遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
裁きを下す者-ボルテニス(効果モンスター)
星8
光属性/天使族
ATK 2800/DEF 1400
自分のカウンター罠が発動に成功した場合、自分フィールド上のモンスターを全て生け贄に捧げる事で特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した場合、生け贄に捧げた天使族モンスターの数まで相手フィールド上のカードを破壊する事ができる。
フレイ「レベル8の天使族モンスターです、カウンター罠がトリガーになりますよ」
桜「自分のモンスターを全滅させる点には注意してくれ、割り切って打点要員にするには他にいくらでもモンスターがいるしな」
フレイ「ちなみに『発動』すればOKなので、『王宮のお触れ』を突破できるカードです」
本作は完全書き下ろしの新作となっております、ご査収下さい
またアニメの十代vs万丈目の試験(VWXYZ初登場回)の描写から推測し、本作においてアカデミアの実技試験の相手はデュエル開始直前まで知らせない方式になっております
SIDE:黎
月1のテストは筆記と実技に分かれているのは皆もよく知っての通り。
筆記は文字通り知識を問われるもの。とはいえOCGプレイヤーたる俺からすればそこまで難しくはない。ただ時代が時代だからか、『森の番人グリーン・バブーン』が戦闘破壊に対応していたりとかエラッタ前の知識も必要で、満点は中々難しい。
とはいえまぁそんな引っ掛け問題もどきはそこまで多くないので、90点以上のキープは然程の労苦にはならないのが現状だ。
後は国語だの数学だのの主要五科目とかそういうの。こちらも授業を受けて教科書の内容を理解していれば問題無い。
そして筆記の後に待ち構えているのは実技、つまり実際にデュエルをするテスト。
カードプレイング、残りライフ、デッキ構成その他を見て成績がつけられる。十代はこれの成績だけで退学を免れていると言っても過言じゃないだろう。
このテストの対戦相手は基本的に同じ寮の同じくらいの戦績相手から選出される事が多い。だから人によっては何ヶ月も連続で同じ相手だったり、格上・格下の寮の何某だったり、時にはブルー女子だったりする。
十代も最初の対戦相手たる万丈目を始め、これまでイエローの第三席だったりブルー女子の上級生だったりが相手で、レッド寮が相手になった事は一度も無い。
……勝敗? HAHAHA、言う必要ある?
そしてそれは俺にも適用される。一応他の生徒とデュエルする時はシンクロもエクシーズも使わないが、それでもカードプールの差や単純な腕の差で、同じレッド寮の奴らでは相手にならないと判断されているらしい。
ちなみに俺と十代をぶつける、という案はあったらしいが、最初にブルー生をぶつけてしまったせいで「それでは『ブルーじゃなくレッドの生徒じゃないと相手にならない』と、ブルー寮の看板に泥を塗るのではないですかにゃ?」と大徳寺先生が制してくれたそうな。本当にありがとう先生。
そして今回のテストでもまた、俺の前にはブルー寮の生徒
「フェイヴァー教諭、これはどういう事ですか」
「おっほん、勿論お前に対するテストだが? それすら理解できんとは、やはりオシリスレッドはゴミだな」
この男、フェイヴァーは海馬コーポレーションから派遣された教育実習生。
ワックスで固めたオールバックに加えて見るからにイヤミな表情をしていて、その人を見下すのが楽しいと言わんばかりの下劣な視線はサングラスでも一切隠れていない。
「俺に対するテストねぇ。それが俺の前に並んでる目付きの悪いブルー男子達って事で?」
「チッ! わざわざ説明しなくちゃならねぇのかよ、これだから
短気過ぎる……。後、蹴っても良いけど足を痛めるだけだぞっと。
俺の今回の実技テストの相手はブルーの男子。レッドに対してブルーをぶつけるというのは、俺と十代だけの特別措置と言える。
しかし相手の人数が問題だ。
「よぉクズ、また会ったな」
「へへへ、こりゃ頂きだぜぇ」
「フェイヴァーセンセ、良いんだよな?」
「勿論だとも将来有望なブルーの諸君、君らはレッドを踏み潰して輝く義務があるのだからねぇ?」
「うおっしゃあ!」
「クックック……!」
相手は何と5人。その内1人は俺と何度も衝突した高田だ。
成程、俺を実技試験の一番最初に持って行ったのは見せしめってトコだろう。
さてさて、これは合法なのか否か。遅れてやって来たクロノス先生に聞いてみますか。
「クロノス教諭、良いんですか。俺だけ5人相手ってのは普段のルールとは違うのでは」
「むーむぅ、私としてーハ、勝手に実技テストの中身を変えられるのは遺憾なノーネ」
「では」
「しかーし! 既に案は通っているノーネ、いくら私でもこれは引っ繰り返せませんーノ。よって続行!」
あらら。
片目を顰める俺を余所にフェイヴァーは「身の程を知ったか」と言わんばかりの得意気な顔だ。
ま、しゃーないか。
フェイヴァーが優秀な成績を以て教師になれればそれがそのままクロノス先生の箔にもなるし、俺が負ければ十代とセットで勢いがついている所謂『ドロップアウト』達への牽制にもなる。
逆に俺が勝ってもそれは単なるフェイヴァーの暴走で済む。クロノス先生がさっき遅れて来た所を見るに、フェイヴァーの策略で何か用事を頼まれたって所か。それならクロノス先生がフェイヴァーの暴走を止める事はできず、責任を問うのは難しくなるワケだ。
どっちに転んでもクロノス先生には美味しい展開にしかならない。
しかもこんな時に限って鮫島校長は嵐で足止めされて出張から帰って来れない。ここぞとばかりに、奴にとっては千載一遇の大チャンスというワケだ。
ハッ、良いじゃねぇか。ならこっちにも条件ってモンがあるぜ?
「分かりました、ただし条件が3つありますよ、クロノス先生、フェイヴァー先生」
「3つもなノーネ?」
「口答えをする気かドロップアウト! オレを怒らせるなと言った筈だ! ブチ殺されてぇのか!」
「そうカッカしないで下さいよフェイヴァー先生、別に大した事は要求しません」
「認めん! 罰として貴様はライフ1で実技を受けろ! 身の程を知れボケカスが!」
うわぁ、横暴。
自分の思い通りにならない事が許せないタイプだ、こういうの一番教師になったら駄目だろ。
同じ事を考えたのか、クロノス先生も待ったをかけた。
「そこまでデスーノ、フェイヴァー先生」
「クロノス先生、しかし通せば秩序が!」
「まずは彼の提案を聞いてからにするノーネ、それからでも遅くはありませんーノ」
そうして小声で、俺だけに聞こえるように『これでデッキを盗まれた時の借りは返したノーネ』と呟いた。
成程、武藤遊戯デッキの事件で俺が庇った時の事か。レッドを見下してはいるけど、根はやっぱ良い人だよなアナタは。
「さ、早く条件とやらを言うノーネ」
「ええ。条件1、この実技試験は1対5ではなく、1対1を5連戦にして下さい」
「ア゛?」
「だってそうでしょう、リンチなんて卑怯極まりない。そんなのをアンタ主導で仕掛けたとなれば、海馬コーポレーションが良い顔するとでも?」
「テメェがKCの何を知ってんだ! オレは海場瀬戸の親友だぞ! 先日だってなぁ、穴場の高級おでんを食いに行ったんだぞ!」
はいダウト。どういう関係かは知らないけどあの気難しい社長にお前みたいな友人がいて堪るか。ついでに言うと社長はおでんが嫌いだからな。
「条件2、全てのデュエルで違うデッキを使わせて貰います。ま、エンタメ要素ってヤツです」
「エンタメならテメェがボロボロになれば良いんだよ! 調子こくなクズが! 自分が能無しの落第生だって自覚しろや!」
「フェイヴァー先生、一々口汚く怒鳴らないで下さイーノ。話が進まないノーネ」
逐一ギャーギャーと喚く奴だな。親のコネか何かで教師になったのか? よくこんなので教師を試みようと思ったもんだ。
ま、後ろに並んでる5人のエセエリート達も似たような反応してるし、ある意味ではこの学園の主流の考えに沿っているのかもな。
「条件3、以上の条件を以てするとリングを俺が独占する事になる。よって実技試験は一番最後にして下さい。他の皆の邪魔になるんで」
「ふむふむ、尤もナノーネ。私は特に異論は無いノーネ」
「レッドのクズが偉そうに……! そんな条件無効だ! ちょっとディスクを貸せ、魔法も罠もモンスター効果も反応しないようにしてやる! お前なんてサンドバッグになって負けてれば良いんだよ!」
キレたフェイヴァーが俺のディスクを奪い取ろうと手を伸ばす。だが俺はその手を掴むと強めに握り締めた。
「がっ、ギャアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「喚くなよ、大の大人が情けない」
俺が人外だという事はこの学園に知れ渡っている。だから彼の悲鳴が大袈裟で無い事は周知の事実だろう。
勿論、本気でやれば握り潰してしまうから加減はしているとも。痣が残るくらいで骨にヒビ一つ入りはしないさ。
「ギャッ、ぐっ、離せガキがぁああああ!」
「おお、この状況でまだ強がれるのか、大したモンだ」
「ざけんな、ざけんなぁあああああ!」
「うっせ……」
「クソが! クズが! ゴミが! 何してんだテメェら、オレを助けろぉおおおおおお!」
必死になって反対の手で俺の顔を殴るフェイヴァー。しかし痛くも痒くもない。当然だ、俺は全身に重金属を仕込んでいる。俺の体重は400キロだが、肉体の本来の重さは70キロ。差分330キロは鉄やチタン、タングステン等で、それらは全身を覆うよう皮膚の下や骨なんかに仕込まれている。なので殴られたって全然平気だし、何ならフェイヴァーの手が裂けて血が出てるくらいだ。
それを見てるからか、5人のブルー男子も手を出そうとしない。
「このっ! 社会のゴミ風情が! 逆らうなっ! 自覚しろぉっ! クズが! 畜生がぁあああ!」
「あぁ、うるっせぇなコイツ。一応授業の一環なのに叫ぶってどういう思考回路してんだか」
「ドロップアウトガイ、声に出てるーノ。それとその辺にするーノデス。過剰防衛というモノになるノーネ」
「ん、そうですか? では」
流石に頭突きに加えて蹴りまで混ぜてきたあたりでクロノス先生がストップをかけた。まぁ頭突きの反動で額は割れてるし歯も少し欠けた、これ以上は確かに駄目だろう。いくら衆人環視の中とはいえ、そろそろ入院案件だ。
なのでポイッとフェイヴァーを投げ捨てる。ドサリと尻餅をついたフェイヴァーは憤怒と憎悪の形相で俺を睨むが、涼しい顔を返したのは言うまでも無い。
「クロノス先生、こんな奴ァ今すぐ退学です! 教師に暴力を振るう不良ですよ不良!」
「フェイヴァー先生、落ち着くーノです。彼は腕を掴んだダーケ、それはここにいる全員が見ているーノ」
「そうですねぇ。実際に俺が何したかって言うと腕を掴んだだけで、寧ろ殴られーの蹴られーのされた側ですし」
「このクズが……っ! クロノス先生! 貴方はブルー寮の寮長でありながらこの落ちこぼれの味方をするんですか!」
「それはそれ、これはこれ、ナノーネ。客観的に見れば彼を悪者にするのは難しいだけデスーノ。これだけの証人がいてーハ、私個人で引っ繰り返すなんて不可能」
「くっ! 大体あの目、人を殺してそうな冷たい目だ! その長い髪もチャラチャラとしてて実に世間を穢している! こんな奴、栄光あるアカデミアから叩き出してやりましょう!」
うわ、全校生徒が見てる中でこんな事を言うのかこいつは。
チラリとクロノス先生を見るが、流石のエリート思考のクロノス先生もこの発言にはドン引きのようで苦々しい表情をしている。
「フェイヴァー先生、兎に角冷静になるノーネ。これ以上は職権乱用ナノーネ」
「ですが!」
「それ以上暴言を吐くようデーハ、栄光あるデュエルアカデミアの教師に相応しくないと言わざるを得ませんーノ。貴方はまだ実習生、それを忘れてはならないノーネ」
「……チッ」
コホン、とクロノス先生は咳払いをした。
「ドロップアウトガイ、さっきの条件は飲むノーネ。実技試験は一番最後、1対1を5回、毎度違うデッキを使う、全て問題無いノーネ」
「ありがとうございます」
「クロノス先生ッ!!」
「フェイヴァー先生、実技試験は本来1対1なのを5人がかりにした件は黙認してあげルーノ。しかーし、これ以上は越権なのを理解して下サーイ。私は責任ある立場として、試験で不正は許す事は出来ないノーネ」
「ぐっ、クソが……!」
「もっとーも、彼が5人相手で討伐できるかどうかまでーハ、私は保証できませんーガ。化物の底力は私も見た事が無いノーネ」
ま、これで不利な条件にはならないだろう。5人まとめて倒すとなると、ちょっとえげつないデッキ使わないといけないだろうし。
クロノス先生にだけ一礼をすると、俺は寮の部屋に小走りでデッキを取りに戻るのであった。
取り敢えず難癖が飛んで来る事を考えて……、ソリティア出来る奴を中心に20個くらいあれば良いかな。
☆
SIDE:フィオ
「『ジェルエンデュオ』、『アテナ』、フレイをリリースした事でそっちのフィールドは全滅した! トドメだ、『裁きを下す者-ボルテニス』でダイレクトアタック!」
『オォオオオオオオオオオ!』
「ぐぁあああああああああああああ!」
裁きを下す者-ボルテニス(効果モンスター)
星8
光属性/天使族
ATK 2800/DEF 1400
自分のカウンター罠が発動に成功した場合、自分フィールド上のモンスターを全て生け贄に捧げる事で特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した場合、生け贄に捧げた天使族モンスターの数まで相手フィールド上のカードを破壊する事ができる。
裁きを下す者-ボルテニス:ATK 2800
ブルー生:LP 2800→0
フィオ:LP 300
「ふぅ、ヤバかった」
『お疲れ様です、マスター』
月1の実技試験、黎が何やら因縁をつけられていた。
彼と親しいわたしにも飛び火したようで、ガラの悪そうなブルー生が相手となりギリギリまで追い詰められてしまった。勝てたけど。
「フレイごめんね、勝つためとはいえ君を犠牲にしちゃって」
『何の何の、捨て石・囮・生贄バッチ来い、それがモンスターの務めです』
ヤダ、わたしの相棒メンタル強すぎ……。
なんて事を考えながら、観客席に移動する。
正直、今回のテストではわたし達こと黎陣営(今命名)はかなりの惨状だった。
わたしの前にデュエルをしていた丸藤君や明日香はコテコテのゴテゴテにメタを貼られたため敗北。
三沢君は精神攻撃で残りライフ100にまで追い詰められ、わたしもトラップ封じのデッキにズタズタにされた。勝ったのは本当に奇跡としか言いようがない。
他にも原さんは『マテリアルドラゴン』を突破できず、ゆきのんは儀式魔法を発動した瞬間に『夜霧のスナイパー』というカードでメタられ、田中君は先行フルバーンで何もできず敗北。黎陣営は手痛い敗北を喫した事になる。
マテリアルドラゴン(効果モンスター)
星6
光属性/ドラゴン族
ATK 2400/DEF 2000
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、ライフポイントにダメージを与える効果は、ライフポイントを回復する効果になる。
また、「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つ魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、手札を1枚墓地へ送る事でその発動を無効にし破壊する。
夜霧のスナイパー
【永続罠】
モンスターカード名を1つ宣言する。
宣言したモンスターを相手が召喚・特殊召喚・リバースした場合、宣言したモンスターとこのカードをゲームから除外する。
原さんはバーンデッキだから『マテリアルドラゴン』は鬼門。ゆきのんの儀式デッキは儀式魔法を挟む都合上『夜霧のスナイパー』との相性は最悪。先行フルバーンはビートダウンである田中君を完封できる手札なら手も足も出ない。
ほかにも神楽坂君、ツァン、ウサミン、ゆりっぺと、腕利きのこちらの陣営が片端からメタカードの大群を相手に敗北を喫した。これは異常だ。
「ねぇフレイ、気付いてる?」
『当然です。先程黎さんの相手と紹介された5名の内3名は、ももえさんと藤原さん、神楽坂さんの対戦者でした』
「やっぱり」
……これは、確実にわたし達を潰しに来てるね。ドロップアウト組が成長するのを見過ごせないんだ。
『階級制度、そして差別というのはある意味では有効です。自分のストレスを格下の相手に押し付け、最下層を固定。これで一番下以外はある程度の繁栄や成長、そして平穏が見込めます。けれど逆説それは最下層は見捨てている、という事でもあるのす』
「黎はそれが我慢できなかった、だから十代君達のために細やかな教鞭を取った。それがいつの間にか一つの、寮の枠を超えた勢力になった」
クロノス先生はこれに対して目立ったアクションは取っていない。当然だ、クロノス先生はレッドを見下してはいるけど、
けれどあのフェイヴァーという教育実習生は違う、本気でわたし達を敵視して、積極的に潰しに来てるんだ。レッドとその仲間というだけで、本気で差別して良いと思っている。
「黎……」
『大丈夫だとは思いますよ、彼はそれを見抜いているからこそ条件を提示したのですから』
そうかな? そうかも?
もしそうだとしたら、彼は勝てるのだろうか。黎はデッキをいっぱい持ってるから簡単には対策は練られないとは思うけど……。
「彼が心配?」
「あ、鮎川先生」
不安そうな表情を見抜かれたのか、看護教諭にしてブルー女子寮長の鮎川先生に話しかけられた。フレイとの会話は精霊を見れないからかわたしの独り言と思われてるみたい。
クスリ、と笑う先生はどちらかと言うと苦笑いの表情だった。
「フェイヴァー先生、ちょっとやり過ぎよね」
「鮎川先生はフェイヴァー先生の事を知っているんですか?」
「昔、家が近所だったのよ。中学に上がる前にはいつの間にか引っ越しちゃってたけど」
「幼馴染ですか」と聞くと「馴染みって程の付き合いは無いわね」と返された。
苦虫を嚙み潰したよう、という諺があるけど、鮎川先生はフェイヴァー先生の事を話す際は苦虫を100匹は噛み潰したような顔をしている。
「フルネームは鰐一郎・フェイヴァー、親の離婚でこんな苗字になったけど一応日本人よ。理想が高い人でね、昔アカデミアの分校でブルーによる支配を見てから階級制度で一部を輝かせる事に執着しているの」
「階級制度……」
「勿論、そんなの良くないわ。多少の差は切磋琢磨には必要だけれど、彼のあれは単なる踏み台にする思想だもの。だから私と同い年なのにまだ実習生なの。精神面で合格できてないのよ」
苦虫が1000匹になったかのように、更に苦々しい顔になる鮎川先生。
フェイヴァー先生は今回、どうやらコネを使ってアカデミアに来たらしい。どういったコネかは知らないけれど、KCから推薦を受けたのなら決して弱くないコネだ。
何事も無ければ、良いのだけれど。
『俺の場に機械族の『カードガンナー』が現れた事で、お前の『マッスルキラー』は自爆!』
『ば、馬鹿な!? E・HERO使いのクセに機械族だと!?』
『これでお前の『パープル・ボンバー』と『呪いの融資』も破壊された、やっと融合召喚ができるぜ!』
マッスルキラー(効果モンスター)(オリジナル)
星9
闇属性/悪魔族
ATK 2900/DEF 0
(1):アドバンス召喚されたこのカードが存在する限り、相手が戦士族モンスターを攻撃表示で召喚・特殊召喚した時に発動と処理ができる。
そのモンスターを破壊する。
(2):相手が戦士族以外のモンスターを通常召喚した時に発動する。
このカードを破壊する。
パープル・ボンバー(オリジナル)
【永続罠】
(1):相手が融合モンスターを特殊召喚した時に発動する。
そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与え、攻撃力をターン終了時まで0にする。
(2):フィールドから自分の墓地へモンスターカードが送られた場合に発動する。
このカードを破壊する。
呪いの融資(オリジナル)
【永続魔法】
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードの発動時、自分フィールドのレベル6以下の通常召喚されたモンスターを1枚ゲームから除外する。
除外したモンスターの元々のレベル分だけこのカードにカウンターを乗せる。
(2):相手が効果ダメージを受けた時に発動する。
このカードのカウンターを1つ取り除き、相手のLPを半分にする。
(3):このカード以外の自分の魔法・罠カードが破壊された時に発動する。
このカードを破壊する。
このカードにカウンターが乗っている状態で破壊された場合、乗っていたカウンターの数だけ自分のドローフェイズをスキップする。
『融合召喚! 現れろ、『サンダー・ジャイアント』!』
『ヒッ!?』
『ヒーローは必ず勝つ! ダイレクトアタックだ!』
『ぬわーーーっ!』
十代:LP 19
ブルー生:LP 4000→2100→0
お、十代君も勝った。
しかしライフ19とはまた一生お目にかかれないような稀少な数値を。150を3回半減した結果とはいえ、残りライフ38の時に『神の宣告』を躊躇無く使った時はビビッたね。『呪いの融資』のカウンターがもう1個あったら負けてたよ。
(これで、フェイヴァー先生が一番倒したいであろう生徒の1人は勝ってしまった)
(黎さんと十代さんは目の上の瘤でしょうからね)
観客席にいるフェイヴァー先生を見ると、明らかにその顔を憎悪に染めていた。憎んでいるのは十代君か、負けた名も知らぬ彼か。
そして、もう他に誰もデュエルをしていない事に気が付いた。つまり、一番最後に回して貰った黎の番が来たって事だ。
「自分が間違ってる事に気付くって、思ってるより難しいの。フェイヴァー君は理解できないでここまで来てしまったわ」
苦虫が10000匹でも足りないくらいの顔をするブルー女子寮の担当教師。見捨てられないのだろうか、フェイヴァー先生を。
「黎が……」
「彼が?」
「黎が5人相手に勝利したら、少しは何か変わるでしょうか」
「そうね……、そうなって欲しいわ」
無関心では無い程度の相手なのだろうけれど、やっぱりそんな奴でも鮎川先生にとっては蛮行をされるのは心苦しいのかも知れない。
ここは黎に踏ん張って貰わないと。
頑張れ、大将!
SIDE:黎
十代が去って
ほぼ同時にフェイヴァーと5人のブルー生、そしてクロノス先生も登場。これで今日最後の役者は揃った。
「フン、怖気づいて逃げれば良いものを」
「おお怖い怖い」
包帯やガーゼで顔と手を覆ったフェイヴァーが吐き出す。正直、無力な小動物が威嚇しているようで気分が良い。
俺も大概性格が悪い奴だ。
「貴様のようなチャラチャラした不良がいるからアカデミアの治安が良くならないんだ! オレが正式にここに勤務する事になったらあの重要だか甚大だかいう奴ごと退学にしてやる!」
……ひょっとするとそれって十代の事か?
そういう間違い方ってどうなんだ。
「ギャースカ煩いな、発情期の犬猫でももう少し節度があるぜ?」
「ンだとゴラァ!」
「クロノス先生、マイクお借りできます?」
「マイク、ナノーネ?」
キャンキャンと騒ぐフェイヴァーを無視し、クロノス先生からマイクを受け取る。
トントン、とヘッドを叩いて音量を確認すると、俺は落ち着いて語り出した。
「あーあー、皆さん、オシリスレッドの遊馬崎黎です。何故か5人相手をする事になりました、ご心配をおかけして申し訳ありません」
「貴様、何をしてるんだ! ブチ殺すぞ!」
マイクを奪いに来るフェイバーをひょいひょいと避けつつ、演説は止めない。
伸ばした手は体を捻って空振りさせ、足払いは軽くジャンプ、体当たりは片手でフェイヴァーの頭を掴んで跳び箱のように上に回避。
客席からは「おぉー」という感嘆の声があがる。
「また今回の試験、何故か自分と親しい人達が苦戦したり敗北したりと苦しい戦いだったようです。どうもメタデッキを相手にした人が多く、それが原因のようです」
「この、クソがっ!」
「しかしおかしいですねぇ、まるで事前に対戦相手が知らされているかのような周到ぶり。メタが外れたらどうする気だったのでしょうか」
「黙れ! 黙れっ!」
「誰かの陰謀だった場合、その責任は中心にいるであろう俺にあると思います。その点につきましては皆々様に深くお詫び申し上げます」
「あ゛ぁあああああああああああああっ!」
「そしてお詫びする点がもう1つ」
そろそろ鬱陶しいので、体重を乗せてタックルしてきたフェイヴァーの足を引っかけ転ばせる。フェイヴァーは顔面から派手に床に転び、包帯から血を滲み出し始めた。
あーあ、傷口が開いちゃった。
ついでに床に小さな白い物が転がるが、あれは歯だろうか。
まぁ俺にはどうでも良い。誰でも彼でも助けようと思う程、俺は正義の味方じゃない。
俺が助けるのは、助けたいと思えるような人だけ。冷たいだろう、ドライだろう、それが俺なのだ。
「今から5人を叩きのめしますが……」
「テメ……」
「レッド風情が!」
「誰が負けるってぇ!? ああん!?」
ニッ、と出来るだけ邪悪な笑みを浮かべる。
「滅茶苦茶つまらないデュエルをしますから、眠くなったら寝ちゃって下さい」
何かの集団を率いた覚えは無い。
だがそれでも俺を味方と思ってくれる皆がいて、俺が原因でこんな風に苦渋を舐めてしまうのなら。
「ちょーっと、調子乗ってる奴にはお灸を据えないとなぁ」
ボスとして威厳を示さないワケには、いかないだろ?
to be continued
【黎陣営 戦況(一部)】
翔:『システムダウン』等を採用した機械族メタデッキ相手に惨敗
隼人:追い詰められ『マスター・オブ・OZ』の融合召喚を狙うが『マインドクラッシュ』で素材を潰され打つ手が無くなった
明日香:戦士族に強い『サイファー・スカウター』だけを極限まで強化するデッキを突破できず、『サイバー・ブレイダー』の戦闘破壊耐性のせいでサンドバッグにされた
ジュンコ:3積みされた『猛毒の風』を前に展開を制限され敗北
ももえ:『デス・ウォンバット』を『スキルドレイン』で封印され、ライフ回復デッキを前に『黒蛇病』で自滅
雪乃:『閃光を吸い込むマジック・ミラー』を中心に『センジュゴッド』『マンジュゴッド』を封印される。闇属性儀式召喚を強いられ、儀式召喚時に『夜霧のスナイパー』を使われた事で手札の中身が枯渇した
ツァン:1ターンに複数回『パペット・プラント』でコントロール奪取され力負け。実は『パペット・プラント』とそのサーチャー以外にモンスターを使ってない
原:バーンメタに手も足も出ず
田中:先攻フルバーンで抵抗できないまま敗北
友紀:罠カードを採用していないデッキ+『次元の裂け目』でレベルアップを封じられる
宇佐美:『ネクロバレー』で墓地利用を禁止され、上級恐竜族はコントロール奪取されて全て『ダイナ・タンク』にされた
山本:『終焉のカウントダウン』を『禁止令』×3やカウンター罠で狙い撃ちされ、『波動キャノン』で敗北
神楽坂:何故か事前に彼が模倣しているデッキの情報が漏れ、徹底的にメタられた
フィオ:罠カードを無効にしたり効果を受けないモンスター軍団を相手に苦戦、『ボルテニス』の効果で隙を突いて勝利
大地:精神攻撃を何度も受けてプレミを犯すが、持ち前の頭脳を駆使して新しいコンボを発見し辛勝
十代:徹底した戦士族・融合モンスターメタに追い詰められるが、ロックの穴を見つけて逆転ワンキルに成功
なお、各自それぞれ徹底したメタデッキが相手であり、掻い潜る事は一流デュエリストでも難しい事をここに明文化しておく
またフェイヴァーが搔き集めたカードで強化され、普通より強いブルー(エセエリート)になっていた
対戦相手が相手のデッキの傾向を理解しているのは、十代がE・HEROデッキじゃないと成立しないデッキを使っていた事を見れば察せられると思われる
【カットしたオリジナルメタカード】
システムクラッシュ
【通常魔法】
(1):自分の墓地の「システムダウン」1枚を対象として発動できる。
対象のカードを手札に加える。
その後、自分の墓地に存在する「システムダウン」の数×500LP回復する。
ソルト・スライム
星7
水属性/水族
ATK 2600/DEF 1900
(1):相手フィールドに機械族モンスターが存在する場合、このカードはリリース1体でアドバンス召喚できる。
(2):1ターンに1度、フィールドの元々の種族が機械族のモンスター1体を対象に発動できる。
そのモンスターを破壊し、相手に500ダメージを与える。
この効果は相手ターンでも発動できる。
赤い大地の森林伐採
【永続罠】
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に手札の魔法・罠カードを1枚捨てる。
捨てられない場合このカードを破壊する。
(1):このカードが表側表示で存在する限り、レベル8以下の獣族・植物族モンスターの効果は無効になり、攻撃力は1000ダウンする。
暗号戦士の魔改造銃
【装備魔法】
「サイファー・スカウター」にのみ装備可能
(1):装備モンスターの元々の攻撃力は1500となり直接攻撃できず、1度のバトルフェイズ中に2回まで戦士族モンスターに攻撃できる。
(2):装備モンスターが破壊される事によりこのカードが墓地に送られた場合に発動する。
墓地から「サイファー・スカウター」を可能な限り守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはターン終了時に破壊される。
キネティック・サイファー・スカウター(融合モンスター)
星8
地属性/機械族
ATK 2500/DEF 3500
「サイファー・スカウター」+機械族モンスター1体以上
このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。
●自分墓地に存在する、フィールドから墓地に送られた「サイファー・スカウター」3枚をゲームから除外した場合にEXデッキから融合召喚できる(「融合」は必要としない)。
(1):このカードは融合素材に使用した「サイファー・スカウター」の数によって以下の効果を得る。
●1体以上:このカードが戦闘によって破壊された場合、自分の墓地から「サイファー・スカウター」を1体、守備表示で特殊召喚できる。
●2体以上:このカードが戦士族モンスターと戦闘を行う場合、攻撃力は倍になる。
●3体:このカードは1度のバトルフェイズ中に3回まで戦士族モンスターに攻撃できる。
怨念の業屠
星6
闇属性/獣族
ATK 2000/DEF 2000
このカードは直接攻撃できず、墓地から特殊召喚できない。
(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「閃光を吸い込むマジック・ミラー」を自分フィールドにセットする。
(2):相手が光属性モンスターを特殊召喚した時、このカードをリリースして発動できる。
そのモンスターをゲームから除外する。
その後相手の手札を確認し、その中にある除外したモンスターと同じ種族の光属性モンスターを全てゲームから除外する。
ソーイングシード
星4
地属性/植物族
ATK 1600/DEF 500
このカード名の(1)(2)の効果を発動するターン、自分は地属性以外のモンスター効果を発動できない。
(1):このカードの召喚に成功した時に発動できる。
デッキからレベル4以下で攻撃力と守備力が同じ数値の植物族モンスターを1体手札に加える。
(2):このカードを墓地から除外して発動できる。
墓地からレベル4以下で攻撃力と守備力が同じ数値の植物族モンスターを1体手札に加える。
【永続魔法】
このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分のターンにフィールド以外から植物族モンスター1体が墓地に送られた場合に発動できる。
その植物族モンスターを手札に戻す。
この効果で手札に加えたモンスターはこのターン召喚・特殊召喚できない。
ディノミック・キャプチャー
【カウンター罠】
(1):相手が恐竜族モンスターを召喚・特殊召喚した時に発動できる。
そのモンスターのコントロールを得る。
その後手札から「ダイナ・ベース」を特殊召喚し、「ダイナベース」の(2)の効果を発動する。
「ダイナ・ベース」を特殊召喚できない、または「ダイナ・ベース」の(2)の効果を発動できない場合、コントロールを得たモンスターの元々の攻撃力分のダメージを自分は受ける。
カーマイン・ネグレクター(儀式モンスター)
星6
炎属性/海竜族
ATK 0/DEF 2000
「罠崩しの手引き書」により降臨。
(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の罠カードの数×300となる。
(2):儀式召喚されたこのカードが存在する限り、お互いのプレイヤーが発動した罠カードの効果は「デッキから罠カードを1枚墓地に送る」効果となる。
ウォーリアンチ
星4
闇属性/天使族
ATK 1700/DEF 1200
(1):このカードは戦士族モンスターとの戦闘では破壊されない。
(2):このカードが除外された時に発動する。
自分フィールドに「ブラックエンジェルトークン」(天使族・闇・星3・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは闇属性以外のモンスターのアドバンス召喚のためにはリリースできない。