遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
メガロック・ドラゴン(効果モンスター)
星7
地属性/岩石族
ATK ?/DEF ?
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地に存在する岩石族モンスターを除外する事でのみ特殊召喚できる。
このカードの元々の攻撃力と守備力は、特殊召喚時に除外した岩石族モンスターの数×700ポイントの数値になる。
フィオ「岩石族のリーサルウェポン! 10体除外すれば攻撃力はなんと7000!」
黎「最近は墓地肥やしの方法も増えてるし、強力な岩石族モンスターも増えている。トドメの駄目押しに呼んでやろう」
黎:LP 3200
手札:3枚
フィールド
:G・S ランチャー・トータス(DEF 2200)、G・S アーマード・エレファント(ATK 2500)
:魔法・罠無し
真奈:LP 4000
手札:5枚(内1枚は『黒魔術継承の儀式』)
フィールド
:フォーチュンレディ・ファイリー(DEF 600)、アーシー(ATK 2400)、リチュアル・シスター(DEF 1000)、超魔導士-ブラック・カオス・マスター(ATK 2800)、神聖魔導王 エンディミオン(ATK 2700)
:魔法・罠無し
スロウス:LP 5800
手札:12枚
フィールド
:アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン(ATK 5000)
:魔法・罠無し
SIDE:黎
さて、どうしたものか。『ガード・マスター』と『ネクロ・ガードナー』の能力は使っちまった。伏せカードは無し、つまりこれ以上スロウスの攻めを防ぐ事はできないという事だ。
「オデはカードを5枚セットォ~」
うお、全伏せなんざこっち来て久々に見たぜ……!
「更にお前らの場にいる『ブラック・カオス・マスター』、『エンディミオン』、『アーマード・エレファント』、オデの『アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン』をリリースして『ライアー・ゾンビ』を特殊召喚だぁ~!」
『ぐ、くあぁあああっ!?』
『ぬぉあああぁぁあっ!?』
『プォアアアアォンッ!?』
黒い法衣の女性魔導師が、黒い鎧の魔法都市の王が、鈍色の鎧の巨大な象が地中から現れた巨大な包帯の巻かれた手によって地中に引き擦り込まれる。
入れ替わりに出て来たのは血に染まった包帯に身を包んだ大柄なゾンビ。あちこちの歯が抜けており、残った数本の歯もボロボロだ。指も5本しっかり揃っていない。どうやら随分と腐敗しているようだ。包帯を巻いているのは、ドロドロになってしまった体を保護するためだろうか。
ライアー・ゾンビ(効果モンスター)(オリジナル)
星10
闇属性/アンデッド族
ATK 4500/DEF 3300
このカードは通常召喚できない。
相手フィールド上に存在するモンスターを3体と自分の場のモンスター1体をリリースした時のみ手札から特殊召喚できる。
このカードは魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。
このカードが場を離れた時、ゲームから除外される。
ライアー・ゾンビ:ATK 4500
「攻撃力が『青眼の究極龍』と同じとはな……!」
「『ラヴァ・ゴーレム』よりも酷い効果……! 相手モンスターを利用した上に自分の場にモンスターを特殊召喚するなんて……!」
ジュクジュクと疼く腐肉。今も正体不明の液体が指先から垂れている。
気持ち悪い。嫌悪感を心の底から呼び出す見た目だ。精神衛生上宜しく無いというのはこういうのを言うのだろう。
「ターンエンド~」
スロウス:LP 5800
手札:6枚
フィールド
:ライアー・ゾンビ(ATK 4500)
:伏せカード5枚
「俺のターン、ドロー!」
「諦めろぉ~。お前らに勝ち目なんか無い~」
「れ、黎さん…………っ」
スロウスが見下した顔でこちらを見る。隣の真奈ちゃんも表情が厳しい。
はん、悪いがなスロウス。プライドも、エンヴィーも……。
「そう言って散って逝ったんだぜ? 最後まで諦めなかった奴が勝利を掴み取る権利を得る。それが戦いの鉄則だ」
戦場で生き残れるのは、3種類の人間。
僅かな希望を見出して戦う、勇者。
自分の強さを信頼して勝ち続ける、猛者。
生きる事を望み続ける、臆病者。
誰が生き残るかなんて知らない。だが、途中で諦める事はリタイアと同義だ。
リタイアした奴には、その戦いにおける勝利の未来は絶対に待ってなんかいない。
「だから吼えろ、真奈ちゃん」
「ふぇ?」
「吼えろ。最後まで叫べ。負けない、諦めない、勝負はまだついていない、ってな。勝利の女神が微笑み、奇跡を起こすのは、いつだって生きる事や勝つ事を諦めなかった奴のためだ」
諦めない事こそが希望への道。
その証拠に、俺は次の一手を得た。
まずは地盤固めだ!
「『G・S ランチャー・トータス』の効果発動! 俺はデッキから『マグネット・ウォリアーα』を墓地へ送り、相手に500ポイントのダメージを与える! シュート!」
「おぉっとぉ、『悪順貫』を発どぉう。効果モンスターの効果を無効にして除外するぅ~」
悪順貫(オリジナル)
【永続罠】
効果モンスターの効果が発動した時に発動できる。
その効果を無効にしてゲームから除外する。
このカードが手札から捨てられた時、墓地には送られずゲームから除外され、相手に1000ポイントのダメージを与える。
1枚目、開いた!
すまない、『ランチャー・トータス』。お前を囮にしてしまった。
「俺は魔法カード『死者蘇生』を発動し、『マグネット・ウォリアーα』を蘇生!」
マグネット・ウォリアーα:ATK 1400
「罠発動、『灼熱の落とし穴』ぁ~。攻撃力500以上のモンスターが場に現れた時、そいつを破壊して除外ぃ~。そんでもって元々の攻撃力分のダメージだぁ~」
「ぐぁっ!」
ジュワッ! とマグマが溜まっている落とし穴の中へ緑の岩石の剣士が落ちる。穴の中で残らず溶かされ、吹きあがる熱気が俺を襲う。
それが2枚目か!
灼熱の落とし穴(オリジナル)
【通常罠】
相手の場に攻撃力500以上のモンスターが召喚・特殊召喚・反転召喚された時に発動できる。
そのモンスターを破壊してゲームから除外し、相手にその元々の攻撃力分のダメージを与える。
黎:LP 3200→1800
「俺はお前の場の『悪順貫』をコストに『トラップ・イーター』を特殊召喚!」
『ギッ!』
トラップ・イーター:ATK 1900
「更に魔法カード『調律』を発動! デッキから『クイック・シンクロン』を手札に加え、デッキトップを墓地へ送る!」
「速攻魔法発動、『遅延罰則』ぅ~。デッキから手札に加わったモンスターをゲームから除外し、相手に800ポイントのダメージを与えるぅ~」
「チェーンして速攻魔法『リズミカル・フォーカス』を発動! デッキから手札にカードが加わる効果が発動した時、そのモンスター1体を選択し、自分の場に存在するそれよりもレベルが1つ異なるモンスターをデッキに戻し、選択した手札のモンスターを1体特殊召喚する!」
遅延罰則(オリジナル)(改訂版)
【速攻魔法】
相手の手札にデッキからカードが加わる効果が発動した時に発動できる。
そのカードをゲームから除外し、相手に800ポイントのダメージを与える。
リズミカル・フォーカス(オリジナル)
【速攻魔法】
デッキから手札にモンスターが加わる効果が発動した場合、そのモンスター1体を選択して発動する。
自分の場に存在する、選択したモンスターよりもレベルが1つ高いまたは低いモンスター1体をデッキへ戻し、選択したモンスターを特殊召喚する。
その後、お互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローする。
「カモン、『クイック・シンクロン』! 対象となったモンスターが消えた事で『遅延罰則』は不発になる!」
『ハッ!』
「更に俺と真奈ちゃんで1枚ずつドロー!」
「あ、ありがとうございます!」
クイック・シンクロン:ATK 700
手にした拳銃を撃ちながら、ガンマン風チューナーが現れる。
まだまだ!
「『チューニング・サポーター』を通常召喚!」
『ハッ!』
チューニング・サポーター:ATK 100
「レベル2として扱う『チューニング・サポーター』にレベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!
集いし叫びが、木霊の矢となり空を裂く! 光差す道となれ!」
☆2+☆5=☆7
「シンクロ召喚! 貫け、『ジャンク・アーチャー』!」
『テェイッ!』
ジャンク・アーチャー:DEF 2000
橙の鎧に身の丈程もある大弓を構えた戦士が上空から降り立ち、守りの体勢に入る。
この召喚にチェーンは……、オッケー、無い!
今の内に畳み掛けないと!
「『チューニング・サポーター』の効果で、デッキからカードを1枚ドロー! 今引いた『強欲な壺』の効果で更に2枚追加ドロー! 続いて魔法カード『トレード・イン』を発動! 手札の『神獣王バルバロス』を墓地へ送り、カードを2枚ドロー! そして『天使の施し』を発動してカードを3枚引いて2枚捨てる! 今捨てた『暗黒界の狩人ブラウ』の効果で1枚追加ドロー!
更に『ジャンク・アーチャー』の効果発動! 『ライアー・ゾンビ』をエンドフェイズまでゲームから除外する! “ディメンジョン・アロー”! 本来ならこの効果はエンドフェイズ時には解除されるが、『ライアー・ゾンビ』の効果でエンドフェイズになっても自身の効果の影響で帰還できない!」
「ぬぅ……!」
「す、凄い……っ!」
自分でも半ば驚きのカードラッシュ。手札切れから3枚へと一足飛びに補充したのも驚きだが、この長台詞を一息で言えたのも驚いている。普段から馴染んでいて忘れていたが、改めて俺は化物なのだと実感せざるを得ない。
チューニング・サポーター(効果モンスター)
星1
光属性/機械族
ATK 100/DEF 300
このカードをシンクロ召喚に使用する場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「更に『サイクロン』を発動! スロウスの場の1番左の伏せカードを破壊する!」
「むがっ!?」
吹き飛んだのは『ブラックコインケース』。チッ、破壊するべきじゃ無かったカードか。
ブラックコインケース(オリジナル)
【通常罠】
フィールド上に存在する永続罠を1枚デッキに戻して発動する。
デッキからカードを1枚ドローする。
墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、デッキからカードを2枚ドローできる。
「カードを2枚伏せてターンエンド!」
黎:LP 1800
手札:0枚
フィールド
:ジャンク・アーチャー(DEF 2000)
:伏せカード2枚
「…………(ポカン)」
「ほら、君のターンだよ」
「(ハッ!)そうでした! アタシのターン、ドロー!」
アングリと口を開けていた真奈ちゃん。何がそんなに驚きだったんだ?
「このスタンバイフェイズ、『ファイリー』と『アーシー』のレベルが1つずつアップする!」
『まだまだ漲るぞぉ!』
『地獄への、カウントダウンだ……!』
フォーチュンレディ・ファイリー:☆5→6/ATK 1000→1200/DEF 1000→1200
フォーチュンレディ・アーシー:☆6→7/ATK 2400→2800/DEF 2400→2800
「この瞬間、『アーシー』の効果発動! レベルが上がる度に相手に400ポイントのダメージを与える! “ライジング・ニードル”!」
『せぇ、のぉっ!』
フォーチュンレディ・アーシー(効果モンスター)
星6
地属性/魔法使い族
ATK ?/DEF ?
このカードの攻撃力・守備力は、このカードのレベル×400ポイントになる。
自分のスタンバイフェイズ時、このカードのレベルを1つ上げる(最大レベル12まで)。
このカードのレベルが上がった時、相手ライフに400ポイントダメージを与える。
ザザザザザッ! と鋼の針が地面から飛び出し、スロウスを串刺しにする。
「イッデェ…………」
あまり効いているようには見えないが、ダメージは入った。これだけ奮闘してもまだ半分以上ライフが残っている所を見ると、スロウスはスロウスで腕のあるデュエリストなのだろうか。
スロウス:LP 5800→5400
「続いて『死者転生』を発動! 手札の『終わりの始まり』を捨てて墓地の『ブラック・マジシャン・ガール』を手札に戻す!」
死者転生
【通常魔法】
手札を1枚捨て、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを手札に加える。
「まだまだ! アタシは『ファイリー』をリリース! ゴメン、『ファイリー』!」
『バトンタッチだ! 後は任せる!』
「『ブラック・マジシャン・ガール』をアドバンス召喚! お願い、フレア!」
『私の本気、痛いですよぉ~!』
ブラック・マジシャン・ガール:ATK 2000
炎の魔女が光の中へと消え、入れ替わりに出て来たのは知る人ぞ知る、デュエルモンスターズのアイドルだ。健康的なベージュの肌、露出度の高い青とピンクの衣装、師と同じ曲がった帽子に短めの杖と、これだけ見れば魔法少女のコスプレイヤーに見える。これであの大黒魔術師の1番弟子で、師もその実力に一目置いているというのだから、本当に人は見た目では計れないものである。
ちなみにエクシーズ化した姿はあまり人気が無いらしい。
「魔法カード『黒魔術の奥義-ソウル・サークル-』を発動! 自分の場に『ブラック・マジシャン・ガール』が存在する時、墓地の魔法使い族モンスター2体につき1枚カードをドローできる!」
『そぉれ! 皆、力を貸して!』
これはビッグ2戦のデッキマスター能力を真似たカードか!
フレアが杖を一振りすると、二人の周囲にはこれまで戦いの場に赴いて来た魔法使い族達が現れた。
『ブラック・マジシャン』のルーン、『エンディミオン』、『ライティー』、『ファイリー』が円を描くように降り立ち、彼女達を縁に置くように魔法陣が現れた。
黒魔術の奥義-ソウル・サークル-(湊クレナイ先生オリジナル)
【通常魔法】
自分フィールド上に『ブラック・マジシャン・ガール』が表側表示で存在するときのみ発動できる。
墓地に存在する魔法使い族モンスター2体につき、デッキからカードを1枚ドロー出来る。
このカードを発動したターン、『ブラック・マジシャン・ガール』は攻撃する事が出来ない。
「そして儀式魔法『黒魔術継承の儀式』を発動! 自分の場の『ブラック・マジシャン・ガール』と墓地の『ブラック・マジシャン』をゲームから除外!」
『我らの力、今こそ一つに!』
『師弟の力、結集せよ!』
『『黒魔術結束の奥義、未来へと継承せん!』』
「『マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス』を儀式召喚!」
最高位の黒魔術の師弟が、巨大な魔法陣の上で杖を構える。魔法陣からは青い炎が立ち上がり、二人はその炎に身を包み、一つになる。
バサリ、と大きな翼をはためかせて降り立つ魔術師。否、大魔導師と言うべきか。『マジシャンズ・ヴァルキュリア』の衣装に派手さを加え、背中の羽も天使や鳥のものとは異なり、黄金の細長い菱形を複数集めてそれらしい形にしたものとなっている。
『参ります!』
黒魔術継承の儀式(湊クレナイ先生オリジナル)
【儀式魔法】
『マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス』の降臨に必要。
自分フィールド上に存在する『ブラック・マジシャン・ガール』と墓地に存在する『ブラック・マジシャン』を1体ずつゲームから除外することで、手札から『マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス』を特殊召喚出来る。
マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス(儀式・効果モンスター)(湊クレナイ先生オリジナル)
星10
闇属性/魔法使い族
ATK 3500/DEF 2500
このカードは通常召喚出来ない。
このカードは『黒魔術継承の儀式』の効果でのみ特殊召喚出来る。
1ターンに1度、手札の魔法カードを1枚除外することで除外されたまたは墓地に存在する「ブラック・マジシャン」、「ブラック・マジシャン・ガール」を選択し、デッキに戻す事で以下の効果を発動する事が出来る。
●「ブラック・マジシャン」:墓地に存在する魔法カードを除外することで対象としたカードの効果をこのモンスターの効果として使用する。
●「ブラック・マジシャン・ガール」:このターンのエンドフェイズ時まで、墓地に存在する魔法カード1枚につき、攻撃力と守備力を100ポイントアップする。
「ぬぅ、またメンドくさそうなモンスタァ~」
「『ブラック・ガーデス』、行くよ!」
『マスターの仰せのままに』
「……そういうの止めてって、前にも言ったんだけどな。まあ今はそれどころじゃ無いね! 『ブラック・ガーデス』の効果発動! アタシは手札の『マジック・スタンプ』をゲームから除外し、除外された『ブラック・マジシャン』をデッキに戻す!
『ブラック・ガーデス』は戻したカードによって効果が変化する! ルーンを戻した時、墓地の魔法カードを除外し、その効果を『ブラック・ガーデス』の効果として使用できる! アタシが除外するのは『終わりの始まり』! よってカードを3枚ドロー!」
ギュウォン、と真奈ちゃんの足元に大きな黒い魔法陣が一つ、その四隅?に小さめの黒い魔法陣が四つ現れる。
上手いな。本来ならこのカードは墓地の闇属性モンスターに関連した縛りとコストがある。だが、モンスター効果として“効果”を発動するのなら話は変わって来る。縛りもコストも効果では無いため、純粋なドローのみが適用される。確か『D-HERO ダイヤモンドガイ』でも同じ事ができた筈だ。
マジック・スタンプ(湊クレナイ先生オリジナル)
【通常魔法】
手札の魔法使い族モンスター1体を指定して発動する。
自分フィールド上の魔力カウンターを1個取り除く度に、指定した手札のモンスターのレベルを1つ下げる。
D-HERO(デステニーヒーロー) ダイヤモンドガイ(効果モンスター)
星4
闇属性/戦士族
ATK 1400/DEF 1600
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する時、自分のデッキの一番上のカードを確認する事ができる。
それが通常魔法カードだった場合そのカードを墓地へ送り、次の自分のターンのメインフェイズ時にその通常魔法カードの効果を発動する事ができる。
通常魔法カード以外の場合にはデッキの一番下に戻す。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
終わりの始まり
【通常魔法】
自分の墓地に闇属性モンスターが7体以上存在する場合に発動する事ができる。
自分の墓地に存在する闇属性モンスター5体をゲームから除外する事で、自分のデッキからカードを3枚ドローする。
「伏せカードが怖いけど……バトル! まずは『ブラック・ガーデス』でダイレクトアタック! “ブラック・ブレイク・シュート”!」
杖の先端に集まる魔法エネルギー。それが収束して黒い大きな、スパーキングしている球体に変化すると同時に、『ブラック・ガーデス』の全面に巨大な魔法陣が出現。その魔法陣の中央部分に杖をかざすと、黒い球体はビームのように一直線に飛んで行った。
俺はいつでもカウンターできるように伏せカードに手を伸ばす。ここで10倍反射ダメージなんてやられたらアウトだからだ。
が、予想に反してスロウスは何もやらず、黒いビームを正面から受けた。
「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
スロウス:LP 5400→1900
正面から、受けた……? 残りの伏せカードは戦闘では使えないのか?
ニィ、とスロウスは笑う。
違う、あれは罠だ!
「罠発動、『
「何!?」
『うぁぁあぁあああああああああああっ!?』
「『アーシー』ッ!」
最早針や槍と称すべきである雨が、メガネをかけた地の橙の魔女を襲う。必死で防壁を張って身を守ろうとするが、下から吹き上げられた突風によってバランスを崩し、光となって消えてしまった。
「でも、『アーシー』の元々の攻撃力は不明であるため0として扱われる! よってアタシはダメージを受けない!」
【通常罠】
プレイヤーが直接攻撃によって戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
相手フィールド上の攻撃を行ったモンスター以外のモンスターを1体破壊し、相手にそのモンスターの元々の攻撃力の倍のダメージを与える。
このカードの発動に対し魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。
「カードを3枚伏せて、ターンエンド!」
真奈:LP 4000
手札:4枚
フィールド
:マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス(ATK 3500)、リチュアル・シスター(DEF 1000)
:伏せカード3枚
「ここまでは、何とかなったな」
「ええ。でも残ったリバースカードは……」
「あれは多分だけど、『灰色の暴風俄か雨』よりも効果の弱いものだ」
「みぇ?」
別に俺は無根拠で言った訳じゃ無い。
邪神連中にとって、このデュエルで何が驚異的かと言えば、俺のサポートによる別世界のデュエリストのパワーアップだ。
ならばどうするか。簡単だ、先にどっちかを潰せば良い。こういう場合、性格や行動からデュエルのクセを読める俺よりも、情報が殆ど無い別世界の人を潰しにかかるものだ。
そしてさっきのリバースカード、もっと凶悪なカードが伏せてあるのならばあのタイミングで使っていた筈だ。実際、先のエンヴィー戦でエンヴィーが使用したカードには『ミラーフォース』に反射ダメージを加えたカードや、1ターン内永続の『ディメンジョン・ガード』があった。
なのに使って来たのはそのどちらよりも勝るとは言えないカード。ハッキリ言えば劣っている。
となれば、残ったカードは戦闘に関係しないか、或いは『灰色の暴風俄か雨』より弱いカードだと推測できる。出し惜しみする理由が無いし、倍返しや十倍返しなんてカードはエンヴィー戦を見ていればザラだという事ぐらい想像がつく。
スロウスの場の伏せたカードは、使い切った。これなら次のターンに動ける。
後はスロウスのターンだ。奴のターンで、全てが決まる。
「オデのタァーン。墓地の『ブラックコインケース』を除外し、カードを2枚ドロォ~」
頼む、大きなアクションを起こさないでくれ……!
「あ~、もうメンドクセェやぁ……。アレやるかぁ……」
「……っ」
「……!」
く、くっそぉ!
「相手フィールドにのみモンスターが存在するならば、『
『ぐふぅっ!』
DT マッド・メタル:ATK 1000
「更に墓地のドラゴン族モンスター『アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン』をゲームから除外しぃ、『死竜 デビヤマタ』を手札から特殊召喚ん~!」
『ギィオッ!』
死竜 デビヤマタ:ATK 800
急いでディスクのデータを読み取り、スロウスが場に出した2体のモンスターのデータを読む。リアルタイムでシビアな戦いが進行しているため、普段のデュエルならこんな事をしているヒマは無いのだが、スロウスの動作は逐一遅いので読み取れた。
「『マッド・メタル』のレベルは7、『デビヤマタ』は3!」
「合計レベルは……マイナス4! ダークシンクロが来るぞ!」
DT マッド・メタル(ダークチューナー・効果モンスター)(オリジナル)
星7
闇属性/機械族
ATK 1000/DEF 3900
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
このカードがダークシンクロ召喚の素材となった時、ゲームから除外された自分のモンスター1体を選択し、召喚条件を無視して特殊召喚できる。
この特殊召喚に成功した時、自分のライフを特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分回復する。
死竜 デビヤマタ(効果モンスター)(オリジナル)
星3
闇属性/ドラゴン族
ATK 800/DEF 800
このカードは自分の墓地に存在するドラゴン族モンスターを1体ゲームから除外する事で、手札から特殊召喚できる。
この効果で除外したモンスターの攻撃力が2000以上だった場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、自分フィールド上に存在するモンスター2体の種族と属性をエンドフェイズまで任意のものに変更できる。
「オデはレベル3の『死竜 デビヤマタ』にぃ、レベル7の『DT マッド・メタル』をダークチューニングゥ~!」
黒ずんだマーブル模様のドラム缶モドキが7つの黒い星となって禍々しい八つ首の竜の中へと取り込まれる。苦しむ八つ首の竜の体内で3つの白い星が黒い星と重なって砕け散り、4つの黒い星が闇の柱を生み出した。
「闇と絶望重なりし時、怠惰に溢れし冥府の扉が開かれん~! 光無き世界へぇ~!」
☆3-☆7=☆-4
「ダークシンクロォ~! 陥れろぉ、『漆黒のズムウォルト』ォ~!」
『グフォォオオオオオオオオオオッ!』
漆黒のズムウォルト(ダークシンクロ・効果モンスター)
星-4
闇属性/悪魔族
ATK 2000/DEF 1000
チューナー以外のモンスター1体-ダークチューナー
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードの攻撃宣言時、攻撃対象モンスターの攻撃力がこのカードの攻撃力よりも高い場合、攻撃対象モンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了時までこのカードと同じ数値にする。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
漆黒のズムウォルト:ATK 2000
「く、こいつで来たか!」
「素材となった『マッド・メタル』の効果発動だぁ~! 除外されたオデのモンスター、『アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン』を特殊召かぁ~ん! 更にその攻撃力分だけライフを回復する~!」
「げ、また出た! ……、何か疲れてる?」
まあ、3度4度と呼び出されてるからね。
『ギョゴオオオオオオオオオオオオオオオ……ッ!』
アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン:ATK 5000
スロウス:LP 1900→6900
「更に罠発動、『闇の水滴』ぃ! ダークシンクロ召喚に成功した時ぃ、手札の闇属性モンスター1体を特殊召喚だぁ~! 『ダブルコストン』を特殊召かぁ~ん!」
闇の水滴(オリジナル)
【通常罠】
ダークシンクロ召喚に成功した時に発動できる。
手札の闇属性モンスターを1体選択して特殊召喚できる。
その後、相手は墓地からモンスターを1体特殊召喚できる。
『ヒヒヒ……』
ポチャン、と黒い水滴が地面に落ち、水面でも無いのに波打つように波紋が広がる。そしてその地面の波紋の中心から出て来たのは黒いスライム形態の2体のモンスター。どうやら2体で1セットのようだ。
細い目と口は下品とも取れる程に曲がって笑っており、尻尾に相当する部分が繋がっている。2体で1セットと表現したが、或いは頭が2つあるモンスターなのかも知れない。
ダブルコストン:ATK 1700
こいつは確か、闇属性専用のダブルコストモンスターだったな。
「ただしぃ~、女もモンスターを墓地から蘇らせる事ができるぅ~」
「それならアタシは、墓地から『アーシー』を特殊召喚!」
『復活!』
フォーチュンレディ・アーシー:DEF ?→2400
「そしてオデは『ダブルコストン』をリリースだぁ~!」
内心、俺はこの言葉にホッとする。スロウスが自分を召喚する場合、恐らくは3体リリースだからだ。ダブルコストモンスターは飽くまで“2体分のリリース素材にできる”モンスター、つまりあいつ1体で3体分のリリースにはできない。
だが、油断はできない。こいつがどんなモンスターを出して来るか、ハッキリ言って予測がつかない。何が来る……!
「『ディジーズ・ワイバーン』をアドバンス召喚ん~!」
『ギヒャアアアアアアアアアアアアアアッ!』
ディジーズ・ワイバーン:ATK 2300
「2体リリースで、攻撃力2300?」
「気をつけろ真奈ちゃん。何が来るか分からないぞ?」
「あ、はい」
羽ばたいて降り立つのは紫色の翼竜。左右の目は大きさがかなり異なり、尾は半ば朽ち、左の翼は皮膜に穴が開いている。どう見ても命に関わる病に侵されているようにしか見えない。
「このままバトルだぁ~。まずは『ディジーズ・ワイバーン』で『ブラック・ガーデス』を攻撃ぃ~」
「自爆特攻!?」
「いや、あれをよく見ろ!」
マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス:ATK 3500→0
「え!?」
『く、力が、抜ける……っ!?』
「『ディジーズ・ワイバーン』がバトルを行う時、相手モンスターの攻撃力は0になる~」
「な!?」
「そして戦闘で相手モンスターを破壊した時、相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える~!」
ディジーズ・ワイバーン(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星8
闇属性/ドラゴン族
ATK 2300/DEF 1900
このカードは特殊召喚できず、このカードとの戦闘によって自分が受けるダメージは0となる。
(1):このカードが戦闘を行う場合、相手モンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで0になる。
(2):このカードがバトルで相手モンスターを破壊した場合、相手に破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。
「“ヘイト・イルネス・ブレス”ゥ~ッ!」
ブハァ、と毒々しい息吹が放たれる。片膝をついて息を荒げている『ブラック・ガーデス』は回避も防御もできない。
このまま攻撃が通れば合計で5800ダメージ! 真奈ちゃんのライフが尽きる!
ここで、使うか!
「罠発動『シールド・ジャケット』! このターンのみ、戦士族モンスターと魔法使い族モンスターは破壊されず、発生するダメージは0になる!」
シールド・ジャケット(オリジナル)
【通常罠】
このカードが発動したターン、自分フィールド上に存在する魔法使い族・戦士族モンスターは破壊されない。
また、自分の場の魔法使い族・戦士族モンスターを介して発生するダメージは0になる。
瞬時にホワイトのジャケットが『ブラック・ガーデス』達に装備される。ジャケットの胸元のペンダントが光り、魔法陣が展開。円柱状のバリアが発生し、醜悪なブレスを弾いた。
……『ジャンク・アーチャー』にも装備されているんだが、似合わないと思ったのは秘密だ。
「これで、このターンは安全だ。次のターンに巻き返せば問題無い」
「ふぅ、一安心……」
「更に『ズムウォルト』と『アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン』で『ジャンク・アーチャー』を攻撃ぃ~!」
何!? 破壊できないと分かっていて攻撃だと!?
再度魔法陣が展開して円柱状のバリアが墨のように黒い魔法と槍のように鋭い攻撃を防御する。
まさか、伏せカードに何かあるのか!
「罠発動~」
「だと思ったさチクショウ!」
このまま終わるワケ無いとは思ったよ!
「『誘爆する不発弾』~! 相手モンスターを戦闘で破壊できなかった時、コントローラーに1000ポイントのダメージを与えるぅ~!」
「く、だから『ジャンク・アーチャー』にも攻撃したのか!」
「コントローラーは二人! つまりアタシ達2人にダメージを与えるために!」
ジボッ! と足元で音がした。視線を下へ向けて見れば、足元には小型の爆弾。丸い漫画表現のヤツでは無く、爆撃機が落とすような細長い爆弾だ。それが足元に出現した音だったらしい。
こんな状況でも呑気に説明できるんだから、自分の神経の図太さには呆れ返るものだ。
誘爆する不発弾(オリジナル)(改訂版)
【通常罠】
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手モンスターを戦闘で破壊できなかったバトルフェイズの終了時に発動できる。
破壊できなかったモンスターの元々のコントローラーに1000ポイントのダメージを与える。
(2):相手ターンのバトルフェイズ開始時、墓地のこのカードを除外して発動する。
自分墓地の通常罠カードを1枚選択してセットする。
この効果でセットしたカードは、セットしたターンでのみ発動できる。
そしてドガン! と爆発する。俺は素早く全身を金属でコーティングしたし、真奈ちゃんは俺のプロテクターで守ってあるから大丈夫だとは思うんだが……。
黎:LP 1800→800
真奈:LP 4000→3000
「ぐ、ぉおおおおっ」
「う、イタタタ……」
煙が晴れ、軽く痛がっている真奈ちゃんを発見。どうやら無事らしい。
俺のダメージも小さくは無いが大きくも無い。皮膚の表面を耐熱使用+金属コーティングしたのが功を奏したようだ。
「真奈ちゃん、大丈夫かい? どこか怪我してない?」
「アタシは大丈夫ですけど、黎さんが……。ライフだってもうあまり残って無いし……」
「俺は平気だ。この程度で怯む程弱くねぇさ」
とは言え、ライフが残り少ないのも事実。『スピードワールド2』が発動しているライディングデュエルだったらセーフティラインを切っている。
マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス:ATK 0→3500
「カードを3枚伏せて、ターンエンドォ~」
スロウス:LP 5400
手札:2枚
フィールド
:漆黒のズムウォルト(ATK 2000)、アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン(ATK 5000)、ディジーズ・ワイバーン(ATK 2300)
:伏せカード3枚
「俺のターン!」
兎に角、今はこの状況を打破しないと、マズい!
「魔法カード発動! 『天よりの宝札』! 俺と真奈ちゃんはデッキから手札が6枚になるようにカードを引く! 俺はハンドレスから6枚だ!」
「アタシは2枚補充する!」
我ながら、ドローソースを手札0枚で引くとはチートだ。或いは主人公補正、恐るべしとでも言うべきか?
取り敢えずライフの残量を補充しないと、次の瞬間にゼロになってました、なんて笑おうにも笑えない事が起きかねない。
「俺は速攻魔法『神秘の中華なべ』を発動! 『ジャンク・アーチャー』を墓地に送り、ライフを攻撃力2300ポイント分回復する!」
黎:LP 800→3100
「更に俺は墓地の岩石族モンスター『ビッグ・ピース・ゴーレム』、『ミッド・ピース・ゴーレム』、『スモール・ピース・ゴーレム』、『バレット・アルマジロ』3体、『アーマード・エレファント』、『ロックストーン・ウォリアー』をゲームから除外し、『メガロック・ドラゴン』を特殊召喚!」
『グォオオオオオオオオオオオオッ!』
メガロック・ドラゴン:ATK ?
「『メガロック・ドラゴン』の攻撃力は、特殊召喚時に除外した岩石族1体につき700ポイント上昇する。今回除外したのは8体、よって攻撃力は5600!」
メガロック・ドラゴン:ATK ?→5600
大地が隆起し、岩の塊が巨大な龍を形作る。その周囲で8体の岩石族モンスターが浮かび、その体の中へと吸い込まれて行った。
大地の咆哮は地面を揺らし、ビリビリと地震のように振動した。
メガロック・ドラゴン(効果モンスター)
星7
地属性/岩石族
ATK ?/DEF ?
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地に存在する岩石族モンスターを除外する事でのみ特殊召喚できる。
このカードの元々の攻撃力と守備力は、特殊召喚時に除外した岩石族モンスターの数×700ポイントの数値になる。
「更に『G・S サポート・シープ』を通常召喚!」
『メェ~』
「自分の場に“G・S”と名のついたモンスターが存在する時、『G・S マックス・ユニコーン』は手札から特殊召喚できる!」
『ヒヒィ~ン!』
G・S サポート・シープ:DEF 1000
G・S マックス・ユニコーン:ATK 1400
邪神は俺の戦いのクセを知っているだろう。だからこそ、俺の普段のデュエルパターン、“パワー+メタ”という戦いの裏をかけるようなカードを使用する。だが、そこに別の人が入るだけでもうそのメタデッキの力は半減する。
俺がこいつらとのデュエルでやるべき事はただ一つ。一緒に戦ってくれる人のサポートだ。
サポートに徹するのならば、あの邪魔っけなモンスターやリバースカードを潰す必要があるな。
「バトル! 『マックス・ユニコーン』で『ディジーズ・ワイバーン』を攻撃!」
「え!? でも攻撃力は0に……」
「『マックス・ユニコーン』がバトルを行う時、相手モンスターの効果は無効になる! 更にバトルフェイズ中、自分の場に『マックス・ユニコーン』以外の“G・S”と名のついたモンスターが存在すれば攻撃力が1000ポイントアップする!」
G・S マックス・ユニコーン:ATK 1400→2400
鋼の鎧で武装した一角の馬が全速力で走る。土煙を上げ、蹄を高く鳴らし、鋭い角で腐食している翼竜を貫いた。
G・S マックス・ユニコーン(効果モンスター)(オリジナル)
星5
地属性/獣族
ATK 1400/DEF 1950
自分フィールド上に「G・S」と名のついたモンスターが表側表示で存在する時、このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードが相手モンスターとバトルを行う時、相手モンスターの効果はバトルフェイズ終了時まで無効となる。
このカードがバトルを行う時、自分の場にこのカード以外の「G・S」と名のついたモンスターが存在すれば攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1000ポイントアップする。
「“ラッシュ・ストライク”!」
「ぐお……!」
スロウス:LP 6900→6800
G・S マックス・ユニコーン:ATK 2400→1400
「まだまだ! 『メガロック・ドラゴン』で『アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン』を攻撃!」
岩石の龍が口の中に凄まじいまでのマグマのように熱いエネルギーを充填し始めた。
それに対抗するかのようにスロウスが手札を1枚切った。
「手札の『マレヴォレント』の効果を発どぉ~う。自分の闇属性モンスターがバトルを行う時、このカードを手札から捨てるぅ~。これで自分の闇属性モンスターは相手の攻撃力より攻撃力が500ポイント高くなり、破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを与えるぅ~!」
! 闇属性版『オネスト』か!
マレヴォレント(効果モンスター)(オリジナル)
星4
闇属性/悪魔族
ATK 1200/DEF 2000
自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを手札に戻す事ができる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する闇属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の差の数値分+500ポイントアップする。
この効果を受けた自分の場の闇属性モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した時、相手に破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。
アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン:ATK 5000→6100
「これで終わりだぁ~」
「アマいぞスロウス! カウンター罠『
透破抜き
【カウンター罠】
手札または墓地で発動する効果モンスターの効果の発動を無効にしゲームから除外する。
アボミナブル・ジェノサイド・ドラゴン:ATK 6100→5000
「ぬぁにぃ~!?」
「“ハイパー・アースバスター”!」
「グォオオオオオッ!?」
スロウス:LP 6800→6200
放たれる灼熱の砲撃。黒い龍はその砲撃で跡形も無く焼き払われてしまった。後に残るのは、焦げた地面と煙だけ。
厄介なモンスターは片付けたが、これで終わるのなら俺だって苦戦なんかしない。
「ぬぅ、罠発動、『死者の復讐』ぅ! 自分の場のモンスターがバトルで破壊された時、相手モンスターを全て破壊し、1体につき2000ポイントのダメージを与えるぅ~!」
「んだとぉ!?」
死者の復讐(オリジナル)
【通常罠】
自分の場のモンスターがバトルで破壊された時に発動できる。
相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、1体につき2000ポイントのダメージを相手に与える。
周囲が突如として暗くなり、俺達のモンスター達が苦しみ始める。喉を掻き毟り、息も荒い。どんどん生気の無い顔色となっていく。
『マスター……!』
「『アーシー』?」
『真ん中の、伏せカードを……! 私を使って……っ!』
脂汗を流しながら必死に『アーシー』が主に求める。
「で、でも!」
『このままじゃ全滅する……! だから、使って……!』
「…………っ、分かった!」
渋っていた、いや躊躇していた真奈ちゃんだったが、状況が状況だけに承諾したらしい。
「リバースカード、オープン! カウンター罠『魔女の血判』! ライフを500払い、自分の場の攻撃力2000以上の魔法使い族モンスターを1体破壊する事で、相手のカードの効果を無効にできる!」
魔女の血判(オリジナル)(改訂版)
【カウンター罠】
自分フィールドに攻撃力2000以上の魔法使い族モンスターを対象に発動する。
(1):LPを500払い選択したモンスターを破壊する事で、相手の効果の発動を無効にして破壊する。
このカードの発動に対して、相手はカウンター罠を発動できない。
メガネをかけた地の魔女が消え、紅色の魔法陣が広がる。血のように赤い光が、不気味な程に暗い辺りを照らした。
キラキラと光に変わっていく『アーシー』の言葉だけが、その場に『アーシー』がいたという証拠だった。
真奈:LP 3000→2500
『……ありがとうございます、マスター』
「ごめんね、『アーシー』……。でも、貴方の頑張りは無駄にしない! 『アーシー』が破壊された事でアタシは罠カード『フォーチュン・インハーリット』を発動!」
フォーチュン・インハーリット
【通常罠】
自分フィールド上に表側表示で存在する「フォーチュンレディ」と名のついたモンスターが破壊されたターンに発動する事ができる。
次の自分のスタンバイフェイズ時に手札から「フォーチュンレディ」と名のついたモンスターを2体まで特殊召喚する事ができる。
「その効果で、アタシは次の自分のスタンバイフェイズに手札から2体まで“フォーチュンレディ”と名のつくモンスターを特殊召喚できる!」
「ぬぅ……っ!」
「ナイスだぜ、真奈ちゃん。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
黎:LP 3100
手札:2枚
フィールド
:メガロック・ドラゴン(ATK 5600)、G・S サポート・シープ(DEF 1000)、G・S マックス・ユニコーン(ATK 1400)
:伏せカード1枚
「アタシのターン! このスタンバイフェイズ、『フォーチュン・インハーリット』の効果で、手札から『フォーチュンレディ・ダルキー』と『フォーチュンレディ・ウォーテリー』を特殊召喚!」
『さぁ、行きますよ!』
『出番、だよね……?』
シュタッ、と光の中から二人の魔女が地面に着地する。
片や闇を司り、片や水を司る。大人っぽい自信に溢れた紫の魔女は油断無く杖をの先端をスロウスに向ける形で構え、オドオドと弱気な青い魔女は杖を斜に守りを重視した構えである。
「『ダルキー』の攻守はレベル×400、『ウォーテリー』は300! 『ダルキー』のレベルは5、『ウォーテリー』は4! よって攻守は2000と1200!」
フォーチュンレディ・ダルキー:ATK ?→2000
フォーチュンレディ・ウォーテリー:ATK ?→1200
「『ウォーテリー』の効果発動! 自分の場に『ウォーテリー』以外の“フォーチュンレディ”と名のついたモンスターが存在する時に特殊召喚に成功した場合、カードを2枚ドローできる! “アクア・サプリメント”!」
『水は流れる。悠久の時を超え、新たな力をマスターに……』
クルクルと回る青い魔女の杖。2つの小さな水の玉が生まれて真奈ちゃんのデッキに潜り込み、2枚のカードが宙に浮かんだ。
上手いな。『フォーチュン・インハーリット』の効果で減った手札が元に戻った。
フォーチュンレディ・ダルキー(効果モンスター)
星5
闇属性/魔法使い族
ATK ?/DEF ?
このカードの攻撃力・守備力は、このカードのレベル×400ポイントになる。
自分のスタンバイフェイズ時、このカードのレベルを1つ上げる(最大レベル12まで)。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する「フォーチュンレディ」と名のついたモンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分の墓地に存在する「フォーチュンレディ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。
フォーチュンレディ・ウォーテリー(効果モンスター)
星4
水属性/魔法使い族
ATK ?/DEF ?
このカードの攻撃力・守備力は、このカードのレベル×300ポイントになる。
自分のスタンバイフェイズ時、このカードのレベルを1つ上げる(最大レベル12まで)。
自分フィールド上に「フォーチュンレディ・ウォーテリー」以外の「フォーチュンレディ」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合にこのカードが特殊召喚に成功した時、自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「続いて『フォーチュンレディ・ウインディー』を通常召喚!」
『行くよ!』
通常召喚の形で時空の穴から飛び出したのは風を司る緑の魔女。杖の先端は下を向いているが、意気揚々とした表情が伺える。
「『ウインディー』の攻守は『ウォーテリー』と同じレベル×300! レベルは3なので攻守は900!」
フォーチュンレディ・ウインディー:ATK ?→900
「続いて『ウインディー』の効果発動! 召喚に成功した時、アタシの場の“フォーチュンレディ”1体につき1枚、相手の魔法・罠を破壊できる! “ストーム・ショット”!」
『喰らえっ!』
ゴウ! と一陣の風が吹き、スロウスの場の伏せカードを空高くへ吹き飛ばした。
ここまで計算して『フォーチュン・インハーリット』を使ったのであったのなら、真奈ちゃんの計算能力はかなり高いものになる。直観でしか動かないノーマルデュエリストとは大違いだ。
フォーチュンレディ・ウインディー(効果モンスター)
星3
風属性/魔法使い族
ATK ?/DEF ?
このカードの攻撃力・守備力は、このカードのレベル×300ポイントになる。
自分のスタンバイフェイズ時、このカードのレベルを1つ上げる(最大レベル12まで)。
このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に表側表示で存在する「フォーチュンレディ」と名のついたモンスターの数だけ、相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを破壊する事ができる。
「魔法カード『魔術の施し』を発動! デッキから3枚のカードを引いて2枚捨てる!」
魔術の施し(オリジナル)
【通常魔法】
自分の場に魔法使い族モンスターが2体以上存在する時のみ発動できる。
デッキからカードを3枚引き、2枚を捨てる。
墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、墓地に存在する魔法使い族モンスターを1体、自分の場に攻撃表示で特殊召喚できる。
「そして儀式魔法『カオス-黒魔術の儀式』を発動! アタシは場の『リチュアル・シスター』と『ダルキー』をリリース!」
『主のためならば、この身、喜んで贄となりましょう』
「ごめんね……。『マジシャン・オブ・ブラック・カオス』を儀式召喚!」
『トァッ!』
マジシャン・オブ・ブラック・カオス:ATK 2800
大きな魔法陣の両隣に並ぶ、黄金色の壺。そこで燃えている炎が柱となって天へと昇り、黒い光が人の形を成す。
全身に黒いベルトを巻いた、黒魔術最高峰の魔術師の内の1人が、降臨した。
「『リチュアル・シスター』の効果発動! このカードが儀式素材となった時、自分の場の魔力カウンターを任意の数取り除き、その数×100ポイント、アタシの場の魔法使い族モンスター攻撃力を上げる!
チェーンして罠カードオープン! 『漆黒のパワーストーン』! 発動後、このカードに魔力カウンターを3つ乗せ、1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを別のカードに乗せる事ができる!」
漆黒のパワーストーン
【永続罠】
発動後、このカードに魔力カウンターを3つ置く。
自分のターンに1度、このカードに乗っている魔力カウンター1つを取り除き、フィールド上に表側表示で存在するこのカード以外の魔力カウンターを置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く事ができる。
このカードに乗っている魔力カウンターが全て無くなった時、このカードを破壊する。
漆黒のパワーストーン:魔力カウンター 0→3
リチュアル・シスター(効果モンスター)(湊クレナイ先生オリジナル)
星3
水属性/魔法使い族
ATK 1000/DEF 1000
このカードが召喚に成功した時、自分のデッキから儀式魔法または儀式モンスターを1体手札に加える。
このカードが儀式魔法のコストとして墓地に送られた時、自分フィールド上の魔力カウンターを任意の数だけ取り除いて、自分フィールド上に表側表示で存在する魔法使い族モンスターの攻撃力をこのターンのエンドフェイズまで、取り除いた数×100ポイントアップさせる。
「『漆黒のパワーストーン』のカウンターを3つとも取り除き、攻撃力を300ポイントアップさせる! 同時にカウンターが無くなった事で『パワーストーン』を破壊!」
漆黒のパワーストーン:魔力カウンター 3→0
マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス:ATK 3500→3800
マジシャン・オブ・ブラック・カオス:ATK 2800→3100
フォーチュンレディ・ウォーテリー:ATK 1200→1500
フォーチュンレディ・ウインディー:ATK 900→1200
「凄いな、真奈ちゃん。だが……!」
「だぁがぁ! 『漆黒のズムウォルト』はバトルでは破壊されずぅ、相手のみを一方的に破壊できる効果を持つぅ~。攻撃力なんて、無駄ぁ~」
そうだ。どれだけ攻撃力が高かろうとも、『ズムウォルト』の能力は“戦闘では破壊されない”、そして“攻撃を行う時、自分の攻撃力と相手の攻撃力を同じにする”だ。
戦闘破壊されないモンスターの中では特に能力値が高く、超過ダメージを狙っても倒しにくい。現にスロウスの現在のライフは6200だ。超過ダメージを狙って倒すのなら8200の攻撃力が必要。
しかし、現在『ズムウォルト』の攻撃力を超えている『マジシャン・オブ・ブラック・カオス』と『マジシャン・オブ・ブラック・ガーデス』の攻撃力の超過分の合計は2900、半分にも満たない。
だが、そんな心配を余所に、真奈ちゃんはニヤリ、と笑った。
「確かに、『ズムウォルト』はバトルでは破壊されない。でもそれは裏を返せば、それ以外なら破壊できるという事!」
「何ぃ!?」
「速攻魔法『ディメンション・マジック』を発動! 自分の場の魔法使い族モンスターを1体リリースし、手札の魔法使い族モンスターを1体特殊召喚できる! 更にその後、相手モンスター1体を破壊できる!」
ディメンション・マジック
【速攻魔法】
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。
その後、フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事ができる。
「『ウインディー』をリリースし、『轟雷の破壊神-デビルホワイト』を特殊召喚! ごめん、『ウインディー』!」
『大丈夫! 行くよ!』
「更に『ズムウォルト』を破壊!」
轟雷の破壊神-デビルホワイト:ATK 2500
バチバチバチッ、と雷が鳴り響き、一人の少女が降り立つ。サイドポニーの茶髪で、額の端でクロスする形の髪留めで髪を留めている。紅い瞳が、強い意志を以てスロウスを見下す。視界の端では、ドロドロに溶けて原型を失った漆黒の魔術師がいる事だろう。
「『デビルホワイト』の効果発動! 1ターンに1度、このカード以外のフィールド上の魔法使い族モンスター1体につき、攻撃力を400ポイントアップさせる!
更に手札を1枚デッキへ戻してシャッフルし、カードを1枚ドロー!」
『はぁっ!』
轟雷の破壊神-デビルホワイト(オリジナル)
星7
光属性/魔法使い族
ATK 2500/DEF 1500
このカードは墓地から特殊召喚できない。
1ターンに1度、手札を1枚デッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドローできる。
1ターンに1度、次の相手のメインフェイズ2まで、自分の場のこのカード以外の魔法使い族モンスター1体につき、このカードの攻撃力を400ポイントアップさせる事ができる。
轟雷の破壊神-デビルホワイト-:ATK 2500→3700
手にした赤い宝石を頂きに冠した杖が優しい光を発する。彼女の周囲に、7色の魔法の珠が無数に浮かんだ。
「さあ、これでフィニッシュだ!」
意気揚々と真奈ちゃんが宣言する。確かに、真奈ちゃんの場には攻撃力3000オーバーの魔法使い族モンスターが3体もいる。
だが、対するスロウスの表情はさっきまでの無表情とは異なり、笑っている。
何かしかけている。だが、真奈ちゃんはそれに気付いている様子は無い。
「バトル!」
「墓地の『誘爆する不発弾』の効果発動ぅ~! 『マイン・ハッキング』を墓地からセットだぁ!」
「構うものか! 『ブラック・ガーデス』でダイレクトアタック!」
「この瞬間、『マイン・ハッキング』を発動するぅ~! お前らのモンスターを全て破壊し、1体につき800ダメージだぁ~!」
マイン・ハッキング(オリジナル)
【通常罠】
相手の攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、1体につき800ポイントのダメージを与える。
「っ! 俺の場には3体いるから、2400ダメージ!」
「アタシは……、3200!?」
マズい! 真奈ちゃんのライフが尽きる!
出し惜しみしてる余裕は、無いか!
「罠カード発動『鉄壁の石垣』! 自分の場の岩石族か機械族を1体リリースし、発生する効果ダメージを1度だけ無効にできる! 『サポート・シープ』をリリース!」
鉄壁の石垣(オリジナル)
【カウンター罠】
自分の場の岩石族または機械族モンスターを1体リリースして発動する。
このカードが発動したターンに発生するダメージを1度だけ0にできる。
墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、このカードの効果でリリースされたモンスターをデッキに戻し、カードを1枚ドローできる。
「真奈ちゃんに発生するダメージを無効にする!」
「え!?」
石でできた羊が消滅し、真奈ちゃんの回りを鉄色の岩が壁のように覆う。起爆するモンスター達、そして発生する爆炎と爆風。だが、真奈ちゃんは強固な石の壁で守られているので問題無い。
故に、ダメージを受けるのは俺だけだ。
「ぐぁあああああああああああっ!」
これは、キツい……! 1600ポイントダメージに減ったとは言え、残りライフの半分以上のダメージは厳しい。
熱い。炎が熱い。
痛い。全身が、痛いっ!
熱と痛みに押され、俺の頭はフェードアウトした。
ゆっくりと、地面に倒れる。
黎:LP 3100→1500
「黎さぁん!」
真奈ちゃんの声が、聞こえたような気がした。
SIDE:真奈
「アタシの、アタシのせいだ……! アタシが調子に乗らなければ……!」
悲しい。悔しい。涙が、止まらない……っ!
自分の軽はずみな行動のせいで、共に闘っている味方が傷つき、倒れてしまったのだ。
そして気が付く。自分はまたプレイングミスをしてしまった。
「『神の宣告』……!」
さっきまで手札にあった、『魔術の施し』で捨てたカード『神の宣告』。これを前のターンに伏せ、『マイン・ハッキング』に対して使えば良かったんだ……!
ライフが半分になるのが、正直怖かった。黎さんに見せてもらった記憶の中で、黎さんは血塗れになりながらも戦っていた。
―――恐い。
あの姿にアタシが抱いた感想は恐怖だった。闇のゲームは1度だけやった事がある。でも、それで受けたダメージは精々が鈍い衝撃。あんな殺し合いを体現したようなものじゃ無かった。
「アタシは……ッ! 我が身可愛さに……!」
そうだ。恐怖に負け、使えるカードを使わず、その結果として黎さんを傷つけてしまった。生きているかどうかは分からない。
違う、生きていてほしい。
岩の壁がダメージを防いでくれるのは1度だけ。アタシと黎さん2人分は、2回とカウントされて、守れるのは、どっちか片方。
自分の身を守れるハズなのに、アタシを見捨てられるハズなのに、黎さんは、アタシを守った。
自分よりも他人のために。転生前のあの人の行動が、アタシのバカさ加減を突き付けているようにも思えて。そんな事無いと分かっているから、余計に惨めで。
惨めと思う資格も無いから、自分に腹を立てて。
自分の愚かさに、苛立ちが募った時、アタシの頭の中でブツン! と何かがブチ切れた音が、した。
to be continued