遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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黎「なーにかな、なーにかな。今回はこれ!」


禁じられた聖杯
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。


黎「モンスターの攻撃力をアップさせる代わりに、効果を消すカードだ。速攻魔法だから気軽に使えるけど、400だけとはいえパワーアップする点には注意だぜ?」

フィオ「逆にこれを利用して、コンバットトリックをする事もできるね」

黎「デメリットを持つモンスターに使っても良い。特に『神獣王バルバロス』みたいな自力でパワーダウンするモンスターとの相性はバッチリだ!」


STORY13:もっと前に進まなくてはいけないから

「“フォーチューン・テンペスト”ォ‼」

「「ぬああああああああああああああああああああっ!」」

 

 

迷宮兄弟:LP 0

 

 

 迷いを振り切った翔の兄直伝の必殺カード『パワーボンド』で推参した『ユーフォロイド・ファイター』の放った光線が、戦闘破壊されない『ダーク・ガーディアン』を呑み込み、そのまま迷宮兄弟を襲った。丁度十代がカイザーと戦った時の構図を再現するかの様に。

 

 

 

 

ユーフォロイド・ファイター(融合・効果モンスター)

星10

光属性/機械族

ATK ?/DEF ?

「ユーフォロイド」+戦士族モンスター

このモンスターの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。

このカードの元々の攻撃力・守備力は、融合素材にしたモンスター2体の元々の攻撃力を合計した数値になる。

 

 

 

 

闇の守護神-ダーク・ガーディアン(アニメオリジナル)(効果モンスター)

レベル11

闇属性/戦士族

ATK 3800/DEF 3500

このカードは通常召喚できない。

「ダーク・エレメント」の効果でのみ特殊召喚する。

このカードは戦闘では破壊されない

 

 

 

 

ダーク・エレメント(アニメオリジナル)

【通常魔法】

自分の墓地に「ゲート・ガーディアン」が存在する場合に発動する事ができる。

ライフを半分支払う事で自分のデッキから「闇の守護神-ダーク・ガーディアン」を特殊召喚する。

このカードを発動する場合、このターン他のモンスターを召喚・特殊召喚する事はできない。

 

 

 

 

 あの時は戦闘破壊されないモンスターではなかったが、場のカードでは破壊できなかった。それを『パワーボンド』で融合召喚した機械族モンスターでフィニッシュとなった点は一致する。

 

 

 

 

パワーボンド

【通常魔法】

手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、機械族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

このカードによって特殊召喚したモンスターは、元々の攻撃力分だけ攻撃力がアップする。

発動ターンのエンドフェイズ時、このカードを発動したプレイヤーは特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。

(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

 

 

 

 何にせよ翔が完全に兄の呪縛から解放されたみたいで良かった。発破かけた身として、これで負けられると後味が悪い事この上無い。

 

 どうでも良いが、『ユーフォロイド・ファイター』で『ユーフォロイド』の上に乗ってる奴は融合素材によって違うのだろうか?

 

「あ、有り得ないの~ネ! 伝説のデュエリスト~が、あんなドロップアウトボーイ~ズに負けるなん~て!」

 

 リングの端の方では事を仕掛けたクロノス先生が混乱している。最下位の寮の生徒に負ける事を一切想定していなかったのだろう。

 ふふ、誤算だったね、クロノス先生。

 

「フフフ、ウチの生徒も中々強いでしょうニャ?」

「ん? ネ~コ!? 猫嫌い~ノ、カプチ~ノ!」

 

 その後ろから大徳寺先生が猫のファラオを連れてクロノス先生に話しかける。猫が苦手なクロノス先生は近付けられたファラオを見て更に取り乱す。

 

 クロノス先生の誤算は3つ。

 

 1つ、迷宮兄弟の実力。確かにあの二人は伝説のデュエリスト、武藤 遊戯氏と城之内 克也氏とデュエルを行い追い詰めた事がある。だが、当時の二人はまだ成長途中。現在でも張り合えるかと聞かれれば、その答えはNOだろう。何せあの二人はペガサス・J・クロフォード氏や海馬 瀬戸氏も認める(瀬戸氏だって克也氏の最低限の実力ぐらい認めている)天性のデュエリスト。あの高みに辿り着けるのはほんの一握りだ。

 

 2つ、翔の現状。呪縛、或いはトラウマを解消し『パワーボンド』の制限を解いた彼の心は飛躍的に進歩した。大方、翔が十代の足を引っ張るとでも思ったんだろうが、失敗だったね。フィニッシャーである翔はしっかり歩むべき道を見つけていたんだから。

 

 3つ、十代の引き。主人公補正とでも言うべきディスティニードローは、時にパートナーのドローにも影響を与えるのだから。翔が『シールドクラッシュ』や『ユーフォロイド』を引けたのもあれが原因だろう。

 

 さて、長ったらしい説明はこれくらいにしよう。次は俺の番だ。俺もキッチリ勝って、皆でレッド寮に帰ろう!

 

 

 

 と、思った時だった。

 

Pi Pi Pi Pi Pi ‼

 

「クロノス・デ・メディチなの~ネ」

 

 いきなりクロノス先生の携帯電話が鳴った。何かを話し、突然クロノス先生が大声を発した。

 

「そ、それは困るの~ネ! もう貴方がデュエルをする事で決まってしまったのーネ!」

『せやから悪い言うてるやろ!? 急用が入ってしもうたんや、ギャラと信頼考えたらこっち断るしか無かったんや。堪忍してぇな』

「そ、そんな事言われて~も、ペペロンチ~ノ!」

『ほな、ワイも急いでるから、また今度な!』

「え、あ、ちょっと~!」

 

プツッ、ツー、ツー……。

 

「……、ガックリンチョ」

 

 今の声……、あの恐竜使いか?

 まあ、それは兎に角として、あの恐竜くんはうっかりダブルブッキングをやってしまい、そしてこっち側の予定を蹴る事にしたのだろう。バカだなー。

 クロノス先生はガックリと肩を落としている。

 うーん、流石に哀れだし、俺だけ制裁無しってのもな。

 

 ふむ、妙案が閃いた。これならきっとクロノス先生も彼らも呑んでくれるだろう。

 

「クロノス先生、クロノス先生」

「…………何です~ノ?」

「どうやら俺の相手は来ないみたいですね」

「うっ!」

 

 図星か。きっと『だったら俺の不戦勝』なんて言葉が続くと思っているのだろう。ふふ、甘い。俺はそんな根性捻じれた奴じゃ無いよ。

 

「だったら、代案があるんですが、聞いてくれますか? 多分先生の協力が必要ですから」

「聞くの~ネ。でも、不戦勝はダメなの~ネ、ペスカトーレ」

「言いませんよ。俺の代案ってのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と迷宮兄弟の2対1のデュエルを行うって事です」

 

 

 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ……………………………ッ!

 

 

 俺の発案は別に耳打ちしていた訳では無いので、瞬く間に会場にそれは広がった。騒めきが辺り一帯を支配する。

 

『おい、正気かアイツ!?』

『調子コいてるんじゃねぇぞ!』

『な、なんて無茶な提案を……!』

 

「本気なの~ネ? 言っておくけれ~ど、負けたら退学なの~ネ」

「百も千も承知ですよ。少々俺の提案する変則ルールに乗ってもらうつもりですがね」

「ん~ムムム……」

 

 暫くクロノス先生は悩んでいたが、退場しようとしていた迷宮兄弟の所へ駆け寄ると何事か話して二人を連れて戻って来た。

 

「その変則ルールとやらを話すの~ネ」

「簡単ですよ。まず、ライフは互いに8000、ただし俺は単独、迷宮兄弟は共有。

 次にターンは俺から回す。そして二回目の俺のターンが来るまで互いに攻撃はできない。

 最後に、フィールドと墓地は共有しても構いませんが、迷宮兄弟は計10枚まで出せる。つまり、片方がモンスターを5体出していても、もう片方も5体出せる。兄のモンスターで弟は攻撃できるし、弟の罠カードを兄は発動できる、という訳です」

「ふむ、よ~ろしい。では、お任せします~ノ」

 

 クロノス先生が一礼して下がると、橙と緑の拳法の道着を来た二人組が前に出る。

 

「はっ、とっ、はぁっ!」

「やっ、ていっ、はっ!」

 

 そのままアクロバットな動きを披露し、シュタッ、と俺の前に線対称の形でポーズを決める。

 

「我ら流浪の番人、迷宮兄弟」

「先程は負けたが、今度はそうは行かぬ」

「お主に恨みは無いが、訳あって相対する」

「我らを倒さねば道は開けぬ」

「最早油断は無い!」

「覚悟は良いか!」

『いざ、勝負!』

 

 バン! とセリフごとにポージングを変え、ビシッ! と宣言する。

 そんな彼らに俺は一言。

 

「甘いな」

 

 ダン! と空中に高くジャンプし、体を捻る。そのまま思いつく限りの見栄えの良いアクロバティックな動きを披露した。

 

「相手は人外。驚かせたいならこれくらいは、な。

 俺は【黒鬼の騎士】遊馬崎 黎。俺もまた恨みは無いが、ご相手致そう!」

「「むぅ!」」

 

 ニィ、と意地悪い笑みを浮かべる。自分達の十八番(おはこ)をとられちゃ唸りもするだろう。

 つーか、『油断したから負けた』とか『今度は負けない』とか、モロに三流小悪党のセリフだな……。

 さて、それはさておき、改良を加えたこのデッキでの初勝負、いざ!

 

「いざ、尋常に勝負!」

「参る!」

「行くぞ!」

 

 

『デュエル!』

 

 

黎VS迷宮兄弟

LP 8000 VS LP 8000

 

 

 

「先攻は俺のターン、ドロー!」

 

 引いたカードは……!

 

「『ゴゴゴゴーレム』を、守備表示で召喚!」

『ゴゴゴ~!』

 

 セリフとしては『ゴ・ゴ・ゴ・ゴーレム』に近い感じです。

 

 

 

 

ゴゴゴゴーレム(効果モンスター)

星4

地属性/岩石族

ATK 1800/DEF 1500

フィールド上に表側守備表示で存在するこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

 

 

 

 

ゴゴゴゴーレム:DEF 1500

 

 

「カードを2枚セットし、ターンエンド」

 

 

 

 

黎:LP 8000

手札:3枚

フィールド

:ゴゴゴゴーレム(ATK 2100)

:伏せカード2枚

 

 

 

 

SIDE:フィオ

 

 

 

―――観客席

 

「『ゴゴゴゴーレム』……?」

 

 ? あれ、黎のデッキって確か……。

 

「『F(ファイア)S(スピリッツ)』を主軸にした炎属性のデッキじゃ無かったっけか?」

 

 思わず隣の明日香に聞く。

 炎属性以外には『ネクロ・ガードナー』の様な精々補助系統のモンスター程度。でもあのモンスターがそれに属するとは思いにくい。炎属性にも見えないしね。

 

「私の記憶が正しければね。あのモンスターが黎のデッキにシナジーするとは思えないんだけど……。何であんなカードを入れたのかしら?」

「間違って入った、とか?」

「いや、ほぼ間違い無く自分の意思で入れたカードだ」

 

 わたしの推測を否定したのは三沢くん。イエローだけれどブルーの上位に匹敵する実力の持ち主。最大の持ち味は相手のデッキを細かく分析して、確実に弱点を狙って来るという知能。そして持っているデッキも細部まで計算し尽くされた完成度の高いものだ。

 

「何故そう思うのかしら、三沢くん?」

 

 明日香の問いに、三沢くんは「種族だよ」と簡潔に述べた。

 

「黎のデュエルは何度か見た事があるが、炎属性以外のモンスターはそのカードで完結するような効果のものばかりだった。黎のようなデュエリストが『ゴゴゴゴーレム』という岩石族を偶然入れているとは考えにくい」

「黎のようなって、どういう事?」

「彼は使えるカードを粗方詰め込んだ後、そこからシナジーや連携を考えていってデッキを構築・使用する、幅広いシナジーを見込んだデッキの使い手だ。

 例えば、あの『F・S』のデッキだって、炎系のモンスターを入れた後に、それを補助するカードを入れたり、プレイに無理が出ないようにカードを抜いたりしたデッキ。つまりはあのデッキはこれまで彼が使っていたものでは無く、改良を加えた、或いは全く別のデッキだ」

 

 流石だね、三沢くん。数度彼のデュエルを見ただけでプレイスタイルやデッキの組み方を見抜くなんて。

 それなら黎、君の新しいデッキの力、見せてもらうよ!

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

―――デュエルリング

 

「私のターン、ドロー!」

 

 迷宮兄弟の兄がビッ、とカードを引く。

 へへっ、しっかり聞こえていたぜお前達。もちろん、大地の推測は正しい。このデッキは改造と改良を加えに加えまくって、以前の面影を殆ど残さず、けれどもしっかりと俺のデュエルスタイルに合わせたものにしてある。

 先日起きた時、宅配便で届いた段ボール箱に前世で使っていたカードが詰め込まれていたんだから驚いたぜ。

 

「私は『ヒゲアンコウ』を召喚!」

 

 迷宮兄弟の兄が召喚したのは長い髭を生やした不気味な鮟鱇。水属性用のダブルコストモンスターだ。目が退化している様に見えるからきっと深海魚だろう。

 

 

ヒゲアンコウ:DEF 1600

 

 

 最初の一巡目は目立った行動はできないから、本領を発揮し始めるのは二巡目になるな。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 

 

迷宮兄弟(兄):LP 8000

手札:4枚

フィールド

:ヒゲアンコウ(DEF 1600)

:伏せカード1枚

 

 

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 どうでも良いが、掛け声まで同じなんだな。

 

「私は『地雷蜘蛛』を召喚! そして魔法カード『二重召喚(デュアルサモン)』を発動! 兄者、『ヒゲアンコウ』を頂くぞ」

「うむ。『ヒゲアンコウ』の効果発動! 水属性モンスターを生け贄召喚する時、1体で2体分の生け贄素材となれる!」

 

 

 

 

ヒゲアンコウ(効果モンスター)

星4

水属性/魚族

ATK 1500/DEF 1600

水属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

 

 

 

 兄の快諾と共に、迷宮弟がディスクにモンスターを出す。現れるのは、青き足の部分を担う魔神。

 

「出でよ『水魔神-スーガ』!」

『ゴォオオオオオオオオオッ!』

 

 

水魔神-スーガ:ATK 2400

 

 

「申し訳無い兄者よ。兄者のモンスターを使ってしまった」

「何、お前の為なら犠牲にもなろう」

「いやいや、礼をしなくては私の気がすまぬ。

 私は魔法カード『闇の指名者』を発動! 指名するのは『雷魔神-サンガ』だ!」

「フフフ、ありがたい。勿論我がデッキにそのカードは入っている。加えさせてもらうぞ?」

 

 

 

 

闇の指名者

【通常魔法】

モンスターカード名を1つ宣言する。

宣言したカードが相手のデッキにある場合、そのカード1枚を相手の手札に加える。

 

 

 

 

 一連のやり取りは十代と翔の時に見せた。どうやら二人にとってはお決まりの行動らしいが、俺にとっては至極どうでも良い。

 にしても、ああいう使い方って良いのかねぇ?

 

「さあ、我らの連携の前に、一人で立ち向かった事を後悔するが良い!」

「カードを2枚伏せてターン終了!」

 

 

 

 

迷宮兄弟(弟):LP 8000

手札:1枚

フィールド

:水魔神-スーガ(ATK 2500)、地雷蜘蛛(ATK 2200)

:伏せカード2枚

 

 

 

 

「俺のターン!」

 

 さて、彼らの場には『スーガ』『地雷蜘蛛』の2体。どちらも弟のモンスター。兄を攻撃すればダイレクトアタックが決まる。

 だが、『スーガ』がOCGと異なる“攻撃を封じる”能力だったら、その攻撃は不発に終わる。かと言って今の手札では『スーガ』以上の攻撃力のモンスターを召喚する方法は無い(『スーガ』以下だったら攻撃を止められた後に倒される)し、その効果を突破できるカードも無い。

 ならばここは、守備!

 

「俺は『シールド・ウィング』を守備表示で召喚! ターンを終了する」

『ギヒョッ!』

 

 

 

 

シールド・ウィング(効果モンスター)

星2

風属性/鳥獣族

ATK 0/DEF 900

このカードは1ターンに2度まで、戦闘では破壊されない。

 

 

 

 

シールド・ウィング:DEF 900

ゴゴゴゴーレム:ATK 2100→DEF 1800

 

 

 

 

黎:LP 8000

手札:3枚

フィールド

:ゴゴゴゴーレム(DEF 1800)、シールド・ウィング(DEF 900)

:伏せカード2枚

 

 

 

 

「私のターン! フフフ、少年よ、守備に回っても、その程度のモンスターでは太刀打ち出来んぞ?」

「ハン、なら試してみるが良いさ」

「良かろう! 魔法カード『生け贄人形(ドール)』を発動! 弟の『地雷蜘蛛』を生け贄に『雷魔神-サンガ』を特殊召喚!」

『ゴグワワァァアアアッ!』

 

 

 

 

生け贄人形

【通常魔法】

自分フィールド上モンスター1体を生け贄に捧げて発動する。

手札から通常召喚可能なレベル7のモンスター1体を特殊召喚する。

そのモンスターはこのターン攻撃できない。

 

 

 

 

雷魔神-サンガ:ATK 2600

 

 

「感謝するぞ、弟よ。お陰で『サンガ』の召喚に成功した」

「何、お安い御用だ」

「ふふふ、更に『融合』を発動! 手札の『ギガテック・ウルフ』と『キャノン・ソルジャー』を融合し『迷宮の魔戦車』を融合召喚!」

 

 機械の狼と砲台を持った機械の戦士が時空の渦に呑み込まれ、青い装甲の赤いドリルを装備した戦車が出現した。

 

 

 

 

迷宮の魔戦車(融合モンスター)

星7

闇属性/機械族

ATK 2400/DEF 2400

「ギガテック・ウルフ」+「キャノン・ソルジャー」

 

 

 

 

「そして『暴風小僧』を召喚!」

『ヘェ~イ!』

 

 出て来たのは風属性専用のダブルコストモンスター。決して強くは無いが、アレで次に何をして来るかは想像に難くない。

 

 

暴風小僧:ATK 1500

 

 

 成程。『サンガ』はこのターン攻撃できない。俺の場のモンスターを潰して直接攻撃は弟のターンに任す、という形か。

 

「行くぞ! 『暴風小僧』で『シールド・ウィング』を攻撃!」

『イェ~イ!』

 

 突風に乗った『暴風小僧』が高く飛び上がり上空からライダーキックを決める。だが、『シールド・ウィング』は固い翼でその攻撃を受け止めた。

 

「何!?」

「『シールド・ウィング』は片翼で1度ずつ攻撃を受け止める事が可能。つまりコイツは2回まで攻撃に耐えられるってワケだ」

「ならば『迷宮の魔戦車』で『ゴゴゴゴーレム』を攻撃!」

 

 ギャリギャリギャリ! とドリルが轟音を上げて突進して来る。因みにこの形だと岩盤にドリルが突き刺さった時にマシンの方が回転してしまう為、現実的では無いそうだ。

 ならば何故こんなドリルがイメージとして先行しているかというと、これは地下を掘るドリルではなく、トンネルを掘る時に活躍するタイプのドリルであり、初期のドリルがこれだったからである。

 岩盤用のドリルは“掘る”よりも“削る”事を目的としており、分厚い岩を何日もかけて削る。一方でトンネル用のドリルは無論だが土を“掘る”事が目的なので、とにかくデカい穴を空ける事が優先されるのである。

 

 突進して来た殺人兵器を『ゴゴゴゴーレム』は身体を真っ赤に光らせて正面から受け止めた。

 

「またか!?」

「守備表示の『ゴゴゴゴーレム』は1ターンに1度、バトルでは破壊されないんでね」

 

 ここで俺はハッ、と笑う。

 

「守備に回っても太刀打ち出来ない、だったか? だが、太刀打ち出来なかったのはそっちの方だったな!」

「ぐ……。ターンエンド!」

 

 

 

 

迷宮兄弟(兄):LP 8000

手札:0枚

フィールド

:雷魔神-サンガ(ATK 2600)、迷宮の魔戦車(ATK 2400)、暴風小僧(ATK 1500)

:伏せカード1枚

 

 

 

 

「おのれ……私のターン!」

 

 さてと、見栄を切ってはみたが、俺の方も反撃の手段は無いし、その上にライフも減ってない。このターン、彼がどう動くかで俺が次のターンに取るべき行動が決まる。

 

「兄者『暴風小僧』を使うぞ!」

「うむ、持っていけ!」

 

 って、おい! もう最後の奴が揃ってたのか!?

 面倒だなぁ。

 

「『暴風小僧』は風属性モンスターを召喚する時に1体で2体分の生け贄となれる! さあ出でよ! 『風魔神-ヒューガ』よ!」

 

 暴風と共に最後の魔神が現れる。風を纏う丸い生物、それが最もな印象だろう。

 

 

 

 

暴風小僧(効果モンスター)

星4

風属性/天使族

ATK 1500/DEF 1600

風属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

 

 

 

「更に速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動! 攻撃力が400ポイント上がる代わりに、そのモンスターの効果はエンドフェイズまで消滅する! 対象は『シールド・ウィング』だ!」

 

 虚空から大き目の杯が現れたかと思うと、いきなりそれは逆さまになり、中身が『シールド・ウィング』にぶちまけられた。聖杯の中身を浴びた『シールド・ウィング』は色褪せてしまい、その場にへたりこんでしまった。

 ちょ、あの中身って何だったんだよ!?

 

 

 

 

禁じられた聖杯

【速攻魔法】

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力は400ポイントアップし、効果は無効化される。

 

 

 

 

シールド・ウィング:ATK 0→400

 

 

『ぎゅ~…………』

「『シールド・ウィング』!」

「これで攻撃が通る! 行けぇ! 『ヒューガ』で『シールド・ウィング』を攻撃ィ!」

 

 ビュウ! と突風が巻き起こる。その圧力に耐え切れず、『シールド・ウィング』は吹き飛ばされてしまった。

 

「ターンエンドだ」

 

 

 

 

迷宮兄弟(弟):LP 8000

手札:0枚

フィールド

:風魔神-ヒューガ(ATK 2500)

:伏せカード2枚

 

 

 

 

「俺のターン。さて、遊びもそろそろ終わりにしようか。ここから本気で行くぜ!」

『何ぃ!?』

 

 巡って来たカードを見て、思わずニヤける。正にこの状況に最適なカードだ。

 

「俺は『F・S サニーハットキティ』を召喚!」

『ミャー!』

 

 

 

 

F・S サニーハットキティ(効果モンスター)(オリジナル)

星4

炎属性/獣戦士族

ATK 2000/DEF 900

デュエル中1度だけ墓地に存在するこのカードを手札に加える事ができる。

このカードを手札から墓地に送る事で以下の効果を得る。「F・S サニーハットキティ」の効果はデュエル中1回しか使えない。

●自分のターンに墓地に送った場合、手札から通常罠カードを1枚発動できる。

●相手のターンに墓地に送った場合、このカードと墓地に存在するレベル4以下の炎属性モンスターを1体特殊召喚できる。

 

 

 

 

 勢い良く飛び出したのは麦わら帽子に猫耳の少女。黒い長髪が小麦色に焼けた肌にマッチしている。

 

 

F・S サニーハットキティ:ATK 2000

 

 

「更に『カゲトカゲ』を特殊召喚! コイツは通常召喚できないが、レベル4モンスターが場に現れた時に、手札から特殊召喚できる!」

 

 続いて影だけの蜥蜴が現れる。フィールドにその姿を現すと、赤い目だけが宙に浮いた。

 

『………………!』

 

 

 

 

カゲトカゲ(効果モンスター)

星4

闇属性/爬虫類族

ATK 1100/DEF 1500

このカードは通常召喚できない。

自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードはシンクロ素材とする事はできない。

 

 

 

 

カゲトカゲ:ATK 1100

 

 

「俺はレベル4の『サニーハットキティ』と『カゲトカゲ』をオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!」

「「オーバーレイ!?」」

 

 『サニーハット』が赤、『カゲトカゲ』が灰色の光となって1つの光の渦に飛び込む。生まれた銀河はやがて光を発して爆発した。

 

 

☆4+☆4=★4

 

 

「エクシーズ召喚! 現れろ、『F・S ヒート・スティンガー』‼」

『はぁっ!』

 

 シュタッ! と降り立つ上裸の戦士。針を指の間に持っている。

 因みに針といっても裁縫に使うようなものでは無く、もっと太いメリケンサックにでもつければ心臓や脳を貫けそうな太く長いものである。

 

『出たぁ、エクシーズ召喚!』

『また見れた! また見れた!』

『カックィー!』

 

「『ゴゴゴゴーレム』を攻撃表示に変更!

 更に『ヒート・スティンガー』の効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、エンドフェイズまで相手の場のモンスター2体までのモンスター効果を無効にし、攻撃力を800ポイント下げる! 行け!」

 

 

F・S ヒート・スティンガー:ORU 2→1

 

 

 俺の指示と共に炎の針が『スーガ』と『ヒューガ』に突き刺さり、相手ごと大炎上する。

 

 

風魔神-ヒューガ:ATK 2500→1700

水魔神-スーガ:ATK 2400→1600

 

 

「バトル! 『ゴゴゴゴーレム』で『スーガ』を攻撃! “ゴゴゴブロー”‼」

『ゴゴ~!』

 

 ブゥン、と重い風切り音と共に青い拳が振るわれる。しかしそれは雷の壁で防がれてしまった。

 

「『サンガ』の効果発動! 1回のみモンスターの攻撃を無効にする!」

 

 バジバジッ! と火花がスパーキングし、拳が弾かれる。だが……!

 

「『ヒート・スティンガー』で攻撃! “熱針撃”‼」

『テェイヤッ!』

 

 今度は防げない。雷の防壁は1回しか使えないのだ。

 炎の大槍は水の魔神に突き刺さり、『スーガ』が炎上。爆発を引き起こした。

 

「先制攻撃、成功ってな」

『むぅ!』

 

 

迷宮兄弟:LP 8000→7400

 

 

「1枚セットして、ターンエンド!」

 

 

 

黎:LP 8000

手札:0枚

フィールド

:F・S ヒート・スティンガー(ATK 2200)、ゴゴゴゴーレム(ATK 1800)

:伏せカード3枚

 

 

 

「私のターン。ほう、これは良いカードが巡って来た」

 

 む、何が来た? 手札は全員0。今1枚引かれたから迷宮兄だけ1枚。さて、何のカードが来る事やら……。

 

「魔法カード『天よりの宝札』を発動! お互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにデッキからカードをドローする!」

 

 成程。手札不足のこの状況には最高のカードだ。

 全員これで6枚補充。あの中に『死者蘇生』や『ゲート・ガーディアン』がいてもおかしくは無い。

 

「伏せカードの『リビングデッドの呼び声』を発動! 私は『スーガ』を蘇生する!」

『グォオオオオオオッ!』

 

 

水魔神-スーガ:ATK 2400

 

 

 来たか!

 

 

 

 

リビングデッドの呼び声

【永続罠】

自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

 

 

 

「そして3体の魔神を生け贄に!」

「出でよ、我らが守護神!」

『ゲート・ガーディアン‼』

 

 兄弟がポーズを取り、ゴゴゴ、という重低音と共に巨大な(三魔神が肩車しただけの)モンスターが現れる。

 つーか、こんな奴が守護神って、趣味悪いなぁ。

 

 

 

ゲート・ガーディアン(効果モンスター)

星11

闇属性/戦士族

ATK 3750/DEF 3400

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上に存在する「雷魔神-サンガ」「風魔神-ヒューガ」「水魔神-スーガ」をそれぞれ1体ずつリリースした場合に特殊召喚する事ができる。

 

 

 

ゲート・ガーディアン:ATK 3750

 

 大した威圧感だ。精霊の力量は攻撃力では無いというのに、俺は今、単純に攻撃力がバカ高いだけの奴に圧迫されている……。

 単純な戦闘では倒し難いモンスターの登場。だというのに、俺は

 

「ふふふ…………」

 

 俺は

 

「ははははは……」

 

 在ろう事か

 

 

「ははははははははははははははははははははははははははははははははっ!」

 

 

 笑っていた。

 

 

『!?』

「我らが守護神の前に!」

「気でも狂ったか!」

 

 ははは、バーカ。違うに決まってるだろ!

 

「ははははははははあははははっ! はは、悪いな。漸く現れたモンだから、嬉しくて堪らなかったんだよ」

『!!?』

 

 笑った時に走った動揺。そして今走った動揺は確実に観客達をの心を揺らした。

 

「俺はよ、この間プライドって奴とデュエルしたんだ。そいつぁ俺のデッキに対するメタ組んで来てなぁ。最終的には引き分けに持ち込んだんだが、勝てなかった所為で大切な家族を取り返せなかった。まあ、実質負けだ。だから俺は俺自身に誓ったんだ。もう誰が来ても、どんなデッキが相手でも、絶対に負けないくらい強くなろうって、守りたいモン全部守れるようになろうって、な。

 『ゲート・ガーディアン』ぐらい余裕で倒せなくっちゃいけねぇんだよ!」

 

 きっと漫画だったら背景にドン! とかいうテロップが出ていただろう。そのくらい俺は真面目だった。

 

「『ゲート・ガーディアン』を倒し、あんた達に勝つ! 俺はもっと、もっと前に進まなくちゃいけないんだ、強くならなくちゃいけないんだ!」

 

 ビシィ! と巨大な敵を指を差して見据える。

 さあ、行くぞ『ゲート・ガーディアン』! テメェが俺が進むべき道の扉を守護するというのなら、テメェを踏み倒してでも前に進ませてもらう!

 

 

to be continued

 

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