遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
オーバーロード・フュージョン
【通常魔法】
(1):自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
都「バーローキター!」
フィオ「闇属性機械族を融合召喚するカードだね。召喚できるモンスターは意外と多いよ」
都「できるだけ墓地にモンスターを溜めて融合したいね。ここぞってタイミングで逆転やトドメを狙おう!」
SIDE:無し
―――某所・白い家
それは、未来のどこかの町。少し大きな、白い家。
そこにはとある一家が住んでいた。
「どう、直りそう?」
「ああ、このくらいなら何とかなる」
赤い髪の女性が、ガレージにいる黒髪の男性に話しかける。精密なバイクが男性の手によって修理されていた。
二人の左手の薬指にはペアリングがはまっていた。紛う事無く夫婦である。
「30分もいらないだろう、あいつらにもそう伝えて来てくれないか?」
「分かったわ」
男性は黄色の刺青のような模様の入った左の頬にまで垂れて来た汗を、首のタオルで拭う。
女性は家の中へと戻り、ソファに座っている二人組――こちらも夫婦だ――に向かう。
「ジャック、カーリー。D-ホイールは1時間もすれば修理が終わるそうよ」
「そうか、流石は遊星と言った所か」
「良かった♪」
金髪で長身の男性――ジャック・アトラス――は、彼ならその程度はできて当然といった態度で返し。
長い黒髪で眼鏡をかけた女性――カーリー渚――は両手を合わせてニッコリと笑った。
と、その時。
『ふみゃぁ! ふみゃぁっ! ふみゃぁあっ!』
「あら、大変!」
彼らがいる部屋の隣の部屋から赤ん坊の泣き声が響きだした。
赤髪の女性はそれを聞くと、そっちの方向へとパタパタと駆けて行った。
「アキ姉ちゃんもすっかり母親だよな」
「ふふっ、龍亞もあのくらいしっかりしてくれれば良いのに」
「なっ、悪かったな、龍可!」
そんな彼女を微笑ましく見守ったのは別のソファに座っていた双子の兄妹。
浅い緑の髪を若干短めに切り揃えた少年――龍亞。
その彼の隣で、兄と同じ色の髪の毛を長く綺麗に伸ばした少女――龍可。
「しっかしジャック、修理ならお前のトコのエンジニアに頼めよ」
部屋から退出したアキを見守りながら、箒の用に逆立った茶髪の男が言う。遊星よりも多くの刺青――犯罪者識別用に用いられていたマーカー――を持ち、全体的にやや痩せていて、革ジャンに身を包んでいる。
「遊星の方があいつらよりも腕が上なのだ。月一でメンテナンスに来たいレベルだ」
「そんなにレベル差があるのか?」
「月とスッポンどころか、太陽と小石と言ったら解るか、クロウ?」
そりゃレベルが違うなんてモンじゃねぇな、と苦笑いする痩せ気味の男――クロウ・ホーガン――を、ジャックは一瞥する。
「クロウ、デュエルは勿論、エンジニアとしての遊星の実力が分からないわけでもあるまい。率直に言えば、どれだけ世界中のライディングデュエリストを相手にしても、奴の腕前に匹敵するエンジニアを、今まで俺は聞いた事が無い」
「そうね。あたしもジャックについて行って色んなトコで取材したけど、未だに遊星以上のエンジニアは聞いた事無いわね。きっと世界一の腕前なんだから!」
「ハハハ、違えねぇな。それにしても」
とクロウが言葉を区切った所で、眠っている赤ん坊を抱えたアキと、修理を終えた遊星が戻って来た。
「こうして、皆の休みが重なるとはな」
「こういう偶然もあって良いかもね」
タオルで額の汗を拭う遊星と、スヤスヤと眠る赤ん坊に微笑みを落としながらアキがそう言った時、部屋に赤い光が満ちた。
「これは!?」
「何!?」
皆が皆驚く中、6人の右腕に赤い模様が、痣が浮かび上がった。
それは嘗ての己の象徴であり、戦いを終えた今、その存在を消したはずの、シグナーの痣。
「赤き龍の痣!?」
「ど、どうして!?」
ドクンドクンと波打つような感覚を持つ、真紅の龍の一部を象った模様。
何を意味しているのかは誰も分からなかった。されども、シグナーと呼ばれた皆は、何をするべきかを直感的に理解した。
「カーリー、ちょっとこの子をお願い」
「え、あ、うん?」
アキは腕の中の子をカーリーに預けると、壁に掛けてあった自分のデュエルディスクを手に取る。
他のシグナーだったメンバーも同様にデュエルディスクを左腕に装着した。
「行くぞ、皆!」
『おう!』
『はい!』
遊星の掛け声に応じて、皆が皆、己のシグナーの象徴たる龍を呼び出した。
「冷たい炎が、世界の全てを包み込む! 漆黒の花よ、開け! 現れよ、『ブラック・ローズ・ドラゴン』!」
「黒き疾風よ! 秘めたる想いをその翼に現出せよ! 舞い上がれ、『ブラックフェザー・ドラゴン』!」
「聖なる守護の光、今交わりて永久の命となる! 降誕せよ、『エンシェント・フェアリー・ドラゴン』!」
「世界の未来を守るため、勇気と力がレボリューション! 進化せよ、『ライフ・ストリーム・ドラゴン』!」
「王者と悪魔、今ここに交わる! 荒ぶる魂よ、天地創造の叫びをあげよ! 出でよ、『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』!」
「集いし星が1つになる時、新たな絆が未来を照らす! 光差す道となれ! 進化の光、『シューティング・クェーサー・ドラゴン』!」
眩い光が部屋に満ち溢れ、様々な種類の龍が、窓の外に現れた。
『ゴガァアアアアアアアッ!』
『グゥウウウウウウウウッ!』
『ギュォオオオオオオオッ!』
『キュォアアアアアアアッ!』
『ガァアアアアアアアアッ!』
『シュオオオオオオオンッ!』
6体の龍は雄叫びをあげると、空の彼方へと飛び去っていく。
「誰かが、力を必要としていたのか」
「ふん、この俺様の『スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン』が行ったのだ、勝利は確定したな」
「世界の誰かを、助けてあげて……っ!」
青色の彼方へ、皆の思いを乗せて―――。
――別の某所・赤い屋根の家
「うーん……」
とある家の屋根裏部屋では、一部だけ赤く跳ねた髪の少年が、デッキ構築に頭を悩ませていた。
その隣では、青みがかった白い体の幽体が金色の双眼で彼の構築を見ている。
「遊馬、そのカードをいれるのなら、こっちも入れた方が良い」
「だぁーっ! 今それについて考えているんだから少し黙っててくれぇ、アストラル!」
ガリガリガリ! と頭を掻き毟る少年――九十九遊馬――は、2枚のカードを見比べる。片方を入れるともう片方が入り辛くなるようだ。
そんな彼の様子を静かに幽体――アストラル――が見守る。
そしてデッキの構築を半分程終えた時、突如として遊馬の首から下がっていた逆三角形のペンダント、皇の鍵から光が発せられた。
「これは!?」
「遊馬、『ホープ』を!」
「おう!」
遊馬はエクストラデッキのホルダーから、白い騎士の描かれたカードを取り出す。
「誰かが、かっとビングしているんだ!」
「遊馬!」
「ああ! 行くぜ、アストラル!」
「「今こそ現れよ! 『No.39』、光を希望に変える使者、『希望皇ホープ』!」」
渦巻く銀河の如き光。その中から白と金で構成された巨大なオブジェがゆっくりと姿を現す。
オブジェは人の形を取る。コウモリの様な翼は大きく開き、胸部の緑色のクリスタルに輝きが灯る。赤色の瞳に、強い力の籠った光が宿った。
肩の数字、39が、薄暗い夜の闇に輝く。
「『ホープ』、誰かを助けてやってくれ!」
『ヌン!』
白い騎士は頷くと、背中の翼を広げ、どこかへと飛び去った。
「頼むぞ、『ホープ』……」
「新たな監察結果、この世界には、まだまだ我々の知らない力が隠されている……」
静かな夜の彼方へ、黒い騎士は、二人の思いを乗せて、飛び立ったのであった。
――異世界の廃工場
SIDE:黎
黎:LP 650
手札:3枚
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード1枚
輝:LP 500
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード2枚
歩:LP 200
手札:2枚
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード2枚
奈美:LP 300
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード1枚
グラトニー:LP 100
手札:0枚
フィールド
:七罪士 グラトニー(ATK 3700・カーニバルカウンター:18)、ライスナイパー(ATK 2000)、鏡王ミラー油(ATK 3200)
:伏せカード2枚、ネガティヴ・オブ・ネガティヴ(永続魔法)、強制肥沃土壌(フィールド魔法)
「あ、ぐぁ……っ!」
「く、ぅうう……っ!」
「う、カハ……っ!」
「ハァ……、ハァ……ッ!」
現状、かなりフィールドは途轍もなく厳しい状況だ。
グラトニーの場には、攻撃力3700の奴自身がいるのに加え、それ以外にも高い攻撃力を持つモンスターが2体。
仮にこのターン守備に徹した所で、敗北は時間の問題。逆転しなくては確実に敗北する。
だが、どうやって?
手札は2枚、『早すぎた埋葬』と『A・S ラッシャー・エル』と『コーリング・スピリッツ』。
装備魔法『早すぎた埋葬』にはライフコストが800必要。だが、俺のライフは650、足らない。何より、グラトニーはカウンターを取り除いて戦闘破壊を無効にできる効果を持つ。墓地から強力なモンスターを呼び出した所で、そんなものは焼け石に水にもならないだろう。
『ラッシャー・エル』の攻撃力と守備力はたったの1400。セットして出しても破壊耐性は無いから壁としての意義は薄い。
『コーリング・スピリッツ』はサーチカード。しかし……、何をサーチすれば……っ!
ドロー次第でデュエルの戦局は変わる。だが、何を引けば変えられるというんだ?
自慢じゃ無いが、俺はデッキの内容をほぼ完璧に覚えている。残ったカードの中で有効なのは精々『次元幽閉』や『皆既日食の書』といったところか? だが、それだってその場凌ぎだ。
あいつの2枚の伏せカードの内のどちらかがカウンター系だった場合、そのカードだって不発に終わるだろう。
そして、攻撃するにはライフコスト2000が必要な永続魔法『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』がある。あれはグラトニーには作用しない。
ここまで、なのか……っ!
SIDE:歩
簡潔に現状を説明するのならば、絶体絶命。
ここで、終わりなのかな……。黎と共に戦う事は自分の意思で了承したんだし、文句は無い。でも、やっぱりもっと人生を楽しみたかった。
眼を閉じると、最初に浮かび、最も鮮烈な衣装を与えるのは、やっぱりというか何というか、わたしの最愛の人、輝だった。
輝とは前世からの付き合いになるから、もう30年くらいは一緒って事になるのかな。
彼と恋人同士になってから、わたしにはありとあらゆる物理法則を彼のためにだけなら無視できる力が備わった(理性が飛ぶのが欠点だけど)。でも、その力もあのデブ護衛の前では通用しない……。
ここで負ければ、全てが終わる。たった一縷の希望、黎がわたし達と一緒に負ければ、それは即ち世界の未来が消滅するという事だ。
それだけは何としても避けたい。でも、グラトニーに勝てない以上、避ける事なんてできない。
もっと人生を楽しみたかった。
子供が生まれるって分かっているのに、幸せが確約されているのに、それを手に入れる事が、できない。
ここで、終わりかぁ……。
嫌だよ、そんなの……。
我儘でも良いから、皆を守れる力が、欲しい!
SIDE:奈美
隣で母さんが絶望に負けて打ちひしがれているのが分かる。
最も、私にそれをどうこうする事はできない。実際に敗北の雰囲気は濃厚どころか、それしか無いような感じだ。
手札は、無い。
モンスターは0。
伏せカードはブラフだ。
デッキの主戦力である『サイバー・ドラゴン』さんは全て墓地に送られた。一応“サイバー・ダーク”の皆はデッキに2枚ずつ投入してあるから、攻撃力の面では、それなりに行ける。
でも、最大でそれは2500。『サイバーダーク・インパクト!』を引く事ができたとして、次のターンに攻撃力6000のモンスターを出せたところで、グラトニーを破壊できずに食べられちゃうのが関の山。
だったら、次のターンに引くべきカードは直接攻撃ができるエッジちゃんか、効果ダメージを与えられるキールくん。
でも問題なのは、このデッキにはそれ以外の、現状の逆転には使えないカードが入っているという事。ううん、寧ろこれまでに巡って来たカードの事を考えれば、そっちの方が可能性として高いと思う。
モンスターならまだ良い。
攻撃反応型の罠なら対応できる可能性がある。
『死者蘇生』みたいなカードでも行けるかも知れない。
でも、もし『エヴォリューション・バースト』みたいな条件のついたカードや、上級モンスターである『フェルグラント・ドラゴン』が来たら、その時点で終わる。
グラトニーの残りライフはたったの100、一息で削れる。
でも、その一息が、届かない。
攻撃力3700、戦闘ダメージを通さない。
そして伏せカード2枚に、攻撃にはライフコスト2000を要する永続魔法。
リバースカードはこの状況でこれは使えない。
これ以上、戦えない……っ!
無理だよ、こんなの……っ!
父さん、母さん、ごめんなさい。
私じゃ貴方達を、助けられません……っ!
助けたい、のに……っ! 助ける力が、欲しいよぉ!
SIDE:輝
「ここまで、なのだろうか……」
フィールドの状況は最早制圧されたと言っても過言では無い筈。
攻撃は実質封じられ、場の味方モンスターはさっきの戦闘で全滅した。残っているのは伏せカード数枚。
私の伏せた2枚のカードは攻撃にも効果の発動にも対応しないタイプ。だから実質ブラフなのだが、さっきの状況で使わなかったところを見られている以上、機能しないと思う。
手札は0枚。デッキの1番上のカードでどうなるかが変わる。
きっと十代みたいな人だったら最後の1枚に希望を託し、奇跡の大逆転を巻き起こすんだろう。でも、私にはそんな神の様な引きの能力は無い。
神と言えば、私と歩が転生するきっかけを思い出す。
本来なら行くはずの無かった店へと行く事になった私と歩。それは転生後のGXの世界に現れたイレギュラーの影響を受けた事が最大の原因。
『マスター・ヒュペリオン』を操るあいつを倒した事によって破滅の光による世界の崩壊は免れた。
一般に私のお陰だと言われているが、それは間違いだ。
あの時私が勝てたのは、沢山の精霊が味方をしてくれたから。そしてブルーノのD-ホイール、“デルタ・イーグル”とアポリアさんの力でもある。
でも、その全ては今、ここには無い。
あるのは家族と仲間と、そして信頼できる自分のデッキ。
カチャ、とディスクが音を立てる。
軽い素材でできている筈なのに、今は途轍もなく重い。まるで、これ以上戦う事を体が拒んでいるかの様に。小刻みに体が、震える。
恐れているのだろうか、これ以上戦い続ける事を。
どうして!? 負けたら全てを失うというのにっ!?
何が怖い!? 歩と奈美を失う事以上に怖い事があるのか!?
私は、こんな所で、守りたいものを守りる事ができずに、負けて死ぬのだろうか。
死ぬ。
嫌だ!
歩と結ばれたのに! 奈美が生まれて、幸せな未来が確実に来るのに!
死にたくない! 一緒に笑って、泣いて、怒って、また笑いたい!
神様! もしも聞こえているんだったら、私の願いを聞いて下さい!
私のこの先の人生の奇跡を全部使っても構いません! だから今、あいつに勝つ力を!
大切な人を守れる力を、授けて下さい!
「嫌だ……っ!」
「あぁん?」
「私は、負けたくないっ!」
それが、引き金だった。
次の瞬間、私の周りには、無数の精霊が現れた。
そして、私自身、白銀に光り輝いていた。
SIDE:黎
「これは……!」
もう立つ気力ですら失いかけていた時、輝の体が銀色に輝き出し、その周囲に沢山の精霊が現れた。
その光は輝から歩、歩から奈美ちゃんへと伝播する。
何が起こっているんだ……?
『主殿、聞こえるか?』
「桜?」
突然聞こえて来た声。それは、俺が今最も信頼する精霊の女性だった。
半透明の姿で、空中に浮かび上がるピンクのポニーテールの騎士。
「お前、デッキの中にいる時は会話するのは力の消費が大きいって……」
『そうだ。精霊としてその辺りが未熟な私にとって、デッキにいる状態で会話をするのは大きく疲れてしまう』
その辺は『ハネクリボー』を見習いたい、と桜は苦笑いをする。
エネルギーの運用が上手くいかないらしく、こういった人工物にありふれた場所では、余程デッキの浅い所にいない限り外に出るのは止めているそうだ(その点アカデミアは自然が溢れているので、奥深くで眠っていても表に出るのに然程の苦労は無いらしい)。
力を無駄に消費すればデッキの巡りが悪くなる。ディスティニードローなどの神がかった引きは、精霊の力が深く関わっているらしい。だからこそ、勝利への貢献の為に、桜はデュエル中、デッキの中に残っている時は滅多に外に出て来ないのだ。
「桜、一体何が起こっているんだ? お前が出て来るなんて?」
出て来れるのなら、前のターンのドローの時には少なくとももう出て来られたハズだ。
桜は静かに、口を開く。
『魂の共鳴が起こっているんだ』
「魂の、共鳴?」
『波長の合う魂の持ち主同士の心が強く結び付き合う事だ。個人の持てるエネルギー総量を大きく上回り、奇跡を起こす。溢れたエネルギーはこうして、私が実体化できる程に強力だ』
奇跡……。
『私ももう生まれて長い。だが、それ故に説明のつかない奇跡を何度も見た。その中で、この共鳴が起こった時、必ずディスティニードローは起こった』
「勝てる、のか……?」
俺の質問に桜は苦笑しながら分からん、と答えた。
『だが、共鳴している今こそが最大のチャンスだ! この状況ならば、希望はあるぞ!』
「……ああ!」
ドクン、ドクン、と3人の鼓動が聞こえる気がする。
魂の波打つ感覚が、俺にも伝わって来る!
『魂は今、4人全てが共鳴している。行くぞ、主殿!』
「おう!」
分かる。この1枚で、次に繋げる事ができる!
「俺のターン、ドロォーッ!」
っく、『スピリテッド・ギフト』か! 駄目だこのカードじゃ逆転できない!
『慌てるな主殿。貴方は前のターンに何をした?』
「っと、そうだったな! このスタンバイフェイズ時、前のターンにゲームから除外された『A・S 深海のヤリエソ』の効果を発動! 自分のターンのスタンバイフェイズ時にこのカードがゲームから除外されていた場合、こいつ自身と除外された水属性モンスターを1体特殊召喚できる!
俺はその効果で『A・S リボルバー・トビウオ』を『ヤリエソ』と共に特殊召喚!」
『ボラッシャァアアアアアアアアアッ!』
『ヘイヘイッ!!』
A・S 深海のヤリエソ:DEF 0
A・S リボルバー・トビウオ:ATK 1900
ザッパァン! 海面を叩き割るように、2匹の魚が現れる。
片や、爬虫類を連想させる、鮎にも似た魚。
片や、拳銃を背負った、羽の生えた細身の魚。
「バカな……! そんなカード、いつの間に……、『深海の財宝』か!」
「その通り! 『リボルバー・トビウオ』の効果を発動! このカードが特殊召喚に成功した時、相手は俺のフィールドの他の“A・S”の数だけ、手札を捨てなくてはならない! 俺の場には『ヤリエソ』がいる! よって1枚のカードを捨ててもらう!」
「だが、おいらにはもう手札がねぇ。『強制肥沃土壌』の効果ダメージは手札を捨てた後にチェーンされる。捨てる手札が最初から無ければ、効果ダメージは発生しない!」
「その場合、お前の次のドローフェイズはスキップだ!」
「何だと!?」
A・S 深海のヤリエソ(効果モンスター)(オリジナル)
星4
水属性/魚族
ATK 0/DEF 0
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードがゲームから除外されている場合に発動できる。
このカードと除外されている自分の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。
この効果と特殊召喚は無効化されない。
A・S リボルバー・トビウオ(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星4
水属性/水族
ATK 1900/DEF 1500
(1):このカードは魔法・罠の効果で特殊召喚できない。
(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。
自分フィールドのこのカード以外の「A・S」の数だけ、相手は手札を選んで捨てる。
手札の枚数が捨てる枚数より少ない場合、手札を捨てずに次のドローフェイズをスキップする。
この効果の発動に対し、相手はカードの効果を発動できない。
これで、ロックはやった。
手順は次に移るぜ!
「手札の『A・S ラッシャー・エル』の効果を発動! “A・S”の特殊召喚に成功したターン、手札からこのカードを特殊召喚できる!」
A・S ラッシャー・エル(チューナー・効果モンスター)(オリジナル)
星4
水属性/魚族
ATK 1400/DEF 1400
自分の場に「A・S」と名のついたモンスターが特殊召喚されたターン、このカードは手札から特殊召喚できる。
このカードが自身の効果で特殊召喚された時、相手に500ポイントのダメージを与える。
このカードの特殊召喚に対して、相手はカードを発動できない。
『シャッ!』
「『ラッシャー・エル』は自身の効果で特殊召喚された時、相手に500ポイントのダメージを与える!」
「グラトニーの残りライフは100!」
「行ける!」
「“鰻野掘り”!」
光と共に現れた赤色の鰻が水の砲弾を放つ。
通るか!?
「そうはさせねぇぞ! カウンター罠、『デーモンブラン・ガード』! デッキの上からカードを5枚確認し、その中から闇属性モンスターを1体選択! 選択したモンスターを墓地に送り、発動ターン、送ったモンスターの攻撃力より低いダメージは無効になる!」
デーモンブラン・ガード(オリジナル)
【カウンター罠】
デッキの上からカードを5枚確認し、その中に存在する闇属性モンスターを1体選択して墓地に送る。
発動したターン、送ったモンスターの攻撃力より低いダメージは全て無効となる。
「おいらのカードは……。
1枚目は速攻魔法、『神秘の中華なべ』。2枚目は罠カード、『魔宮の賄賂』。3枚目、闇属性モンスターの『キラー・トマト』。4枚目は儀式魔法の『ハンバーガーのレシピ』。5枚目は魔法カードの『トークン収穫祭』!
よっておいらは『キラー・トマト』を墓地に送り、エンドフェイズまで1400未満のダメージを全て無効にする!」
「っちゃ、防がれたか」
エネルギーシールドを張ってダメージを未然に防ぐグラトニー。だが、これで終わりだと思うなよ!
「諦めろ。例えおいらに勝つ事ができたとしても、邪神様に人間が勝つ事はできねぇよ」
「断る」
「何?」
「諦めるのは最後の手段だ! 魔法カード『コーリング・スピリッツ』を発動! デッキから“S”と名のついたモンスターを1体手札に加える! 俺はデッキから『L・S レストア・チェリー』を選択する!」
『出番か、参る!』
「更にこのカードが発動した時、自分の場に“S”と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、相手のカードを1枚バウンスするか加えたモンスターを特殊召喚できる!」
コーリング・スピリッツ(チェトリー先生原案オリジナル)
【通常魔法】
デッキから「S」と名のつくモンスターを手札に加える。
このとき、自分フィールドに「S」と名のついたモンスターが2体以上表側表示で存在する場合、以下の効果をどちらか発動できる。
●この効果で手札に加えたモンスターを特殊召喚する。
●相手フィールドのカード1枚を持ち主の手札に戻す。
「選択するのはバウンス! グラトニー、手札に戻ってもらうぞ!」
「残念ながら手札が1枚以下の時、おいらはバウンスと除外を受けないのさ!」
「チッ!」
条件付きとは言え、そこにまで耐性を持つか!
「ならば俺は今手札に加えた『L・S レストア・チェリー』を通常召喚!」
『私、参上!』
L・S レストア・チェリー:ATK 1800
一陣の風と共に場に躍り出る、ピンクのポニーテールの騎士。輝く鎧に身を包み、鋭い剣を鞘から引き抜く。セリフには突っ込まない。
「貴方の、精霊ですか」
「こんちわ、桜さん!」
「ここでエース登場だね」
「桜が場に現れた時、俺のライフを700ポイント回復する!」
『行くぞ、主殿!』
「『“キュア・ブロッサム”!』」
黎:LP 650→1350
桜の能力によって剣から緑色の光が放たれる。放たれた光は柔らかく俺の体を包み込み、傷を癒す。
もう一丁!
「マジック発動、『スピリテッド・ギフト』! 俺の場に属性の違う“S”がいる時、自分の“S”モンスターの数だけカードをドローできる! 俺の場には風属性の桜と、水属性が3体! よって4枚ドロー!」
これで手札は5枚、ピースは全て揃った!
L・S レストア・チェリー(チューナー・効果モンスター)(オリジナル)
星4
風属性/戦士族
ATK 1800/DEF 1600
このカードが召喚、特殊召喚に成功した時、プレイヤーのライフを700ポイント回復する。
1ターンに1度、手札を1枚墓地に送る事で、プレイヤーのライフを500ポイント回復する。
このカードは同じ攻撃力のモンスターとのバトルでは破壊されない。
スピリテッド・ギフト(オリジナル)
【通常魔法】
このカード名の効果はデュエル中1度しか発動できない。
(1):自分フィールドに種族・属性の異なる「S」モンスターが2体以上存在する時に発動できる。
フィールドの「S」モンスターの数だけドローする。
「行かせてもらう! レベル4の『深海のヤリエソ』に、レベル4の桜をチューニング!」
『さあ、決めるぞ!』
『シャシャシャ!』
「新緑の恵み、悠久の時を流れる水! 交わりて青き世界に今目覚める! 希望が溢れる明日となれ!」
桜が空へと跳び上がり、4つの星に姿を変える。4つの星は4つの緑のリングに変わり、その中心を『ヤリエソ』が潜る。その姿は瞬時に輪郭線と4つの星になった。
☆4+☆4=☆8
「シンクロ召喚! 舞いて泳げ! 『
『さぁ、いい加減この戦いに幕を引こうじゃないか!』
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 2500
光を纏って新たなる姿で現れる桜。コバルトブルーの鎧に身を包み、空色の盾と幅の広い大きな剣を手にしている。剣の柄尻からは細い鎖が伸びていて、どこか扇情的な感じで彼女の体に巻き付いている。
長い髪には貝殻の簪を差してシニヨンで纏め、鎧も薄めでどちらかと言えば水着の様な印象を受けた。
「似合ってるぜ、桜。今度水着買ってやろうか?」
『……考えておこう』
フイ、と桜が視線を逸らす。
これが照れ隠しだと気付かない程彼女との付き合いは浅くない。素直じゃ無い奴め。
「まだまだ! レベル4の『リボルバー・トビウオ』に、レベル4の『ラッシャー・エル』をチューニング!
悠久の時を流れる壮麗たる水、歌声を乗せて海原を揺蕩う! 希望が溢れる明日となれ!」
☆4+☆4=☆8
「シンクロ召喚! 熱帯の歌姫、『A・S 南海のマーメイド グッピー』!」
『LaLa~~~!』
A・S 南海のマーメイド グッピー:ATK 2600
光の柱から水飛沫が飛び散り、熱帯魚の下半身を持つ人魚が飛び出す。魚のモデルは名前の通り観賞魚の代表格であるグッピー。同じ種類であっても親の掛け方で色どころか尻尾の形ですら変わる。更にはその系統を維持し続けるたり美しい種を生み出すのは極めて難しいという点から『熱帯魚の飼育はグッピーに始まりグッピーに終わる』とまで言われる程に飼育の甲斐のある魚である。
胸はお約束と言うか何と言うか、大きな貝殻で覆っていた。世界中共通なのだろうか? 最初に描かれた人魚は男だと言われているんだが……。
「チッ、そっちも連続でシンクロを……っ! だが、『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』で支払うだけのライフコストには足らねぇ! そして、そいつらの攻撃力はおいらにはとどかねぇ!」
「まだ終わりじゃないぜ! 魔法装備カード『早すぎた埋葬』を発動! ライフを800ポイント支払って、墓地から輝の『ハリマンボウ』を特殊召喚!」
黎:LP 1350→550
ハリマンボウ:ATK 1500
「ぐ、ぅぅぅうう…………っ!」
「「黎(さん)!?」」
『主殿!?』
「大丈夫、だ……!」
チッ、800のコストですら、もう厳しいか。
心臓が肋骨ごと罅割れて砕ける様な激痛、脳が爆散して頭蓋骨が焼ける様な熱、全身がバラバラになりそうな衝撃と負荷。
知った事か。
俺の命に、何の価値がある?
勝ってやる。
フィオ達を守ってやる!
都を奪い返してやる!
「『グッピー』の効果を発動! 自分の場の魚族モンスターを1体墓地に送り、相手の場のカードを1枚破壊する! 対象は『ネガティヴ・オブ・ネガティヴ』! “ブレイカーズ・マーチ”!」
ズングリしたマンボウが光となって消滅する。同時に美しい人魚が人には聞きとる事すら困難な音域の歌を発する。超音波の域に達しているそれは、奴の場の永続魔法を木端微塵に砕いた。
A・S 南海のマーメイド グッピー(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)
星8
水属性/魚族
ATK 2600/DEF 1900
「A・S」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードはフィールドと墓地に存在する時、魔法使い族としても扱う。
1ターンに1度、このカードは戦闘およびカードの効果では破壊されない。
このカード以外の自分の場に表側表示で存在する魚族モンスターを1体墓地に送る事で、相手の場のカードを1枚破壊できる。
「チィッ! だがその程度で……」
「更に墓地に送られた『ハリマンボウ』の効果で『ライスナイパー』の攻撃力を500ポイントダウンさせる!」
「な、そ、そうはさせねぇぞ! おいらの効果を発動! 1ターンに1度、自分の場のモンスターを1体墓地に送り、おいらにカーニバルカウンターを4つ乗せる! “ソニック・バイト”!」
無数の針状のミサイルがバシュバシュバシュ! と放たれるが、それよりも速くグラトニーはライフル銃を担いだ男を、断末魔の悲鳴が響く間も無く丸呑みにしてしまった。
ターゲットを失ったミサイルが、空しく飛び去って行く。
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 18→22
チッ、味方モンスターを丸呑みにしてまでするか!
だが、こちらのターンはまだ終わっていない!
「続いて桜の効果を発動! 1ターンに1度、ライフを500ポイント支払って、墓地の魚族モンスター1体を特殊召喚できる!」
黎;LP 550→50
「ぐが、ァァアァアアアアアアアア…………ッ!」
「「黎(さん)っ!」」
ビキビキビキッ!
何の擬音なんだか……。もう感覚が好い加減怪しいな。
痛いのか、熱いのか分かったモンじゃねぇや。
『主殿、無茶しすぎだ!』
「……ここで無茶しなきゃ、いつするんだ? 『A・S アームズ・ソードフィッシュ』を蘇生!」
『ったく……、ヒーラーの身にもなれ。“サルベージ・フィッシング”!』
自分の体に巻き付いていた鎖を外して大剣を地面に向かって投擲する桜。水面の陽に剣は地面に波紋を生んで潜り込み、すぐにカジキを鎖に巻き付ける形でキャプチャーして引き上げた。
A・S アームズ・ソードフィッシュ:ATK 0
鋭い刃の顎(鼻っぽいアレ)を持つカジキが場に躍り出る。
こいつは攻撃力こそ無いが、ユニオンモンスターだから問題無い。
「そして『アームズ・ソードフィッシュ』を桜に装備! 効果で500ポイント、攻撃力がアップする!」
『来い!』
『ギッ!』
桜が大剣を背中に仕舞うと、刃のカジキと腕を一体化させる。顎の刃が鋭く伸び、肩から手までを魚の胴体が。青色のグローブを嵌めている掌には、青く鋭いレイピアが装備されていた。
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 2500→3000
「このまま『ミラー油』とバトルだ!」
「攻撃力3000かぁ……。だぁが、攻撃力はこっちには届かない「速攻魔法発動!」ぜぇ!?」
「『虚栄巨影』! 攻撃宣言時、バトルフェイズ終了時までモンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
虚栄巨影
【速攻魔法】
モンスターの攻撃宣言時、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力は、そのバトルフェイズ終了時まで1000ポイントアップする。
「よって桜の攻撃力は4000に上がる!」
『ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
「し、しまった、コンバットトリックか!?」
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 3000→4000
桜の後ろに巨大な半透明の影が現れる。現れた影は彼女の中へと溶け込み、彼女の跳躍を手助けする。
「『“
斬!
派手な水飛沫を上げて、桜は鏡を担いだ大男を斬り裂く。
飛び上がっての大上段からの斬撃は凄まじい威力を持っているようだ。
「チッ! だがこのターン、1400を下回るダメージは無効になる!」
「だが、これならどうだ! 桜、グラトニーに攻撃だ!」
『心得た!』
「な、何!?」
「『“覇桜蒼龍斬”!』」
斬! 二撃目の斬撃が入る。
グラトニーは咄嗟に光を纏った爪でその一撃を受け止める。
「バカな……、何故2度目の攻撃が……!」
「桜! もう1度だ!」
『御意!』
「な!?」
そして3度目の攻撃。グラトニーはこれを再び光らせた鉤爪で受け止める。
「な、何が起こって……?」
「桜さん、凄~い!」
『恐悦至極』
目を丸くする歩に、素直に称賛する奈美ちゃん。
シュタッ! と着地した桜が不敵に笑う。
「ユニオンした『アームズ・ソードフィッシュ』の効果ですか?」
「正解、流石だな」
そして冷静に事を見守っていた輝が、正解に辿り着く。
「『アームズ・ソードフィッシュ』を装備したモンスターは、自分の場の“A・S”の数だけ攻撃回数を追加できるんだ。俺の場には桜自身と『グッピー』がいる、よって攻撃回数は2回増えたってワケだ」
A・S アームズ・ソードフィッシュ(ユニオン・効果モンスター)(オリジナル)
星2
水属性/魚族
ATK 0/DEF 0
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとして自分フィールド上の「A・S」と名のついたモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、装備したモンスターの攻撃力は500ポイントアップし、自分の場の「A・S」と名のついたモンスターの数だけ更に攻撃回数を増やす事ができる。(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。装備モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。)
「だ、だがもう攻撃はできねぇぜ! それに、おいらはカーニバルカウンターを1つ取り除いて戦闘破壊とダメージを無効にできる!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 22→21→20
「どうだぁ! もう何もできねぇだろう!」
「アマい! 桜にはもう1つ効果がある! 桜ぁ!」
『任せろ! “コバルト・エナジー”!』
俺の手札1枚と桜の装備していた魚のレイピアが消滅し、代わりに『グッピー』の全身に青色の神秘的なオーラが纏われる。
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 4000→0
A・S 南海のマーメイド グッピー:ATK 2600→4600
「何ぃ!?」
「これが桜のもう1つの効果だ。ダメージ計算終了時、手札1枚と場のカード1枚をコストに、攻撃力を0にして別のモンスター1体の攻撃力をその時の攻撃力の半分だけ上げる!」
A・L・S オーシャン・チェリー(シンクロ・効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星8
水属性/戦士族
ATK 2500/DEF 2100
「L・S レストア・チェリー」+「A・S」と名のついたモンスター1体以上
(1):このカードの効果は無効化されず、自分のターンのスタンバイフェイズ時にこのカードが表側表示で存在する時、手札1枚につき500LP回復する。
(2):1ターンに1度、500LP払い、自分の墓地からレベル4以下の魚族モンスターを1体特殊召喚できる。
(3):このカードが戦闘を行ったダメージ計算終了時、自分のフィールドと手札のカードを1枚ずつゲームから除外して発動する。
ターン終了時まで自分フィールドの「A・S」モンスター1体の攻撃力をこのカードの攻撃力の半分だけアップさせ、このカードの攻撃力を0にする。
ちなみに除外したカードは『神の警告』。ライフコスト2000で全ての召喚・特殊召喚・反転召喚、及びそれを可能とするカード効果を無効にできる。
もっとも、今はライフコストを払える余裕は無いのだが。
「まだまだ行くぞ! 『グッピー』でグラトニーに攻撃! “衝撃のソナタ”!」
「か、カウンターを1つ取り除く! ヌゥオオオオオオオオオオオッ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 20→19
歌の衝撃波がぶち当たり、更にカウンターが減る。
「バカな……! あの絶望的な状況から、どうしてここまでの反撃ができる……!?」
「お前に教える義理はねぇよ」
これで俺にできる事は終わりだな。後は、アフターケアかな。
「おのれ……っ!」
「1度の攻撃が通じないのならば、死ぬまで殺し続けるまでだ。カードを2枚セットし、ターンエンド! そしてこれで桜と『グッピー』の攻撃力は元に戻る!」
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 0→2500
A・S 南海のマーメイド グッピー:ATK 4600→2600
黎:LP 50
手札:0枚
フィールド
:A・L・S オーシャン・チェリー(ATK 2500)、A・S 南海のマーメイド グッピー(ATK 2600)
:伏せカード3枚
「私のターン!」
「輝、行けぇ!」
「はい! 私は魔法カード『天よりの宝札』を発動! 私と歩はデッキから手札が6枚になる様にカードをドロー!」
ここでそれを引くか! 正にシャイニング・ドロー!
瞬時に手札が潤沢となる輝。OK、ぶちかませ!
と、その時。
『ゴガァアアアアアアアッ!』
『グゥウウウウウウウウッ!』
『ギュォオオオオオオオッ!』
『キュォアアアアアアアッ!』
『ガァアアアアアアアアッ!』
『シュオオオオオオオンッ!』
『ホォオオオオオオオプッ!』
『もけ~』
『ギュォアアアアアアアアアアアアアアッ!』
『クリクリ~!』
シグナーの六龍に、『希望皇ホープレイ』!? それに沢山の精霊達!?
突如現れた七体のモンスターに輝は目を大きく見開いて驚くが、不敵に笑うとプレイングに戻る。頼もしいな、これだけの精霊が味方をするとは。
「魔法カード『調律』を発動! デッキから“シンクロン”と名のついたモンスターを1体手札に加え、デッキトップを墓地に送る! 私は『アンノウン・シンクロン』を手札に!」
デッキトップのカードが落ち、手札にカードが加わる。落ちたカードは……『超古深海王シーラカンス』か。
「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、デュエル中1度だけ『アンノウン・シンクロン』は手札から特殊召喚できる! 更に『レインボー・フィッシュ』を通常召喚っ!」
アンノウン・シンクロン(チューナー・効果モンスター)
星1
闇属性/機械族
ATK 0/DEF 0
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
「アンノウン・シンクロン」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
レインボー・フィッシュ(通常モンスター)
星4
水属性/魚族
ATK 1800/DEF 800
世にも珍しい七色の魚。捕まえるのはかなり難しい。
アンノウン・シンクロン:ATK 0
レインボー・フィッシュ:ATK 1800
バジジッ、とカードがディスクに読み込まれ、丸い金属と虹色に輝く魚が現れる。
「輝の魂の型は“月”! 日によってその姿を千変万化し、司るのは混沌と明瞭! 陰と女性の象徴でもあり、その意味は“女神の加護”!」
「フフフ、魂の時点で私は女性決定ですか……。ですが、女神の力を持つのなら、邪神如きに家族を殺させてはいけないね。
手札から装備魔法『戦線復活の代償』を発動! 自分の場の通常モンスターを1体墓地に送り、墓地からモンスターを1体、このカードを装備させて特殊召喚する!」
戦線復活の代償
【装備魔法。
自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地へ送って発動する。
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、装備モンスターを破壊する。
「『レインボー・フィッシュ』を墓地に送り、現れよ、『超古深海王シーラカンス』!」
『ボォオァアアアアアアアアアァァァアアアアアアアァアアアアアアアアアアァァッ!』
海面を割って現れるのは、個人的に苦い思い出のある巨大な深海魚。遥か昔からその姿を殆ど変えていないという生きた化石。
その最大の特徴は爆発的な展開力。魚族を中心とするのなら、確実にエース級になれるモンスターだ。
ちなみに肉は食べられるが不味いらしい。
超古深海王シーラカンス:ATK 2800
「『シーラカンス』の効果を発動! 1ターンに1度、手札を1枚捨てて、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する!」
超古深海王シーラカンス(効果モンスター)
星7
水属性/魚族
ATK 2800/DEF 2200
手札を1枚捨てる。
1ターンに1度だけ、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃宣言をする事ができず、効果は無効化される。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった場合、自分フィールド上の魚族モンスター1体を生け贄に捧げる事でその効果を無効にし破壊する。
「手札の『ニードル・ギルマン』を捨てて、デッキから『竜宮の白タウナギ』、『深海の大ウナギ』、『メタボ・シャーク』を特殊召喚!」
「手札を捨てた事で、もう1枚捨ててもらう! これでお前の手札は残り1枚だ!」
「承知の上ですよ」
竜宮の白タウナギ:ATK 1700
深海の大ウナギ:ATK 600
メタボ・シャーク:ATK 1800
竜宮の白タウナギ(チューナー・効果モンスター)
星4
水属性/魚族
ATK 1700/DEF 1200
このカードをシンクロ素材とする場合、他のシンクロ素材モンスターは全て魚族モンスターでなければならない。
深海の大ウナギ(効果モンスター)
星1
水属性/魚族
ATK 600/DEF 100
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上に表側表示で存在する全ての水属性モンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする。
白い大きなリュウグウノツカイが、大きな赤い鰻が、丸く太ったサメが現れる。リュウグウノツカイは頭に豪奢な冠を被っているが、タウナギとは田の鰻の事であり、鰻でもリュウグウノツカイでも無い。
「レベル7の『超古深海王シーラカンス』に、レベル1の『アンノウン・シンクロン』をチューニング!」
赤い目を持つ浮遊機械が1つの星へと変わり、星は幾何学模様の緑のリングとなる。その中を巨大な深海魚が潜り抜け、輪郭線を残して7つの星へと姿を変える。
「集いし願いが、全てを包み込む翼となる!」
☆1+☆7=☆8
「飛翔せよ! スターダスト・ドラゴン!」
『キュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
バサッ!
光り輝く粒子を散らしながら白い龍がボロボロの翼を羽ばたかせて舞い降りる。
「更に魔法カード『共振装置』を発動! このカードは自分の場に存在する同じ種族・属性のモンスター2体のレベルを同じにする! 場の水属性・魚族の『深海の大ウナギ』と『竜宮の白タウナギ』を同じレベル1に!」
共振装置
【通常魔法】
自分フィールド上に表側表示で存在する同じ種族・属性のモンスター2体を選択して発動する。
選択したモンスター1体のレベルはエンドフェイズ時まで、もう一体のモンスターのレベルと同じになる。
深海の大ウナギ:水属性/魚族/☆1
竜宮の白タウナギ:水属性/魚族/☆4→1
大きな鰻とリュウグウノツカイが同じ色の光に包まれ、その間を電流が走る。2体の体からレベルと同じだけの星が出て、『白タウナギ』の方のみ、その内3つが弾け飛んだ。
「レベル1の『深海の大ウナギ』に、レベル1の『白タウナギ』をチューニング! 集いし思いが新たなる進化を導く!」
☆1+☆1=☆2
「シンクロ召喚! 希望の光、『フォーミュラ・シンクロン』!」
『トァッ!』
フォーミュラ・シンクロン:DEF 1500
光の柱を突き抜けて飛び出す、レーシングカーの胴体を持つ機械戦士。操縦席から頭が飛び出し、横からは腕、下部からは足が生えている。バイザーが光を反射し、輝のデッキトップを照らした。
「『フォーミュラ・シンクロン』がシンクロ召喚に成功したため、デッキからカードを1枚ドロー! そして『大ウナギ』が墓地に場から墓地に送られたため、全ての水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップします!」
メタボ・シャーク:ATK 1800→2300
A・S 南海のマーメイド グッピー:ATK 2600→3100
A・L・S オーシャン・チェリー:ATK 2500→3000
「更にレベル8の『スターダスト・ドラゴン』に、レベル2の『フォーミュラ・シンクロン』をチューニング!」
星屑の龍が大空へと舞い上がり、F1レーシングカーの戦士が2つの緑のリングへとその姿を変える。高速で急降下した『スターダスト・ドラゴン』がそのリングを潜り、亜空間の中へとその姿を掻き消した。
「集いし絆と思いが、絶望を希望に変える力となる! アクセルシンクロォォオオオッ!」
☆8+☆2=☆10
「シンクロ召喚! 明日を導け、『シューティング・スター・ドラゴン』!」
『ヒュォオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオォォオオオォッ!』
シューティング・スター・ドラゴン:ATK 3300
時空の彼方へとその姿を消した星屑の白い龍は、新たなる姿を以てして輝の後ろから再び次元を突き破って登場する。全身が白い装甲の様なものに覆われ、白銀の眼光がグラトニーを射竦める。
シューティング・スター・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)
星10
風属性/ドラゴン族
ATK 3300/DEF 2500
シンクロモンスターのチューナー1体+「スターダスト・ドラゴン」
以下の効果をそれぞれ1ターンに1度ずつ使用できる。
●自分のデッキの上からカードを5枚めくる。
このターンこのカードはその中のチューナーの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。
その後めくったカードをデッキに戻してシャッフルする。
●フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、その効果を無効にし破壊する事ができる。
●相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。
エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。
「魔法カード『貪欲な壺』発動! 墓地の『スターダスト・ドラゴン』、『ニードル・ギルマン』、『超古深海王シーラカンス』、『竜宮の白タウナギ』、『アンノウン・シンクロン』をデッキに戻し、カードを2枚ドロー!」
「ど、どこまでドローすれば……っ!」
「そっちだって大量ドローを何度もしたでしょう! 更に魔法カード『波動共鳴』を発動! 場のモンスター1体のレベルを4にする! 黎の『A・S 南海のマーメイド グッピー』のレベルを8から4へ変更! お借りしますよ!」
「ああ、持って行け!」
A・S 南海のマーメイド グッピー:☆8→4
レベルを揃えたって事は……!
「レベル4の『グッピー』と『メタボ・シャーク』をオーバーレイ!」
『ハァァアアアアッ!』
『ジャァアアアアッ!』
「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」
美しい人魚が青に、大きな鮫が水色の光にその姿を変え、歪な螺旋を描きながら上空へと飛び上がる。光は空にできた大きな銀河の渦の中へとその姿を躍らせ、大きな爆発を巻き起こした。
☆4×☆4=★4
「出でよ、『No.39希望皇ホープ』!」
『ホォォオォォォォプ!』
No.39希望皇ホープ:ATK 2500
右肩に自身の数字、39を赤く光らせ、白と黄金に輝く鎧を身に付けた騎士が降臨する。白銀の翼を広げ、赤くその双眼を光らせる。
「まだまだぁ! 『希望皇ホープ』を、カオス・エクシーズ・チェンジ!」
「カオス・エクシーズ・チェンジだと!?」
光の騎士がその姿を塔のオブジェへと変える。白い翼を折り畳み、ギンガの渦の中へとその姿を潜らせる。
輝きは希望を映し、黒い輝きが未来を照らす。
「今こそ現れよ! 『CNo.39希望皇ホープレイ』!」
『ホォゥオオオオオオオオオッ!』
CNo.39希望皇ホープレイ:ATK 2500
銀河の渦の中から一回りスリムになった黒い塔のオブジェが現れる。39の数字を赤く光らせ、青い宝玉が煌めく。
コウモリの様な翼を広げ、黒と金の鎧に身を包まれた、赤い瞳の騎士がその姿を露わにした。背中の大剣のセーフティが外れて柄が飛び出し、額の宝石が青く光る。
「ぬ、ぬぅぅぅううっ! この土壇場でここまでの展開を……っ!」
「出た、『ホープレイ』!」
「行けぇ、輝!」
「『希望皇ホープレイ』の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使う度に、エンドフェイズまで500ポイント攻撃力をアップさせ、相手モンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンさせる! 私は3つ全てを消費して、1500ポイント攻撃力をアップさせる! 行きます、“オーバーレイ・チャージ”!」
CNo.39希望皇ホープレイ:ATK 2500→4000/ORU:3→0
肩に収容されていたもう一対の腕が伸び、背中の大剣を引き抜く。剣の中へと全ての星が吸い込まれ、全身を白いオーラが包み込んだ。黒い鎧が、白く光り輝く。
「これにより、グラトニーの攻撃力は3000ポイントダウンする!」
「ぬ、ぬぅっ!」
CNo.39希望皇ホープレイ(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
光属性/戦士族
ATK 2500/DEF 2000
光属性レベル4モンスター×3
このカードは自分フィールド上の「No.39希望皇ホープ」の上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる。
自分のライフポイントが1000以下の場合、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力を500ポイントアップして相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンする。
七罪士 グラトニー:ATK 3700→700
瞬時に暴食の体から力が吸い取られる。
だが、ここで終わらない!
「更に『シューティング・スター・ドラゴン』の効果を発動! 1ターンに1度、デッキの上からカードを5枚確認し、その中のチューナーの数だけ攻撃できる!」
ギャンブル性の強い効果だが、その能力は強力だ。
何枚のチューナーが引き当てられる!?
「捲ったカードは『竜宮の白タウナギ』、『ジェネクス・ウンディーネ』、『スターブラスト』、『和睦の使者』、『ジェネクス・コントローラー』! チューナーは『竜宮の白タウナギ』と『ジェネクス・コントローラー』の2体! よって攻撃の回数は2回!」
「ぐっ!」
「行けぇ、『希望皇ホープレイ』! グラトニーに攻撃!」
腰に差していた剣の鞘が弾け飛び、その両手に収まる。黒い鎧を白く輝かせた騎士は、その両手と背中の剣を力一杯振って斬りつけた。
通れぇ!
「墓地の『ホウレンソーサラー』の効果を発動! 相手の攻撃宣言時に墓地のこのカードをゲームから除外し、相手の最も高い元々の攻撃力を自分の攻撃対象モンスターに加算するぅ!」
「い、いつの間に!?」
「『ソウトレス・リロード』か『プリンセスナ』で捨てたんだろうね!」
「その通り! 『ソウトレス・リロード』で墓地に送られたデッキトップさぁ!」
ホウレンソーサラー(効果モンスター)(オリジナル)
星5
風属性/魔法使い族
ATK 2000/DEF 1950
このカードは1ターンに1度、戦闘またはカードの効果では破壊されない。
相手モンスターの攻撃宣言時、墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
相手の場に表側表示で存在する元々の攻撃力が最も高いモンスター1体の元々の攻撃力分、攻撃の対象となった自分のモンスターの攻撃力をエンドフェイズまでアップする。
『ヘヘヘヘヘヘ~ッ!』
頭上にホウレンソウを生やした魔導師が半透明になって現れ、流星のドラゴンの力をグラトニーに流し込む。
七罪士 グラトニー:ATK 700→4000
マズい! 攻撃力は並んだが、グラトニーは自身の効果で破壊を回避できる!
「グヒヒヒヒヒッ! “グラトン・デススクラッチ”!」
「ほ、“ホープ剣カオススラッシュ”!」
斬! 斬斬! 斬斬斬!
剣と爪が交錯し、互いに互いを斬り合う。
一瞬の間をおいて、三刀流の騎士は地に伏し、倒れた。
「すみません、『ホープレイ』……」
「グヒヒヒヒヒ、カウンターを取り除いて破壊を回避だぁ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 19→18
マズい、な、これじゃ『シューティング・スター』の連続攻撃が使えな「ならば『シューティング・スター・ドラゴン』で攻撃!」いぃ!?
「ひ、輝!?」
「父さん!?」
「バカなマネは止めろ! 攻撃力差700はお前のライフ500じゃ受けきれねぇ!」
「“スターダスト・ミラージュ”!」
トチ狂いやがったか!?
全身に煌めく粒子を纏って突進する『シューティング・スター・ドラゴン』。グラトニーはそれを受け止め、斬り裂いた。
「グヒヒヒヒ! バカめぇ!」
「父さん!」
「「輝っ!」」
あいつ、何を考えてこんなカミカゼ特攻を!?
流星の龍が破壊された衝撃が輝へと突き進み――
「罠発動! 『集いし願い』!」
「何ぃ!?」
集いし願い(アニメ効果)
【通常罠】
自分フィールド上に表側表示で存在する「シューティング・スター・ドラゴン」が戦闘を行う場合、そのダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを0にする。
そして「シューティング・スター・ドラゴン」が戦闘によって破壊された時、自分の墓地からシンクロモンスターカードによって決められたシンクロ素材をゲームから除外し、「スターダスト・ドラゴン」1体をシンクロ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、自分の墓地に存在するドラゴン族シンクロモンスターの攻撃力の合計分アップする。
さらに、自分の墓地に存在するドラゴン族シンクロモンスター1体をエクストラデッキに戻す事で、相手モンスター1体を選択し「スターダスト・ドラゴン」と戦闘を行う。
「このカードは『シューティング・スター・ドラゴン』がバトルで破壊される時に受けるダメージを無効にし、墓地の素材と成り得るモンスターをゲームから除外して『スターダスト・ドラゴン』をシンクロ召喚できる!
歩の墓地のレベル7の『E・HERO サンライザー』と奈美の墓地のレベル1のチューナーモンスター、『ドラグニティ-ブランディストック』をゲームから除外し、チューニング!」
歩と奈美ちゃんの墓地が光り、そこから赤い装甲に身を固めた太陽光の英雄と、刃に身を固めた龍が現れる。2体はそのまま星とリングとなって、輝く柱を生み出した。
☆7+☆1=☆8
「今一度飛翔せよ、『スターダスト・ドラゴン』!」
『キュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
もう1度現れる星屑の龍。
成程、これのために『スターダスト・ドラゴン』を『貪欲な壺』でデッキに戻し、かつ自爆特攻をして発動条件を整えたのか!
「この効果で特殊召喚された『スターダスト・ドラゴン』は、自分の墓地のドラゴン族シンクロモンスターの攻撃力の合計値分、攻撃力がアップします!」
「だ、だが、お前らの墓地にはドラゴン族のシンクロモンスターは2体しかいねぇ! 攻撃力は対して上がらねぇ! 更に『シューティング・スター・ドラゴン』を戦闘で破壊したからカウンターを追加だ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 18→22
確かに。墓地にいるシンクロモンスターは7体。だが、奈美ちゃんの『スターダスト・ドラゴン』と輝の『シューティング・スター・ドラゴン』以外、全てドラゴン族では無い。
だが、輝はそれに対し、不敵にニヤリと笑った。
「それは、どうでしょうか?」
スターダスト・ドラゴン:ATK 2500→18400
「ば、バカな!? 一体何が!?」
「私の場のカードを見れば分かる」
「何……? っ、それは!?」
表向きになったカードは、一人の青年の顔の半分が機械となったイラスト。そのカラーリングは、赤。
巡り続ける輪廻を、独りの判断で決める。故にそのカードの名は―――
「永続罠、『輪廻独断』です」
その効果は、墓地に存在する全てのモンスターの種族を自分で指定した一種類に変更する、つまりは墓地限定の『DNA改造手術』。
輪廻独断
【永続罠】
永続罠
(1):1ターンに1度、種族を1つ宣言して発動できる。
このターン、お互いの墓地のモンスターは宣言した種族になる。
「墓地のシンクロモンスターは『スカー・ウォリアー』、『フォーミュラ・シンクロン』、『ライトニング・ウォリアー』、『スターダスト・ドラゴン』、『A・S チャリオット・ホエール』、『A・S 南海のマーメイド グッピー』、『シューティング・スター・ドラゴン』の合計7体。さあ、行きますよ!」
『『『『『『『おぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!』』』』』』』
うお!? いつの間にか精霊が増えてる!?
『黒魔術の総本山の力、その眼に焼き付けるがいい!』
『お師匠様、行きますよ!』
マハードにマナ!?
『今一度、我ら星の騎士の力を示す時!』
『インヴェルズと再び手を組む事になるとはな』
『ヴァイロンに言われたくねぇよ!』
『キキキ、ワレラヴェルズノ危険度ヲ教エテヤル』
セイクリッドにヴァイロン、インヴェルズにヴェルズ!
『ジェムナイトの力は復活と合体! その恐ろしさ、たっぷり味あわせてやる!』
『その脂ぎった肉体、焼き払ってくれるわ!』
ジェムナイト、ラヴァル!?
『ミストバレーの誇り、それは風と共にある!』
『ならば我らは龍の力を示そう!』
『しからば祈りを捧げ、風の御心を……』
ミストバレーにドラグニティ、ガスタも!?
『Pi Pi Pi! TARGET , LOCK ON !』
『ALL RIGHT ! LET’S TAKE AN ASSOCIATION !』
『……奴が我らを食らうのならば、こちらも食い返すまでだ……!』
『魔の世界に轟く神の力、受けてみよ!』
A・O・J、ジェネクス、ワーム、魔轟神……っ!
『眠りし龍の力、封印を再びかけるのには弱らせる必要がある。絶好の敵がいたな』
『禁断の儀式、奴を滅するのには都合が良いか!』
氷結界にリチュア!
『グガァアアアアアアアッ!』
『吠えるな、ウルセェ!』
ジュラック、X-セイバー!
『パゥカカカカカッ!』
『愉快そうだな。オレらも行くぜ、出遅れるなよ!』
そしてナチュルにフレムベルまで!
「一撃目! 『スターダスト・ドラゴン』で『七罪士 グラトニー』に攻撃! 響け、“シューティング・ソニック”!」
「か、カウンターを取り除くっ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 22→21
バシュゥッ! 白銀に輝く閃光を、グラトニーが光る腕で受け止める。
「二撃目! 『フォーミュラ・シンクロン』をエクストラデッキに戻して攻撃! 轟け、“シューティング・フォーミュラ・ソニック”!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 18400→18200
「まだまだカウンターは残ってるぜぇ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 21→20
続いて放たれるのはレーシングカーの力を宿した、緑の閃光。これも受け止められる。
「三撃目! 『グッピー』を戻す! 鳴り響け、“シューティング・アクア・ソニック”!」
「アマいわぁ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 18200→15600
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 20→19
今度は人魚の力を宿した青い砲撃。
さてグラトニー。何時までお前は笑っていられるかな?
「四撃目! 『スカー・ウォリアー』をエクストラデッキに戻します! 貫け、“シューティング・スカル・ソニック”!」
「何度もウゼェんだよぉ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 15600→13500
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 19→18
更に続く閃光の咆哮。灰色に輝く一撃を、グラトニーは輝く爪で防ぐ。
後、18発!
「五撃目! 『チャリオット・ホエール』を戻す! ぶち抜け、“シューティング・マリン・ソニック”!」
「このガキ、調子に乗りやがってぇ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 13500→10700
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 18→17
群青色の衝撃波も防がれる。
残り17回!
「六撃目! 『ライトニング・ウォリアー』をエクストラデッキに戻して攻撃! 煌めけ、“シューティング・サンダー・ソニック”!」
「ぬぅぅぅうっ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 10700→8300
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 17→16
黄金色の攻撃も防がれる。
残り16!
「七撃目! 『シューティング・スター・ドラゴン』を戻して攻撃! 輝け、“シューティング・ミラージュ・ソニック”!」
「小賢しいつってんだよ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 8300→5000
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 16→15
輝く一撃も防御される。
後15回!
「グヒヒヒヒッ、これ以上攻撃できねぇだろ? 残った『スターダスト・ドラゴン』を戻しちまったら攻撃力は2500になっちまうからなぁ!」
「クッ!」
グラトニーの指摘に歯を軋ませる輝。
確かに、その通り。だがな!
「これ以上攻撃する事はできね「速攻魔法!」ェ!?」
「『イージーチューニング』! 墓地のチューナーを1体除外し、その攻撃力分モンスター1体を強化する! 桜っ!」
『問題無い。私の意思は既にこの『オーシャン・チェリー』に移っている! 存分にやってくれ!』
「よし来た! 墓地の『L・S レストア・チェリー』をゲームから除外し、1800ポイント『スターダスト・ドラゴン』の攻撃力をアップさせる!」
イージーチューニング
【速攻魔法】
自分の墓地に存在するチューナー1体をゲームから除外して発動する。
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は、発動時にゲームから除外したチューナーの攻撃力分アップする。
「『受け取れぇ!』」
「受け取りました!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 5000→6800
『キュォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
半透明の騎士装束の桜が、星屑の龍の内側へとその姿を同化させる。全身に桃色のオーラを纏った『スターダスト・ドラゴン』は、溢れ出る力を証明するかの様に雄叫びをあげた。
「輝!」
「はい! 七撃目! 奈美の『スターダスト・ドラゴン』をエクストラデッキに戻し、私の『スターダスト・ドラゴン』で『七罪士 グラトニー』を攻撃! 行きますよ、皆さん!」
キュィイイイイイイイイイイイイイイイン! とエネルギーが集まる。そこには様々な精霊のエネルギーが密集し、虹色に輝く光の球体が生まれていた。
「響き渡れ! “
「ぬがぁあああああああああああああああああああああああああっ!」
スターダスト・ドラゴン:ATK 6800→4300
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 15→14
攻撃をこれまで耐えきっていたグラトニーだったが、この一撃は流石に響いたのか、十メートル程後ろまで吹き飛んでいった。
残り、14個。
「私はこれでターンエンド! 『輪廻独断』の効果は終了、墓地のモンスターの種族は元に戻ります!」
輝:LP 500
手札:0枚
フィールド
:スターダスト・ドラゴン(ATK 4300)
:輪廻独断(永続罠)
凄いな、輝。
僅か1ターンで7つもカウンターを減らした。途中で4つ増えた事を差し引いても、十分過ぎる。
奈美ちゃんが“あのカード”を引いてくれれば、勝利は確実。
だが、グラトニーの墓地にはカードがあるし、伏せカードだって1枚余っている。油断はできねぇな。
「私のターン!」
とは言え、奈美ちゃんがそのカードを引く可能性は残念ながら低いだろう。禁止・制限されていないとは言え、3枚も積めば確実に事故るカードだからである。
となると、歩のこのターンの行動がカギだ。
さあ、どう動く? 手札は合計で7枚だ!
「歩の魂の型は“太陽”! 熱く燃え盛るその姿は可能性の象徴となり、司るのは輝く未来と失敗! 陽と男性の象徴でもあり、その意味は“明日への希望”!」
「だったら、わたしが皆を希望へ導く! リバースマジック『アームズ・ホール』、『非常食』、発動! デッキの1番上のカードを墓地に送り、『アサルト・アーマー』を手札に加える! そして『アームズ・ホール』をコストにライフを1000ポイント回復する!」
2回攻撃カードをサーチしたか。これで手札は8枚、ライフも微量だが回復できた。
歩:LP 200→1200
「マジックカード『二重融合』! ライフを500払い、融合召喚を2度行う! く……!」
歩:LP 1200→700
「母さん!」
「歩!」
「大丈夫、ちゃんと回復したから、ちょっと圧迫感を感じたくらいだよ」
辛そうな表情を浮かべる歩を心配する輝。歩は強気に返すが、どう見ても空元気にしか見えない。
ったく、あのバカ。いくら回復できるとは言え……!
「ふ、ふふ……。黎だって、ライフが50しか残っていないよ……」
「俺は特別な体を持っているからこの程度どうという事は無い! だがお前は違う! お前は普通の人間だろう!?」
「そんな、脂汗流してる人が言っても、説得力、無いよ……っ! それに、まだライフは十分残ってるっ!」
そ、それはそうだが……。
「1回目の融合! 手札の『フェザーマン』と『バーストレディ』を融合!
現れろっ、疾風に轟く紅の業火の英雄! 『E・HERO フレイム・ウィングマン』!」
E・HERO フレイム・ウィングマン(融合・効果モンスター)
星6
風属性/戦士族
ATK 2100/DEF 1200
「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
次元の渦が捻じれ、翼を持つ緑の英雄と赤いスーツを着た炎の女英雄が捻じれて一つに重なる。
大きな左の翼を持ち、赤い龍の頭を右の手に持つ、十代の永遠のフェイバリットが現れる。緑の体に黒い体毛を持つが、右肩から先だけは龍の頭と同じ様に赤い。
E・HERO フレイム・ウィングマン:ATK 2100
「そして2回目の融合! 場の『フレイム・ウィングマン』と手札の『スパークマン』を融合!
白銀に輝き轟け! 風と炎を纏いし雷の大英雄にて、最強の光の使徒よ! 『E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン』!」
『はぁぁぁぁぁぁ、ハァァッ!』
再び捻じれる次元の渦。風が荒れ、炎が燃え盛り、雷が轟く中、更なる進化を『フレイム・ウィングマン』が遂げて場に現れる。
白く輝く鎧で全身を覆い、鎧そのものも発光している。大きな翼を広げ、マスクによって隠れた視線で敵を射竦める。自分の墓地の“E・HERO”の数だけ強くなる、終盤で活躍しやすいフィニッシャー系統のアタッカーだ。
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン:ATK 2500
「十代以外で正規融合でこいつを出すとはな、恐れ入るよ、歩」
「そりゃ、どうも……っ」
本来、こいつは『ミラクル・フュージョン』か『スパークマン』+融合素材代用モンスターで出すモンなんだが……。
歩の声も好い加減に辛そうだ。決着をつけないと、危険だな。
「『シャイニング・フレア・ウィングマン』はわたしの墓地の“E・HERO”1対につき300ポイント、攻撃力がアップする! わたしの墓地に存在するヒーローは『エアーマン』、『エッジマン』、『ワイルドマン』、『シャドー・ミスト』、『リキッドマン』、『クレイマン』、『アブソルートZero』、『Wake Up Your E・HERO』、『フェザーマン』、『バーストレディ』、『スパークマン』、『フレイム・ウィングマン』の12体! よって攻撃力は3600ポイントアップする!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン:ATK 2500→6100
「こ、攻撃力6100だと!?」
「まだまだ! 装備魔法『アサルト・アーマー』を発動! このカードは自分の場に戦士族モンスターが1体のみ存在する時にのみ発動できる! 攻撃力を300ポイントアップさせる!」
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン:ATK 6100→6400
光り輝く英雄の体に、狂気の混ざったオーラが纏われる。
上昇値はたった300だが、このカードの真骨頂はそこでは無い!
「更に装備魔法とは……! だ、だが僅か300ポイント程度だ! それにおいらのカウンターはまだ14個も残っている! まだやられはしねぇ!」
「更に装備されたこのカードを墓地に送る事で、装備モンスターはこのターン2回攻撃ができる! 『アサルト・アーマー』、解除!」
「何だとぉ!?」
アサルト・アーマー
【装備魔法】
自分フィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。
装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。
装備されているこのカードを墓地へ送る事で、このターン装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
カードが光となって消え、オーラが消失する。しかし、光の英雄の両手には2発分の攻撃用のエネルギー体のスフィアがチャージされていた。
この効果は墓地に送った後にモンスターを増やしても問題無いという利点があるのがお得だ。
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン:ATK 6400→6100
「バトル! 『シャイニング・フレア・ウィングマン』でグラトニーに攻撃! “シャイニング・シュート”2連打ァ!」
「ぐ、ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ! 『ミラー油』を墓地に送り、カウンターを4つ追加! そしてカウンターを取り除き破壊を無効にするぅ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 14→18→16
ドゴォンドゴォン! と光の砲撃が着弾し、グラトニーのカウンターを削る。
ダメージがそろそろ限界なのか、グラトニーの右の鉤爪に罅が入った。
「レェェイッ!」
「おう! トラップ発動、『瀑流突破』! このターン、モンスターを戦闘で破壊できなかった時、墓地の水属性モンスター3体を除外し、更に2回の攻撃回数を追加する! ただしそのモンスターのコントローラーは600のダメージを受けねばならない! 俺は墓地から『ディバイダー・シュリンプ』と『グッピー』、『ギンガム』を除外!」
「ぐぅうううう……!」
「俺が発動しておいて何だが、お前……!」
「大丈夫、ライフは……、残るから! ダメージを受けた事でフィールド魔法の効果により、手札を2枚捨てる! わたしは『プリズマー』と『ブレイズマン』を墓地へ! これにより更に600ポイント攻撃力アップ!」
歩:LP 700→100
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン:ATK 6100→6700
E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン(融合・効果モンスター)
星8
光属性/戦士族
ATK 2500/DEF 2100
「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する「E・HERO」と名のついたカード1枚につき300ポイントアップする。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
瀑流突破(オリジナル)
【通常罠】
(1):自分フィールドに水属性モンスターが存在し、相手モンスターを戦闘によって破壊できなかった時に発動できる。
自分の墓地からレベルの異なる水属性モンスターを3体除外し、攻撃を行ったモンスターに以下の効果のどちらかを適用する。
●攻撃力を2倍にし、もう1度だけ攻撃できる。
この戦闘で発生するダメージは回復として扱う。
●自分は600ダメージを受け、続けて2回攻撃できる。
相手のカードを逆手に、攻撃力を上げる。確かにこれは強力だ。
だが……。
「お前、いくらライフが残るからって!」
「死にたく、ないから」
!
「わたしには、未来で待ってる赤ちゃんがいる! 未来で好きな人と家庭を築く日々がある! ここで死ぬ気でやらなくて、いつ死ぬ気でやるってのよ! わたしの全身全霊でコイツを倒せるのなら、魂の全てを燃やしてでもブッ倒す!」
……凄い覚悟だ。
これが、母親……。
「受け取れわたしの覚悟を! “シャイニング・ハイバーシュート”ォォォオ!」
「カウンターを取り除き、破壊とダメージを無効にするぅ!」
連続で降り注ぐ光弾。それが敵の残機を確実に削り取り、抉っていく。まるで闇を光で浄化するかのように、日光によって夜から昼へと明るさを取り戻すように。
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 16→14
「はぁ、はぁ……、わたしにできる事はこれで終わり! ターンエンド!」
歩:LP 100
手札:1枚
フィールド
:E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン(ATK 6700)
:魔法・罠無し
【BGM:chAngE】
「私のターン!」
「ぐぅぅぅ、何故だぁ!」
「え?」
苦しげに、憎々しげにグラトニーが唸る。
何故? 何がだ?
「何故お前らは希望を失わない! あの絶望的な状況の中で! 普通ならばサレンダーを考える様な状況だったハズだ!
絶望しないで何故光ばかりを見られる! 闇の存在を知っていながら何故! 何故敗北を考えない! 希望を何故捨てない! 挫折しないのは何故だ!」
吠えるグラトニー。
それはエンヴィーの様なその場凌ぎの策では無く、本当に疑問で仕方が無いといった様子だった。
確かに、普通の人間なら、絶望的なあの状況、解決策を思いつくという事すら思い浮かばず、膝を折っていただろう。疑問に思うのももっともだ。
それに誰よりも先に答えたのは、最年少である奈美ちゃんだった。
「そんなの、簡単だよ」
「何……?」
「未来があるからだよ」
未来?
「今は絶望。でも、未来もそうだとは限らない。それにデッキだって残っている」
「デッキだと…………?」
「うん。デッキの中には自分で組んだ、信頼できるカード達がいる。そしてそこから無限の可能性が広がっている。自分でも思いもよらないコンボが生まれたり、考えもしなかった新しい突破口が見つかったりする。
だから、デッキがある限り、私達は絶対に諦めないんだよ」
その言葉を受けて俺は、そして輝と歩も、ディスクに収まっている自分のデッキを見た。
まったく、こんな年下の少女に教わるとは、俺は腑抜けていたらしいな。
無限の可能性は良い方にも悪い方にも向いている。だからこそ、人は良い方へと未来を動かすために戦う。
俺もまた、闇の中から針の穴程の光を見出そうと戦っていた身だったのに。温かい学園生活の中で、それを忘れていたか。
情けねぇ……。
「希望が、まだあるってのか!」
「そうだよ。魔法カード『埋葬呪文の宝札』、発動! 墓地の『リロード』、『エヴォリューション・バースト』、『地砕き』をゲームから除外し、カードを2枚ドロー!」
ピ、ピ、ピ、とカードが3枚、墓地から吐き出される。
ここで、何を引くんだ?
頼むぞ、ここで引けなければ、グラトニーのターンで反撃されて、確実に敗北する!
「ドロー!」
頼む、キーカード、来てくれ!
「奈美ちゃんの魂の型は“流れ星”! 儚く夜空を散るその姿は願いの道標となる! その意味は“無現の可能性”!」
「可能性はどこまでも広がる! その証左を今示す! 魔法カード『サイバーダーク・インパクト!』を発動!」
「このタイミングでだと!?」
「自分の手札、場、墓地からホーンくん、エッジちゃん、キールくんをデッキに戻し、『
サイバーダーク・インパクト!
【通常魔法】
自分の手札・フィールド上・墓地から、「サイバー・ダーク・ホーン」「サイバー・ダーク・エッジ」「サイバー・ダーク・キール」をそれぞれ1枚ずつデッキに戻し、「鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン」1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「さあ、行くよぉ!」
『グォォオオオッ!』
『ガァアアアァッ!』
『ギキィィィイッ!』
墓地から光が発せられ、3体の“サイバー・ダーク”がその姿を現す。
ホーンが角を持った頭に、エッジが刃の羽を持った胴体に、キールが頭から尻尾までを貫く背骨になり、その姿は3つの黒が入り混じった漆黒の巨龍となった。
その黒い口から、世界を砕くような咆哮が漏れ出る。
『ウヴォォオォオオオオオオオオオオオオォォオオオオオオオオオオォオオオォッ!』
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン(融合・効果モンスター)
星8
闇属性/機械族
ATK 1000/DEF 1000
「サイバー・ダーク・ホーン」+「サイバー・ダーク・エッジ」+「サイバー・ダーク・キール」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
また、このカードの攻撃力はフィールド上に存在する限り、自分の墓地のモンスターの数×100ポイントアップする。
このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりに装備したモンスターを破壊する。
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK 1000
「『サイバー・ダーク・ドラゴン』さんの効果発動! 墓地のドラゴン族モンスターを1体装備できる! 私は『フュージョン・ガード』の効果で墓地に送られた『F・G・D』を選択して装備する!」
地面に現れる紫の魔法陣。その中心の暗闇から、5つの属性を従えた首を持つ黄色いドラゴンが現れる。
漆黒の巨龍はアームを伸ばしてそのドラゴンを装備しようとするが、サイズは『F・G・D』の方が上なので上手くいかない。仕方無しに『F・G・D』は屈み、首の1つにアームを伸ばしてホールドする事で両者は落ち着いた。
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK 1000→6000
「更に攻撃力は墓地のモンスター1体につき100ポイントアップする! 私達の墓地のモンスターの数は49体! よって攻撃力は4900ポイントアップ!」
鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン:ATK 6000→10900
「こ、攻撃力10900だとぉ!?」
凄い……、まさか『サイバー・ダーク・ドラゴン』の攻撃力がここまで上昇するとは!
「ぐ、グゥ……(高い攻撃力なんざ目じゃねぇ。カーニバルカウンターを1つ取り除いてダメージも破壊も無効にできるし、おいらの効果で墓地に送れる。だが、問題は……
―――永続罠発動! 『デモンズ・チェーン』!
―――そしてモンスター効果が無効になったため、カウンターも取り除かれる!
効果を無効にするカードがあいつらの場や手札にあった場合だ。カウンターが無くなれば、負ける!)」
ギリリ、とグラトニーが歯軋りする。
それを見て奈美ちゃんは手札の1枚を手にし、ニヤリと笑った。
「さぁ、わたしのバトルフェイズ──」
「!(間違いねぇ! あいつの残った手札は『禁じられた聖杯』! 効果を無効にされたらおいらの負けだ!)
お、ぉおおおおおっ! 墓地の『キャラメルーラー』の効果を発動! このカードと墓地のモンスターを2体ゲームから除外し、自分の場に存在する最も攻撃力が高いモンスターの攻撃力より上の攻撃力を持つ相手の場に存在するモンスターを1体選択! 選択したモンスターを墓地に送る!」
キャラメルーラー(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)
星2
闇属性/魔法使い族
ATK 1000/DEF 200
(1):自分・相手ターンのメインフェイズに、このカードを含めたモンスター3体を墓地から除外して発動する。
相手の場に存在する、攻撃力が自分の場の最も高いモンスターの攻撃力よりも高いモンスター1体を墓地に送る。
「このカードと墓地の『ハングリーバーガー』、『キラー・トマト』をゲームから除外! これで『サイバー・ダーク・ドラゴン』は墓地行きだぁ!」
『ウヴォォオオオオオオオオオオオッ!?』
「『サイバー・ダーク・ドラゴン』さんっ!」
ドロリ、と溶け出したキャラメルに呑み込まれ、漆黒の巨龍は地の底へその巨躯を鎮める。
クソ……。奈美ちゃんの残った手札は『禁じられた聖杯』の様なカウンター対策用のカードの可能性が高い。これじゃ「ふふふ……」あ?
「かかったね、グラトニー?」
「何……?」
「アンタはまんまと私の
「何、だと……?」
『サイバー・ダーク・ドラゴン』が、囮……!?
ニヤリ、と笑った奈美ちゃんは手札のカードを1枚、グラトニーに見せる。
見せたそのカードは―――
「お、『オーバーロード・フュージョン』だとぉ!?」
オーバーロード・フュージョン
【通常魔法】
(1):自分のフィールド・墓地から、
機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
正直、賭けだった。そう奈美ちゃんは言った。
「まあ、もしもあのハッタリに乗ってくれなかったとしても、このカードを発動させていたけどね。でもこれで、アンタの墓地の正体不明のカードは全部ハッキリした! これで心おきなく発動できる!
魔法カード、『オーバーロード・フュージョン』、発動ぉっ!」
ディスクがカードを読み込み、墓地のカードが連続で吐き出される。
今、素材にできるモンスターは―――
『サイバー・ドラゴン』
『サイバー・ドラゴン』
『サイバー・ドラゴン』
『沼地の魔神王』
『サイバー・ドラゴン・ツヴァイ』
『カード・ガンナー』
『ボルト・ヘッジホッグ』
『ブラック・ボンバー』
『プロト・サイバー・ドラゴン』
『鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン』
素材となるのは機械族モンスター達と融合素材代用モンスター、合計10体。融合素材にできない『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』以外のカードが場に半透明になって現れては消える。
「更にこれにチェーンして永続罠『輪廻独断』を効果発動っ! 指定するのは機械族っ!」
「な、お前もだとぉ!?」
再び発動する輝の永続罠。俺達の墓地からも強い光が発せられ、墓地のモンスター達が次々に除外されて行く。
その総数は、合わせて50体!
「現れよ、サイバー流最強モンスター、『キメラテック・オーバー・ドラゴン』ッ!」
『ギグガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
キメラテック・オーバー・ドラゴン:ATK ?
ギギギギギ、と起動音。
無数の龍の首を従えた機械の巨体が現れる。首が次から次へと生まれ、中には首から首という中々に不気味な状態にもなっている。
金色に輝く瞳は爛々と輝いており、グラトニーに50対、100の瞳が向けられる。
「『キメラテック・オーバー・ドラゴン』さんの効果で、このカード以外の私の場のカードを墓地に送る! そして『キメラテック・オーバー・ドラゴン』さんの攻撃力と守備力は融合素材となったモンスターの数×800ポイントになる!」
キメラテック・オーバー・ドラゴン(融合・効果モンスター)
星9
闇属性/機械族
ATK ?/DEF ?
「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上に存在するカードを全て墓地へ送る。
このカードの元々の攻撃力・守備力は、このカードの融合素材としたモンスターの数×800ポイントになる。
このカードは融合素材としたモンスターの数だけ相手モンスターを攻撃する事ができる。
「よって数値は―――」
キメラテック・オーバー・ドラゴン:ATK ? →40000/DEF ? →40000
「こ、攻撃力40000だとぉ!?」
「そして素材の数だけ相手に攻撃できる! よって攻撃回数は50回! 行っくよぉ~!」
「ぐっ!」
「“エヴォリューション・リザルト・バースト”!」
無数の首の中から3つがグラトニーに照準を合わせる。膨大なエネルギーの籠ったエネルギー粒子砲が放たれ―――
「カウンター罠発動! 『キャビアルマゲドン』!」
「な!?」
「ここでカウンター罠!?」
「相手が攻撃宣言を行った時、相手の場のモンスターを全て除外し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与えるぅ!」
キャビアルマゲドン(オリジナル)
【カウンター罠】
自分のライフポイントが2000以下の時にのみ発動できる。
相手の攻撃宣言時、相手の場に存在するモンスターを全てゲームから除外し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
「この勝負、おいらの勝ちだぁ!」
「そ、そんなっ!?」
空中に無数に浮く爆弾。攻撃によってそれは次から次へと爆発し、その爆発は俺達の場のモンスターをも巻き込む威力を持ち――
「カウンター罠発動! 『神の宣告』!」
「なんだとぉ!?」
神の宣告
【カウンター罠】
ライフポイントを半分払って発動する。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。
「自分のライフを半分払って、『キャビアルマゲドン』の発動を無効にし、破壊する!」
黎:LP 50→25
その爆風は天空から降り注いだ神の雷によって、防がれ消失した。
だが、その代償は、俺のライフの半分。
「あが、グブッ!?」
ビギシベキッ、と骨が何本か折れた気がする。
血を大量に吐く事にもなった。体中が痛いし、そしてその痛みも鈍く、遠い。
「「「黎(さん)!」」」
『主殿っ!』
だが、これで勝てる!
勝利の為なら、喜んで踏み台にも捨て駒にもされてやるっ!
「構うな、俺はまだ生きている! 行けぇ、奈美ちゃんっ!」
「っ、はい! まずは
「ぐぉおおおおおおおおっ!」
3連続で砲撃が直撃。
それを受け止めたグラトニーの右の鉤爪は木端微塵に砕け散った。
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 14→11
「続いて
「ぎゃぁああああああああっ!」
容赦無く次の砲撃を浴びせる奈美ちゃんと『キメラテック・オーバー・ドラゴン』。残っていた左の鉤爪も粉々に砕け、黒い鎧も粉砕される。
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 11→6
「これで、お終いっ! 止めの
『ガグギァアアアアアアアアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァアアアアアアアアアアアアアアアァッ!』
「ぬぐぁああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!」
七罪士 グラトニー:カーニバルカウンター 6→0
怒涛のエネルギー砲のラッシュがグラトニーを襲う。
カウンターを全て使っても防ぎきれる量では無く、全ての防御エネルギーを失ったグラトニーは、その衝撃を余さず全身で受け――
グラトニー:LP 100→0
ライフを完全に失った。
黎・輝・歩・奈美:WIN
グラトニー:LOSE
【BGM終了】
「グヒヒヒヒ……、まさかおいらが人間に負けるとはな……」
「まだ生きてるのか、しぶといな……!」
全身ボロボロになり息も絶え絶えになりながらも、グラトニーは嘲笑う。
これまでの護衛は敗北後、最早五体満足とは行かなかったし、1分も持たずに消滅していた。
やはり、こいつは今までの奴とは別格か……っ!
「グヒヒ、そうボロボロの体で身構えるな。安心しろ、もう暴れるだけの力はねぇよ」
ニヒルにグラトニーは笑う。
確かに、既に左腕が粒子になり始めていて、消滅が始まっているのが分かる。
「だが、一つ聞かせろ、女顔」
「何でしょう?」
「何故だ? 4人の中でお前が最初に死と敗北を撥ね退けた。あの絶望的な状況で、何故死を受け入れず、抗う事を決めた? それが不可解だ」
言われていれば確かに。
ボロボロのあの状況で、あいつが一番先に希望を取り戻した。
俺だってあの状況で逆転の手を思い浮かぶ事はできなかった。
「それは簡単な話だ。私には守るものがあるから」
「ぬ?」
「守りたい好きな人がいる。大切な娘がいる。今も未来も、私は貪欲なまでに欲しいと思っている。確約されている幸せがあると知っている。だから、こんなところで死にたくなかった」
たったそれだけ、そう言って輝は笑った。
グラトニーは納得したかの様に、そうか。と笑った。
俺は、それが少しだけ羨ましかった。
好きな人は、俺にはいない。
都を取り戻したいけど、きっと俺はその過程で死ぬ。死ななくても重傷を負うだろう。化物のこの体でも、どうしようも無いくらい酷い怪我を。
今だって……。
いや、止めておこう。
ウジウジ考える時じゃ無い。
「守りたいもの、か」
「ええ」
「ハッ、人間ってのは面白ぇなぁ。たったそれだけで強くなって、力の差を覆す。ったく、最後は油断したつもりは、無かったんだがなぁ……」
はぁ、とグラトニーは嘆息する。
本当に悔しいと思っているのかも知れない。邪神のためじゃ無く、自分のために。
「ま、負けたモンはしゃあねぇか……。強いおいらに勝った褒美に、良い事を2つ、教えてやる……」
「良い事?」
「おう……。まず一つ。邪神様の復活は予定より大幅に、遅れている。お前が護衛を倒すスピードが、想定よりも、速いからな」
って事は、このまま順調に行けば……。
「ああ、復活前にお前は姫、義妹に会えるだろうよ」
そしてもう一つ、とグラトニーが前置きする。
「おいら達、護衛に、も、ランクが、存在する……。上級と下級の二つに、それぞれ分かれていて……、当然、上級護衛は、下級護衛よりも強い……」
グラトニーの話では、これまで俺が倒した3人は下級、グラトニー自身は上級らしい。
上級は3人、下級は4人おり、そしてその二つのランクの中でも強弱が分かれる。
「エンヴィー、スロウス、プライドの順番に、ランクは下がる……。つまりお前が倒した3人は、弱い方だったつーワケだ……」
「あれで、弱い方かよ…………」
「グヒヒヒ、おいら自身は、上級護衛の中で強さは丁度、真ん中……。つまり、残った護衛の内2人は、おいらよりも弱い事に、なる……」
確かに。護衛は残り3人。こいつの話を鵜呑みにするんだったら、下級1人に上級2人。グラトニーは上級で上から2番目だから、3人中2人はこいつより弱い。
「当然、人間に容易くやられる程弱くはねぇがな。だが、ぶっちゃけその2人なんざどうでもいい」
「本題は他にあると?」
「ああ。気をつけるべきなのは上級護衛最強、6人の他の護衛を統べる護衛のリーダーだ。奴の実力はおいら達とは別格。文字通り桁が違う」
桁違い!? グラトニー程の実力者を以てこう言わせるのか!?
「グヒヒヒヒ、気をつけろよ?」
「……何故、こんな事を俺達に教える? お前に何のメリットがある?」
「あん? 別にねぇよ。おいらは“暴食”のグラトニー。腹一杯食えりゃ誰の元であろうともいいのサ」
こいつは、今までの奴らとは本当に別格だな……。
ああそうだ、とグラトニーは何かを思い出したかのように輝に視線を向けた。
その体はもう半分以上朽ちている。
「女顔、お前、何て……、名前だ?」
「……朝倉 輝」
「アサクラヒカル……、覚えたぜ……。なあ……、ヒカル」
「何でしょう?」
「今度、会う機会が、あったら……、正々堂々と、大食い勝負、しよ、う、ぜぇ……」
「……私で良ければ、喜んで」
グヒヒヒ、とグラトニーは笑った。
何というか、とても嬉しそうだ。きっと、これが暴食たる理由。食べる事こそ、こいつの全て。故に他の事は眼中に無し。例え邪神の事であろうとも、こいつにとってはアイデンティティと天秤にかけるまでも無いのかも知れない。
モロッ、と体が崩れた。
「ああ、もう時間か……。ふぅ、護衛は最期にこれ言わなくたいけねぇんだよな……。邪神様、万歳」
そう言ってグラトニーの姿は真っ黒な塵に変わった。
『大食い勝負、約束だぜ?』
そんなグラトニーの言葉が、聞こえた気がした。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ……、グッ……、ゥッ!」
『だから言っただろう、無茶し過ぎだと!』
グラトニーとの戦いが終わり、現在俺は中々の重傷。蓄積したダメージを今桜に治療してもらっている。桜、骨身に響くからもう少し静かに……。
「黎、これを」
「これは……?」
輝が差し出したのは大きめの瓶。
中には琥珀色の液体が入っている。
「冷蔵庫に貯蔵してあった滋養強壮の効果のある酒です。これで少しはマシになるでしょう」
「……一応未成年なんだが?」
「貴方には関係の無い話でしょう、二重の意味で」
ふ、そりゃ転生前の年齢とこの特異な体の事か?
取り敢えず無いよりマシな感じで口に含む。
「んぐ、んぐ……ぅっ! んぐ……」
『主殿、今吐きかけたな? しかも味覚では無く胃袋の問題でだ』
「(ギク!?)まさか、そんなワケねぇだろ?」
『誤魔化すな、分からいでか! 胃が物を受け付けない程にダメージを負っているのだろう!? そんなの常人ならば命を落としているレベルだ! もう少し自分の体を気遣え!』
しかし、そうは言ってもなぁ……。
『闇のゲームで残りライフ50の状況で、『神の宣告』を使う愚か者がどこにいる!』
「だが……、あそこで使わなければ、全員、負けていた……」
『『神の宣告』を入れる事そのものが間違っていると言っているのだ!』
うがぁ……、だって使い勝手良いんだもん……。
『自重しろ!』
「ごめんなさい……」
いやマジで。
「まぁまぁ、桜さん、勝ったんですから、その辺で」
『しかしだな……』
「過ぎた事だよ。わたし達は実際、あの『神の宣告』が無ければ全滅してたんだし」
「実際、あの連続攻撃に気づけたのは黎さんのセリフのお陰だし」
――『1度の攻撃が通じないのならば、死ぬまで殺し続けるまでだ』
あそこから皆気が付いたのか。
まさか、深く考えずに言ったあのセリフが、突破口になるとはね。
輝、歩、奈美ちゃんに説得されたのか、桜は不承不承、渋々といった感じで怒りを収めた。
『はぁ、そこまで言うのならば仕方が無いな。良いだろう、今回はこれで終わりだ』
本当に、彼女には世話になる。
「私達は以前、世界の崩壊と戦いました。そして今もまた。前はアカデミアの仲間に、今回は貴方に支えられました」
「?」
唐突に輝が語り出した。もっとも、彼が何を言いたいのかまったく分からないのだが。
「一人で戦っているような時でも、人は様々な人に支えられている。忘れないで下さい、貴方は、一人では無い」
「輝の言う通りだよ。君が倒れたら悲しむ人はいるんだよ」
「うん、自分を捨てる様なデュエルはしちゃダメだよ」
お前ら……。
ったく、心配性どもが……。
俺が死んだって悲しむ物好きがいるのかよ。
例えいたとしても、そんなの時間が解決するだろうよ。
何十年も一個人の死を引き摺る事なんて誰にもできないんだからよ。
でも、今の悲しみを無視しても良いってワケじゃねぇもんな。
「分かったよ、少しは自愛するさ」
「少し、では無くしっかりね」
『治癒も片手間でできるものでは無いのだ。こっちの事も考えてくれ』
苦笑いする俺に、しっかりと釘を刺す輝と桜。
ま、努力ぐらいはしますかねぇ。
「そうそう、写真撮らないか?」
「やらないか?」
「違う、撮らないか、だ」
歩のボケに突っ込む。
俺はノンケだ。
「PDAで写真を撮るんだよ。これなら、俺達が会った証拠が、残る」
「ふふ、妙案ですね」
「賛成!」
「お~!」
ピピッ、パシャ! 軽快な音と共に画像が1つ追加される。
そこには、幸せそうな三人家族とその友人が、そして数え切れない程の精霊が写っていたのであった。
ここで戦った証明はここにあり、心にある。
誰にも見えないものだからこそ、その信頼は絶大。絆を証明する事は誰にもできない事だからこそ、その繋がりは強固。
無限の時ですら侵す事叶わぬ、絶対にして確固たるそれは、人の力を何倍にも引き上げる。
幸せの欠片が、また1つ手に入った気がした。
to be continued