遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

38 / 116
フィオ・フレイ「「なーにかな、なーにかな! 今回はこれ!」」



シューティング・スター・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)
星10
風属性/ドラゴン族
ATK 3300/DEF 2500
シンクロモンスターのチューナー1体+「スターダスト・ドラゴン」
以下の効果をそれぞれ1ターンに1度ずつ使用できる。
●自分のデッキの上からカードを5枚めくる。
このターンこのカードはその中のチューナーの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。
その後めくったカードをデッキに戻してシャッフルする。
●フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、その効果を無効にし破壊する事ができる。
●相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。
エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。



スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)
星12
闇属性/ドラゴン族
ATK 3500/DEF 3000
チューナー2体+「レッド・デーモンズ・ドラゴン」
このカードの攻撃力は自分の墓地に存在するチューナーの数×500ポイントアップする。
このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。
また、相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。
エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。



フィオ「大型のシンクロモンスターだね!」

フレイ「召喚は少し重いですが、決して無理ではありません。失うと痛手なので守るカードを忘れずに」

フィオ「連続攻撃効果はチューナーを引けないと攻撃できなくなるから、デッキトップを操作してから発動しよう!」



STORY37:切り札敗北 一縷の光にかける希望 ★

黎:LP 1200

手札:1枚

フィールド

:エクスプロード・ウィング・ドラゴン(A 2400)

:魔法・罠無し

 

 

 

優:LP 1600

手札:0枚

フィールド

:モンスター無し

:魔法・罠無し

 

 

 

有栖:LP 2200

手札:1枚(『イエロー・ガジェット』)

フィールド

:レッド・ガジェット(DEF 1500)、グリーン・ガジェット(DEF 1400)

:魔法・罠無し

 

 

 

有里:LP 2000

手札:1枚

フィールド

:モンスター無し

:魔法・罠無し

 

 

 

エンヴィー:LP 19700

手札:4

フィールド

:バーサーク・デッド・ドラゴン(A 3500)、ギガント・ゾンビゴーレム(A 4100)

:伏せカード2枚、飢餓枯渇国家(フィールド魔法)

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

「さあ、フィニッシュだぁ! 『バーサーク・デッド・ドラゴン』で天空優にダイレクトアタック! “バーサーク・デスブレイズ”ゥ!」

 

 真っ黒な炎が優を目掛けて撃ち出される。マズイ、優の残りライフは1600、『バーサーク・デッド・ドラゴン』の攻撃力3500を直撃されたら負ける! このデュエルは闇のゲーム、ライフが尽きる事は即ち死だ!

 だが、俺の手札にあいつを守る手段は無い。万事休すか!?

 

 

 

デーモンとの駆け引き

【速攻魔法】

レベル8以上の自分フィールド上のモンスターが墓地へ送られたターンに発動する事ができる。

自分の手札またはデッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

 

 

 

バーサーク・デッド・ドラゴン(効果モンスター)

星8

闇属性/アンデット族

ATK 3500/DEF 0

このカードは「デーモンとの駆け引き」の効果でのみ特殊召喚が可能。

相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃が可能。

自分のターンのエンドフェイズ毎にこのカードの攻撃力は500ポイントダウンする。

 

 

 

「優! 優ぅーっ!」

「ママ、大丈夫! パパは私が守る!」

 

 俺が諦めかけ、有栖が喉が裂けるくらいに叫ぶ中、有里ちゃんは冷静に事を判断し、残った手札を墓地へ送った。

 途端、機械仕掛けの案山子が優の前にジェットノズルを全開に吹かして飛び出し、黒炎を受け止めた。

 これは……!

 

「その攻撃、『速攻のかかし』で受け止める! パパは殺させない!」

「チィッ!」

 

 あ、危ない。成程、有里ちゃんは二段構えで迎撃の姿勢を取っていたのか。

 

「ならば装備魔法『黒鍍(くろめっき)の毒鎧』を発動! 『バーサーク・デッド・ドラゴン』に装備!」

 

 カードから流れる煙に死龍が包まれると、『バーサーク・デッド・ドラゴン』の全身が黒光りする金属で覆われた。

 何だ? 何か旨味のある効果なら攻撃前に装備させるものだが……?

 

「カードを1枚伏せ、エンドフェイズ、『バーサーク・デッド・ドラゴン』の攻撃力を自身と『飢餓枯渇国家』の効果で500ずつ下げる」

 

 

バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK 3500→4500

 

 

「バカな、攻撃力が上がっただと!?」

「アヒャヒャヒャヒャ! 『黒鍍の毒鎧』を装備したモンスターは、攻撃力がダウンする効果をアップする効果に変えられるのサ! ターンエンド!」

 

 な!? て事は、あいつは少なくともエンドフェイズごとに攻撃力を500ずつ上げて行くって事か!?

 

 

 

黒鍍の毒鎧(オリジナル)

【装備魔法】

このカードを装備したモンスターの攻撃力と守備力がカード効果によってダウンする場合、攻撃力と守備力は下がらず、その数値分だけアップする。

このカードが墓地に送られた時、上がっていた数値分、攻撃力と守備力はダウンする。

 

 

 

「このエンドフェイズ、墓地の『極星天ヴァルキリア』をゲームから除外し、『極神聖帝オーディン』を特殊召喚!」

 

 

極神聖帝オーディン:ATK 4000

 

 

「ムダァ! 『ギガント・ゾンビゴーレム』の効果発動! 1ターンに1度、墓地からモンスターが特殊召喚された時、そのモンスターを持ち主のデッキに戻す!」

「な!?」

 

 く! キーカードが次々と……!

 

 

 

ギガント・ゾンビゴーレム(効果モンスター)(オリジナル)

星8

闇属性/岩石族

ATK 4100/DEF 0

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の闇属性モンスターを2体、ゲームから除外した場合に特殊召喚できる。

1ターンに1度、墓地からモンスターが特殊召喚された時、その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを持ち主のデッキに戻す。

このカードは墓地からの特殊召喚ができず、守備表示の時に攻撃対象に選択された場合、ダメージ計算終了時にコントローラーは1000ポイントのダメージを受ける。

 

 

 

エンヴィー:LP 19700

手札:2枚

フィールド

:バーサーク・デッド・ドラゴン(ATK 4500)、ギガント・ゾンビゴーレム(ATK 4100)

:伏せカード3枚、黒鍍の毒鎧(装備魔法・『バーサーク・デッド・ドラゴン』に装備)、飢餓枯渇国家(フィールド魔法)

 

 

 

「悪い冗談で、あってほしいね……」

「正論だな。毎ターンごとにパワーアップする全体攻撃持ちなんざ対処しきれん。おまけに墓地からの特殊召喚も封じられた」

「唯一の救いは『飢餓枯渇国家』の3つの効果が、2ターン以上連続で使えない事。実質的にパワーアップは500と1000を繰り返す形になるんだね」

「次のターンは500上昇して5000だ。攻撃力6000になる前に叩き潰さないと、まず対抗できねぇぞ」

 

 上から順番に有栖、優、有里ちゃん、俺。

 『バーサーク・デッド・ドラゴン』は全体攻撃持ち。即ち壁モンスターを揃えても無駄、という事だ。俺達のライフは1番多くて有栖の2200。半上級、或いは中級モンスターの攻撃でノックダウン。

 2回。次のターンに奴がそれに相応するモンスターを出せば、後2回エンヴィーにターンを回すだけで終わる。

 

「パパ、ママ、黎お兄さん……、私、死にたくないよ……、皆に死んでほしくないよ!」

「それは、俺も同じだ! 俺のターン、ドロー!」

 

 『天使の施し』か、この状況で手札交換は有難い。

 

「魔法カード『天使の施し』を発動! デッキからカードを3枚引き、2枚捨てる!

 

 これなら逆転、できるか……?

 

「この瞬間、墓地に送られた『L・S ヤドリギの式神』のモンスター効果発動! このカードが墓地に送られた時、自分フィールドのモンスター1体をデッキに戻す事で、墓地から特殊召喚できる!

 俺は『エクスプロード・ウィング』をデッキに戻し、『ヤドリギの式神』を特殊召喚!」

『ゴゴゴ~ッ!』

「『ヤドリギの式神』の更なる効果! この蘇生効果を破壊以外の方法で使用した場合、デッキからレベル3以下の“L・S”を特殊召喚できる! 現れろ、『ハウリング・バット』!!」

『キキィ~!』

 

 

L・S ヤドリギの式神:DEF:1500

L・S ハウリング・バット:DEF 600

 

 

 

「レベル4の『ヤドリギの式神』に、レベル3の『ハウリング・バット』をチューニング!」

 

 キュイン! と緑の翼の蝙蝠が超音波を放ち、3つの星へと変わる。星は輪となり、青い人型の式神がその中心を通る。

 

「深緑の恵みが祈りと奇跡の笑顔を守り抜く! 希望が溢れる明日となれ!」

 

 

☆3+☆4=☆7

 

 

「シンクロ召喚! 幻影を打ち砕け、『L・S 鉄壁のグレープヴァイン』!」

『でぇいやっ!』

 

 

L・S 鉄壁のグレープヴァイン:DEF 3300

 

 

 光の柱から飛び出したのは山葡萄の房を体中に纏った盾使い。大きな盾にも葡萄の絵が描いてある。

 紫の髪が風に揺れ、大地の恩恵をその身に体現している。

 

「効果発動! 1ターンに1度、攻撃の権利を放棄して相手の場のカードを1枚破壊する! 俺は『黒鍍の毒鎧』を破壊!」

「おっと永続罠発動! 『悪順貫(あくじゅんかん)』! モンスター効果の発動を無効にしてゲームから除外する!」

「そう上手くは行かねぇぜ! 素材となった『ハウリング・バット』の効果! こいつをシンクロ素材としたシンクロモンスターの攻撃と効果は無効化されない!」

 

 

 

L・S ヤドリギの式神(効果モンスター)(オリジナル)

星4

闇属性/植物族

ATK 0/DEF:1500

このカードが墓地に送られた場合に発動できる。

自分フィールドのモンスターを1体デッキに戻し、このカードを特殊召喚する。

このカードが破壊された以外の方法でこの効果を発動した場合、更にデッキからレベル3以下の「L・S」を1体特殊召喚できる。

 

 

 

L・S ハウリング・バット(チューナー・効果モンスター)(オリジナル)

星3

風属性/鳥獣族

ATK 400/DEF 600

このカードをシンクロ素材とする場合、光・闇属性のシンクロモンスターの素材とする事はできない。

このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターの攻撃と効果は無効化されない。

 

 

 

L・S 鉄壁のグレープヴァイン(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)

星7

地属性/戦士族

ATK 2600/DEF 3300

「L・S」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体

1ターンに1度、相手の場のカードを1枚破壊できる。

この効果を使用したターンのバトルフェイズはスキップされる。

このカードが破壊された時、相手の場のカードを2枚まで破壊できる。

 

 

 

悪順貫(オリジナル)

【永続罠】

効果モンスターの効果が発動した時に発動できる。

その効果を無効にしてゲームから除外する。

このカードが手札から捨てられた時、墓地には送られずゲームから除外され、相手に1000ポイントのダメージを与える。

 

 

 

 盾から発せられた閃光が一度は黒い渦に止められかけるが、そこに緑の翼の蝙蝠の発した超音波が当たって砕け散る。これで黒い渦に止められる事なく、閃光が死龍の黒い鍍を吹き飛ばした。

 

 

バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK 4500→2500

 

 

「鍍が剥がれたな。ダウンをアップに変えるカードを失った影響で攻撃力が下がったぜ?」

「っぐぅ!」

「カードを2枚伏せて、ターンエンド! エンドフェイズ、俺は『グレープヴァイン』の攻撃力を500下げる」

 

 

L・S 鉄壁のグレープヴァイン:ATK 2600→2100

 

 

 

黎:LP 1200

手札:0枚

フィールド

:L・S 鉄壁のグレープヴァイン(DEF 3300)

:伏せカード2枚

 

 

 

「俺のターン、ドロー。やるな、あの状況を引っ繰り返す基盤を作るとはな」

「考えてみればこっち4人がターンを回してからあいつのターンになる。つまり、チャンスは単純計算で奴の4倍はあるっていう計算になる訳だ。なら、誰かが逆転の兆しを見せてもおかしくねぇだろ?」

「ふ、確かにな」

 

 ならば俺もその兆しを見せるとしよう。そう言って優は手札から魔法カードを1枚発動させた。

 このタイミング、来る!

 

「魔法カード『天よりの宝札』を発動! この効果で互いに手札が6枚になるようにカードをドローだ! 俺はこの効果で俺と有栖の手札を補充!」

 

 最強のドローソースによって、一瞬で優と有栖の手札が潤う。

 タッグデュエルで『闇の指名者』を相手では無くパートナーに使う事ができる、という事は、つまり“お互い”や“相手”に味方を選ぶ事も可能だという事だ。そのポイントを上手く利用したな。

 

「俺はチューナーモンスター『デブリ・ドラゴン』を召喚。モンスター効果発動、『デブリ・ドラゴン』が召喚に成功した時、墓地の攻撃力500以下のモンスターを1体守備表示で、効果を無効にして特殊召喚できる」

 

 

 

デブリ・ドラゴン(チューナー・効果モンスター)

星4

風属性/ドラゴン族

ATK 1000/DEF 2000

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する攻撃力500以下のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

このカードをシンクロ素材とする場合、ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

また、他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。

 

 

 

「優、俺の墓地にいる『カードガンナー』、使うか?」

「使わせてもらう。その効果で墓地からレベル3の『カードガンナー』を特殊召喚」

 

 

デブリ・ドラゴン:ATK 1000

カードガンナー:ATK 400

 

 

「更に自分の場にチューナーがいる時、墓地から『ボルト・ヘッジホッグ』を特殊召喚。続いて墓地からモンスターを特殊召喚できた時、手札の『ドッペル・ウォリアー』は特殊召喚できる。来い!」

 

 時空に穴が二つ開き、それぞれからボウガンを構えた黒い影の戦士と、ボルトを針の代わりに背中に装備したハリネズミが現れる。

 

 

ボルト・ヘッジホッグ:DEF 800

ドッペル・ウォリアー:ATK 800

 

 

「レベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』と『ドッペル・ウォリアー』に、レベル4の『デブリ・ドラゴン』をチューニング!」

 

 白を基調とした廃品の竜が飛び上がって4つの星、更には緑の幾何学模様の輪に変わり、その輪の中心をボルトを背負ったハリネズミと影の戦士が潜り抜ける。

 

「8つの星々が輝く時、全ての破壊を無に帰す龍がその地へ優しき翼と共に舞い降りる」

 

 

☆2+☆2+☆4=☆8

 

 

「シンクロ召喚! 舞い降りよ、『スターダスト・ドラゴン』!」

『キュワァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 

スターダスト・ドラゴン:ATK 2500

 

 

 キラキラと光を撒き散らしながら真っ白な竜が舞い降りる。神々しい美しさを放ち、あらゆる破壊を包み込む優しい龍だ。

 

「『ドッペル・ウォリアー』の効果発動。こいつがシンクロ素材になった時、自分の場に2体の『ドッペル・トークン』を特殊召喚できる」

 

 

ドッペル・トークン:ATK 400

ドッペル・トークン:ATK 400

 

 

 

ドッペル・ウォリアー(効果モンスター)

星2

闇属性/戦士族

ATK 800/DEF 800

自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、自分フィールド上に「ドッペル・トークン」(戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

 

 

「更にお前の場の永続罠『悪順貫』をコストに『トラップ・イーター』を特殊召喚」

『ギュオッ!』

 

 

トラップ・イーター:ATK 1900

 

 

「レベル1の『ドッペル・トークン』とレベル3の『カードガンナー』に、レベル4の『トラップ・イーター』をチューニング!」

 

 ギョロ目で角の生えた悪魔が4つのリングへと変わる。その中心を銃の腕を持つ小型マシンと小さな影の戦士が潜り抜ける。

 

「8つの星々が集う時、万象一切を破壊する魔龍が放たれる」

 

 

☆1+☆3+☆4=☆8

 

 

「シンクロ召喚! 森羅万象を焼き尽くせ、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」

『グォォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK 3000

 

 

 続いて飛び出すのは閻魔の龍。ヤギのように曲がった三本の角に黒と赤の体。炎を体現する翼に黄金色に輝く瞳。娘さんが使っていたのと同じモンスターだ。

 

「更に墓地の『グローアップ・バルブ』の効果を発動! デッキトップのカードを墓地へ送って特殊召喚!」

 

 

グローアップ・バルブ:ATK 100

 

 

「レベル1の『ドッペル・トークン』にレベル1の『グローアップ・バルブ』をチューニング! 2つの星々が輝く時、新たなる境地へ導く風を吹き起こす……」

 

 

☆1+☆1=☆2

 

 

「シンクロ召喚! シンクロチューナー! 『フォーミュラ・シンクロン』!」

『ヤッ!』

 

 

フォーミュラ・シンクロン:DEF 1500

 

 

 優の連続シンクロ。三番手はレーシングカーの胴体を持った機械戦士。F1カーの体からは腕と足が生え、運転席からは頭が生えている。

 

 

 

フォーミュラ・シンクロン(シンクロ・チューナー・効果モンスター)

星2

光属性/機械族

ATK 200/DEF 1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

また、相手のメインフェイズ時、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをシンクロ素材としてシンクロ召喚をする事ができる。

 

 

 

「『フォーミュラ・シンクロン』はシンクロ召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローできる、ドロー! 更に自分の場にレベル8以上のシンクロモンスターが存在する事により、手札の『クリエイト・リゾネーター』を特殊召喚!」

『ヘェッ!』

 

 

クリエイト・リゾネーター:ATK 800

 

 

 背中にプロペラを背負った悪魔が現れる。“リゾネーター”シリーズの中で唯一アニメ版から効果が変更されたモンスターだ。

 

 

 

クリエイト・リゾネーター(チューナー・効果モンスター)

星3

風属性/悪魔族

ATK 800/DEF 600

自分フィールド上にレベル8以上のシンクロモンスターが表側表示で存在する場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。

 

 

 

「魔法カード『ワン・フォー・ワン』を発動。手札の『シンクロン・エクスプローラー』を墓地へと送り、デッキからレベル1の『アンノウン・シンクロン』を特殊召喚!」

『ピピピピピピ』

 

 

アンノウン・シンクロン:ATK 0

 

 

 最後の場を埋めたのは、頭に2本のアンテナの生えた丸い浮遊機械。真ん中にある赤い目?が不思議感を醸し出す。

 この組み合わせ……、本気だな?

 

「行くぞ。レベル8シンクロモンスター『スターダスト・ドラゴン』に、レベル2シンクロチューナー『フォーミュラ・シンクロン』をチューニング!」

 

 白き龍とレーシングカーの戦士が虚空へと飛び上がる。『フォーミュラ・シンクロン』は2つのエメラルドグリーンに輝くリングへと姿を変え、そこを『スターダスト・ドラゴン』が目にも映らぬ速度で潜る。

 ……、Dホイールに乗ってなくても行けるんだ。

 

「星屑の竜よ。光を超えた速さを得て、更なる限界の境地へ達せよ!」

 

 

☆2+☆8=☆10

 

 

 バシュン! と星屑の龍の姿がかき消える。

 

「消えた!」

「来る……!」

 

 次の瞬間、更なる輝きを放った純白の龍が、優の後ろから舞い降りた。

 

「シンクロ召喚! 生来せよ、『シューティング・スター・ドラゴン』!!」

『キュワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 

シューティング・スター・ドラゴン:ATK 3300

 

 

 その姿は『スターダスト・ドラゴン』の真価。以前のようにボロボロの翼ではなく、整然としたブースターのついたような翼。大きさも2回り程大きくなっている。

 揺るぎ無き境地(クリア・マインド)の証しであるその姿は、速度の果てに存在するある種の真実だと言えるだろう。

 

 

 

シューティング・スター・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)

星10

風属性/ドラゴン族

ATK 3300/DEF 2500

シンクロモンスターのチューナー1体+「スターダスト・ドラゴン」

以下の効果をそれぞれ1ターンに1度ずつ使用できる。

●自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

このターンこのカードはその中のチューナーの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。

その後めくったカードをデッキに戻してシャッフルする。

●フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、その効果を無効にし破壊する事ができる。

●相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。

エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。

 

 

 

「まだまだだ! レベル8の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』に、レベル1の『アンノウン・シンクロン』とレベル3の『クリエイト・リゾネーター』を、ダブルチューニング!」

 

 背景に炎を背負い、燃える瞳で威風堂々と敵を見据える。

 赤と黒の魔龍た8つの、チューナー達はそれぞれ1つと3つの、紅蓮の炎のリングに包まれる。

 計4つの炎のリングがチューナーの姿の消失と同時に弾け飛び、その中を真っ赤に燃える悪魔の龍が潜り抜け、包み込む。

 

「魔龍と邪神。今こそ、その魂を一つに! 紅き灼熱の業火よりその姿を真に現せ!」

 

 

☆1+☆3+☆8=☆12

 

 

「シンクロ召喚! いでよ、紅星龍! 『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!!」

『グガォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 3500

 

 

 煉獄の炎が弾け飛び、中から姿を現したのは真紅を超えた真紅の龍。翼は2枚から4枚へと増え、大きさも流星の龍同様に2回り程大きくなっている。

 荒ぶる魂(バーニング・ソウル)の証明であるその姿は、速度ではなく力の果てにある更なる力の集大成であると言えるだろう。

 

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)

星12

闇属性/ドラゴン族

ATK 3500/DEF 3000

チューナー2体+「レッド・デーモンズ・ドラゴン」

このカードの攻撃力は自分の墓地に存在するチューナーの数×500ポイントアップする。

このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。

また、相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。

エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。

 

 

 

「『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』は、自分の墓地のチューナー1体につき攻撃力が500ポイントアップする。

 墓地には俺の『ジャンク・シンクロン』、『クイック・シンクロン』、『デブリ・ドラゴン』、『グローアップ・バルブ』、『トラップ・イーター』、『フォーミュラ・シンクロン』、『アンノウン・シンクロン』、『クリエイト・リゾネーター』。

 有里の『フレア・リゾネーター』。

 黎の『溶接スパーカー』、『マグマドラゴン』、『ハウリング・バット』の合計12体! よって攻撃力は……」

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 3500→9500

 

 

「ば、ばかな!? 攻撃力9500だと!?」

 

 恐らく『ジャンク・シンクロン』は『邪天使の施し』の時に捨てたんだろうな。

 にしても攻撃力9500とは、なかなか驚異的な数値だ。味方で良かったぜ。

 

「更に『シューティング・スター・ドラゴン』の効果発動! デッキからカードを5枚めくり、その中のチューナーの数だけ攻撃できる」

 

 ビッ! と優はジャスト5枚のカード一度にめくる。

 めくったカードは『THE トリッキー』、『極星獣グルファクシ』、『サルベージ・ウォリアー』、『トラップ・スタン』、『ジャンク・シンクロン』。

 

「チューナーの数は2枚! よって『シューティング・スター・ドラゴン』のこのターンの攻撃回数は2回だ!」

 

 今、優の場には最上級のモンスターが並んでいる。これなら、行ける!

 

「バトル! まずは『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』で『ギガント・ゾンビゴーレム』を攻撃! “バーニング・ソウル”!」

「罠発動! 『凶悪なるバリア-バッドフォース-』! 攻撃モンスターを破壊し、相手にその攻撃力の10倍のダメージを与える!」

「無駄だ! 『シューティング・スター・ドラゴン』のカード効果で無効にし、破壊する!」

 

 

 

凶悪なるバリア-バッドフォース-(オリジナル)

【通常罠】

相手の攻撃宣言時に発動可能。

攻撃を行う相手モンスターを破壊し、その攻撃力の10倍のダメージを相手に与える。

このカードの発動に対して罠カードを発動する事はできない。

 

 

 

 ゴウッ! と灼熱の炎が紅蓮の龍を包み込み、直線型になった龍が腐敗臭漂う巨人に突っ込む。胴体に穴を空けた後、その全身を業火で焼き払った。

 

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

エンヴィー:LP 19700→14300

 

 

 凄い、一気に5000以上もライフを削り取った!

 

「更に『シューティング・スター・ドラゴン』で攻撃! “スターダスト・ミラージュ”2連打ぁ!」

「ウガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 後続の流星の龍が彗星と見紛う速度で2体に分裂して突進。赤色の分身は死の龍の胴体を貫き、橙色の分身がエンヴィーを吹き飛ばした。

 

 

エンヴィー:LP 14300→10200

 

 

「ターンエンド! エンドフェイズ、俺は『飢餓枯渇国家』の効果でライフを500支払う。クッ……」

 

 

優:LP 1600→1100

 

 

 

優:LP 1100

手札:0枚

フィールド

:シューティング・スター・ドラゴン(ATK 3300)、スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(ATK 9000)

:魔法・罠無し

 

 

 

「僕のターン! 流石だね、優。たった1ターンでライフを1万近くも削り取った。あのライフ3万弱の状況から、漸く後3分の1にまで来られた。優のお陰だよ!」

「……、別に俺だけじゃない。有栖も、有里も、黎もここまで頑張って来たからこそだ」

「ふふ、ありがとう」

 

 クールな優だが、有栖の褒め言葉には照れている。娘の有里もそれを横からにこやかに眺めている。きっと、この一家は何があっても結束し続けられる強い家族だ。固い絆で結ばれているからこそ、惜しげもなく褒められるのだろう。

 少し、羨ましい、かな……。

 

「僕は『スクラップ・リサイクラー』を召喚! その効果で、デッキから『マシンナーズ・フォートレス』を墓地へ送るよ!」

 

 

 

スクラップ・リサイクラー(効果モンスター)

星3

地属性/機械族

ATK 900/DEF 1200

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキから機械族モンスター1体を選択して墓地へ送る事ができる。

1ターンに1度、自分の墓地に存在する機械族・地属性・レベル4モンスター2体をデッキに戻す事で、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

 

スクラップ・リサイクラー:ATK 900

 

 

「そして墓地のレベル4、地属性、機械族の『レッド・ガジェット』と『イエロー・ガジェット』をデッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドロー!」

 

 これで、デッキにガジェットが戻った。有栖のデッキはガジェット達を使って初めて機能する。そのため、デッキの9枚のガジェットが切れると恐ろしく脆い一面がある。その為の『スクラップ・リサイクラー』の投入なのだろう。

 

「場の『レッド・ガジェット』と『グリーン・ガジェット』を攻撃表示に変更し、『一族の結束』を2枚発動! 僕の場の機械族モンスターの攻撃力は1600ポイント上がる!」

 

 

レッド・ガジェット:DEF 1500→ATK 800→2400

グリーン・ガジェット:DEF 600→ATK 1400→3600

スクラップ・リサイクラー:ATK 900→2500

 

 

「まだ終わりじゃ無いよ! 手札の『マシンナーズ・フォートレス』と『スクラップ・リサイクラー』を墓地へ送り、今送った『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚! 更に『イエロー・ガジェット』と『レッド・ガジェット』を墓地へ送り、もう1体『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚! 一族の結束の効果で更にパワーアップ!」

 

 

マシンナーズ・フォートレス:ATK 2500→4100×2

 

 

 す、スッゲぇ……! 機械族にはサポートカードが豊富にあるけど、まさか1ターンで上級、最上級クラスを5体並べるとは……!

 

「全軍、一斉攻撃だぁ!」

 

 5体の機械族モンスターが攻撃を仕掛ける。合計攻撃力は16700、エンヴィーの残りライフを削りきるには十分な数値だ!

 

「おっと、そうはさせないよ。手札から『アタック・アブゾーバー』の効果発動! このカードを手札から墓地へ送る事で、このターンにダイレクトアタックで受けるダメージは全て消失する!」

 

 突如としてペラペラした人の影のようなモンスターが現れる。クソッ! 何故いつも後少しのトコで止められる!

 

 

 

アタック・アブゾーバー(効果モンスター)(オリジナル)

星2

闇属性/アンデッド族

ATK 100/DEF 1100

このカードの属性は「光」としても扱う。

相手プレイヤーの直接攻撃が宣言された時このカードを手札から捨てる事で、そのターン中発生するプレイヤーへの戦闘ダメージは全て無効化される。

墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、デッキから闇属性モンスターを1体手札に加える事ができる。

 

 

 

「ターンエンド。エンドフェイズに、僕はデッキからカードを2枚、墓地へ送る」

 

 

 

有栖:LP 2200

手札:0枚

フィールド

:レッド・ガジェット(ATK 2400)、グリーン・ガジェット(ATK 3600)、スクラップ・リサイクラー(ATK 2500)、マシンナーズ・フォートレス(ATK 4100)×2

:一族の結束(永続魔法)×2

 

 

 

 チラ、とデッキの残り枚数を見る。俺は良くて残り20枚か。優は15枚強、有栖と有里ちゃんは10枚前後。対してエンヴィーはデッキが減っている様子が無い。物理的に見えないだけかも知れないが、もし奴のデッキが無限の枚数ならば状況はかなりヤバい。デッキを削って行くのもそろそろ辛くなるし、かといって攻撃力やライフだってバンバン削れるものじゃ無い。

 そろそろ決着をつけないと、デッキかライフが切れて負ける!

 

「私のターン! 手札から魔法カード『壺の中の魔術書』を発動! 私とママはデッキからカードを3枚ドローできる! ドロー!」

「ドロー! ありがとう、手札が切れちゃって困っていたところなんだ」

「えへへ、どういたしまして、です。魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を復活させます!」

『ギャォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK 3000

 

 

「チューナーモンスター『グローアップ・バルブ』を召喚! 更にチューナーモンスター『クリエイト・リゾネーター』を特殊召喚します!」

 

 

グローアップ・バルブ:ATK 100

クリエイト・リゾネーター:ATK 800

 

 

 チューナーが2体に『レッド・デーモンズ』。この娘もやる気か!

 

「行きます! レベル8のシンクロモンスター『レッド・デーモンズ・ドラゴン』に、レベル3の『クリエイト・リゾネーター』とレベル1の『グローアップ・バルブ』の2体のチューナーモンスターを、ダブルチューニング!」

 

 今一度、灼熱の業火が周囲を包み込む。

 古代、ナスカの地の底に封印された紅蓮の悪魔、その2体目が、蘇る!

 

「魔龍と邪神。その姿を一つに! 業火の中からその姿を見せて!」

 

 

☆1+☆3+☆8=☆12

 

 

「シンクロ召喚! 燃え盛って! 『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!!」

『ギュオォォォオオオオオオオオオオン!』

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 3500

 

 

「く、2体目か!」

「更に墓地にチューナーが増えた事で2体の『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』の攻撃力は更に上がります!」

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(優):ATK 3500→10500

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(有里):ATK 9500→10500

 

 

「攻撃力10500だとぉ!?」

「行ける! エンヴィーのライフを上回った!」

「これで止めです! 『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』でダイレクトアタック! “バーニング・ソウル”!」

 

 ゴォウッ! と紅蓮の炎を纏った突進。これが通れば……!

 

「罠カードオープン! 『ブラック・ライフガード』! 戦闘ダメージを無効にし、ライフを攻撃モンスターの元々の攻撃力分だけ回復! 更にカードを1枚ドロー!」

 

 

 

ブラック・ライフガード(オリジナル)

【通常罠】

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動できる。

その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0となり、攻撃モンスターの元々の攻撃力だけ自分のライフを回復する。

その後、カードを1枚ドローする。

 

 

 

 クソ! 防がれた!

 

 

エンヴィー:LP 10200→13700

 

 

「ご、ごめんなさい……」

「謝る必要は無いよ、有里ちゃん」

「ああ、あの場で攻撃を仕掛けるのは間違いじゃ無い」

「一回二回、防がれたぐらいで凹まないの。元気出して!」

 

 ショボン、としょぼくれる有里ちゃんだったが、俺達の励ましを聞いて元気を取り戻したのか、しっかりと前を見つめ直した。

 

「はい! エンドフェイズ、私はライフを500支払います。くぅっ!」

 

 

有里:LP 2000→1500

 

 

 辛そうな顔をする有里ちゃん。やはり、彼女はまだ俺達よりも幼い。物理ダメージを緩和するプロテクターがあってもキツいか。

 早くケリをつけねぇと、有里ちゃんが衰弱して倒れちまうな、こりゃ。

 

「はぁ、はぁ……、ターン終了っ!」

 

 

 

有里:LP 1500

手札:0枚

フィールド

:スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン(ATK 10500)

:魔法・罠無し

 

 

 

 現状は俺達が圧倒的に有利。エンヴィーの場にはフィールド魔法以外のカードは存在せず、奴の手札はたった2枚。それに対してこっちには攻撃力1万オーバーが2体。更には破壊されれば相手の場のカードを巻き込むカードが3枚に、自身を除外して攻撃を無効にするモンスターが3体もいる。

 だが、この安心できない心の状況は何だ? まるで、火縄銃で最新式の爆撃機と対面したかのような、こちらの体勢の全てが無意味のような、この感覚は……?

 

「ボクの、ターン! アヒャ……」

 

 その証拠に、エンヴィーの顔には気味の悪い笑みが張り付いている。絶体絶命の状況では絶対に浮かべない。ここまでが奴の掌の上とでも言わんばかりだ!

 

「アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!」

 

 ゲタゲタ笑いも、普段なら不愉快でしか無い。だが、今はこちらの精神を掻き乱す不安材料だ。

 

「何が、おかしい……!」

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ! い~まのターンでボクを倒しきれなかったね!? ヒャヒャ! その事をあの世で後悔し、全世界の生物に謝罪するんだね!」

「……!」

「ボクの場にモンスターが存在しない時、手札の『DT(ダークチューナー) ナイトメア・コクーン』は手札から特殊召喚できる!」

 

 

DT ナイトメア・コクーン:ATK 1400

 

 

「出やがったな、DT……!」

 

 現れたのは真っ黒な球体。コクーンと言うからには繭なのだろうけれど、残念ながら、外見ではただの黒いボールにしか見えない。目玉ですら無いのだからその辺は許してほしい。

 

「更に墓地の『グラティス・リソース』をゲームから除外! これでボクは墓地の『パンデミックユニット』、『暗雲の接収』、『凶悪なるバリア-バッドフォース-』をデッキに戻し、カードを2枚ドローする!」

 

 もう4枚に手札が潤った上に、厄介なカードがデッキに戻りやがった……。クッソ、これでよくもまぁ俺は単騎でプライドを倒せたモンだよ。我ながら天晴だ。

 

「更に『DT ナイトメア・コクーン』の効果発動! 1ターンに1度、自分の手札を1枚墓地へと送り、自分の場にレベル1の『黒幼虫トークン』を特殊召喚できる!」

 

 

黒幼虫トークン:ATK 0

 

 

 

DT ナイトメア・コクーン(ダークチューナー・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)

星7

闇属性/昆虫族

ATK 1400/DEF 0

(1):自分フィールド上にモンスターが存在しない時、このカードは手札から表側攻撃表示で特殊召喚できる。

この方法で特殊召喚されたこのカードは戦闘では破壊されない。

(2):1ターンに1度、手札を1枚墓地に送って発動できる。

自分の場に「黒幼虫トークン」(昆虫族・闇・星1・攻/守 0)を1体特殊召喚する。

(3):このカードと「黒幼虫トークン」のみでシンクロ召喚されたモンスターの効果が発動した時、相手はカードの効果を発動できない。

 

 

 

「来るぞ、ダークシンクロ!」

「あの時の『ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン』や『氷結のフィッツジェラルド』みたいなモンスターが来るんだね!」

「レベル1の『黒幼虫トークン』に、レベル7の『DT ナイトメア・コクーン』をダークチューニング!」

 

 真っ黒な球体が7つの星にバラけ、それが同じく真っ黒な芋虫の中へと溶け込む。体を捩じって苦しみながら、芋虫の体は輪郭線だけとなり、1つの白い星が黒い星と混ざって弾け飛ぶ。途端に闇の柱が生まれ、その周りを6つの黒い星が旋回し始めた。

 

「闇と破滅交わりし時、嫉妬に(まみ)れた冥府の扉が開かれる! 光無き世界へ!」

 

 

☆1-☆7=☆-6

 

 

「ダークシンクロ! 絡みつけ、『地底のアラクネー』!」

『キョォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 

地底のアラクネー:ATK 2400

 

 

 闇の柱から気怠そうに出て来たのは巨大なクモの下半身、と言うよりもクモの胸の背中側から女性の上半身が生えたモンスター。額のアミュレットが怪しく光る。

 

「効果発動! 1ターンに1度、相手モンスター1体を装備できる! 『マシンナーズ・フォートレス』は頂くよぉ! 『ナイトメア・コクーン』の効果で『フォートレス』が対象にされた時の効果は発動できない!」

「あぁ!?」

 

 シュッ! と下のクモが口から糸を吐いて青い戦車を奪い取る。そのまま盾のように自分の前に持って行ってしまった。

 

 

 

地底のアラクネー(ダークシンクロ・効果モンスター)

星-6

地属性/昆虫族

ATK 2400/DEF 1200

チューナー以外のモンスター1体-ダークチューナー

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動する事ができない。

1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。

このカードが破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する。

 

 

 

「そして手札から魔法カード『武器交換再装填』を発動! 自分の場の表側表示の装備カード1枚をゲームから除外し、墓地または除外ゾーンのモンスター1体を特殊召喚! 蘇れ、『猛毒の孤独神』!」

 

 次元の彼方へと『フォートレス』が消える。そして再び腐臭を放つローブ男が現れた。

 

 

 

武器交換再装填(オリジナル)

【通常魔法】

自分の場に表側表示で存在する装備カード1枚を墓地へと送って発動する。

墓地または除外されているモンスター1体を自分の場に特殊召喚できる。

「武器交換再装填」は1ターンに1度しか発動できない。

 

 

 

猛毒の孤独神:ATK 2500

 

 

「『猛毒の孤独神』の効果でカードを1枚ドロー!」

 

 引いたカードはレベル4以下のモンスターでは無かったらしく、エンヴィーは舌打ちした。が、すぐにニヤリ、と笑った。

 

「そして墓地の『アタック・アブゾーバー』を除外し、デッキから闇属性モンスターを手札へ加える!」

 

 ダークシンクロの『ワンハンドレッド・アイ』と同じような効果だな。何を加えた……。

 

「更に手札から魔法カード『ダーク・リチューン・ドロー』を発動! 自分の場のダークシンクロモンスターを1体リリースし、デッキからカードを3枚ドロー! 更に自分の場に『DSトークン』を2体特殊召喚!」

 

 

 

ダーク・リチューン・ドロー(オリジナル)

【通常魔法】

自分の場のダークシンクロモンスターを1体リリースして発動する。

デッキからカードを3枚ドローする。

その後、自分の場に「DSトークン」(悪魔族・闇・星3・攻900/守800)を2体特殊召喚する。

 

 

 

DSトークン:DEF 800

DSトークン:DEF 800

 

 

 黒い塊が現れる。さっきまでいた『ナイトメア・コクーン』みたいに目も口も無い、真っ黒なボールだ。

 

「さて、質問だよぉ“騎士”の魂?」

「……、何だ?」

「君の隣の男の魂の型は?」

「“ハルバート”。斬、突、掻、打と破壊の用途に満ちる、扱える者の数少ない性能の高い武器。美術品としても価値がある、正しく騎士の武器だ」

「その横の赤毛の女は?」

「“ルビー”だ。宝石言葉は『情熱』や『純愛』、或いは『熱情』。語源はラテン語で“赤”を意味する“rubeus(ルベウス)”」

「チビガキは?」

「“ハナショウブ”になる。花言葉は“優しい心”や“あなたを信じます”。大きく分けて3種類になり、一般に知られている菖蒲湯のショウブとは異なるものだ」

「正解。さて、ボクのこれから出すモンスターは何でしょう?」

 

 脈絡無いな。ま、分かるけどな。

 

「お前自身だ」

「大正解! 正解者にはぁ、地獄への片道切符だぁ!」

 

 バシン! と『アタック・アブゾーバー』の効果でサーチしたカードがディスクに叩きつけられた。その瞬間、周囲から闇が集まる。濃密度の闇がエンヴィーを取り囲んだ。

 

「これは……!」

「来るか……!」

「……っ、優、有里……!」

「パパ、ママ……!」

 

「ボクは『猛毒の孤独神』と『DSトークン』2体をリリィースッ! 出でよ…………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七罪士(セブンクライム) エンヴィー』ィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 っ、やはり出て来たか!

 エンヴィーが闇色の光の中から現れる。その姿はプライドの時同様に禍々しい鎧を身に纏い、こちらを呑み込みかねない程の邪神のオーラを放っている。唯一異なる点と言えばプライドの武器は双剣だったのに対し、エンヴィーは身の丈の倍以上の長さの長槍だという事くらいか。

 

 

七罪士 エンヴィー:ATK 3900

 

 

「更に永続魔法『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』、『殺人レーザー検問装置』、『ウィルス爆弾』を発動!」

 

 エンヴィーが槍を一先ず砂地に刺し、腕のディスクにカードを新しく発動させる為に読み込ませる。途端にこちらの足元を蛇のような黒い霧が覆い、網の目状のレーザーが壁のように立ち塞がる。そしてその周囲には膨らんだ爆弾が無数に漂い始めた。

 

「アヒャヒャヒャヒャ! 君達に絶望をあげる為にこのカード達の効果を説明してあげるよ!

 『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』は君達が攻撃を行う場合、1体につきライフを2000ポイント支払わないと攻撃できないカード。

 『殺人レーザー検問装置』は、攻撃宣言を行ったモンスターを破壊し、破壊されれば相手に3000ダメージを与えるカード。

 『ウィルス爆弾』はスペルスピード3として扱い、ボクのカードに対するカード効果の発動を無効にしてゲームから除外するカードさ!」

「何!?」

 

 これじゃ攻撃も効果も封じられちまったじゃねぇか!

 

 

 

ネガティヴ・オブ・ネガティヴ(オリジナル)

【永続魔法】

相手プレイヤーは、ライフを2000ポイント支払わない限り攻撃宣言を行えない。

 

 

 

殺人レーザー検問装置(オリジナル)

【永続魔法】

攻撃を行った相手モンスターはダメージ計算終了時に破壊される。

このカードが相手によって破壊された時、相手プレイヤーは3000ポイントのダメージを受ける。

 

 

 

ウィルス爆弾(オリジナル)

【永続魔法】

このカードが表側表示で存在する限り、自分の場のカードを対象に含む、または自分の場のカードに対して相手が発動した魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にし除外できる。

このカードの効果はカウンター罠に対しても発動できる。

このカードに対してカウンター罠以外のカードを発動させる事はできない。

 

 

 

「くっ……!」

 

 伏せてあるカードは『攻撃の無力化』と『デストラクト・ポーション』。両方とも通常罠だ。しかも片方は相手を対象を取るカード、『ウィルス爆弾』で潰される!

 

「更にボク自身の最初の効果を発動!」

「最初の、効果だと……!」

 

 ……、最初って事はまだ効果があるって事だ。しかも恐らくだが3つ以上。2つなら最初なんて言い方はしないからだ。

 

「1ターンに1度、墓地のモンスターを1体ゲームから除外! そのモンスターの効果を次のボクのエンドフェイズまでボク自身の効果として使用できる!」

「! 2ターンの間、墓地のモンスター効果のコピー!?」

「しかも、次のターンはもう1つ効果を重ね掛けできるぞ!」

 

 『ファントム・オブ・カオス』か、こいつは!

 墓地から吐きだされたのは、散々俺達を苦しませた『バーサーク・デッド・ドラゴン』。

 っ! 全体攻撃持ち!

 

「『バーサーク・デッド・ドラゴン』を除外し、このターンのみボクは相手モンスター全てに攻撃できる!

 さぁ、覚悟はできたかい……?」

「っ!」

「く……!」

 

 莫大なエネルギーがエンヴィーの槍の穂先に集まる。槍が黒い炎に包まれ、倍以上の長さの炎の槍が生まれた。

 

「まずは『鉄壁のグレープヴァイン』を攻撃ぃ! “エンヴィーズ・デッドランス”!」

「ぐぁっ!」

 

 葡萄の戦士は盾で黒い炎を防ぐ。しかし熱で脆くなっていたのか、続いて突かれた槍によって貫通。心臓を一突きにされてしまう。

 クソ! 『ウィルス爆弾』の効果があるんじゃ、『グレープヴァイン』の破壊効果が使えない!

 

「次は『シューティング・スター・ドラゴン』を攻撃ぃ!」

「この瞬間、俺は『シューティング・スター・ドラゴン』の効果発動! このカード自身をゲームから除外し、その攻撃を無効にする! “ディメンション・ザ・ガード”!」

 

 振り回された黒い槍が当たるよりも速く、流星の白竜はその姿を光の中へと消す。よし、これなら破壊されない!

 

「アッマぁい! ボクの2つ目の効果を発動! 戦闘を行う相手モンスターの効果は無効になる! “デリート・エフェクト”!」

「何!?」

 

 エンヴィーの槍の炎の勢いが増大し、次元の彼方に消えた流星の白龍が炎で焼かれる。弱って異次元へと姿を隠す事ができなくなった白龍は、そのまま槍で真っ二つにされてしまった。

 

「ぐあぁああああっ!」

 

 

優:LP 1100→500

 

 

「更に『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』にも攻撃だぁ!」

「く、『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』にも同じ効果が備わっている! “ディメンション・ザ・ガード”!」

「無駄無駄無駄無駄ぁ! 攻撃力アップ能力と一緒に潰される! “デリート・エフェクト”!」

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 10500→3500

 

 

 紅に燃える炎の中に姿を消そうとする紅蓮の魔龍。しかしその炎を掻き消し、本来燃えない筈の炎を焼き尽くす黒炎が、そのまま魔龍を焼き払った。炎の化身とも言えるあのモンスターを焼き払うとは、凄まじい火力だ……!

 

「くっ、うぉああああああああああっ!」

 

 

優:LP 500→100

 

 

「優! しっかりして!」

「パパ! 大丈夫!?」

「他人の心配してるヒマは無いよぉ! 今度は『レッド・ガジェット』、『グリーン・ガジェット』、『スクラップ・リサイクラー』を攻撃ぃ!」

 

 合計ダメージは……、3200!? 有栖の残りライフじゃ耐えきれない!

 ここは、仕方がないか!

 

「俺は罠カードを発動する! 『デストラクト・ポーション』! その効果で『レッド・ガジェット』を破壊し、元々の攻撃力1300ポイント分のライフを回復! 『レッド・ガジェット』は有栖のモンスターの為、ライフが回復するのは有栖になる!」

 

 バギン! と赤色の歯車が砕け散り、そこから生まれた光が有栖の体を包み込む。

 回復量なら『グリーン・ガジェット』の方が僅かに多いが、『一族の結束』で強化されているとはいえフィールド魔法の効果で攻撃力が下がった『レッド・ガジェット』を攻撃される方が結果的にライフが減ってしまうんでね。

 

 

有栖:LP 2200→3500

 

 

「だったら残りのモンスターに攻撃!」

「うわぁああああああああああああぁぁっ!」

 

 

有栖:LP 3500→1800

 

 

 鉄色のカゴ型機械と緑色の歯車戦士が炎で焼き払われる。だが、まだ有栖の場にモンスターは残っている。逆転の機会は、まだある!

 

「そしてチビガキの『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』に攻撃!」

「きゃぁああああああああああああああああああっ!」

 

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 10500→3500

 

 

 斬! 紅蓮の魔龍が炎の中へと攻撃を回避するよりも速く、その姿は槍で真っ二つにされる。

 

 

有里:LP 1100→700

 

 

「まだまだぁ! バトルフェイズ終了時に3つ目の効果を発動!」

「ま、まだあるの!?」

「相手フィールド上に存在するモンスター1体を指定! そのモンスターを持ち主のデッキへ戻し、そのレベル×200ポイントのダメージを与える! 当然戻すのは『マシンナーズ・フォートレス』! “バッドバック・ペイン”!」

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

 

有栖:LP 1800→400

 

 

 たった一瞬で『フォートレス』が黒い光となって消え、その光が弾丸となって有栖を襲った。

 彼女が『フォートレス』の効果を使わないのは恐らく除外を防ぐ為か、それともあれは対象を取らない効果なのか。

 

「更にメインフェイズ2に4つ目の効果を発動!」

「ま、まだ来るのかよ……」

「メインフェイズ2の時点で相手のライフが1000ポイントを上回っている場合、相手に1000ポイントのダメージを与え、自分のライフを1000ポイント回復する! “サープラス・デザイア”!」

「ぷ、プライド以上にデタラメ過ぎる! ぐぁああああああああああああああっ!」

 

 ブォン! と槍が降られ、暴風が巻き起こる。隣に居た優が受けたのは余波程度だったのがせめてもの救いか。俺は背後のヤシの木を圧し折る威力で吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐぼぁっ!」

 

 クソ、口の中が鉄の味でいっぱいだ。この感覚は内臓をやっちまったか……!

 

 

黎:LP 1200→200

エンヴィー:LP 13700→14700

 

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド! このエンドフェイズ、デッキからカードを2枚墓地へ送る」

「だが、『バーサーク・デッド・ドラゴン』の効果をコピーしているため、攻撃力は下がるぞ……!」

「ご生憎様だね! ボクの5つ目の効果で、僕の攻撃力は元々の攻撃力より低い数値にはならないのさ!」

「くっ!」

 

 

 

 

エンヴィー:LP 14700

手札:0枚

フィールド

:七罪士 エンヴィー(ATK 3900)

:伏せカード2枚、ネガティヴ・オブ・ネガティヴ(永続魔法)、殺人レーザー検問装置(永続魔法)、ウィルス爆弾(永続魔法)、飢餓枯渇国家(フィールド魔法)

 

 

 

 

「「ぜぇ……、ぜぇ……、ぜぇ……っ!」」

「「はぁ……、はぁ……、はぁ……っ!」」

 

 く、なんてヤツだ。たった1ターンでこっちのモンスターが全滅させられるとは……! おまけに再び強力なロックをかけてきやがった! 攻撃も魔法も罠も通じない以上、こちらにできるのは防戦のみ。だが、次のターンにエンヴィーが貫通効果を持つモンスターの効果をコピーして攻撃を仕掛ければ、3ケタである全員のライフは確実に尽きる。おまけに5つ目の効果の影響で、『収縮』の系統は効果がねぇ。

 

 今ライフが1番少ないのが優の100、次に俺が200、有栖が400で、有里ちゃんが700と最も多い。

 だが、この程度では雀の涙。

 或いは、焼け石に水。

 効果はこれでもかと言う程に薄い。というか、無い。

 

 なんという事だ。主人公格どころかイレギュラー格4人で相手しているのに、ここまで追い詰められるなんて……!

 有栖以外に手札は無い。優が有栖に視線を送るが、首を横に振る。逆転の一手は彼女の手札には無い、か。クソッ!

 

 

 ゴメンな、都。義兄(にい)ちゃん、お前を救えないかも知れない……。

 済まない、フィオ。俺、生きて帰れないみてぇだ。

 

 ………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『例え、今が真っ暗でも、もしかしたら一歩進むだけで光が見えるかも知れない』

 

 !

 

『一歩先が崖でも、動かなければ、現状は変わらない。もしかしたら崖の下に道があるかも知れない』

 

 このセリフは……!

 

『やらずに後悔するよりも、やって後悔した方が良い。なんて言いはしないさ。でもな』

 

 あの時の……!

 

『やらなかったら、後悔はもっと積もる。だったら、例え後悔するなら新しい後悔に身を悩ませる』

 

 そうだ、やらなかったら……。

 

『それがこの俺、遊馬崎黎の生き方だよ、都。全てが終わるまで、俺は諦めない』

 

 何も、始まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ、終わってない…………!」

「へぇ、まだ立ち上がるんだ……。希望なんて微塵も残ってないのに、人間ってこれだからバカなんだよねぇ! アヒャヒャヒャヒャッ!」

「何とでも、言うが良い!」

 

 ギチ、と筋肉が軋む。ミシ、と骨が悲鳴をあげる。それでも俺は、エンヴィーを睨みつける。

 その瞬間、有栖と有里ちゃんのエクストラデッキから強い光が放たれた。

 

 

to be continued

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。