遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
闇属性/ドラゴン族
ATK 2500/DEF 2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。
都「ズァークドラゴンの1柱だね、相手モンスターの攻撃力を吸収できるよ」
フィオ「緩めの素材で出せるのはメリット。ただ効果は実質一度きりだから気を付けて!」
都「各種ウイルス素材にもできるよ、闇属性・ドラゴン族を上手く利用してね!」
SIDE:黎
突然だが、俺は今、精霊界に来ている。
場所は『天空の聖域』。
天空の聖域
【フィールド魔法】
このカードがフィールド上に存在する限り、天使族モンスターの戦闘によって発生する天使族モンスターのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。
何故ここにいるのかと言えば……。
「黎さん、そのペンを取って下さい」
「どうぞ」
「ありがとうです」
手元にあった、細いペンをフレイに渡す。
まあ、フレイの、フィオの精霊の手伝いだ。
何でもこいつはもう何千年も前から生きている古参の精霊で、この聖域の街ができた頃から生きているとか。
それで、何故俺が彼女の手伝いをしているかと言えば、まあ、恩返し?
――2時間前 レッド寮の自室・PM 19:53
「黎さん、お怪我はどうですか?」
「ん、んー。大丈夫かな」
転移して皆のデッキ構築を手伝った日の夜。怪我を心配したのか、フレイが俺の部屋にやって来た。桜は現在、風呂に行っているため不在。
その時には怪我は、少なくとも自覚している範囲では治っていたし、多少の違和感はあったものの、まあ、転生前にもあった事なので大丈夫だろうと返事しておいた。
が。
「ハッ!」
「うお!?」
突如として突き出されたフレイの掌底。体重の乗った良い一撃を咄嗟にガードするものの、受け止めた腕にビリビリと振動が伝わった。
「セイ!」
「くっ!」
続いて繰り出される上段の回し蹴り。これも受け止める。止めた掌が痺れる。
ちなみに彼女は今は『勝利の導き手フレイヤ』の格好では無く、朱色のシャツに青のジーンズを着用している。
「ふむ、やはり……。最初よりも遅くなってますね」
その後、数回の攻撃を繰り出すと、フレイは何かを考える様に顎に指を添えた。
「黎さん、貴方、怪我治ってませんよ?」
「え?」
何を言っているんだ? 損傷した細胞だったら全て治療してあるんだが?
「確かに、肉体的な怪我は完治してますが、中身はまだです」
「中身?」
「ええ。貴方の治癒は言ってみれば、桜さんのやる様な治癒では無く、細胞の再構築。治療では無く再生です」
「まあ、確かに」
「それに必要なのは大量のエネルギー、平たく言えばカロリー。だからこそ黎さんは、自分のだけ高いカロリーを摂取できるように、密かに調理方法を変えていたんでしょう?」
「ギクリ」
「擬音を口に出しても無駄です」
そう、俺はこの体を動かす都合上、毎日常人よりも多くのエネルギーが必要なのだ。
考えてもみてほしい。俺の体重は本来70キロ程。それが400キロオーバー。差し引き330キロも何があるのか。無論、体中に仕込んだ金属だ。平時は皮膚の下に仕込んでいて鎧の代わりになり、いざという時は剣や盾になる。
武器を錬成する際にもやはりエネルギーが必要。だから俺は生前、武器よりも素手での格闘の方が得意だったし、今もそっちの方がやりやすい(勿論大抵の武器・凶器は扱える)。
さて、そんな大量の金属を使用するのにはエネルギーが必要なワケで。
そして俺は生物である以上、経口摂取、つまり飲食でエネルギーを賄わなくてはならない。
だからこそ、俺のメニューだけ、可能な限りカロリーが高くなる様にしているし、暇さえあれば鍛錬で体の栄養の消費の効率を上げたりもする。来るべき戦いに備えての事だ。
そして恐らく、フレイが指摘しているのは……。
「黎さんでしたら、もう勘付いているとは思います。貴方の体は、これまでの無茶が蓄積していて、ダメージが回復しきれていません。いくら再構築をしても、そこかしこにダメージが残っています。貴方の動きは、初めて会った時から、少しずつですが鈍くなって来ています」
「……やはりか」
再構築を重ねても、前より強い細胞が生まれるとは言っても、細胞がダメージを受けて傷ついたという事実は変わらない。それは新しい物に交換しても、損傷を無かった事にしても、その
「人間が普通に生活していく上で基礎代謝というものがある様に、生きているだけで、体の各部位は微量なダメージを受けているのです。
歩けば足が。ペンを握れば手が。表情を変えれば顔が。呼吸すれば胸が。飲食すれば口や内臓が。動くという事は、その部位を使うという事。即ち、その部分の細胞にダメージを与えつつ動かしているのです。
ダメージを感じないのは、それよりも自己治癒が早く行われていて、怪我を感じる暇は無いから。しかし……」
「俺の場合、その治癒を無理矢理行使し、結果として逆に自然治癒力が低下。更に元々受けていたダメージも大きいから、日常生活ですら、最早俺の体を蝕む要因となっている」
「その通りです」
ある種の抗生物質を服用し続ければ、体の免疫力が低下していくのと同じだ。元々の機能よりも高い性能の物を使用し続ければ、元のそれが劣化する。電気のある生活から、洞穴生活という原初の生活に戻った場合を想定すれば分かりやすいだろう。
タバコに中毒性があるのも同じだ。脳の伝達物質をニコチンは活性化する効果がある。しかし、長い間吸い続ければ、伝達物質がニコチンに任せて怠け始める。ここで禁煙すると、ニコチン不足によって伝達が思うようにいかなくなる。これがタバコ、ニコチンを求める理由の内の1つだ。
「だが、戦うのを止めろと言われても聞かんぞ」
「でしょうね」
俺は自分の主張を通そうとすると、フレイはあっさりと承諾した。
む? 言い争いに発展する事を覚悟していたんだが……?
「黎さんがそう言う事くらい分かっていましたよ。大人みたいな広く、客観的な考えができるのに、自分の事は遠くに投げ出して蔑ろ。そのクセ使命のようなものには意固地になる」
「う……」
「自己犠牲や自己欺瞞は結構ですが、わたくし達にも無関係では無い事を理解して下さい」
「…………」
……分かってるよ、そのくらい。
でも、俺が戦わなくちゃ、誰が戦うんだ。
フィオ? 十代? 桜? フレイ? 別の誰か?
駄目だ、闇のゲームのダメージに耐えられない。優や真奈ちゃん、輝達が無事でいられたのは、俺の作ったプロテクターでダメージを緩和したからだ。生身じゃあ一撃もらうだけであの世行きだ。
プロテクターは俺から離れすぎると効力が無くなる。世界を転移したら言わずもがな。無いも同然だ。
近くにいれば良いとも思ったが、それも駄目だ。護衛は複数対1で辛うじて戦える相手なんだ。俺が抜けた時、真奈ちゃんの時みたいに転移した味方が1人だった場合、1対1になってしまう。それに、できれば勝率は僅かでも上げておきたい。
「フレイ……」
「分かってますよ。貴方以外、護衛と戦える人はいない。だから無茶をしなくてはいけない。無茶をすれば貴方の体はまた壊れ、それを治すために自己治癒力が低下する。でも敵は残っているからまた無茶をする」
悪循環です。フレイはそう悲しそうに言った。
SIDE:フレイ
あ、初めてのナレーションなのです。
……黎さんの様子が、初めて会った時から少しずつ変わって来ていました。それも悪い意味で。
護衛との戦いを終える度に、彼の動きに違和感を覚えるようになったのです。
もうどれくらい生きているか忘れたこの身、趣味や実益を兼ねて色々と取得した資格。その中には人体に関する物も当然あります。そしてわたくしは記憶力には自信があるのです。1度覚えたら絶対に忘れない。
かつて読んだ本の中にあった、黎さんと同じ体、バイオフィードバック使いについての本。その弊害の内の1つ、肉体改造における自己治癒力の低下。それと同じ現象が起きている事が分かったのです。
ハッキリ言いましょう。これ以上は危険です。
もし、もしも今回以上のダメージを次に負ったら、怪我が治らない可能性だって有り得ます。それ程までに、彼の体はボロボロなのです。常人よりかなり頑丈とは言え、致命傷を力尽くで抑えて来たのですから、当然です。
解決策は2つ。1つは黎さんが戦うのを止める事。でもこれは黎さんにとっては論外中の論外でしょう。
もう1つは敵を早く倒し切る事。大団円に持って行くワケです。でもこれも理想論。敵は残り3人。そして最悪、都さんを乗っ取っている邪神とも戦わなくてはなりません。
そして、もう1つ、別の解決策。
正直オススメできません、が――
「……止むを得ませんね」
仕方がありません。1度くらいなら、黎さんの体なら大丈夫でしょう。
わたくしは転移の魔法陣をコールします。
「フレイ、どこへ?」
行き先は、天空の聖域の東3番地区。
「ついて来てもらいます」
わたくしの家の、前へ。
SIDE:黎
フレイの展開した白と水色の魔法陣の力で、俺は瞬時に精霊界にやって来た。座標特定もせずにこの速さとは、フレイは案外、高位の精霊なのかも知れない。
目の前にドーン! と立っているのは、大きな家。白い壁に青い屋根、2階建てで、誰が見ても豪邸と評する事ができるだろう。
「ここは?」
「わたくしの自宅です」
「え?」
「自宅です、わたくしの」
「お前の?」
「はい、さっきからそう言っています。ちなみに両親から受け継いだとかでは無く、自費で購入した、正真正銘わたくしの私物です」
「……マジで?」
こいつ、何者?
普段の言動からは同人誌好きとポワポワした丁寧語使いという事しか分からんが、もしかしなくても、フレイって……。
「こう見えても、もう5000年以上生きてます。1万超えていたかも知れませんね。少なくとも桜さんよりも年上です」
おばあちゃんって呼んでみます? なんて彼女は冗談めかして言うが、俺は開いた口が塞がらない。こいつ、俺よりも凄まじく年上のクセしてこの性格その他なワケ?
と、その時だった。
「フレイ……!」
「ヒッ!?」
ブワッ! と吹き上がった殺気に、フレイは驚いて飛び上がった。
いつの間にか彼女の背後には、俺の信頼する相方、桜がいた。転移して来たのだろうか。
「さ、桜さん!?」
「貴様、私のいない内に我が主を籠絡しようなどと、良い度胸だな……!」
「そ、そんな気は毛頭無いのですよ!」
「問答無用!」
剣を抜いて斬りかかる桜。フレイは掌に生み出した小型の魔力シールドでそれを防ぐと、続けて繰り出された桜の蹴りを反対側の腕で防御。
盾で桜は殴りかかるが、それを右足で蹴り飛ばし、フレイは距離を取る。
下段を払うように繰り出される桜の蹴りを軽く跳んで回避するフレイ。着地と同時に右ストレートを叩き付け、桜はそれを手首を払う要領で防御。
再び距離を取り、互いに睨み合う。
おお、桜と互角にやり合うか。つーか何故にマジ戦いしてるの?
「セイッ!」
「ハァッ!」
桜の剣と盾、乳白色に光るフレイの手がぶつかり合い、金属音が鳴り響く。2人はかなりの近距離で睨み合ったまま動かなくなった。
(フレイ! 抜け駆けとは、随分と図々しい事をするものだな!)
(桜さんは何時でも黎さんと一緒じゃないですか!)
(私は主君と騎士のスタイルを崩した覚えは無いぞ!)
(わたくしだって今回は黎さんの治療のためにですねぇ!)
(ならば薬だけ持ち出せば良かろう!)
(細かい調合は自宅でないとできないんですよ!)
(薬剤師の私をおいてけぼりか!)
(さっきまでいなかったじゃないですか!)
口元が動いているが、残念ながら聞き取れない。少し距離があるせいか。聴覚を鋭敏にしておかないといくら俺でも小さな音を聞き取る事はできない。
その後暫く睨み合っていたが、どちらとも無く武器をしまった。
「フレイ、信頼して良いのだな?」
「今回は」
「……良かろう」
???
何なんだ、一体?
――フレイ宅
「フレイと桜は薬剤師だったのか?」
「ええ。これも必要になる可能性を考えての事です」
「私は、家の近くに薬草になる草が多くあったからな。自然と詳しくなって、といった感じだ」
フレイは戸棚から取り出した瓶の中身を、桜はそれを計量した物を、それぞれ調合している。薬を作っているのだろうか。
「長い間生きていますと、趣味も多くなってしまいまして。300年くらい前の趣味ですから、結構新しいですよ?」
「そ、そっか……」
フレイ、趣味で医者やってるの? と聞けば。
免許持ってますよ? と返すフレイ。何とも計り知れない女である。
「で、何してるんだ、2人共?」
「見て分からんか? 薬を調合してるんだ」
「わたくしの秘伝のレシピです」
「いや、それは分かるんだが、何故に今? 俺に何か関係あるのか?」
俺を家まで招いて薬を調合する理由が分からない。もしかしたら、別件の何かと並列させてやっているのだろうか?
そう考えたのだが、フレイは呆れた様に肩を竦めた。
「何言ってるんですか。これは黎さん用の薬ですよ」
「俺?」
「はい」
フレイは調合された粉薬を、桜が作った液体に混ぜ込む。
「黎さんは戦い続ける。でも体は既に耐えきれなくなり始めている。だったら、体の方を耐えられるようにするしかありません」
フレイは本当に呆れたといった表情で瓶に入った薬を差し出し、テーブルに置いた。
サイズとしては、風邪薬の瓶よりも小さい。成人男性の小指程度だろう。その中に7~8割程の量の琥珀色の液体が入っている。
「これを飲めば良いのか?」
「はい。ただし」
「ただし?」
「これは劇薬です。常人ならば死んでもおかしくはありません」
これが?
一応薬毒についてある程度知識を持っている身だが、琥珀色のこの液体がそんなに危険だと言うのだろうか?
「薬は色だけでは区別できんだろう」
「ごもっとも」
「先に説明します。これは大昔、まだ天使族や悪魔族といった区切りが無かった頃の時代にあった薬。
当時は戦争が耐えなかったそうです。そんな折に開発されたのがこの薬です。この瓶一杯分、つまり今入っている量を飲めば千人力、いえ伝承によれば十万人分もの力を手に入れる事が可能だそうです」
「十万……」
「ただし、代償は高いです。お金の問題では無く。飲めば全身に激痛が走り、以降一時間は虚脱状態。更にはこれで確実に強化される保証もありません。ハイリスクハイリターンを地で行くのがこの薬なのです」
チャポン、と薬が波打った。
「わたくし達で調整し、強化されない事だけはありえなくしました。ですが――」
「激痛と虚脱状態は残っている、か?」
「はい」
申し訳無さそうにフレイが項垂れる。
彼女の意図は大凡読めた。要するにこの薬で俺の体を強化しておきたいのだろう。これで次の戦いに備えさせ、俺の回復力を底上げすると同時にまだ治っていない肉体の治療を行う。
なら――
「自分から出しておいて何ですが、オススメできる物ではありません。いえ、寧ろ止めるべき物ですね。医学・薬学の体制がハッキリしている今、これはもう毒でしかありませんから」
神妙な顔で話すフレイをよそに、俺は瓶の蓋(コルク製だった。凝ってるね、フレイ)を外し、中の液体を一息に飲んだ。
「そっか(グビッ)」
「ちょ!?」
「主殿!?」
薬を文字通り一飲みにし、嚥下する。コトリ、と瓶をテーブルに置き直す。
「れ、黎さん!? 人の話を聞いてましたか!?」
「ああ。痛みと虚脱だろ?」
「常人ならアウトなレベルなんだぞ!?」
慌てるフレイと桜。
フッ、お前ら何言ってやがる。
「おいおい、忘れてないか? 俺は化物、この体は人間じゃない。
「そ、そういう話では……」
「諦めろ、フレイ。主殿はこういう性格だ」
「よく分かってるじゃねぇの、桜」
「好い加減、付き合いも長くなり始めたからな」
苦笑いする彼女の表情を見て、ああ、彼女には世話になってるんだな、と思う。
と、その時だった。
ドックン!
「ッッッッッッッ!!!!?」
「! 来ましたか!」
「主殿!」
「ッ、大丈夫、だ」
い、痛いッ!? 痛い痛い痛い!?
何だコレ……ッ!?
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?
メッチャクッチャ痛ぇ!?
ドックン!
「主殿、大丈夫か!?」
「だ、大丈夫、収まった……」
今のが、そうか……。
これがフレイが忠告した理由……。俺の死に方がアレじゃなかったら、確実にショック死していただろうな。良くても発狂していた。
す、凄い痛かった……。普通に拷問なんて目じゃ無いレベルだぞ、あれ。
「収まりましたか? 後は1時間程怠いだけですから、もう大丈夫です」
「ああ……」
言われた傍から感じる倦怠感。ううむ、これは誰でも厭だなぁ……。
(主殿)
(どうした、桜? 突然念話で?)
(口を開くのも億劫かと思ってな。参考までに聞くが、どの様な痛みだったのだ?)
どんな感じかって?
そうだな……。
(例えるなら、うーん……。隕石と、機関銃と、地獄の業火と、リニアモーターカーと、レールガンと、天の裁きと、鐘突き棒が同時に絶対零度の猛吹雪と一緒に俺にクリーンヒット。なおかつ、背中から真っ赤に熱せられた大樹の様に太い鋼の槍が何十本も貫通。更に体の内側で爆弾が無限に爆発しつつ、金属片が延々と乱反射して、最終的に五臓六腑が木端微塵に破裂してるってトコか)
(想像を絶するな)
(まあ、簡単に言えば、巨大な木材裁断機に巻き込まれたと思えば)
(全身ズタズタだな!?)
ダメージが体にフィードバックする暇も無く痛みは収まったものの、もう数秒続いていたら確実にヤバかった。俺でこうなんだから、常人が飲めばどうなるか、想像に難くないだろう。
ま、それは兎も角。
(フレイ、ありがとう)
(いえいえ、善意ですから)
(それでも、だ。お礼と言ってはなんだが、俺にも何かできないだろうか?)
念話での俺の言葉に、フレイは少し唸った後――
「では、手伝ってほしい事があります」
俺にとある手伝いを要求した。
――現在
で、こうなったというワケだ。
フレイはどうやらその界隈では有名な同人誌作家らしく、この家もそれで稼いだお金で買ったらしい。
彼女曰く、「青空焔を知らない人はもぐりなのです!」だそうだ。
それともう1つ、知らなかった事が。
「桜」
「うぬ?」
「お前、フレイのアシさんだったんだな」
俺の横では視線を動かさずにベタ塗りをしている桜がいた。
「言ってなかったな、そう言えば。フレイとはそこそこ長い付き合いでな。2年程前から彼女のアシスタントに入っている」
「桜さんが来てから、作業が大分楽になりました。これまでは一人でやっていたもので」
ふーん、それで時々いなくなっていたのね。
閑話休題。俺が今手伝っている同人誌。ぶっちゃけると、R18だ。つまり『18歳未満はお断り。見ちゃダメです』なヤツ。勿論エロい方の。
自分で描いているワケだから、これを見て興奮云々はしないが――
「フレイ」
「はい、何でしょう?」
「お前、意外と……。いや、何でも無い」
そうですか、とフレイは作業に戻る。
同人誌の内容はSMもの。しかもかなりハードで男1人に女2人。
フレイの描いている表紙を参考に考えると、女性は片方が茶髪蒼眼、もう片方が金髪紅眼。両方ともロングヘア。表紙では茶髪女性がサイドポニー、金髪女性が髪を終わりの方で括っている。
男の方は、顔は中性的。大きめの丸い眼鏡をかけており、優しそうな顔。長い金髪を首の後ろの方で、緑のリボンを使って纏めている。
ストーリーをざっくり紹介すると、酔った拍子に3人は関係を持ち、金髪女性の持つマゾの性癖に茶髪女性も引きずられ、それに合わせる形で眼鏡男性がサドになっていく、といった感じだ。タイトルに3の番号が振ってある所を見ると、どうやらシリーズ物の3巻目らしい。
「フフフ、これでまた大儲けなのです」
参考までに見た前作・前々作はソフトだったが、今回はかなりハード。アダルトグッズや媚薬、三角木馬に鞭、縄……。しかもプレイを受けている女性2人がの顔が蕩けていたり、俗に言うアヘ顔を曝したりしてる所を見ると、2人とも嫌々では無く、寧ろ嬉々としてこのプレイを受け入れているようだ。俺の担当しているページでは眼鏡の男性を「ご主人様」なんて呼んでいる。
隣の桜は最後の方のページを担当しているらしく、寝入った女性2人に布団をかぶせている男性が描かれている。下の方のコマでは自分がどんどんサドになっていく事に困惑している描写があった。
うーん、自分の価値観倫理観が崩れそうだな、エロ漫画家のアシスタントって。
後で桜にその事を相談してみると、
「私も最初はそうだった。が、今はそうでも無い。所詮は紙の上での出来事。現実では無い。三次元と二次元に分けて考えるだけの知能があれば、その考え方を手にするのはそう遠くないだろう」
だそうだ。
流石俺より長生きしてるだけはあるね。
そう返したら、
「女性に年齢関連の事を言うな!」
と殴られた。
籠手が付いていたままだったから、メッチャ痛かった。
どうでも良いが、籠手をしたままでは作業しにくくないのだろうか?
――3時間後
「終わりました!」
「お疲れ様」
「うむ」
漸く、同人誌を描き終わった。ちょっと腕が痛いが、大丈夫。
あれからもう2冊、同人誌(勿論R18だ)を描いた。
片方の内容は黒い短髪の少年(鈍感はデフォルト)に5人の少女が思いを寄せていたが、互いに親友同士でもあったので、上手く動けずにいた。しかしある日、とうとうその膠着が解けてしまい、5人一斉に少年に襲いかかった(当然性的な意味で)。
黒髪ポニテの侍少女、金髪碧眼のロール髪お嬢様、スレンダーツインテールの活発ガール、金髪三つ編みのボクッ娘、銀髪眼帯オッドアイの軍人娘といった多種多様なヒロインズに、主人公が流れに流されていく、というストーリー。個人的には続編があったら気になるところである。
もう片方はやっぱりハーレムもの。フレイの最近のブームなのだろうか? 洋菓子店、というよりケーキ屋の少年に思いを寄せた3人の少女と~、というやつ。ストーリーはさっきのとおよそ同じ。教会住まいのツンデレ少女、金髪幼児体型お嬢様、寡黙な天才猫系ガールというラインナップ。どうやら少年は3人から事前に告白されていたらしく、3人の内の誰かを選べずに四苦八苦していたらしい。それを見かねた3人は、いっそ後腐れ無いように、という事で……。
これで本当に後腐れが無いのかどうか、甚だ疑問なのだが、まあ、当事者4人が幸せそうなので良しとしましょう。こっちも続編が気になる。
さて、後は印刷所なりに持って行くなり、どこぞに委託販売するのが常らしいが……。
フレイはどこか憂鬱な表情だ。
「ハァ……」
溜め息まで吐く始末。一体どうしたのだろうか?
「フレイ?」
「あ、いえ、ちょっと……」
「乗りかかった船だ、相談に乗るぞ」
「そうですか……。うーん、でしたら実際に見に来て頂いた方が良いですね」
そう言うと、フレイは俺と桜をどこかへ案内し始めた。
家の外では、乾いた風が吹いていた。
歩く事30分。着いた場所は小さなプレハブ小屋。看板を見ると、印刷所のようだ。
「ここが、わたくしが普段贔屓にしている印刷所なのです。なのですが……」
「何か問題が?」
「まあ、入れば分かるぞ、主殿」
ガラガラガラッ! と引き戸を開けると、中には―――
「グォオオオオオオオオオ、ガァアアアアアア……」
男が寝ていた。
赤茶色の、巨大な目玉のあしらわれた鎧。三又の槍。こいつは確か……。
「『死の沈黙の天使ドマ』?」
「はい」
死の沈黙の天使ドマ(通常モンスター)
星5
闇属性/天使族
ATK 1600/DEF 1400
死を司る天使。
こいつに睨まれたら、死から逃れられない。
唯一の闇属性・天使族の通常モンスターだ。初期は闇属性の天使族なんて画期的と思っていたが、現在は“堕天使”などの登場で、光属性に続いて多い闇属性の天使族というカテゴリーに収まっている。
印刷所の床に大の字になって寝ている『ドマ』は、右手に濁酒の大きな徳利を持っている。大鼾をかきながら寝ているところを見ると、大爆睡真っ最中の様だ。
「で、フレイ。問題点を話してほしい。この状況からじゃ推測がいくらでも立つ」
「あ、はい。実は――」
SIDE:フレイ
あれは今から4日前の事です。出来上がった原稿を印刷してもらって、いつも通り帰ろうと扉の外に出た時でした……。
『ざっけんじゃねぇぞゴラァ!』
いきなり聞こえた怒鳴り声。驚いたわたくしは慌てて印刷所に戻ったのです。
「テメェ、オレの原稿を印刷できねぇっつーのかよ! ヒック!」
「さっきからそう言ってるじゃないか!」
そこではドマさんと、印刷所を経営している『光神テテュス』さんが言い合いをしていました。
光神テテュス(効果モンスター)
星5
光属性/天使族
ATK 2400/DEF 1800
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分がカードをドローした時、そのカードが天使族モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。
「僕は来る者拒まず去る者追わずの精神でここを営業しているけどねぇ!」
「だったら!」
「だからと言って、君の原稿を刷るワケにはいかないんだよ!」
喧々諤々と言い合いをしている2人でしたが、いつの間にか掴み合いに発展しかけていました。流石に見かねて、わたくしは2人の間に入り込みます。
「ストップです!」
「ああ!?」
「フレイちゃん!」
ドマさんの方は怒り、テテュスさんの方は安堵と驚きに表情を浮かべます。
取り敢えず場を収め事情を聞いたわたくしは、呆れてしまいました。
「ドマさん、貴方いくら何でもそれはないですよ」
「あんだと!?」
「わたくし達は原稿を刷ってもらっているのです。そして『テテュス』さんはそれでお金を貰っている。持ちつ持たれつの関係だと言うのに、ルールを守らない方が悪いのです」
ドマさんの問題は至極単純。こちらの印刷所の規定の原稿用紙を使用していない事。そしてトーンの問題でした。
規定の原稿用紙を使用しないと原稿の絵や文字が切れてしまいます。
もっとも、これは個人の責任になるので今回はあまり問題になっていません。
問題なのはトーンの貼り方です。重ね貼りは勿論の事、しっかりと貼られていない場合、トーンが剥がれてしまい印刷機械の方に問題が出来てしまいます(わたくしはデジタルを導入しているので無問題です。トーンは使っても印刷してもらうのはデジタルでコピーしたものなのです)。これは印刷の品質を維持できない原因となってしまいます。わたくし達作家にとっても、印刷する方々にとっても大問題です。
ドマさんの原稿を見ましたが、ハッキリ言ってダメダメです。絵やストーリーがでは無く。
ベタは薄いしトーンはメチャクチャ。ところどころ剥がれてもいます。これではとてもではありませんが、印刷なんてできたものではありません。
事情を全て理解し、印刷できない理由も全てドマさんに話したわたくしは、厳然たる事実を突き付けます。
「やり直し、というヤツです。とても印刷できたものでは無いのですよ」
「フレイちゃんの言う通りだ。別に君自身を拒否しているワケじゃない。トーンとベタをしっかりとやってくれば、いくらでも印刷はするよ」
普通に良識のある方なら、これで退いてくれるものなのですが……。
「納得いかねぇ!」
ドマさんは退いてくれませんでした。
今思えば、彼はお酒臭かったです。酔っ払っていたのでしょう、きっと。
彼は左腕を突き出し、デュエルディスクを装着。デュエルで決着をつけよう、という事なのでしょう。
「畜生共が、デュエルだ! オレが勝ったら印刷してもらうぜぇ! ヒック!」
まあ何という無茶苦茶な。と思いましたが、逆にチャンスです。
「ドマさん、君ねぇ」
「構いませんよ、テテュスさん」
「フレイちゃん?」
「大丈夫です。その代わりなのですが、ドマさん。わたくしが勝ったら諦めてもらいますよ」
「おう! かかって来いや、小娘がぁ! ウィック!」
こうしてわたくしもディスクを装備。デュエルを開始したのです。
うーん、これでもわたくしは結構長生きなのですが……。わたくしよりも年上の方は両手で数えられるくらいですし、同い年もそれくらいなので、ほぼ確実に彼の方がわたくしよりも年下だと思うのですけど……。まあ、デュエルに年齢は関係ありませんね。
そして……。
「――でダイレクトアタックです!」
「ぐぁああああああああっ!」
死と沈黙の天使ドマ:LP 50→0
フレイ:WIN
死と沈黙の天使ドマ:LOSE
わたくしはキチンと勝ちました。
ですが……。
「ち、チクショウ! 納得行くかよ! ヒック! オレァ印刷してくれるまでここを動かねぇぞゴラァ!」
有ろう事か、デュエル中も濁酒をガブ飲みしていたドマさんは負けた事を認めなかったのです。
そしてそのまま印刷所に居座り今に至る、という事です。
SIDE:黎
成程ね。
フレイから事情を聞いた俺は頭を抱えた。
このアホ天使族、居座るだけでは無く、やって来た他の客にまで絡んでいるらしい。営業妨害じゃねぇか、確実に。
つーか、何であの徳利の中身無くならないんだ? こいつ寝ながら飲んでるぞ?
その疑問を呈すると、フレイがそれに答えた。
「彼の手にしている徳利は“酒継ぎ丸”といいます。一度中に一定量のお酒を入れると、暫くの間は無限にお酒を提供してくれる、酒豪にとっては感涙もののマジックアイテムなのです」
「加えて、どうやら徳利の中身は養命酒の一種らしい」
「養命酒って、滋養強壮のか?」
「ああ。どうやら相当強いものらしくてな。いくら精霊が人間よりも少ない栄養やカロリーで動けるとは言え、4日も酒だけで居座れるワケが無いというのに。このままでは当分の間、ここに居座り続けるだろうな」
本当に迷惑な話だ事!?
「諸事情ありまして、わたくしにとってはここ以外で印刷するというのは考えられないのです」
フレイは本当に困ったような表情を浮かべている。
理由は聞かない。プライベートに踏み込むだけの度胸も資格も無いからだ。
さて、フレイには薬の恩もあるし……。
俺は寝ているドマの首を掴むと、アイコンタクトで桜に印刷所の引き戸を開けてもらった。
「お、ら、よっと!」
「グゴ、ガッ!?」
そしてそのまま、投石の容量で扉の外へ放り投げる。ゴロゴロと地面を転がり、目を回すドマ。合わない焦点でこっちを睨んで来るが、正直怖くも何ともない。
「だ、誰だ……! って、フレイヤ! テメェまたオレの邪魔をしに来たか!」
「お黙りなさいです!」
起きたドマが怒鳴るが、フレイはそれを一喝して黙らせる。
怯んだ一瞬を狙って、俺がドマの徳利を奪った。
「あ、オレの酒が! テメェ人間!」
「返して欲しくば、俺とデュエルだ、ドマ」
「ンだと?」
「事情はフレイから聞いた。デュエルに負けたというのに、酒に逃げてここに居座るその根性、許すワケにはいかねぇ。俺が勝ったら今度こそここから退去してもらう。逆にお前が勝ったら、原稿を印刷。どうだ? 受けないのなら、徳利は返さない」
「チッ、良いだろう! ヒック! 人間が精霊であるオレに敵うと思うなよ!」
「御託は結構。グダグダ言わずにかかって来い!」
展開されるデュエルディスクがレーンに沿って動き、ライフカウンターがONになる。
来いよ。その酒に漬かった頭、正常に戻してやる!
『デュエル!』
黎VS死の沈黙の天使ドマ
LP 4000 VS LP 4000
「先攻は貰ったぁ! オレのターン、ドロー!」
さて、あの酔っ払いはどう戦うかな?
「オレは『切り込み隊長』を召喚!」
切り込み隊長:ATK 1200
先手はそいつか。
二種類の剣を両手に持つ、金髪の中年騎士。あっちこっちで苦労している、武勇伝を持つ勇士だ。
「『切り込み隊長』の効果発動! ヒック! 召喚に成功した時、手札のレベル4以下のモンスターを1体特殊召喚する! オレは『デーモン・ソルジャー』を特殊召喚!」
デーモン・ソルジャー:ATK 1900
続いて紫の肌の、緑のマントを羽織った悪魔。ヤギのように曲がった角が特徴的だ。
切り込み隊長(効果モンスター)
星3
地属性/戦士族
ATK 1200/DEF 400
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は表側表示で存在する他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
デーモン・ソルジャー(通常モンスター)
星4
闇属性/悪魔族
ATK 1900/DEF 1500
デーモンの中でも精鋭だけを集めた部隊に所属する戦闘のエキスパート。
与えられた任務を確実にこなす事で有名。
「更に手札から魔法カード『波動共鳴』を発動! 場のモンスター1体のレベルを、エンドフェイズまで4にする!」
波動共鳴
【通常魔法】
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターのレベルはエンドフェイズまで4になる。
「オレは『切り込み隊長』を選択して、レベルを3から4にする!」
切り込み隊長:☆3→4
「レベル4が、2体……」
「早速登場ですか……!」
場に同じレベルのモンスターを揃えたって事は、やる事は限られて来る。1度デュエルをした事のあるフレイの反応から見ても、間違い無いだろう。
「オレはレベル4の『切り込み隊長』と『デーモン・ソルジャー』をオーバーレイ!」
やはりそう来るか!
「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」
金髪の戦士が橙色、マントを羽織った悪魔が紫色の光に変わり、赤く輝く銀河の渦の中へと飛び込む。
☆4×☆4=★4
「エクシーズ召喚! 現れろ、『インヴェルズ・ローチ』!」
『ギギギギギッ!』
インヴェルズ・ローチ(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
闇属性/悪魔族
ATK 1900/DEF 0
レベル4モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、レベル5以上のモンスターの特殊召喚を無効にし破壊する。
インヴェルズ・ローチ:ATK 1900
銀河の爆発に合わせて現れる、レイピアを構える巨大な虫の戦士。全体的な印象はゴキブリみたいな節足動物が近いだろう。
成程、こいつか。
「ヒック! どうだ、これがエクシーズ召喚だぜ! こいつは同じレベルのモンスターを」
「説明はいらん。『インヴェルズ・ローチ』はオーバーレイ・ユニットを1つ使って、レベル5以上のモンスターの特殊召喚を無効にできる。
さっさとターンを進めろ」
「ウィイック! そりゃ悪かったな。手札から永続魔法『凡骨の維持』を発動! ドローしたカードが通常モンスターなら、それを相手に見せる事でもう1枚ドローできるぜ! これでターンエンド!」
凡骨の維持
【永続魔法】
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。
死の沈黙の天使ドマ:LP 4000
手札:2枚
フィールド
:インヴェルズ・ローチ(ATK 1900・ORU:2)
:凡骨の維持(永続魔法)
「俺のターンだ」
『凡骨の維持』、そして『デーモン・ソルジャー』って事は、こいつのデッキは通常モンスターでハンドアドバンテージを稼ぐタイプか。
問題無い。十分勝てる相手だ。
「俺は『G・S ランチャー・トータス』を守備表示で召喚!」
G・S ランチャー・トータス(効果モンスター)(オリジナル)
星4
地属性/岩石族
ATK 100/DEF 2200
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、1ターンに1度、デッキから岩石族モンスターを1体墓地へ送る事で、相手に500ポイントのダメージを与える事ができる。
G・S ランチャー・トータス:DEF 2200
俺が最初に呼び出すのは、背中に砲門を背負った陸亀。
ズキン!
っ!? 何だ今の痛み……?
ええい、まずは、先制攻撃だ!
「『ランチャー・トータス』の効果発動! 1ターンに1度、デッキから岩石族モンスターを1体墓地に送り、相手に500ポイントのダメージを与える! シュート!」
「グアッ!?」
死の沈黙の天使ドマ:LP 4000→3500
「カードを1枚セットして、ターンエンド。目論見が外れたな?」
「こ、のぉ!」
黎:LP 4000
手札:4枚
フィールド
:G・S ランチャー・トータス(DEF 2200)
:伏せカード1枚
「オレのターンだ! 引いたカードは通常モンスターじゃ無ぇから『凡骨の維持』は使えねぇ! だがこれで突破できるぜ! 装備魔法『デーモンの斧』を発動!」
デーモンの斧
【装備魔法】
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事でこのカードをデッキの一番上に戻す。
「こいつを『インヴェルズ・ローチ』に装備させて、攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
インヴェルズ・ローチ:ATK 1900→2900
「ハハハハ、攻撃力が上回ったトコでバトルだぜ! ヒック! 『インヴェルズ・ローチ』で『G・S ランチャー・トータス』を攻撃!」
人の頭蓋骨をあしらった斧で殴りかかる巨大な虫の戦士。
ったく、この酔っ払いが……!
「眠いデュエルをさせてくれるなよ! 罠発動、『奇策』! 手札のモンスターを1枚捨てて、その攻撃力分、相手モンスターの攻撃力を下げる!」
奇策
【通常罠】
手札からモンスター1体を捨て、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力は、捨てたモンスターの元々の攻撃力分ダウンする。
「俺が選択するのは『砂塵の騎士』! 攻撃力は1400、よって『インヴェルズ・ローチ』の攻撃力は1500ポイントに落ちる!」
「ンだとぉ!?」
砂塵の騎士(効果モンスター)
星4
地属性/戦士族
ATK 1400/DEF 1200
リバース:デッキから地属性モンスター1体を墓地へ送る。
インヴェルズ・ローチ:ATK 2900→1500
振り下ろされた斧に反応し、大砲を背負った陸亀が首と手足を引っ込める。甲羅に斧の刃が弾かれ、飛び散った金属片が『ドマ』に当たった。
死の沈黙の天使ドマ:LP 3500→2800
「クッ、オレは『ホーリーエルフ』を守備表示で召喚!」
ホーリーエルフ:DEF 2000
聖なる呪詛を唱えながら、膝をついた状態で空色の肌のエルフが現れる。金髪が風に流れ、緑のローブが揺れる。
「ターンエンド!」
死の沈黙の天使ドマ:LP 2800
手札:2枚
フィールド
:インヴェルズ・ローチ(ATK 1500・ORU:2)、ホーリーエルフ(DEF 2000)
:凡骨の維持(永続魔法)
「俺のターン、ドロー」
はぁ、この程度かよ……。
がっかりさせてくれるぜ!
「俺は『G・S ターボ・バッファロー』を召喚!」
『ブモォオオオオッ!』
G・S ターボ・バッファロー:ATK 1700
蹄を鳴らし、ジェットノズルを背負った水牛が現れる。
ズキンッ!
っ、また……!
「『ランチャー・トータス』の効果を発動。デッキから岩石族モンスターを1体墓地に送り、相手に500ダメージを与える!」
「ぬっ!」
死の沈黙の天使ドマ:LP 2800→2300
再度装填された弾丸で撃ち抜かれる『ドマ』。このまま押し切る!
「バトルだ! 『ターボ・バッファロー』で『インヴェルズ・ローチ』を攻撃! “バイソン・タックル”!」
ジェットエンジンを噴火させ、鋭い角で黄色の虫を貫く水牛。衝撃はそこから更に背後の『ドマ』へと伝わる。
「ぐっ! ヒック!」
死の沈黙の天使ドマ:LP 1900→1300
「そして『ターボ・バッファロー』の効果を発動! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、相手の手札を1枚ランダムに捨てさせ、カードを1枚ドローできる」
G・S ターボ・バッファロー(効果モンスター)(オリジナル)
星4
地属性/獣族
ATK 1700/DEF 1100
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した時、相手はランダムに1枚手札を墓地に送る。
この効果が成功した時、デッキからカードを1枚ドローできる。
「メインフェイズ2に移る。俺はレベル4の『ランチャー・トータス』と『ターボ・バッファロー』をオーバーレイ!」
『ガァッ!』
『モーッ!』
「2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」
☆4×☆4=★4
渦に飛び込む2色の光を見届けてから、俺はエクストラデッキのカードに手を伸ばす。
そして目的の“G・S”のカードを手に取って―――
ズッギィィィ!
っ! また……!
何なんだ、さっきから走るこの痛みは。
チッ、無茶をする時じゃねぇか。そう思った俺はそのカードをホルダーに戻し、別のカード、“G・S”では無い1枚を取り出す。こっちは痛みを感じなかった。
「エクシーズ召喚! 『No.39希望皇ホープ』!」
『ホォオオオォォォオォォプッ!』
No.39希望皇ホープ:ATK 2500
No.39希望皇ホープ(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
光属性/戦士族
ATK 2500/DEF 2000
レベル4モンスター×2
自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
そのモンスターの攻撃を無効にする。
このカードがエクシーズ素材の無い状態で攻撃対象に選択された時、このカードを破壊する。
自身の名前を叫びながら、白と金の鎧を着た騎士が現れる。
「攻撃力2500をメイン2でだと……? ヒック」
訝しげな顔をする『ドマ』。まあそうだろう。攻撃力差が1400もあるんだ、メイン1で出していれば、『ドマ』のライフを500にまで削れた。
さて、ここであの痛みに気付かれちゃいけない。精神的な優位を取られたら、この酔っ払いは絶対に調子に乗るからな。ハッタリをかますべきだ。
「1ターンの猶予だ。次の俺のターンまでにどうにかできないんだったら、お前の負けだ」
「グッ、この、クソガキ……ッ」
「そのクソガキに負けかけてるのはどこのどいつだ? カードを2枚セットし、これでターン終了」
黎:LP 4000
手札:2枚
フィールド
:No.39希望皇ホープ(ATK 2500・ORU:2)
:伏せカード2枚
ギリリ、とドマが歯軋りし、俺を睨む。
「悔しいか?」
「あ?」
「人間の俺に見下されて悔しいかって聞いてるんだ」
「…………」
「分かるか、酔っ払い。酒に逃げてた自分の弱さが。敗北を認めず、子供の様に駄々をこねていた自分の矮小さが理解できるか?」
「て、テメェ!」
「今の、自分勝手で他人を慮らないお前じゃ、俺には勝てない。お前のデュエルの本質を、思い出せ」
「っ!」
俺の言葉に、あいつの目が大きく開いた。
どうやら、目が覚めたらしいな。
「チッ、言われねえでも分かってらぁ! オレのターン、ドロー!」
さあ、見せてみな、テメェの本気を!
「オレは『凡骨の維持』の効果を発動! ドローした通常モンスターカードを相手に見せて、カードを1枚追加でドロー! 引いたカードは通常モンスターの『ブラッド・ヴォルス』! ドロー! 『セイバーザウルス』! ドロー! 『ラビードラゴン』! ドロー! 『ヴェルズ・ヘリオロープ』! ドロー! 『アレキサンドライドラゴン』! ドロー! 『シーザリオン』! ドロー! 『ヴェルズ・ヘリオロープ』! ドロー! 『ジェムナイト・サフィア』! ドロー! 『バニーラ』! ドロー! 『異次元トレーナー』! ドロー! 『
おお、何枚引くつもりなんだ……?
驚異的な速さでカードを引いていく『ドマ』。やがて目的のカードが来たのか、それとも通常モンスター以外が来たのか、ドローは止まった。
「魔法カード『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスターを除外する! 除外するのは『タルワール・デーモン』! 行くぞ! 魔法カード『最終戦争』! 手札を5枚捨てて、場のカードを全て破壊する!」
「何!?」
最終戦争
【通常魔法】
手札を5枚捨てて発動する。
フィールド上に存在するカードを全て破壊する。
ドマのカードから放たれる眩い閃光。その光に当たった瞬間、断末魔の悲鳴も無く俺の場のカードは跡形も無く消滅。伏せておいた『ミラーフォース』と『奈落の落とし穴』も吹き飛ばされてしまった。
「クッ!」
「更にオレは『ファントム・オブ・カオス』を召喚!」
ファントム・オブ・カオス:ATK 0
『ドマ』が呼び出したのは、黒い霧状のモンスター。実体を持たず、眠れるモンスターをコピーする、影そのものだ。
「『ファントム・オブ・カオス』のモンスター効果発動! 1ターンに1度、墓地のモンスターを1体除外し、そのモンスターの名前、攻撃力、効果をコピーする!」
ファントム・オブ・カオス(効果モンスター)
星4
闇属性/悪魔族
ATK 0/DEF 0
自分の墓地に存在する効果モンスター1体を選択し、ゲームから除外する事ができる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、このカードはエンドフェイズ時まで選択したモンスターと同名カードとして扱い、選択したモンスターと同じ攻撃力とモンスター効果を得る。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
このモンスターの戦闘によって発生する相手プレイヤーへの戦闘ダメージは0になる。
「墓地の『インヴェルズ・ローチ』をゲームから除外し、『ファントム・オブ・カオス』はエンドフェイズまで『インヴェルズ・ローチ』として扱う!」
ファントム・オブ・カオス→インヴェルズ・ローチ(ファントム・オブ・カオス)
半透明の黄色の虫の戦士が影の中へと溶け込み、影がその姿を真似する。見た目だけは同じの、真っ黒なモンスターが生み出された。
さて、どうする? 『ファントム・オブ・カオス』は名前はコピーできても種族や属性、カードの分類はコピーできない。オーバーレイ・ユニットが無いから効果を使う事はできないし、増やす事もできないぞ?
「続いて手札から魔法カード『黙する死者』を発動! 墓地の通常モンスターを1体、守備表示で復活させる! 蘇れ『ヴェルズ・ヘリオロープ』!」
『オォォォォ……』
ヴェルズ・ヘリオロープ:DEF 650
ヴェルズ・ヘリオロープ(通常モンスター)
星4
闇属性/岩石族
ATK 1950/DEF 650
ルメトモ ヲンエウユシ ツメハ イカハ ンネヤジルナウコウス
ノズルエヴンイ イシマタノラレワ ルナクアヤジ テシニイスンユジ
恐らく『最終戦争』で捨てたカードが噴き出す闇の中から現れる、黒い大剣。それを掴むのは、緑と黒の鎧に包まれた大男だった。フレイバーテキストが逆から読まないと意味を持たない、珍しいモンスターである。
ん? ヴェルズが、2体……?
っ! まさか!?
「レベル4の『インヴェルズ・ローチ』として扱う『ファントム・オブ・カオス』と、『ヴェルズ・ヘリオロープ』でオーバーレイ!」
『フゥオォォォォッ!』
『ギギギギギギギッ!』
「2体の“ヴェルズ”モンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!」
虫を模した影が黒、緑と黒の鎧の剣士が紫の光に代わって上空へと飛び上がる。二筋の光は、螺旋を描きながら、天空に生まれた赤色の渦の中へと飛び込んだ。
☆4×☆4=★4
「エクシーズ召喚! 雄叫びを上げろ! 『ヴェルズ・オピオン』!」
『グゴォオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
銀河の渦の中から生まれるのは、闇の中へと堕ちて行った『氷結界の龍 グングニール』。漆黒の鎧を身に纏い、氷の翼をはためかせて咆哮を響かせる。その轟音は、周囲の木々をビリビリと揺らした。
ヴェルズ・オピオン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
闇属性/ドラゴン族
ATK 2550/DEF 1650
「ヴェルズ」と名のついたレベル4モンスター×2
エクシーズ素材を持っているこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
デッキから「侵略の」と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える。
ヴェルズ・オピオン:ATK 2550
「ここで、こいつか……!」
厄介なモンスターが出て来やがったな。
こいつは『インヴェルズ・ローチ』とは違って特殊召喚を“無効にする”では無く、特殊召喚“できない”フィールドを作り上げる。かなり厄介な存在だ。
しかももし、こいつの手札に『決戦の火蓋』が補充されていた場合、非常に危険な状況が俺のターンに生まれる事になる。
勿論、『ミラーフォース』みたいなカードでも十分アウトなんだが。
決戦の火蓋
【永続罠】
自分の墓地のモンスターカード1枚をゲームから除外する事で、手札から通常モンスター1体を通常召喚する事ができる。
この効果は自分ターンのメインフェイズ時にのみ発動する事ができる。
「バトルだ! 『ヴェルズ・オピオン』でダイレクトアタック! “ダーク・アイシクル・バースト”ォ!」
っとと、モノローグも良いが、こっちの集中を疎かにしちゃいけねぇな!
「アマい! 手札の『速攻のかかし』の効果発動! ダイレクトアタック宣言時、このカードを手札から墓地に送り、攻撃を無効にしてバトルフェイズを強制終了する!」
速攻のかかし(効果モンスター)
星1
地属性/機械族
ATK 0/DEF 0
相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てて発動する。
その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
放たれた黒い氷の槍を、機械仕掛けの案山子で受け止める。『バトル・フェーダー』とこいつには、よくお世話になるな。
「チ……ッ」
「そう簡単には通さねぇっての」
「みてぇだな。オレは魔法カード『封印の黄金櫃』を発動! 自分のデッキからカードを1枚ゲームから除外し、2ターン後のオレのスタンバイフェイズにそのカードを手札に加える! オレは『決戦の火蓋』を選択!」
封印の黄金櫃
【通常魔法】
自分のデッキからカードを1枚選択し、ゲームから除外する。
発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にそのカードを手札に加える。
む、サーチして来たか。
だが、ある意味助かった。これなら奴があれを発動するのに実質3ターンかかる。それまではまだ大量展開は無いという事だ。
「そしてエンドフェイズ、手札が6枚になるようにカードを捨てる! ターンエンドだ!」
死の沈黙の天使ドマ:LP 2300
手札:6枚
フィールド
:ヴェルズ・オピオン(ATK 2550・ORU:2)
:凡骨の意地(永続魔法)
「なんだ、やればできるでねぇの」
「フン、ざっとこんなモンよ」
こいつのデッキは【ヴェルズ】ってところか。しかも通常モンスターで固めてあり、同名カードが何枚もある所を見ると『レスキューラビット』を利用した【兎ヴェルズ】や【兎ラギア】の可能性もある。
レスキューラビット(効果モンスター)
星4
地属性/獣族
ATK 300/DEF 100
このカードはデッキから特殊召喚する事はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分のデッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
手札は1枚。レベル7の“G・S”だ。
自身の効果で特殊召喚できるが、『ヴェルズ・オピオン』の効果でそれも封じられている。
次のドローが勝負だ。
もしも壁となるモンスターを場に出せなければ、次のターンの攻撃で俺は負ける。
「俺のターン……」
それに、さっき手札に握っている“G・S”のカードを右手で軽く触れた時、鈍い痛みがまた走った。
最初は薬の副作用かとも思ったが、違う。フレイがそれを隠すメリットは無い。
『速攻のかかし』を出す時、偶然触れただけでそれだ。もし、俺の考えている事が事実である場合、もう俺には時間が多くは残されてはいない事になる。
「ドロー!」
だから、もう護衛との戦い以外では“S”のカードは使えないだろう。
もっとも人間相手なら基本的には使わないがな。何せ精霊の下賜したカード、強力な効果を持つ。これをセルフで縛らないといけないと。
面白い。
他の皆と同じ条件で戦う。生前の俺なら考えられなかった事だ。
常に相手よりも優位に。
卑怯・卑劣は敗者の戯言。勝っていくらの殺生世界。
死んだら負け。負けたら死。
でも、闇のゲームじゃないデュエルは、負けても死なない。
敗北を恐れない事なんて、いつ以来だろうな!
「俺は! 墓地に存在する『G・S サンド・アークバード』のモンスター効果を発動!」
ズギィィッ!
ガ……、ぐ……っ!
耐えろ俺……、耐えろ……っ! 死んでも、耐えろっ!
「そいつはデッキから墓地に送ったカードか!」
「自分フィールドにモンスターがいないメインフェイズ1の開始時、墓地のこのカードを除外! 墓地から“G・S”を特殊召喚する! 蘇れ、『ターボ・バッファロー』!」
『ブモモモモ!』
G・S ターボ・バッファロー:ATK 1700
「ただし効果は……、無効になるっ! 続けて手札から『ゴゴゴゴーレム』を召喚!」
『ゴゴゴ~!』
ゴゴゴゴーレム:ATK 1800
G・S サンド・アークバード(効果モンスター)(オリジナル)
星4
地属性/鳥獣族
ATK 1800/DEF 1800
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、メインフェイズ1の開始時に発動できる。
このカードを墓地から除外し、墓地から「G・S サンド・アークバード」以外の「G・S」モンスター1体を、効果を無効にして特殊召喚する。
(2):このカードが破壊された時に発動できる。
デッキから「G・S サンド・Aバード」を含む「G・S」モンスターを2体墓地に送る。
「お前もレベル4が2体か!」
くっそ、全身の痛みがヒデェ。俺でさえ意識を保ってデュエルするのがやっとだ。
「俺はレベル4の『ターボ・バッファロー』と『ゴゴゴゴーレム』で、オーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
☆4×☆4=★4
「漆黒の闇より」
だが、それがどうした?
「愚鈍なる力に抗う、反逆の牙!」
俺が痛い目を見て敵を倒せるなら……。
「今、降臨せよ!」
ああ、いくらでも俺は、この肉体で代償を払ってやる!
「エクシーズ召喚! 現れろ! 『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』!」
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK 2500
光の柱から、一匹のドラゴンが生まれる。
濃紺と紫を混ぜた体表に、逆鱗で作られた牙。シャープなフォルムがある種の美しさを醸し出している。
「攻撃力2500なら、『ヴェルズ・オピオン』の敵じゃねぇ!」
「俺は『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』のモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを2つ使う事で、相手モンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分だけ『ダーク・リベリオン』の攻撃力をアップさせる! “トリーズン・ディスチャージ”!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
闇属性/ドラゴン族
ATK 2500/DEF 2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。
ヴェルズ・オピオン:ATK 2550→1275
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン:ATK 2500→3775
「こ、攻撃力3775だと!?」
「バトルだ! 行け、『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』! その牙で闇を貫け!」
攻撃力を半分奪うこの効果は非常に有効だ。実質、どんなモンスターにも勝って2500ダメージを与える効果と言って良い。
さぁ、少々長引いたがこれでトドメだ!
「“反逆のライトニング・ディスオベイ”!」
輝く漆黒の龍の牙が、氷の翼を持つ黒龍の胴体を貫く。
鋭い一撃を以て命を刈り取った一撃は大爆発を巻き起こし、ドマのライフを削り尽くした。
「ぐぉおああああああああああああああああっ!」
死と沈黙の天使ドマ:LP 2300→0
黎:WIN
死と沈黙の天使ドマ:LOSE
戦いが終わり、朝日をバックに、俺とドマは向き合い直す。
「気分は、どうだ?」
「ハッ、悪くねぇや」
ニッ、とドマは不敵に笑った。
「オレの負けだ。お前の言う通り、最近は酒に逃げていた。上手く行かねぇ事が多すぎて、最低の事をしちまった」
すまなかった、と彼はテテュスとフレイに頭を下げた。
「許してほしいとは言わない。2人以外にも色んな奴に迷惑かけた。これから覚えている限りの奴に謝りに行く。同人誌も書き直す」
「そ、そうですか」
「ドマさん……」
「もう1度言う。オレが悪かった」
暫く頭を下げていたドマだったが、
「顔を上げて下さい」
そのテテュスの言葉に、頭を下げるのを止めた。
「今度は、ちゃんと規定に沿った原稿を持って来て下さい。喜んで印刷します」
「……ありがとう」
それだけ言うと、彼はその場を後にした。
そして、俺はそんな彼に言う。
「ドマ」
呼びかけられて、止まる。
「またデュエルしようぜ」
そして片手を、こっちを見ずに挙げて、そのまま立ち去って行った。
――翌日・レッド寮近くの森 PM 19:53
「それでは、お気を付けて」
「ああ、そっちも気を付けて帰ってくれ」
同人誌の一件の後、フレイの原稿は無事に刷られた。
問題解決のお礼にと、彼女の傑作とされる同人誌と、今回作成された同人誌をタダで貰った。R規制云々はさて置き、ストーリーや絵は気に入ったので、俺はありがたく頂く事にした。ただ当然ながら皆には秘密である。
そして、俺は再び異世界へと出発する。
フレイも今回は見送りに来てくれた。
「主殿」
「どうした、桜?」
「何故あの場で“G・S”をエクシーズ召喚しなかった? 何故『ホープ』を?」
「……別に深い意味は無いかな。ハイパワーモンスターに攻められた場合を想定して、守りの陣形を敷いただけ」
桜の疑問に、俺はそう答える。
実際は、違う。
『天空の聖域』から戻って来た後、テストで桜と“G・S”のデッキでデュエルを行った。その時にはもう痛みは無かった。だが、もしもそれが「痛みが無くなった」ではなく、「痛みを感じてないだけ」だったら?
抗生物質の時の例えと同じだ。慣れてしまえば、体はそれを感じなくなる。
結晶から生まれたデッキ、“
つまり、膨大なエネルギーの塊というワケだ。それを、例え人並み外れた肉体であっても、一個人の中に納め続け、剰え行使したら、どうなる?
答えは非常にイージー。体に反動が跳ね返って来る、だ。
最初、“F・S”を使用していた頃は、反動なんて無かった。だが、それが変わったのはプライド戦、いや、あの戦いでシンクロモンスターとエクシーズモンスターを使い始めた時からだ。
だが恐らく、シンクロやエクシーズを使った事は原因では無い。
『スターダスト・ドラゴン』達が少なくとも5000年前から存在した事は事実だし、ナンバーズ専用の補助カードの存在を考えると、ナンバーズか、それに準ずる何かも昔から存在していた可能性は高い。
デュエルモンスターズの精霊の世界が存在し、それが古代エジプトの時代に人と関わり、石板に封じられたり、或いは石板を触媒に召喚された。人の心に巣食った者も居れば、人が生み出した者もある。そしてそれが現代になって蘇った。
つまり、シンクロ・エクシーズの概念かそれに近しい何かは、大昔からあった、という事だろう。
だから、考えられる原因は2つ。
1つは、代償。“S”のカードを何度も使っているが故に、使用されるエネルギーが通過する度に俺の体にダメージが入っている、という事。車のエンジンを考えれば分かりやすいだろう。どれだけ効率良く回転させても、車のエンジンが次第に摩耗していくのと同じ理屈だ。
もう1つは、世界の意思。元々イレギュラーであった俺を、世界が排除しようとしている。だが、俺はもうこの世界の何十人という人に関わってしまった。だから世界が俺を「戦いによるダメージの蓄積」という形で殺そうとしている。正しい歴史(原作)から大きく外れる原因となった俺には、消えてもらった方が好都合なのだろう。
……何にしても、俺はもう長くないだろうな。
フィオ、色々と迷惑をかけた。
都、安心しろ、必ず助ける。
桜、支えて来てくれた事、感謝する。
フレイ、薬ありがとう。
【TRANSMISSION:to LUST】
【with RAI SORATOKI】
【with ELFY SORATOKI】
【with ALF SORATOKI】
【with LEO SORATOKI】
【with MERIOL SORATOKI】
「主殿、準備は良いか?」
「ああ」
後、3人。
もう少しだけ、耐えてくれよ、俺の体!
そう願って、俺は光のゲートを潜った。
SIDE:フレイ
マスターの部屋と歩いて帰りながら、今日の黎さんとドマさんのデュエルを思い出します。
デュエルの途中、黎さんは何度か、痛みを我慢するような表情をしていました。
何故でしょう?
薬の副作用? 有り得ません。そんな副作用は無いハズです。
護衛とのダメージの蓄積? こっちも疑問ですね。薬である程度ダメージを負ったとは言え、回復力は段違いに上昇しているハズです。
……嫌な予感しかしません。
わたくし個人のためにも、マスターのためにも、死んではなりませんよ、黎さん。
好きな人が死ぬのは、とても辛い事なんですから。
一体わたくしが彼に惚れたのは、いつからでしょうね?
何となく自嘲して、わたくしはマスターの部屋へと帰る足を、速めました。
to be continued