遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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黎「なーにかな、なーにかな! 今回は、これ!」



死者蘇生
【通常魔法】
(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。



黎「デュエルモンスターズの代名詞、万能蘇生カード。こいつを入れないデッキはほぼ無いんじゃないかな?」

フィオ「デュエルモンスターズの始まりと終わりを象徴するカード、寧ろこれを入れないでいるデッキが見たいよね、一生に一度戦うかどうかレベルかも」


STORY4:十代が勝っていた可能性

SIDE:黎

 

 

 上手く屋外に脱出した俺達。外に出て一息ついているタイミングで十代が目を覚ました。

 その後は原作通り。明日香の言葉に大した事無いと答えた十代。

 十代が次に、つまり自分のターンで引くはずだったカード『死者蘇生』。自分または相手の墓地からモンスター1体を特殊召喚する魔法カード。

「へへっ! こいつで『フレイム・ウィングマン』を復活させれば俺の勝ちだったぜ」

 

 十代が誇らしげに宣言する。

 

「ふふっ、不思議な人ね」

「流石アニキッス!」

「強いんだね、十代は」

 

 万丈目の場には貫通能力を持つレベル5モンスター『地獄将軍(ヘルジェネラル)・メフィスト』がいた。確かに攻撃表示モンスターを倒せば実質ダイレクトアタックの『フレイム・ウィングマン』を出せれば、残りライフ1500の万丈目では耐えられなかっただろう。

 しかし……。

 

「あー、盛り上がってるトコ悪いんだが……」

「何だ?」

「『フレイム・ウィングマン』に限らず、『E・HERO』の融合モンスターは融合召喚以外での特殊召喚は出来ないんじゃなかったっけか?」

「え!?」

 

 殆どの融合E・HERO共通の効果。それは融合召喚以外の特殊召喚が出来ないという事。基本的に融合E・HEROは強力な効果を持つ(マッドボールマンは除く)。墓地からホイホイ蘇生されてはバランス崩壊するのだろう。

 

「ホントだ……。融合以外じゃ召喚出来ないのか……」

「じゃあ、アニキは負けてたって事ッスか?」

 

 翔が落胆したように言う。が、俺はそうは思えない。

 

「いや、そうとも限らない。十代、『死者蘇生』の次のカードをめくってみろ」

「おう」

 

 引いたカードは……『強欲な壺』。2枚のカードを引けるドローソースだ。

 

「もう2枚引いてみてくれ」

「えーと、『戦士の生還』と『ミラクル・フュージョン』だ」

 

 ! なんと! そこでその組み合わせを引き当てるか。

 

「……『死者蘇生』で『クレイマン』を守備表示で復活させれば十二分に勝てただろうな。いや、むしろ勝っていた可能性の方が高い」

「どういう事ッスか?」

 

 ちょっと説明が長くなりそうだな、こりゃ。

 

「万丈目のミスも絡んでるが、『戦士の生還』で『E・HEROフレイム・ウィングマン』を選択するんだ。すると、『フレイム・ウィングマン』は融合モンスターだからエク……融合デッキに戻る。すると、『ミラクル・フュージョン』で墓地の『フェザーマン』と『バーストレディ』を除外融合する形で『フレイム・ウィングマン』を出せるんだ」

 

 『戦士の生還』は墓地の戦士族モンスター1体を手札に戻すカード。ただし融合モンスターは融合デッキに戻る。『ミラクル・フュージョン』は場と墓地のE・HEROを融合させるカード。

 つまり、再び『フレイム・ウィングマン』を召喚できる、という事だ。

 

「なるほど……」

「万丈目くんのミスってのは?」

 

 そっちは簡単だぞ、明日香。お前が分からないとは思えんのだが?

 

「『地獄戦士(ヘルソルジャー)』は受けたダメージを相手にも与えるカード。つまり、引き分けにだって持ち込めるカードだ」

 

 ま、万丈目はプライドが高いから、引き分けは許さないとか、その辺も絡んでるかもな。

 

「十代のライフは550だった。対し万丈目は1500。『地獄戦士』の攻撃力は1200だ。ここまで言えば分かるよな、オベリスクブルーの女王様?」

 

 ちょっとイヤミっぽく言う。

 案の定明日香はムッとしたが、理解したのか納得顔になった。

 

「攻撃力2700未満のモンスターで攻撃したら十代は負けていた?」

「そう。1750未満なんて数値のモンスターを出せば次のターンの反撃でアウトの可能性が高い。逆に攻撃力1750から2700未満なら反射ダメージでこれもまたアウト。無論、棒立ちさせても自爆特効でこれまたジ・エンドになる」

 

 『地獄戦士』は自分より相手の方がライフが少ない時、驚異的な壁モンスターになる。『原子ホタル』や『ユベル』と同じように相手の足止めに使える有効なモンスターだ。

 

「万丈目のミスってのはここまで言えば分かるとは思うが、『地獄戦士』を場に残さなかった事。だけじゃなく、攻撃力1800の『メフィスト』なんて中途半端なモンスターを出したのも失敗だったね」

 

 レベル5、6なら最大で攻撃力2600のモンスターが出せる。ダメなら別のモンスターを壁用に増やしても良い。

 

「まぁ、そんな奴の行動が、十代の勝ちを俺に確信させたんだが」

「え、え、え?」

 

 翔も十代もチンプンカンプンっつー顔だな。明日香とフィオも良く分からないと言った感じだ。

 まあ、その辺は心理的な推理だから、解らなくても仕方ない。寧ろ15かそこらの子供が理解できたら怖いよ。

 

「たった攻撃力1800のモンスターを態々召喚したって事は、万丈目の手札にはレベル4以下のモンスターがいなかったって事だよ」

「「「?」」」

「分かんないかな? 普通にレベル4モンスターを出せば次のターン、『地獄戦士』と一緒に上級モンスターを呼び出す素材に出来た」

 

 ダメージが怖ければ守備表示で出すか、最悪『地獄戦士』で引き分けにすれば良い。

 

「なのに『リビングデッドの呼び声』を使ってまで『メフィスト』を出したって事はつまり…………」

「そっか、『メフィスト』しか召喚出来なかったんだ!」

 

 十代、ご名答。

 

「恐らく万丈目の手札は上級モンスターと魔法、罠カードで占められていた。レベル7以上のモンスターには2体のリリ……、もとい生け贄が必要。場ががら空きの万丈目には出来ない」

 

 そう、推測に過ぎないが、恐らくあの状態で手札の中で出せる唯一のモンスターが『メフィスト』だったのだろう。

 

「レベル5か6で1800ってのは非常に心許無い数値。にも関わらず出さなくてはいけなかったと考えれば、万丈目は次のターンになっても蘇生された『クレイマン』を破壊出来なかっただろうね。後はさっきのコンボを決めれば十代の勝ちだ」

『おぉ~!』

 

 『地獄戦士』を残すといった妥協案を呑まなかったアイツは、上級モンスターの召喚を1ターン待つという事は出来なかった。結果、『メフィスト』という中途半端なモンスターを出さざるを得なかったんだ。

 同じ攻撃力で貫通持ちなら『マッド・デーモン』がいる。俺的にはあっちの方がオススメかな(この時代にあるかどうかは知らんが)。

 

 『クレイマン』の守備力は2000ジャスト。1800の『メフィスト』じゃ倒せないし、装備カードを使ってもモンスターをもう1体出すか、攻撃力を2550以上にしなくちゃいけない。

 なんにせよ、容易く出来るモンじゃ無い。

 俺の知っている限りでは“ヘル”と名のつくモンスターで『クレイマン』を倒せるのは『炎獄魔神ヘルバーナー』ぐらいか。それでも攻撃力2000以上のモンスターのリリースが必要なので、有り得ない。

 

「結局、何が言いたかったんスか?」

 

 翔、一応説明はしたぞ? 十代も明日香もフィオも理解してるっつーのに。

 

「要は、俺は多分勝っていたって事さ」

「ま、必ずじゃないがね」

 

 得意気に言う十代に釘を刺しておく。

 

「万丈目がモンスター破壊のカードを引き当てたり、『はたき落とし』を伏せてたりしたら、結局はお前の負けだったぞ?」

「えぇー……! 負けてたのか……?」

 

 ガックリと肩を落とす十代。

 躁鬱の激しいやっちゃな。可能性の話だっつーの。

 

「気落ちすんな、十代。例え負けても次勝てば良い、だろ?」

「……、そうだな!」

「今回は決着はつかなかったけど、次、きっと近い内にまたデュエルする機会はあるって。そん時に勝ちゃ良いだけさ」

「ああ!」

 

 ニカッ、と十代は笑った。

 第3期終了時、そして第4期にはクールというかニヒルな感じになるので、この陽気な十代は今の内にしか見られない。そういう意味でも仲良くしておいて損はないだろう。

 

 こうしてこの後、明日香とフィオを途中まで送り届け、俺達も寮へと帰って行った。

 流石に、ちっと眠いかな。

 

to be continued




ズギィッ

 寮に戻った俺は、再び全身に走る痛みと戦っていた。

「何の痛みだ、これは――!」

 原因は分からない。
 ただ前回よりこの痛みは強くなっているように感じる。
 俺は痛みには強い。なのにこの激痛には思わず呻き声を出してしまう程に強かった。

 だが、もしこの痛みが報復か、或いは償いなら……、嗚呼、いや、やめておこう。
 俺はゆっくりと(かぶり)を振り、そっと布団に潜り込んだ。
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