遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
STORY38:結束の切り札 ★
黎:LP 200
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード1枚(『攻撃の無力化』)
優:LP 100
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:魔法・罠無し
有栖:LP 400
手札:3枚
フィールド
:モンスター無し
:一族の結束×2(永続魔法)
有里:LP 700
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:魔法・罠無し
エンヴィー:LP 14700
手札:0枚
フィールド
:七罪士 エンヴィー(ATK 3900)
:伏せカード2枚、ネガティヴ・オブ・ネガティヴ(永続魔法)、殺人レーザー検問装置(永続魔法)、ウィルス爆弾(永続魔法)、飢餓枯渇国家(フィールド魔法)
SIDE:有栖
こっちの手は、全て封殺されてしまった。
唯一場に残っていたボクの『マシンナーズ・フォートレス』はデッキへと戻された。
手札のカード『大嵐』で場のカードを一掃したいところだけれど、相手の『ウィルス爆弾』の効果で破壊しようとした瞬間にゲームから除外されてしまう。
万事休すって、こういう状況を言うのかな……。
横目でチラリ、と愛しい人と頼もしい仲間を見る。汗を流して苦しそうな表情をしている。
次に反対側にいる大切な娘を見る。こっちは沈んだ顔で絶望している。
つまりそれは、ボクも皆も打開策が無いという事。
つまりそれは、この闇のゲームに僕ら全員が負けて、死んでしまうという事。
死ぬ。
そう考えた瞬間、ボクの胸は張り裂けそうになった。
嫌だ。
ボクはもっと優と一緒にいたい! 君と幸せな家庭を築きたい! 彼を死なせたくない! 娘だってできる事が分かっているのに、そんな輝く未来をここで壊されたくない! ボクはあいつに勝ちたいんだ!
狂おしい程愛しくて堪らない彼との思い出が、走馬灯が頭の中を駆け巡る。
優、君は最初はボクの事を警戒していたよね。君の事を利用する為に近づいたんじゃないかって。
君は違う世界から来たって事を隠していたよね。
ボクを守る為に、闇のゲームでボロボロになった事もあったよね。あの時は2週間も眠り続けて、ボクは本当に心配でどうにかなりそうだった。
君の代わりに黒蠍盗掘団とデュエルをして倒れた時、君はボクの事を看病してくれたよね。とても嬉しかったよ。
影丸理事長に啖呵を切った時に言ってくれたよね、ボクが大切な人だって。あの時、ボクの心はとっても温かかったんだ。
そして君は、セブンスターズとの戦いが終わったら、ボクに告白してくれたよね。あの時はとっても嬉しくて死んじゃいそうだったんだよ?
セブンスターズとの戦いが終わった後だったよね、有里が来たのは。君と結婚できるんだって分かったら、ボクは目に映る全てが輝かしい未来へのレールに見えたんだよ。
思い返してみると、君との思い出はとってもキラキラと輝いているよ。いつまでもボクの宝物で、大切な過去だから。
一万二千年前から愛していたんだ、なんてバカバカしい事は言わない。
ボクはただ、君と有里を守りたい。この世界の全ての悪意から、君を憎む全ての敵から。
君が傷つく姿を、もう見たくないから。
幸せな未来を、壊されたくない!
ボクは、負けたくない!
そう思った瞬間、存在しないハズのエクストラデッキから強い光が放たれた。
SIDE:有里
現状は、ピンチと言う以外に無いと思う。
ママ以外、手札にカードは無いし、伏せカードだって黎お兄さんの分しか無い。そしてそれがさっきの攻撃で使われなかったって事は、戦闘で効果を発揮しないか『ウィルス爆弾』で無効化されて除外されてしまうかのどちらかという事。
パパもママも黎お兄さんも、苦しそうな表情を浮かべている。
私の最強モンスター『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』はやられてしまったし、ライフポイントだって皆あまり残っていない。デッキ枚数だって、もう半分を切っていると思う。
勝てない。つまりは、負ける。
闇のゲームを体験するのはこれが初めて。でも、パパとママから話は聞いた。負けると死ぬって。
死。
それを自覚した瞬間、私の胸は張り裂けそうになった。
嫌だ。
私は、死にたくない!
パパにも、ママにも、黎お兄さんにも死んでほしくない!
もっとパパとママと一緒にいたい! 色んな事を教えてほしい! もっともっとデュエルだってしたい! ケンカもした事はあったけど、それでも仲直りできた! 友達ともまた会いたい! もっと家族で遊びたい!
物心ついた時からパパとママの事は大好きだった。だって、綺麗なママと格好良いパパだから。
ママの事をパパは大好きで、ママはパパの事を大好きで。私はそんな二人がとっても大好きで、二人も私の事が大好きで。
怒られた事もあったけど、優しくしてくれた事もあった。
今日初めて会った黎お兄さんは、とっても悲しい過去があって、でも私達と仲良くなった。普通は私達を憎んでも可笑しくないのに。
そして、黎お兄さんは口から血を吐いている。パパもママも、これまで受けたダメージで辛そうにしている。私も辛い。
でも、辛くても苦しくても、皆、諦めない。過去も未来も、皆大切なものだから。
私にある過去は少ない。でも、全部キラキラと輝いて色褪せていない。どれもこれも、私の大切な宝物。
パパの事は大好き。ママも大好き。黎お兄さんは尊敬できる。でも、どれだけ頑張ってもやっぱり人間。死ぬ時は死んでしまう。
ママは大きな愛でパパを包み込んだ。パパは広い胸でママを受け止めた。そしてそこに今は私もいて、初めて天空(あまぞら)という家族ができている。
この家族を、壊させはしない! 絶対に一緒に帰るんだ! パパとママは、私が守る!
あんな自分勝手なオジサンごときに砕かれてたまるか!
勝ちたい! 勝って幸せにもう1度戻る!
私は、負けたくない!
そう願った時、エクストラデッキから強い光が差し込んだ。
SIDE:優
眩い光を放つ有栖と有里のエクストラデッキ。有里は兎も角として、有栖にはエクストラデッキは無かった筈だ。一体、何が起こっているというんだ……?
「これは……!」
「マジかよぉ……! こんなトコで奇跡とか、ご都合主義にも程があるだろ! インチキ能力も大概にしとけよ!」
俺は目を丸くして驚く。一方でエンヴィーは憤怒の形相で叫ぶ。
エンヴィー、デタラメなカードばかり使うお前に言われたくはないぞ。
『主よ』
(『シューティング・ブレイザー』?)
後ろから俺の精霊、『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』が話しかけて来る。
『この光は、私の覚醒の時と同じものです。あの二人に、新たな力が目覚めたのです』
(新しい、力……)
『行けます。この状況を打破できる力が目覚めます!』
不思議と、心の中に勇気が湧いて来た。
初めて有栖と会った時、あいつは手紙で灯台へと呼び出して来た。その時は俺の名前の後ろの敬称に“君様殿”なんてトンチンカンな物をつけていた。あれはきっと彼女なりの精一杯だったのだろう。
それから、彼女とは沢山の思い出ができた。笑って、泣いて、戦って……。彼女の愛を沢山受け、俺はいつの間にか彼女の事が好きになっていた。いつも彼女は俺の隣で笑っていて、俺に惜しげ無く愛情を注いでくれた。
告白した時、彼女と両想いになれた事はとても嬉しかった。やっと気持ちが1つになれたと思った。
キスをした事も嬉しい思い出だ。あいつの思いが、直接伝わって来る。
自分には無感動な面があるが、有栖と一緒にいると心の中に沢山の色が生まれる。俺という画板に彼女という絵の具で風景が描かれていくかのように。
有里がやって来た時、俺は驚きを隠せなかった。あいつと俺の子供だと分かった時、素っ気ない態度をとってしまったが、内心は嬉しさのあまりに跳ね回っていた。
ああ、そうか。ゴチャゴチャ考える必要は無いんだ。
ただ“家族”を守りたい。たったそれだけ。
なら、俺の持てる力を全て使うまで。皆で帰ろう。そして黎に悲しい思いをさせないように、全力でエンヴィーを倒そう。
(『シューティグ・ブレイザー・ドラゴン』、戦えるか?)
『無論です』
(なら、力を貸してくれ。奴を全身全霊でぶっ潰すぞ!)
『御意!』
エクストラデッキに、あの優しくも力強い光が差し込んだ。
SIDE:黎
天空一家のエクストラデッキが光り輝いている。力が、覚醒している。
『主殿』
(桜?)
『戦おう。彼らの未来を、我らの明日を守るために!』
(おう!)
「ったく、お前ら好い加減に諦めろよな? どうせ虫ケラの命、邪神様に食われるのが幸せってモノさ!」
「俺達が虫ケラの命なら、テメェの命は無以下だ。存在しない無の命、そんな奴が有の命に刃向うなんざ可笑し過ぎてヘソが茶沸かすってんだ」
「グッギギギギギギ……!」
呆れたように言うエンヴィー。俺はそれに冷たく返す。
「ええい、往生際が悪いね! 知っているぞ! “騎士”、お前は転生する前は人間に蔑まれていた化物だったんだろ! それがどうして今、そこにいる純正の人間に好かれているんだい!?」
「……、何が言いたい」
「ハッ、どうせ同情を誘うような事を言ったり見せたりしたんだろ? 例えばその服の下」
ビ、と俺を指差す。
「ヒャハ、知っているぞ。その服の下には無数の傷跡があるんだろう? そりゃ、あんな正常な皮膚が欠片も残っていなさそうな状態じゃ心配しない方がおかしいよな、アッヒャヒャヒャヒャヒャ!」
「「「!!?」」」
………………、奴の言いたい事は大凡理解した。
随分と……。
「随分とお粗末な作戦だな。いや、急場凌ぎか?」
「何?」
「おおかた、有栖と有里ちゃんに状況を打開する力が覚醒した事に危機を覚えて、絆を揺さぶりにかかったんだろう? 生憎、そんな小手先三寸の手法が通じるとでも思ったか、忸怩たる思いでも抱えていろ」
シン、と静まりかえる。波の音ですら聞こえない。
俺は黙って、普段から長袖で隠している腕の内、右側の袖を肘までめくった。
あ! と3人が声を揃える。
「傷だらけだ……」
有里ちゃんの声には、何の感情が籠っているのか。
エンヴィーの言う事は誇張だが、実際俺の全身の中で、無事である皮膚なんて半分も無い。顔立ちや体格、年齢は多少の変化があったが、それでも転生前と比べて俺の体に大凡差異は無い。
そんな身体の中では手や顔くらいだ、まともなのは。それでも手はグローブで覆わないといけないし、顔だって半分を髪で隠す必要がある。
罵ってくれても構わない。もう、そんなので傷つく俺じゃ無い。慣れてしまったよ。
この傷を見れば、大体の人は怖がる。当たり前だ、ヤクザだってこんな派手な怪我をしてる人は稀だろう。
「アヒャヒャ、何その傷跡! 醜いなぁ! そんな傷じゃあ真面な友達も仲間もいなかったんでしょ? あーあー、そこにいる3人もどーせ騙すか同情を誘って共同戦線組んだんでしょ? 悪人だ「ふざけんなぁっ!!!」ね……?」
エンヴィーの悪口を聞き流していた俺。多少は堪える程度だったが、そろそろ言い返そうと思った時、優が大声をあげた。……冷静を地で行くこいつが、怒鳴った……?
「さっきから聞いていれば醜いだの騙しただの、胸糞悪いんだよテメェ! 俺達は俺達の意思でこいつの味方をしている、黎は騙してなんかいねぇ! それに傷跡が何だ! この傷はこいつが今まで命がけで戦って来た事の証だろうが! 他人を貶めて蔑むだけが能のテメェに貶される筋合いはねぇんだよ!」
「優の言う通りだよ! あんたなんかに黎を貶す資格なんて無い! 人の頑張りや過去を嘲笑う奴に、誠実な心に唾吐く奴に、人の事を馬鹿にする権利なんて無い!」
「パパとママに同意だね! おじさん、こっちが羨ましいのかな? 悪いけど、おじさんみたいな性格悪い人を仲間にできる程、私達は心広く無いんだよ!」
お前ら……。
「良いのか、奴の言っている事が正しくて、俺はお前らを騙しているのかも知れないぜ?」
「知るか。俺達はお前の仲間だ。第一、少なくともあいつは俺達を殺そうとしたのに対し、お前は俺達を守ってくれた。それで充分だ」
「そうそう。小難しい理屈なんて要らないよ。ボクと優、そして有里は君に味方するって決めたんだから。悲しさも苦しさも一緒に背負ってあげるから、ね?」
「うん、独りで苦しむ必要なんて無いんだよ、黎お兄さん。仲間ってそういうものでしょ? 仲間だって思ったらそれで仲間なんだよ!」
ったく、お人好しどもが……。
だが、力がどこからか湧いて来た。誰かを守る力が、誰かと戦うになっている……? 新しい気力が、満ち溢れている! 新しい幸せの欠片が、胸に溢れて来る!
これなら、戦える。これなら負けない!
「行くぞ、エンヴィー!」
「く! 往生際が悪いね!」
「言い換えれば最後まで諦めないって事だからな!」
「ええい、どうせ邪神様には敵わないんだ! さっさと降参しろよ、この生まれて来るべきじゃ無かった化物が!」
「もうそんな言葉で動揺する程、俺は脆くない! 俺のターン!」
化物の役割、それは正義の味方が出て来るまで場を引っ掻き回し、偽りの正義を打ち砕く事だ。そして最終的に正義の味方に倒される。ヒーローだなんて『ブラッド・マジシャン』には言ったが、そんな大層なモンじゃねぇ、ただの偽善者さ。
いいだろう、その役割を全うしてやろう! 真の平和が来るまで、偽の平和を木端微塵に砕いてやる!
「ドロー!」
まずは手札補充だ!
真のデュエリストは、次に引くカードを思うがままに創造する!
「俺は手札から魔法カード『火炎の魅力』を発動! デッキからカードを3枚ドローし、手札の炎属性モンスターを1体墓地へ送る! ただし送らなかった場合、手札は全てゲームから除外される!」
「バカな! 炎属性専門のデッキじゃあるまいし、そんな事できるものか!」
「やれるさ……、やってやる!」
さあ、行くぞ、俺のデッキ!
「1枚目! チューナーモンスター『クイック・シンクロン』! 風属性だ!」
最初は特殊なガンマンスタイルのチューナー。
「2枚目! 通常魔法『調律師の施し』! 魔法カード!」
次は光へと消えていく『ジャンク・シンクロン』と『ダーク・リゾネーター』のイラストのカード。
「3枚目! 『F・S ボム・ボム・レゲエ』! こいつは炎属性! よってこのカードを墓地へ送る!」
最後は爆弾ファッションの少年。
次は更なる手札補充!
「魔法カード『調律師の施し』を発動! 手札のチューナーを1体デッキへと戻し、カードを3枚ドロー! ただし、引いたカードの中にチューナーが存在しない場合、手札2枚をデッキへと戻さなくてはいけない! ドロー!」
「く、今度こそ失敗しろ!」
「俺の呼び掛けに、応えてくれ!」
調律師の施し(オリジナル)
【通常魔法】
手札に存在するチューナー1体をデッキに戻してシャッフルし、カードを3枚ドローする。
この時ドローしたカードの中にチューナーが存在しない場合、手札2枚をデッキに戻してシャッフルする。
3枚のカードを引き抜き、確認。中にあったチューナーは、俺の相棒とも言えるあいつだ。
「チューナーの存在を確認! 更に今引いたチューナーモンスター『L・S レストア・チェリー』を召喚!」
『ただいま推参!』
「お前の、精霊か……」
L・S レストア・チェリー:ATK 1800
シュタッ! と現れたのは凛々しい表情の桜色のポニーテールの女性。ドレスと鎧を組み合わせたかのような服を着て、右手に鋭利な剣を、左手には軽くて頑丈な盾を装備している。
「ば、かなぁ……っ!」
ギリ、と歯軋りをしたエンヴィーはいきなり怒鳴る。
「テメェ! どんなイカサマしやがった! こんな都合良くカードが巡って来るワケがあるかぁ! テメェはデュエリスト失格だ、この卑怯者がぁ!」
「イカサマなんざしてねぇよ。ただ、デッキが、カード達が俺に、俺達に力を貸してくれているだけだ」
極めてクールに俺は受け流す。
お前みたいなヤツには分からないだろうよ、カードを信じて未来へと歩み続けるこの人間特有の心は。第一、お前に卑怯だなんだと言われたくはないし、俺が失格ならお前は最初から資格すら無かったと言ってやるよ。
さぁて、と。
「桜、治療を頼む!」
『任せてくれ!』
「桜の効果発動! 場に現れた時、俺のライフを700ポイント回復する!」
「『“キュア・ブロッサム”!』」
桜が呪文を唱えると剣が緑色に発光し、その光が俺を包んだ。
L・S レストア・チェリー(チューナー・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星4
風属性/戦士族
ATK 1800/DEF 1600
(1):このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、プレイヤーのライフを700ポイント回復する。
(2):1ターンに1度、手札を1枚墓地に送る事で、プレイヤーのライフを500ポイント回復する。
墓地に送られたカードが「L・S」モンスターの場合、ターン終了時にそのカードを手札に戻す。
(3):このカードは同じ攻撃力のモンスターとのバトルでは破壊されない。
黎:LP 200→900
「自分と相手の場の魔法・罠カードを1枚ずつ墓地へ送り、『L・S ファーティライズ・スネイル』は手札から特殊召喚できる! 俺はセットしてある『攻撃の無力化』とお前の場の『ウィルス爆弾』を墓地へ!」
「バカめ! 『ウィルス爆弾』の効果でそのモンスターを除外してやる!」
ジジジジ、と空中にプカプカ浮いていた黒い小型爆弾の導火線に火がつく。が、一瞬で巨大なカタツムリに丸呑みにされてしまった。
ボムン! と腹の中で爆発したようだが、カタツムリは全く堪えてないようだ。
『ム~』
L・S ファーティライズ・スネイル:ATK 900
「ば、バカな! 何故『ウィルス爆弾』が効かないんだ!」
「悪いが、今の墓地へと送る行動はコストだ。コストはチェーンブロックを作らない為、『ウィルス爆弾』でも防げない!」
L・S ファーティライズ・スネイル(効果モンスター)(オリジナル)
星4
水属性/水族
ATK 900/DEF 1700
このカードは通常召喚できない。
自分と相手の場に存在する魔法・罠カードを1枚ずつ墓地へ送った時、手札から特殊召喚できる。
この時墓地に送る相手のカードは表側表示でなければならない。
大きな殻を背負ったカタツムリがノソッ、と相手を見る。感情は読み取れないが、何となく怒っているようにも感じる。
「俺はレベル4の桜と『ファーティライズ・スネイル』をオーバーレイ!」
『行くぞ!』
俺の掛け声に応じて桜はピンク、『ファーティライズ・スネイル』は
「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」
そして2つの光の帯は、地面にできた銀河系のような渦へと一気に飛び込んだ。
☆4+☆4=★4
「エクシーズ召喚! 今こそ出でよ、南風に吹かれし堅固なる使者、『L・S ココナッツ・ハンマー』!」
『ぬぇぇえええええええええええええええええいやっ!』
L・S ココナッツ・ハンマー:ATK 2000
ドシィン! とアロハシャツに頭にヤシの木を生やした大男が飛び出す。手にした大きな木槌はきっとヤシの木が原材料なのだろう。
キュインキュイン、と周囲を2つの光の玉が旋回が旋回する。俺はその光の玉に向けて話しかける。
「桜、気分はどうだ?」
『悪くないな。というより、平素と何ら変わりは無い』
「そっか」
そりゃ何よりだ。
と、エンヴィーがこっちの状況に苛立ったのか、怒鳴り声をあげた。
「ええい、そんなモンスターが何だっていうんだ! お前は攻撃をするだけのライフも残って無いんだぞ! どの道八方塞がりだ!」
「なら、道を抉じ開けるまで! 俺の役割は3人が通れるようにお前の防壁を可能な限りぶち壊す事だ!」
行くぞ!
「『ココナッツ・ハンマー』の効果を発動! 1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、自分か相手の場のカードを全て裏側表示にする! 対象は当然お前の場のカード! “リバーシング・プレッサー”!」
『ぬぇい!』
「ぐぇっ!」
L・S ココナッツ・ハンマー:ORU 2→1
パシュン! と木槌に光の玉が1つ吸い込まれ、大男が木槌を地面に向けて振り下ろす。その衝撃に合わせて上から巨大なヤシの実が降って来て表側表示のカードに圧し掛かる。カード達はその重量に耐え切れずに裏側表示になってしまった。
途端、レーザー光線も蛇のような霧も消失し、周囲の状況も貧困に苦しむ国の街頭から美しい浜辺へと様子を変えた。
L・S ココナッツ・ハンマー(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)
ランク4
地属性/植物族
ATK 2000/DEF 2300
「L・S」と名のついたレベル4モンスター×2体
1ターン に1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、自分か相手の場の、このカード以外の表側表示のカードを全て裏側表示にする(モンスターの表示形式はそのままで裏側表示にする)。
この効果で裏側表示になったカードは、次のコントローラーのエンドフェイズまで表側表示にできない。
まだまだ。『ココナッツ・ハンマー』では『エンヴィー』は倒せない。表示形式は変更していない為、殆ど見られない裏側攻撃表示だからだ。
攻撃力は3900、こっちは2000と、倍近い差がある。
だから俺は残った最後の1枚の手札をオープンした。
「そして手札から魔法カード『物語の始まり』を発動! このカードは、手札の発動時の枚数に応じて効果が変動する!」
物語の始まり(オリジナル)
【通常魔法】
このカードの効果はこのカード以外の手札の枚数によって、以下のように変わる。
●0枚:自分の場に存在するカード1枚をデッキの1番下に戻し、カードを5枚ドローする。
●1枚以上3枚以下:自分の墓地のカードを任意の枚数デッキに戻し、戻した枚数1枚につきライフを100ポイント回復する。
●4枚以上:デッキからカードを1枚選択して手札に加える。
さあ、もう1度始め直そう。このクソッタレなシナリオに書き換えられた世界を、正しい方向へ導く為に!
「俺の今の手札は0枚! よって自分の場の『ココナッツ・ハンマー』をデッキへ戻し、カードを5枚ドロー!」
「く、なんだってそんなドローソースがバシバシ当たるんだよ!?」
パキン! と大男が光となって消え、周囲を旋回していた星も消失する。
済まない、桜。この場はこうするしか無いんだ。
「ドロー!」
これなら、行ける!
「魔法カード『早すぎた埋葬』と『死者蘇生』を発動! 甦れ、『L・S レストア・チェリー』、『L・S ジャベリン・ビー』! くっ……!」
『再び推参! “キュア・ブロッサム”!』
「効果で俺のライフを700回復!」
L・S レストア・チェリー:ATK 1800
L・S ジャベリン・ビー:ATK 600
黎:LP 900→100→800
ぐ、ライフコストが体に負担をかける感覚が分かる……。体の疲労が、ダメージがそろそろ蓄積し始めた頃だ。
……知った事か。俺は自分の命に何の価値も見出した憶えは無い。皆無だ。自分の命なんて、何と比べようとも些事だと思っていた。
でも誰かを、俺以外の誰かを守れるのなら、この命を粗末にはしない。それだけの価値があるのなら、その資格があるのならば、俺は戦い続ける! その意義を完遂するまで生き長らえてやるよ! 文句があるなら、今すぐ殺しに来やがれ、世界!
「レベル4の『ジャベリン・ビー』に、レベル4の『レストア・チェリー』をチューニング!」
剣を天高く掲げた桜は4つの桜色の星へと姿を変える。その星は緑の幾何学模様の輪となって一列に並ぶ。
輪の中心を擬人化した槍使いのハチが潜る。輪郭線を残して槍使いは姿を4つの白い星へと姿を変え、やがてその輪郭線も消える。残った4つの星は規則正しく一列に並んだ。
「深緑の恵みが青嵐を駆け抜け、青空へと飛翔し大いなる翼となる! 希望が溢れる明日となれ!」
☆4+☆4=☆8
「シンクロ召喚! 舞いて飛び立て、『L・S ドラゴ・チェリー』!」
『ハァアアアアアアアアアアアアアアァッ!』
『グォオオオオオオオオオオオオオオォッ!』
L・S ドラゴ・チェリー:ATK 2500
バサッ! と翼を広げて緑の龍が飛び立つ。背中には騎士の甲冑に身を包んだ桜が座っており、身の丈程もある剣と盾を構えている。
「桜、治療を頼む! お前の大技で一気に決めるぞ! 『ドラゴ・チェリー』の特殊召喚に成功した為、俺のライフを1000ポイント回復する!」
『任せてくれ、ライフコスト分の数値は補う! 緑の恵みよ、風となりて彼の者に祝福を与えよ!』
「『“フォレスティ・リザレクト”!』」
黎:LP 800→1800
「チィッ! また回復されたか!」
剣と龍の額の角が共鳴するように光輝く。その薄紅色の光は俺を包み、体に蓄積していたダメージと削られたライフを回復してくれた。
まだまだだ!
「マジック装備カード『ブレード・ウィング』を桜に装備!」
龍の翼が銀色の金属に覆われ、骨格の上皮部分に鋭い刃が装着された。
攻撃力は変化しないが、後々の、優達の行動のために必要だろう。
「更に桜のモンスター効果、発動! 1ターンに1度、自分のライフを1500ポイント支払って発動する! う、くぅ……!」
黎:LP 1800→300
ズシッ、と体全体に大きく負担がかかる。プロテクターに力を注いで維持を続けているから、自分の体の方はほったらかしだ。
『主殿っ!』
「大丈夫、だ……! そして、自分と相手のライフの合計数値分だけ、攻撃力をアップさせる!」
「なんだとぉ!?」
L・S ドラゴ・チェリー(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星8
風属性/ドラゴン族
ATK 2500/DEF 2100
「L・S レストア・チェリー」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードの効果は無効化されない。
(1):このカードの特殊召喚に成功した時、LPを1000回復する。
(2):1ターンに1度、LPを1500支払って発動する。
このターンのバトルフェイズ終了時まで、自分と相手のライフポイントの合計値分だけ攻撃力がアップする。
この効果は相手の場にモンスターが存在しない場合は発動できない。
(3):このカードが効果で破壊された時、LPを1000回復する。
(4):自分のLPが回復した場合、(2)の効果は相手ターンでも発動でき、LPを1500回復して発動する効果になる。
「これが、黎お兄さんの精霊の力……!」
「ライフコストはデカいが、その分強力だな」
「俺の残りライフは300、お前は14700、よって攻撃力は15000ポイントアップだ!」
L・S ドラゴ・チェリー:ATK 2500→17500
「こ、攻撃力17500だとぉ!? テメェ、インチキ効果も大概にしやがれ!」
「ライフをデタラメな数値にまで回復させたテメェの自業自得だと知るが良い!」
『貴様の力、そのまま跳ね返してくれる!』
「『“フレグランス・チャージャー”!』」
俺のダークグリーンのオーラとエンヴィーの鈍色のオーラが龍と騎士に伸び、全身を覆う。
おお、パワボンリミ解の『サイバー・エンド』を超えた。
まあハッキリ言ってエンヴィーの自業自得だな、こんな攻撃力を相手にするのは。あいつがデタラメな程にライフを回復させたからこうなったんだ、誰の所為でも無い。
「バトル! 『ドラゴ・チェリー』で裏側攻撃表示の『七罪士 エンヴィー』を攻撃!」
『喰らうが好い! 我が必殺の一太刀!』
「『“
上空から急降下する龍、その勢いを利用して桜は大剣を振ってエンヴィーに斬りかかった。
「行けぇ!」
「届くか!?」
「く、僕の6つ目の能力を発動! 僕の6番目の効果は、自分の場の僕以外のカードを墓地へ送る事で僕の戦闘破壊を無効にし、発生するダメージをゼロにするのさ!」
エンヴィーは槍の柄で攻撃をギリギリのタイミングで受け止める。が、力の差は歴然としており、そのまま槍は胴体ごと真っ二つに切断された。
次の瞬間エンヴィーは切断された槍の穂先を伏せ状態になった『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』のカードを向ける。リバースカードはその拍子に塵となって消え、エンヴィーの体と槍を構築し直した。
七罪士 エンヴィー(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星10
闇属性/戦士族
ATK 3900/DEF 3600
(1):このカードは特殊召喚できず、自分の場のモンスターを3体リリースしなければアドバンス召喚できない。
(2):1ターンに1度、墓地のモンスター1体を除外する事で、次の自分のエンドフェイズまでその除外したカードの効果を得る。
(3):このカードが戦闘を行う時、相手モンスターの効果はバトルフェイズ終了時まで無効となる。
(4):バトルフェイズ終了時、相手の場のモンスター1体を指定して発動する。
そのモンスターを持ち主のデッキへ戻し、そのレベル×200ポイントのダメージを相手に与える。
(5):このカードがバトルで相手モンスターを戦闘破壊したターン、相手ライフが1000を上回っていれば、相手に1000ポイントのダメージを与える。
(6):このカードの攻撃力と守備力は元々の数値より低い数値にならない。
(7):このカードが戦闘によって破壊される時、このカード以外の自分の場のカードを墓地へ送る事で破壊とダメージを無効にできる。
またこのカードがバトルで破壊された時にプレイヤーが受けるダメージは半分になる。
「チッ、これで決めたかったんだがな」
流石にそう上手くは行かないか。
L・S ドラゴ・チェリー:ATK 17500→2500
「一筋縄では行かないってか?」
「クソが! リバースカードオープン! 罠カード『デビル・バインド』! 発動後、このカードは相手モンスター1体の装備カードとなる! 装備モンスターはこれ以降攻撃に参加できず、モンスター効果も無効となる! 更にコントローラーはエンドフェイズごとに装備モンスターの攻撃力の10倍のダメージを受ける!」
「そうは行くか! 装備している『ブレード・ウィング』の効果を発動! 装備モンスターが戦闘を行ったターン、相手の場の魔法・罠カードを1枚破壊できる! 『デビル・バインド』を破壊!」
ブレード・ウィング(オリジナル)
【装備魔法】
風属性モンスターのみ装備可能。
このカードを装備したモンスターが攻撃を行ったターン中1度だけ発動できる。
相手の場の魔法・罠カードを1枚破壊する。
この効果を使用した次のターン、この効果を使用する事はできない。
この効果はバトルフェイズ中には発動できない。
デビル・バインド(オリジナル)
【永続罠】
このカードは相手ターンのバトルフェイズ中には発動できない。
発動後、このカードは相手モンスター1体の装備カードとなる。
このカードを装備したモンスターの効果は無効化され、攻撃できない。
装備モンスターのコントローラーは自分のエンドフェイズごとに装備モンスターの攻撃力の10倍のダメージを受ける。
ビュン! と刃の翼がカマイタチを巻き起こす。風のブレードはそのまま伸びて来た悪魔の手をキレイな切り口で切断した。
『飢餓枯渇国家』はセット状態となったので効果は発動できない。墓地にも送られて無いので、デッキから同名カードをリクルートする事も不可能だ。
「更にカードを2枚伏せて、ターンエンド!」
黎:LP 300
手札:0枚
フィールド
:L・S ドラゴ・チェリー(ATK 2500)
:伏せカード2枚、ブレード・ウィング(装備魔法・『L・S ドラゴ・チェリー』に装備)
「大したモンだよ、黎。僅か1ターンでここまで形勢を逆転させた」
「なんだか、僕達にも希望が見えて来たよ!」
「俺じゃ無い。それは皆が諦めなかったからだ」
諦めない心は、時に奇跡を呼び起こす。その証明の一端を、俺は手伝ったに過ぎない。
「さあ、奇跡を起してみろ! お前らが本当にデッキを信頼し、信頼されるデュエリストなら、奴を倒せる!」
「おお!」「はい!」「うん!」
俺にできる事は全てやった。後は野となれ山となれ、だ。頼むぞ、3人とも!
「俺の、タァーン! 俺は手札から魔法カード『命削りの宝札』を発動! デッキから手札が5枚になるように互いにカードをドローする! ただし5ターン後、手札を全て捨てなくてはいけない! ドロー!」
瞬時に優の手札が補填される。
「魔法カード『ミラクルシンクロフュージョン』を発動! 墓地から『デブリ・ドラゴン』と『フォーミュラ・シンクロン』を除外融合! 出でよ、『フュージョン・シンクロン』!」
フュージョン・シンクロン(融合・チューナー・効果モンスター)(ZET先生オリジナルカード)
星2
光属性/機械族
ATK 300/DEF 700
シンクロモンスターのチューナー+チューナー
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが融合召喚に成功した時、自分の手札を任意の枚数、墓地に捨てて発動することができる。
捨てた枚数分だけ、除外されたモンスターを墓地へ戻す。
1ターンに1度、自分の墓地に存在するモンスター1体を除外し、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで除外したモンスターのレベルと同じにする。
フュージョン・シンクロン:ATK 300
「な、なんだそのモンスターは!?」
「まだ終わりじゃ無い。効果で手札を2枚捨てて『フォーミュラ・シンクロン』と『デブリ・ドラゴン』を墓地へ戻す。更に『ジャンク・シンクロン』を召喚! そして効果で『フォーミュラ・シンクロン』を蘇生する!」
『タッ!』
『ヤッ!』
ジャンク・シンクロン:ATK 1300
フォーミュラ・シンクロン:DEF 1500
瞬時に展開する3体の“シンクロン”。内1体は、きっとあのモンスターへの布石だろう。
さあ、見せてみろ、お前の奇跡を!
「手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 復活せよ、『シューティング・スター・ドラゴン』!」
『キュオォオオオオオオオオオオオオッ!』
シューティング・スター・ドラゴン:ATK 3300
「く、だがそんなザコを何体並べようとも無意味だ!」
「そのセリフは俺の相棒を見てから言うんだな! 最後に俺は『フュージョン・シンクロン』の効果を発動! 『邪天使の施し』の時に墓地へと送った『サルベージ・ウォリアー』をゲームから除外し、エンドフェイズまで『シューティング・スター・ドラゴン』のレベルを『サルベージ・ウォリアー』と同じ5に変更する!」
シューティング・スター・ドラゴン:☆10→5
合計のレベルは……、12!
「レベル5となったアクセルシンクロモンスター『シューティング・スター・ドラゴン』に、レベル3のチューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』、レベル2のシンクロチューナー『フォーミュラ・シンクロン』、レベル2の融合チューナー『フュージョン・シンクロン』を……、デルタチューニング!」
「で、デルタチューニング!? 何だぁそりゃ!?」
オレンジのエンジニアがスターターを引っ張り、レーシングカーの戦士がタイヤが真っ赤になるまで回転数を上げ、融合チューナーが神秘の力を全身に満ちさせる。
そして合計で7つの星となる。それぞれ白が3つ、黄色が2つ、薄紫が2つずつ。色違いの7つのリングは一列に並び、その中を光輝く流星の龍がその中を高速で潜り抜けた。
「流星よ、光を超え……、次元を超え……、更なる高みへ上り……、その輝きで世界を照らせ!」
「来る、優の最強モンスター!」
「パパの相棒!」
「優の最強にて最高のモンスターか……」
『見せてもらうぞ、お主の力を』
☆2+☆2+☆3+☆5=☆12
「シンクロ召喚! 舞い降りよ、『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』ッ!!!」
『さあ、私が相手をしましょう、邪神の眷属よ!』
シューティング・ブレイザー・ドラゴン(シンクロモンスター)(ZET先生オリジナル)
星12
風属性/ドラゴン族
ATK 5000/DEF 4000
融合モンスターのチューナー1体+シンクロモンスターのチューナー1体+チューナー1体+「シューティング・スター・ドラゴン」
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、その効果の発動を無効にし、破壊する。
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分のフィールドまたは墓地に存在するドラゴン族シンクロモンスターを除外する事で、1体につき攻撃力を300ポイントアップし、除外したモンスターのモンスター効果を得る。
このカードがフィールドから離れた時、「セイヴァー・スター・ドラゴン」1体をモンスター効果を無効化にして、エクストラデッキから特殊召喚する。
キラキラと、光の粒を散らしながら雲の果てから降臨する龍。神と崇められてもおかしくない存在であり、邪の存在であるエンヴィーと対極に位置する力を放っている。
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 5000
「攻撃力5000、『F・G・D』と同じだとぉ!?」
「これで終わりじゃないぞ! 『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』の効果を発動! 自分の場と墓地のドラゴン族シンクロモンスターを任意の枚数ゲームから除外し、その数×300ポイント攻撃力がアップする! 俺は墓地の『スターダスト・ドラゴン』、『シューティング・スター・ドラゴン』、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』、『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』を除外し、攻撃力を1200ポイントアップさせる!」
『さあ、戦士達よ、今一度私と共に!』
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 5000→6200
「更に除外したモンスターの効果を使用できる! まずは『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』の効果で、墓地のチューナーモンスター1体につき攻撃力を500ポイントアップさせる!
俺達の墓地にはこれまでの14体に加えて『ジャンク・シンクロン』、『フュージョン・シンクロン』、『レストア・チェリー』の合計17体となった。よって攻撃力は8500ポイントアップ!」
『漲って来ました、戦士達の魂が!』
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 6200→14700
空中に浮かぶ17体のチューナー達。その1体1体が光へと姿を変え、光の龍へと収束していった。
「攻撃力14700だとぉおおっ!?」
「そして『シューティング・スター・ドラゴン』の効果を適用! 1ターンに1度、デッキからカードを5枚めくり、その中のチューナーの数だけ攻撃を行える!」
「バカめ! お前のデッキは後何枚ある!? その中にチューナーが何体あるのかは知らないが、精々が1枚だ! 最悪1枚も引けずに攻撃できないんだぞ!!」
確かに、エンヴィーの言う通り優のデッキは残り10枚を切っている。ここからチューナーを複数枚引き当てる確率は非常に低いだろう。
だがな……。
「エンヴィー、知ってるか? 真のデュエリストは、デッキに入っていないカードですら呼び寄せ、新たなるカードを創造するそうだ」
「な、貴様が真のデュエリストだと!? 冗談も大概にしろよ!」
「それはこっちのセリフだよ!」
エンヴィーの激昂に対し、有栖が叫び返す。
彼女の背後には、何か灰色の大きな生物が見えた。
「優は真のデュエリストだよ! ボクが保証する!」
「私だって保証するよ! パパは最高のデュエリストだ!」
「少なくとも、お前のような、感情だけで1人を集中攻撃するようなカスとは違う」
俺の言葉にエンヴィーは驚いたように目を見開く。
「俺が気付いてないとでも? お前は俺か優を、全体攻撃の回以外は常に攻撃の対象に選んでいる。一度だけ有里ちゃんを攻撃対象に選んだが、それも優に対する精神攻撃だった」
憎いんだろう? 俺の問いかけにエンヴィーは沈黙した。それはつまり肯定の意味。
「お前の名はエンヴィー。和訳すれば“嫉妬”を意味する。だからお前は本来なら真っ先に仕留めるべき、邪神の敵である俺だけでなく幸福な交際関係を持つ優も同時に狙ったんだろう? 自分の中の“嫉妬”の炎の意思に従ってな」
「くっ……」
「成程な、そういう事なら遠慮はいらねぇな。シャイニング・ドローなんて持ってないが、デッキがデュエリストの思いに応えてくれれば、奇跡は起こる。その証明を、今からしてやる!」
『さあ未だ眠りし同胞達よ、我らに力を貸したまえ!』
チャッ、と優がデッキトップに手を乗せる。その瞬間、デッキトップがキラリと光ったような気がした。
「行くぞ、まずは1枚目! チューナーモンスター『クイック・シンクロン』!」
1枚目は、ガンマンスタイルの汎用性“シンクロン”チューナー。半透明の姿で俺の上で待機する。
「続いて2枚目! チューナーモンスター『極星獣グルファクシ』!」
2枚目は、黒いタテガミの屈強な馬である“極星”チューナー。赤色の瞳を爛々と輝かせながら優の傍らで半透明の姿で待機。
「次は3枚目! チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』!」
3枚目は、オレンジ色のエンジニアスタイルの“シンクロン”チューナー。汎用性が同じく高く、眼鏡を光らせながら有栖の前で半透明になって待機している。
「更に4枚目! チューナーモンスター『ダーク・リゾネーター』!」
4枚目は、背中に共鳴装置のドラムを背負った悪魔。笑って音叉を響かせながら、有里ちゃんの周囲を半透明で浮いて待機中。
ここまででチューナーのカードは4枚。優、もしお前が真のデュエリストなら、5枚目のカードも……!
「そして、5枚目ぇ! チューナーモンスター『トラスト・ガーディアン』!」
5枚目は赤い帽子を被った天使。白い羽を羽ばたかせながら俺達4人の上で半透明で飛びつつ待機した。
成程、これは俺達4人の姿の一端を表しているのか。
俺は変幻自在、というより多数の種類のカードへの進化を示し。
優はその最強の力、神域の一端を表し。
有栖は機械族のエキスパートの象徴を具象化し。
有里ちゃんは『スカーレッド・ノヴァ』繋がりからあのパワーの象徴を示唆し。
そして俺達の結束を、あの天使が証明するかのように舞う。
「チューナーの数は5体! よって攻撃回数は5回だ!」
「ば、バカな……! そんなバカな事がぁ!」
「行くぞ。『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』で『七罪士 エンヴィー』を攻撃! “シャイニング・ブレイズ・ストライカー”五連打ァアアアアアアアアアアッ!」
『散りなさい! 邪悪なる存在よ!』
光の龍は瞬時に5体に分裂する。赤、橙、黄、緑、青の輝く焔に身を包んだ龍は、光の矢のように一筋の閃光となって突進をしかけた。
「入るか……っ!?」
「これが届けば、私達の勝ちだ!」
「行っけぇえええええええええええええええええっ!」
「喰らいやがれぇ!」
最初の赤色の閃光を受け止めたエンヴィーは、素早く残った伏せカードに手を伸ばした。
「まだだ、貴様らクズ人間ごときにこの僕は負けはしないっ! リバースカード、オープン! 『ソウトレス・リロード』!
デッキトップのカードを墓地へと送り、自分の墓地からモンスターを可能な限り守備表示で特殊召喚する! ただし攻守は共に0となり、モンスター効果は使えないっ!」
「『レッド・デーモンズ』の効果をコピーしたのを忘れたか! 守備表示モンスターは全滅だ!」
「なんの! 『ソウトレス・リロード』の効果で効果破壊を無効とする!」
「チィッ!」
ソウトレス・リロード(オリジナル)
【速攻魔法】
自分のデッキの1番上のカードを墓地へ送る。
自分の墓地からモンスターを、召喚条件を無視して可能な限り守備表示で特殊召喚する。
特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力は0となり、モンスター効果は無効となる。
この効果で特殊召喚したモンスターはカード効果では破壊されない。
「蘇れ、『バーサーク・デッド・ドラゴン』、『地底のアラクネー』、『アシッド・ゴーレム』、『傾き悪魔の天秤』!」
『ジィォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
『キョォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
『ムゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
バーサーク・デッド・ドラゴン:ATK 3500→0/DEF 0
地底のアラクネー:ATK 2400→0/DEF 1200→0
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム:ATK 3000→0/DEF 3000→0
傾き悪魔の天秤:ATK 3000→0/DEF 3000→0
チッ! コスト要因を確保されたか!
「ならばそのまま攻撃だ!」
『消えなさい!』
五条の光の矢が死の龍、クモ女、酸の巨人、黒い天秤を直撃し、跡形も無く消し飛ばす。最後の一撃を受けたエンヴィーは槍で辛うじて受け止め、伏せていたカードに手を伸ばす。
「セット状態の『殺人レーザー検問装置』をコストに、ダメージと破壊を無効にする!」
黒い霧が再び発生し、エンヴィーの傷を癒す。
これで、優の攻撃は終了。手札も無い以上、彼に打てる手はもう無いだろう。
『く、う! まさか私の最大級の力を』
「っ! 『シューティング・ブレイザー』でも、ダメなのか……っ!?」
「いや、そうでも無い」
歯を軋ませて悔しがる優に、俺はそう答える。
「お前のお陰で、エンヴィーの破壊無効のコストはもう1枚しか残っていない。『飢餓枯渇国家』の効果で同名カードをサーチされても、残り2回だ。それに、そんな上手く行ったら面白く無いだろ?」
「……、そうだな。ターンエンド!」
優:LP 100
手札:0枚
フィールド
:シューティング・ブレイザー・ドラゴン(ATK 14700)
:魔法・罠無し
「さぁて、優も黎も頑張ったんだ、ボク達も頑張ろう、有里?」
「はい!」
「いい返事だね。ボクのターン、ドロー!」
【BGM:創聖のアクエリオン】
「ボクは手札の『イエロー・ガジェット』と『マシンナーズ・ギアフレーム』を墓地へ送り、『マシンナーズ・フォートレス』を特殊召喚! 『一族の結束』の効果でパワーアップ!」
マシンナーズ・フォートレス:ATK 2500→4100
何度目か分からないが、勢いよく飛び出すタンク戦車。機械だから過労死の心配は無い、ハズ。
「更に手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 優の墓地から『アンノウン・シンクロン』を特殊召喚! 更に黎の墓地から『ボルト・ヘッジホッグ』を自身の効果で特殊召喚!」
アンノウン・シンクロン:ATK 0
ボルト・ヘッジホッグ:ATK 800
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 14700→14200
「「有栖……?」」「ママ……?」
「見てて! これが、ボクの起こす奇跡だから!」
ス、と有栖が空へと掌を伸ばす。
チューナー、『ボルト・ヘッジホッグ』、レベルの合計は10……。覚醒したカードは恐らく……!
「レベル7の『マシンナーズ・フォートレス』と、レベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』に、レベル1の『アンノウン・シンクロン』をチューニング!」
赤目の丸い機械が1つの緑の輪に変わり、その中を輪郭線だけの戦車とハリネズミが潜り抜ける。
「愛の奇跡、ボク達を守る光の盾となれ! 無限の希望よ、強大なる悪を撃ち滅ぼせ!」
☆1+☆2+☆7=☆10
「シンクロ召喚! 煌めく砲撃の王者、『マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン』!」
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA !』
光の柱の中から飛び出すのは、灰色の西洋の龍。全身に機械の装甲を装備し、肩には強力なブラスター砲を搭載している。一見すると龍、されどもその姿は機械でもある。脇腹にはレーザーの発射装置が、尾には鋭いブレードが、手足の爪は鋭利な刃物で、翼にはミサイルが搭載されている。
マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星10
光属性/機械族
ATK 3800/DEF 3800
機械族のチューナー+「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体+チューナー以外の機械族モンスター1体以上
このカードはフィールド及び墓地に存在する時、「ドラゴン族」としても扱う。
(1):S召喚されたこのカードは破壊されない。
(2):このカードが相手によって墓地に送られた時、相手のフィールド・手札のカードを4枚まで破壊できる。
(3):墓地のこのカードを除外して発動する。
「マシンナーズ・フォートレス」1体を墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚した場合、このターン機械族モンスターは破壊されない。
マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン:ATK 3800→5400
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 14200→14700
「やった、出来たよシンクロ召喚!」
「やるじゃねぇか、有栖」
「ヘヘヘ! 何かクセになるかも!」
重低音を響かせながら機械の龍はエンヴィーを睨みつける。赤色に光る瞳が敵を捕らえ、照準を合わせる。
「さあ行くよ! 『マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン』で攻撃!」
「うぅぅ……っ!」
『TARGET ,LOCK ON .』
「未来の僕達の、愛に溢れる家庭を壊す奴は消えちゃえば良いんだぁっ! 必殺ぅ……! “アルティメット・フルブラスター・デストロイヤー”!」
『“ULTIMATE FULL BLASTER DESTROYER”FIRE !』
機械の合成音と共に、機械龍の砲門が全て開く。口からは高出力のビーム砲が、脇腹からは高熱のレーザーが、翼のミサイルは次から次へと射出され、爪のブレードも射出装置で撃ち出された。
更に腹部が開いて中からガトリング砲が出て来て火を噴き、膝の砲門がカノン砲の引き金を引き、肩のブラスターガンは強力な熱線をぶちかます。
正しく、仇成す敵を木端微塵に粉砕する為の集中砲火だった。
「くっ! だが、セット状態の『飢餓枯渇国家』をコストに破壊とダメージを無効にする! 更にデッキから『飢餓枯渇国家』を発動!」
そう、エンヴィーはこの砲弾やレーザーの雨の中でもピンピンしているのだ。だが、それならばこうするまでだ!
「だったら! 有栖、俺の左の伏せカードを使うんだ!」
「OKだよ! 僕は黎の左の伏せカードをオープン!」
「速攻魔法『リベンジ・アタック』!」
マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン:ATK 5400→6400
「な!?」
「このカードは、僕のモンスターがバトルで相手モンスターを破壊できなかった時に発動できる!」
「戦闘破壊に失敗した自分のモンスターは攻撃力を1000ポイントアップさせ、更なる攻撃の権利を付与される!」
リベンジ・アタック(アニメオリジナル)
【速攻魔法】
バトルで相手モンスターを破壊できなかった時、攻撃を行ったモンスターの攻撃力を1000ポイントアップし、もう一度バトルする事が出来る。
「悠久の愛の力をもう一度受けてみろ! “アルティメット・セカンド・フルブラスター・デストロイヤー”!」
『“ULTIMATE SECOND FULL BLASTER DESTROYER”FIRE !』
再び響く重低音。残っている弾丸も砲弾もレーザーやビームのエネルギーを全て注ぎ込んだ集中砲火が爆炎と煙をあげてエンヴィーに降り注いだ。
「ぎゃぁああああっ! き、『飢餓枯渇国家』をコストに無効にするっ!」
シュゥゥゥゥ、と砲門が煙をあげてオーバーヒートを訴える頃には、全身がボロボロになり始めていたエンヴィーがそこにいた。
マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン:ATK 6400→5400
「っちゃ、仕留めきれなかったか……」
『しぶといな』
『But , there’s already no card in order to pay cost .(ですが、もうコストとして払えるカードは存在しません)』
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだよ」
有栖:LP 400
手札:0枚
フィールド
:マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン(ATK 5400)
:伏せカード1枚、一族の結束(永続魔法)×2
「ギ、ギィッ! このクソどもがぁぁ!」
「ナイスファイトだぜ、有栖!」
「良いぞ、後一歩だ」
「有里、止めを!」
「はい! 行きます、これが私達のラストターン!」
『ドロー!』
シャキン! とカードが煌めいた。
「ママ!」
「オッケー! リバースカード、オープン! 永続罠『リビングデッドの呼び声』!」
掛け声と共に表側表示になる罠カード。母娘の息が合わさった一瞬だ。
「蘇って! 『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!」
『グォオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 3500→12000
「こ、攻撃力、12000!?」
「有里ちゃん、俺の伏せたカードが分かるのなら、君の手札は“あのカード”のハズだ。なら、遠慮無くやっちゃいな!」
「はい! 魔法カード『融合』を発動します! 場にいる4体のドラゴン族シンクロモンスターを融合!」
『行くぞ!』
『参ります!』
『FUSION MODE , STAND BY !』
『グガォオォォオォオオオオオッ!』
次元が捻じ曲がる。桜は桃色、『シューティング・ブレイザー』は白、『マシンナーズ・キャノン』は銀色、『スカーレッド・ノヴァ』は赤い光に包まれ、時空の渦の中で1つになった。
「治癒の龍よ!」「星光の龍よ!」「鋼鉄の龍よ!」「獄炎の龍よ!」
「「「「今こそ一つに重なり新たな姿に生まれ変われ! 融合召喚!!」」」」
「これが私達の絆の証しです! 光臨せよ、『シューティング・シャイニング・ドラゴン』!」
『キィオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
青い光に包まれ、4対8枚の翼を織りなす、コバルトブルーの龍が舞い降りる。
サファイアブルーの瞳で敵を見るその姿は優しくも勇ましくあり、『シュテーィング・クェーサー・ドラゴン』のように二本足で青空に浮いている。
シューティング・シャイニング・ドラゴン:ATK 6000
「こ、攻撃力6000だとぉ!?」
「『F・G・D』を上回るとは……!」
「凄い……!」
「これが、結束の力の証明か……!」
キラキラと輝く孤高の光、されども温かく、力強い意志が、俺達の中へと満ちていく。
「これでフィニッシュにしましょう! 『シューティング・シャイニング・ドラゴン』で『七罪士 エンヴィー』を攻撃!」
「“光天断罪撃”!」
「“スターライト・”!」
「“アサルト・”!」
「“ブレイカー”アァァッ!」
キュイィィィィン! と青い龍の口元に神々しい光が集まる。“光天断罪撃 スターライト・アサルト・ブレイカー”の光は一条の矢となり、エンヴィーを襲った。
「させるかぁ! 『ソウトレス・リロード』の効果で墓地へ送られた『イーヴィル・ディフェンサー』の効果発動! 墓地の同名カード3枚をゲームから除外して攻撃を無効化! そして攻撃モンスターをデッキへ戻すぅ!」
イーヴィル・ディフェンサー(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星1
闇属性/魔法使い族
ATK 100/DEF 100
(1):このカードが戦闘によって破壊された時、お互いのプレイヤーに100ポイントのダメージを与える。
(2):相手の攻撃宣言時、このカードを墓地から除外して発動する。
墓地に存在する同名カード3枚をゲームから除外して相手モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターをデッキへ戻す。
この効果は1ターンに1度しか使えない。
(3):このカードがゲームから除外された時に発動する。
自分フィールドの全てのモンスターは以下の効果を得る。
●このカードは1ターンに1度戦闘では破壊されず、戦闘によって発生するダメージも0になる。
「僕は『飢餓枯渇国家』を全て除外し、『シューティング・シャイニング・ドラゴン』をバウンスだぁ! 消えろよ、紛い物の絆が僕に勝てるワケが無いんだよ!」
光線を受け止めた不気味に笑う魔導師が放つ閃光を浴びる『シューティング・シャイニング・ドラゴン』。だが、閃光が止むとそこには青い龍が当然のように浮いていた。
「『シューティング・シャイニング・ドラゴン』は相手のカード効果を受け付けません! 私達の本物の絆は、貴方の罪なんかに負けはしない!」
「なんだとぉ!?」
シューティング・シャイニング・ドラゴン(融合・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星12
光属性/ドラゴン族
ATK 6000/DEF 6000
レベル8以上のS召喚されたドラゴン族Sモンスター×4体以上
このカードの融合召喚成功時にお互いは魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(1):このカードは融合召喚以外の方法で特殊召喚できず、融合召喚されているこのカードは相手の効果を受けない。
(2):このカードは1ターンに2回まで戦闘では破壊されず、このカードが相手のカードの効果でゲームから除外された時、相手の場と手札のカードを全てゲームから除外する。
(3):相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。
エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。
(4):このカードに「融合解除」が適用された場合、素材となったモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できる。
「だ、だが、それでもこっちは『イーヴィル・ディフェンサー』の効果で健在! 次のターンに引くカード次第でまだ戦局は引っ繰り返せるぞ!」
「いえ、このターンで終わりです」
「な、フザけんな! お前らに何ができるんだよ! もうそのチビガキには手札は無い! 赤髪女の伏せカードだって使ったし、その横の男には魔法も罠も伏せて無い! そして“騎士”の場だっ、て…………、はっ!?」
ふ、気付いたようだな?
「そうだ。俺の場にはまだリバースカードが1枚だけ残っている。お前はそれを失念していたんだよ」
「あ、ぁあぁああぁぁぁああああああああああああああああああぁぁぁああああぁぁっ!」
俺の伏せたこのカードを今回はデッキに入れた覚えが無い。だと言うのに巡って来たという事は即ち、このカードを使う機会がやって来るという事。
果たして、その予想は大当たりだったという訳だ。
「これで、終わりだぁ! 速攻魔法発動!」
「「「「『融合解除』!」」」」
瞬時に青い龍の融合が解除される。
青い光は桃色、白、銀色、赤の光へと分かれ、それぞれ元となった龍が有里ちゃんの場に現れた。
『再び推参だ!』
『さあ、終わりにしましょう!』
『FINAL MODE , SET UP !』
『ゴガァアアァアアアアアァァァァッ!』
L・S ドラゴ・チェリー:ATK 2500
シューティング・ブレイザー・ドラゴン:ATK 5000
マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン:ATK 3800→5400
スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン:ATK 3500→12000
さあ、フィニッシュだ!
「まずは桜さんの効果でライフを回復します!」
『治癒術は任せてくれ。はぁっ!』
有里:LP 700→1700
「バトルです! 私の『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』で『七罪士 エンヴィー』を攻撃!
どんな真っ暗な未来でも明るく照らす! 私達の希望の光で! “バーニング・ソウル”!」
「ボ、僕の最後の効果を発動! 戦闘破壊される時に受けるダメージは半分になる! ぐぁぁぁああああああああああああああああああああっ!」
灼熱の炎を纏った魔龍の突進が、黒い槍と鎧ごとエンヴィーを焼き払う。辛うじて生き残ったエンヴィーだったが、全身から煙をあげ、ボロボロの様子だった。
エンヴィー:LP 14700→10650
「続いてママの『マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン』で直接攻撃!」
「絶望も巨悪も、偉大な愛の力の前には等しく敗れ去る! 1万と2000年前から続いた愛の力を思い知れ! “アルティメット・フルブラスター・デストロイヤー”!」
『“ULTIMATE FULL BLASTER DESTROYER”FIRE !』
「ギィウゥゥァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
三度、全ての砲門が開き、レーザーが、ビームが、ミサイルが、弾丸が降り注ぐ。大音量で爆音が響き渡り、大量の砂を巻き上げながらエンヴィーが空中へと錐揉みするように舞った。
エンヴィー:LP 10650→5250
「更に黎お兄さんの『L・S ドラゴ・チェリー』で、桜さんでダイレクトアタック!」
「『嫉妬も傲慢も、罪は清算するべき事だ! いつまでも野放しにする訳には行かない! 奥義! “覇桜昇龍斬”!』」
「ぐぁああああああああああああああああああああああっ!」
空中で桜が大きな剣で斬りつける。胸部をザックリと深くまで斬り裂かれ、エンヴィーは砂地へと無様に落ちた。
エンヴィー:LP 5250→2750
「これで最後! パパの『シューティング・ブレイザー・ドラゴン』で止めです!」
「俺達の未来に、お前らみたいな罪のカタマリは必要ない! 輝き、響き渡れ! “シャイニング・ブレイズ・ストライカー”アァアアァァァッ!」
『消え去りなさい、諸悪の根源よ!』
「ギャァアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァッ!」
煌めき輝く閃光がヨロヨロと立ち上がったエンヴィーを貫通する。闇の粒子を散らしながら、エンヴィーは動態に大きな穴を開けて派手に吹き飛んだ。
エンヴィー:LP 2750→0
黎・優・有栖・有里:WIN
エンヴィー:LOSE
「「俺達の……」」「ボク達の……」「私達の……」
「勝ちだぁっ!」
【BGM終了】
「邪神様ぁ! 申し訳ございませんっ! 邪神様、万歳! 万歳、万歳、ばんざぁぁぁあああああぁあああああああああぁぁぁぁぁあああああああああああああああぁぁいっ!」
最後の攻撃で派手に吹き飛んだエンヴィーは、空へと向かって手を伸ばしながら叫ぶと、プライドとおなじように真っ黒な塵となって消え去った。
「ぜぇ……、ぜぇ……っ! これで、後5人……っ!」
「動くな、まだ休んでいろ」
思っていたよりも俺の身体は既にギリギリだったらしく、アチコチが悲鳴をあげている。
そんな俺に、優と有栖が包帯を巻いたり(俺が持参した)、桜が治癒術をかけてくれていたりしているのが現状だ。
「あ……」
「カードが……」
有栖と有里ちゃんの声を聞いてそちらを振り向くと、『マシンナーズ・ブラスター・ドラゴン』と『シューティング・シャイニング・ドラゴン』が光を発し、真っ白な無地のカードになっていた。
「大丈夫だよ。きっとピンチになった時、再び力を貸してくれる」
だって、絆がそう簡単に消えたりするハズ無いじゃないか。
そう言うと、3人は納得したように頷いた。
「それにしても、ありがとう。お陰で一人、邪神の護衛を倒す事ができた」
「気にしないでよ。ボク達のためでもあるし、何より君を助けたかったからね」
「未来を守るという点では、俺達は同じ志の元で戦った。お互い様だ」
「水臭いですよ、黎お兄さん? 私達、友達で仲間じゃないですか」
有栖がニコッ、と笑う。好い女性特有の素敵な、眩しい笑顔だ。彼女を貰える優は幸せ者だな。
それに対し優は薄く、ニヒルに笑う。しかし、その小さな表情の変化には優しい思いやりの心が込められている。
そして有里ちゃんの心からの発言。きっと未来の二人に真っ直ぐに、素直な子に育ててもらったのだろう。幸せな家庭である証拠だ。
「それでも、ありがとう。命まで危険に晒して、俺を助けてくれて」
ふぅ、眩しいなぁ。こういう幸せは見ているだけで眩しくて仕方が無い。
俺も、こんな幸せが欲しかった。
普通の家庭に生まれ、普通の生活をし、普通に恋に落ちて結婚し、普通に死にたかった。
でも俺は普通の家には生まれず、普通の暮らしをできず、恋にすら落ちず、死に方も普通じゃ無かった。
「本当にありがとう」
普通も、幸せも、俺とは縁遠い。
だからこそ、俺は
世界はどこまで行っても不公平で、異端には冷たい。だからこそ、俺はこんな“普通”の人達が
「もう……。そうだ、PDAで写真撮ろう? 思い出を保存する為に!」
「悪くないな」
有栖の案の元にパシャリ、と写真撮影が行われる。セルフタイマーで優、有栖、俺のPDAのメモリーに4人(+精霊2体)の写る画像が保存される事となった。
「有里、もう少し右だ」
「パパとママの間じゃダメかな?」
「桜さん、顔が切れてる。」
「『シューティング・ブレイザー』、もう少ししゃがまないと、足しか……」
ピピッ、パシャ! 軽快な音と共に画像が1つ追加される。
そこには、幸せそうな三人家族とその友人が、そして精霊が写っていたのであった。
この一刹那は閃きの間に消え去る。されども、今の一瞬の思い出は俺達と写真が確かに存在した事を証明している。
幸せの欠片が、また1つ手に入った気がした。
to be continued