遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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STORY107:邪神vsフィオ

天使フィオ:LP 8000

邪神ミヤコ:LP 8000

 

 

「先攻は俺様だ。永続魔法『邪神に傅く幻魔』を発動、デッキトップから1枚墓地に送り『七精の解門』を手札に加える! そしてこの永続魔法『七精の解門』を発動! デッキから『神炎皇ウリア』を手札に加える!」

 

 

 

邪神に傅く幻魔(オリジナル)

【永続魔法】

このカードの効果を発動するターン、自分はモンスターを守備表示で特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、デッキの1番上のカードを墓地に送って発動できる。

デッキ・墓地から「七精の解門」を1枚選び、手札に加える。

この発動に対し、相手が罠・モンスター効果を発動した場合、その効果は「お互いのLPを半分にする」効果となる。

(2):自分フィールドに「神炎皇ウリア」が特殊召喚された時に発動できる。

デッキから永続罠を1枚墓地に送り、自分フィールドに永続魔法を1枚表側表示で置く。

この効果で墓地に送られたカードと置かれたカードの効果は無効となり発動できない。

 

 

 

 英雄と混沌の戦いの後、漁夫の利を狙うように現れた邪神。それを阻止するように精霊界からフィオが降り立ち、両者の激突が始まった。

 未だ万全な力を発揮できていない邪神は、影丸から食って奪った【幻魔】のデッキでフィオと相対する。

 先手を取ったのは都の肉体を使う邪神、見た目は可憐なスレンダー美少女でありながら、その黒に覆われた喉から紡がれるのはヒビ割れた男のような声というのが違和感を超えて嫌悪感を醸し出していた。

 

「頑張れッス、神山さーん!」

「フィオ、しっかりー!」

「先攻ドローをしなかった、これは恐らく黎達が持ち込んだ未来の召喚法に則ったルール……」

「デッキが黒く変色していた、未知のカードでただでさえ強い幻魔が更に強くなってるに違いない」

「墓地に行ったカードは……『閃光を吸い込むマジック・ミラー』ナノーネ」

「頼みましたよ、頑張れ……!」

 

 後方からの応援に、手を軽く振って応えるフィオ。

 その一方で邪神は展開の手を加速させる。

 

「そして『暗黒の招来神』を召喚!」

『オ゛ォォォォ!』

「召喚成功時、デッキから『降雷皇ハモン』を手札に加える!」

「もう2体手札に揃えたか……」

 

 

暗黒の招来神:ATK 0

 

 

 “幻魔”はその召喚条件として特定のカード3枚を要求する。特に最初にサーチした『ウリア』はその枚数が攻撃力にも影響する程で、専用のデッキや“ライトロード”と組む事で逆に圧倒的なパワーを得る事すらある。その前提として既に1枚の永続罠が墓地に行っていた。

 邪神はカードを3枚フィールドに出しておきながら手札が5枚と減ってない。まだまだ何か飛んで来る事は請け合いである。

 

 

 

七精の解門

【永続魔法】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体、またはそのいずれかのカード名が記されたモンスター1体をデッキから手札に加える。

(2):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。

自分の墓地から攻撃力と守備力が0の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。

(3):1ターンに1度、自分フィールドにレベル10モンスターが存在する場合に発動できる。

自分の墓地から永続魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

 

暗黒の招来神(効果モンスター)

星2

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚した時に発動できる。

「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体、またはそのいずれかのカード名が記された、「暗黒の招来神」以外のカード1枚をデッキから手札に加える。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに攻撃力と守備力が0の悪魔族モンスター1体を召喚できる。

 

 

 

「『暗黒の招来神』は通常召喚とは別に攻守0の悪魔族モンスターを召喚できる。よって俺様は『招来神』をリリースし、レベル5の『暗黒の召喚神』をアドバンス召喚!

 更に『七精の解門』の効果発動! 手札を1枚捨てて、たった今捨てた『混沌の召喚神』を特殊召喚する!」

『GAAAAAAAAAAA!』

『ZOOOOOOOOOOO!』

 

 

暗黒の召喚神:ATK 0

混沌の召喚神:ATK 0

 

 

 瞬く間に表れた2体の仰々しい悪魔。

 片や『ラビエル』を、片や『ウリア』を想起させる、黒い異形だ。

 

「こいつらをリリースし、効果発動! 『暗黒の召喚神』の効果でデッキから『ラビエル』を、『混沌の召喚神』の効果で手札から『ウリア』を、召喚条件を無視して特殊召喚する!」

 

 

 

暗黒の召喚神(効果モンスター)

星5

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。

「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体を手札・デッキから召喚条件を無視して特殊召喚する。

このターン、自分のモンスターは攻撃できない。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体を手札に加える。

 

 

 

混沌の召喚神(効果モンスター)

星1

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。

「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体を手札から召喚条件を無視して特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから「失楽園」1枚を手札に加える。

 

 

 

 吹き上がる炎の柱、そして隆起する大地。

 それらを叩き割って、赤色の巨蛇と青色の大悪魔が地響きと共に場に生まれた。

 召喚条件を無視しての召喚のため蘇生制限を満たさないが、この大質量の魔獣では大した意味は持たないだろう。

 

 

 

神炎皇 ウリア:ATK 0→2000

幻魔皇 ラビエル:ATK 4000

 

 

「いきなり2体おでましか……」

「まだだ! 永続魔法『邪神に傅く幻魔』の効果発動! デッキから永続罠『闇の呪縛』を墓地に送り、永続魔法『無念の手札』を発動!」

 

 

 

闇の呪縛

【永続罠】

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

(1):対象のモンスターの攻撃力は700ダウンし、攻撃できず、表示形式の変更もできない。

そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

 

 

無念の手札

【永続魔法】

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いの手札制限枚数は3枚になる。

 

 

 

「ぼ、墓地にトラップが増えたッス! 『ウリア』の攻撃力が!」

「しかもマズいぞ、これで奴の場には魔法カードが3枚ある!」

「その通りだ! 俺様はこの3枚を墓地に送り、現れろ『ハモン』!」

 

 一足遅れ、氷柱が地面から突き上がり紫電が走る。

 金色の肉体を持つ雷鳴の悪魔が出現し、これでたった1ターンで三幻魔が勢揃いし一列に並んだ。

 

 

神炎皇 ウリア:ATK 2000→3000

降雷皇 ハモン:ATK 4000

 

 

「嘘だろ!? 幻魔とまた戦わないといけないのか!」

「十代が苦労して倒したというのに……!」

「しかもたった1ターンで揃いやがった!」

「どうするのフィオ……、強敵よ……!」

 

 幸い邪神がエネルギーを供給しているのか、精霊のエナジーを吸い取ろうとする気配はない。

 しかしそれが逆に、あの黒く憑依しているナニカの恐ろしさを語っている。あれは不完全な復活ながら、世界中の精霊より更に大きなエネルギー量を誇るという事なのだから。

 

「『暗黒の召喚神』の効果により、俺様はこのターン攻撃できない。だが1ターン目なら問題は無い。

 墓地の『混沌の召喚神』の効果発動、墓地から除外しデッキから『失楽園』を手札に加え、発動。その効果でデッキから2枚ドローする」

「手札がこれで3枚に回復したか……」

「そして手札より装備魔法『幻魔に下賜する邪神の奸策』を発動! 互いのターンに1度デッキか手札の永続罠を墓地に送る事で、そのモンスターと同じ攻撃力のトークンを生み出す! 俺様はコイツを『ウリア』に装備し、デッキから『無差別破壊』を埋葬する!」

 

 

神炎皇 ウリア:ATK 3000→4000

神炎皇 ウリアトークン:ATK 4000

 

 

 

失楽園

【フィールド魔法】

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」「混沌幻魔アーミタイル」は相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):自分のモンスターゾーンに「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」「混沌幻魔アーミタイル」のいずれかが存在する場合に発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

 

 

無差別破壊

【永続罠】

自分のスタンバイフェイズ毎にサイコロを1度だけ振る。出た目のレベルの表側表示モンスターを全て破壊する。

(出た目が6の場合は6以上のレベルのモンスターも含む)

 

 

 

幻魔に下賜する邪神の奸策(オリジナル)

【装備魔法】

「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のみ装備可能。

(1):自分・相手ターンに1度、デッキ・手札から永続罠を1枚墓地に送って発動できる。

装備モンスターと同じ名前のトークンを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚されるトークンのレベル・種族・属性・攻撃力・守備力は装備モンスターと常に同じとなる。

装備モンスターがフィールドに表側表示で存在しなくなった時、そのトークンを破壊する。

(2):相手は装備モンスター以外を攻撃できない。

(3):墓地のこのカードを除外し、手札を1枚捨てて発動できる。

墓地・除外状態から「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれかを選び、正規の召喚扱いで特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターが相手モンスターとの戦闘で相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

 

 

「攻撃力4000が4体だと!?」

「先攻ターンは攻撃できない、俺様はこれでターンエンドだ。

 さぁ、ウォーミングアップの相手くらいは務めてくれよぉ、バァランサァーッ!」

 

 

 

邪神ミヤコ:LP 8000

手札:2枚

フィールド

:神炎皇 ウリア(ATK 4000)、神炎皇 ウリアトークン(ATK 4000)、降雷皇 ハモン(ATK 4000)、幻魔皇 ラビエル(ATK 4000)

:失楽園(フィールド魔法)、幻魔に下賜する邪神の奸策(装備魔法・『神炎皇 ウリア』に装備)

 

 

 

 攻撃力4000のモンスターが4体。この内3体は効果対象にならず効果では破壊できない。

 またその中の1体は毎ターン攻撃力が上がる状態でもある。

 チマチマと準備をするのは愚の骨頂、このターンで速攻(アグロ)をかけねば負ける状況だ。

 

「わたしのターン!」

 

 手札は幸い6枚、展開に問題は無い。

 何か仕掛けられているとすれば……、奴の伏せカードと手札か。

 

(それでも、動かなければ罠も勝利も見えない。反撃の隙を与えず、一気呵成に畳みかける!)

「装備魔法『幻魔に下賜する邪神の奸策』の効果発動。デッキから『久延毘古(クエビコ)』を墓地に送り、新たな『ウリア』のコピーを生み出す!」

 

 デッキからカードが1枚吐き出され、黒い塵になって消えた。

 案山子を模したカードは瞬時に赤い巨蛇となり、オリジナル共々その火力を増していく。

 

 

 

久延毘古

【永続罠】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードは発動後、以下の効果を持つ効果モンスター(天使族・地・星2・攻0/守0)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する(罠カードとしても扱う)。

●自分フィールドのカードを対象とするフィールドのモンスターの効果を相手が発動した時に発動できる(同一チェーン上では1度まで)。

このカードを自分の魔法&罠ゾーンにセットし、その相手の効果を無効にする。

そのモンスターの攻撃力が相手フィールドで一番高い場合、さらにそのモンスターを手札に戻す。

 

 

 

神炎皇 ウリア:ATK 4000→5000

神炎皇 ウリアトークン:ATK 4000→5000

神炎皇 ウリアトークン:ATK 5000

 

 

「攻撃力5000!?」

「マズい、『ラビエル』は味方モンスターを生贄に強化される効果を持つ! 『ウリア』を放置すれば、そのコストと攻撃力は何度でも捻出されてしまう!」

「だがその攻撃力は既に5000、しかもフィールド魔法で強固に守られているぞ!」

「十代は墓地の罠カードを除外して対応したけど……」

 

「『トレード・イン』を発動。手札からレベル8の『光神機-轟龍』を墓地に送り、2枚ドローする」

 

 手札を交換しつつ、敵の高い攻撃力を前に暫し手札と相談するフィオ。戦術が決まったのか、やがてその中から1枚を切ってディスクに差し込んだ。

 

「行くぞ! わたしは永続魔法『光芒のパイプオルガン』を発動!」

 

 黒く染まった天に光差す。まるで暗雲を切り裂く陽の光のように、上空から一条の白い光がフィオを照らす。

 『天使の階段』や『ヤコブの梯子』とも呼ばれる光芒、薄明光線だ。とある文豪はこれを『光のパイプオルガン』と表現した事がカード名の由来だろう。

 

「1ターンに1度、フィールドの最も攻撃力の高いモンスターより攻撃力の低い天使族モンスターをデッキから手札に加える事ができる。

 この時、その対象となるモンスターが相手フィールドにいる攻撃力3000以上のモンスターの場合、加える枚数を2倍にできる! 1番攻撃力が高いのは『ウリア』と『ウリアトークン』!」

「良し、フィールド魔法の効果で『ウリア』は対象にできないが、トークンはできる!」

「その攻撃力は5000、どんなモンスターもサーチできるわ!」

「ただし複数枚サーチする場合、名前が一致してはならない! そして3回効果を使った時、このカードは破壊される!

 1枚目、『マスター・ヒュペリオン』! 2枚目、『死天使ハーヴェスト』!」

 

 

 

光芒のパイプオルガン(オリジナル)

【永続魔法】

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できず、デュエル中に3度までしか適用できない。

(1):フィールドの1番攻撃力の高いモンスター1体を対象に発動できる。

そのモンスターより攻撃力の低い天使族モンスターをデッキから1枚手札に加える。

そのモンスターが相手フィールドに存在する攻撃力3000以上のモンスターの場合、カード名の異なり攻撃力の合計が対象モンスターより低い天使族モンスターを2枚手札に加える事ができる。

(2):(1)の効果を3回発動した後、このカードは破壊される。

 

 

 

 凛、と軽やかで涼やかな音色がどこからか響き渡る。

 フィオにその音が集束すると、ディスクが淡く輝き2枚のカードを吐き出して彼女の手に加えさせた。

 

「わたしは『ハーヴェスト』をペンデュラムスケールにセッティング!

 そして『ハーヴェスト』のペンデュラム効果により、自身を破壊してデッキから『昇天の黒角笛(ブラックホーン)』を手札に加える! そして破壊されたペンデュラムモンスターは墓地に送らず、エクストラデッキに表側表示で加わる!」

 

「ペンデュラム……」

「これまでと違うルール、彼女も本気か」

「落ち着いて、フィオ。貴女なら行けるわ」

 

 

 

死天使ハーヴェスト(ペンデュラム・効果モンスター)

星4

闇属性/天使族

ATK 1800/DEF 1000

【Pスケール:青8/赤8】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

このカードを破壊し、デッキから「昇天の黒角笛」1枚を手札に加える。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・P召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「昇天の角笛」1枚を手札に加える。

(2):このカードがリリースされた場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

 

 手札はこれで7枚、準備は充分。

 後は、あの布陣を叩き壊して敵の首を獲るだけ。

 

「わたしはスケール1の『降誕のガウリール』と、スケール9の『終幕のイズライル』でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 羽型のディスクに浮遊する形で配置されるのは、受胎を知らせる白き神が如き天使と黒い鎌を持つ神が助けた天使。

 それらが天を指す柱に現れ、フィオを後ろから見守るように上空で睥睨する。

 

「『終幕のイズライル』のペンデュラム効果発動! デッキから闇属性の天使族モンスター1体を手札に加える事ができる! わたしが選ぶのは『堕天使アスモディウス』!

 そして『神秘の代行者 アース』を召喚し効果発動! デッキから『死の代行者 ウラヌス』を手札に加える!」

 

 

神秘の代行者 アース:ATK 1000

 

 

 光が天より差す。

 闇を打ち消すため、明日を導くため。

 それらの光の帯はフィオの頭上にて円を描き、七色に輝く異空間への門を開く。

 

「煌めけ、光のペンデュラム! 闇を掻き消せ、希望のアーク!」

 

 

☆2=☆8

 

 

「ペンデュラム召喚! 降臨せよ、我が同胞の天使達よ!」

 

 門から地上に飛び出す光は、合わせて5つ。

 手札から4体、そしてもう1ヶ所から追加で更に1体。

 敵が5体いるのならば、上等。こちらも5体で迎え撃てば良い。

 

「手札から、レベル4『堕天使ジェフティ』! レベル8『堕天使アスモディウス』! 同じくレベル8『マスター・ヒュペリオン』!

 そしてエクストラデッキからレベル4『死天使ハーヴェスト』!」

 

 

堕天使ジェフティ:DEF 0

堕天使アスモディウス:ATK 3000

マスター・ヒュペリオン:ATK 2700

死天使ハーヴェスト:ATK 1800

 

 

 降り立つは天使の軍団。

 代わりに手札はカウンター罠1枚だけになったが、問題は無い。これから補充する。

 

「この瞬間、わたしは『ハーヴェスト』『ジェフティ』『アース』のモンスター効果、そして『ガウリール』のペンデュラム効果を発動。

 チェーン1で『ガウリール』、チェーン2で『ハーヴェスト』、チェーン3で『ジェフティ』の効果を適用する。

 まずは『ジェフティ』の効果でデッキから“堕天使”モンスター1体を特殊召喚する。わたしは『堕天使ユコバック』を特殊召喚。

 次に『ハーヴェスト』の効果で、デッキから『昇天の角笛』をサーチする」

 

 

堕天使ユコバック:DEF 1000

 

 

「最後に『ガウリール』の効果。わたしがペンデュラム召喚に成功した時、自分フィールドの天使族モンスターの種類の半分だけカードをドローする。今、天使族は6体。よって3枚ドロー!

 まだ終わらない。特殊召喚に成功した『ユコバック』の効果により、デッキから『堕天使グルガルタ』を墓地に送る」

 

「半端な部分にモンスターが1体出てるな、あそこにもモンスターを出せるのか……」

「スゲェ、あっという間に手札にカードが増えてやがった! もう7枚だ!」

「黎のやっている戦術と同じだ、消費はできるだけ抑えつつ補充も行う。これなら手札を大きく減らしても損失が少ない」

 

 

 

堕天使ジェフティ(効果モンスター)

星4

闇属性/天使族

ATK 0/DEF 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「堕天使ジェフティ」以外の「堕天使」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は天使族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分フィールドに天使族・闇属性の融合モンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「堕天使」カードか「禁じられた」速攻魔法カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを手札に加える。

 

 

 

堕天使ユコバック(効果モンスター)

星3

闇属性/天使族

ATK 700/DEF 1000

「堕天使ユコバック」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「堕天使」カード1枚を墓地へ送る。

 

 

 

堕天使グルガルタ(効果モンスター)

星6

闇属性/天使族

ATK 2400/DEF 800

自分は「堕天使グルガルタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚した場合に発動できる。

自分フィールドに「堕天使トークン」(天使族・闇・星6・攻/守0)2体を特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は天使族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「堕天使グルガルタ」以外の「堕天使」カードか「禁じられた」速攻魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

 

「この瞬間、墓地に送られた『グルガルタ』の効果発動。デッキから『佚楽(いつらく)の堕天使』を手札に加える」

 

 モンスター6体、手札は8枚。

 ライフは1も減っておらず、どんな展開も思うが儘だ。

 なのに。

 

(勝てる気配が全くない)

 

 慌てるな、とフィオは自分を静める。

 デュエルは始まったばかり、数多の可能性を秘めた己のデッキを信じるのだ。

 

「現れろ、天光の煌めくサーキット! わたしは『ハーヴェスト』、『ユコバック』、『ジェフティ』の3体をリンクマーカーにセット! 燦々と輝く剣を携えし聖騎士よ、神罰の代行者を襲名すべく天馬を駆れ!」

 

 

LM(リンクマーカー):左下・下・右下

 

 

「リンク召喚! 『天空神騎士(セレスティアルナイト)ロードパーシアス』ッ!」

『ハァァァ、タァッ!』」

 

 

天空神騎士ロードパーシアス:ATK 2400

 

 

 初手にEXデッキから現れたのは8本足の馬の下半身を持つケンタウロスの騎士。

 リンクモンスターがEXモンスターゾーンとして、羽型ディスクの一部が展開し、そこに配置される。

 一気にモンスターの数が半減したが、ここから増やす。

 

「マジック発動、『佚楽の堕天使』! 場、手札、墓地のモンスターを除外し、闇属性の天使族モンスターを融合召喚する!

 わたしは墓地の『ユコバック』と『グルガルタ』、そして手札の『堕天使ルシフェル』を除外し、融合!」

 

 墓地へと送られた天使、そして手札に来た別の天使が混ざる。

 1つの黒は鎧に、1つの黒は翼に、そして1つの黒はその持ち主へと書き換えられ、恐怖と神秘の渦が夜明けの太陽のように光り輝いた。

 

「反旗の黒き天使達よ、闇を司り光すら切り裂き、悪魔にすら微笑みかけろ!」

 

 

融合素材:天使族・闇属性×3

 

 

「融合召喚! 降臨せよ、叛逆の夜明け! 『黎明の堕天使ルシファー』!」

「ハァッ!」

「『佚楽の堕天使』の効果により、召喚されたモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

 

黎明の堕天使ルシファー:ATK 4000→5000

 

 

 呼び出されたのは黒い鎧、黒い武器、黒い翼を持つ堕落した大天使。

 夜明けの輝きを味方につける傲慢なる悪魔である。

 それを天使使いのフィオが呼び出すのは、或いは確かに傲慢なのか、それとも。

 

「『黎明の堕天使ルシファー』は『堕天使ルシファー』を素材に融合召喚された時、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

「何!?」

「“黎明の鎮魂歌(ダウン・レクイエム)”!」

 

 一瞬で閃光が周囲を覆い、次の一瞬で堕天使を中心に炎のような金色の衝撃波が放たれる。

 地上全てを焼くようなその破壊の波は、一瞬で邪神の場を半壊させた。

 

「フィールド魔法の効果で、“幻魔”は破壊できないッス! でも!」

「ああ、これでトークンと装備魔法は消えたし、フィールド魔法も無くなった!」

「装備魔法は攻撃対象を限定させ、フィールド魔法は効果破壊と効果対象を封じていた。この一手は大きい」

 

 

 

黎明の堕天使ルシファー(融合・効果モンスター)

星12

闇属性/天使族

ATK 4000/DEF 4000

天使族・闇属性モンスター×3

このカード名の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):「堕天使ルシフェル」を素材としてこのカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。

相手フィールドのカードを全て破壊する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの天使族モンスターは相手の効果の対象にならない。

(3):自分・相手のメインフェイズに1000LPを払って発動できる。

自分の手札・墓地から天使族モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。

 

 

 

佚楽の堕天使

【通常魔法】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分の手札・フィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、天使族・闇属性の融合モンスター1体を融合召喚する。

「堕天使」融合モンスターを融合召喚する場合、相手フィールドの「堕天使」モンスターを融合素材とする事もできる。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は1000アップする。

 

 

 

「わたしは『パーシアス』の効果発動! 手札の『昇天の角笛』を墓地に送り、デッキから『パーシアスの神域』を手札に加え、そのまま発動! 天使族モンスターの攻撃力・守備力が300アップだ!」

 

 

天空神騎士ロードパーシアス:ATK 2400→2700

神秘の代行者 アース:ATK 1000→1300

マスター・ヒュペリオン:ATK 2700→3000

堕天使アスモディウス:ATK 3000→3300

黎明の堕天使ルシファー:ATK 5000→5300

 

 

「続けて『アスモディウス』の効果発動! 1ターンに1度、デッキから天使族モンスターを1体墓地に送る事ができる! わたしはデッキから『堕天使スペルビア』を墓地に送る!」

 

 

 

堕天使アスモディウス(効果モンスター)

星8

闇属性/天使族

ATK 3000/DEF 2500

このカードはデッキ・墓地からの特殊召喚はできない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

デッキから天使族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

自分フィールドに「アスモトークン」(天使族・闇・星5・攻1800/守1300)1体と、「ディウストークン」(天使族・闇・星3・攻/守1200)1体を特殊召喚する。

「アスモトークン」は効果では破壊されない。

「ディウストークン」は戦闘では破壊されない。

 

 

 

 着々と準備を整えていくフィオ。

 今はまだ邪神も準備ができていない状態、畳みかけて陣形を整えるなら今しかないのだ。

 

「レベル8の『マスター・ヒュペリオン』にレベル2の『アース』をチューニング! その炎は愛、その炎は法、その炎は鋭き剣! 光明よ、天の流れを司る太陽の輝きを以て、全てを照らす(まばゆ)き焔となれ!」

 

 

☆8+☆2=☆10

 

 

「シンクロ召喚! 希望の明日よ、今ここに! 『マスターフレア・ヒュペリオン』!」

『ハァァァァァァァ、トァァッ!』

 

 

マスターフレア・ヒュペリオン:ATK 3200→3500

 

 

 続けて太陽を背負った大天使が登場。

 かつて使っていた【エンジェルパーミッション】と違い、【代行者天使】は墓地も多様する。

 単なる墓地肥やしとしても『マスターフレア・ヒュペリオン』は有用だ。

 

「もう一丁! わたしは『ルシファー』の効果を発動! ライフを1000ポイント払う事で墓地の天使族モンスターを守備表示で特殊召喚する! ぐ……っ! よ、蘇れ、『スペルビア』!」

『ア゛ァァァァァ!』

「『スペルビア』の効果発動! このモンスターを墓地から特殊召喚した時、墓地から別の天使族モンスターを呼び戻す! もう1度現れろ、『マスター・ヒュペリオン』!」

『ヌンッ!』

 

 

フィオ:LP 8000→7000

堕天使スペルビア:DEF 2400→2700

マスター・ヒュペリオン:ATK 2700→3000

 

 

 

堕天使スペルビア(効果モンスター)

星8

闇属性/天使族

ATK 2900/DEF 2400

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。

その天使族モンスターを特殊召喚する。

 

 

 

「凄いな、あっという間にモンスターがまた並んだ」

「最初6体いた天使は途中で数が減った、でも再び5体に増えたわ」

「ええ、これなら行けますよ!」

 

「『マスター・ヒュペリオン』の効果発動! 墓地の光属性・天使族モンスターを除外し、フィールドのカードを1枚破壊する事ができる! この効果は『天空の聖域』として扱う『パーシアスの神域』があるため、1ターンに2度使う事ができる! わたしは墓地の『アース』と『轟龍』を除外し、お前の『ウリア』と『ラビエル』を破壊する! “バニシング・ブレイズ”、2連射!」

「チッ!」

 

 灼熱の太陽で焼き払われる2体の魔なるモノ。

 これで邪神の場は攻撃表示の『ハモン』を残すのみとなった。

 一方でフィオの場には1体の守備表示モンスターと4体の攻撃表示モンスターが存在し、それぞれ高い攻撃力を有している。

 見上げる程の巨大な天使の軍団を従えつつ邪悪な存在を打ち払わんとするフィオの姿は、まさに闇を討伐する天使そのものだ。

 

「バトル! 『黎明の堕天使ルシファー』で『ハモン』を攻撃! 雷を従える告知よ、朝日と共に去れ! “黎明の終曲(ダウン・フィナーレ)”!」

「ぬぅっ!」

 

 

邪神ミヤコ:LP 8000→6700

 

 

 まずは一撃、夜明けの堕天使の眩いビームが雷の魔を穿ち、爆散。余波で邪神のライフを削った。

 長い髪と白いリボンを風に舞わせながら、フィオは次の攻撃宣言のために大きく息を吸い直す。

 

「やった! これで全滅したッス!」

「残りライフは6700、行けるわ!」

 

 更地になった敵陣に、フィオは更に踏み込む。デュエルは時間経過と共に墓地に大量のリソースが仕込まれるもの、ここが一番手薄という事を彼女は知っているのだ。

 

「続けて『マスターフレア・ヒュペリオン』でダイレクトアタック! “アルティメット・シャイニング”!」

 

 燃え盛る太陽の如き炎塊を放ち、邪神へ追撃を行う天使。

 見上げるような巨大な赤は、しかし黒に着弾する直前に消滅した。

 

「防がれた!?」

「手札の永続罠『邪道に染まる神の炎』を発動した。このカードの効果で俺様はダメージを受けない」

「相手ターンに手札から永続罠だと!?」

 

 

 

邪道に染まる神の炎(オリジナル)

【永続罠】

自分フィールドにカードが存在しない時、このカードは手札から発動できる。

このカードは「発動できない」効果に対しても発動できる。

(1):自分がダメージを受けているターンに発動できる。

ターン終了時まで自分が受ける全てのダメージは0になる。

この効果の発動に対し、相手はカードの効果を発動できない。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

魔法・罠ゾーンのこのカード(表側表示)を墓地に送り、デッキから永続魔法か永続罠を1枚選び、手札に加えるかセットする。

 

 

 

 全て破壊し更地にした事が、どうやら裏目に出たらしい。

 炎には炎とでも言わんばかりに、しかし赤とは真逆の黒い炎が邪神を守ったのだ。

 手札は5枚、その中にあれを突破するカードは、無い。

 

「……わたしは墓地の『ジェフティ』の効果を発動。自身を除外し、墓地の『佚楽の堕天使』を手札に戻す。そして『アドバンス・ドロー』を発動。レベル8の『マスター・ヒュペリオン』をリリースして2枚ドロー。カードを3枚伏せてターンエンド」

 

 追撃を断念したフィオは、空いている魔法・罠ゾーンを埋める形で場に迎撃準備を組む。

 どこかにはチェーンを作らない特殊召喚である『昇天の黒角笛』がセットされており、奇襲にも対応しやすい準備態勢だ。

 

 

 

フィオ:LP 7000

手札:2枚+『死の代行者 ウラヌス』、『佚楽の堕天使』

フィールド

:天空神騎士ロードパーシアス(ATK:2700)

:マスターフレア・ヒュペリオン(ATK:3500)、堕天使アスモディウス(ATK:3300)、黎明の堕天使ルシファー(ATK:5300)、堕天使スペルビア(DEF:2700)

:伏せカード3枚、光芒のパイプオルガン(永続魔法)、パーシアスの神域(永続魔法)

 

 

 

「俺様のターン、ドロー! 俺様は『邪道に染まる神の炎』を墓地に送り効果発動! デッキから永続罠『押し売りゾンビ』を手札に加える!」

 

 邪神の手札はこれで3枚。

 フィオの場は高攻撃力のモンスターが並び、魔法・罠も完璧な布陣を構成しており、隙は無い。

 普通のデュエルなら。

 敵は邪神、いかなるカードを使うかは黎が身をもって散々見て来ている。

 

「墓地の装備魔法『幻魔に下賜する邪神の奸策』の効果発動! 手札を1枚捨ててこのカードを墓地から除外し、墓地の“幻魔”を引きずり出す!」

「何だと!?」

「墓地の永続罠は今捨てた『押し売りゾンビ』が増えて6枚だぞ!」

「マズい、『ウリア』がフィオのモンスターの攻撃力を上回って来るわ!」

「させるか! トラップ発動、『霊王の波動(ドミナス・インパルス)』! モンスターを特殊召喚する効果を無効にする!」

 

 青白い波動を放ち、墓地へと通じる紫色の召喚ゲートを砕く天使。

 カウンター罠は墓地や手札のような“効果の適用”には使えない欠点を持つ。このカードはその弱点を補うカードだ。

 そしてフィオの場の最も高い攻撃力は5300、これは現状のみならず『オネスト』を使わなければこのデッキの最高位の打点でもある。

 それより勝るパワーを出されるという事は、このタイミングで止めなければジリ貧である事も意味していた。

 

「ならば手札より魔法カード『ダークスター・ジェノサイド』を発動! 自分の墓地のモンスターを3体選択し、そのレベルの合計5につき1枚フィールドのカードを破壊! そして破壊したモンスターの攻撃力の合計値の20倍のダメージを貴様に与える!」

「20倍!?」

「カウンター罠『シャイニー・クラッシュ』! カードを破壊・除外する効果を無効にして破壊する! そしてわたしのフィールドの光属性モンスターの攻撃力の合計が5000以上のため、カードを2枚ドローして1枚捨てる!」

 

 続けて発動された暗い流星は、ジョーカーの使用したのと同じカードで妨害。

 墓地に『コーリング・ノヴァ』を落としつつ手札をこれで1枚増やす事に成功した。

 

 

 

霊王の波動

【通常罠】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

相手フィールドにカードが存在する場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):モンスターを特殊召喚する効果を含む、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。

その効果を無効にする。

自分の墓地に罠カードが存在する場合、さらにその無効にしたカードを破壊する。

このカードを手札から発動した場合、発動後、このデュエル中に自分は光・地・風属性モンスターの効果を発動できない。

 

 

 

シャイニー・クラッシュ(オリジナル)

【カウンター罠】

(1):自分フィールドに光属性モンスターが存在する時、相手のカードを破壊・除外する効果の発動を無効にする。

その後、相手フィールドの光属性以外の攻撃表示モンスターを全て破壊する。

(2):(1)の効果の発動時、自分フィールドの光属性モンスターの攻撃力の合計が5000以上の場合に発動できる。

デッキから2枚ドローし、手札を1枚捨てる。

 

 

 

「良し、これで敵の手札は残り1枚ッス!」

「頑張れ、フィオ! もうちょっとだ!」

「先のターンは防がれたが、今度こそ……!」

 

 周囲が言うように、邪神ミヤコの手札はこれで残り1枚。

 先のターン終了時に2枚、攻撃を防いで1枚。その後1枚ドローとサーチを行って3枚。そこからコストに1枚、魔法カードとして1枚。これで残り1枚となった。

 計算は合っているし、実際相手の手にあるのも1枚。だが、これで終わるのなら黎が何度も辛酸を舐め、幾度となく血達磨になる事も無かっただろう。

 最後の1枚が明かされるまで、目を逸らしてはいけない。

 そしてその最後の手札が切られた。

 

「俺様は手札から『邪幻の魔司祭』を特殊召喚!」

『ホァッ!』

 

 

邪幻の魔司祭:ATK 0

 

 

「このモンスターはレベル7だが、攻撃表示で手札から特殊召喚できる。ただしEXデッキからカードを5種類、効果を無効にして墓地に送らねばならない。そしてこの方法で特殊召喚された時、墓地の“幻魔”の攻撃力を2倍にして特殊召喚できる!」

 

 邪神の墓地に『フレイム・ゴースト(レベル3・アンデット族)』『暗黒火炎龍(レベル4・ドラゴン族)』『バロックス(レベル5・悪魔族)』『クリッチー(レベル6・魔法使い族)』『迷宮の魔戦車(レベル7・機械族)』が送られ、黒いローブを羽織った異彩を放つ司祭が現れる。

 再び『ウリア』を蘇生し、攻撃力12000でワンショットキルを狙うつもりなのだろう。

 そうはさせじと、フィオは白い翼のようなディスクのボタンを押した。

 

「カウンター罠、オープン! 『昇天の黒角笛』! チェーンに乗らず特殊召喚されたモンスターを破壊する!」

 

 いきなり飛び出すモンスターにはこれが効く。

 黒い角笛から轟音を放ち、邪神の呼び出した司祭をそのまま粉砕。敵の最後の一手を完全に封じ込めた。

 

「よっしゃあ! これで最後の手札も無くなったぜ!」

「もうアイツに打つ手は無いッス!」

「後はターンが回れば彼女の勝利だ!」

 

 

 

ダークスター・ジェノサイド(オリジナル)

【通常魔法】

(1):自分の墓地から種族・属性が異なるモンスターを3枚選んで発動する。

そのレベルの合計5につき1枚、相手フィールド・手札のカードを選んで破壊する。

その後、この効果で破壊されたモンスターの攻撃力の合計の20倍のダメージを相手に与える。

与えたダメージが1000以下である場合、更に相手のデッキからモンスターカードを30枚まで選んで裏側表示で除外できる。

(2):このカードを含む「ダークスター・ジェノサイド」を自分の墓地から3枚除外して発動できる。

相手フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスターを全て裏側表示で除外する。

その後、その同じ数まで自分のEXデッキから闇属性モンスターを、効果を無効にして特殊召喚できる。

 

 

 

邪幻の魔司祭(効果モンスター)(オリジナル)

星7

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 500

このカードはS・X素材にできない。

(1):自分・相手ターンのメインフェイズに、自分のEXデッキからレベルと種族が異なる闇属性モンスターを5種類墓地に送って発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

この効果で墓地に送られたカードと同名カードの効果はお互いに無効となり、発動できない。

(2):このカードが自身の効果で特殊召喚に成功した時、自分・相手墓地の「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体を手札に戻して発動する。

そのモンスターを召喚条件を無視して手札から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は倍になる。

 

 

 

「……」

 

 確かに邪神ミヤコのフィールドにカードは無い。

 手札も無く、墓地で発動できる中で有用なカードも無い。

 もう出せるカードは無い筈だ。

 

(頼む、このままターンを終わってくれ)

 

 手札が1枚でも回復すれば、恐らくそこから更に増やしてくる。

 何もかも空っぽになったこのタイミングがチャンスなのだ。

 なのに。

 

「俺様は」

 

 邪神はディスクを操作すると。

 

「墓地の闇属性モンスター5体を除外し」

 

 新たなモンスターをフィールドに呼び出した。

 

「このカードを融合召喚するぅ!」

 

 素材となるのはついさっき墓地に送られた5体の融合モンスター。

 

「出でよ、『混沌の魔将』!」

『Aaaaaaaaaaaaaaaaa!』

 

 召喚されたのは黒い悪魔。鎧をまとい、翼と尾を生やした、どこか『アーミタイル』にも、或いは『ユベル』にも似た存在。

 その2体を知らない一同には、残念ながらただの黒いキメラ騎士にしか見えないだろうが。

 

 

混沌の魔将:ATK 2000

 

 

「そんな、融合魔法無しで融合召喚しただなんて!?」

「このモンスターは本来、闇属性モンスター2体を素材に召喚できる。だが墓地から5体除外してもまた融合召喚できるのだ!」

「さっき墓地に5枚送ったのは、このモンスターを呼ぶための布石だったのか……!」

「そして『混沌の魔将』のモンスター効果発動! このカードを除外し、墓地から効果と召喚条件を無効にして“幻魔”を特殊召喚する! 蘇れ、『ラビエル』!」

『オ゛ォォォォォッ゛ッッ!』

 

 

幻魔皇 ラビエル:ATK 4000

 

 

「また出やがった!」

「そしてデッキから永続魔法、永続罠、悪魔族モンスターカードを1枚ずつ手札に加える!」

 

 大地が割れ、そこから再び青色の巨魔が現れる。

 全身が黒いオーラによって罅割れており、先刻までの禍々しさとは異なる悲しい悍ましさを醸し出していた。

 

「そして永続魔法『邪神幻装』を発動! 自分フィールドの悪魔族モンスター1体を選択し、墓地から同じレベルのモンスターを装備カード扱いで装備する! 墓地から力だけ寄越せ、『ウリア』! 『ハモン』!」

『ガァァァァァァ!』

『ゴォォォォォォ!』

「そしてこの効果で装備したモンスターの効果を『ラビエル』の効果として発動できる!」

「『マスターフレア・ヒュペリオン』の効果発動! 相手の効果が発動した時、墓地の『コーリング・ノヴァ』を除外して──」

「無駄だ! 『邪神幻装』の効果により、俺様のカードは1ターンに1度相手の効果を受けない!」

「くっ!」

 

「マズい、『ハモン』はモンスターを破壊すると1000ポイントのダメージを与えて来るぞ」

「幸い『ウリア』の攻撃力アップの効果は適用されないが、伏せカードを破壊する効果は有効。カウンター罠を使うデッキには厳しい効果だ」

「今は『パーシアスの神域』の効果で守られているけど、破壊されてしまえば……!」

「しかも『混沌の魔将』の効果で『ラビエル』が与えるダメージは半分になるけど、効果ダメージは半減しないわ!」

 

 

 

混沌の魔将(融合・効果モンスター)(オリジナル)

星11

闇属性/幻想魔族

ATK 2000/DEF 2000

トークン以外のレベルの異なる闇属性モンスター×2

このカードは自分フィールド・墓地に存在する、種族とレベルの異なる闇属性モンスター5体を除外して融合召喚する事もできる。

(1):このモンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。

その戦闘でお互いのモンスターは破壊されず、ダメージ計算終了時に戦闘を行った相手モンスターはデッキに戻る。

(2):融合召喚されたこのカードを除外して発動できる。

自分の墓地から「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」のいずれか1体を、召喚条件を無視して正規の召喚扱いで特殊召喚する。

この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、相手に与える戦闘ダメージは半分になる。

その後、自分のデッキから永続魔法、永続罠、悪魔族モンスターカードを1枚ずつ手札に加える。

(この効果で手札に加えたカードは相手に見せなくても良い)

 

 

 

邪神幻装(オリジナル)

【永続魔法】

(1):自分フィールドにレベル10以上の闇属性モンスターが存在する場合、自分フィールドのカードはそれぞれ1ターンに1度だけ相手の効果を受けない。

(2):自分フィールドの悪魔族モンスター1体を選択して発動できる。

自分の手札・墓地からそのモンスターと同じレベルのモンスターを2体まで選択し、装備カード扱いで装備する。

この効果で装備されたモンスターの効果は装備モンスターの効果として発動できる。

 

 

 

「バトル! やれ、我が(しもべ)『ラビエル』! あの堕天使を攻撃しろ!」

「攻撃力が唯一勝る『ルシファー』に攻撃だって!?」

「俺様は手札から『幻魔皇ラビエル-天界蹂躙拳』の効果を発動! このターン『ラビエル』の攻撃力は2倍になり、相手モンスター全てを攻撃できる!」

「何ぃ!?」

「マズい、『ハモン』の効果は回数制限が無いぞ!」

 

 

幻魔皇ラビエル:ATK 4000→8000

 

 

 

幻魔皇ラビエル-天界蹂躙拳(特殊召喚・効果モンスター)

星10

闇属性/悪魔族

ATK 4000/DEF 4000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、自分フィールドの「幻魔皇ラビエル」1体を対象として発動できる。

このターン、そのモンスターの攻撃力は倍になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

このカードを手札に加える。

 

 

 

『オ゛ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』

 

 巨大化した腕を振り下ろす青い悪魔。

 フィオの4体の攻撃表示モンスターを破壊されれば、半減されてなおダメージは8000を超える。そして5回分の効果ダメージを受ければ、残り7000であろうとライフは消し飛ぶ。

 他に手は無い。天使は翼型のディスクからカードを急いで取り外すと、それを相手に見せつけた。

 

「わたしは『ガウリール』と『イズライル』のペンデュラム効果を発動!」

「下らん小細工だ! 喰らえ、“天堂虐殺拳”!」

『ぐぉおおおっ!?』

「っ!」

 

 

フィオ:LP 7000→5650

 

 

「そしてモンスターを破壊し墓地に送った事で『ハモン』の効果を発動する! “地獄の大贖罪”!」

「『ガウリール』を破壊し、効果ダメージ分だけライフを回復! そしてこのターンこれ以上の効果ダメージを無効化する! うぐぁあああああああ!」

 

 

フィオ:LP 5650→4650→5650

 

 

 邪神の指示により魔神の鉄拳が振るわれ、夜明けの堕天使を殴り飛ばす。

 その衝撃波と、更に追加で放たれた轟雷がフィオを襲い、オゾン臭と共に天使の少女を焼いた。素早く回復の光で治癒を試みるが、その間にも次の悪魔の攻撃が別の天使を襲っていた。

 

「ヒャッハハハハハハハハ! 死ね死ね死ねぇい! 次は『パーシアス』だ!」

「っぐ……! 『イズライル』は1度だけ、戦闘ダメージの身代わりになる! 『パーシアス』との戦闘ダメージを無効にする!」

「だが残りのクズ天使共のダメージは通る! 消えろ、堕天使共!」

「う、あぁああああああああああああああああああああ!?」

 

 

フィオ:LP 5650→2400

 

 

「ぜぇ……、ぜぇ……っ! 『アスモディウス』の効果発動! 『アスモトークン』と『ディウストークン』を特殊召喚する!」

 

 

アスモトークン:DEF 1300→1600

ディウストークン:DEF 1200→1500

 

 

「失せろ、小物共が! 俺様の舞台に邪魔なんだよ!」

「『ディウストークン』は戦闘では破壊されない! そしてトークンは破壊されても墓地に送られず消滅する!」

「だが残る太陽野郎には消えて貰う! 失せろ火の玉ァ!」

「きゃあぁぁっ!?」

 

 続けて天騎士と太陽神、2体の堕天使も蹂躙され、いよいよフィールドが更地になる。

 大層な手間暇をかけて用意した5体の天使族の軍団は、あっという間に全滅したのであった。

 

 

フィオ:LP 2400→150

 

 

「がはぁっ!?」

 

 燃える太陽神が打ち倒された衝撃が大地を抉り砕き、伴って少女も大きく吹き飛ばされる。

 受け身も取れない程の衝撃によって打ち付けられた彼女が起き上がった時、頭と口、そして腕からぬるり(・・・)と不快な感触がした。

 赤く、生温い、命の証である、血液。

 超常の存在であろうと肉ある世界に居座れば避けられない負傷の証だった。

 

「ぐ、が……っ」

「フィオ!」「フィオさん!」「神山君!」

「なん、の、まだまだぁ……っ!」

 

 痛い。

 全身のあちこちに激痛が走っている。

 バラバラになりそう、というのはこういう事を言うのだろうか。

 

(それでもわたしは生きている。まだ負けてない)

 

 情けないけど、とフィオは内心で独り言つ。

 大見得を切って敵の前に立ったのにこの有り様、天使の名が泣くというものだ。

 ミシリ、と肩の更に後ろ側という有り得ない箇所に痛みが走る。

 

「ふぃ、フィオ! あなた翼が!」

 

 友人の金髪美女の声に反応して見やれば、左側の翼が折れていた。先の衝撃で変な所を打ったらしい。

 これでは飛べないだろう。

 嗚呼、これだから人間は、いや天使は、いいやその両方は。本来なら無視して良い場所、無視してはいけない場所に注意をしないといけない。

 

(ああ、もう。『わたし(人間)』なのか『(天使)』なのかハッキリして欲しいな)

 

 自意識が混ざる。

 己が『神山フィオ』であると同時に『■■■■■』であり、『■■の■■としての天使』でもあるという自己認識が成立している。1人につき1個しかないそれが3個あり、なおかつ何の混乱も発生していない。

 普通なら頭がグチャグチャになりそうなのに、分度器で綺麗に分割されたようにスッキリしていた。

 これは恐らく邪悪と戦う際、自身の根本的なアイデンティティが否定されたり混濁したりしては戦えないと自分が判断し、予防策を打っていたのだろう。

 

 だが流れ出る血と共に、区分けされて交わらない筈のそれ(・・)が自分の中に流れ込んでくる。今では人間であるという事に「ふーん?」と他人事のように思うかも知れない。

 死──正確には神山フィオの死──に近付き、人間という(くびき)から外れかけているという事だろうか。

 それに伴い、次々と過去の自分を思い出していく。まるでぎゅうぎゅうに詰まった容器の蓋を開けるように。

 

 

 

──何故、邪神が生まれたのか

──何故、黎と都の前に立ちふさがるのか

──何故、埒外の力を持つカードを自在に操るのか

──何故、七つの大罪を模した部下を持っているのか

──何故、今ここで自分が戦っているのか

──何故、このデュエルアカデミア(遊戯王GXの世界観)が舞台なのか

 

 

 

 その記憶全てが、白い羽を墨に浸すようにジワジワと脳を蚕食して、あらゆる『何故』への答えを導く。

 

「ぜぇ……、ぜぇ……っ」

「俺様はカードを1枚伏せてターンエンド。惜しくも仕留め損ねたが虫の息、風前の灯火、瀕死とはこの事。楽しませては貰ったが、次のターンで終わりだ!」

「そう、は……、いかないよ」

 

 そういう事だったのか。

 フィオは決して顔に出さず、1人納得した。

 

「そういう感想、は……、わたしのライフを……0にしてからだ……っ!」

 

 諸悪の根源は自分なのか(・・・・・・・・・・・)、と。

 

 

to be continued

 

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