遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
攻撃の無力化
【カウンター罠】
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃を無効にする。
その後、バトルフェイズを終了する。
黎「読んで字のごとく、攻撃を無力化させるカード。カウンター罠だから妨害されづらいのが特徴だ。
また、攻撃宣言にチェーンしたカードに対してチェーン発動させる事もできるのもお得ポイント」
?「【パーミッション】だとノーコストで発動できるのが嬉しいよね。ちなみに対象を取る効果という点には注意!」
黎「え、キミ誰!?」
SIDE:黎
あの突然に感じた痛みの正体は、結局分からず仕舞いだった。
感じたのは数秒だったし、終わったらもう全身にどこにも違和感は無かったからである。
それはさて置き、実技試験が終了した。ざわつく会場の言葉に耳を傾けると、俺と十代の話題で持ち切りだった。哀れ、三沢。筆記1位でラーイエロートップの実力だというのに。
俺と十代はそれぞれ『クロノス先生を倒した110番』、『ノーダメージで1キルした4番』という風に呼ばれているらしい。
「おーい! レェーイ!」
「!?」
十代に気付かれた!? 馬鹿な!?
ってしまった!
そうと思った時はもう遅かった。応急措置はしたが、後から来た2人の内1人に感付かれた。
「君、4番君だろ?」
「……よく分かったな。
「……誰かいるんスか?」
「
それぞれ原作キャラの十代、俺を挟んで翔、三沢だ。
二人には見つかっているらしいので、諦めて俺は姿を現した。
「うわっ!? 人がいきなり出て来た!?」
わめく翔は無視。
「何か用かい、1番、十代、119番」
「俺は1番じゃない。三沢大地だよ」
「ぼ、僕は丸藤翔ッス」
「そっか。俺は4番こと、遊馬崎黎。合格したらよろしく」
自己紹介は大切。
「で、何か用かい?」
「110番、いや十代が君の事を褒めていたからな。1番君が褒めるんだ、相当な腕前だと思って接触してみた。それに、あのカード達も気になるしな」
「いったいどこで手に入れたんだ? 君が使ったカードは『融合』以外、見た事も聞いた事も無いぞ?」
「……、それに関しちゃ、トップシークレットだ。今はまだ明かせない」
第3期の精霊界編辺りでならバラせそうだが、今はまだ時期じゃない。
十代も『
「そうか、残念だ」
「悪いな、三沢」
「いや、お陰で越えるべき壁が1つ増えた。寧ろ燃えてきたよ」
……どうやら姿を隠していた事は忘れてくれたらしい。良かっt「ところで、どうやって姿を消してたんスか?」しまった、翔がいたんだった。
応急処置の方を答えておくか。
「どうやってって、気配を消したんだよ」
「武術の達人みたいに?」
「そ。なれると呼吸するくらい簡単だよ。感受性が低いと見つけにくいけど、分かる人は見つけられる」
実際は違う。十代に声をかけられ、集中力が切れるまでは別の方法で隠れていた。恐らく十代は
「僕は感受性低いって事ッスね……」
「まぁ、そう気落ちするなよ、翔。個人差だし、成長すれば身に着くよ、きっと」
っとと、聞く事があったんだった。十代や翔よりも三沢に聞いた方が良いだろう。
「三沢、会場のデュエルはいつから見てた?」
「ん? 最初の150番からだが」
原作より30人も多いな。いいけどサ。
俺の容姿はこっちに来ても変わらなかった。ならば……
「……茶髪でロングの女の子、いなかったか?」
今更だが、俺は黒い長髪に左眼が隠れており、少々鋭い眼つきといった外見。
「この数だ、10人はいたぞ?」
それもそうか。なら……。
「その中に下の名前が“ミヤコ”って娘は?」
三沢は思案顔を作るが、残念な事に首を横に振った。
「そっか、ありがとう」
ま、1つ年下だからな、仕方ないと言えば仕方ない。
アカデミアでも情報を集めるか。
――アカデミア
結論から言うと、無論合格した。
何故かオシリスレッドだったが。まぁ、十代と絡み易いから良しとしよう。
さて、読者の方々(メメタァ)は推測が完了しているとは思われるが、俺は一緒に死んだ“ミヤコ”という女を探している。ちなみに彼女では無いし、妻でも無い。妹でも姉でもない。母でも叔母でも違うし、伯母(字の違いに注意)でも双子でも無いぞ? 無論、娘や孫娘でも、祖母でも無い。
失敬、話が逸れた。
一緒に死んだハズのあいつはこの世界への転生前に敵に奪われた。一応はこの世界にいるらしいので、“世界が違う”なんていう悲劇は起きないようだが。
さっさと探しに行け、という人もいるだろう。だが、俺は行かない。
お話にならない云々では無く、拠点を構えた方が良いと思ったからだ。
敵は俺達を邪魔だと思ったから戦力を削ぐ為にミヤコを奪った。言い換えれば、俺達転生者は邪魔者で、対抗策としてアイツをぶつけて来る為に強奪したと考える事もできる。仮にもアイツは俺の大切な人。死んでも傷つける事なんざ出来ねえ。そういう感情を読まれている可能性もある。
俺が邪魔なら、排除せんと向こうから仕掛けて来る可能性が高い。8種類の精霊の力を揃えて完全な対抗勢力になれば、最悪、敗北の未来が敵に待っている。
封印が解け始めている、という事は敵はまだ本調子では無いという事だ。なのに、エネルギーを消費してミヤコを奪ってまで妨害をするのなら、俺は――少なくともミヤコは、十分敵にとっての脅威という事だ。
さて、説明はこのくらいにしよう。
知っての通り、十代はデュエル大好き少年。悪く言い換えればデュエルバカ。
寮に着いて荷物を整理(1人部屋でした)している途中で「デュエルしようぜ!」なんて乗り込んで来た程だ。
ここで俺は閃いた。原作ブレイクはこっちにとっても不利に働く可能性が高い。だが、俺が誘導する形で原作に沿わせれば、問題は無いだろうし、何より自分で作った状況。事態の把握は楽に出来る。
勿論、ここで言うべきはただ一つ。
「だったら、アカデミアのデュエル場にいってみないか?」
だ。
――屋内デュエル場
「おぉー、すっげぇー」
「設備も最新っぽいな」
「やろーぜ! 俺達ここの生徒だしな」
やっぱ、アニメと実際は全然違うな。ナマだと迫力とかが違う。
さて、そろそろかな?
「というワケにはいかないんだな!」
「ここはオシリスレッドのドロップアウトボーイ達が来る所じゃ無いぞ」
お、来た来た!
振り返って見れば、案の定。万丈目の取り巻き1と2だ。
ちなみに“取巻太陽”と“慕谷雷蔵”っていうそうだ。誰かの腰巾着になるために生まれたような苗字してやがらぁ。
「む、何か問題でも?」
「おおアリ「クイ」だ! って何でアリクイなんだよ!」
割り込んだのは勿論の事、俺だ。
取り巻きはゴホン、と咳払いして言い直す。
「ここはオベリスクブルー専用のデュエルフィールドだって言っただろ。 ドロップアウト共は帰れ!」
「あ、ホントだ。オベリスクの紋章がある」
む、良い出来栄えの一品だ。
「だったらさ、お前達とデュエルすりゃ良いんだよ!」
「お、グッドアイデア」
当初の目的から大分ズレてるがな。
「なにぃ! ……! お前ら110番と4番!」
「万丈目さん! 110番と4番です!」
サンダー登場。
にしても感付くの遅かったなぁ。大分話題になっていたのに。
「で、こいつ、誰だ?」
十代、初対面に“こいつ”は止めい。
「おまっ! 万丈目さんを知らないのか!?」
「デュエルアカデミア最強で!」
「未来のデュエルキングと名高いお人だぞ!」
大言放語にも程っつーモンがあるだろうが。最強が聞いて呆れるっつーの。
「……おかしいなぁ」
「何が?」
十代が首を傾げた。ここは火種を撒く所かな?
「
「少なくとも、コイツが学園最強と呼ばれるカイザーや、初代デュエリストキング武藤 遊戯さんに勝てるとは到底思えんがな」
「な、ぐ……」
そこでつまるな、取り巻き。万丈目が暗に彼らより弱いって事認めてるぞ?
「こんの身の程知らずがぁ……!」
「ビークワイエット。諸君、はしゃぐな。入学試験デュエルで手抜きしたとはいえ、片やクロノス先生を負かし、片やノーダメージワンターンキルをやった奴だ」
「実力さ!」
「試験官がヘボだっただけだ」
「ほう、その実力、ここで見せてほしいものだな」
「いいぜ」
「無問題だ」
激しく火花を散らす3人。後少しでディスクを構えようと思った時だった。
「あなた達、何しているの」
「そうだよ!」
お、今度は明日香の…………、
ん?
もう一人は……誰だ?
ひょっとすると、
「天上院くん、神山くん! いやぁ、この新入り共が余りに世間知らずなんでねぇ、学園の厳しさを少々教えてさしあげようと思って」
万丈目、それでカッコつけてるつもりか? イヤミにしか聞こえないぞ。
「そろそろ寮の歓迎会が始まる時間よ?」
「遅刻しても良いの?」
神山、という女子は当然の事ながら、オベリスクブルーだ。セミロングの赤っぽい茶髪で、白いヘアピンがアクセント。整った顔立ちで、ボーイッシュ。スタイルも良い。ああいうのを古い言葉でボンキュッボン、っていう……いやエロ親父か、俺は。
万丈目達が退散した後、明日香ともう一人の娘が接触してきた。
「あなた達、万丈目くん達の挑発に乗らない事ね」
「ロクでも無いし、ロクな事にならないよ」
どうやら明日香とコンビらしい。ジュンコとももえ、立ち位置食われたな。
ちなみに翔は傍らで2人の魅力にメロメロになりかけている。
「忠告ありがとう。俺は遊馬崎 黎」
「天上院 明日香よ。明日香で良いわ」
「神山 フィオ。わたしもフィオで良いよ?」
良く見ると、フィオの目は青っぽい。ハーフか。
「十代、俺達も歓迎会始まるぞ?」
「お、ホントだ」
とと、そうだ。仮に彼女がイレギュラーならば、何か連絡手段を持っていた方が良い。
「ここで会ったのも、何かの縁。俺の連絡先を渡しとく。相談でも雑談でも、気軽に掛けてほしい」
そう言ってPDAの番号を渡す。生徒手帳を兼ねた携帯電話みたいな感じだ。
「ふふ、面白いわね、あなた。普通は会ってすぐの人とアドレスの交換はしないわよ」
「変わっているとは思っているが、面白いという自覚は無いな」
「うーん、どっちかって言うと、ズレてる?」
「そう来たか」
自己紹介と雑談もそこそこに、俺達は寮へと戻って行った。
メザシは好きだよ?
――レッド寮・黎の部屋
「『後手後手になってしまったお詫び』か。フン」
現在、レッド寮の俺の部屋では大きな段ボール箱が複数鎮座していた。中身は無論、デュエルモンスターズのカード達。
奇妙奇天烈な事に、これらのカードには見覚えのある傷がついていた。言うまでも無く、いわゆる前世で俺とミヤコが使っていたカードだ。
神様のメッセージカード付きだったのだが、このくらい出来るのなら最初からやって欲しいものである。危うくF・Sだけでこの学園生活を送らねばならないと思っていた所だった、カードの枚数はこの世界では力そのもの。であれば、これだけで俺は誰にも負けないパワーを手に入れたと言っても過言では無い。
だが、解せない点が2つあった。
1つ目は、『何故前世で使っていたカードをこの世界に持ち込んだのか』という事。わざわざ俺とミヤコが持っていたカードを調達したあたり、そこに何かしらの意図を感じる。
もう1つは、『開かない箱の方が多い』という事。何をしても、何なら火を点けても水をぶっかけてもビクともしない段ボール箱があるのだ。この中に何が入っているのかは不明だが、その意味を掴みかねている。ハッキリ言ってこのカード達が何かしらの罠であると俺は訝しんでいた。
Pi Pi Pi Pi Pi !
「ん、メッセージだ」
恐らく、中身はアレだな。デュエル場への呼び出し。
……、番号教えてないんだが?
PDAを開くと、意外にも送り主は万丈目ではなく、取り巻きの片割れだった。
『やぁ、ドロップアウト。互いのベストカードを賭けたアンティルールでデュエルだ。場所は例のデュエルフィールド。時間は今晩0時。勇気があるなら来るんだな』
ビンゴ!
やっぱ原作知識があると良いな。
なんて考えていると、十代が飛び出して来た。
「黎! PDAにメッセージが!」
「お前も来たか! 当然行くんだろ?」
「ああ!」
ま、あいつら鼻っ柱、圧し折ってやりますか。
「じゃ、ちょっと部屋の掃除をしてから行くから、先に行っててくれ」
「おう!」
「それに、ミヤコの事も聞きたいしな」
「え?」
「いや、何でもない。独り言だ」
知ってるとは思えないが、どっかにヒントぐらい転がっているだろう。そんな淡い希望ぐらい持っても許されないか?
さぁて、実戦投入第二段を始めようか!
――デュエルリング
「よく来たな! 110番! 4番!」
「逃げなかった事は褒めてやる!」
こいつら、ウザいな。
最初から自分達が勝つと信じて、己の負けるヴィジョンすら浮かべないタイプの人間だ。
「へへっ、デュエルと聞いちゃ来ない理由は無いぜ!」
「逃げたと思われるのは癪だしな」
熱血に自信に満ち溢れる十代と、冷静に自信たっぷりの俺。その相反するも恐れを微塵も抱いていない姿にカチンと来たのか、万丈目は取り巻きと一緒に頬をヒクヒクさせている。
「万丈目さん! 4番はオレがやります!」
「いいだろう! 遊城十代はオレがやる! そいつは勝手にしろ!」
4番て、名前知られてないのな。十代はそこそこ有名なのに。
十代はリングに、俺はその脇でデュエルする事にした。もう既に万丈目が『リボーン・ゾンビ』を召喚している。
『デュエル‼』
黎:LP 4000
取巻:LP 4000
「俺のターン、ドロー!」
勢い良くカードを引く。行くぜ……!
「あなた達、何してるの!」
「校則違反にも程があるよ!」
っとと、明日香とフィオの登場だ。
全く、ヒトが意気込んだタイミングで。
「明日香! フィオ!」
「きっ貴様! 何故天上院くんと神山くんを呼び捨てにする!」
「2人がそう呼んで欲しいつったから」
ギリギリと万丈目アンド取り巻きが睨みつけて来るが、気に留めない。男の嫉妬は醜いぜ?
取り敢えず、二人に向き直る。
「案ずるな。俺も十代も負けやしないさ」
「そういう問題じゃないよ!」
「見つかったらどうなるか、分かっているの!?」
「分かってる。が、問題無い。俺のPDAにはこいつの呼び出しメッセージが入っている。何かあればそれで言い逃れをするさ」
そう言って俺はPDAを取り出し、例のメールを再生する。
『やあ、ドロップアウト。互いのベストカードを賭けたアンティルールでデュエルだ。場所は……』
Pi
「な?」
「抜け目の無い人……」
「呆れるべきか、褒めるべきか……」
堪忍してな。
俺がカードを引いてしまったので、取り巻きはターンが回って来るのを待っている。あそこじゃ俺のやっている事は見え辛いし聞こえ辛い。ラッキーな距離だね、デュエルって。
じゃあ気ィ取り戻して……!
「俺は『F・S 鬼火のウィスプ』を守備表示で召喚!」
F・S 鬼火のウィスプ:DEF 700
仮面をつけた侍装束の男がフィールドに腕を組んで降り立つ。周りには青白い火の玉が踊っている。
ライフは4000だけど、表側守備表示で出せるってのは良いね、コレ。
「カードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
黎:LP4000
手札:4枚
フィールド
:F・S 鬼火のウィスプ(DEF 700)
:伏せカード1枚
「オレのターン、ドロー!」
取り巻きは引いたカードを見るとニヤリと笑った。
因みに俺には取巻と慕谷の区別はついてない。だから今戦っているメガネはどっちなのかは知らないので、悪しからず。
つーかポーカーフェイスを知らんのかね、こいつは。
「カードを1枚セット! 更に魔法カード『
不屈闘士レイレイ:ATK 2300
忍犬ワンダードッグ:ATK 1800
ほう、腐ってもオベリスクブルーか。『ウィスプ』は攻撃力1900オーバーのモンスターとの戦闘では破壊されないしダメージも受けない。
だからワンダードッグを召喚した。同じバニラモンスターでも『サファイアドラゴン』や『ジェネティック・ワーウルフ』といったモンスターの方が攻撃力は高いのに。
バカだと思っていたが、最低限の実力はあるようだな。
「その仮面の能力は知っているぞ! 『ワンダードッグ』との戦闘では効果は発揮されないだろう! 行け、『忍犬ワンダードッグ』で攻撃!」
ドロン! と煙と共に『ワンダードッグ』が消え、次の瞬間には『ウィスプ』の目の前にいた。そのまま拳を振り下ろし、破壊しようとする。
そうはさせるか!
「リバースカードオープン! 速攻魔法『突進』! 攻撃表示モンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで700ポイントアップさせる‼」
「馬鹿め、守備表示モンスターの攻撃力を上げて何になる!」
「ハッ、馬鹿はテメェだ! 俺はこの効果で『ワンダードッグ』の攻撃力を1800から2500にする!」
こいつは『フィールド上のモンスター』が対象なので、相手にも発動できる。『冥府の使者 ゴーズ』や『あまのじゃくの呪い』とコンボで組み合わせられるカードだ。
忍犬ワンダードッグ:ATK 1800→2500
勢いが増した『ワンダードッグ』の拳は、突如出現した青い炎のバリアによって弾かれた。
『ケヒッ!』
「何だと!? 『突進』にそんな使い方が!?」
「更に『鬼火のウィスプ』のモンスター効果を忘れるなよ!? お前のモンスターは2体共守備表示になる!」
『ウィスプ』が立ち上がると、手から青白い火の玉を飛ばし、相手モンスターに当てた。炎に包まれた『ワンダードッグ』と『レイレイ』は自分の身を守るように守備の体勢に変わった。
忍犬ワンダードッグ:DEF 1000
不屈闘士レイレイ:DEF 0
「なぁっ!?」
計算が狂ったっつー顔してんな。アホが。相手を見下しすぎなんだよ。
……そういや、この世界じゃ相手がエンド宣言をしてなくても頃合いを見計らって自分のターンにできたな。いやはや、好都合だねぇ。
取巻:LP 4000
手札:2枚
フィールド
:忍犬ワンダードッグ(DEF 1000)、不屈闘士レイレイ(DEF 0)
:伏せカード1枚
「俺のターン!」
一気に押し込むぜ!
「『F・S マグマドラゴン』を召喚!」
F・S マグマドラゴン(効果モンスター)(オリジナル)
星4
炎属性/ドラゴン族
ATK 1800/DEF 1500
(1):このカードが召喚・特殊召喚・反転召喚に成功した時、デッキまたは手札よりレベル4以下の炎属性モンスターを1体特殊召喚できる。
「モンスター効果で、来い! 『F・S バーナーズ・キャノン』‼」
F・S バーナーズ・キャノン:ATK 1500
「『バーナーズ・キャノン』のモンスター効果発動! 1ターンに1度、相手の場の魔法・罠カードを1枚破壊し、相手に300ポイントのダメージを与える! 『バーニング・ショット』‼」
両肩に背負ったバズーカから白炎が噴き出し、リバースカードを焼き払う。『
「ぐ、熱ちちちちちっ!」
取巻:LP 4000→3700
「行くぞ! 『ウィスプ』で『不屈闘士レイレイ』を、『バーナーズ・キャノン』で『忍犬ワンダードッグ』を攻撃! “青色の炎弾”‼ “バーナーズ・バズーカ”‼」
『ウィスプ』は特大の青い火の玉を、『バーナーズ・キャノン』はバズーカから赤い炎を撃ち出し、相手モンスターを焼き払った。
「『マグマドラゴン』でダイレクトアタック! “ヴォルカニック・ブレス”‼」
『カァッ!』
「熱ぅっ!?」
取巻:LP 3700→1900
「リバースカードを1枚セットし、ターン終了だ」
黎:LP 4000
手札:3枚
フィールド
:F・S 鬼火のウィスプ(ATK 800)、F・S マグマドラゴン(ATK 1800)、F・S バーナーズ・キャノン(ATK 1500)
:伏せカード1枚
「すごい、オベリスクブルーを一方的に圧してる……!」
端っこの方でフィオが驚愕に満ちた声を発した。こいつが弱いだけだっつの。
どうやらこの取り巻きクンはオベリスクブルーの中でも下の方の実力らしい。強い方を押し付ける形になってすまんね、十代。万丈目は上の方の実力者だ。
「感動しそうだよ」
「よせ、この程度で」
「そうかな」
ザザッ、ザーッ
フィオが言葉を続けようとした瞬間、俺の耳にノイズが走った。
「っ?」
何だ、何の音だこれ。
昔のテレビの砂嵐か? 何でそんなのが俺の耳に?
「モシカシタラ、キミハ――――ナノカナ?」
? しまったな、
「フィオ、悪い、今何て言ったんだ?」
「え、何? 何も言ってないよ?」
「そうか?」
「オレのターン、ドロー!」
ちら、と十代の方を見ると、『
あ、剣が飛んで十代に刺さった(?)。アイツの能力にはビックリだもんな。初めて相手した時、危うく負けかけたからなぁ、俺。
ま、『アマゾネスの剣士』の方が能力的に上だけどね。
明日香は翔くんと一緒に十代の方のデュエルを見ている。こっちは無視? それとも後でフィオと情報交換?
「どっちを向いているんだ、ドロップアウト! 魔法カード『ライトニング・ボルテックス』を発動! 手札を1枚墓地に送り、相手の場のモンスターを全て破壊する! もう1枚の『ライトニング・ボルテックス』を墓地へ!」
「しまった!」
黄金色の雷が降り注ぎ、俺の場のモンスターは全滅した。
注意力散漫だったな。ま、注意してたらどうにか出来たワケでも無いんだが。
「続いて魔法カード『強欲な壺』を発動! デッキから2枚ドロー!」
う、そうかGXの時代はアレが現役だったな。組み立てた時に抜いたけど、デッキに入れておかないと。あれの有無でデッキの回転力が大分変わる筈。
「『ジェネティック・ワーウルフ』を攻撃表示で召喚!」
『グワォオオオオオオオオオオオオオオンッ!』
ジェネティック・ワーウルフ:ATK 2000
攻撃力2000か。『パンサーウォリアー』と違ってバニラモンスターだからデメリットが無い。一撃入るだけで半分削られるな……!
漆黒の豹戦士 パンサーウォリアー(効果モンスター)
星4
地属性/獣戦士族
ATK 2000/DEF1600
このカードが攻撃する時、自分の場のモンスターを1体リリースしなければ攻撃できない。
「魔法カード『ダブルアタック』発動! 手札の『エメラルドドラゴン』を墓地に送り、『エメラルドドラゴン』のレベル未満のモンスター1体は2回攻撃が出来る!」
エメラルドドラゴン:☆6
ジェネティック・ワーウルフ:☆4
げ、マジ!? これ入ったら俺の負けっすか!?
「攻撃だ! “ツイン・パワー・スクラッチ”‼」
轟! と唸りを上げ、鋭い爪が俺を襲う。
は、冗談! 一発でライフ0にされてたまるか!
「伏せカード発動! カウンター
あっぶねぇ……。
攻撃の無力化
【カウンター罠】
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃を無効にする。
その後、バトルフェイズを終了する。
「チッ、しぶとい! ターンエンド!」
取り巻き:LP 1900
手札:0枚
フィールド
:ジェネティック・ワーウルフ(ATK 2000)
:魔法・罠無し
「俺のターン! ドロー!」
ったく、思ったよりやるな。
ま、このターンで終わりだけどな!
「黎、頑張れ!」
「おう!」
フィオの応援が届く。つーか遅い。どっちか勝つ方を応援するみたいな事すんな。
「「((ギリギリギリギリ……!))」」
そして取り巻き1と2、歯軋りやめな。歯に悪いぞ?
お、『スパークマン』を『フレイム・ウィングマン』が倒した。あ、万丈目への効果ダメージで左手から雷放った。そういえば、『フレイム・ウィングマン』が左手使うの、これが最初で最後だったな。
さて、『異次元トンネル―ミラーゲート―』を使ったって事は次の万丈目のターンで終わりだな。俺も終わらせよっと。
「終わらせるぞ!『F・S ヴォルカニック・ギア・ガイ』を攻撃表示で召喚!」
F・S ヴォルカニック・ギア・ガイ:ATK 1900
両肩に嵌めている炎の歯車が印象的な男が光と共に現れる。
「魔法装備カード『レッド・シンボル』を『ヴォルカニック・ギア・ガイ』に装備! こいつは『F・S』と名のつくモンスター専用の装備魔法。攻守が1000ポイントアップし、装備モンスターが破壊される時、こいつを墓地に送れば破壊を無効化できる優れ物だ」
F・S ヴォルカニック・ギア・ガイ:ATK 1900→2900/DEF1000→2000
「さあこれでラストだ! 『ヴォルカニック・ギア・ガイ』で『ジェネティック・ワーウルフ』を攻撃! “スピン・ファイア・キック”!」
回し蹴りの姿勢を取り、高速回転を始めた『ヴォルカニック・ギア・ガイ』。やがてその回転は紅蓮の炎を伴って赤色となり、『ジェネティック・ワーウルフ』を蹴り飛ばした。
「『ジェネティック・ワーウルフ』撃破!」
「ぐわっ!」
取巻:LP1900→1000
「だ、だがまだライフは残っている……!」
「『ヴォルカニック・ギア・ガイ』のモンスター効果。相手モンスターを戦闘破壊した時、そのモンスターが攻撃表示なら、元々の攻撃力の半分をダメージとして与える! 2000の半分は1000、アンタのライフポイントと同じだ!」
「そ、そんぬぁああああああああああっ!」
取巻:LP1000→0
黎:WIN
取巻:LOSE
「すごい! 黎が勝った!」
ピョンピョンと飛ぶフィオ。ボーイッシュだが少々子供っぽい一面があるようだ。
「なあ、アンタ」
万丈目が『リビングデッドの呼び声』を使っていた。時間が無いな。
「クッ、アンティルールだ。これを受け取れ」
そう言って取り巻きはカードを1枚取り出した。が、俺はそれを断る。
「いや、恐らく俺のデッキコンセプトに合わない。その代わり1つ質問がある」
「……何だ」
情けと見られたのかも知れないが、そんな事は知らない。悔しかったら今度は勝てば良い。
人の下に付くんじゃ無く、自分の力で強くなって、な。
「ミヤコって女を知ってるか? 恐らく茶髪のロングなんだが」
「……いや、知らん」
期待はしてなかったが、落ち込むな、流石に。
「大変! ガードマンが来るわ! 時間外の使用がばれたら危険よ!」
「クッ、行くぞお前達! どうやらコイツがクロノス教諭に勝ったのはマグレだったらしいな!」
「はい万丈目さん!」
「覚えてろよ4番、次はオレが勝つ!」
ドタドタと万城目&取り巻きズが退散する。つーかガードマンが来るっつってんのに、騒ぐんじゃねぇよ。
「十代、俺達も危険だ。撤収するぞ!」
「いーやーだーっ! 俺はアイツと決着をつけるんだぁ!」
「ええい、ワガママ言うな! 肝心の相手はもういねぇんだよ!」
「でもよぉっ」
チッ、埒が明かん! 仕方ねぇ!
掌を十代の脇腹に当てる。そしてそのまま
「ゴメン、十代!」
という派手な音を立てて、十代は崩れ落ちた。
俺は十代を、そのまま担いで走り出す。
「逃げるぞ!」
「分かったわ」
「ハイッス!」
そしてそのままガードマンの目をやり過ごし、校舎の外への逃走に成功した。
to be continued
黎の性格は、若干クール寄りにしてありますが、基本的にはノリが良くてボケもツッコミもこなす兄貴分というか悪友的な立ち位置です。