遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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STORY55:蠢き出した闇

 

――レッド寮・黎の部屋 PM 16:38

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

「つまり、墓地に送っておけば利用しやすくなる。尤も、その分相手にも利用する機会を与えてしまうし、デッキのカードを対象にするカードの範囲から外れてしまうが。だがそれを――」

「それをどうするかがデュエリストとしての腕の見せ所、でしょ?」

「正解」

 

 グラトニー戦終了後、俺は傷ついた体を癒すため、部屋で休んでいた。

 本当は授業に出たかったんだが……。

 

 

フィオ『その怪我で授業に出られるか! 休め!』

十代『休めよ……』

翔『今日はお休みにした方が良いと思うッスよ?』

フレイ『お休みする事を強く推奨しますよ……』

明日香『もう少し自分の体を労わったら?』

大地『いや、部屋で寝てろ……』

隼人『今日はゆっくりしてると良いんだな』

ジュンコ『アンタ休憩って言葉知ってる?』

ももえ『……ご養生した方がよろしいかと』

 

 

康彦『寝てた方が良いと思うよ?』

雪乃『坊や、無茶するのは別に大人じゃないわよ……』

麗華『寝てなさい!』

彰子『はうっ!? 怖いですよ!?』

ツァン『いや流石のボクでも心配するよ、その姿は!?』

友紀『あ~、鮎川先生呼ぼっか?』

神楽坂『お前、大丈夫か? 色々と』

 

 

 とまあ、皆に心配された。

 それでも授業に出たんだが、1時限目のクロノス先生、2時限目の大徳寺先生に続けて同じ事を言われたので、夕方まで仕方無く部屋で横になっていた次第だ。

 

 

クロノス『休むの~ネ!』

大徳寺『今日は欠席した方が良いと思うニャ~』

 

 

 うーん、そんなに俺の姿は変か?

 いつも通りの制服姿だったんだが。ゼアルのキャットちゃん回の遊馬みたいな変なカッコはしてないぞ。

 

「お前、自覚無いのか?」

「何が?」

 

 大地が半眼で俺を見るが……、特に思い当たる所は無いなぁ。

 

「……お前今ミイラだぞ?」

「だから?」

「……………………………………………」

 

 ミイラ、と言われても顔の半分とほぼ全身に包帯を巻いているだけなんだが。

 

「それは十分ミイラなんだな……」

「はぁ……?」

 

 だから何だと言った感じなんだが?

 

「……黎くん、もしかして転生する前って、包帯だらけだったッスか?」

「んー、まあよくお世話になったな」

「……納得ッス」

「同じくなんだな」

 

 何か、おかしいのだろうか?

 

『主殿……(ホロリ)』

『クリリ~(ホロリ)』

 

 桜と『ハネクリボー』が何故か、泣いていた。

 ……俺にとっちゃ包帯は馴染みのある服みたいなモンなんだがな。

 

 

―――異世界・廃墟の時計塔下

 

 

 

SIDE:無し

 

 

 

 そこは、誰もいない町。人がいた形跡はあっても、人影一つ無いゴーストタウン。

 その町の古びて動かなくなった時計塔の下に、1人の男がいた。

 

「ふぅ、数年前に戦争で滅んだ町。まだ色濃く負の想念が残っている所を見ると、相当激しい戦いだったようですね」

 

 ま、復活には好都合ですが。と男は笑う。

 黒いテンガロンハットに黒いマント。上着もズボンも髪も目も黒という全身真っ黒な男だ。序に腰に佩いている二本の剣も黒い。

 邪神の護衛にて、最初に黎に葬られた“傲慢”の罪を持つ男、プライドだ。

 そんな彼の後ろで1人の男が、時計塔にもたれかかっている。

 

「さて、私に感謝の一つも寄越さないのは別に構いません。その程度で逐一目くじらを立てていては時間の無駄ですからね」

「フン……」

 

 そっぽを向いて鼻を鳴らす男。

 漆黒のボサボサの髪に黒いタンクトップ。骨が浮き出て肉が全く無いようにも見える痩せぎすの男。醜い鷲鼻を持ち、傍らには身の丈を超える黒い槍が立てかけてある。

 

「で、エンヴィー、生き返った感想はどうです?」

「ハッ、これで借りをきっちり返せるね」

 

 八重歯をギラリと覗かせる痩せた男、“嫉妬”の罪を持つエンヴィー。

 その傍らでは身長3メートルを超える大男が鼻提灯を膨らませながら眠っている。

 筋骨隆々でこちらもタンクトップを着用している。

 

「ゴガァァァ……、ゴォォオォ……」

「相変わらず寝てばかりですね……」

 

 プライドがジト目で睨むも、爆睡している本人は気付かない。

 “怠惰”の罪を持つスロウスである。

 

「グヒヒヒヒヒ、まあそれがおいら達じゃねぇの?」

「まあ、それを言われれば反論できませんがね」

 

 その横で金属製の机を椅子代わりにして座るのは大きく腹の出た男。スロウス程の巨大さは無いが、それでも2メートル以上ある。

 真っ白な健康的な歯を見せて笑う男、“暴食”の罪を持つグラトニー。消滅の直前で黎達にヒントを与えて消え去った、4人の中での唯一の上級護衛だ。

 それはそうと、とプライドがグラトニーを睨む。

 

「グラトニー、どういう料簡です? あの男に対して有利な情報を与えるなどと、我らが主、邪神様への背徳行為に他なりませんね」

「あーそうそう、僕もそれが聞きたかったんだよ! お前、どういうつもりだよっ!」

 

 睨むプライドと怒鳴るエンヴィーを、グラトニーはしかし鼻で笑う。

 

「ハン、おいら達護衛が何をどうしようと咎められはしない。それが例え邪神本人やリーダーでもだ。

 元々おいら達は人間の感情の塊。だからこそネガティヴな感情が凝り固まり沈殿しているこの町が復活に適していた。そうこの場所を教えたのはおいらだぜ、プライド?」

「論旨を摩り替えないで頂きたいですね! 第一、様はどうしましたか!」

「別に摩り替えてはいねぇし、もう様付けする必要も無ぇよ。――負の想念は人の身勝手な感情だ。『アレがしたい』、『ソレは厭だ』、『コレが欲しい』……。そんな感情で作られたおいら達は、勿論身勝手だ。それを理解しているからこそ、おいら達は『邪神様の復活』を目標に行動する以外、邪神から何一つとして制限を受けねぇ」

「グ……ッ」

「解るか? 要するに邪神に直接刃向いでもしねぇ限り、おいら達は何しようと勝手なのサ。おいらは“暴食”のグラトニー。食えるんだったら、誰の下でも良い」

 

 要件は済んだとばかりにグラトニーは大きな欠伸をする。

 プライドとエンヴィーは言い返したいが、グラトニーの言う事は正論。上手い切り返しが思いつかない。

 ちなみにスロウスは未だ大きないびきをかきながら眠っている。

 

「つーワケで、おいらは適当にさせてもらうぜ。どっかのグルメ世界にでも転移して、邪神復活まで腹ごなしだ。その後は、まあ、野となれ山となれってな。……ああ、それとあいつとの約束も果たしに行かねぇとな」

 

 腹を掻きながら、グラトニーはどこかへ立ち去ろうとする。

 止められないプライドとエンヴィーは歯軋りをしてそれを見送る他無く――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

 そして咄嗟に振り下ろされた斧を、グラトニーは間一髪で回避した。

 

「っとと、随分なご挨拶じゃねぇか、リーダー?」

 

 シュタッ、と肥満体に似合わない俊敏な動きで間合いを取り、獲物の鉤爪を装備するグラトニー。

 その視線の先には引き締まった体を持つ、リーダーと呼ばれた男がいた。

 身長は180センチ前後、スポーツ刈りの黒髪に、肩に身の丈程もある大きな戦斧を担いでいる。

 その気迫は周囲を震わせており、足元の砂がビリビリと振動している。

 

「貴様ら……」

「ヒッ!?」

「ッ!?」

「zzz……、んごぉ?」

「おう、リーダー、どうした? いつも以上にブチ切れてんじゃねぇの」

 

 リーダーの言葉は怒りに満ちた低く重い音だった。

 その噴き出した怒気に後退るプライドとエンヴィー、眠りから覚めたスロウス。それに対しグラトニーはあまり動じていない。ここが上級か下級かの違いなのだろう。

 

「いつも以上に、か。当然だな」

「へぇ?」

「我は貴様ら全員に対して業腹だ」

 

 ドシン! と手にした斧を傍らに置き、リーダーは4人を睨みつける。

 

「プライド」

「は、はい!」

「我の指令を無視して“騎士”と戦ったな? 人間というのは論理では推し量れぬ生き物、2度も同じ手は通じぬと言ったハズだ!」

「う……」

 

 1度目はリーダーの命令で黎とデュエルしたプライド。その時は黎のデッキは炎属性のデッキ。丁度水属性であり炎属性メタのデッキを所持していたプライドならば楽に勝てると踏んで彼と戦わせたリーダーであるが、結果は引き分け。

 そして2戦目。リーダーが引き止めるのも聞かずにプライドは再戦を申し込み、敗北。その敗因は完全にプライドの慢心にある。

 

「エンヴィー」

「ぐっ!」

「何故“騎士”から潰さなかった? あの場で“騎士”を最優先に殺せば、この様な失態は無く、今頃奴の様な脅威となり得る存在はバランサーだけであったハズだぞ!」

「そ、それは……」

 

 己の罪から天空 優を狙って攻撃したエンヴィー。しかしいくら護衛と雖も本能のみで動いているワケでは無い。あの戦いで感情では無く理性で戦っていれば黎は今頃恐らく生きてはいなかっただろう。

 しかしエンヴィーは“妬ましい”という感情からゲスト参戦の優を集中攻撃。結果、ライフを残す結果となり、敗北した。

 

「スロウス」

「んごぉ……」

「攻撃力に慢心するなと普段から言ってあったハズだぞ? 己の使用したカードは相手にも利用される可能性があるという事を忘れたのか! よりにもよって世界構築者レベルの脅威を野放しにする結果を招きおって!」

「うぅ~……」

 

 邪神とて万能では無い。例えどれだけ強くなろうともその強さにはどこか穴がある。世界を2,3個呑み込めばテネブラエが例え完全体となろうとも鎧袖一触で葬る事は可能だろう。しかし、あちらにはテネブラエと同じレベルの神が後6人残っている。最悪、その7人に敗北する可能性もあるのだ。

 スロウスは持ち前の面倒臭がりな部分で攻撃力のみに頼ったデュエルを行った。結果、その力を逆に利用され、跡形も無いレベルにまで吹き飛ばされたのだ。

 

「グラトニー」

「何だよ」

「貴様、余計な事をベラベラと喋りおって! 我らの目的は崇高なる邪神様を復活させる事! その遂行を妨げる“騎士”の奴は我らにとって害悪! それに対して有利なヒントを与えるとは何事だぁ!」

「あ? うっせぇなぁ」

「何だと!?」

 

 リーダーはグラトニーにも視線を移すが、グラトニーはそれを鼻で笑う。

 

「おいら達が何しようとも、刃向う以外は一切関知しない。それがおいら達と邪神との間に結ばれた協定だろ?」

「貴様……っ!」

「おいら最初に言ったよな? 腹を満たしてくれるなら誰の下でも構わねえってよ。邪神はおいらの腹を満たしてはくれなかった。産んでくれた恩義はあるが、もうそれも果たした。別に死ぬまで尽くしてやる義理はねぇっつー話だ」

 

 話は終わりと言わんばかりにグラトニーはくるりと背を向け、どこかへ歩き出す。

 その足元へリーダーは獲物である巨斧を投げ付けた。

 

「危ねぇなぁ、おい。今度は何だ?」

「貴様らの不義理には怒り心頭だ……」

「はん、怒っているのはいつもの事でねぇのかよ? 護衛最強にしてリーダー、“憤怒”のラースよぉ?」

 

 ギリ、とリーダーのラースは歯軋りをしてグラトニーを睨みつけた。

 

 

 

 

 

――レッド寮・黎の部屋 PM 16:39

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

 ん、ナレーションが途中でどこかに移らなかったか?

 まあ好いや。俺の知った事じゃねぇか。

 

「黎、このカードはどうしたら良いんだ?」

「ああ、これか? これはなぁ……」

 

 さて、皆が集まって俺の部屋で何してるのかって話だが、簡単な話だ。来週のノース校とのデュエルに備えてのデッキ構築だ。

 とは言え、シンクロモンスターやエクシーズモンスターを渡すワケにも行かないので、俺の手持ちのカードと組み合わせてデッキが元々持っていた力を底上げするしか無いワケだが……。

 

「大地、『トレードイン』を入れてみた感想は?」

「ああ、いい感じだ。『封印の黄金櫃』でサーチも効くからな、前より回しやすくなった」

 

 大地のデッキは1番最初に構築されたという『ウォータードラゴン』のデッキだ。

 『ウォータードラゴン』は『ボンディング-H2O』の効果でしか特殊召喚できないという少々厳しいモンスターだが、逆を言えば相手に再利用されるのを防げるモンスターだと言える。この辺は十代の融合HEROと同じだな。

 『ボンディング-H2O』は墓地の『ウォータードラゴン』にも対応できるから、手札に来た場合でも問題無く手札コストにできる。

 攻撃力は2800と『デビル・ドーザー』や『ニトロ・ウォリアー』レベル。簡単にはやられないだろう。

 おまけに破壊されても素材が墓地から復活する。『魔法石の採掘』で『ボンディング-H2O』を引っ張り上げれば復活は容易だ。

 上手く対応できるフィールド魔法は『ウォーター・ワールド』くらいというのが惜しいが、攻撃力が500も上がれば一種のボーダーラインでもある攻撃力3000を超えるから上々だろう。

 更には相手の炎属性モンスターの攻撃力を0にする効果があるから、『アームズ・ホール』で『幻惑の巻物』をサーチorサルベージして相手モンスターを炎属性にしてやれば、こっちの独壇場だ。

 残念なのは味方モンスターはおろか、自身ですらその効果の対象となってしまう事。『DNA移植手術』なんてものを使って炎属性を指定してしまうとこちらの攻撃力まで0になってしまう。

 

「それと『巨大化』を入れるのは間違ってない判断だが、相手とのライフ差に気をつけて欲しい」

「分かった」

「それとデッキ枚数が膨らむからかなりシビアな調整が必須だが……、『ウォータードラゴン』とのコンボカードをいくつか用意した。相手に攻撃力0を押し付けるのと、自在に破壊されるカード、どっちが良い? それとも両方にするか?」

「ほう、こういうカードもあるのか。これは計算のし甲斐がありそうだ」

 

 大地のデッキ、【ウォータードラゴン】はそろそろ完成だな。

 

 

 

 

 

――異世界・廃墟の時計塔下

 

 

 

SIDE:無し

 

 

 

 ゴウン、と金属がたわみつつも弾かれる音がする。

 ザザザザッ、と砂の表面を滑る音がした後、二度三度とまた金属同士がぶつかり合う音が周囲の廃墟に鳴り響く。

 

「ぬんっ!」

「ラァッ!」

 

 そして再び打ち合いを終え、距離を取るのは上級護衛の二人、ラースとグラトニー。

 既にグラトニーの右の爪は使い物にならない程に大破し、しかしラースの斧も既に切れ味を殆ど削り取られている。

 

「ハァッ!」

「があっ!」

 

 そして気合いの入った一撃がぶつかり合い、残った爪とボロボロになった斧が砕け散った。

 壊れた武器は黒い霧に姿を変え、そしてすぐに新たな破損していない武器に姿を変える。

 

「……時間の無駄だな」

「ハ、違えねぇ」

 

 だが、それは振るわれる事無く収納された。

 両者は軽く上がった息を整えながら睨み合う。グラトニーは不敵に、ラースは憎々しげに。

 

「グラトニー……」

「何故だ、は無しだぜ? お互い転生者(・・・・・・)同士なんだからよ(・・・・・・・・)!」

「「「!?」」」

 

 交差する視線。そしてグラトニーのセリフに驚愕を隠せないプライド達3人。

 

「ど、どういう事ですか、グラトニー! 貴方達が転生者というのは!」

「納得のいく説明をしてもらいたいねぇ!」

「その通りぃ~」

 

 騒ぎ立てる3人を無視してグラトニーはラースとの会話を続ける。

 

「分かってるハズだぜ? 下級護衛とは違っておいら達上級護衛には過去がある。人間としての過去がな」

「百も承知。だが、だからこそ我らは邪神様の護衛に選ばれたのだ。その事を誇り、任を遂行する事こそ至上では無いのか?」

 

 ラースの言葉をグラトニーは鼻で笑う。

 

「ハン、それはお前の持論だろ? おいらは違う。腹が満たされりゃそれで万事オーケー、それが契約だった。だが、邪神はそれを全く履行してくれない。だったらこっちにも考えがあるって話だっつーの」

「ぬぅ……!」

「おい、グラトニー!」

 

 ラースを丸めこんだグラトニーは、背後で喧しく騒ぎ立てるエンヴィー達を見やると、溜め息を吐いた。説明するのも億劫という感じだ。

 

「あー、ったく。分かったよ、簡単な話だ。おいら達上級護衛はお前らみたいな下級護衛とは違って“無”から作られたワケじゃねぇんだよ」

 

 下級護衛は邪神の作り上げた核にその名前と同じ負の想念を押し固めて生まれた存在だ。つまりは人形と考え方としては似ている。

 

「対し、おいら達上級護衛は死んだ人間の魂に想念を固めて作り上げられた存在。死に行く魂を邪神がキャプチャーして生み出された存在だ」

「ば、バカな……っ! ならば何故貴方達は邪神様の味方をするのです! 元は人間ならば何故人間の世界を滅ぼす手伝いをする様な真似をするのです!」

「……魂に刷り込まれちまったからだ。生まれる時にな、“こうであるべきだ”っつー刷り込みをされてな、それが行動原理にまで現れちまうんだよ」

 

 寂しそうにグラトニーは苦く笑う。

 だが、とすぐにその表情は厳しいものに変わった。

 

「1度消滅に再結成した今、その刷り込みは消滅した! もう邪神の配下じゃねぇ! おいらは生き返ったんだ! テメェらの指図は受けないぞ!」

「……そうか、ならばデュエルだ」

 

 何? とグラトニーが眉を顰める。

 

「おいおい、デュエル万能論か? まさかデュエルで勝てばおいらが従うとでも?」

「否。よもや貴様ら、我が貴様らを迎えに来たとでも思うか? 愚かな敗者である貴様ら如きを」

 

 瞬時にグラトニーは理解した。

 こいつは……。

 

「要するにお前はおいら達を消しに来たんだな?」

「ご名答」

「「「な!?」」」

 

 その一言に、これまで静観を決め込んでいたプライド、エンヴィー、スロウスの3人が驚きの声をあげた。

 

「ど、どういう事だい!? これから折角あの“騎士”の魂に復讐できるって時に!」

「元よりその様な事を頼んだ覚えは無い」

「なっ!?」

「我らは存在するだけで邪神様のお力を微量ながらも削り続ける。邪神様のカードを使えば更に削られる。そして弱者に二度も負けさせる為にお力を割かせるなど無駄の極み。ならばここで邪神様の糧となるのが至高というものであろう」

 

 そのラースの言葉に、プライド達は反論する。

 

「いくら貴方の言葉といえど、それは聞けませんね! 私達に復讐の機会すら与えないというのですか!」

「罪の存在ならば僕達の感情も分かってしかるべきだと思うけどねぇ!」

「そぉの通りぃ。オデ達だってぇ、まぁだ戦えるぅ~」

「…………」

 

 意見を叩きつける3人に、黙りこくるグラトニー。しかしラースはそれを一喝して黙らせる。

 

「黙れ! 貴様らの様な雑魚に護衛を任せたのがそもそもの間違い! かくなる上は貴様らを打ち負かし、邪神様復活の贄にしてくれる!」

「っ! やれるものなら!」

「やってみなよぉ!」

「お~」

 

 血が上った3人はデュエルディスクを展開。

 漆黒の不気味なディスクが腕に装着されデッキがセットされる。

 

「ふん……」

「……仕方ねぇか」

 

 鼻でそれを嘲笑うラースに、諦観したグラトニー。2人の腕にもデュエルディスクが展開された。

 

「誰から行きます? まあ、私は別に誰からでも構いませんが」

「僕も同じサ。あのムカつくリーダーを潰せれば万々歳だよ」

「ぬぅ~、オデもだぁ」

 

 順番を決めかねている3人に、ラースは鼻で笑う。

 

「ああ、4人纏めてかかって来い」

「何ですとっ!?」

「何ぃ!?」

「何、だとぉ……?」

「チッ、やはりそう来るか!」

「ここで1人ずつやっても時間の無駄だ。ああ、ハンデは要らん。我と貴様ら4人のデュエルだ。ライフは各々4000ポイント、初期手札は5枚。デッキは40枚以上60枚以下。これでどうだ?」

 

 それは、あまりにも大きなハンディキャップ。

 黎ですら32対1の時の初期ライフが8000だったし、数人ごとに区切ってという形だった。しかしラースは4対1で4000。寧ろこれは本来不利なラースがハンデを背負う形だだ。

 

「さあ、これが貴様らの最期のデュエルを楽しむと良い!」

「ナメた事してくれますね……っ!」

「僕達の本気を見せてやるよ!」

「見下した事をぉ、後悔させてやるぅ!」

「本気のようなだな……。こっちも全力で行かせてもらう」

 

 

『デュエル!』

 

 

ラースVSプライド&エンヴィー&スロウス&グラトニー

LP 4000 VS LP 4000×4

 

 

 

 

 

――レッド寮・黎の部屋 PM 16:44

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

 ん? また視点が切り替わって……?

 何が起こっているんだ?

 

「黎、こんな感じかしら?」

「ん? ああ、良い感じだ」

 

 次は明日香のデッキ。

 最近は融合&儀式にしようと考えているらしい。なので俺にその構築を見せて来た。

 

 ぶっちゃけて言うと、この二つを両立させるのはかなり至難。

 属性HEROみたいに素材の縛りが緩ければ行ける場合もある。或いは“E・HERO”みたいに素材が通常モンスターなら『高等儀式術』と両立させたりする事も可能だ。

 が、明日香の持っている融合モンスターは『サイバー・ブレイダー』のみ。素材の片方は通常モンスターだが、もう片方は効果モンスター。

 しかもこの時代辺りから儀式に必要なリリース要員はレベル合計が等しくなるようにしなくてはならないからレベルの調整がより難しくなって来ている。

 

 そこで明日香のデッキは融合よりも儀式に主眼を置く事にした。

 主なキーカードは『機械天使の儀式』と『リチュアル・チャーチ』。

 レベル6~8の儀式モンスターを1体ずつ差し、手札の魔法カード1枚を墓地の儀式魔法と交換する『リチュアル・チャーチ』を3枚積む。かつ通常モンスターを3枚程投入し、『高等儀式術』を1枚入れる。

 更に腐った時対策に『封魔の呪印』と『契約の履行』も投入。

 そして万一『サイバー・ブレイダー』活躍の舞台となった場合の為に『溶岩魔人ラヴァ・ゴーレム』と『ミス・リバイブ』で相手モンスターの数を調整。

 更にやや低めの攻撃力を補う為に『強者の苦痛』に『収縮』をぶっ差し、『所有者の刻印』で『ラヴァ・ゴーレム』の奪還を目論見つつ、手札コストでパワーアップする『コールド・エンチャンター』を入れる。

 勿論『ドゥーブル・パッセ』用に『ガード・ブロック』も入れる。

 そしてエクストラデッキに余裕があったので『ワイルドマン』を主軸にした属性融合HEROの『ノヴァ・マスター』と『ガイア』を投入。

 これで大丈夫、と思ったんだが……。

 

「……デッキが大分膨らんじまったな」

「……そうね」

「ごめん、欲張り過ぎた」

「良いのよ、私も止めなかったのだし」

 

 想像以上にカードが入っているため、枚数が60枚を超えてしまった。

 使いたいカードや使えそうなカードを詰め込んで枚数調整をするってのはデッキビルドの基本だが、限界をオーバーするのはやり過ぎと言えるだろう。

 

「……どれを抜こうか?」

「……どれにしましょうか?」

 

 この後結局、『ワイルドマン』や『ラヴァ・ゴーレム』達を抜いて『サンダー・ブレイク』を入れる事にした。

 更に儀式カードも抜き、融合系一本に絞る。大きな戦いを前に慣れない儀式カードを練習するだけの時間は無い。

 十全な構築って難しいね。

 

 

 

 

 

――異世界・廃墟の時計塔下

 

 

 

SIDE:無し

 

 

 

「先攻は我だ。ドロー」

 

 大きなアクションを取らず、ラースがカードを引く。

 オーバーアクションの意味を問う人もいるのだが、これは要は気合いを入れるための作業だと思えば良い。相撲で言う四股踏みの様なものだ。

 

「モンスターをセット」

 

 ディスクがカードを読み込み、横向きで裏側のカードが場に現れる。

 

「更にカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

 

ラース:LP 4000

手札:4枚

フィールド

:セットモンスター1体

:伏せカード1枚

 

 

 

 ターンの順番が回り、プライドに出番が回って来る。

 

「私のターン! 魔法カード『テラ・フォーミング』を発動! デッキからフィールド魔法を1枚手札に加えます! 手札に加えるのは『集中豪雨地帯』! そしてそのまま発動!」

 

 

 

 

テラ・フォーミング

【通常魔法】

自分のデッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

 

 

集中豪雨地帯(オリジナル)

【フィールド魔法】

(1):このカードのカード名は「海」としても扱う。

(2):自分の手札とフィールド上の水属性モンスターはレベルが1つ少なくなり、攻撃力と守備力が200ポイントアップする。

また相手フィールドの炎属性モンスターの攻撃力と守備力は半分になる。

(3):このカードが墓地に送られた時、デッキに存在する「集中豪雨地帯」を発動させる事ができる。

 

 

 

 ディスクがカードを読み込むと、辺り一面にポツリポツリと雨が降り出す。

 すぐに石材でできた地面には大きな水溜りが生まれ、5人は濡れネズミとなった。

 

「更に魔法カード『闇網(ダークネット)』を発動! デッキから攻撃力1000以下の魚族モンスターを1体手札に加えます! デッキから攻撃力200の『シャーク・サッカー』を手札へ!」

 

 

 

闇網(オリジナル)

【通常魔法】

デッキから攻撃力1000以下の魚族モンスター1体を手札に加える。

このカードが相手のカードの効果によって墓地に送られた時、デッキに戻る。

 

 

 

「自分の墓地の通常魔法カードを2枚ゲームから除外する事で、『青髭鯨(あおひげくじら)』は手札から特殊召喚できます! 墓地の『テラ・フォーミング』と『闇網』をゲームから除外! 現れなさい!」

『ボォオオオオオオッ!』

 

 

青髭鯨:ATK 1000→1200

 

 

 水溜りから飛び出すのは青色の鯨。海色の髭を揺らし、家よりも大きな姿が空中に浮かぶ。

 

 

 

青髭鯨(効果モンスター)(オリジナル)

星4

水属性/魚族

ATK 1000/DEF 1000

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地に存在する通常魔法カードを2枚ゲームから除外した時のみ、手札または墓地から特殊召喚できる。

 

 

 

「更に水族・魚族・海竜族モンスターの召喚・特殊召喚に成功した事で、『シャーク・サッカー』を特殊召喚!」

『シャァアアアァァァアアアァク、サッカァアアアアアァァァァァアァッ!』

 

 

シャーク・サッカー:ATK 200→400

 

 

 

シャーク・サッカー(効果モンスター)

星3

水属性/魚族

ATK 200/DEF 1000

自分フィールド上に魚族・海竜族・水族モンスターが召喚・特殊召喚された時、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードはシンクロ素材とする事はできない。

 

 

 

「まだ終わりではありませんよ! 自分の場に水属性モンスターが存在するため、『ポイゾニック・シャーク』を特殊召喚!」

 

 

 

ポイゾニック・シャーク(効果モンスター)(オリジナル)

星5

水属性/魚族

ATK 1100/DEF 1800

このカードは、自分の場に水属性モンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる。

相手の場に水属性モンスターが存在しない時、相手モンスター1体を選択して発動する。

攻撃力は選択したモンスターのレベル×1000ポイントアップする。

 

 

 

ポイゾニック・シャーク:ATK 1100→1300

 

 

 続けて小型のコバンザメと紫に変色したサメが現れる。

 これでモンスターは3体だ。

 

「『ポイゾニック・シャーク』の効果を発動したい所ですが、貴方の場に表側表示のモンスターがいないため発動できません。

 まあ無関係ですがね! 私は3体のモンスターをリリース! 出でよ、『七罪士(セブンクライム) プライド』ォ!」

 

 

七罪士 プライド:ATK 3600

 

 

 怒涛のラッシュでモンスターの展開を繰り広げるプライドは3体のモンスターを糧に己自身を呼び起こした。

 大地から吹き上がった黒煙を漆黒の鎧として身にまとい、禍々しい黒い双剣を手にラースを睨みつける。

 

 

 

七罪士 プライド(効果モンスター)(オリジナル)

星10

闇属性/戦士族

ATK 3600/DEF 3300

(1):このカードは特殊召喚できず、自分の場のモンスターを3体リリースしなければアドバンス召喚できない。

(2):このカードが表側表示でフィールド上に存在する限り、バトルフェイズ中自分のフィールドのモンスターの攻撃力は2000ポイントアップする。

(3):このカードは魔法・罠カードによって破壊されない。

(4):このカードが表側表示でフィールド上に存在する限り、相手がレベル6以上のモンスターを召喚、特殊召喚、反転召喚する度に相手プレイヤーは1000ポイントのダメージを受ける。

 

 

 

「この変則デュエルでは、全てのプレイヤーは1ターン目では攻撃できません。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 

プライド:LP 4000

手札:0枚

フィールド

:七罪士 プライド(ATK 3600)

:伏せカード1枚、集中豪雨地帯(フィールド魔法)

 

 

 

(伏せカードはモンスター効果反応型。前の『ジャンク・デストロイヤー』の時の二の轍は踏みませんよ?)

「アヒャヒャ! 僕のターン、ドロー!」

 

 プライドが伏せカードを説明するという敗北フラグを立てている中、エンヴィーにターンが回る。

 

「僕は魔法カード『腐敗の神話』を発動! 自分の場にモンスターが存在しない時、手札のモンスターを1体特殊召喚できる! 手札からレベル3の『デビル・エッジ』を特殊召喚!」

 

 

デビル・エッジ:DEF 0

 

 

 ジャキン! と刃の擦れる音と共に黒い悪魔が現れる。

 赤い目をギラギラと光らせ、黒い体が鈍く輝く。

 

「『デビル・エッジ』は特殊召喚に成功した時、デッキからレベル3以下のモンスターを1体特殊召喚できる! 2体目の『デビル・エッジ』を特殊召喚! 更に2体目の効果で3体目の『デビル・エッジ』を、3体目の効果でデッキからレベル1の『物欲の男爵』を特殊召喚!」

 

 

デビル・エッジ:DEF 0

デビル・エッジ:DEF 0

物欲の男爵:DEF 400

 

 

 1ターンに4体ものモンスターを揃えるという離れ業をやってのけるエンヴィー。

 刃の悪魔に続き、涎を垂らす爵位を持つ男が闇の中から現れた。

 

 

 

腐敗の神話(オリジナル)

【通常魔法】

自分の場にモンスターが存在しない時に発動できる。

手札からモンスター1体を特殊召喚できる。

 

 

 

デビル・エッジ(効果モンスター)(オリジナル)

星3

闇属性/悪魔族

ATK 0/DEF 0

このカードが自分フィールド上に特殊召喚された時、自分のデッキからレベル3以下のモンスターを1体特殊召喚できる。

 

 

 

物欲の男爵(通常モンスター)(オリジナル)

星1

闇属性/悪魔族

ATK 300/DEF 400

全ての物を欲しがる貪欲な男。

特に珍しい物に目が無い。

 

 

 

「そして2体の『デビル・エッジ』と『物欲の男爵』をリリース! これが僕の真の力だぁ! 『七罪士 エンヴィー』ィ!」

 

 

七罪士 エンヴィー:ATK 3900

 

 

 プライドに続いて現れたのは大槍を持つエンヴィー自身。黒い鎧を装着し、ギラギラ光る眼でラースを睨む。痩せこけた体からは想像できない程に強い光を放っている。

 

 

 

 

七罪士 エンヴィー(効果モンスター)(オリジナル)

星10

闇属性/戦士族

ATK 3900/DEF 3600

(1):このカードは特殊召喚できず、自分の場のモンスターを3体リリースしなければアドバンス召喚できない。

(2):1ターンに1度、自分の墓地のモンスター1体を除外する事で、次の自分のエンドフェイズまでその除外したカードの効果を得る。

(3):このカードが戦闘を行う時、相手モンスターの効果はバトルフェイズ終了時まで無効となる。

(4):バトルフェイズ終了時、相手の場のモンスター1体を指定して発動する。

そのモンスターを持ち主のデッキへ戻し、そのレベル×200ポイントのダメージを相手に与える。

(5):このカードがバトルで相手モンスターを戦闘破壊したターン、相手ライフが1000を上回っていれば、相手に1000ポイントのダメージを与え、その数値分自分のライフを回復する。

(6):このカードの攻撃力と守備力は元々の数値より低い数値にならない。

(7):このカードが戦闘によって破壊される時、このカード以外の自分の場のカードを墓地へ送る事で破壊とダメージを無効にできる。

またこのカードが戦闘で破壊される時にプレイヤーが受けるダメージは半分になる。

 

 

 

「更に魔法カード『徴収の旋律』を発動! 墓地の『物欲の男爵』を除外し、カードを2枚ドロー!」

 

 

 

徴収の旋律(オリジナル)

【通常魔法】

自分の墓地に存在する「物欲の男爵」を全てゲームから除外する。

除外したカード1枚につきカードを2枚ドローする。

 

 

 

 新たに手札を仕入れたエンヴィーは、ニヤリと笑った。

 

「更にカードを5枚セットし、ターンエンド!」

 

 

 

エンヴィー:LP 4000

手札:0枚

フィールド

:七罪士 エンヴィー(ATK 3900)、デビル・エッジ(DEF 0)

:伏せカード5枚

 

 

 

「オデのターン、ドロォー」

 

 スロウスののんびりとした間の抜けた声が響く。

 

「オデは永続魔法『絶望未来合成-アポカリプス・フュージョン-』を発動だぁ~。デッキからドラゴン族モンスターを10体墓地に送りぃ、1ターン後のスタンバイフェイズに『F・G・D』を融合召喚するぅ。更に魔法カード『龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)』を発動ぅ。墓地のドラゴン族を5体除外しぃ、『F・G・D』を融合召喚だぁ!」

 

 

F・G・D:ATK 5000

 

 

 半透明の姿で5体のドラゴン族モンスターが次元の渦に巻き込まれ、炎、水、岩、風、闇を司る巨大な龍が姿を現す。

 

 

 

絶望未来合成-アポカリプス・フュージョン-(オリジナル)

【永続魔法】

(1):自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから2体分墓地へ送る。

次の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

 

 

F・G・D(融合・効果モンスター)

星12

闇属性/ドラゴン族

ATK 5000/DEF 5000

ドラゴン族モンスター×5

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードは闇・地・水・炎・風属性モンスターとの戦闘では破壊されない。

 

 

 

龍の鏡

【通常魔法】

自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。

(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

 

 

「ククク、ここで僕の伏せカードをオープン! 『闇次元の解放』! 除外された自分の闇属性モンスターを1体特殊召喚! 除外された『物欲の男爵』を特殊召喚だ!」

 

 

 

闇次元の解放

【永続罠】

ゲームから除外されている自分の闇属性モンスター1体を選択して特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊してゲームから除外する。

そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

 

 

物欲の男爵:ATK 300

 

 

「さあ、やっちゃいなスロウスゥ!」

「おぉ~! オデは『F・G・D』、エンヴィーの『物欲の男爵』、『デビル・エッジ』をリリースゥ~!

 オデ自身、『七罪士 スロウス』をアドバンス召喚だぁ!」

 

 

七罪士 スロウス:ATK 3500

 

 

 姿を現すスロウスの真の姿。

 闇の鎧を纏い、髑髏の模様が描かれた鉄槌を手に、大地を揺らしながら眠たげな目を開く。その全長は5メートルは超えているだろうか。

 

「更に墓地の『F・G・D』を除外ぃ~。オデの攻撃力と守備力をアップゥ~。“グレイブ・フォース”~!」

 

 

 

七罪士(セブンクライム) スロウス(効果モンスター)(オリジナル)

星10

闇属性/戦士族

ATK 3500/DEF 3000

(1):このカードは特殊召喚できず、自分の場のモンスターを3体リリースしなければアドバンス召喚できない。

(2):このカードは相手のカード効果を受けない。

(3):1ターンに1度、自分の墓地の闇属性モンスターを1体ゲームから除外して発動する。

そのモンスターの攻撃力と守備力の数値分、このカードの攻撃力と守備力はアップする。

(4):このカードが相手の攻撃対象となった時、自分の墓地から闇属性モンスターを4体ゲームから除外する事で、このカードの攻撃力を相手より800ポイント高い数値にする事ができる。

(5):このカードが戦闘によって破壊された時、ゲームから除外されている自分の闇属性モンスターを、召喚条件を無視して可能な限り自分の場に特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効となり、戦闘によって発生するダメージは0になる。

 

 

 

七罪士 スロウス:ATK 3500→8500/DEF 3000→8000

 

 

「カードを2枚セットしてぇ、ターンエンドォ~」

 

 

 

スロウス:LP 4000

手札:1枚

フィールド

:七罪士 スロウス(ATK 8500)

:絶望未来合成-アポカリプス・フュージョン-(永続魔法・『F・G・D』を指定・残り1ターン)、伏せカード2枚

 

 

 

「最後はおいらのターン、ドロー。魔法カード『マジック・プランター』を発動。エンヴィーの場に残った『闇次元の解放』を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドロー」

 

 

 

マジック・プランター

【通常魔法】

自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠カード1枚を墓地へ送って発動する。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

 

 

 最後にターンが回って来たグラトニー。

 その姿勢は他の3人とは違って慎重極まりない。

 

「モンスターを1体、裏側守備表示で召喚」

「おいおい、どうしたんだいグラトニー? 随分と慎重だねぇ!」

「…………」

 

 エンヴィーの挑発にも、グラトニーは無言だ。

 

「ターンエンドだ」

 

 

 

グラトニー:LP 4000

手札:6枚

フィールド

:セットモンスター1体

:魔法・罠無し

 

 

 

 

 

―――レッド寮・黎の部屋 PM 16:51

 

 

SIDE:黎

 

 

「おかしい、さっきからナレーションが少しずつ飛んでいる……」

「何がだい、黎?」

「あ、いや、何でも無い」

 

 今度はフィオのデッキを見る俺。

 とは言え、彼女のデッキはかなり難しいバランス構成がされている。俺でも下手に弄れば確実に事故しか起きないデッキになる。

 さて、彼女のデッキ枚数はざっと50枚ってトコか。ドロー加速をする以上、このくらいは必須だな。

 と、俺はそこで気になる点を見つけた。

 

「フィオ?」

「何かな?」

「いや、お前『一族の結束』入れないのな」

「あー、まあね」

 

 『一族の結束』、それはデッキを選ぶカードの内の1枚だ。

 同じ種族で固めれば800ポイントも攻撃力が強化する永続魔法。重ね掛けも可能だから最大で2400も攻撃力が上昇する(場を3枚も圧迫するのでそこまでする必要性も感じないが)。

 

「まあ、わたしのデッキを見れば分かるけど、事故率上げたくないからさ。カウンター罠って受動的だし」

「んー……」

 

 確かにそうなんだが、それはそれで勿体無い気もするなあ。

 パーミッション系の攻撃力で3000を超えるのは『黒の魔法神官』の3200くらいだし、あれはほぼ魔法使い族専用のカードだから基本天使族の彼女のデッキに入らない。

 となると打点では2800の『ボルテニス』や『ヴァンダルギオン』が妥当なんだが……。装備カードやサポートカード次第でそれくらいはどうとでもなるしなぁ……。

 

「うーん、攻撃力に頼るデッキじゃ無いってのは知っているんだが……」

 

 それでも火力不足ってのは否めない。

 もしもパーミッション系のカードの回りが悪かったり、相手がゴリ押しで来たりすると、このデッキという名の牙城はあっという間に瓦解する。

 だからこそ『魔法の筒』なんかを入れたりするモンだが……。

 

「あ、いや、待てよ? これ行けるんじゃないか?」

「これは?」

「『天魔神エンライズ』と『天魔神インヴィシル』。天使族ならこのカードを入れても無理は無いハズだ」

 

 それから渡すのは『カオス・ソーサラー』。後は闇属性で使い勝手の良い『グレイブ・スクワーマー』や『バトルフェーダー』と『クリボー』だ。

 

「う、これで回すの?」

「その辺はかなりシビアな調整が要るだろうな。だからこそ俺がメンテナンスに付き合うんじゃねぇか」

「ん、んん、分かった」

 

 魔改造な気もするが。

 

「兎に角、火力勝負に持ち込まれると打たれ弱い点がある。特に『ダーク・シムルグ』みたいにセットを封じたり、『人造人間サイコ・ショッカー』みたいな罠を封じるヤツ相手だとあっという間に抑え込まれる」

「だからこそ、このカードかい?」

「ああ。『グレイブ・スクワーマー』は戦闘破壊時に場のカードを1枚、モンスターでも魔法でも罠でも破壊する。『クリボー』は神楽坂と同じ様にダメージを抑えるのに使えるし、『バトルフェーダー』は敗北防止にもコストにも使える。除外したモンスターを復帰させるんだったら『異次元からの埋葬』や『奇跡の降臨』がある」

 

 となると、彼女のデッキは除外の要素が加わるワケか。

 またややこしい構築になりそうだ。

 

「ビートを抜いて……、ああでも、こっちを……」

「これを削ってみるか? 取り敢えず試験的にデュエルを……」

 

 ま、デッキの構築は楽しいけどな。

 天使族軸にする事にはなりそうだが、隠し玉でエンタメるのも悪くない。

 

 

 

 

 

―――異世界・廃墟の時計塔下

 

 

SIDE:無し

 

 

「我のターン、ドロー」

 

 ターンが回って再びラースのターン。

 ここからモンスターによる攻撃が可能となる。

 

「はぁ…………」

 

 ラースは大きく溜息を吐いた。その様子は諦観では無く、彼の罪の通りの、怒り。

 

「正直、失望したぞ、貴様ら」

「何……?」

「よもやこの程度で我を迎え撃つ腹積もりか?」

 

 “この程度”。ラースはたった今そう言った。

 曲がりなりにも彼らは黎を苦しめたモンスターを並べている。それがラースにとっては取りに足りない状況だという事。

 しかし、それを理解できたのはグラトニーのみ。残る3人はただの負け惜しみと捉えた。

 

「フン、この状態でどうするのです?」

「アヒャヒャヒャ! 負け惜しみは見苦しいよぉ?」

「あぁー、さっさと終わらせようぜぇ?」

 

 グラトニーは左側に並ぶ3人に侮蔑の視線を投げかけるも、3人は気付かない。

 

「ならば、今から宣言してやろう。プライド、エンヴィー、スロウス」

「む?」

「うん?」

「あぁ~?」

 

 

 

 

 

「貴様らは今から4枚のカードの前に敗北する」

 

 

 

 

 

「何、ですと……!?」

 

 それはプライド達にとって侮蔑に他ならない。怒り心頭といった様子の3人を無視してラースはディスクのボタンに手をかける。

 眉を顰めて睨む3人を無視し、ラースは伏せカードをオープンした。

 

「罠カード、オープン。『クローズ・チェーン』。このターン、魔法・罠・モンスター効果の発動、攻撃宣言に対してチェーンする事はできない。無論、このカードにもだ」

「な、何だって!?」

 

 

 

クローズ・チェーン(オリジナル)

【通常罠】

このカードの発動に対し、お互いのプレイヤーは魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。

エンドフェイズまでお互いのプレイヤーは魔法・罠・効果モンスターの効果、攻撃宣言に対してカードの効果を発動・適用する事はできない。

このカードが発動したターン、このカードのコントローラーはモンスターを特殊召喚できない。

 

 

 

「もっとも、我はこのターンモンスターを特殊召喚できないがな。

 魔法カード『底無しの毒沼』を発動。貴様らの場の魔法・罠を全て破壊し、破壊したカード1枚につき800ポイントのダメージを与える」

 

 

 

底無しの毒沼(オリジナル)

【通常魔法】

相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

自分の場の破壊されたカード1枚につき、相手は800ポイントのダメージを受ける。

 

 

 

 ズブズブズブ、と沈んでいくカード達。フィールド魔法も消えたため雨も上がり、瞬時に服と地面が乾く。

 

「さあ、ダメージを受けてもらう」

「ぐぅぅ、チェーンできない制約がなければぁ、返り討ちだったのにぃ~!」

 

 

プライド:LP 4000→2400

エンヴィー:LP 4000→800

スロウス:LP 4000→1600

 

 

「ぐ、ぅうううううぅうっ!」

「ギィイ、イィィィイイッ!」

「ぬぉおおおおおぉ……っ!」

 

 一瞬で魔法と罠が消失し、足元からエネルギーを吸い取られる3人。

 唯一、警戒していてカードを伏せていなかったグラトニーだけが無事だった。

 

「アホ共が。このくれぇ考えろ」

「チッ……」

 

 憎々しげに舌打ちするプライドを余所に、ラースは更に行動を進める。

 

「セットモンスターを反転召喚、『スカル・イーター』!」

 

 

スカル・イーター:ATK 0

 

 

 裏側のカードが表向きになると、その中から現れるのは人の骨。頭から足まで200以上の骨が欠ける事無く揃っている。

 骨だけなので表情は存在していないはずなのだが、何故か不気味な笑みを浮かべているように見えた。

 

「攻撃力0? そんなモンスターで何ができると言うのです?」

「否。『スカル・イーター』の攻撃力は相手の場の表側表示のモンスターの数×100となる。よって攻撃力は300だ」

 

 

スカル・イーター:ATK 0→300

 

 

「それでもたった300! ナメてるのかい、ラース!?」

「更に手札から『スカル・イーター』を対象に魔法カード『頭蓋骨の怨嗟』を発動。自分の場の攻撃力500以下のアンデット族モンスター1体は、このターン相手の場の表側表示のモンスターの数だけ攻撃ができる。

 貴様らの場には貴様ら自身が3体。よって『スカル・イーター』はこのターン、3回攻撃が可能となる」

 

 

 

頭蓋骨の怨嗟(オリジナル)

【通常魔法】

自分の場の攻撃力500以下のアンデット族モンスター1体を指定する。

発動ターン、指定したモンスターは相手の場の表側表示で存在するモンスターの数だけ攻撃できる。

 

 

 

「だったら何だぁ~」

「『スカル・イーター』は直接攻撃ができる」

「それがぁ」

「そして相手に戦闘ダメージを与えた時、相手の場の最も攻撃力の高いモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える」

「「「え……!?」」」

 

 

 

スカル・イーター(効果モンスター)(オリジナル)(改訂版)

星1

闇属性/アンデット族

ATK 0/DEF 0

このカードを通常召喚する場合、裏側守備表示でセットしなければならない。

(1):このカードの攻撃力は相手の場に表側表示で存在するモンスター1体につき100ポイントアップする。

(2):このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、相手の場の最も攻撃力が高いモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。

(3):このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

直接攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり、次の自分のターンのエンドフェイズ時まで表示形式を変更する事ができない。

 

 

 

―――レッド寮・黎の部屋 PM 17:03

 

 

 

 

 

SIDE:黎

 

 

 

「だから何でナレーションが飛ぶんだよ」

「?」

「あ、いや、何でもない」

 

 十代のデッキを見ながら、俺は独り言をいつの間にか言っていたようだ。

 さて、こいつのデッキだが、はっきり言って凄まじい難問だと言わざるを得ない。

 

「普通に考えれば、このままがベターなんだがなぁ……」

「えぇー」

 

 ポツリと俺がもらした一言を、十代は聞き逃さなかった。子供の様に不満をありありと表す。

 

「分かってるって」

 

 だが、実際分かってる「だけ」なんだよな。

 戦士族主体のデッキだけど、『沼地の魔神王』とか入れたから『一族の結束』使えないし。

 『増援』は良いけど、元々こいつのデッキには『E-エマージェンシーコール』が入っているから、あまり効果は無い。『マジック・ストライカー』なんかを呼べるが……。元々十代は鬼の様に引きが強いからなぁ。

 それにもし、万丈目があっちにいるんだったら、十代の戦術は読まれてるだろうし。でも今から別の戦術を叩き込んでも、十中八九意味合いは薄いだろう。

 

「ん、じゃあコレにすっかな」

 

 俺が取り出すのは『ライオウ』と『スノーマンイーター』、そして『くず鉄のかかし』。

 その内の1枚、『くず鉄のかかし』を見て、十代は喜ぶ。

 

「あ、これ、黎のお気に入りのカードじゃねぇか! 良いのか!?」

「ああ。2枚3枚と入れても回りを悪くするからな」

 

 『くず鉄のかかし』。それは再利用可能の優秀な罠カード。場に再セットするから1ターンに1度という制限が実質存在するが、攻撃を確実に遮断できる。

 だが、場を圧迫し続けるという欠点もある。2枚、3枚入れるのは、少々俺や十代のデッキじゃ相性が悪い。自分の意思で再セットを拒否る事もできんしな。

 

「お前のデッキをざっと見たが、攻撃を止められるのは『ヒーローバリア』、『ミラーフォース』、『攻撃の無力化』、『ドレインシールド』の4枚。悪くはないが、やや使い勝手に難がある『ヒーローバリア』は入れ替えておきたいと思ってたんだ」

 

 万丈目が大将であり、『アームド・ドラゴン』が登場する場合、“E・HERO”が場に存在する事が絶対条件である『ヒーローバリア』は使い辛くなる(一応フリーチェーンだが)し、『攻撃の無力化』じゃあ使い捨ての時間稼ぎにしかならない。

 だが、『くず鉄のかかし』は誰がどんなモンスターで来ても毎ターンほぼ確実に攻撃を潰せる。『攻撃の無力化』とは違ってバトルフェイズは終わらないし、1体しか止められないが、そこはコイツ自身に頑張って貰うとしよう。

 

 そして『ライオウ』と『スノーマンイーター』。

 属性融合ヒーロー『E・HERO Theシャイニング』と『E・HERO アブソルートZero』の素材になるだけでは無く、それぞれが強力な効果を備えている。

 片やサーチ封じ。

 片や破壊持ち。

 下級モンスターだがステータスも高いし、戦線を維持するには申し分無いモンスター達だ。

 歩が『スノーマンイーター』を使ってたのを見て、十代のデッキに入れたくなったワケではありません。断じて。

 

「済まねえな、十代。このくらいしか出来なくて」

「いや、十分さ」

「……正直、俺程度の腕じゃこれが限度だ」

 

 謙遜でも何でも無い。こいつのデッキは本当に完成度が高い。

 だが、正直言ってこいつのデッキを丸のまま借りたとして、確実に言える事がある。

 

 

 

 事・故・る・わ!

 

 

 何でこいつはこんなデッキを回せるの!? 『融合』来ないと回らないじゃんか!

 作ってコンピュータでテストしてみたら遠慮無く1ターン目で事故ったよ! そのまま惨敗しかけた! ラストターンで『ミラクル・フュージョン』来なかったらそのままやられてたっつーの!

 何であんなデッキが回るのかなぁ!? マジでこいつデッキと神経繋がってるどころかカードが体の一部なんじゃねぇの!?

 

「へへ、これでまた少し強くなったぜ!」

「油断するなよ? 変な事すれば逆に弱くなる可能性だってあるんだからよ」

「おう! よっしゃ黎、デュエルだ!」

「オッケー。急拵えだが、皆に勝てるようにメタを張ったデッキを作ってある。それで行くぞ!」

 

 

 

 

 

―――異世界・廃墟の時計塔下

 

 

 

SIDE:無し

 

 

 

 僅かな攻撃力の裏に隠された能力。それは、プライド達にとっては絶望を意味する、破滅の文章だった。

 

「バトル。『スカル・イーター』でプライド、エンヴィー、スロウスにダイレクトアタック。“ボーン・ショック”!」

 

 走り出す髑髏。その攻撃力はたかが300ぽっち。だが、その骸骨の攻撃は、プライド達にとっては処刑台のギロチンと同じだった。

 

「死ね、弱者よ!」

『ケタケタケタケタァッ!』

 

 ブン! と振られる細い腕。その一撃は間違い無く3人の胴体に叩き込まれた。

 

「ぐっ!」

 

 

プライド:LP 2400→2100

 

 

「うぎっ!」

 

 

エンヴィー:LP 800→500

 

 

「ぬぅお!」

 

 

スロウス:LP 1600→1300

 

 

「そして、貴様らの場の最も攻撃力の高いモンスター、即ち貴様ら自身の攻撃力分のダメージを受けてもらう」

「ば、バカな……っ!」

「僕達が、こんなあっさり……っ!」

「1キルだとぉ~っ!?」

 

 驚愕に顔を染める3人の体から赤色のオーラが立ち上り、天へと上る。上ったオーラは上空で180度旋回し、持ち主へと降り注いだ。

 

「ぐぁあああああああああああああっ!」

「ぎゃぁああああああああああああっ!」

「ぬぁあああああああああああああっ!」

 

 

プライド:LP 2100→0

エンヴィー:LP 500→0

スロウス:LP 1300→0

 

 

プライド:LOSE

エンヴィー:LOSE

スロウス:LOSE

 

 

 ドサッ、と3人が倒れる。

 

「バカ、な……。この私が、この、わた、し、がぁああああ……っ!」

「ち、く、ショウ……、絶対に、復讐して、やるぅうう……っ!」

「あー、ク、ソ、メンド、クセェ……っ!」

 

 断末魔の叫びを残し、プライド、エンヴィー、スロウスが消滅する。

 そして残るのは、護衛の長ラースと……。

 

「お前は残ったな、グラトニー」

「警戒していたからな」

 

 異色の元・護衛、グラトニー。

 

「ここから先は、我と貴様との一騎打ちという事だな」

「ああ、悪いが油断はしねぇ。徹頭徹尾、全力で行くぞ!」

「フッ、面白い。かかって来い!」

 

 

to be continued

 

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