遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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黎・桜「「なーにかな、なーにかな、今回はこれ!」」



起爆獣ヴァルカノン(融合・効果モンスター)
星6
地属性/機械族
ATK 2300/DEF 1600
機械族モンスター+炎族モンスター
このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。
選択した相手モンスターとこのカードを破壊して墓地へ送る。
その後、墓地へ送られた相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。



黎「自爆する事で相手モンスターを道連れにし、ダメージを与えるカードだ」

桜「融合モンスターだから半ば奇襲的に出せるぞ、素材が微妙なのがネックだ」

黎「『死魂融合』を使って、相手の展開を妨害しながら出したい所。同じ素材の『ボム・フェネクス』とは使い分けよう」


STORY35:VSエンヴィー 凶悪ロックを打ち破れ! ★

SIDE:黎

 

 

 

 海岸に立つ5人の戦士。

 1対4のデュエル。

 海側から見て左側に立つのは、鉤鼻でボサボサの長髪。邪神の護衛で7つの大罪の内の1つ、嫉妬を司る敵、エンヴィー。

 

 海側から見て右側に立つのは森側から順番に俺、優、有栖、有里ちゃん。

 デッキは他愛も無い身の上話の中で出て来たが、今回は俺は『L・S』と『F・S』の混成デッキ。まるで違うタイプのカードが何故かしっくりシナジーする不思議なデッキだ。

 

 優は『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』を出しやすいように改良した、彼曰く【流紅極炎星(りゅうくきょくえんせい)】というデッキらしい。恐らくあのデッキの主軸は『シューティング・スター』、『スカーレッド・ノヴァ』、『極星』の三極神を主軸にしたデッキ。かなり高いレベルの構成を要するが、恐らく彼ならできるだろう。

 

 有栖は『マシンナーズ・フォートレス』を主軸に三種の『ガジェット』でコストを補強する【マシンガジェット】。引き運が良い為、戦略に困る事は無いという。エクストラデッキは無いが、『フォートレス』や『一族の結束』、『リミッター解除』を利用して戦うので、大抵は何とかなるらしい。

 

 有里ちゃんは『シンクロン』と『マシンナーズ』の合成版、通称【マシンナーズ・シンクロン】。『スカーレッド・ノヴァ』をエース格においた展開力に富むデッキだ。父と母のデッキを上手く噛み合わせた、彼女の溢れる才能を現したデッキと言えるだろう。

 

 

 ルールはイージー。ターンはエンヴィー → 俺 → 優 → 有栖 → 有里ちゃん → エンヴィーの順で回す。ライフはこちらはそれぞれ4000で、エンヴィーがその合計値の16000となる。

 一周して二回目のエンヴィーのターンまで攻撃できない。

 そして何より奴の示した破格の条件。フィールド及び墓地は共有、非共有を本人の意思で好きなタイミングで切り替えられる。ただし、仲間のモンスターで攻撃は不可能。

 

「随分とナメてるんだな。例えプライドがテメェより弱いとは言え、あの時は1対1、今は1対4だぞ?」

「ふ、ふふふふ。このくらいはハンディキャップだよ」

 

 チッ、完全に見下してやがるな。

 俺はエンヴィーを睨みつけながらも後ろ手でコッソリと細工する。

 ポワ、と光る球体を生み出して、本人達にも気付かれないように、俺以外の味方3人にそれを投げた。これで大丈夫。

 

 

「さぁて、死ぬ準備はできたかぁい? ま、できてなくても殺すけどね!」

 

「ほざけ、テメェもプライドと同じように真っ黒な塵に変えてやるよ!」

 

「有栖と有里を守る為にも、お前には負けられない!」

 

「僕はもうあの日の事を繰り返したりしない。二度と優だけに辛い思いはさせない!」

 

「帰るべき場所があって、大切な家族がいる。私達の未来へのパズルは壊させない!」

 

 

『デュエル!』

 

 

エンヴィーVS黎&優&有栖&有里

LP 16000 VS LP 4000×4

 

 

 開始と同時にブワァ、と黒い霧が周囲を覆い尽くす。闇のゲームのスタートだ。

 

「先攻はボクのターン! ボクは『レス・ルーマー』を召喚!」

 

 

レス・ルーマー:ATK 2500

 

 

 ギジギジギジ! とまるで何かが捻じれるかのような音と共に、不気味な笑みの悪魔が降り立つ。真っ黒な顔の中、赤い髪とダークゴールドに輝く目が恐ろしさを醸し出している。

 

「1ターン目から攻撃力2500……!」

「更に永続魔法『ライトニング・タイル』を発動!」

 

 続いて表側になったのはショートしているリノリウムの床の絵。何だ?

 

「このカードが表側表示で存在する限り、互いのプレイヤーは自分のエンドフェイズ時に自分の場に存在する『ライトニング・タイル』以外の魔法・罠カードを全て破壊しなくてはいけない!」

「な!?」

「そ、それじゃ罠が使えないよ!」

 

 チ、ロック系のカードか……!

 

「更に永続魔法『キリギリスの復讐』を発動! このカードは、相手のターンの終了時に相手の空いている魔法・罠ゾーン1ヶ所につき、500ポイントのダメージを与える!」

「な!?」

「毎ターンのエンドフェイズごとに、2500ポイントのダメージが入るって事だね……!」

「厄介な……! 速攻で片づけるかどっちか潰さないと2ターンで負けるぞ!」

 

 ああ、だが俺の手札には『サイクロン』は無い。3人の内の誰かがそうする事を期待するか……。

 

「フフフ、悪いけど、ボクの場のカードを『サイクロン』みたいなカードで消す事はできないよ?」

「何!?」

「『レス・ルーマー』のモンスター効果! こいつが場に表側表示でいる限り、ボクの場の表側表示の魔法・罠は破壊されない! そして相手プレイヤーは魔法カードを手札から発動する事はできない!」

「何だとぉ!?」

 

 ち、『宮廷のしきたり』と『魔封じの芳香』を内蔵してるって事か。自分のカードすら破壊する『ライトニング・タイル』と『キリギリスの復讐』を組み合わせたのはそれがあったからか。

 衝撃を受けたが、優は手札を見て笑う。

 

「なら、そいつをどけちまえば良い。俺のターンに『ジャンク・デストロイヤー』を特殊召喚すれば問題無い」

「悪いけど、それもムリだよぉ!」

「……、どういう事だ」

「『レス・ルーマー』が場に表側表示で存在する限り、君達が出せるモンスターの数は、ボクの場のモンスターの数-1になる。つまり、『レス・ルーマー』以外のモンスターが存在しなければ、ボクは一方的に君達を嬲り殺せるってワ・ケ!」

「ンだと!?」

「き、汚いよ、そんなカード!」

「デタラメ具合が上がってやがるぜ……!」

「そんなの倒せないよぉ!」

「アッヒャハハハハハハハハハハハハハアハハハハハハハアアアハハハハハハハァッ! 無様に殴り殺されて死ね、人間!」

 

 く、完全に封じられた! 魔法も罠も、モンスターまで使えないなんて!

 

 

 

レス・ルーマー(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)

星3

闇属性/戦士族

ATK 2500/DEF 2000

(1):このカードがフィールド上に存在する限り、相手プレイヤーは魔法カードをセットしなければ発動できず、セットしたプレイヤーから見て次の自分のターンが来るまで発動する事はできない。

(2):このカードが自分の場に表側表示で存在する限り、自分の場の表側表示の魔法・罠カードはカードの効果では破壊されない。

(3):相手の場に存在できるモンスターの数は、このカードの元々のコントローラーのフィールドのモンスターの数より1体以上少なくてはならない。

(4):このカードは墓地から特殊召喚する事はできず、墓地から手札、デッキへ加える事もできない。

 

 

 

ライトニング・タイル(オリジナル)

【永続魔法】

お互いの場に存在する魔法・罠カードは、そのコントローラーのエンドフェイズごとに全て破壊される。

 

 

 

キリギリスの復讐(オリジナル)

【永続魔法】

相手のターン終了時、相手の空いている魔法・罠ゾーン一ヶ所につき、相手プレイヤーに500ポイントのダメージを与える。

 

 

 

「『レス・ルーマー』の効果でボクのカードは『ライトニング・タイル』の効果では破壊されない! ターンエンド!」

 

 

 

エンヴィー:LP 16000

手札:3枚

フィールド

:レス・ルーマー(ATK 2500)

:ライトニング・タイル(永続魔法)、キリギリスの復讐(永続魔法)

 

 

 

「俺のターン!」

「アヒャヒャヒャッ! 諦めたらどうかな、この状況で何ができるんだい? パーフェクトなロックの前には何もできないんだから、無駄に苦しむ必要は無いと思うけど?」

 

 エンヴィーがゲタゲタと不快な声で笑う。なまじ少年っぽい喋り方なのに見た目おっさんっぽいから余計に不愉快だ。

 それに、ロックにパーフェクトなんて無い。必ずどこかに隙ができるものだ。崩せるかどうかはその人のデッキ次第だが……。

 が、俺の手札には既にこの状況を打破できる術が揃った。

 

「悪いがその“パーフェクトなロック”、潰させてもらう」

「お前、このロックを崩せるのか!?」

「バカな! このロックのどこに死角があるんだ!」

 

 優とエンヴィーが驚く。問題無い、要はあの悪魔もどきを潰せば良いんだろ? そうすれば今引いた『大嵐』で2枚の永続魔法を破壊できる。

 

「俺はお前の『レス・ルーマー』をリリース!」

「は?」

「『ヴォルカニック・クイーン』を特殊召喚!」

 

 ゴウッ! と炎に悪魔もどきが包まれる。次の瞬間その炎は蛇のようにうねり、頭頂に炎の女性を持つ火炎の蛇が生まれた。

 

 

 

ヴォルカニック・クイーン(効果モンスター)

星6

炎属性/炎族

ATK 2500/DEF 1200

このカードを手札から出す場合、相手フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げて相手フィールド上に特殊召喚しなければならない。

1ターンに1度自分フィールド上に存在するこのカード以外のカードを1枚墓地に送る事で、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

また、自分のエンドフェイズ毎にこのカード以外のモンスター1体を生け贄に捧げなければ、このカードのコントローラーは1000ポイントダメージを受ける。

このカードを特殊召喚する場合、このターン通常召喚できない。

 

 

 

ヴォルカニック・クイーン:DEF 1200

 

 

「なるほど、『ラヴァ・ゴーレム』の縮小版か」

 

 優が感心の声を上げる。正解だ。

 

 

 

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム(効果モンスター)

星8

炎属性/悪魔族

ATK 3000/DEF 2500

このカードは通常召喚できない。

相手フィールド上に存在するモンスター2体をリリースし、手札から相手フィールド上に特殊召喚する。

自分のスタンバイフェイズ毎に、自分は1000ポイントダメージを受ける。

このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。

 

 

 

『キィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 蛇の頭の女性が甲高い悲鳴を、或いは歓喜の声をあげる。

 まるで何か不吉な未来を象徴しているかの様に。果たしてその不吉な未来が待つのは俺達か、それとも敵か。

 

「お、のれぇ……! まさかこんな方法でロックが解除されるなんて……!」

「『レス・ルーマー』はコストとして墓地送りにされた。コストはチェーンブロックを作らないため、この一連の動きを阻害する事は不可能だ。

 更に手札から魔法カード『大嵐』を発動。フィールド上に存在する全ての魔法・罠は吹き飛ぶ!」

 

 俺はどこまでも冷静に事を進める。ゴウゴウと吹き荒れる突風がエンヴィーの場のカードを巻き上げ、光の欠片へと砕いた。これで、鬱陶しいロックは完全に消えたな。

 

 

 

大嵐

【通常魔法】

フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

 

「『ヴォルカニック・クイーン』を特殊召喚したターン、俺は一切の通常召喚権を失う。カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

 

 

黎:LP 4000

手札:2枚

フィールド

:モンスター無し

:伏せカード2枚

 

 

 

 『ヴォルカニック・クイーン』や『ラヴァ・ゴーレム』のモンスターリリースは優秀だが、そのターン内は通常召喚できないというデメリットもある。これは“通常召喚権を使う”では無いので『二重召喚』や『血の代償』を使っても無意味だという事を覚えておこう。

 

「凄いよ、黎。たった1ターンであの絶望的なロックを完全に解除した……」

「ああ、俺もそう思う。あの壊れカード軍団を相手に、全く動じなかった」

「黎お兄さんスゴーイ! 有里、尊敬しちゃう!」

「ありがとう。連中の事だからな、ロックやバーンで攻めて来る事も考えて投入しておいたのさ」

 

 俺は転生者だからな、元々の世界じゃロックを始めとしたバーンやハンデスといったデッキを渡り合って来た身だ。寧ろビートが比較的下火であった元の世界(あっち)では、『マクロコスモス』等のメタカードを封入した【メタビート】が俺の最も得意とするデッキだった。

 故に、連中がどういったタイプのカードを使うかを予測し、何のカードを入れれば有効か、よく分かる。

 

「例え相手がデタラメでインチキ効果なカードを使ったとしても、それは必ず“デュエルモンスターズ”という枠の内側で、ルールに沿って使われる。なら、そのルールを利用すれば対策を講じる事はそこまで難しくは無いって事だ」

「成程」

「勉強になったよ」

 

 納得した、といった表情の優に感心した顔の有栖。有里ちゃんはキラキラと目を輝かせている。

 ま、今後の助けになれば何よりだ。

 

「待たせたな、エンヴィー。行くぞ、俺のターン!」

 

 次のターン、確実に『ヴォルカニック・クイーン』を使ってエンヴィーは何か仕掛けて来るだろう。攻撃力は2500と高い。おまけに相手に効果ダメージを与える能力まである。

 さて、俺にできたのはそこまで。残りはお前らの仕事だぜ?

 

「俺は『ボルト・ヘッジホッグ』を守備表示で召喚」

『チィッ!』

 

 

ボルト・ヘッジホッグ:DEF 800

 

 

「更にカードを2枚伏せて、魔法カード『調律』を発動。デッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加え、デッキトップのカードを墓地へ送る」

 

 優のデッキトップが落ちる。横目で見たところ、落ちたカードは『グローアップ・バルブ』だ。

 良いカードが落ちたな。あれは墓地にいって初めて効果が使える。

 

 

 

調律

【通常魔法】

自分のデッキから「シンクロン」と名のついたチューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフルする。

その後、自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

 

 

 

「ターンエンド」

 

 

 

優:LP 4000

手札:3枚(内1枚は『ジャンク・シンクロン』)

フィールド

:ボルト・ヘッジホッグ(DEF 800)

:伏せカード2枚

 

 

 

「今度は僕の番だね。ドロー!」

 

 次は有栖のターンだな。ここまでは順調。下手な手を打ってくれるなよ……。

 

「僕は『レッド・ガジェット』を召喚! 効果でデッキから『イエロー・ガジェット』を手札に加えるよ」

 

 

レッド・ガジェット:DEF 1500

 

 

 有栖の1番手は赤い歯車を模した機械族モンスター。色違いをデッキからサーチするカードだ。その能力から様々でデッキで手札コストとして扱われる。

 

「そっちが永続魔法を使うなら僕も永続魔法を使うよ! 手札から『機甲部隊の最前線(マシンナーズ・フロストライン)』を発動! このカードは1ターンに1度、僕の機械族モンスターがバトルで破壊された時に同じ属性で攻撃力がそのモンスターより低い機械族モンスターをデッキから1体特殊召喚できるんだ」

 

 上手いな。『レッド・ガジェット』がやられれば『イエロー・ガジェット』をリクルートできる。『ガジェット』は通常召喚と特殊召喚に対応した能力だから更に『グリーン・ガジェット』をサーチできる。

 あのデッキを使いこなせている証拠の一端だ。

 

「そしてカードを3枚伏せる。これでターンエンドだよ」

 

 

 

有栖:LP 4000

手札:2枚(内1枚は『イエロー・ガジェット』)

フィールド

:レッド・ガジェット(DEF 1500)

:伏せカード3枚、機甲部隊の最前線(永続魔法)

 

 

 

「最後は私のターンです! ドロー!」

 

 有里ちゃんがあの年頃特有の元気さで力強いドローを見せる。年下ながらも頼もしいな。

 

「魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動します! 手札の『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地へ送り、デッキからレベル1の『チューニング・サポーター』を特殊召喚!」

『タッ!』

 

 

チューニング・サポーター:ATK 100

 

 

 

ワン・フォー・ワン

【通常魔法】

手札からモンスター1体を墓地へ送って発動する。

手札またはデッキからレベル1モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 

 

チューニング・サポーター(効果モンスター)

星1

光属性/機械族

ATK 100/DEF 300

このカードをシンクロ召喚に使用する場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。

このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

 

 勢いよく飛び出たのは頭に中華鍋と思しき何かを被った小型の人型機械。英語版じゃ何でも鍋の名前を冠しているらしい。

 

「更にチューナーモンスター、『ジャンク・シンクロン』を召喚!」

『ハッ!』

 

 

ジャンク・シンクロン:ATK 1300

 

 

「効果で墓地から『ボルト・ヘッジホッグ』を、効果を無効にして特殊召喚します!」

『ミィッ!』

 

 

ボルト・ヘッジホッグ:DEF 800

 

 

 眼鏡をかけたエンジニア戦士。その横に空いた穴から背中の針がボルトに変わったハリネズミが飛び出す。

 

「行きます! レベル1の『チューニング・サポーター』とレベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』に、レベル3の『ジャンク・シンクロン』をチューニング!」

 

 『ジャンク・シンクロン』が腹部のリコイルスターターを引っ張って背中のバックパックのエンジンを起動させる。3つの星に変わったエンジニアは幾何学的な3つの緑の円となり、その中を鍋もどきを被った機械とボルトを背負ったハリネズミが潜る。

 

「6の星が集う時、疾風が吹きすさび、鋼の盾を持つ守り人が目覚める!」

 

 

☆1+☆2+☆3=☆6

 

 

「シンクロ召喚! 皆を守って、『ジャンク・ガードナー』!」

『トァアッ!』

 

 

ジャンク・ガードナー:DEF 2600

 

 

 ほう、オリジナル、というべきかね、あの前口上は。独創性があって個人的には面白いと思う。

 現れたのは両腕に大きな盾を装備した機械の巨兵。ジャンクの鉄壁とも呼べる特殊な能力を備えている上に、守備力だって生半可な物モンスターじゃ超えられない。

 

「墓地の『チューニング・サポーター』の効果を発動します。このカードがシンクロ素材になった場合、デッキからカードを1枚ドローします。

 リバースカードを2枚伏せて、ターンエンドです」

 

 

 

有里:LP 4000

手札:2枚

フィールド

:ジャンク・ガードナー(DEF 2600)

:伏せカード2枚

 

 

 

 さて、一巡目は皆あまり大きくは動かなかったな。

 だが、次のエンヴィーのターンから場は荒れる。腹ぁ括れよ、皆が思っているよりもこの場は厳しい戦いになるだろうからな……。

 

「ボクのターンだ! ボクはカードを1枚伏せて、『ヴォルカニック・クイーン』の効果を発動! 自分の場のカード1枚を墓地へ送り、相手に1000ポイントのダメージを与える! 今伏せたカードをコストに、天空優に1000ダメージだ! “ヴォルケーノ・カノン”!」

「優!」

「パパ!」

「クッ!」

 

 リバースカードが光となって消え、その光が『ヴォルカニック・クイーン』の口へと集まり、炎の砲弾を充填させる。

 

「させねぇよ! カウンター罠『ダメージ・ポラリライザー』を発動! それを無効にし、互いに1枚カードをドロー! 優、カードを!」

「ああ!」

 

 ガキン! と半透明のシールドが発生。巨大な火炎弾を弾き飛ばした。

 

 

 

ダメージ・ポラリライザー

【カウンター罠】

ダメージを与える効果が発動した時に発動する事ができる。

その発動と効果を無効にし、お互いのプレイヤーはカードを1枚ドローする。

 

 

 

 そして悪いが、『ヴォルカニック・クイーン』はもう退場の時間だ。

 

「くっ!」

「更に伏せていた罠カード『強制脱出装置』オープン! フィールドのモンスター1体を持ち主の手札へ戻す! 『ヴォルカニック・クイーン』は返してもらうぞ!」

「あぁっ!?」

 

 仰々しい機械が炎の蛇を吸い込み、空高くへと打ち出した。って、おい! どこ行くんだ!

 なんてツッコミも入れる暇も無く、カードは俺の手札に加わった。…………、どういう理屈だ?

 

 

 

強制脱出装置

【通常罠】

フィールド上に存在するモンスター1体を持ち主の手札に戻す。

 

 

 

「な、なら墓地に送った罠カード『ブラックコインケース』の効果を発動! このカードをゲームから除外し、デッキからカードを2枚ドロー!」

 

 む、コストを利用してきたか。効果ダメージを与える効果を無駄撃ちさせてカードのロスを増やす狙いだったんだが、失敗したな。

 

 

 

ブラックコインケース(オリジナル)

【通常罠】

フィールド上に存在する永続罠を1枚デッキに戻して発動する。

デッキからカードを1枚ドローする。

墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、デッキからカードを2枚ドローできる。

 

 

 

「更に『毒錆の悪魔(ラスト・デビル)』を特殊召喚!」

『ギギギギギギギギ……』

 

 錆びついた音を立てながら鉄色の悪魔が、地の底から這い上がる。

 さて、今度は何がやって来るかね。もう“召喚したら勝利”とか、そんなヤツが出て来ても驚かない自信があるぜ……。

 

 

毒錆の悪魔:ATK 1900

 

 

「このカードは、自分の場の攻撃力2000以上のモンスターが場を離れた時、手札から特殊召喚できるのサ。

 更に『毒錆の悪魔』をリリースし、『猛毒の孤独神』をアドバンス召喚! 闇属性モンスターをリリースして『猛毒の孤独神』がアドバンス召喚された時、カードを1枚ドローだ!」

 

 

猛毒の孤独神:ATK 2500

 

 

 今度はゴボゴボと全身から腐臭を放つ、真っ黒いローブ姿の男が現れた。おお、毒々しい。

 

「『猛毒の孤独神』の効果発動! 1ターンに1度、カードを1枚ドローし、それがレベル4以下のモンスターなら、場に特殊召喚できる!」

 

 む、戦力を増やす能力か。

 

 

 

毒錆の悪魔(ラスト・デビル)(効果モンスター)(オリジナル)

星3

闇属性/悪魔族

ATK 1900/DEF 350

自分の場の攻撃力2000以上のモンスターが場を離れたターン、このカードは手札から特殊召喚できる。

自分の場に闇属性モンスターが2体以上存在する時、この効果は使用できない。

 

 

 

猛毒の孤独神(ゴッド・オブ・ベノムアローン)(効果モンスター)(オリジナル)

星6

闇属性/悪魔族

ATK 2500/DEF 1900

このカードが闇属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする。

1ターンに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。

ドローしたカードがレベル4以下のモンスターだった場合、自分の場に特殊召喚できる。

 

 

 

「ドロー! 引いたカードはレベル3の『デビル・エッジ』! 特殊召喚!」

 

 

デビル・エッジ:ATK 0

 

 

「更に『デビル・エッジ』の効果で、デッキからレベル3以下のモンスターを1体特殊召喚できる! ボクは『忍び寄るデビルマンタ』を特殊召喚!」

 

 

忍び寄るデビルマンタ:ATK 1300

 

 

 

デビル・エッジ(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)

星3

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

(1):このカードが自分フィールド上に特殊召喚された時、自分のデッキから同名以外のレベル3以下のモンスターを1体特殊召喚できる。

 

 

 

忍び寄るデビルマンタ(効果モンスター)

星3

水属性/魚族

ATK 1300/DEF 1200

このカードが召喚に成功した時、罠カードを発動する事はできない。

 

 

 

 刃で全身が覆われた悪魔に、真っ黒なマンタか……。ガラ空きから既に3体のモンスターを揃えた。何か来る……!

 

「チッ、もう3体も出しやがった」

「何か来るよ……」

「な、何でも来い……!」

 

「ボクはレベル3の『デビル・エッジ』と『デビルマンタ』をオーバーレイ! 2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」

『ギギィ~!』

『ムァ~~~』

 

 

☆3+☆3=★3

 

 

 刃の悪魔が紫色の、どす黒い水のマンタが黒の光に体を変える。

 2つの光は螺旋を描いて飛び上がり、銀河系のように混ぜ合わさった。

 

「エクシーズ召喚! 出でよ『No.30』、滅びを司りし猛毒の巨人、『破滅のアシッド・ゴーレム』!」

『グォオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 ブシュウゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ! と全身から紫の煙を上げながら、青い人型が地の底から這い上がる。あちこちから酸を垂れ流すその姿は、まるで文字通り破滅を運んで来たかのような視線でこちらを貫く。

 

 

No.30破滅のアシッド・ゴーレム:ATK 3000

 

 

「攻撃力3000!? そ、そんな……! ランク3で攻撃力が『青眼の白龍』と同じなんて……!」

「2体のダイレクトアタックを喰らったら、黎がやられちゃうよ!」

 

 特殊能力こそ自滅モノだが、ランク3で攻撃力3000は高い。大抵のモンスターなら初期値で殴り倒せる。

 

「ハハハハッ! まずはお前だ! 遊馬崎黎! 『アシッド・ゴーレム』と『猛毒の孤独神』でダイレクトアタック! 死ねぇ!」

「させません! 『ジャンク・ガードナー』の効果発動! 1ターンに1度、相手モンスター1体の表示形式を変更できる! 『アシッド・ゴーレム』には守備表示になってもらいます!」

「『猛毒の孤独神』は俺がやる! 『くず鉄のかかし』を発動! 攻撃を無効にする!」

 

 殴りかかって来た青いゴーレムと黒いローブ男。

 横から割り込んで来た盾を持った戦士が巨人の攻撃を弾き飛ばす。怯んだゴーレムは防御の体勢をとって追撃に備えた。

 

 

 

ジャンク・ガードナー(シンクロ・効果モンスター)

星6

地属性/戦士族

ATK 1400/DEF 2600

「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する事ができる。

この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた場合、フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する事ができる。

 

 

 

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム:ATK 3000→DEF 3000

 

 

 続いてローブ男が骨張った大きな拳を振り下ろして来たが、金属製の案山子がそれを受け止めた。流される猛毒も、金属製の無生物ならば平気というワケか。

 

「クソッ!」

「簡単に通しはしない。黎は仲間だ」

「殺させない、絶対に!」

 

 落ち着いた表情の優に、敵意を向ける有里ちゃん。

 ありがとうな、二人とも。

 

「こぉのぉ……! ボクはカードを3枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

 

 

エンヴィー:LP 16000

手札:3枚

フィールド

:猛毒の孤独神(ATK 2500)、No.30破滅のアシッド・ゴーレム(DEF 3000・ORU:2)

:伏せカード3枚

 

 

 

「さて、と。ヤツのターンがまた回って来る前に、ちゃちゃっとやりますか。俺のターン!」

 

 よし。これなら行ける。

 『アシッド・ゴーレム』は自分のスタンバイフェイズごとにオーバーレイ・ユニットを消費しなくてはダメージを受けるという呪われたモンスター。が、それを逆利用して相手に送りつけてやればかなり強い。オーバーレイ・ユニットがゼロの状態なら攻撃もできないしな。

 更にはダメージ効果と同時にコントローラーに特殊召喚を封じさせる効果もある。コストかリリース素材にしないと自発的に場から離す事はできないというワケだ。

 

 

 

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム(エクシーズ・効果モンスター)

ランク3

水属性/岩石族

ATK 3000/DEF 3000

レベル3モンスター×2

自分のスタンバイフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除くか、自分は2000ポイントダメージを受ける。

このカードのエクシーズ素材が無い場合、このカードは攻撃できない。

このカードがフィールド上に存在する限り、自分はモンスターを特殊召喚できない。

 

 

 

「手札から『融合』を発動! 手札の炎族モンスター『ヴォルカニック・クイーン』と機械族モンスター『ボルト・ヘッジホッグ』を融合!」

 

 今更だが、『ボルト・ヘッジホッグ』の使用率が高いな。

 

「融合召喚! 『起爆獣ヴァルカノン』!」

『ギィォオァアアアアアアァァッ!』

 

 

起爆獣ヴァルカノン:ATK 2300

 

 

「そんなモンスターで何ができる!」

「そのセリフは敗者へのフラグだと知るが良い! 『ヴァルカノン』は融合召喚に成功した時、このカードを墓地へ送って相手モンスターを1体破壊し、その攻撃力分だけ相手にダメージを与える! 失せろ、『アシッド・ゴーレム』! “ビッグ・エクスプロード”!」

 

 重装甲ながらも宙に浮く巨大な金属の獣。尾の導火線に火をつけて『アシッド・ゴーレム』に組みつくと、大爆発を巻き起こした。

 

 

 

起爆獣ヴァルカノン(融合・効果モンスター)

星6

地属性/機械族

ATK 2300/DEF 1600

機械族モンスター+炎族モンスター

このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。

選択した相手モンスターとこのカードを破壊して墓地へ送る。

その後、墓地へ送られた相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

 

 

「ぐぁああああああああああああああああああああああっ!」

 

 

エンヴィー:LP 16000→13000

 

 

 よし、デカいダメージが通った! 次はこいつで行く!

 

「魔法カード『フュージョニック・カウント』を発動! 墓地の融合モンスター、素材となったモンスターを1体ずつゲームから除外し、2枚ドローして1枚をデッキに戻す! 更に『L・S ジャベリン・ビー』を召喚だ!」

 

 

L・S ジャベリン・ビー:ATK 600

 

 

「効果でダイレクトアタックを仕掛ける! 喰らえ、“ポイズン・スマッシュ”!」

『キキィッ!』

「グォッ!」

 

 

エンヴィー:LP 13000→12400

 

 

「エンドフェイズ、『ジャベリン・ビー』は攻撃表示から守備表示になる」

 

 

 

フュージョニック・カウント(オリジナル)

【通常魔法】

自分の場の融合モンスターが墓地に送られたターンに発動できる。

その融合モンスターと素材となったモンスターの内、攻撃力の高いモンスター1体をゲームから除外し、カードを2枚ドローし1枚をデッキに戻す。

 

 

 

L・S ジャベリン・ビー(効果モンスター)(オリジナル)

星4

風属性/昆虫族

ATK 600/DEF 2000

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

エンドフェイズにこのカードが攻撃表示で自分の場に存在する場合、このカードは守備表示になる。

この効果が発動した次のターン、このカードとの戦闘によって発生するダメージは半分になる。

 

 

 

L・S ジャベリン・ビー:ATK 600→DEF 2000

 

 

「ターンエンド」

 

 

 

黎:LP 4000

手札:0枚

フィールド

:L・S ジャベリン・ビー(DEF 2000)

:魔法・罠無し

 

 

 

 ライフは削ったし、壁は残した。

 さあ、繋げてくれ!

 

「今度は俺のターンだ、ドロー。俺は『レベル・スティーラー』を墓地へ送り、『クイック・シンクロン』を特殊召喚」

『ハッ!』

 

 

クイック・シンクロン:ATK 700

 

 

「レベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』に、レベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!」

 

 小型のガンマンハットを被った青い機体が、手にした銃で回転する5枚のカード『ジャンク・シンクロン』・『ターボ・シンクロン』・『ドリル・シンクロン』・『ロード・シンクロン』・『ニトロ・シンクロン』の内、『ジャンク・シンクロン』のカードを撃ち抜く。

 5つの星へとその姿は変わり、ボルトを背負ったハリネズミがその中を潜る。

 

「7つの星々が輝く時、次元を射抜く弓が射られる!」

 

 

☆2+☆5=☆7

 

 

「シンクロ召喚! 蒼穹の彼方へと矢を放て、『ジャンク・アーチャー』!」

『テヤッ!』

 

 

ジャンク・アーチャー:ATK 2300

 

 

 オレンジの装甲、固めを隠す尖った兜を被った弓兵が、光の中から飛び出す。大きな弓には次元を貫く力が宿っている、優秀な除去モンスターだ。

 

「墓地の『レベル・スティーラー』を、『ジャンク・アーチャー』のレベルを1つ下げて特殊召喚」

 

 

レベル・スティーラー:DEF 0

ジャンク・アーチャー:☆7→6

 

 

「更に『ジャンク・アーチャー』の効果発動。1ターンに1度、相手モンスター1体をエンドフェイズまでゲームから除外する! “ディメンジョン・シュート”!」

「しまっ!?」

 

 臭気を噴き出す孤独な神に向けて、青白く輝く矢が放たれ次元の彼方へ吹き飛ばす。これで、ガラ空きだ。

 

「チャンスだよ、パパ!」

「行っけぇええええ!」

「伏せカードが気になるが……、ここは臆さず攻める! 喰らえ、“スクラップ・アロー”!」

 

 放たれた鋼の矢、通るか……!?

 

「うあっ!」

 

 通った! あの伏せカードはブラフか!

 

 

エンヴィー:LP 12400→10100

 

 

 よし、ライフは後1万「リバースカード、オープン!」だ……!?

 

「罠カード『ヘドロパレード』! このカードは2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時に発動できる。相手モンスターを全てゲームから除外し、自分の場の空いているモンスターゾーンに『ヘドロトークン』を可能な限り特殊召喚っ!」

 

 

ヘドロトークン:ATK 3000

ヘドロトークン:ATK 3000

ヘドロトークン:ATK 3000

ヘドロトークン:ATK 3000

ヘドロトークン:ATK 3000

 

 

『攻撃力3000(だと)!?』

 

 ベチャリ、とヘドロが上空から降り、人型をとる。醜い外見のワリにゃあ随分な攻撃力と守備力だな。

 同時にこちらの場のモンスターが一瞬で時空の渦に呑まれ、全滅。断末魔の悲鳴すら無いとはまたエグい効果だ。

 

 

 

ヘドロパレード(オリジナル)

【通常罠】

2000ポイント以上の戦闘ダメージを受けた時のみ発動できる。

相手の場のモンスターを全てゲームから除外し、自分の場の空いているモンスターゾーン全てに「ヘドロトークン」(アンデッド族・水・星4・攻/守 3000)を特殊召喚する。

この効果で除外したモンスターはエンドフェイズに相手の墓地へ送られる。

 

 

 

「く! 除外じゃあ『ジャンク・ガードナー』の効果が使えないよ!」

「攻守共に3000なんて……!」

「それが5体。海馬社長とデュエルした時とどっちがマシだか……」

「ったく、折角こっちのペースになったと思ったらコレか。飽きねぇな、おい」

 

 上から順に有里ちゃん、有栖、優、俺。社長とデュエルした事あるんだ、という感想はさて置き。

 これを片付けるのは至難の業だな。しかもヤツの場にはまだリバースカードが2枚残っている。あれが『神の宣告』とか『魔宮の賄賂』ならまだ良い。問題なのはこちらの行動を妨害しつつ、何のデメリットも無いカードの可能性が高いという事だ。イヤ、それ以上にヤツにメリットを与えつつ、こちらにデメリットを与えるなんてカードだったら尚ヤバい。

 

 『大嵐』はさっき使っちまったし、どうしたモンか……。

 

「く、俺は『巨大ネズミ』を守備表示で召喚。エンドフェイズ、フィールドが埋まっている為、『猛毒の孤独神』は帰還できない。ターンエンドだ……!」

「エンドフェイズ、除外された君達のモンスターは墓地へと送られる」

 

 

巨大ネズミ:DEF 1450

 

 

 

優:LP 4000

手札:2枚(内1枚は『ジャンク・シンクロン』)

フィールド

:巨大ネズミ(DEF 1450)

:伏せカード2枚(内1枚は『くず鉄のかかし』)

 

 

 

 流石の優もこの状況は簡単には覆せない、か。

 

「僕のターン、ドローッ! 魔法カード『強欲な壺』を発動! デッキからカードを2枚ドロー!」

 

 さっきまでは自信に満ちつつもどこか余裕を持っていた有栖も、今は焦りが前面に出ている。落ち着け、それこそ奴の思う壺だ。

 

「僕は『マシンナーズ・ギアフレーム』を召喚! 更にモンスター効果を発動! デッキから『マシンナーズ・フォートレス』を手札に加える!」

 

 

マシンナーズ・ギアフレーム:ATK 1800

 

 

 橙色の機械兵、『マシンナーズ』専用のサーチャーか。ユニオンモンスターでもあり、すぐさま次の展開に繋げられる。

 

 

 

 

マシンナーズ・ギアフレーム(ユニオンモンスター)

星4

地属性/機械族

ATK 1800/DEF 0

このカードが召喚に成功した時、自分のデッキから「マシンナーズ・ギアフレーム」以外の「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして自分フィールド上の機械族モンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)

 

 

 

 

「行くよ、必殺コンボ! 手札の『イエロー・ガジェット』と『マシンナーズ・フォートレス』を墓地へ送り、今墓地へと送った『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚!

 更に永続魔法発動! 『一族の結束』! 僕の墓地にいるのは機械族のみ! よって僕の場の機械族モンスターは攻撃力が800ポイントアップする! プラス、『ギアフレーム』を『フォートレス』に装備!」

 

 

マシンナーズ・フォートレス:ATK 2500→3300

 

 

「攻撃力が『ヘドロトークン』を上回っただとぉ!?」

「行くよ! 『フォートレス』で『ヘドロトークン』を攻撃!」

 

 上手いな、『ギアフレーム』に能力値のアップダウンは無いが、それでも破壊耐性はつく。それでいて攻撃力3300だ。あっちにとっては堪ったものでは無いだろう。

 ギリギリギリ、と戦車タンクに搭載されている砲身が人型ヘドロに狙いを定める。ダゴォン! という轟音、そして薬莢の排出と同時に敵を吹き飛ばした。

 

 

エンヴィー:LP 10100→9800

 

 

「この、アマがぁ……!」

「ナイスだ有栖、残りライフが1万を切ったぞ」

「へへへ、ありがとう! ターンエンド!」

 

 

 

有栖:LP 4000

手札:0枚

フィールド

:マシンナーズ・フォートレス(ATK 3300)

:マシンナーズ・ギアフレーム(ユニオン・『マシンナーズ・フォートレス』に装備)、機甲部隊の最前線(永続魔法)、一族の結束(永続魔法)

 

 

 

「さっすがママ!」

「へへーん!」

「私も負けてられないよ、ドロー!」

 

 有栖の明るさが、場の空気を変えた……。

 さっきまで震えていた有里ちゃんが既にエンヴィーを恐れていない。たった1ターン分の行動が、空気を変える。

 人間ってのは、単純で複雑で、頼もしいな。

 

「行くよ! リバースカード、オープン! 『ロスト・スター・ディセント』!

 このカードは、自分の墓地からシンクロモンスターを1体、レベルを1つ下げ、守備力を0にして守備表示で特殊召喚できる! 『ジャンク・ガードナー』を守備表示で特殊召喚です!」

『トァッ!』

 

 眩い光の柱が天空から差し込み、それを取り囲むように6つの星が踊る。その内の1つが柱に吸い込まれると、盾を持った戦士に姿を変えた。

 

 

ジャンク・ガードナー:☆6→5/DEF 2600→0

 

 

「ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃表示に変更できず、効果は無効となります」

 

 

 

ロスト・スター・ディセント

【通常罠】

自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、レベルは1つ下がり守備力は0になる。

また、表示形式を変更する事はできない。

 

 

 

「更にチューナーモンスター『フレア・リゾネーター』を召喚!」

『ヘェッ!』

 

 炎を背負い、手に音叉を持つ悪魔が登場。ニヤッ、とした笑いが敵に対して不吉さを告げているように見える。

 

 

フレア・リゾネーター:ATK 300

 

 

「レベル5となった『ジャンク・ガードナー』に、レベル3の『フレア・リゾネーター』をチューニング!」

 

 キュイン! と手にした音叉を悪魔が叩くと、波状に音と炎の波が広がり3つの星へと変わった。3つの星は緑の輪に変わり、そこを盾を構えた戦士が潜り抜ける。

 

「8の星が集う時、全てを破壊する魔龍が放たれる!」

 

 

☆3+☆5=☆8

 

 

「シンクロ召喚! 全てを薙ぎ払って、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK 3000

 

 

 燃える炎のエフェクトが現れ、その中から紅蓮の炎を掌に灯す、悪魔の龍が飛び出す。ヤギのように曲がった三本の角、赤と黒で構成された身体、黄金色に輝く瞳と敵対するモノ全てを薙ぎ払う力の権化だ。

 

『グゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥッ!』

「くっ!」

 

 凄まじい咆哮に怯むエンヴィー。

 

「だが、攻撃力はトークンと同じ3000だ! 出来て相撃ち! ならば次のターン、残りのトークンで総攻撃をしかけるまで!」

「残念だけど、それは無理だよ」

 

 何? とエンヴィーは訝しげに眼を細める。

 有里ちゃんは背後の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を指差した。

 

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK 3000→3300

 

 

 ゴウッ! と炎が滾り、閻魔の龍へと集束。全身を巡る炎の鎧と化した。

 

「攻撃力が上がっただとぉ!?」

「『フレア・リゾネーター』をシンクロ素材にしたモンスターは、攻撃力が300ポイントアップする!」

 

 

 

フレア・リゾネーター(チューナー・効果モンスター)

星3

炎属性/悪魔族

ATK 300/DEF 1300

このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

 

 

 

「『レッド・デーモンズ・ドラゴン』で『ヘドロトークン』を攻撃! 吹き飛んじゃえ! “アブソリュート・パワーフォース”!」

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ‼』

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

エンヴィー:LP 9800→9500

 

 

 炎の拳が一閃、泥の塊を蒸発も凝固もさせるヒマ無く焼き払い殴り飛ばした。

 

「これでターンエンドです!」

 

 

 

 

有里:LP 4000

手札:1枚

フィールド

:レッド・デーモンズ・ドラゴン(ATK 3300)

:伏せカード1枚

 

 

 

 

 よし、行ける! こっち側のライフは全く減ってないのに対し、ヤツのライフは直に半分! この勝負、勝てる!

 

 

to be continued

 

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