遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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都「あれ? 今回は注目のカード無いの?」

フィオ「あんなデュエルに注目もへったくれもないよ」

黎「途中経過省いたのばっかだしなぁ」


STORY47:不服VS闇

――レッド寮から北へ約500メートルの位置・AM 3:01

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

 バシュッ! と再び足が地を捉える感触。元の世界への帰還に成功したようだ。

 真奈ちゃんも無事、帰還できただろうか? 彼女の不安や悩みを解消できただろうか?

 そんな悩んでも解決しない事を考えながら、俺は寮へと帰還する。

 

 ああ、星が綺麗だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――デュエルアカデミア デュエルリング・PM 15:43

 

 

「流石だな、大地。ここまで追い詰められたのは何時以来だろうな!」

「君の行動パターンは完全に計算してある! このデュエル、83.91%の可能性で俺の勝ちだ!」

 

 

 

黎:LP 400

手札:5枚

フィールド

:レベル・スティーラー(DEF 0)

:魔法・罠無し

 

 

 

大地:LP 3000

手札:0枚

フィールド

虚無の統括者(ヴァニティー・ルーラー)(ATK 2500)、ライオウ(ATK 1900)、ダーク・シムルグ(ATK 2700)

:生贄封じの仮面(永続罠)、魔封じの芳香(永続罠)、王宮の弾圧(永続罠)、宮廷のしきたり(永続罠)

 

 

 

 アカデミアにおける3度目の月一試験、対戦相手はラーイエローの最強にてオベリスクブルーに最も近しいと言われる男、三沢 大地だった。

 大地はどうやら対俺用のデッキを組んだらしく、何でも『これが対十代用の8番目のデッキに次ぐ、対黎用の9番目のデッキだ!』らしい。

 

 その実態は特殊召喚封じの【アロマシムルグ】と【虚無の統括者】の混成デッキ。

 何コレ普通に強いんですけど。

 つか、十代がコレやられたら積むぞ……。

 

 大地は俺のシンクロとエクシーズを警戒しているらしく、特に特殊召喚用のメタカードを多く採用しているようだ。

 最初のターンで『始皇帝の陵墓』を使用して『虚無の統括者』を召喚。更に『非常食』で支払ったライフの半分を回復しつつ俺に『始皇帝の陵墓』を使わせないように封印。

 返しのターンで『団結の力』で強化した『マックス・ウォリアー』で攻撃を仕掛けようとした所、伏せていた『攻撃の無力化』で攻撃を防がれる。

 

 

 

始皇帝の陵墓

【フィールド魔法】

お互いのプレイヤーは、アドバンス召喚に必要なモンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚する事ができる。

 

 

 

虚無の統括者(効果モンスター)

星8

光属性/天使族

ATK 2500/DEF 1600

このカードは特殊召喚できない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚する事ができない。

 

 

 

 更に返しのターン、『天使の施し』で大地は『ブラッド・ヴォルス』と『サファイアドラゴン』を墓地へ送って除外して『ダーク・シムルグ』を特殊召喚し、追加で『ライオウ』を召喚。『ダーク・シムルグ』の攻撃を『くず鉄のかかし』で防ぐも攻撃を食らう。

 

 

 

ライオウ(効果モンスター)

星4

光属性/雷族

ATK 1900/DEF 800

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。

また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 

 

 

 反撃を試みようとするも、『魔封じの芳香』で魔法を封じられ、伏せる事もできなくなる。実質的に魔法と罠を封じられた状況を脱出しようとするが、『生贄封じの仮面』と『王宮の弾圧』で手札の『溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム』が腐る。

 おまけに『宮廷のしきたり』を利用してその永続罠をガードするという用意周到ぶり。

 

 

 

ダーク・シムルグ(効果モンスター)

星7

闇属性/鳥獣族

ATK 2700/DEF 1000

このカードの属性は「風」としても扱う。

自分の墓地の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを手札から特殊召喚する。

手札の闇属性モンスター1体と風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを自分の墓地から特殊召喚する。

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手はフィールド上にカードをセットする事ができない。

 

 

 

魔封じの芳香

【永続罠】

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いに魔法カードはセットしなければ発動できず、セットしたプレイヤーから見て次の自分のターンが来るまで発動する事はできない。

 

 

 

生贄封じの仮面

【永続罠】

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーはカードをリリースできない。

 

 

 

王宮の弾圧

【永続罠】

800ライフポイントを払う事で、モンスターの特殊召喚及び、モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし破壊する。

この効果は相手プレイヤーも使用する事ができる。

 

 

 

宮廷のしきたり

【永続罠】

フィールド上に表側表示で存在する「宮廷のしきたり」以外の永続罠カードを破壊する事はできない。

「宮廷のしきたり」は、自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 

 

 

 必死に耐えるも、ついにこのターンの初めに『砂塵の大竜巻』で『くず鉄のかかし』が破壊されてしまう。

 

「さあ、これで終わりだ! 『ライオウ』で『レベル・スティーラー』を攻撃! “ライトニング・バレット”!」

「くっ!」

「そして『虚無の統括者』でダイレクトアタック! “ヴァニティー・ショック”!」

 

 雷の砲撃で黒焦げにされる巨大テントウムシ。

 そして放たれる無色の魔術。その魔術の周囲の空間が歪んでいるため、その存在が辛うじて分かる。

 

「俺の勝ちだな、黎!」

「まだまだ! 手札から『速攻のかかし』を捨てる!」

 

 見えない魔術を、体を張って受け止める機械仕掛けの案山子。

 本当にお世話になります。

 

「くぅ……、ターンエンドだ! だが次のターンで全てが決まる、お前のラストターンだぞ黎!」

 

 

 

大地:LP 3000

手札:0枚

フィールド

:虚無の統括者(ATK 2500)、ライオウ(ATK 1900)、ダーク・シムルグ(ATK 2700)

:生贄封じの仮面(永続罠)、魔封じの芳香(永続罠)、王宮の弾圧(永続罠)、宮廷のしきたり(永続罠)

 

 

 

 ふぅ、ギリギリで防いだが、この状況は芳しく無い。

 手札のカードは、全て腐ってしまっている。

 

 

【黎の手札】

『溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム』

『大嵐』

『ライトニング・ボルテックス』

『巨大化』

『ガード・ブロック』

 

 

 引くカードで、全てが決まる。

 この状況を、引っ繰り返してくれ!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 来た!

 

「俺は『スナイプストーカー』を召喚!」

「ここで『スナイプストーカー』だと!?」

 

 

スナイプストーカー:ATK 1500

 

 

『ヘヘェッ!』

 

 光線銃を持った黒い悪魔が、ニヤニヤと笑いながら小さな翼で浮遊する。

 

「『スナイプストーカー』のモンスター効果、発動! 手札を1枚捨てて、場のカードを1枚選択し、サイコロを1度振る! 2から5の目が出れば、選択したカードを破壊する事ができる! 対象は『宮廷のしきたり』!」

 

 手札の『ラヴァ・ゴーレム』を捨て、悪魔の銃が永続罠に照準を定める。

 同時にその頭上にサイコロが回転し始め、やがて止まる。

 

 

 

スナイプストーカー(効果モンスター)

星4

闇属性/悪魔族

ATK 1500/DEF 600

手札を1枚捨て、フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。

サイコロを1回振り、1・6以外が出た場合、選択したカードを破壊する。

 

 

 

 出た目は……!

 

「出た目は4! よって破壊!」

『キヒィ!』

「うわぁっ!」

 

 バシュン! とレーザーが放たれ、大地のカードが消滅する。

 これで終わりじゃ無いぜ?

 

「再び『スナイプストーカー』の効果を発動! 今度は『魔封じの芳香』!」

 

 こいつの効果に1ターン内の制限回数は無い。次に捨てるのは『ガード・ブロック』。

 再びサイコロが回り、出た目は2。成立だ。

 

「破壊成功! そして魔法カード『ライトニング・ボルテックス』を発動! 手札の『大嵐』を捨て、お前の場のモンスターは全滅する!」

「な!?」

 

 

 

ライトニング・ボルテックス

【通常魔法】

手札を1枚捨てて発動する。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。

 

 

 

 ズッガァアアアアアアアアアン! と雷が降り注ぎ、一瞬で大地の場に滞在していたモンスター達が焼き尽くされる。

 これで、ガラ空きだ。

 

「そして装備魔法『巨大化』を『スナイプストーカー』に装備して、バトル!」

 

 

スナイプストーカー:ATK 1500→3000

 

 

 

巨大化

【装備魔法】

自分のライフポイントが相手より下の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる。

自分のライフポイントが相手より上の場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を半分にした数値になる。

 

 

 

 瞬時に倍の大きさになる、悪魔の狙撃手。未だにこれと『収縮』の裁定は難しい。

 

「『スナイプストーカー』で大地にダイレクトアタック! “ヘルスナイプ・シュート”!」

「どわぁあああああああああああっ!」

 

 

大地:LP 3000→0

 

 

 

黎:WIN

大地:LOSE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう……、アレはかなりヤバかったよ」

「ははは、まさかあれを破るとは……、俺もまだまだという事か……」

 

 大地とのデュエルを終え、翌日の教室。大地と俺は反省会を開いていた。

 ロックというのは便利だが、その逆、破れるカードにはかなり弱い。

 

 魔法・罠・アドバンス召喚を封じたが、『スナイプストーカー』による効果は許してしまったのがあの状況。俺ならばあの状況に『デスカリバー・ナイト』を投入する。これでモンスター効果を封じられる。

 『虚無の統括者』と『ダーク・シムルグ』の場を制圧する効果は永続効果なので、自壊を防ぐ事ができるって寸法だ。

 

 

 

死霊騎士デスカリバー・ナイト(効果モンスター)

星4

闇属性/悪魔族

ATK 1900/DEF 1800

このカードは特殊召喚できない。

効果モンスターの効果が発動した時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを生け贄に捧げなければならない。

その効果モンスターの発動と効果を無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 

 

 これなら『ライオウ』の効果と『ダーク・シムルグ』の特殊召喚以外には反応しないから、更にロックが凶悪になっていた。危ない。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

「今日の授業はここまでなのニャ~」

 

 大徳寺先生の錬金術の授業は、基本的に楽しい。それにサボろうがお喋りしようがあの先生は目くじらを立てたりしない。反省会には持って来いだ。

 本来ならば、ここで授業が終わるのだが、大徳寺先生はここで待ったをかけた。

 

「ああ、遊城くん、遊馬崎くん、天上院くん、神山くん、それから 三沢くんは残って下さいニャ」

 

 俺とフィオと十代と明日香と大地?

 それと先生、何故大地の名前を呼ぶ時に半角空けたんですか?

 

 そんなどうでも良い疑問はさておき、先生から説明を受ける。

 

「今呼ばれた5人は、ノース校とのデュエルに出場するのですニャ」

「「ええ!?」」

「何だって!?」

「マジ!?」

「何と……」

 

 ちなみに上から順にフィオ&明日香、大地、十代、俺。

 はて、ノース校とのデュエルは1対1だったハズでは……?

 

「アチラさんの意向で、5対5、しかも全員1年生という事になったのですニャ」

「何と……」

 

 同じセリフを繰り返すのは芸が無いと分かりつつ、やってしまう俺。

 

「というワケで、誰がどういう順番で出るか、決めてこの紙に書いて下さいですニャ~」

 

 期限は明後日らしい。1週間後にノース校とのデュエルがあるため、向こうとの連絡の兼ね合いもあるのだろう。

 失礼しますニャ~、と大徳寺先生は相変わらず独特の言い回しでその場を去った。

 

「それはさて置き」

「何が?」

「独り言なんでお気になさらず。で、誰がどういう順番で出る? 個人的には大将は十代か大地が良いと思うんだが」

 

 あー。と俺と十代と大地を除く2人が納得する。

 

「えー、でもシンクロとかエクシーズが使える黎が行った方が良いんじゃねぇの?」

「確かに。奇襲性もあるし、何より相手に対策されている事を逆手に取るだけの力が黎にはある」

「ダブルで却下。あの後海馬社長とペガサス会長からアカデミア以外で不用意にシンクロとエクシーズを使わないように釘刺されてるんだ。他校の生徒が山ほどいる中で使えるワケがねぇだろ」

 

 万丈目があっちにいる場合、テレビカメラが回る事になっている。そうなれば確実に全世界の注目の的。良くてもあの二人に大目玉では済まないだろう。

 

「つーワケで、いっちゃん強い奴に俺はなれん。必然、俺に勝ち星を挙げられるであろう十代か、頭脳プレイができる大地が適任だろうな」

「俺はやめておこう。シンクロもエクシーズも使わなかったにも関わらず、先の月一試験は敗北した。となると、十代が良いと思う」

 

 はい決定。

 

「待った」

 

 フィオ?

 

「わたしは二人の実力は知っている」

「だろう? だから実力の元であるシンクロとエクシーズを使えない状況じゃ……」

「でも、君がシンクロとエクシーズを使わない時の実力は知らない」

「…………」

「やってみて欲しい、十代くんとのデュエルを。君の全力全開の戦いを」

「…………、全てを出し切るとなると、シンクロとエクシーズを出さざるを得ない」

「なら、それでも良い」

 

 ガシガシと頭を掻く。

 こいつ、意外と頑固だからなぁ。こうなるときっと梃子でも動かねぇだろうなぁ。

 

「あー、分かった。準備をしたいから、明日で良いか? 明日の放課後18時、レッド寮の前で」

「聞くんだったら、わたしじゃなくて十代くんにでしょ?」

 

 呆れたような声を出すが、フィオ、それは無用だ。

 

「俺は良いぜ!」

 

 な?

 十代だったらこう言うからさ。

 

「くぅー! 黎とのデュエル、考えてみっと初めてだぜ!」

「はいはい」

 

 楽しそうですねー。

 ま、やるとなったからにゃ仕方ない。以前から考えていた対十代用のデッキ、持ち出すかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――翌日の放課後 アカデミアの廊下・PM 16:01

 

 

「まーたお前らか。今度は何の要件だ?」

 

 授業が終わり、帰途の途中。

 俺はとある連中に絡まれていた。

 

「俺はお前らと違って暇じゃねぇんだが」

「ナメんなよゴラ? レッドの生徒の分際で生意気なんだよ!」

 

 まあ、この一言で判ると思うが、俺に絡んでいるのはブルーだ。それも高田の様なキャラの。更に付け加えると、絡んでいるメンツは、前回の決戦の時に見た事のあるヤツばかり。根に持っていたのか、こいつら。

 

「今度は何が気に召さないんだ」

「白を切るつもりか、ノース校との友好試合の代表だ!」

 

 あー、それか。

 

「ふざけんなよ、レッドやイエローの分際で! 遊城といいテメェといい三沢といい! 代表にブルーが女しかいねぇってのはどういう事だ!」

「俺に言われても困るな。俺と十代はカイザーから、大地はクロノス教諭、フィオと明日香はアッチの代表に女子がいる事から公平性を保つために選ばれた。何一つとして不正は無い」

 

 これは大徳寺先生から直接聞いた事だ。職員会議に出席していたので、これに間違いは無いらしい。

 

「第一、この間の戦い、テメェらは誰一人として勝利を収められなかった。そんな奴が代表になれるとでも?」

「ざっけんなぁ!」

 

 俺の正面に立っていたブルー、先日俺が破った高田が怒りのままに俺の顔を殴る。

 ゴァン! と金属音が鳴り響いた。

 

「イッ、デェエエエエエエエエエエエエエエッ!?」

「アホ。俺が体の内側に金属を仕込んでいる事ぐらい有名だ。不用意に殴ったところでダメージを受けるのはお前の方に決まっているだろう」

 

 不運にもこいつの拳が当たった顔面にはチタンが仕込んであった。二酸化チタンとする事で鉄の2~4倍の硬度を持ち、かつ重量は鉄の60%前後に抑えられる。酸化もし難いというレアメタルだ。飛行機のような乗り物の外装に使われる事が多い。

 ちなみに痛みにのたうつ高田に対し、俺は咄嗟に痛覚神経をカットしたので、痛くも痒くも無い。

 

「く、ぐぁ……」

「おいおい大丈夫か、田山?」

「高田だ! 高田純二朗!」

「悪い、間違えたよ石田純二朗」

「オレは天気キャスターか!」

「鈴木順二朗だっけか?」

「探偵漫画に出て来る鈴木財閥のジィさんか!」

「ごめんヨ~」

「謝り方に誠意が微塵も無いなぁ!」

「あっしが悪ぅござんした、ボブ」

「誰だよ!」

 

 と、俺の挑発に乗っている事に漸く気付いた高田はここで頭を振る。

 チッ、もう少し遊べると思ったんだがな。

 

「で、何の話だったか?」

「テメェらオシリスレッドが代表ってのがおかしいっつってんだよ!」

「そうだそうだ! 教師を脅しでもしたか、この外道!」

「今から鮫島校長のトコに行って、お前らを代表から外してもらうからな!」

「我らオベリスクブルーこそ、代表に相応しい!」

「覚悟しろよ、化物! 有る事無い事騒いでお前も遊城十代も三沢大地も退学にしてやる!」

 

 ギャーギャー騒がしいので聴覚をカット。

 適当に聞き流し、掴んで来る胸倉を払い、多分俺を罵倒するブルー。

 やがて、柳の様に動じず流す俺にやっかんでも埒が明かないと分かったのか、ギャーギャー騒ぎながら連中は立ち去って行った。

 

 

 

―――10分後・校長室前

 

 

「よー、どうしたよ」

 

 校長室の前、30人前後のブルー生が落ち込み、苛立ち、怒っていた。

 

「どーせ代表云々の事で言い負かされたんだろ?」

「ウッセェ!」

 

 図星か。

 まぁ当然だわな。鮫島校長はこんな連中の戯言に付き合ってられる程、暇でもガキでも無い。階級でしか人を見れないこいつらに、代表なんざ務まらん。人の上に立つのに必要なのは技量と人格だ。後者が欠如しているブルーに、そんな事ができるワケが無い。

 

「クソォ、テメェの所為で叱られちまったんだぞ!」

「俺の所為かい」

「誇り高きブルーの経歴に傷をつけやがって!」

「誇りの前に自分を磨け」

「脅迫してないのなら、どんなイカサマしやがった!」

「何もしていないが」

 

 騒ぎたてるブルーを尻目に、俺はその場を立ち去る。

 何故か? それは「君達、煩いぞ!」ヤバッ!

 

「まだやっていたのかね!」

『さ、鮫島校長!』

 

 あいつらは場所を忘れていたのだろうか。現在地は怒られたばかりの校長先生の使う部屋の真ん前だ。当然、そんな場所で言い合いをしていれば気付かれる。

 近くの廊下の曲がり角に素早く隠れた俺に対し、連中は固まっている上に扉の前に陣取っていた。逃げられるワケが無い。

 鮫島校長から大目玉をあいつらが食らっている間、俺はコソコソと忍び足で逃げる事に成功したのであった。

 

 

 

―――20分後・レッド寮へ向かう海沿いの道

 

 

「今日のメニューは……、エビが入ったからエビフライにしようか。カレー粉があったから、エビフライカレーか……」

「黎、わたしも良いかな?」

「どうぞ」

 

 大徳寺先生に頼まれて寮長室に持って行く資料を両手に、俺はフィオと一緒に寮へと向かっていた。

 

『……という事が先刻あったのだ』

『それは大変でしたね』

『大変だったのは主殿だがな。全く、連中は人間として、デュエリストとしての成長が無い』

 

 マスター同士が会話をしている間、精霊同士でも会話が進む。

 主だって表に出るのは、精霊としてしっかりとした体を持つ桜。他の皆は結晶石から生まれた存在であり、あまり長い事デュエル以外で外にいるのは好ましく無いらしい。

 

「今晩だったよね、十代くんと黎のデュエル」

「ああ、見ていくか? カレーの仕込みも手軽なのがあるし」

「良いの?」

「ああ」

 

 あんま洒落たモンはねぇけどな、と肩を竦める。

 

「最初から期待してないよ」

「これは手厳しいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――レッド寮 食堂の台所

 

 

「ももえ、ニンジンはイチョウ切りで」

「はい」

「ああ、フィオ。その包丁の持ち方は危ない」

「こ、こう?」

 

 エビに下味をつけている間、俺は自身も調理しつつ、来ていた人達に料理を教えている。

 

「ジュンコ、包丁は押すものじゃない。それだと切れないぞ」

「う」

「明日香、お前……」

「何も言わないで……」

 

 ちなみに明日香が思ったよりも不器用だった。

 ジャガイモがかなりボロボロで、大きさも凄まじく不揃いだ。そういや、裁縫も苦手だって言っていたな。家庭科も3より上を取った事が無い、とか何とか。

 皮むきにピーラーを使ったのは正解だったな。

 

「大地、油引いた?」

「ああ。しかし大きな鍋だな」

「いや、そっちは最終的に煮込むだけ。フライパンの方にも引いてくれ。で、最初はガーリックを炒めてほしい」

「分かった」

 

 大地が物珍しげに見るのは大きな寸胴。胴回りが一抱え近くあるそのサイズは、カレーだけで軽く40人前は行ける。

 ちなみに具材を炒めるのにはフライパンを使います。あの巨大鍋で炒めるなんて無謀はしません。

 

「レ~イ~、は~ら~減ったぁ~」

「なら皿を並べてろ。ガキかお前は」

「黎く~ん、コップが1つ足りないッス~」

「こっちにもあるから取りに来てくれ」

「テーブル、これで足りるんだな?」

「足りないなら裏の物置の中に俺が作ったヤツがあるから、それを」

 

 空腹を訴える十代に、甲斐甲斐しく手伝う翔と隼人。

 ふぅ、なんかオカン気質が身に付きそうだ。

 

 と、ガラガラ! と食堂の扉が乱暴に開いた。

 あー、何か先の展開が読めた。

 

「ここにいたか化物野郎『帰れ!』メソボゥ!?」

 

 勢いよく乗り込んで来たしつこいブルーに、遠近両方の皆から飛び蹴り鉄拳その他が入りました。

 

「悪いが高田、料理中なんだ。帰れ」

「知るか! テメェの所為でレポート提出の課題出されちまったじゃねぇか! どうしてくれるんだ!」

「それこそ知るか、だ。自業自得だ」

「テメェ……!」

 

 ギリギリと歯軋りするブルー連中。

 さて、一回目はあっちから立ち去って、二回目は鮫島校長が入って納まった。でも今回はそうはいかないようだ。あっちは相当頭に来ている。怒りで顔が赤とかそんな言葉じゃ表現できない感じになっている。

 無視するのは簡単だが、ここで暴れられるのは困る。折角用意した食器や食事が台無しになりかねない。

 ふむ。

 

「で、お前らは何の用だ」

「テメェを叩き潰しに来たに決まってるだろうが!」

「そうだそうだ! 丁度レッドとイエローのクセして代表になった野郎もここに居やがる! いっそ腕を折ってデュエルできなくさせてやる!」

 

 わー、見上げた腐った根性だな。

 何て思ってはみるものの、連中の目は本気だ。そんな事されると双方共に困る。

 ならば、あっちだけ痛い目見てもらいましょうか。

 

「キッチンの皆、ゴメン、ちょっとここ空ける」

「黎?」

 

 エプロンと三角巾を外し、置いてあったディスクに手を伸ばす。

 どうせこういう奴らが来る事は予測してあったんだし、対十代用のデッキとは別の、ノース校用に組み上げて採用できなかったデッキの相手になってもらいましょうかね。

 

「おいブルー連中」

「何だよ」

「表出ろ。一人残らず相手してやる」

 

 ペキペキ、と掌を鳴らす。

 

「少し、頭冷やそうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――レッド寮へ向かう海沿いの道・PM 17:55

 

 

 

SIDE:無し

 

 

 

 緑の髪に赤い眼鏡の少女、原麗華は、夜の道を歩いていた。

 何をしているのかと言えば、パトロールだ。

 

 法律家の親を持ち、風紀委員である彼女は、治安や風紀、規則に煩い。皆に守らせるだけでなく、彼女自身もこうして良い学園となるように尽力しているのである。

 

 ふと、彼女は少し先のレッド寮に向かって何人もの人が歩いているのを見つけた。

 

「おや、皆さん。お揃いでどうなさいました?」

「あ、原さん」

 

 そこにいたメンバーはいつの日かブルーの軍団と戦ったのとほぼ同じ。

 田中、藤原、ツァン、加藤、神楽坂、宇佐美……。

 更に彼女の後ろからも人の気配がした。

 

「やっほー、こんばんは~」

 

 そこには何人もの人がいた。総数にして20人はいるだろうか。

 麗華は頭を抱えた。

 

「皆さん、こんな時間に何をしているんですか!?」

「え、何って、原さんと同じ」

 

 ? と首を傾げた。自分と同じと言われても、ここにいるメンツの中に風紀委員はいない。

 

「田中くん、多分だけど原さんは風紀委員のお仕事で、私達とは違うと思うよ?」

「あ、そうか」

 

 友紀に言われ、ポンと手を打つ康彦。

 クスクスと笑う雪乃が説明する。

 

「この先のレッド寮で、黎のボウヤと十代のボウヤがデュエルをするんですって。オシリスレッドの双璧同士のデュエル、興味無いかしら?」

 

 ああ、と今度は麗華が手を打った。そう言えばそんな話を聞いた覚えがある(忘れていたけど)。

 つまりここにいるメンバーはレッド寮のデュエルを見に行くのだろう。

 腕時計を見ると、時間はまだどの寮の門限にも程遠い。規則で縛られていない自由な時間帯だ。

 夕飯の事を心配するが、きっと黎の事だから、夕飯を皆に振る舞うつもりなのだろう。

 何より、麗華自身も風紀委員である以前に一介のデュエリストだ。あの有名な二人のデュエリストのデュエルには非常に興味がある。そして否定する材料も無い。

 つまり……。

 

「ええ、非常に興味があります。私も同行させて下さい」

「決まりね」

 

 表面上クールに麗華は決めたが、正直胸の内側は躍っている。対戦する二人は学園の中でも飛び切りの有名人だったからだ。

 片や、クロノス教諭を倒し、どんな相手でも確実に勝利を収める“E・HERO(エレメンタル・ヒーロー)”使い、通称【稀代の英雄】遊城十代。

 片や、人間離れした身体を持ち、未来の召喚法を操る心優しき化け物、通称【黒鬼の騎士】遊馬崎黎。

 どちらが勝つのか、予想はまったくできない対戦カード。どんな展開になるのかとウキウキ気分でいたその時だった。

 

『うわぁあああああああああああああああああっ!』

『ぎゃぁああああああああああああぁぁああああああぁっ!』

『ぶぐぉああああああああああああああっ!』

 

『『『!?』』』

 

 レッド寮の方から、何人分もの悲鳴が聞こえて来た。

 

「ふ、ふぇ、何が起きたのですか!?」

「行ってみましょう!」

 

 焦る宇佐美の手を引きつつ、麗華は駈け出していた。

 何だかんだで、自分も行きたかったのではないかと、彼女は後で自問したという。

 

 

 

―――レッド寮前の広場・PM 18:04

 

 

 レッド寮の前で見た景色、それは正に一騎当千の戦いだった。

 

「バトル! 『ヘルウェイ・パトロール』で『深海の戦士』を攻撃だ! “ヘル・チェイサー”!」

「ぐあっ!」

「そして『マッド・デーモン』と『ランサー・デーモン』でダイレクトアタック! “ボーン・スプラッシュ”! “デモン・スピア”!」

「「うぉおおおおおおおおおっ!」」

 

 

黎:LP 8000

ブルー生その26:LP 1600→0

ブルー生その27:LP 400→0

 

 

ブルー生その26:LOSE

ブルー生その27:LOSE

 

 

「後、5人」

『『ぐっ……!』』

 

 

 そこにいたのは、30人を超えるブルー寮の生徒。その全員が黎と多対一のデュエルを行っていた。しかし、黎はその内、既に20人以上を倒していたようだ。

 タジ、と後退る数名のブルーに黎は飄々とした笑顔で嘲笑う。

 

「どうした? ハンデとしてライフを8000貰ったが、それでこのザマか? たった一人のレッド生に傷一つつけられないとは、落ちたもんだなぁ?」

「ざっけんなぁ! オレのターン、ドロー! オレは『キラートマト』を召喚だぁ!」

 

 

キラートマト:LP 1400

 

 

 高田がディスクにモンスターカードを叩きつける。同時にドロン、と現れるのは赤い、カボチャのランタンのようなトマトだ。

 

「『キラートマト』で『ランサー・デーモン』を攻撃!」

「迎え撃て!」

『ギジャァアアアアアアッ!』

『グォオオオオオオオォッ!』

 

 斬! 紫と金の鎧を着込んだ悪魔の腕の刃で、トマトは真っ二つにされる。

 ダメージを高田は受けるが、彼の戦術を知っている者は、彼が何をしたいかを瞬時に判断した。

 

「うおっ!」

 

 

高田:LP 4000→3700

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

 攻撃力の低い『キラートマト』で、僅か200とは言えダメージを受ける覚悟で攻撃して来た。しかも自身の能力で守備表示にならない『マッド・デーモン』を攻撃して来なかった。つまりそれは、奴の目的がリクルートだという事だ。

 そして奴のデッキに存在する闇属性のエース、それは……!

 

「オレは『キラートマト』のモンスター効果を発動! このカードが戦闘で破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の闇属性モンスターを1体、攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 やはり! そしてこいつが呼び出すのは当然……!

 

「こぉいつだぁ! 『カオス・ネクロマンサー』を特殊召喚だぜ!」

 

 

カオス・ネクロマンサー:ATK 0

 

 

「オレの墓地のモンスターは28体! こいつの攻撃力は8400だ!」

 

 

カオス・ネクロマンサー:ATK 0→8400

 

 

「どうだ! この圧倒的な攻撃力は! テメェを潰すには十分だ!

 バトル! 『カオス・ネクロマンサー』で『ランサー・デーモン』を攻撃!」

 

 グアッ! と飛び上がる死の戦士。

 全く、本当に……。

 

「バカの1つ覚えだな」

「ンだとぉ!」

「リバースカード、オープン! 罠カード『ディメンジョン・ウォール』! この戦闘で発生するダメージを相手に押し付ける! よってお前には6700ポイントのダメージを受けてもらう!」

「え、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

 

高田:LP 2900→0

 

 

 

ディメンジョン・ウォール

【通常罠】

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

この戦闘によって自分が受ける戦闘ダメージは、かわりに相手が受ける。

 

 

 

高田:LOSE

 

 

「ば、バカな……、このオレが、偶然とは言え2度もオシリスレッド如きに…………!」

「敗者は去れ。負けても敗因を偶然としか片付けられん愚者に割ける時間は皆無だ」

「ち、クショウ!」

 

 ダンダンと地団太を踏む高田。

 

「黎!」「遊馬崎くん!」

 

 と、坂の方から何人もの人が来た。

 皆、週末の放課後に俺が教えている仲間達だ。

 

「よう、いらっしゃい」

「いらっしゃい、じゃなくて! 何事だよ、この状況は!」

 

 先頭を走って来た神楽坂が俺に詰め寄る。

 何って……。

 

「普通にデュエルだが」

「これのどこが普通だよ!」

「……、どこがだろう?」

「お前が聞くなぁっ!(ガクンガクンガクン)」

 

 あぁあぁぁああぁあぁぁぁぁ、揺すらないでぇぇええぇぇぇぇえええええぇ。

 

「こ の 逆 大 量 虐 殺 状 況 の ど こ が 普 通 だ ぁ !」

「あぁあぁぁああああああぁぁぁあぁあああぁぁああああああああああああああ……」

「落ち着け、神楽坂」

 

 康彦が止めてくれた。

 そう言えば、皆下の名前で呼んでくれって言っているけど、神楽坂の下の名前って知らないな……。

 

「助かったよ、康彦……」

「いや、俺もこの状況が不思議なんだが……、何なんだこの状況?」

「うんまあ、大量のブルーの連中に因縁つけられてさ……」

 

 

【状況説明中】

 

 

「で、一人で相手してた、と」

「ああ。今さっきPDAで大地から連絡があって、もう少しでカレーができるらしい。後は俺がエビフライ揚げるだけだから、予定通り6時半に夕飯、7時にはデュエルだ」

「手伝って来るべきか?」

「ん。厨房の方は平気らしいから、テーブルの方を頼む」

「分かった」

 

 皆の中に戻った康彦は事態を説明。呆れ顔の皆は、そのままテーブル準備の方に取り掛かった。

 

「さて、と。俺のターン!」

 

 残りは4人。ちゃっちゃと片付けますか!

 ちなみに大量虐殺とは言ったけれど、1度に30人以上を相手にはしていない。自分のターンが来るまで時間がかかり過ぎるからね。なので1度に5~8人くらいをまとめて片付けてます。

 

「自分の墓地に闇属性モンスターが3体以上存在する時、その内2体をゲームから除外する事で、『ダーク・ネフティス』は手札から墓地に送る事ができる! 墓地の『ランサー・デーモン』と『スカル・クラーケン』をゲームから除外!」

 

 刃の腕の悪魔と黒いイカもどきが次元の彼方へと消える。

 本来ならブルーの連中はこうやって即座に戦力にならないカードや、間接的に効果を発揮するカードを嘲るが、流石にこれまでのデュエルで学習したのか、顔が引き攣っている。何かを感じ取るだけの感性はあるようだ。

 

「ハッ、バカじゃねぇの!? 墓地のカードを除外して墓地送りぃ!? やっぱテメェはオシリスレッドだ!」

 

 訂正。

 高田だけはいつまで経ってもバカだった。

 

「更に、墓地の『ヘルウェイ・パトロール』のモンスター効果を発動。このカードをゲームから除外し、手札の攻撃力2000以下の悪魔族モンスターを1体特殊召喚できる! 現れろ、『ダメージ・イーター』!」

『キッ!』

 

 

ダメージ・イーター:ATK 100

 

 

 黄色い悪魔の攻撃力は僅か100、だがこいつはリリース要因なので問題無い。

 

 

 

ヘルウェイ・パトロール(効果モンスター)

星4

闇属性/悪魔族

ATK 1600/DEF 1200

このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターのレベル×100ポイントダメージを相手ライフに与える。

自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

 

ダメージ・イーター(効果モンスター)

星2

闇属性/悪魔族

ATK 100/DEF 800

相手がダメージを与える魔法・罠・効果モンスターの効果を発動した時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する事ができる。

その効果は、ライフポイントを回復する効果になる。

この効果は相手ターンにのみ発動する事ができる。

 

 

 

「更に『ダメージ・イーター』をリリースし、『邪帝ガイウス』をアドバンス召喚!」

『グォオオオオオオオオッ!』

 

 

邪帝ガイウス:ATK 2400

 

 

 ジュクジュクとした闇の中から這い出る、黒い魔王。ヤギのような角と、黒い鎧が禍々しい。

 

「『ガイウス』のモンスター効果、発動! このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールドのカードを1枚ゲームから除外する。それが闇属性モンスターだった場合、相手に1000ポイントのダメージを与える! 対象はそのセットモンスター!」

「げ!」

 

 この効果、相手のライフが1000以下なら『ガイウス』自身を除外する戦法も取れる。

 除外されたモンスターは『執念深き老魔術師』。闇属性のリバースモンスターだ。

 

「闇属性だな。よって1000ポイントのダメージを受けてもらう!」

「ぎゃあっ!」

 

 

 

邪帝ガイウス(効果モンスター)

星6

闇属性/悪魔族

ATK 2400/DEF 1000

このカードの生け贄召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を除外する。

除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

 

 

 

ブルー生その28:LP 1600→600

 

 

「さて、降参するなら今の内だが?」

「ふ、ふざけんな! クズレッド相手に誰が降参なんてするか!」

「そうだそうだ! カス相手にサレンダーする訳あるか!」

「図に乗るなこの野郎! 勝つのはオレ達だ!」

「その通り、我らは選ばれしエリート! ドロップアウトに降参など、あってはならぬ!」

 

 あっそ。

 でも、そういうのは自分の置かれた状況を良く見てから言うべきだな。

 

 

 

黎:LP 8000

手札:4枚

フィールド

:マッド・デーモン(ATK 1800)、邪帝ガイウス(ATK 2400)

:伏せカード2枚

 

 

 

取巻太陽:LP 900

手札:1枚

フィールド

:ゴブリン突撃部隊(ATK 3300)

:愚鈍の斧(装備魔法・『ゴブリン突撃部隊』に装備)

 

 

 

慕谷雷蔵:LP 2500

手札:0枚

フィールド

:重装武者ベン・ケイ(ATK 4300)

:早すぎた埋葬(装備魔法・『重装武者ベン・ケイ』に装備)、デーモンの斧(装備魔法・『重装武者ベン・ケイ』に装備)、魔道士の力(装備魔法・『重装武者ベン・ケイ』に装備)、神剣-フェニックスブレード(装備魔法・『重装武者ベン・ケイ』に装備)、伏せカード1枚

 

 

 

白石光一:LP 1900

手札:4枚

フィールド

:天空騎士パーシアス(ATK 1900)

:魔法・罠無し

 

 

 

ブルー生その28:LP 600

手札:1枚

フィールド

:アステカの石像(DEF 2000)

:伏せカード1枚

 

 

 

「この圧倒的に俺に有利な状況で、どうするんだ?」

「ぐ……!」

「ま、バトルと行こうか。まずは『ガイウス』で『アステカの石像』を攻撃! “イーヴィル・デストロイ”!」

「そ、そうは行かねぇぞ! リバースカード、オープン! 『弱体化の仮面』! これで『ガイウス』の攻撃力は700ポイント下がるぜ! そして『アステカの石像』は反射ダメージを倍にする効果がある!」

 

 ガション、と紫のミイラのような仮面が鎧を着た悪魔に装着される。

 

 

邪帝ガイウス:ATK 2400→1700

 

 

 成程、これなら600ダメージが俺に入る。だが、甘い。そんな程度で俺が屈するとでも思ったか。

 

「速攻魔法、発動! 『突進』! これで『ガイウス』の攻撃力を700上げる!」

 

 

邪帝ガイウス:ATK 1700→2400

 

 

「さ、差し引き0だとぉ!? ぐあっ!」

「そして『マッド・デーモン』でダイレクトアタック! “ボーン・スプラッシュ”!」

「うああああああああああああっ!」

 

 

ブルー生その28:LP 600→0

 

 

 

弱体化の仮面

【通常罠】

エンドフェイズ時まで、攻撃モンスター1体の攻撃力は700ポイントダウンする。

 

 

 

突進

【速攻魔法】

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力はエンドフェイズ時まで700ポイントアップする。

 

 

 

ブルー生その28:LOSE

 

 

「残りは3人! カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 

黎:LP 8000

手札:2枚

フィールド

:マッド・デーモン(ATK 1800)、邪帝ガイウス(ATK 2400)

:伏せカード3枚

 

 

 

 ブルー→俺→ブルー→俺の順番で回しているので、次は取巻の番だ。

 

「クソッ! オレのターン!」

「スタンバイフェイズ、『愚鈍の斧』の効果で500ポイントのダメージを受けてもらう」

「わ、分かってる!」

 

 

取巻太陽:LP 900→400

 

 

「オレは『ゴブリンエリート部隊』を召喚!」

 

 

ゴブリンエリート部隊:ATK 2200

 

 

「このままバトルだぁ! 『ゴブリン突撃部隊』で『邪帝ガイウス』を攻撃!」

「リバースカード、オープン! カウンター罠『攻撃の無力化』!」

 

 時空の渦に阻まれ、ゴブリン達の特攻が防がれる。

 にしても、何で装備カード装備してるのは先頭の一人だけなのかね?

 

「く、クソッ! オレはカードをセット! これでターンエンドだぜ!」

 

 

 

取巻 太陽:LP 400

手札:0枚

フィールド

:ゴブリン突撃部隊(ATK 3300)、ゴブリンエリート部隊(ATK 2200)

:愚鈍の斧(装備魔法・『ゴブリン突撃部隊』に装備)、伏せカード1枚

 

 

 

(良し! 今伏せたカードは『聖なるバリア-ミラーフォース-』! テメェが攻撃して来たら、こいつで返り撃ちにしてやるぜ!)

 

 とか何とか思ってるんだろうな、こいつ。

 思いっ切り負けフラグぶっ立てやがって、可哀想に。

 ま、好いや。倒す戦術を考える手間が省けた。

 

「俺のターンだ。ドロー」

 

 このデッキがいくら60枚構成だとは言え、流石にドローソースなんかで手札を補っているから、そろそろ残り枚数が無くなって来ているな。

 まあ、もうこいつらにはターンは回さないけどね。

 

「このスタンバイフェイズ、前のターンに墓地へと送った『ダーク・ネフティス』が、自身の効果で墓地から復活する! 蘇れ!」

『クヒョォオオオオオオオオオオオオオッ!』

 

 

ダーク・ネフティス:ATK 2400

 

 

 紅の炎を背負いながら、黒い鎧のような外骨格の大きな鳥が羽ばたく。

 大きな泣き声を上げるその姿は、差し詰め不死鳥か。

 

「『ダーク・ネフティス』のモンスター効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠を1枚選択して破壊できる!」

「何!?(しまった、これじゃオレの『ミラーフォース』が……!)」

「対象は、前のターンに―――」

「うぅ……」

俺が伏せたリバースカードだ(・・・・・・・・・・・・・)!」

「……、は?」

「“ヘルバーニング・シュート”!」

 

 ゴォッ! と黒い不死鳥の一撃が俺の場の伏せカードを破壊する。

 

「な、何のつもりだテメェ!」

「今に分かる。俺が今破壊したのは装備魔法『黒い(ブラック)ペンダント』。このカードがフィールドから墓地に送られた時、相手に500ポイントのダメージを与える」

「な、何だと!? う、うわぁあああああああああああああぁぁああああああぁっ!」

 

 

取巻太陽:LP 400→0

 

 

 

ダーク・ネフティス(効果モンスター)

星8

闇属性/鳥獣族

ATK 2400/DEF 1600

自分の墓地に闇属性モンスターが3体以上存在する場合、その内2体をゲームから除外する事でこのカードを手札から墓地に送る事ができる。

この効果で墓地に送られた場合、次の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。

このカードの特殊召喚に成功した時、フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を破壊する。

 

 

 

黒いペンダント

【装備魔法】

装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

 

 

取巻 太陽:LOSE

 

 

「これで残りは2人だ」

「この、ドロップアウトが……!」

「己、オシリスレッドの分際で……!」

「手札から魔法カード発動、『死者蘇生』。これで俺は『トレード・イン』のコストで捨てた『ダークストーム・ドラゴン』を特殊召喚」

『グォオオオオオオッ!』

 

 

ダークストーム・ドラゴン:ATK 2700

 

 

 出現するのは、下半身が黒い旋風に包まれた、漆黒の翼竜。

 このデュアルモンスターなので、このターンの召喚権を使わないと効果が使えない。

 

「更に俺は『ダークストーム・ドラゴン』を再召喚!」

「さ、再召喚!?」

「このモンスターは召喚権を使用して再度召喚しない限り、或いは手札や墓地では通常モンスター扱いなんだ。こうしてもう1度召喚してやる事で、『ダークストーム・ドラゴン』は初めて効果モンスターとなる」

 

 が、こいつの効果を使うにはもう1手必要だ。

 

「そしてリバースカード、オープン! 永続罠『リビングデッドの呼び声』! 蘇れ、『クリッター』!」

『キィッ!』

 

 

クリッター:ATK 1000

 

 

 そして汎用性の高い三つ目の悪魔。毛だらけで愛嬌はあっても可愛くは無い。

 別のカードのイラストだと割と可愛いめなんだがな……。

 

「さぁ行くぜ、『ダークストーム・ドラゴン』のモンスター効果発動! 1ターンに1度、自分の場の表側表示の魔法か罠を1枚墓地に送り、全フィールド上の魔法と罠を全て破壊する! 『リビングデッド』を墓地に送り、効果発動だ! “ダーク・テンペスト”!」

「お、『大嵐』と同じ効果かよ! うわぁああああああああっ!」

「のぉおおおおおおおおおおおっ!」

 

 ゴォオオオオオオオオオオオオッ! と黒い嵐が吹き荒れる。

 こいつらさっきから悲鳴ばっか上げてるけど、喉大丈夫かね?

 

 

 

ダークストーム・ドラゴン(デュアルモンスター)

星8

闇属性/ドラゴン族

ATK 2700/DEF 2500

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カード1枚を墓地へ送る事で、フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

 

「これで、『早すぎた埋葬』の効果で蘇生していた『ベン・ケイ』は破壊され、お前らの場はほぼ丸裸だな。ついでに『クリッター』の効果でデッキから『バトルフェーダー』をサーチしておいたぞ」

 

 チェーンの順番は逆だけどな。

 ま、良いか。こいつらチェーンの細かい処理なんて殆ど分かって無いだろうし。

 

「バトル! 『ダークストーム・ドラゴン』で慕谷にダイレクトアタック! “カオスハリケーン・バースト”!」

「ギャァアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

慕谷 雷蔵:LP 2500→0

 

 

慕谷 雷蔵:LOSE

 

 

「そして更に『ガイウス』で『パーシアス』を攻撃! “イーヴィル・デストロイ”!」

「ぬおっ!」

 

 

白石 光一:LP 1900→1400

 

 

 ズガン! と闇の球体が天空の騎士を吹き飛ばす。

 これで、相手モンスターは正真正銘の0体。さあ、フィナーレだ!

 

「これで、終わりだ! 『ダーク・ネフティス』でダイレクトアタック! “カオス・フェニックス・バーニング”!」

「のぉうぁあああああああああああああああああああああああっ!」

 

 

白石 光一:LP 1400→0

 

 

白石 光一:LOSE

 

 

黎:ALL WIN

ブルー生32人:ALL LOSE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、流石に疲れたぜ……」

 

 十代とのデュエル前のウォーミングアップになるとは思ったが、思ったよりこいつら弱い!

 疲れだけが溜まって、準備運動にもなりゃしない。数で押して来た割にゃあ、俺にダメージを与えられないとか何なんだよ!

 あーあー、手札の『バトルフェーダー』と『闇の公爵ベリアル』が腐っちまった。墓地の『ダーク・アームド・ドラゴン』や『ダーク・クリエイター』、『ダーク・ホルス・ドラゴン』も結局殆ど日の目を見なかったし……。

 こんなつまらないデュエルなんて、久しぶりだぜ。

 

 ふう、闇か。

 ダークデッキを構築してはみたものの、真奈ちゃんの操っていたテネブラエには何と言うか、インパクトが足らない。神と比べるのもどうかとは思うが、それでもやはり、闇の力については思う所があるのも確かだ。

 

 まあ、今は良いか。後でまたゆっくり考えよう。

 

「気は済んだか? ほら帰った帰った。俺もヒマ持て余してるワケじゃねぇんだ」

「貴様……! ブルーに対してその言葉使い……!」

「生憎、俺は敬意を払うべき人間にしか敬意を払わない。年だけなら誰にでも重ねられるんでね」

「我らが尊敬に値しないと言うのか!」

「そう言ってるんだが?」

「こ、の……!」

 

Pi Pi Pi Pi Pi Pi !

 

 おっと、PDAに通信が入った。

 

「はい、もしもし」

『レーイ! いつまでやってるの!?(キィーン)』

 

 ぐあ、フィオに怒られた。

 

「ちょ、丁度今終わったトコロだ……」

『早く来てよ! もうカレー出来てるんだからね!(ブツッ)』

 

 ありゃりゃ。

 じゃあま、用事も済んだ事だし、行きますか。

 

「おい、どこへ行く!」

「厨房」

「ふざけるな! 勝ち逃げするつもりか!」

「勝ち逃げも何も、既に勝敗は決している。これ以上ここに留まって、俺に利益は無い。というか損益しか無い」

 

 エビフライが揚げられないからね。

 

「貴様、エビフライ如きと我ら、どちらが重要なのだ!」

「エビフライ」

「即答か!」

「この野郎! ナメるんじゃねぇよ!」

「負け惜しみが煩いんだよ、この負け犬どもが!」

 

 後ろでギャーギャーと騒がしい連中を地面を踏み砕いて黙らせると、俺はそのまま食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――レッド寮食堂の外・PM 18:32

 

 

「ゴホン。えー、皆さん。途中思わぬハプニングがあったりしましたが、無事に完成しました。これも一重に皆さんのご協力があったからです」

「お疲れ様~」

「早く食いてぇ~」

「長いぞ~」

「はい、長い挨拶は嫌われるので……、それでは皆さん、いただきます!」

『いただきます!』

 

 カレーの入った台車を前に置き、その前でお礼をした俺の声に合わせて夕御飯が始まる。

 食堂の外に出したテーブルで、レッド寮の皆、およびイエローやブルーの仲間達と一緒に食事を取る、なんて、きっとこの学園じゃ初めてだろうな。

 俺も席に座って食事を始める。と、隣に座っていたフィオが話しかけて来た。

 

「にしても、凄いね、黎」

「うん? カレーくらい、余程酷い事をしなけりゃ誰だって美味しくなると思うが?」

「いや、デュエルの方。いくら何でも、あの数をたった一人で倒すのはカイザーでも無理だよ」

 

 そんなモンか?

 

「そうだな、流石にあの数をダメージ無しで倒すのは無理だろうな」

「おっと!?」

 

 突然の斜め前からの声にビックリ。

 そこにいたのか、カイザー!?

 

「俺がいた事を知らなかったのか?」

「いや、来てたのは知っていたが、そこにいるとは知らなかった」

「そうか」

 

 そう言ってカイザーは食事に戻る。

 美味い、そう静かに呟いてくれた。作り手冥利に尽きるね。

 

 

 

SIDE:フィオ

 

 

 

「ノーダメで勝利は凄いよ。やっぱり黎は強いね」

「そっか、ありがとうな。まあ、あんな奴ら、邪神の護衛よりずっと容易く倒せるから」

 

 その言葉で、ふと邪神のカードを思い出す。

 

 

 伏せカードの種類を言い当て、正否に問わずメリット効果の『邪神の頭脳戦』。

 カウンター罠でカウンターできない『暗雲の接収』。

 同じ表示形式の相手モンスターを自分ごと除外する『イーヴィル・マリントルーパー』。

 相手モンスターのレベル×1000ポイント攻撃力が上がる『ポイゾニック・シャーク』。

 お互い3枚引いて、こっちだけが2枚捨てる『邪天使の施し』。

 

 

 …………、うん。何だかブルー男子が怖くなくなって来た。

 

「だろ?」

 

 あはは……。

 でも、それでも自信タップリにあの数に挑むんだから、君は凄いね。

 

「……機関銃20丁相手に丸腰で挑んだり、ボクサー崩れ100人相手に地下ボクシングで殺し合いした事あるからね……」

 

 それはそれは…………。

 しかも死因がそれじゃ無いって事は、それで生き残ったって事だよね……。スペックは昔から高かったんだ……。

 にしても、モグモグ……。

 

「うん、美味しい」

「ありがとう」

「そして悔しい」

「それは俺に言われても困る」

 

 解ってるよ。解ってるけどさぁ!

 女の沽券に関わるんだよ! 男より料理が出来ないってのは女失格なの!

 

「いや、昨今じゃ女性の社会進出もあるから、男女のそういう区別は無くなって来ていると思うんだが……」

「それとこれとは別問題!」

「はい……」

 

 わたしだって夢見る乙女でもあるんだよ!

 愛する旦那と子供に美味しい手料理を振る舞う! これが将来の理想なんだよ! 愛されている旦那に振る舞われるんじゃ無く!

 

「黎!」

「?」

「負けないから!」

「お、おう……」

 

 こうなったら、毎日お弁当作って来て、黎に食べてもらう! 絶対に黎に、心の底から美味しいって言わせてやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……、後でその事をももえに言ったら「それは何て奥さんですの?」と言われた。

 赤面してベッドの上でゴロゴロ悶えたのは秘密だ。

 

 

 

―――レッド寮前・PM 18:59

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

 食事を終え、とうとう、十代とのデュエルが目前に迫った。

 食器洗いは後回しだ。

 

 俺と十代は黙ってデュエルディスクを展開させた。エッジが、レーンに沿って動き、ライフカウンターが表示される。

 少し離れた場所で、皆が、固唾を飲んで見守っている。

 

「十代」

「何だ?」

「この勝負、全力で行かせてもらう。お前も全力で来い!」

「おう、勿論だぜ!」

「油断するなよ? 俺はお前に勝てるデッキを作って来た! だが、それでも勝てるとは思わない。土壇場での大逆転劇はお前の持ち味だからな」

「へへっ、俺だって、黎に勝てるとは思ってねぇよ。何たって、黎だからな!」

「その高い評価には感謝する。さて、そろそろ行くぞ、十代!」

「来い、黎!」

 

 ピッ! と時計が小さく時報を鳴らした。

 

 

『デュエル!』

 

 

to be continued

 

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