」

 

 1つ目はさっき言ったように『カオス・リアクター・バースト』を『ネメシス』に使った事。

 『アルティメットプライム』は光属性の『ネメシス』に攻撃すれば、ダメージ半減の内の片方が適用されない。対象を『ネメシス』にしたのは、自分からダメージを増やしたようなものでしかない。

 そして2つ目は。

 

「お前は俺の墓地に『ガガガシャーマン』がいるから魔法カードを無効にできないと踏み、攻撃力アップのために早めに『ネメシス』の効果を使った。事実、俺の魔法カードは2枚とも無効にできなかったし、『アルティメットプライム』は『ケイオス・フォース』の効果で守られているから決して間違いじゃない。だがお前は焦るべきじゃなかった。そうすればお前は勝っていた」

『何を言っている!』

「こういう事だ、バトル! 『銀河眼の光子竜皇帝』で『サイバー・ドラゴン・ネメシス』を攻撃!」

『GoAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!』

『効果を使っても発生するダメージは半減して5000、俺のライフは残る!』

 

 高らかに宣言する闇の人形。

 確かに今のままでは勝てない。そして再三言っているようにターンを明け渡せば『グスタフ・マキシマム』の効果で奴の勝利は確定する。俺に他のカードは無い以上、これを防ぐ手立ては無い。

 俺が勝利するためにはこのターンで奴のモンスター3体を倒すか、必殺の一撃でワンショットキルをする必要がある。前者は既に防がれている以上、後者のみが許されていた。

 だから、こうする。

 

「お前のもう1つのミス、それはこのカードを見落とした事! 俺は墓地から『フル・アーマード・エクシーズ』を除外し、効果発動!」

『それは『天使の施し』で捨てたカード!?』

「自分のフィールドか墓地からエクシーズモンスター1体を選び、俺の別のエクシーズモンスターに装備する! 俺は墓地から『ダークネス・リベリオン・カオス・エクシーズ・ドラゴン』を装備し、攻撃力を3000アップさせる!」

 

 

 

フル・アーマード・エクシーズ

【通常罠】

(1):フィールドにXモンスターが存在する場合に発動できる。

Xモンスター1体のX召喚を行う。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスター以外の、自分のフィールド(表側表示)・墓地のXモンスター1体を以下の効果を持つ装備魔法カード扱いで対象のモンスターに装備する。

●装備モンスターの攻撃力は、このカードの攻撃力分アップする。

●装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

 

 

 

CNo.62 銀河眼の光子竜皇帝:ATK 5000→8000

 

 

 墓地から漆黒の龍が現れ、その破壊と雷撃のオーラを光の龍に分け与える。

 これで攻撃力は8000となり、更に破壊の身代わりも作れた。

 しかし今回に限っては耐性はオマケに近い、俺の本当の狙いはそこじゃない。

 

『攻撃力を3000アップしても、そいつの効果で受けるダメージは半減して1500増えるのみ! 俺のライフは1500残る!』

「何か勘違いしていないか」

『何?』

「お前は恐らく『アルティメットプライム』の効果をこう解釈している。“攻撃力を場のエクシーズモンスターのランクの500倍アップさせる”と。だが俺はこう説明した筈だ」

 

 

──『アルティメットプライム』はカオス・オーバーレイ・ユニットを使う事で

──フィールドのエクシーズモンスターカードのランクの合計×500ポイント攻撃力がアップする

 

 

『それがどうした!』

 

 ハ、それがどうした、か。

 確かに平素じゃあその解釈でも別に間違ってはいない。誤差のようなものだからな。

 だが今回はその誤差が致命的な差を生むんだよ!

 

「まだ分からないか? “エクシーズモンスターのランクの合計”じゃない、“エクシーズモンスター()()()のランクの合計”だ!」

『っ、まさか!?』

 

 たった3文字の差。

 だがその小さな違いが、このデュエルの結末を変える。

 

「そうだ! 今、装備カードとして装備された『ダークネス・リベリオン』もまた、この効果の算定に加わる! 『ダークネス・リベリオン』のランクは6、よってランクの合計は40から46となる!」

『ば、莫迦な……!?』

「俺は『銀河眼の光子竜皇帝』の効果発動! カオス・オーバーレイ・ユニットを1つ使い、攻撃力を46×500で23000アップさせる! “ギャラクシー・アグラミレーション”!」

 

 

CNo.62 銀河眼の光子竜皇帝:ATK 8000→31000/CORU 1→0

 

 

『攻撃力、3万、1千……ッ!?』

「これが俺の、今の俺の出せる、最大の一撃! 『アルティメットプライム』の攻撃!」

 

 もう防ぐ手立ては無い。

 ここまで必死に食らいついて持ち堪えて、最後まで踏ん張った俺の粘り勝ちだ。

 強大な光が集い、龍の前にて球を作る。

 生まれた輝きはそのまま咆哮と共に直線となり、過たず鋼作りの銀蛇を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“アルティメット・エタニティ・フォトン・ストリーム”ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そのしぶとさだけは、大したモンだな……。ぐっ、ぉ、がぁああああああああああああああああああああああああ!?』

 

 

 

闇の人形:LP 8000→0

 

 

黎:WIN

闇の人形:LOSE

 

 

  ☆

 

 

「はぁ……っ、はぁ……っ、はぁ……っ゛! か、った……のか……っ!?」

 

 残りライフ63、残り滓どころか虚無みたいな数値だ。

 何とか1万6000の大ダメージを与えて逆転したが、しかし。

 

「う……ぐぶっ!?」

 

 べちゃりっ、と床らしき場所に血を吐いた。

 いや違う、血じゃない。真っ黒だ。

 周囲の薄暗い、黒とも紫とも青とも言えない色が反射しているのではなく、正真正銘の真っ黒な液体が口から吐き出されたのである。

 これが何なのかは分からないが、それでも危険というのは解る。

 

「おお、盛大に吐いたのぅ」

「ハ……」

 

 吹き飛ばされた闇の人形は、煙が晴れた時にはもう影も形もなかった。

 代わりに黙りこくっていた『ヴァンダルギオン』が再び声を発するようになっている。

 恐らくだが……、あの黒い俺はゴーレムとかホムンクルスとかではなく、単にこの黒龍が操っていたアバターだったのではないだろうか。

 さしもの冥王竜も頭は1つ、自分が喋りつつ人形にも別人格として喋らせる事はできなかった。だからずーっと黙っていた。それを誤魔化すために人形に黙っていると言わせたのではなかろうか。

 まぁ今更明かした所で何の意味も無い。

 それよりもこいつは始まる前にこう言った、『カオスの力を受け流す方法を見つけろ』と。

 結局それは見つからず、今こうなっているのだが。

 

「おんしの肉体はカオスの力によって蝕まれておった。元々、精霊の力を受け継ぐには(いびつ)過ぎたその肉体は、更にカオスという超常の力を得て許容量の限界を超えてしもうた。だから一度、カオスを吐き出させる必要があったのよ」

「……それが、この黒い奴、か?」

「然様。悪く思うてくれるな、普通の人間であればカオスを受け入れる事ができるが、おんしは改造人間。それができる余地が無い。ましてや前世の終わりがあれ(・・)では猶更よ」

 

 知っているのか、とは言わない。

 冥界を統べる王者であれば、生き死にに関わる何かを把握していても不思議ではないからだ。

 

「だがしかし、ワシの見立てはどうやら甘かったようだ」

「何?」

「おんしの肉体を蝕んでいたカオスの排出、そしてワシの権限があればおんしを現世に返す事ができると踏んでおったが……。駄目じゃな、それでも足りん。人間の異物であるおんしは、既に世界が拒むようになっておる」

「拒む?」

「異世界に転生や転移をする者は、その世界に元々おらずいきなり現れた命。それを時間をかけて馴染ませ、その世界で生きる命とする。しかし……」

 

 ああ、そうか。

 俺は複数回異世界と行き来している上、元々の命そのものが(いびつ)。そこに精霊と、更にカオスのエナジーまで注いでるんだから、もう世界が俺を『人間』と認定する事ができないレベルで歪んでしまっているのか。

 その結果、俺の死を認識した世界は、そのまま俺を消そうとしていると。

 以前、桜が『サイコ・ショッカー』とデュエルして勝った後、『サイコ・ショッカー』は退去ではなく消滅していた。エクシーズを持ち出すというルール違反を犯し、世界のルールを乱したからだ。多少の脱法ならまだしも、そうした横紙破りに関しては少なくともこの世界は厳しい。そして、俺もまた横紙破りの一員であったという事だ。

 『ショッカー』は自分から自分のために自分の意志で、俺は生き方そのものや戦う武器のせいで。

 能動性について差はあれど、俺もアイツも、同じく裁くべき悪というワケか。

 だが。

 

「……俺はもう、このまま死ぬしかないって事か、冥王竜」

 

 最後の敵が残っているのに、参加できないとなるというのは流石に認められない。

 生き返って邪神本体と戦うためにここでデュエルをしたのに、それでは骨折り損にも劣る。かつ、■■■が俺を呼び寄せたのに失敗したからハイお終いでは、この世界を切り捨てるも同然だ。

 そう言いかけた俺の声を、巨大な黒は冷静に遮る。

 

「そう慌てるな、確りと戻す。それは違わぬ。ただ少し、戻るのに時間がかかるという事だ」

「どのくらい」

「そうさのう……、本来なら一瞬じゃったが、これでは数日かかるやも知れん」

「……」

 

 数日か。

 肉体の腐敗も気になるし、それにフィオ達に連絡もしたいのだが、厳しいか。

 下手をすれば既に火葬の準備が始まっているかも知れない。

 いくら俺でも細胞が残ってない灰から蘇生、なんて真似は無理だ。

 

「そこはワシに任せよ、伝手がある」

「ツテ?」

「ジョーカーに連絡を入れてやる、と言っておる」

「何であいつ……、いや、そうか」

「うむ、そういう事よ」

 

 そういや『ジョーカー』と『ヴァンダルギオン』はどちらも遊戯王R……、カズキングのアシスタントさんが描いたアナザーストーリーで登場したモンスター、しかも使い手は同じデュエリストキングの武藤遊戯だった。何かしらの縁があってもおかしくはない。

 

「そしておんしには、その数日でやって貰わねばならん事がある」

「やって貰う事……?」

「カカカ、これよ」

 

 黒い巨体はどこからか光るカードを何枚か取り出すと、それを俺に投げた。

 綺麗な曲線を描いたそれらは俺の前で一列に並ぶと、その絵柄が真っ白な光から俺のよく知るものへと変わる。

 

「……──ッ!?」

 

 そう、とてもよく知る、されど有り得ない(・・・・・)それに。

 

「あ、ぁ、アンタ、これ……!?」

「狼狽えるな、それがある理由も察しておろう?」

 

 確かに筋は通るし理解もできる。

 だがこれがここにあっては駄目だろう(・・・・・・・・・・・・・・・)!?

 それが分からない程、神様ってのは寝惚けてやがるのか!?

 

「驕るでない、おんしが神の意志を図るなぞ烏滸がましい」

「しかし!」

「落ち着け、そしてこう思え。『ただ1度だけ、使う事が許された』とな」

「……」

「今の状況は日常に非ず、おんしのために1度だけ神様とやらが目溢しをしてくれると考えるが良い」

 

 お目溢し、ね。

 もっと早く、前世の段階で欲しかったけれども……。

 それでも有難い事には変わりない、か。

 しかしこれを受け取るとなると本格的なデッキビルドが必要になるだろうし、裏返せばこれが必要になるのが最後の戦いという事でもある。

 

「……分かった、大切に使わせて貰う」

「うむ」

 

 故に間違いなく、次が俺の最後の戦い。

 数多のデュエルの集大成になる。

 俺の歩んで来た戦いの総決算として、全力以上をぶつけて敵を打ち倒さねばならないワケだ。

 

「なぁ、冥王竜」

「何だ」

「俺の人生は……、俺の人生の意味は、ここで結実するって事で良いんだろうか」

「恐らくな。だが所産となろうとも人生が終焉となるワケではない、それを忘れるな。命の意味と命の終わりは等号で結ばれはせぬのだ」

「……ああ」

「最後の戦いに備えよ、“騎士”の魂を持つ者よ。例え生き様が騎士でなくとも、おんしの信念のために」

「『ヴァンダルギオン』、少し違うぜ」

「何?」

 

 黒竜に俺は1つだけ否を唱える。

 ずっと疑問だった。

 何故、鏖殺を成した俺がそのような高貴な存在の魂を持っているのか。

 魂に形があるのなら、俺は悪魔や鬼のような──つまり人類そのものの敵であるべきだ。なのに騎士、主君に仕えて騎士道を守り、国を護持するために尽力する存在。

 俺はその謎から目を逸らしていた。

 もしその本質が『守護』ではなく、敵を倒す『人殺し』だったら、俺はこの世界でも人間を殺す必要があると思ったからだ。殺しはできるし躊躇は無いが、不要な状況でも求めるようになったら、折角の転生も無駄になってしまう。

 

「俺の『騎士』は“ナイト(knight)”じゃないんだ、“エクエス(eques)”なんだよ」

 

 エクエス。

 複数形にすればエクィテス(equites)。『波動竜騎士ドラゴエクィテス』の名前でなら聞いた事があるだろう。

 騎士というのは元々は古代の若者の戦闘団員を指す言葉だったという。その後はローマ帝国設立時、初代皇帝の護衛を指す言葉となった。また『騎』が馬偏を持っている事から分かる通り、騎士とは騎兵でもあった。

 つまり馬に乗ってる武装した戦士こそが騎士と表現して良いという事。

 なのに俺は馬に乗っていない。これでは『歩兵』としか言えない、『騎士』ではない。

 ちなみに当時のローマは馬を飼育するのには適さない地であり、即ち馬を持っている事は裕福な証だというが、今回は関係無いので割愛。

 

「なら何故か」

「エクエスにはもう1つ、役割があるんだよ」

 

 彼らは時代が進むに連れて、騎士以外の役割が増えた。

 時に徴税を行い、商業や金融でも活躍し、或いは芸術分野のパトロンとして発展を支え、行政に携わる事もあったという。

 これらが意味するものは、今の時代に当てはめればただ1つ。

 

「俺の役目は、カードの分野の発展。そしてこの世界にやって来ようとした邪神から皆を守り、悪しき影響を取り除く事。それが(エクエス)の役目だったんだ」

 

 シンクロとエクシーズを教える事。そして邪神の手を叩き落とす事。

 これが俺が転生した事による役目だ。

 前者は既に海馬社長とペガサス会長に教えてあるから、市場に流れ出すのは時間の問題だろう。それが何年後かは分からないけれども、あの2人なら何とかしてくれる。遠い未来、新しい種類のカードがこの世界に生まれる。俺はそのための呼び水だったのだ。

 そして後者は高田のようなイレギュラー発生に対応し、また邪神の企みを挫かんとする、今の状況。

 これが俺がこの世界に来た根本的な理由だろう。

 奴という害獣を駆除する肉食獣として招かれたのだ。

 

(──そして兎が消えれば、犬の末路も決まっている(狡兎死して走狗烹らる)

 

 なら俺の役割はもうじき終わる。

 終わった後にどうなるかは分からないけれども……、それは役目を果たさない理由にはならない。

 求められるのは勝利、そして撲滅のみ。

 

「おんしは……」

「それ以上言わない約束だぜ」

「そうか」

 

 人間ではできない事を、俺は成す。

 人間だけでは到達できない場所まで、俺が導く。

 人間の世界を守るために、俺が戦う。

 そのために戦う。そして勝つ。勝って人間の仲間か友達になって、一緒に笑うんだ。

 嗚呼、故に。

 

(なぁ神様、もしいるのなら)

 

 願わくば。

 俺の人生に。

 

(許さないでくれ、この化物を。それこそが俺の強さだから)

 

 最後まで人外としての生き様があらん事を。

 無力な人間を守る騎士としての誇りこそ、我が血に濡れた道程であるのだから。

 

 

to be continued

 





いよいよラストデュエル目前です
俺、終わったら別のシリーズもの書くんだ……
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