遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
デュアルスパーク
【速攻魔法】
(1):自分フィールドの表側表示のレベル4のデュアルモンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。
都「デュアル専用の速攻魔法だね、リリースエスケープからの破壊とドローが出来るよ!」
黎「一時はこのカードを使うためだけにデュアルモンスターを投入したデッキもあったくらいだ。再召喚されてる必要が無い、かつ速攻魔法というのが一線を画したからな」
都「リリースできるのは表側表示のレベル4限定、そして今じゃあ『灰流うらら』に無効にされちゃう点には気を付けてね!」
――邪神の根城
SIDE:無し
ドグン、ドグン、と不気味に脈打つ闇色の繭の元で、現在残っている二人の邪神の護衛は手に人の魂を封じたカードを持って嗤っていた。
「やー、儲けた儲けた。今日は7枚も手に入りやしたぜ、ダンナ」
「甘いな。我は11枚だ」
「ありゃあ、負けちまったか」
「護衛長たる我が負けるわけがあるものか。クハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「キヒヒヒヒヒヒ、違ぇねぇな! キーッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
ひとしきりの談笑の後、二人が祭壇にカードを置く。
合計18人分もの魂が繭へと吸収されていった。
「クククク……、後少し、後少しだ……! 後少しで我らが主が復活を遂げる! 全てを滅びへと誘うまで、後少し……! ククククク、ハーハハハハハハハハハハァッ!」
「キッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! 念願の絶望郷が目の前だぜぇ!」
誰も知らない場所で、二人の高笑いが響いた。
繭の中の少女は、誰からの助けも得られず、人知れずその命を失っていく……。
ドグン! と繭が一際大きく脈打った。
――アカデミア・控室
SIDE:フィオ
控室の机の上で、自分のデッキからカードを5枚めくる。
黎に手を貸してもらい、新しく、より強くなった私のデッキ。
『トレード・イン』
『光神機-轟龍』
『ヘカテリス』
『盗賊の七つ道具』
『アテナ』
その手札を見た後、それらをデッキに戻してシャッフル。再び5枚めくる。
『攻撃の無力化』
『勝利の導き手フレイヤ』
『強欲な壺』
『豊穣のアルテミス』
『魔宮の賄賂』
更に同じ工程をもう1度。
『トレード・イン』
『The splendid VENUS』
『神の宣告』
『死者蘇生』
『コーリングノヴァ』
「……悪くない」
1回目は『ヘカテリス』の効果で『ヴァルハラ』を、2回目は『アルテミス』の効果でドローを補助し、3回目は『轟龍』を『トレード・イン』で捨てて『死者蘇生』で復活させる。先攻でも後攻でも、フレキシブルに動ける。
何をしているのかと聞かれれば、単なるイメトレだ。
試験前なんかに、わたしはよくこうやって、手札事故が起きないかどうかを確認する。テスト前日の夜なんかには100回以上チェックをする時もある。
今回、黎からもらったカードを入れ、以前とは少し違うものなったけど、問題は取り敢えず無さそうだった。
……3度やって、黎からもらったカードが来ないのは、まあ偶然だと思う事にしよう。
わたしの担当は中堅戦、午前・午後と分けられる5回戦の内、真ん中の、午前最後の戦い。ここまで二勝を記録してはいるけれど、二人とも中々に厳しい勝利だった。負けるつもりはないけれど、勝てる保証も無い。
だからこそ、デッキを何度も確認・調整していた。
今、わたしのデッキを構成するテーマは全部で4つ。【アテナバーン】、【ヴァルハラ軸上級天使】、【エンジェルパーミ】、そして……。
「フィオ、そろそろだぞ」
「お、了解ー」
さて、出撃だ。
――デュエルリング
『ゴーゴーフィーオ! 頑張れ頑張れフィオ! レッツファイト、フィオ!』
「応援ありがとう!」
リングに上がると、ブルー女子の仲間達がチアガールの姿で応援してくれた。わたしのデュエルの番なので、流石にフレイはデッキに戻っていて、そこにはいない。
と、件のチアガール天使の精霊が半透明になってわたしの後ろに現れた
(ファイトです、マスター!)
(サンキュー、フレイ。ここで負けるワケにもいかないしね!)
常人には見えないらしいので、視線を後ろに向けずにヒソヒソ会話だ。
(ふふ、負けられない、というのは黎さんのためですか?)
「ぶふぅっ!」
思わず吹いてしまった。
キョロキョロと周囲を見回すが、誰も気付いていないらしい。対戦相手もまだ来ていない。
ホッと一安心して、ギロッとフレイを睨む。
(何で黎がそこで出て来るのさ! わたしはこのデュエルアカデミアの代表なんだから、皆のためにも負けられないのも無様な戦いができないのも当然でしょうが!)
(……まあ、そういう事にしておきましょう)
ふ、含む所があるような言い方を……!
言いたい事があるなら、ハッキリ言いなよ!
(そうはいきませんね。今はデュエル直前、マスターのメンタルが乱れてはいけませんので)
(……デュエルが終わったら、言ってもらうから)
(イエス、マイマスター♪)
ぐぬぬぬぬ……。腐っても年上、亀の甲より年の功、か……!
(1万年も生きてると、余裕の一つや二つ、生まれるものですよ)
年齢ネタも効果無しか!
『セニョール&セニョーラ! これが午前最後のデュエル、中堅戦なの~ネ!』
対戦相手がリングに上がり、フレイに翻弄された事を苦々しく思う傍ら、クロノス先生が司会を開始。以前、廃寮にて黎と十代君を襲うよう闇のゲーマーに手配した、個人的にいけ好かない先生だ。
でも黎は『被害者が出ていないんだから気にするな』なんて言うし、十代君も『大丈夫、次も何とかなるって!』と笑われた。
『デュエルアカデミア中堅~ハ、オベリスクブルー所属、女王と並ぶ実力者、“戦女神”神山フィオ~!』
被害者二名がそう言うのなら、わたし個人としては引き下がるしか無い。でも、今でも警戒対象だ。
『対するノース校から~ハ、“軍隊餓狼”、
まあ、何時までもクロノス先生を睨んでいても始まらないので、対戦相手を見る。
犬養の見た目は、付けられた二つ名とは真逆だった。目つきはキモオタと表現できるくらいに脂ぎっているし、身体も誰がどう見ても太っていると表現できる。“軍隊餓狼”なんてどうやっても付けられるあだ名では無い。
いや、“戦女神”なんてのも初めて聞いたけどね。
「神山フィオ。良いデュエルにしよう」
「フヒヒ……、犬養通。希少なボーイッシュ少女とデュエルできるのなら、もう十分満足できるよ~」
だったらそのまま棄権してしまえ。
それとどこからか「まだ満足できねぇ!」とかいう声が聞こえた気がする。時空すらも越えて。気のせいだと思いたい。
『それで~ハ、中堅戦……』
「全力で行くよ!」
レーンに沿ってエッジが動く。
こんなキモオタに負けた日には、学校の恥さらしだ!
「強気なトコも良いねェ~。萌え~」
ライフカウンターがポン、という音とともにONになる。
ええい、こいつは真面目にやるっていう思考回路は無いのか!
『デュエル開始なの~ネ!』
全力でぶっ潰す!
「「デュエル!」」
フィオVS犬養
LP 4000 VS LP 4000
手札を確認する。
良し、『オネスト』と『ミラーフォース』がある! どんなモンスターも、このカードで粉砕してやる!
「先攻はオレ、ドロー」
あんな奴、わたしの敵じゃないもんね!
そう思ったんだけど……。
「オレは魔法カード『手札抹殺』を発動! お互いに手札を全て捨てて、その枚数分デッキからドローする!」
手札抹殺
【通常魔法】
お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数分のカードをドローする。
ギンッ! と犬養の顔付が変わった。オタク然とした顔から文字通り、獲物に餓えた狼のものに……!
「お前は今、オレの見た目で油断したな? これだから見た目で判断するヤツは……」
「く……っ!」
『オネスト』を捨てさせられた……!
『ミラフォ』は仕事しないらしいから平気だけど、こっちは痛い!
「オレは『ジェネティック・ワーウルフ』を召喚!」
ジェネティック・ワーウルフ(通常モンスター)
星4
地属性/獣戦士族
ATK 2000/DEF 100
遺伝子操作により強化された人狼。
本来の優しき心は完全に破壊され、闘う事でしか生きる事ができない体になってしまった。
その破壊力は計り知れない。
ジェネティック・ワーウルフ:ATK 2000
相手の1番手は白い人狼。通常モンスターの中では特に強い1枚だ。
あの攻撃力じゃあ、ちょっと厳しいかな。わたしのデッキは攻撃力の打点が二極化してるから、下級アタッカーがいない。
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
犬養:LP 4000
手札:3枚
フィールド
:ジェネティック・ワーウルフ(ATK 2000)
:伏せカード1枚
――ベンチ
SIDE:大地
なかなかの策士だ、と思わず唸る。
神山君の対戦相手、犬養は、その見た目から油断を誘う戦法を取るようだ。実際、ボーッとしたその見た目なら、大抵の相手は油断するだろう。
もっとも、そんな小手先の技が通じないと判断したのか、のっけから本性を現したが。
そしてその隙に噛み砕く。狼というか、サギだ。
「大地、鳥のサギは“鷺”、騙すサギは“詐欺”だ」
「いや、すまん。自分でもつまらないと思った」
そしてよく俺の思考が分かったな。
――デュエルリング
SIDE:フィオ
「わたしのターン、ドロー!」
正直に言おう。さっきの『手札抹殺』で主要カードが削られた。
初期手札は……。
『オネスト』
『アテナ』
『光神機-轟龍』
『聖なるバリア-ミラー・フォース-』
『神の宣告』
もう酷いとしか言いようが無い。
でも、嘆いた所で始まりはしない。だったら、このままできる事をするまで!
「魔法カード『トレード・イン』を発動! 手札のレベル8のモンスターを1体墓地に送り、デッキからカードを2枚ドロー!」
トレード・イン
【通常魔法】
手札からレベル8のモンスターカードを1枚捨てる。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
来た!
「手札の『ヘカテリス』の効果発動! 手札からこのカードを捨てて、デッキから『神の居城-ヴァルハラ』を手札に加える! そしてそのまま発動!」
ヘカテリス(効果モンスター)
星4
光属性/天使族
ATK 1500/DEF 1100
このカードを手札から墓地へ捨てて発動する。
自分のデッキから「神の居城-ヴァルハラ」1枚を手札に加える。
神の居城-ヴァルハラ
【永続魔法】
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
攻撃力2000なら、倒せる!
「『ヴァルハラ』の効果発動! 手札から『堕天使エデ・アーラエ』を特殊召喚!」
堕天使エデ・アーラエ:ATK 2300
これが、わたしのデッキに組み込まれた新たな技法、“堕天使”。光属性のサポートは効かないし上級ばっかだしで少々扱いづらいけど、元々最上級レベルの天使族を多用するこのデッキには痛手にはならない。寧ろ、強力な効果が使いやすくて助かる。
……『エデ・アーラエ』は墓地から蘇生しないと効果を使えないけど。
堕天使エデ・アーラエ(効果モンスター)
星5
闇属性/天使族
ATK 2300/DEF 2000
このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。
●このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
「でも、今は十分! バトル! 『エデ・アーラエ』で『ジェネティック・ワーウルフ』を攻撃! “デス・クライシス”!」
「ぬおっ!」
犬養:LP 4000→3700
「どうだ! カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
フィオ:LP 4000
手札:2枚
フィールド
:堕天使エデ・アーラエ(ATK 2300)
:伏せカード2枚、神の居城-ヴァルハラ(永続魔法)
黎からはプレイングに関して『手札消費が荒い』と何度も言われた。そしてそれを狙われて模擬戦では負けまくった。
だから手札のカードはできるだけ温存する。ここまで2勝、午前最後の試合を敗北で彩るわけにはいかない!
「オレのターン! オレはこいつを召喚する! 『炎妖蝶ウィルプス』!」
炎妖蝶ウィルプス:ATK 1500
犬養が呼び出したのは真っ赤な炎の羽を持つ蝶々。
あれは確か、黎のカードを見ていた時に段ボールの中にあったヤツ!
「デュアルモンスター……!」
「その通り! こいつは2度召喚しないと効果を発揮しない! オレは『スーペルヴィス』を『ウィルプス』に装備! これを装備したモンスターは2度召喚した扱いになる!
そして『ウィルプス』の効果を発動! こいつをリリースして、墓地の『炎妖蝶ウィルプス』以外のデュアルモンスターを1体、再召喚した形で特殊召喚する!」
炎妖蝶ウィルプス(デュアルモンスター)
星4
炎属性/昆虫族
ATK 1500/DEF 1500
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードをリリースする事で、自分の墓地に存在する「炎妖蝶ウィルプス」以外のデュアルモンスター1体を特殊召喚する。
この効果によって特殊召喚されたデュアルモンスターは再度召喚された状態になる。
「蘇れ、『エヴォルテクター・シュバリエ』!」
『トァッ!』
エヴォルテクター・シュバリエ(デュアルモンスター)
星4
炎属性/戦士族
ATK 1900/DEF 900
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●自分フィールド上に表側表示で存在する装備カード1枚を墓地へ送る事で、相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
エヴォルテクター・シュバリエ:ATK 1900
燃える蝶が紫の魔法陣の中へと飛び込み、入れ替わりに出て来るのは赤い鎧を着た戦士。
よし、攻撃力1900なら、『エデ・アーラエ』の敵じゃない。
「『シュバリエ』はオレの場の装備魔法を1枚墓地に送り、相手の場のカードを1枚破壊できる」
「何!?」
「更に墓地に送られた『スーペルヴィス』の効果を発動! このカードが場から墓地に送られた時、墓地から通常モンスターを1体特殊召喚できる! 選択するのは『フェニックス・ギア・フリード』だ!」
スーペルヴィス
【装備魔法】
デュアルモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターは再度召喚した状態になる。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して特殊召喚する。
フェニックス・ギア・フリード(デュアルモンスター)
星8
炎属性/戦士族
ATK 2800/DEF 2200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●相手が魔法カードを発動した場合、自分の墓地に存在するデュアルモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。
また、自分フィールド上に表側表示で存在する装備カード1枚を墓地へ送る事で、フィールド上に存在するモンスターを対象にする魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
フェニックス・ギア・フリード:ATK 2800
墓地から連続して出て来る、戦士族モンスター。今度は巨大な剣と盾を携えた、炎を背負った大男。
くっ! デュアルモンスターは墓地じゃあ通常モンスター扱い……! 効果モンスターのフレームであっても蘇生は可能ってワケか!
「まだだ! 装備魔法『ビッグバン・シュート』を『エデ・アーラエ』に装備させる! このカードを装備したモンスターは貫通効果を得て攻撃力が400ポイントアップする!」
堕天使エデ・アーラエ:ATK 2300→2700
「でも、このカードには確か重大なデメリットが……!」
「その通り! 『シュバリエ』の効果発動! 『ビッグバン・シュート』を墓地に送り、左の伏せカードを破壊! そして『ビッグバン・シュート』の効果で装備モンスター、『エデ・アーラエ』をゲームから除外する!」
「わたしの、モンスターがっ!?」
しかも破壊されたカードは『リビングデッドの呼び声』。フィールドのモンスターもいなくなったし、痛い出費だ。
ビッグバン・シュート
【装備魔法】
装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。
装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターをゲームから除外する。
「バトル! 『フェニックス・ギア・フリード』でダイレクトアタック! “不死鳥剣一閃斬”!」
「リバースカード、オープン! 『攻撃の無力化』!」
攻撃の無力化
【カウンター罠】
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
「チッ、魔法カード『泉の精霊』を発動! このターン発動できない代わりに、墓地の装備魔法を1枚手札に加える! 選択するのは当然『スーペルヴィス』だ!」
泉の聖霊
【通常魔法】
自分の墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。
その装備魔法カードはこのターン発動できない。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
犬養:LP 3700
手札:1枚(『スーペルヴィス』)
フィールド
:エヴォルテクター・シュバリエ(ATK 1900・再召喚済み)、フェニックス・ギア・フリード(ATK 2800)
:伏せカード2枚
「わたしのターン、ドロー!」
うーん、1ターンでずいぶんとやられたなぁ。
手札の消費2枚で大型モンスター1体とアタッカー1体。しかも装備するだけで再召喚したのと同じ扱いにし、墓地に送れば通常モンスターを蘇生する『スーペルヴィス』は奴の手札に回収された。
こっちの手札は2枚。アドバンテージの差が正直大きすぎる。
取り敢えずここは……!
「魔法カード『強欲な壺』! デッキからカードを2枚ドロー!」
強欲な壺
【通常魔法】
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
引いたカードは『死者蘇生』と……!
『マスター、来ましたよ!』
(フレイ、サンキュー!)
これなら墓地の『アテナ』と合わせて、このターンで決められる!
「わたしは永続魔法『ヴァルハラ』の効果を発動! 手札から『勝利の導き手フレイヤ』を特殊召喚!」
『さぁ、全力で行きますよ!』
勝利の導き手フレイヤ(効果モンスター)
星1
光属性/天使族
ATK 100/DEF 100
自分フィールド上に「勝利の導き手フレイヤ」以外の天使族モンスターが表側表示で存在する場合、このカードを攻撃対象に選択する事はできない。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップする。
「その効果で、天使族モンスターの攻撃力を400上げる!」
勝利の導き手フレイヤ:ATK 100→500
「オホッ、可愛い天使ちゃん、萌えす!」
『デュエル中に言う事じゃありません!』
シリアス口調で何言ってるんだ、こいつは。
地か、あのオタクっぽいのが地なのか!
「更に魔法カード『死者蘇生』を発動! わたしは墓地から『手札抹殺』の時に墓地に送られた『アテナ』を特殊召喚!」
死者蘇生
【通常魔法】
自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
アテナ(効果モンスター)
星7
光属性/天使族
ATK 2600/DEF 800
1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスター1体を墓地へ送る事で、「アテナ」以外の自分の墓地に存在する天使族モンスター1体を選択して特殊召喚する。
フィールド上に天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、相手ライフに600ポイントダメージを与える。
アテナ:ATK 2600→3000
まだまだ! こんなんじゃ終わらない!
【アテナバーン】の強さを見せてやる!
「続いて2体の光属性『光神機-轟龍』と『ヘカテリス』をゲームから除外し、『
神聖なる魂:ATK 2000→2400
次元の狭間へと2枚のカードが消滅し、半透明の女性天使が現れる。絵柄にある男性は背景と同じ扱いらしい。
神聖なる魂(効果モンスター)
星6
光属性/天使族
ATK 2000/DEF 1800
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地に存在する光属性モンスター2体をゲームから除外した場合に特殊召喚する事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手のバトルフェイズ中のみ全ての相手モンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。
「『アテナ』の効果発動! 天使族が場に現れるたびに600ポイントのダメージを与える! “アサルト・シャイン”!」
「ぐおっ!」
犬養:LP 3700→3100
まだだ! まだまだ終わらない!
このデッキの神髄の一端を味わえ!
「『アテナ』第二の効果! 1ターンに1度、自分の場の『アテナ』以外の天使族を1体墓地へ送り、墓地の天使族を1体特殊召喚する!
『神聖なる魂』を墓地へと送り、『トレード・イン』の効果で墓地に送った『堕天使スピルベア』を特殊召喚!」
槍と盾を持った女性が光のゲートを開く。ゲートの中へと『神聖なる魂』が消失すると、入れ替わるように別のモンスターが現れた。
堕天使スピルベア:ATK 2900→3300
まるで壺のような胴体に、堕天の名に恥じない赤黒い翼。胴体にある単眼が、ギロリと相手を睨み付けた。
「な、何だこいつは!?」
「天使族の特殊召喚に成功した事で更に600ダメージ!」
「ぐげっ!?」
犬養:LP 3100→2500
「そして『スピルベア』は墓地からの特殊召喚に成功した時、『スピルベア』以外の天使族モンスターを墓地から特殊召喚できる!
わたしはお前の『手札抹殺』で捨てられた『オネスト』を特殊召喚する!」
堕天使スピルベア(効果モンスター)
星8
闇属性/天使族
ATK 2900/DEF 2400
このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「堕天使スペルビア」以外の天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
オネスト(効果モンスター)
星4
光属性/天使族
ATK 1100/DEF 1900
自分のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを手札に戻す事ができる。
また、自分フィールド上の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送る事で、エンドフェイズ時までそのモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の数値分アップする。
オネスト:ATK 1100→1500
「更に600ダメージ!」
「たわらばっ!」
犬養:LP 2500→1900
よし、ライフが並んだ!
そして『オネスト』は自分の効果で手札に戻す事ができる。その効果はダイレクトアタックと戦闘破壊を兼ねている、言わば相手モンスターの攻撃力を0にする能力。これで『アテナ』の攻撃が通ればわたしの「速攻魔法!」勝、ち……。
「『デュアルスパーク』! 自分の場のレベル4のデュアルモンスターを1体リリースし、『オネスト』を破壊する! そしてカードを1枚ドローだ!」
「何!?」
デュアルスパーク
【速攻魔法】
(1):自分フィールドの表側表示のレベル4のデュアルモンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。
「『エヴォルテクター・シュバリエ』をリリース!」
『ぐぉわぁっ!』
ズッガァーン! と雷が落ち、ローマ帝国の服装を着た天使が破壊される。
くっ、でもわたしの勝利への方程式は揺るがない!
「例え『オネスト』がいなくなろうとも、わたしのモンスターの総攻撃力は6800! 2800のモンスター1体で防げるものか!
バトル! 『スピルベア』で『フェニックス・ギア・フリード』を攻撃! “ルシフェル・トラジェディ”!」
決まれぇ!
「そうはいかん! 罠発動! 『ジャスティブレイク』! 自分の場の攻撃表示の通常モンスターが攻撃された時、攻撃表示の通常モンスター以外のモンスターを全て破壊する!」
「な、なんだって!?」
ジャスティブレイク
【通常罠】
自分フィールド上の通常モンスターを攻撃対象とした相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
表側攻撃表示で存在する通常モンスター以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。
雷に打たれるわたしのモンスター達。
『グィイィィイイイイッ!』
『くぁぁぁああぁぁあっ!』
『マスタァアァァァアッ!』
「フレイ! 皆!」
断末魔と共に全員が消滅し、わたしの場には効果を使ってしまった永続魔法が1枚だけ残った。
対し、相手の場には攻撃力2800のモンスターが残っている。わたしのライフは残り1900、マズい……。
「わたしは、『コーリングノヴァ』を守備表示で召喚!」
コーリングノヴァ(効果モンスター)
星4
光属性/天使族
ATK 1400/DEF 800
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力1500以下の天使族・光属性モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、代わりに「天空騎士パーシアス」1体を特殊召喚する事ができる。
コーリングノヴァ:DEF 800
クリスマスのリースみたいなモンスターを場に出す。こいつはリクルーター、1ターンぐらいなら凌ぐ事はできるはず……!
「ターンエンド!」
フィオ:LP 1900
手札:0枚
フィールド
:コーリングノヴァ(DEF 800)
:神の居城-ヴァルハラ(永続魔法)
「オレのターン、ドロー! 『強欲な壺』! デッキから2枚ドロー!」
く、ここでドローソースとは……!
歯噛みするわたしを他所に、犬養はニヤリと笑った。
「オレの、勝ちだ!」
「何!?」
「オレは儀式魔法『合成魔術』を発動! 場か手札からレベル合計が6以上になるようにモンスターをリリースする! オレは場の『フェニックス・ギア・フリード』をリリース!」
合成魔術
【儀式魔法】
「ライカン・スロープ」の降臨に必要。
フィールドか手札から、レベルが6以上になるようカードを生け贄に捧げなければならない。
「現れろ、『ライカン・スロープ』!」
『ワォオォォォォオオオオオンッ!』
ライカン・スロープ:ATK 2400
白と赤の騎士が光となり、入れ替わりに青い毛並に、コードをあちこちに繋いだ狼が飛び出す。
攻撃力2800をリリースして2400を儀式召喚だって!?
「そして速攻魔法『エネミーコントローラー』を発動。相手モンスター1体のコントロールをオレのモンスター1体を代償に奪うか、表示形式を変更させる!」
エネミーコントローラー
【速攻魔法】
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する。
●自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、エンドフェイズ時までコントロールを得る。
「その効果で『コーリングノヴァ』を攻撃表示に変更だ!」
コーリングノヴァ:DEF 800→1400
「で、でも攻撃力の差は1000! 攻撃されてもまだライフは残る!」
「アマいな、バトル! 『ライカン・スロープ』で『コーリングノヴァ』を攻撃! “ウルフ・クロウ”!」
ザシュッ! 青い狼の爪でわたしのモンスターが切り裂かれる。
フィオ:LP 1900→900
余波でわたしもダメージを受けるが、はっきり言ってワケが分からない。
何故攻撃力の低い方を出した? 『フェニックス・ギア・フリード』のまま攻撃すれば、わたしのライフをまだ多く削れたのに。
でも、眉根を寄せるわたしを見て、犬養は笑った。
あれは、勝利を確信した時の笑み……!?
「この瞬間『ライカン・スロープ』の効果発動! 相手に戦闘ダメージを与えた時、自分の墓地の通常モンスターの数×200ダメージを与える!」
「何!?」
ライカン・スロープ(儀式・効果モンスター)
星6
地属性/獣戦士族
ATK 2400/DEF 1800
「合成魔術」により降臨。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、自分の墓地に存在する通常モンスターの数×200ポイントダメージを相手ライフに与える。
くっ、デュアルモンスターは墓地じゃあ通常モンスター扱い……!
でも、奴の墓地にいるモンスターは『ジェネティック・ワーウルフ』、『炎妖蝶ウィルプス』、『フェニックス・ギア・フリード』、『エヴォルテクター・シュバリエ』の4体! まだわたしのライフは100残る!
「オレの墓地に存在する通常モンスターは4体、だから100残る。そう思ってるな? アマいぞ!」
「何……?」
ソリッド・ヴィジョンによって映し出される半透明のカード。その枚数は……、5枚!?
これまでフィールドに出て来たモンスターに加えて、あれは……。
「『岩石の巨兵』!?」
「そうだ! 『手札抹殺』で墓地に送ったカードは『フェニックス・ギア・フリード』、『エヴォルテクター・シュバリエ』、『蘇りし魂』、『決戦の火蓋』、そしてこの通常モンスター『岩石の巨兵』だぁ!」
しまった、こいつの狙いはデュアルだけじゃなく、『ライカン・スロープ』による効果ダメージもあったのか!
岩石の巨兵(通常モンスター)
星3
地属性/岩石族
ATK 1300/DEF 2000
岩石の巨人兵。
太い腕の攻撃は大地をゆるがす。
通常モンスターは5体×200で1000ダメージ。わたしの、負けか……!
「止めだ! “シャドウ・ガスト”!」
「う、うわぁああああああああああああああああっ!」
フィオ:LP 900→0
犬養:WIN
フィオ:LOSE
――ベンチ
SIDE:黎
「ゴメン、負けた……」
リングで派手に吹っ飛ばされ、トボトボとフィオが戻ってきた。
流石に2連勝の流れを止めたのは本人としても痛かったらしく、顔が沈みきっている。
「まあ、気にするな。誰だって負けの一つや二つ、経験するモンさ」
励ますようにワシワシと頭を撫でてやる。フィオはそれに気持ち良さそうに目を細めた。
「でも本当にゴメンね、皆。流れを持ってかれちゃったよ。ライフも半分くらいしか削れなかったし……」
「大丈夫だ、問題無い。黎と十代で取り返せる」
「そうよ。勝負は時の運っていうじゃない」
なおも謝るフィオ。それを大地と明日香が慰める。
まあ、こいつ個人としては俺から戦術やカードを受け取ってなお負けたのが悔しいのだろう。
油断したって事もあったかもだが……。
「やっぱり俺のせいかな、ゴメンな、フィオ」
「え、ちょ、どうして黎が謝るのさ!?」
何故って……。
「お前のデッキは元々、微調整が何度も必要な程にシビアな構成をしていたんだ。そこに重量のある、しかもクセの強い闇属性モンスターを突っ込んだ。事故るのは当然だ。だから――」
「タイム! そうやってすぐ自分のせいにするのは黎の悪いトコだ。そもそもデッキの調整なんて自力でやるモンなんだから、いくら薦められたからって言って他人のせいになるワケ無いでしょ! わたしは堕天使を入れる事を蹴る事だってできた。でもそうしなかったんだから、結局は自分のせいだよ」
「フィオ……」
「だから自分のせいだ、なんて言うな。わたしは黎が一生懸命になってカードを探して推薦してくれて嬉しかった。だから負けたとしても、黎を恨むなんて有り得ないし有っちゃいけない。例え誰が何と言おうとね!」
ストン、と腑に落ちる。彼女の言葉はいつも説得力があって、俺の下らない妄想も想像も粉砕してくれる。
何だか……。
「ありがとうな、俺の天使さん?」
「うぇっ!?」
天使族デッキだし、暗い自分に光を差してくれるからそう言ったんだが……。
酷く彼女は狼狽した。照れとかそんなレベルじゃなく。
「どうした?」
「う、ううん、何でもない……」
(?)
(落ち着け、落ち着けわたし!)
その後、彼女は黙ってしまい、返事も暫くは上の空だった。
to be continued