遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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フィオ「なーにっかな、なぁーにかな、今回はこれ!」



フェニキシアン・クラスター・アマリリス
効果モンスター
星8/炎属性/植物族/攻2200/守 0
このカードは「フェニキシアン・シード」またはこのカードの効果でしか特殊召喚できない。
このカードは攻撃した場合、そのダメージ計算後に破壊される。
自分フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
また、自分のエンドフェイズ時、このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを墓地から表側守備表示で特殊召喚する。



フレイ「燃える植物族のモンスターです。何度でも復活できる不死鳥の如きモンスターですよ!」

フィオ「よく見ると通常召喚もできるんだね、これは強そう!」

???「何か制限を付けて良いから、禁止解除されないだろうか……」


STORY20:桜色の女性

SIDE:黎

 

 

 

 黒い何かを焼き払った後、なんとか体を起こした『シーラカンス』と『ウォーター・ドラゴン』が深々と謝罪する。

 

「どうやら未熟な儂らが、とんでもない事を招いてしまったようさな」

「謝罪の言葉も無いッス!」

 

 いや、そんな事言われても……。

 

「俺達に謝られても困る」

「そうですよ、謝罪するなら炎の里の方々にして下さい」

「と言うより彼らが謝る必要ってあるのかしら?」

「同感じゃよ。悪いのは邪神であってお主らでは無い」

「左様でござるな」

 

 順に俺、『エアトス』、『ティタニアル』、『ヴォルカニック・デビル』、『バルキリオン』が言う。確かに指揮をしたのも、四人の長を攻撃したのもこの二人だ。だが、要するに彼らは操られ利用されていたのだ。それをどうして咎められようか?

 

「しかし……」

「でも……」

 

 まあ、加害者の心理としては何か償いをしたいだろうな。恐らくだが死人も出ているだろうから。

 

「まあ、そこまで言うのならば」

 

 と『ヴォルカニック・デビル』が言い出した。

 

「里の復興を手伝ってくれんかのぅ? メチャメチャにされて、こちらだけで人手が足りるかどうか……」

「喜んで手伝わして頂きます」

「お、オイラもッス!」

 

 あーあー、心理につけこんじゃって……。それとも優しさかな? つーか『ウォーター・ドラゴン』の喋り方って……。

 

 それから彼らは今後をどうするか長同士で話し合いを始めた。

 何もする事は無くなってしまったので、俺は離れた場所でフレイに背中をさすってもらっているフィオに近付いた。気分も血と臭いが洗い流されて大分良くなったらしく、顔色も戻って来ている。

 一応、デュエルが終わって『エアトス』が風で血の臭いを吹き飛ばしてくれている間に、自分で調合した薬(体内でやった事は秘密です)を渡しておいた。精神を安定させ、副作用も無いに近しい形にしたものだ。

 作るのすんごい難しかった…………。

 

「大丈夫か、フィオ? 渡した薬、飲んだ?」

「うん、飲みやすかったよ。ありがとう」

「そっか、何よりだ。フレイもありがとな、お前がいなかったらフィオの命は危なかった」

「いえいえ、これがわたくしの役目ですから」

 

 健気な良い子だ。主の為に戦う事を厭わないなんて。

 ところで、とフィオが話を切り出す。

 

「黎はここに新しい力を貰いに来たんじゃ無いの?」

「あ!」

 

 そうか、そうだった、忘れていた! すっかり頭から抜け落ちてた! デュエルに人命救助にリアルファイトと、色々とあって当初の目的を危うく果たせずに人間界に帰るところだった!

 

「ありがと、忘れてた」

「いえいえ、ノーサンキューだよ」

 

 ……、フィオ。『ノーサンキュー』は『お礼はいらない』的な意味じゃ無く、『それは結構です』『要りません』みたいな強い遠慮や拒絶の言葉だ。

 

「マジで?」

「マジだ」

 

 ちょっと落ち込んだフィオをフレイに任せ、俺は再び五人の長の元へ行った。

 

「ちょっと、すみません。良いですか?」

「おお、“騎士”殿。丁度こちらの話し合いも終わったところじゃ」

 

 そりゃ何より。

 

「で、何か用かの?」

「先日、プライドという邪神の手先と戦ったんですが……」

 

 

【事情説明中】

 

 

「という訳なんです。炎のデッキをいくら改良しようとも限界がありますし、炎以外で戦えば邪神の力は祓えません。『フィッシャービースト』戦ではこちらが焼き払う方が速かったですが、次も同じように行く保障は皆無です。

 お願いします。あいつらに対抗する為にも、新しい力を授けてください!」

 

 ふーむ、と『ヴォルカニック・デビル』以外が考える。う、もしかして信用されてない?

 

「私は良いと思いますよ? タクティクスも十分ですし、嘘では無さそうです」

「そうねぇ。何より、彼が間に入らなかったらアタシ達、『ウォーター・ドラゴン』に殺されていただろうし」

「某は大丈夫だと思うでござるよ。この男は『デビル』殿の言っていた少年と見て間違いは無さそうでござるからな」

「是非も無い」

 

 ほっ。『エアトス』の言葉を始めとして『ティタニアル』と『バルキリオン』も俺を信頼してくれるらしい。どうやらお願いを聞いてくれるみたいだ。

 

「私は彼に風の力を授けます。御三方はどうしますか?」

 

 手の間に集めた風を『ガーディアン・エアトス』が黄色の結晶にしながら言う。

 

「オッケイよ~ん。アタシも木の力をあげちゃう♪」

 

 何より中々良い男だし、と『ティタニアル』が付け加える。それ関係あるのか?

 胸元から赤い椿の花を一輪取り出し、フッ、と息を吹きかけると、それは緑色の結晶に変わった。

 

「某、恩義には報いるのが流儀。憑かれていた『ウォーター・ドラゴン』殿の止めから救って頂いた事の報いとなるなら、この地の力を」

 

 『バルキリオン』はどこからか拳大の岩を手に取り、それは瞬時に茶色の結晶となる。

 意外と侍風だと思ったのは心の中だけの秘密だ。

 

「儂にも反対する理由は無いさね。この惨劇に終止符を打ってくれたおマイさんにならこの水の力を渡せるさな」

 

 老練な姿と言葉で神妙に笑う『シーラカンス』。ポワッ、と口から吐き出した水泡は光を放って青い結晶に変わった。

 

 

 四つの力は俺の元に飛び、目の前で停止した。フヨフヨと空中で浮かんでいる。俺はそれを手に取り、声高々に宣言する。

 

「我が名、遊馬崎黎! 今ここにこの身をもって、世界の平和を守り、巨悪を打ち倒す為に戦う事を誓う‼」

 

 パァアアアアアア、と結晶は光を放つ。と、俺の体の中から炎の結晶も出て来て、まるで共鳴するかの様に光り始めた。美しい5色の光が辺りを照らし、輝きが収まると、俺を取り囲むかのように無数のカードが周囲に浮かんでいた。

 あ、ちょっと前回と違う。

 

「こうやって、黎のカードが生まれたんだね。納得したよ」

 

 うんうん、とフィオがフレイに背中を擦られながら、俺の背後で納得していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、お世話様でした」

「また次の機会に!」

 

 そう長たちに言い残してゲートをフィオと共に潜る。一瞬だけ眩い光に包まれ、次の瞬間には人間界に戻っていた。

 

「うし、戻って来た!」

 

 念の為、ワープの圏外に置いておいたデジタル時計を見てみる。時刻は朝の六時。日付は翌日。

 横で感慨深げにフィオが零した。

 

「はー、まさかあんな事に巻き込まれるとは思わなかったよ」

「ははは、しかも半日で解決。それに巻き込んで悪かったな」

 

 ワープに巻き込んでしまい、しかも戦いに参加してもらった。これが俺のせいで無くて何なのだろうか。

 

「いや、いいよ別に。わたしが連れて行ってって言ったんだし」

 

 それに新しい友達もできたし、と繋げる。

 首を傾げる俺にフィオは、フレイの事、と短く言った。

 

「精霊が見えるなんて、この学校に何人いるかなぁ?」

「さあね」

 

 肩を竦めて答えをはぐらかす。実際、俺が知ってるのは今の時点で十代ぐらい。隼人はもう少し後だし、万丈目だって見えるようになるのはノース校辺りだから今頃だけども、まだ確認する術は無い。

 

「さて、寮まで送るよ。夜帰って来なかった理由なら俺に何か相談してる内にうっかり寝ちまったとでも言っとけ」

「ありがと。ゴメンね、色々と」

「構いやしないさ。友達だろ、俺達。……違ったか?」

 

 そうだね、とフィオが笑う。俺も何となく、それにつられて笑った。

 さて、今日は日曜日。早速新しいカードでデッキを作ってみよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――アカデミアの屋上・夕方

 

「でね、黎と一緒に精霊の世界に行ったんだ! しかもパワーアップしたんだよ!」

「精霊ねぇ。俄かには信じられないけど、嘘には聞こえないわね」

「精霊はいるぜ、なぁ相棒?」

『クリクリ~』

「ほら、相棒もそう言ってる」

「十代、そう言われても多分皆分からないぞ?」

 

 昼からこの場を殆ど動かずやっていた一応の構築も終わって、残りはまた明日にでもしようと俺はカードを一纏めにして腰にあるホルダーに差す。

 

「それは若しかしなくてもデートなのではありませんこと?」

「うわー、あたしフィオに先越されちゃったぁ!」

 

 アカデミアの屋上で、夕日を浴びながら軽く背筋を伸ばす。

 パキパキ、と好い感じの音が背中から鳴った。

 

「デートって……、そんなんじゃ……!」

「顔赤いんだな、神山さん」

「リア充羨ましいッス……!」

 

 そしてスタスタとフィオの背後に歩み寄り、そのやや小さめの頭を少し強めに力を込めて鷲掴みにした。

 会話の輪に参加していた全員(十代、明日香、翔、隼人、大地、ジュンコ、ももえ)が顔を青くする。

 

「あっだだだだだだだっ!?」

「な・に・ベ・チャ・ク・チャ・喋ってやがる! 変な噂が流れたらどうするんだ! 俺に“化物”と“シスコン”以外に“不純異性交遊”と“電波系”のレッテルまで張・り・付・け・る・気・か!」

「ご、ごめんなさい~!」

 

 そう、“化物”はまだしも、俺は何人かから“シスコン”なんて呼ばれている。一応否定はしないが(しないんだ…… byフィオ)、だったらお前ら異性の兄弟姉妹が困っていても手を差し伸べないのかって話だ。

 

 まあ、今ペラペラ喋ってたこいつに悪気は無いみたいだし、このくらいで離してやる。頭蓋を粉砕しちまったら死んじまうだろうからな。

 

「ホントにごめんなさい……」

「ったく……。まあ、幸い皆以外、誰も聞いてないから良いけどさ」

「それはどうかな」

『!?』

 

 軽く睨んでから許してやると、すぐ近くで聞き慣れない声がした。

 

「っ、そこ!」

 

 素早く硬質化した髪の毛を一本引き抜いて、槍投げの要領で投擲する。明日香と十代の間をすり抜けて、声の主の方に向かう。

 

「うわっ!」

「きゃっ!」

「ッ、チ!」

 

 カン! と音を立てて髪は地面に落ちた。叩き落としたのか、防御されたのかは分からないけど、そこにいた人物に皆の視線が集まった。

 

「黎~、危ないだろ!?」

「もっと別の方法無かったの!?」

「あ、いや、悪かった」

 

 前言撤回。十代と明日香は怒りで俺の方を向いてる。

 声の主はローブで全身を覆っているが、声からすると恐らく女性。身長は160弱、既にその細めの手には細身の剣、レイピアが引き抜かれている。ローブの端から垂れている桜色の髪の毛が印象的だ。

 

「邪神の、手先か?」

「語る言葉が欲しいなら、私を倒してみせろ」

「、上等だ」

 

 口の中から取り出す要領で刀を精製。同時に皆を庇う立ち位置に移る。左手を盾と一体化させ、相手の一挙一投足を見逃さないように集中する。

 が、これが無駄だと知る。

 

「遅い!」

 

 ローブの女性は一瞬で十メートルはあった間合いを詰め、レイピアを突き込んで来たのだ。

 

「!」

 

 何とか反応が間に合った。盾を使って刺突を受け止める。

 そして彼女が距離を取ったのを見届け、盾を収納する。

 

「何の真似だ」

「お前相手に盾は通じないと踏んだ。あれば逆に俺の手を遅くする枷になりかねない」

 

 盾はこいつ相手にはただの重し(バラスト)だ。刀も硬度をできるだけ落とさないようにしながら軽量化する。

 

「はん、どこまで通じる? 貴様とは戦いに赴いた経験の量が違うのだぞ?」

「場数だけが勝敗を決するワケじゃない」

 

 ならば勝ってみろ。その言葉と同時に彼女は再び踏み込む。

 

 最初に横薙ぎに振るわれたレイピアをしゃがんで避け、刀を突き上げる。これを彼女はレイピアを使って横に払う。そこから来た振り下ろしは左に半歩よけて回避。

 

 互いの左ストレートの拳が交錯して軌道が逸れ合い、続いて刀とレイピアがぶつかって小さな火花が散った。一旦距離を取って、再び攻め込む。刃と刃がぶつかり合い、蹴りと蹴りが攻撃と防御を同時に行う。

 

 相手のハイキックを背中を反らして避け、左フックをお見舞いする。だが、それをローブ女はレイピアの腹で受け止め、股を蹴り上げて来た。

 

「っと危な!?」

 

 マジでヤバいトコ狙って来やがった!?

 

『三沢くん、あれって当たったらそんなに痛いの?』

『ああ、凄まじく痛い。そして凄まじく効く』

『あの痛みは、女の人には生涯分からないッス……』

『分かっちゃダメなような気がしますわ……』

『アレ女性でも凄い痛いんですよ』

『知りたくなかった精霊からの豆知識』

 

 後ろで明日香やももえが何か言っているが、気にする余裕は無い!

 

「ふむ」

 

 いきなり彼女はレイピアを腰の鞘に納めた。

 

「どういうつもりだ」

「何、このままでは決着もままならないと思ってな。こいつでカタを付けるのはどうだ?」

 

 ローブ女はそのローブの内側から見覚えのある機械を取り出した。

 

「デュエルディスク……」

「そうだ。貴様らと同じ奴を態々調達して来た」

 

 ガシャン! と彼女は左腕にディスクをはめる。キュイイィン、と起動音がしているところを見ると、どうやらデュエルをやるのは本気のようだ。

 

「分かった。今のデッキは調整中だから、いつものこっちでやらせてもらう」

 

 カードを空中に広げ、必要な精霊のカードを既存のカードと組み合わせてデッキを作る。こちらもディスクを展開し、デッキをセット。この間、僅か四秒足らず。

 

「行くぞ!」

「来い!」

 

 

『デュエル!』

 

 

黎VS女性

LP 4000 VS LP 4000

 

 

「先攻行くぞ! ドロー!

 俺は『引きガエル』を守備表示で召喚!」

『ゲコッ!』

 

 

 

引きガエル(効果モンスター)

星2

水属性/水族

ATK 100/DEF 100

フィールド上に表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

 

 

 

引きガエル:DEF 100

 

 

 どこからどう見てもヒキガエルが現れる。こう表現するしか無いのだから仕方ない。

 

「そして魔法カード『苦渋の選択』を発動! デッキから「デッキから5枚のカードを選んで相手に1枚選ばせ、その1枚を手札に、残りを墓地に送る」説明は不要か」

「さっさと来い。悠長にしてられる程、私はノンビリ屋じゃないんでね」

 

 

 

苦渋の選択

【通常魔法】

自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。

相手はその中から1枚を選択する。

相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。

 

 

 

「俺はこのカード達を選択する」

 

『魔法の筒』

『大嵐』

『灼熱ゾンビ』

『ボルト・ヘッジホッグ』

『フェイク・ガードナー』

 

「私は『灼熱ゾンビ』を選ぶ」

「OK、残りは墓地行きだ」

 

 ディスクの窪みの所にカードを置き、自動で4枚のカードが飲み込まれて行く。

 

 

 

灼熱ゾンビ(効果モンスター)

星4

炎属性/炎族

ATK 1600/DEF 400

このカードが墓地から特殊召喚した時、このカードのコントローラーはカードを1枚ドローする。

 

 

 

「これでターンエンド」

 

 

 

黎:LP 4000

手札:5枚(内1枚は『灼熱ゾンビ』)

フィールド

:引きガエル(DEF 100)

:魔法・罠無し

 

 

 

「黎の奴、なんで『大嵐』や『魔法の筒』なんてカードを墓地に送らせたんだ?」

「私もそれが疑問なのよ。黎のタクティクスはそんな低いものじゃ無いハズなのに」

 

 後ろで十代と明日香が首を傾げる。ふふ、墓地肥やしの言葉を知らないんだね。

 

「あの黎の行動「俺の行動は“墓地肥やし”と言って、墓地で効果を発揮したり、その方が好都合なカードを墓地に送るんだ。

 『フェイク・ガードナー』や『ボルト・ヘッジホッグ』は墓地で効果を発揮するし、『灼熱ゾンビ』は墓地に行かないと効果を発揮しない。そしてそれを警戒して『大嵐』や『魔法の筒』を選んでも自分が不利になる。

 このカードはこうやって欲しいカード5枚を選んだり、墓地に落とした方が都合が良いカードを選んで使うものなんだ」……」

 

 あ。

 

「大地、ゴメン」

「いや、良いんだ。こっちも同じ説明をしようと思っていたからな……」

 

 ショボーン、と大地が肩を落とす。本当にゴメン。

 

「茶番は済んだか? 私のターンだ!」

 

 おっと切り替えだ、切り替え。

 彼女はどんなデッキでどんなカードを使って来るんだ?

 

「私は『フェニキシアン・シード』を召喚!」

 

 

フェニキシアン・シード:ATK 800

 

 

「『フェニキシアン・シード』だと!?」

「攻撃力800? また随分と低い攻撃力ッスね」

「弱いモンスターには弱いモンスターで十分、という事かしら?」

「いや、あのモンスターは……!」

 

「そしてこのカードをリリースし、手札の『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』を特殊召喚!」

 

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス:ATK 2200

 

 

「リリース?」

「種が花になったんだな!」

「なるほど、上級モンスターを誘発する効果か」

 

 皆が各々の感想を言っているが、それどころじゃ無い。こいつは今「リリース」って言った。何故? この時代はまだその呼び名は無かった筈だ。

 

「上級モンスターの召喚だけでは無いぞ? このモンスターの力はもっと別にある! 『クラスター・アマリリス』で『引きガエル』を攻撃! “フレイム・ペタル”!」

「くっ!」

 

 高く飛び上がった『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』が炎を吐き出し、『引きガエル』が黒焦げになる。

 

「『引きガエル』の効果で、デッキからカードを1枚ドローする!」

「こちらも攻撃を行った事で『クラスター・アマリリス』は破壊され、貴様に800ポイントのダメージを与える! “スキャッター・フレイム”!」

「ぬあっ!」

 

 更に自身を炎に変えてそれをばら撒く。

 

 

黎:LP 4000→3200

 

 

「黎!」

「大丈夫だ、闇のゲームじゃないらしい」

 

 周囲に焦げ跡も見つからないし、俺自身、炎に焼かれた感触は無い。

 

「良いカードだが、効率は悪いな。彼女のフィールドにモンスターが存在しなくなってしまった」

「それは違う。あのモンスターの真骨頂はこの後だ」

 

 そう、それこそが不死鳥、フェニックスの名を冠する最たる理由。

 

「カードを1枚セット。そしてこのエンドフェイズ、墓地の『フェニキシアン・シード』をゲームから除外し、守備表示で『クラスター・アマリリス』は復活する! ターンエンドだ」

 

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス:DEF 0

 

 

「ええ!?」

「当然、ダメージ効果もあるぞ」

「なんて恐ろしいモンスター……。墓地のモンスターを除外して何度も蘇るなんて!」

 

 

 

女性:LP 4000

手札:3枚

フィールド

:フェニキシアン・クラスター・アマリリス(DEF 0)

:伏せカード1枚

 

 

 

フェニキシアン・シード(効果モンスター)

星2

炎属性/植物族

ATK 800/DEF 0

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送って発動する。

自分の手札から「フェニキシアン・クラスター・アマリリス」1体を特殊召喚する。

 

 

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス(効果モンスター)

星8

炎属性/植物族

ATK 2200/DEF 0

このカードは「フェニキシアン・シード」またはこのカードの効果でしか特殊召喚できない。

このカードは攻撃した場合、ダメージ計算後に破壊される。

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、800ポイントダメージを相手ライフに与える。

自分のエンドフェイズ時にこのカードが墓地に存在する場合、自分の墓地に存在する植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

 

「黎……、大丈夫……?」

「ああ、今のところはな。俺のターン、ドロー!」

 

 さて、あの邪魔っけな彼岸花をどうやって片すかな。

 あいつ相手に防戦をやったらまず確実に負ける。800ポイントの効果ダメージはライフ4000のこの世界じゃキツ過ぎる。

 ここはセオリー通りに除外かな。

 

「相手の場にのみモンスターが存在する時、『レベル・ウォリアー』はレベル4のモンスターとして特殊召喚できる!」

『てやぁ!』

 

 

 

レベル・ウォリアー(効果モンスター)

星3

光属性/戦士族

ATK 300/DEF 600

フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードはレベル2モンスターとして手札から召喚する事ができる。

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードはレベル4モンスターとして手札から特殊召喚する事ができる。

 

 

 

レベル・ウォリアー:☆3→4 /DEF 600

 

 

 赤い星のマークのついたスーツを着たヒーローが出現。顔の部分についているマスクの星、その上(つまり頭の上)にもう一つ、一回り大きな星が現れた。

 

「チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚! その効果で『引きガエル』を、効果を無効にして守備表示で特殊召喚する」

『はっ!』

 

 

 

ジャンク・シンクロン(チューナー・効果モンスター)

星3

闇属性/戦士族

ATK 1300/DEF 500

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

 

 

 

ジャンク・シンクロン:ATK 1300

引きガエル:DEF 100

 

 

 眼鏡を掛けてエンジンを背負った戦士、それに続いて先刻のカエルが飛び出す。

 

「レベル4となった『レベル・ウォリアー』に、レベル3の『ジャンク・シンクロン』をチューニング!」

 

 『ジャンク・シンクロン』が腹部のリコイルスターターを引っ張ると、背中のバックパックのエンジンがかかる。そして3つの光となって空に消えると、3つの緑の輪になって戻って来た。

 輪は一列に並び、その中を『レベル・ウォリアー』が通過。半透明になり、4つの星になる。

 

「集いし叫びが、木霊の矢となり(くう)を裂く! 光差す道となれ!」

 

 

☆4+☆3=☆7

 

 

「シンクロ召喚! 貫け、『ジャンク・アーチャー』!」

『はぁっ!』

 

 

ジャンク・アーチャー:ATK 2300

 

 

 橙色の鎧に身を包んだ射手が光の中から現れる。隻眼に見えるが、もう片方の目は隠れているだけで、ちゃんとある。

 

「おー!」

「新しいシンクロモンスターですわ!」

「『ジャンク・アーチャー』の効果発動! 1ターンに1度、相手の場のモンスター1体をエンドフェイズまでゲームから除外する! “ディメンジョン・シュート”!」

 

 『ジャンク・アーチャー』が青白く光る矢を放ち、『クラスター・アマリリス』に当てると、その姿が歪んで消えて行った。

 

「巧い! これならダメージ無しで戦える!」

 

 

 

ジャンク・アーチャー(シンクロ・効果モンスター)

星7

地属性/戦士族

ATK 2300/DEF 2000

「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。

選択したモンスターをゲームから除外する。

この効果で除外したモンスターは、このターンのエンドフェイズ時に同じ表示形式で相手フィールド上に戻る。

 

 

 

「そして『ジャンク・アーチャー』で直接攻撃! “スクラップ・アロー”!」

 

 良し、これで大ダメージが通る「詰めはアマいな」何!?

 

「罠カード『レインボー・ライフ』を発動。手札1枚を墓地に送り、このターンに発生するダメージは全て回復になる」

「しまった!?」

 

 

 

レインボー・ライフ

【通常罠】

手札を1枚捨てる。

このターンのエンドフェイズ時まで、自分が受けるダメージは無効になり、その数値分ライフポイントを回復する。

 

 

 

女性:LP 4000→6300

 

 

「くっ、俺はリバースカードをセットして、ターンエンド」

「このエンドフェイズ、『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』が戻る」

 

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス:DEF 0

 

 

「クソッ!」

 

 

 

黎:LP 3200

手札:4枚(内1枚は『灼熱ゾンビ』)

フィールド

:ジャンク・アーチャー(ATK 2300)、ボルト・ヘッジホッグ(DEF 800)

:伏せカード1枚

 

 

 

「私のターンだ」

 

 恐らく、あいつの『レインボー・ライフ』は回復じゃなく、コストの方が目的の可能性が高い。あれで植物族を捨てれば『クラスター・アマリリス』の蘇生コストになる。

 

「魔法カード『強欲な壺』を発動。デッキからカードを2枚ドロー。続いて『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』を攻撃表示に変更」

 

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス:DEF 0→ATK 2200

 

 

「そして『死者蘇生』を使い、『イービル・ソーン』を特殊召喚!」

「いつの間に!?」

「普通に『レインボー・ライフ』のコストしか無いぞ!?」

 

 十代の驚きに突っ込む。お前そこまでバカじゃ無いだろう!?

 

 

イービル・ソーン:ATK 100

 

 

「『イービル・ソーン』は自身をリリースする事で、相手に300ダメージを与える。喰らえ、“イービル・バースト”!」

 

 

 

イービル・ソーン(効果モンスター)

星1

闇属性/植物族

ATK 100/DEF 300

このカードをリリースして発動する。

相手ライフに300ポイントダメージを与え、自分のデッキから「イービル・ソーン」を

2体まで表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚した「イービル・ソーン」は効果を発動する事ができない。

 

 

 

「ぐっ!」

 

 

黎:LP 3200→2900

 

 

「そして同名モンスターを可能な限り、デッキから攻撃表示で特殊召喚する」

 

 

イービル・ソーン:ATK 100

イービル・ソーン:ATK 100

 

 

「恐ろしいですわ……。ダメージに増殖なんて……」

「しかも、あれを墓地に送れば、またコストの元が増える」

「またリリースって言ったんだな」

 

 驚愕のジュンコに説明係になっている大地。そして隼人、その事は俺も引っかかっていたんだ。

 一体あいつは、何者なんだ……?

 

「私は2体の『イービル・ソーン』をリリースし、『クロロフィル・ジェネラル』をアドバンス召喚!」

 

 アドバンス召喚まで!?

 

 

クロロフィル・ジェネラル:ATK 3000

 

 

「攻撃力3000……!」

 

 果たして俺はこの強大な敵に、立ち向かえるのか……?

 

 

to be continued

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