遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
デュアルスパーク
【速攻魔法】
(1):自分フィールドの表側表示のレベル4のデュアルモンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。
フレイ「デュアルモンスター用のリリース・エスケープ魔法なのです! 破壊に成功すればドローも出来ますよ!」
桜「デュアルモンスターはレベル4が多い、3枚投入しても問題無いだろう。ただドロー効果がある以上は『灰流うらら』には警戒してくれ」
フレイ「デュアルデッキ以外にもこのカードのためにレベル4デュアルモンスターを使う【カオス】デッキ等もありました。今でも【光デュアル】や【除外メタビート】ではこのカードを下級火力モンスターとセットで使う事は多いですよ」
――レッド寮・黎の部屋 PM 20:33
SIDE:黎
「う~ぬぅ~……」
突然だが俺はとんでもなく困っている。
交流試合のあった当日の夜、ややギシギシ言う体を無理矢理動かし、いつも通り邪神の護衛を倒すべく転移魔法を発動させた。そこまでは良かった。
だが、俺は転移できなかった。光に包まれても体はどこにも転送されず、その場に残ってしまった。
終いには魔法陣が消える始末だ。その場にいても仕方が無いので、一先ず部屋に戻り、桜やPDAで通信しているフィオやフレイと共に頭を捻っている所だ。
『しかしどういう事なんでしょうね、転移できないというのは?』
「俺にはさっぱりだ。何かしらの原因があるとしても、思い当たる節は無いしなぁ……」
冗談抜きにこれは真面目に困った事態だ。これでは護衛を倒して邪神の下へ辿り着く事ができない。となると、都を救う事もできない。……それと世界も救えない。
いや、個人的に世界なんざどうでも良いんだが、それを言ってしまうとこれまで一緒に戦ってくれた皆やここにいる仲間達まで見殺しになってしまう。あいつらの腕は疑っていないが、1つの世界を食ってパワーアップした邪神は恐らく人間や神の手には確実に余る。世界はどうでも良くても、そこにいる人々はどうでも良くない。
PDAの通信を切った後、ふと、俺は何の気無しに閂の魔法陣を出現させた。最初は恐らく7つの閂が差し込んであったであろうそれは、既に2つに……。
あれ?
「閂が1つ減っている!」
「む、確かに!」
今朝確認した時は2つ残っていた扉の閂が、既に残り1つになっていたのだ。
つまりこれは生き残っている護衛の内どちらか一方が何者かによって倒され、消滅したという事。俺達にとっては要するに吉報だ。
――って……、
「だから転移できないんじゃ意味無ぇじゃんか……」
護衛はまだ1人残っている。全部倒さないと都を奪還できないんだし、世界も終わるんだから、何ら直接的な解決にはなっていない。
さて、どうしたら良いものか……。
隣で桜も難しい表情をして顔を顰めているあたり、彼女にも具体的な解決策は無いらしい。PDA越しに見えるフィオとポーラも同じだ。
クソッタレ……、こんな下らない理由でチェックメイトされてたまるかよ……。
そう思った時、部屋の中の空気が変わった。
「主殿!」
「おう!」
明確に具現化している桜が腰の剣を引き抜き、背中の盾を手に取る。彼女の臨戦スタイルだ。どんな服装をしていても装備一式は忘れないのが信条らしい。
こちらもナックルダスターを生み出して装着する。レッド寮の狭苦しい部屋では寧ろ肉弾戦の方が良いだろうからだ。
部屋の中央に光が差し込み、円柱状のゲートが生まれる。これは何度か自分でもやった事のある魔法、転移魔法と同じものだ。
(誰だ……、誰が来た……)
邪神の残りの護衛か? そいつが危険因子である俺を排除しにやって来たか?
或いは都か? 何らかの方法であいつが脱出したのか?
光がやがて収束すると、その中心にいたのは俺の予想とは違う人物だった。
まず邪神の護衛から感じ取れる、生温かい汚泥を背筋に流し込まれるような気配が無い。故に護衛では無い。
次に都でも無い。あいつは髪留めを好かない。影が髪型をツインテールにして、それを雪の結晶の形の髪留めで纏めている時点で義妹という可能性も消えた。
「……到着」
現れた何者かはそう呟いた。雪原を思わせる低めで、それでいてよく透き通った声だ。
性別は女、身長は150センチ後半くらいか。藤色の長髪をサイドでツインに括り、紫のマフラーを巻いている。腰には雪の結晶を象った六角形(と行っても雪の結晶は全部六角形なのだが)の盾らしきものを二つ下げている。ワインレッドの服に白のタイツという組み合わせは、さながらアイススケートの選手を彷彿とさせた。
到着当初は瞑っていた目をゆっくりと開いた。サファイアのような神秘さを醸し出す、青い目がこちらを見る。
こいつは確か、『氷結界の舞姫』。氷結界のレベル4の中核の1体であり、都のフェイバリットでもあったカードだ。
「……………………」
殺意も敵意も感じられないが、それでも警戒は解かない。そういった意思を隠して俺達に近寄って来た奴なんて腐る程いた。こいつがそうじゃない保証は無い。油断した次の瞬間に刺されるのはゴメンだ(刺されたぐらいじゃ死なないけどな!)。
「…………何者だ」
警戒心をバリバリにして『舞姫』を睨む。
『あの日』と同じ事を、桜に体験させるわけにはいかない。
「……やっと会えた……、お久しぶりです、サー黎」
「久しぶり?」
何を言ってるんだ、こいつは。
俺はこいつに会った覚えは無いぞ。
「……語弊があった。……私は以前から貴方を知っているけど、貴方と面と向かって会うのはこれが初めて」
「どういう意味だ」
「……私のマイスターが数時間前に漸く私をデュエルで召喚した。……我々精霊は、デュエルで召喚されないと明確な姿となって現世に顕現するのは困難。……グリードとのデュエルに勝った事で、大きなエネルギー波が生まれ、私を吹き飛ばした。……マイスターのペンダントを前世から届けるのは、骨が折れた」
グリード、ペンダント、前世……。それが意味するのは1つしかない。
「ポーラ? ポーラなのか!?」
都はフェイバリットの『舞姫』にポーラという名前を付けて特別に気に入っていた。
ペンダントとは俺と都が互いに交換しあった、幸福を授けるという謂れのある一品の事だろう。こっちに来た時に衣服の一種と見なされて失ったものだから(こっちに最初に来た時? 聞くな!)、それを知っているのは俺と都、そして向こうからの付き合いのある奴しか有り得ない。
「本当にお前、ポーラなのか!?」
「……貴方とマイスターとは、本当に前世からお世話になっている」
都が自分の力で最初に手にしたカード、それが『氷結界の舞姫』。
まさか本人不在の状況でこうして精霊と出会うとは。
心の奥底で密かに驚いている俺を別に、ポーラは俺の後ろで待機している桜を見つめていた。
「……はじめまして、ポーラです」
「桜だ。主殿の精霊兼護衛、それとヒーラー兼見張り役をやっている」
待て、何だ見張りって。
「文字通りの意味だ。主殿は目を離すとすぐに無茶をする。お目付け役がいなければならん。以前から何度も回復は万能では無い、術者も楽では無いと注意しているはずだが?」
「ぐぅ……」
言葉通りすぎて返す言葉が無い……。桜のジト目が肌を突き刺す、つーかもう貫くぜ……。
「……違う、自己紹介をしに来たわけじゃない」
「じゃ何しに来たんだ」
「……さっきも言ったけど、マイスターがグリードとデュエルをして私を召喚した」
マイスター、つまり都が?
あいつのデュエルの腕は俺より若干低い。それが護衛の一角とサシで、だと……。何という無茶をするんだあいつは……!
内心の焦りを隠しきれず、俺はポーラに詰め寄った。
「結果は、どうなったんだ!?」
「……マイスターの、勝利。……ただしマイスターも重傷、今は気絶している」
「それなら何故貴殿は主殿の所へと来たのだ? 精霊は普通、媒体となったカードから遠く離れる事はできず、マスターの傍にいるものだ。私のようにある程度の修練を積めば一個体として行動できるが、それでも都殿の所にいるべきではないのか?」
「……本当は私も、そうしたかった。……でも、邪神の根城は存在し得ない空間にあって、私じゃあそこには行けない。……精々カードの中に閉じこもるだけ、外には出られない」
それにチャンスを伝えたかった、とポーラは続けた。
「……邪神は今、何を考えているのか、大きな力を使ってこの世界への転移ゲートを作っている。……力が消耗されつつ、奴のアジトへと攻め込める。……即ち、マイスターを奪還する好機」
そこまで言い切ると、ポーラはフゥ、と溜息を吐いてへたり込んでしまった。
「おい大丈夫か?」
「……平気。……普段あまり喋らないから、喋り疲れただけ。……それと、普段あんまり外に出ないから、紫外線にやられたのかも」
「「今は夜だ、引き籠り」」
「……酷い」
しかも新月、紫外線なんてほぼほぼ無い。あっても超微量だ。
「だがポーラ、俺の転移魔法は何故か働かないんだ。残りの護衛を潰さないと、邪神の所には行けないんじゃねぇのか?」
「……合ってると思う。……マイスターのデッキの中で、奴らの会話を少しだけ盗み聞きしたけど、最後の護衛は、何を思ったのか、根城から移動していない。……多分そのワープ魔法は、奴らのアジトには行けないんだと思う」
成程、この魔法はあくまで『別次元にいる邪神の護衛の場所へ転移する』もの。『別次元』どころか『次元ですらない場所』には転移できない、というわけか。
「……だから、ここで貴方が行うのは護衛と戦う事では無く、自身の強化。……一目見るだけで、貴方の体はもうボロボロだと分かった。……最後の護衛にそれを見抜かれれば、命が危ない」
「よく……、そこまで分かるな」
「……サー黎が無茶をする性格だってのは、前世から見ていたから分かってる」
「そっか……」
まあ確かにそうだな。都も勘付いていて、わざと気付いていないフリしてたし。あっちでは姿は見えなかったけど、ずっと見ていたなら知られていてもおかしくない、か。
「……手榴弾を被爆して大火傷負った時とか、右腕まるまる無くした時とか、お腹に大きな穴が開いた時とか、マイスター都が寝静まってから帰って来て、密かに自分で治療してたし」
「そこまで見てたか」
「主殿……!」
「昔の話だ」
その後、フレイがポーラの転移を感知してこっちにフィオと共に(こっそり)やって来るまで、桜の追及を俺は躱さねばならなくなったのであった。
――翌日の昼休み
「俺は地属性として扱い2体分のリリース素材となった『始源の帝王』と『
『ガァアアア!』
「このモンスターが3体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚された時、お前のフィールドのカードを全て破壊する!」
「ン何ィ!?」
神獣王バルバロス:ATK 3000
「これでお前のフィールドにカードは無くなった! 行け、ダイレクトアタックだ!」
「のあああああああっ!?」
高田:LP 50→0
黎:WIN
高田:LOSE
夜も遅いとの事で精霊界に行くのを断念した俺達(主に桜達の助言。俺は別に寝なくても平気)は、ポーラのやりたい事に付き合うため、俺、フィオ、桜、フレイのメンバーで昼を食べた後、彼女を屋上で待っていた。ちなみに本日も普通に授業がありました。
彼女を待っている間にやって来たのはご存知、ブルーのエリート思考の塊とも言える男、高田。何かギャースカ煩かったので、デュエルでボコってやっていた所だ。
神獣王バルバロス(効果モンスター)
星8
地属性/獣戦士族
ATK 3000/DEF 1200
(1):このカードはリリースなしで通常召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。
(3):このカードはモンスター3体をリリースして召喚する事もできる。
(4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのカードを全て破壊する。
始源の帝王
【永続罠】
(1):このカードは発動後、効果モンスター(悪魔族・闇・星6・攻1000/守2400)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。
このカードは罠カードとしても扱う。
(2):このカードの効果でこのカードが特殊召喚した場合、手札を1枚捨て、属性を1つ宣言して発動できる。
このカードは宣言した属性として扱い、このカードと同じ属性のモンスターをアドバンス召喚する場合、2体分のリリースにできる。
(3):このカードの効果で特殊召喚されたこのカードが存在する限り、自分はこのカードと同じ属性のモンスターしか特殊召喚できない。
星4
地属性/魔法使い族
ATK 1100/DEF 1100
(1):フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。
このカードにEmカウンターを1つ置く(最大3つまで)。
その後、その効果で自分が受けるダメージを0にする。
(3):このカードにEmカウンターが3つ置かれた時にこのカードの攻撃力・守備力は3300になる。
「ほら、満足したか? こっちは人を待ってるんだ、そら帰った帰った」
「ち、畜生、オシリスレッドの分際で!」
「お前いい加減に寮のカラーで差別すんの止めろよ。最近じゃあブルーの中でも差別意識が薄くなって来てるから肩身狭いだろ?」
「そうそう。それにわたしも聞いてるよ、高田君。君、最近デュエルで負け続きなんだって? そんなんじゃあ君の嫌いなイエローやレッドに落第しちゃうぞ」
「く、クソッタレがぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁああぁああああっ!」
俺とフィオからの助言(と言う名の追い討ち)を受けてその場を走り去る高田。
やれやれ、何がしたかった事やら。
「……お待たせ」
そのすぐ後、ポーラがやって来た。待ち合わせの時間ジャストだ。
昨晩のアイススケート選手のような衣服から一転、彼女は白い無地のシャツにデニム生地のオーバーオールという活動的な恰好をしていた。ツインテはそのままだが、マフラーも外してある。
「で、ポーラ。やりたい事があるって?」
「……サーの実力を見てみたい」
「何?」
「……私はこれから精霊界へ転移魔法を繋げ、そこで光の宝玉を持つ人に貴方を会わせる魔法を作り出す」
「それとこれと、どう関係があるんだ?」
「……宝玉の持ち主は、私と旧知の間柄。……弱い人は彼には紹介できない」
成程、俺の実力を計りたいと。
彼女の話では、光の宝玉は特別な理由があって俺でも簡単には渡せないらしい。そこで彼女と『ヴォルカニック・デビル』達の紹介状を必要とするそうだ。
確かに、友人の顔に泥は塗れないわな。
納得したに俺に対し、桜は何だか不服そうだ。
「貴様、主殿の実力を疑うと?」
「……疑ってるわけじゃない。……でも、万が一不調という事もある。……それにここでデュエルをすればデュエルエナジーが高まって転移しやすくなる。……転移先は少し特殊な場所で、陣を開いても半日はワープできない」
「そういうわけなら、受けて立つぜ」
「主殿、良いのか? この女、主殿を疑っている上に、本当に紹介するかも怪しいぞ」
「最初から全幅の信頼を寄せて来る奴よりかマシさ。適度に疑ってくれていた方が、こっちもやりやすい」
「むぅ……」
理解はしてくれたのか、一応まだ不満そうだが、桜は下がってくれた。
さて、使うデッキは……、さっきと同じで良いだろう。
デッキをシャッフルしてディスクにセットし直し、電源を入れる。エッジがレーンにそって移動し、ライフカウンターが4000を示した。
「さ、こっちは準備できてるぜ」
「……デュエルは万能」
キィィン、と、青白いディスクを彼女も装着した。あのシールドっぽいのはディスクにならないらしい。ちょっと期待してただけに残念だ。
さ、気持ちを切り替えて……!
「「デュエル!」」
黎VSポーラ
LP 4000 VS LP 4000
「……先攻どうぞ」
「なら遠慮無く! 俺のターン、ドロー!」
ふむ……、この手札ならあいつを呼べるが、相手の場が空っぽの時に出してもなぁ。
「まずは『テイク・オーバー5』を発動! デッキからカードを5枚墓地に送る!」
デッキの上からカードを連続で引き、5枚になった段階で墓地ポケットに置く。ディスクがカードを認識し、カードをそのまま呑み込んだ。
余談だが俺は親指をデッキの下から側面に沿ってこすり、必要な枚数だけピタリと抜き取るやり方が好きだ。すこぶる難しいけど。
「俺はモンスターをセット! 更にカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
まずは様子見だ。大きく動いて完全なディスアドバンテージになったら笑えない。
黎:LP 4000
手札:3枚
フィールド
:セットモンスター1体
:伏せカード1枚
「……私のターン、ドロー。……手札から永続魔法『金剛真力』を発動。……相手フィールドのみモンスターが存在する場合、1ターンに1度、レベル4以下のデュアルモンスターを1体、手札から特殊召喚できる」
金剛真力
【永続魔法】
相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下のデュアルモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
そのカードを使うって事は、彼女のデッキはデュアル軸か。
『デュアルスパーク』を初めとしてクセはあるが強力なカードが多い。油断はできないな。
「……手札から『ナチュラル・ボーン・サウルス』を特殊召喚」
『ガァアアアアッ!』
ナチュラル・ボーン・サウルス:ATK 1700
……それ入れてるのか。
デカい肉食恐竜の骨格としか形容できないモンスターがポーラの一番手。俺には正直、こいつの上手い活用方法が分からないんだぜ……。
ナチュラル・ボーン・サウルス(デュアルモンスター)
星4
闇属性/アンデット族
ATK 1700/DEF 1400
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードは恐竜族・地属性になる。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚されたモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限りアンデット族として扱う。
「……更に『カードガンナー』を召喚し、効果発動。……デッキから3枚墓地に送って、攻撃力アップ」
カードガンナー:ATK 400→1900
続いて制限カードを体験した小型マシン。キャタピラの脚部に光線銃のアーム、フェイスは透明なドームで覆われている。墓地肥し、ドロー、自己強化、レベル3と、優秀な能力を持ったモンスター。墓地を利用するデュアルデッキにはピッタリだ。
カードガンナー(効果モンスター)
星3
地属性/機械族
ATK 400/DEF 400
1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動する。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、墓地へ送ったカードの枚数×500ポイントアップする。
また、自分フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
墓地送りにされたのは……。
『フェルグラントドラゴン』
『ガガガリベンジ』
『ギガプラント』
何? 『ガガガリベンジ』に『フェルグラントドラゴン』だと?
こいつ、もしかすると単純なデュアルデッキじゃないな……?
「……バトル。『ナチュラル・ボーン・サウルス』でセットモンスターを攻撃。“ヘルダイノ・クラッシュ”」
大きな顎で伏せてあるカードに噛みつく骨の恐竜。表側表示になったモンスターにその牙を突き立てるが、口の中に突っ込まれたヘリポートのせいで顎を閉じきる事ができなかった。
マッシブ・ウォリアー:DEF 1200
「俺のセットモンスターは『マッシブ・ウォリアー』! 1ターンに1度、戦闘破壊されない!」
マッシブ・ウォリアー(効果モンスター)
星2
地属性/戦士族
ATK 600/DEF 1200
このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。
「……なら『カードガンナー』で追撃。“マシンバレット・フルシューティング”」
「チッ!」
噛みつかれた事によって脆くなっていたのか、追撃として撃たれた銃弾がヘリポートを貫き、その後ろにいた本体を撃ち抜いた。
お疲れ、『マッシブ・ウォリアー』。
「……2枚セットして、私のターンは終わり」
カードガンナー:ATK 1900→400
ポーラ:LP 4000
手札:1枚
フィールド
:ナチュラル・ボーン・サウルス(ATK 1700・通常)カードガンナー(ATK 400)
:伏せカード2枚、金剛真力(永続魔法)
「俺のターン、ドロー! ここで『テイク・オーバー5』を除外し、更にドロー!」
今度はこっちの番だ!
前のターンから出せたあいつを出すぜ!
「魔法カード『調律』! デッキからシンクロンと名のついたチューナーを手札に加えてシャッフルし、デッキトップを落とす! 俺が選ぶのは『クイック・シンクロン』!」
調律
【通常魔法】
自分のデッキから「シンクロン」と名のついたチューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフルする。
その後、自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。
墓地に送られたカードは……。
『次元幽閉』
て、テメェまでニート組に行くつもりか『次元幽閉』ィ!?
「手札のモンスターカード『クイック・シンクロン』を墓地に送り、もう1体の『クイック・シンクロン』を特殊召喚! 更に墓地の『ボルト・ヘッジホッグ』を自身の効果で特殊召喚し、手札の『チューニング・サポーター』を通常召喚!」
クイック・シンクロン(チューナー・効果モンスター)
星5
風属性/機械族
ATK 700/DEF 1400
このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、手札から特殊召喚できる。
このカードは「シンクロン」と名のついたチューナーの代わりにシンクロ素材とする事ができる。
このカードをシンクロ素材とする場合、「シンクロン」と名のついたチューナーをシンクロ素材とするモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。
ボルト・ヘッジホッグ(効果モンスター)
星2
地属性/機械族
ATK 800/DEF 800
自分のメインフェイズ時、このカードが墓地に存在し、自分フィールド上にチューナーが存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。
チューニング・サポーター(効果モンスター)
星1
光属性/機械族
ATK 100/DEF 300
このカードをシンクロ召喚に使用する場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。
このカードがシンクロモンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする。
クイック・シンクロン:ATK 700
ボルト・ヘッジホッグ:ATK 800
チューニング・サポーター:ATK 100
瞬時に俺の場に並ぶ3体のモンスター。個々のステータスは低いが、問題は無い。
「……レベル合計は、8!」
「レベル1の『チューニング・サポーター』とレベル2の『ボルト・ヘッジホッグ』に、レベル5の『クイック・シンクロン』をチューニング!」
腰から銃を引き抜いた『クイック・シンクロン』が半透明となって現れた『ジャンク・シンクロン』のカードを撃ち抜き、5つの星に変わる。
その星は5つの幾何学模様のリングに変わり、その中を中華鍋を被った小型人型機械とボルトを背負ったハリネズミが通過した。
「集いし闘志が、怒号の魔人を呼び覚ます! 光差す道となれ!」
☆1+☆2+☆5=☆8
「シンクロ召喚! 粉砕せよ、『ジャンク・デストロイヤー』!」
『デヤァッ!』
ジャンク・デストロイヤー:ATK 2600
光の柱の中から出て来たのは4本腕の、全てを破壊するエネルギーを身の内に秘めた廃品パーツの巨人。
様々な局面でお世話になる、強力なジャンク系シンクロモンスターだ。
「このモンスターは!」
「はい、プライドの時に出て来て、場をこじ開けたモンスターです!」
「『ジャンク・デストロイヤー』の効果発動! こいつがシンクロ召喚に成功した時、素材モンスターの数-1体分まで場のカードを破壊できる!」
ジャンク・デストロイヤー(シンクロ・効果モンスター)
星8
地属性/戦士族
ATK 2600/DEF 2500
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードのシンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数までフィールド上のカードを選択して破壊できる。
「対象はこっちから見て右の伏せカードと『ナチュラル・ボーン・サウルス』! “タイダル・エナジー”!」
わざわざあの使い辛いモンスターを呼んだって事は、何か策があるという事だろう。ならこのまま吹っ飛ばして押し切るまで! お前のターンまで残らせるつもりは無い!
「……狙われたカード、速攻魔法『デュアルスパーク』を発動。……自分の場のレベル4デュアルをリリースし、場のカードを1枚破壊する。……私は『ナチュラル・ボーン・サウルス』をリリースし、『ジャンク・デストロイヤー』を破壊する」
「何!?」
「……貴方は少々深読みしすぎる。……もっと肩の力を抜かないと、こういう単純な罠にかかる」
デュアルスパーク
【速攻魔法】
(1):自分フィールドの表側表示のレベル4のデュアルモンスター1体をリリースし、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。
ポーラの骨恐竜が魔法カードの中に光と消え、そこから放たれた電撃に俺の魔人が破壊された。遅れて破壊の洪水がポーラの場を押し流すが、残念ながら力を使った後の魔法カードが1枚砕けただけとなってしまった。
成程、『ナチュラル・ボーン・サウルス』はミスリードを狙ったモンスターというワケか。素材の段階で叩かなかったのは別途追加でモンスターを呼ばれる事を警戒したからだろう、『ジャンク・デストロイヤー』はシンクロ召喚時にしか効果が発動しないから、EXデッキに残しておく方が危険と判断したって所か。
「……更に1枚ドロー」
「やるな、『チューニング・サポーター』の効果で俺も1枚ドロー!」
だがお楽しみはこれからだ!
「罠発動、『ロスト・スター・ディセント』! 俺の墓地のシンクロモンスター1体のレベルを1つ下げ、守備力を0にして守備表示で復活させる。カムバック、『ジャンク・デストロイヤー』!」
ジャンク・デストロイヤー:DEF 2500→0
ロスト・スター・ディセント
【通常罠】
自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、レベルは1つ下がり守備力は0になる。
また、表示形式を変更する事はできない。
「ただしこの効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、表示形式の変更はできない。だがそれ以外には制約はついていない。俺は『ジャンク・デストロイヤー』をリリースし、『ターレット・ウォリアー』を特殊召喚!」
『トァ!』
ターレット・ウォリアー(効果モンスター)
星5
地属性/戦士族
ATK 1200/DEF 2000
このカードは自分フィールド上の戦士族モンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。
この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は、リリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする。
ターレット・ウォリアー:ATK 1200→3800
動かなくなった廃品の魔人が光の中に消え、その中からレンガ作りの砲塔の戦士が現れた。中には誰もいません。
「……攻撃力3800!?」
このカード、意外と使える。こうやって手札消費1枚でバニラ同然になった、或いは何らかの理由で弱体化した戦士族をリリースすれば瞬時に出て来れる。装備魔法と違って『サイクロン』を気にする必要も無いし、攻撃力900の『スピード・ウォリアー』ですら2100になる。
「バトル! 『ターレット・ウォリアー』で『カードガンナー』を攻撃! “リボルビング・ショット”!」
「……罠カード『ガード・ブロック』を発動。……ダメージを0にして、1枚ドロー」
「なぬ!?」
「……『カードガンナー』が破壊されて私の墓地に送られた事で効果発動、もう1枚ドロー」
肩口の砲身からバラ撒かれた無数の銃弾の雨を、ポーラの周りに展開されたバリアがガードする。手前にいた小型の月面探査用のようなマシンは木端微塵に消し飛んだが、ポーラの方にダメージは通らなかった。
ぬぬぬ、3400のダメージを打ち消されたか……。
できればここで致命傷を与えておきたかったんだが……。
「俺はカードを1枚セットし、ターンを終了する」
黎:LP 4000
手札:1枚
フィールド
:ターレット・ウォリアー(ATK 3800)
:伏せカード1枚
「……私のターン、ドロー」
にしても、前のターンにあれだけのカードを消費したってのに、このドローで手札4枚とは参るね。
「……『金剛真力』の効果発動。……手札からレベル4の『炎妖蝶ウィルプス』を特殊召喚」
炎妖蝶ウィルプス:ATK 1500
紅に燃える炎の羽を持った蝶が現れる。確かあのモンスターはリリースして、墓地の同名以外のデュアルモンスターを再度召喚した状態で特殊召喚できたはず。
「……続いて『ゴブリンドバーグ』を召喚。……このカードは召喚された時、手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚し、守備表示になる。……効果で手札のレベル4の『ガガガマジシャン』を特殊召喚」
ゴブリンドバーグ:ATK 1400→DEF 0
ガガガマジシャン:ATK 1500
チッ、更にモンスターを増やすか!
炎妖蝶ウィルプス(デュアルモンスター)
星4
炎属性/昆虫族
ATK 1500/DEF 1500
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードをリリースする事で、自分の墓地に存在する「炎妖蝶ウィルプス」以外のデュアルモンスター1体を特殊召喚する。
この効果によって特殊召喚されたデュアルモンスターは再度召喚された状態になる。
ゴブリンドバーグ(効果モンスター)
星4
地属性/戦士族
ATK 1400/DEF 0
このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
この効果を使用した場合、このカードは守備表示になる。
ガガガマジシャン(効果モンスター)
星4
闇属性/魔法使い族
ATK 1500/DEF 1000
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動できる。
エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルになる。
「ガガガマジシャン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
このカードはシンクロ素材にできない。
「これでレベル4が3体です!」
「……まだ終わらない。……魔法カード『黙する死者』。……墓地の通常モンスターを守備表示で特殊召喚。……『ギガプラント』、復活」
ギガプラント:DEF 1200
今度はカーガンの効果で墓地に送られたモンスターか……!
だんだん読めて来たぞ、こいつのデッキ……! 恐らくポーラのデッキはレベル4を軸に数種類の高レベルエクシーズモンスターをデュアルやガガガの展開力で特殊召喚する、言うならば【エクシーズ軸ガガガデュアル】!
『フェルグラントドラゴン』の存在が謎だったが、『ブラック・ブルドラゴ』とランク6のあのモンスターの存在で大体読めた。『ブルドラゴ』が墓地にいない場合、『トレード・イン』か何かで墓地に送り、復活させて戦う算段なのだろう。
「あれ、『ギガプラント』って効果モンスターだよね? この間桜さんがオフレコでブルー撃退した時にモンスター効果使ってたし」
フィオ、オフレコ言うな。
「マスター、『ギガプラント』もまたデュアルモンスターなのです。あの類のモンスターはフィールドで再召喚しないと効果モンスターにならないのです」
「つまり、デッキ・手札・再召喚すれば効果モンスター、それ以外では通常モンスターとして扱われるのだ」
黙する死者
【通常魔法】
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。
ギガプラント(デュアルモンスター)
星6
地属性/植物族
ATK 2400/DEF 1200
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の手札・墓地から昆虫族または植物族モンスター1体を選んで特殊召喚する。
「……私は『ガガガマジシャン』の効果発動。……1ターンに1度、ターンが終わるまで、レベルを1から8の中から好きな数字に変更できる。……これでレベルを6にする、“レベル・シフティング”」
ガガガマジシャン:☆4→6
これで、レベル4と6が2体ずつ……。来る!
「……まずはレベル4の『炎妖蝶ウィルプス』と『ゴブリンドバーグ』でオーバーレイ」
『ヘヘヘェ!』
『フゥオッ!』
「……2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築」
☆4×☆4=★4
「……エクシーズ召喚。……出でよ、『ジェムナイト・パール』」
『トァッ!』
ジェムナイト・パール:ATK 2600
出た、簡単に『ヴェルズ・オピオン』殴り倒せる心強い味方。
銀河の爆発から生まれ出でた正しく真珠のような白磁の、隆々とした筋骨を思い起こさせる体。力強い緑の瞳が俺を睨む。
「……続いて、レベル6の『ギガプラント』と『ガガガマジシャン』でオーバーレイ」
『ギシャァッ!』
『ガガッ!』
「……2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築」
☆6×☆6=★6
「……エクシーズ召喚。……蠢け、『甲虫装機エクサビートル』」
『ギギィッ!』
甲虫装機エクサビートル:ATK 1000
やはり、こいつを出して来たか……!
金色に輝くボディ、カブト虫の角を思わせる右腕のランスと尖った頭部、所々に走る赤いライン。ランク6の中でも変わり者の一体が登場し、その金色の瞳で『ジェムナイト・パール』と同じようにこちらを睨んで来た。
ジェムナイト・パール(エクシーズモンスター)
ランク4
地属性/岩石族
ATK 2600/DEF 1900
レベル4モンスター×2
甲虫装機エクサビートル(エクシーズ・効果モンスター)
ランク6
闇属性/昆虫族
ATK 1000/DEF 1000
レベル6モンスター×2
このカードがエクシーズ召喚に成功した時、自分または相手の墓地のモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。
このカードの攻撃力・守備力は、この効果で装備したモンスターのそれぞれの半分の数値分アップする。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、自分及び相手フィールド上に表側表示で存在するカードを1枚ずつ選択して墓地へ送る。
「……『エクサビートル』の効果。……エクシーズ召喚に成功した時、自分か相手の墓地のモンスター1体を装備し、その攻守の半分を得る。……『フェルグラントドラゴン』を装備」
甲虫装機エクサビートル:ATK 1000→2400/DEF 1000→2400
ポーラの墓地からエネルギー体になった白金色の龍が現れ、金色の虫の戦士に纏わりつく。そう、これは【サイバーダーク】や【巨神竜】でも再現できるコンボ。
「……更に『エクサビートル』の効果発動。……1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、自分と相手の場に表側表示で存在するカードを1枚ずつ墓地に送る。……『フェルグラントドラゴン』と『ターレット・ウォリアー』を選択」
「くっ!」
エネルギー体となったドラゴンがランスの穂先から撃ち出され、レンガ造りの砲塔戦士を貫いた。
本来『フェルグラントドラゴン』は“フィールドから墓地に送られないと”特殊召喚できない。だが、それは“モンスターカードゾーンから墓地に送られる”事が条件では無い。即ち、装備カードとして魔法・罠ゾーンから墓地に送られても蘇生の条件を満たすという事!
甲虫装機エクサビートル:ATK 2400→1000/DEF 2400→1000
「マズいね。これで黎の場にモンスターは0、2体の攻撃を通してもまだライフは残るけど……」
「違う、あのモンスターはただの踏台、この後に出て来るモンスターの素材に過ぎない。あいつが戦うワケじゃない!」
「……正解。……私はランク6の『エクサビートル』でオーバーレイ。……1体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを再構築。……エクシーズ・チェンジ」
「え、エクシーズモンスターを素材に!?」
★6→★7
「……貫け、『迅雷の騎士ガイアドラグーン』。……このカードは、ランク5か6のエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる」
迅雷の騎士ガイアドラグーン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク7
風属性/ドラゴン族
ATK 2600/DEF 2100
レベル7モンスター×2
このカードは自分フィールド上のランク5・6のエクシーズモンスターの上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
迅雷の騎士ガイアドラグーン:ATK 2600
あっと言う間に上級モンスター相応の攻撃力が2体……! 手札こそ使い切ったが、この2体の攻撃が通れば俺のライフは尽きる。
「……バトル。……2体のモンスターで、ダイレクトアタック。……この程度とは、呆気無い。……私の見込み違いだった。……“ドラグーン・シェイバー”」
「ハ、甘ェよ! 罠発動! こっちも『ガード・ブロック』だ! 俺が受けるダメージを0にし、1枚ドローする!」
ガード・ブロック
【通常罠】
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
「……なら『ジェムナイト・パール』で攻撃。……“パール・ナックル”」
「ぐ……っ!」
黎:LP 4000→1400
炸裂する白色の鉄拳。一発目の螺旋エネルギーを纏った龍の槍は防げたが、こっちまではガードが間に合わなかった。
「……ターンエンド」
ポーラ:LP 4000
手札:0枚
フィールド
:迅雷の騎士ガイアドラグーン(ATK 2600・ORU:2)、ジェムナイト・パール(ATK 2600・ORU:2)
:金剛真力(永続魔法)
「俺のターン!」
ちょっとデカいダメージを食らったが、まだ1000を上回っている。『簡易融合』だって使えるレベルだし、余程下手な事をしなければ0になる心配も無い。
手札は3枚、今度はこっちから行くぜ!
「俺は『シンクロン・エクスプローラー』を召喚!」
『キィィッ!』
シンクロン・エクスプローラー:ATK 0
飛び出す赤いビーダマn……、もとい小柄な、胴体に大きな空洞がある赤い機械。丸くデフォルメされていて、空洞の奥は真っ暗で何も見えない。
「このカードが召喚に成功した時、俺の墓地から“シンクロン”と名のついたモンスターを1体選び、効果を無効にして特殊召喚できる! 墓地の『クイック・シンクロン』を特殊召喚!」
『ハッ!』
クイック・シンクロン:ATK 700
シンクロン・エクスプローラー(効果モンスター)
星2
地属性/機械族
ATK 0/DEF 700
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「シンクロン」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
あいつの墓地には『フェルグラントドラゴン』がいる。記憶が正しければ、ポーラの墓地にいる最も高いレベルは『ギガプラント』の6。つまり攻撃力2600以下を出すと確実に負ける。
『クイック・シンクロン』の素材代用効果はモンスター効果では無いから無効にならない。つまり出せるのはレベル7のシンクロンを素材にするモンスター。そしてこの状況と手札なら、出すべきモンスターはあいつしかいない。
「レベル2『シンクロン・エクスプローラー』に、レベル5『クイック・シンクロン』をチューニング!」
☆2+☆5=☆7
「シンクロ召喚! 燃え上がれ、『ニトロ・ウォリアー』!」
『ハァッ!』
ニトロ・ウォリアー:ATK 2800
来た来た、レベル7最高水準の攻撃力! 緑のボディに、火薬の詰まった太い腕。悪魔然とした顔つきに背後に付属されたブースター。上手く行けば手札消費2枚で召喚でき、更に追加攻撃と自己強化を持つ強力なアタッカーだ。
「凄い、攻撃力2800! 相手の攻撃力を上回った!」
「バトル! 『ニトロ・ウォリアー』で『ジェムナイト・パール』を攻撃! 更にこの攻撃宣言時に手札から速攻魔法『エネミー・コントローラー』を発動! これで『ガイアドラグーン』を守備表示にする!」
迅雷の騎士ガイアドラグーン:ATK 2600→DEF 2100
「更にダメージ計算時に『ニトロ・ウォリアー』の効果発動! 自分のターン中に魔法カードが使用された場合、1度だけ攻撃力を1000ポイントアップさせる!」
ニトロ・ウォリアー:ATK 2800→3800
「……攻撃力、3800……!」
ニトロ・ウォリアー(シンクロ・効果モンスター)
星7
炎属性/戦士族
ATK 2800/DEF 1800
「ニトロ・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のターンに自分が魔法カードを発動した場合、このカードの攻撃力はそのターンのダメージ計算時のみ1度だけ1000ポイントアップする。
また、このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊したダメージ計算後に発動できる。
相手フィールド上に表側守備表示で存在するモンスター1体を選択して攻撃表示し、そのモンスターにもう1度だけ続けて攻撃できる。
「“ダイナマイト・ナックル”!」
「……くっ!」
ポーラ:LP 4000→2800
緑のオーラを纏った両拳が、白い巨人を殴り倒す。
まだまだ、ここからだ! こいつの真骨頂を見せてやる!
「相手モンスターを戦闘破壊したこの瞬間、『ニトロ・ウォリアー』のもう1つの効果発動! 相手の場に表側守備表示で存在するモンスターを1体選び、そいつを攻撃表示にする! そしてそのモンスターを相手に、続けて攻撃できる! “ダイナマイト・インパクト”! 攻撃力は下がっちまうが、『ガイアドラグーン』を葬るには十分だ!」
迅雷の騎士ガイアドラグーン:DEF 2100→ATK 2600
ニトロ・ウォリアー:ATK 3800→2800
「“ダイナマイト・ナックル・セカンド”!」
「……くぅっ!」
ポーラ:LP 2800→2600
再び拳を振るい、竜に乗った槍騎士が殴り倒される。
これでポーラの場はガラ空き。手札も0だから圧倒的に俺が有利! 逆転があってもそう簡単にやられる状況じゃ無いぜ!
「カードをセット、ターンエンド!」
黎:LP 1400
手札:0枚
フィールド
:ニトロ・ウォリアー(ATK 2800)
:伏せカード1枚
「……私のターン、ドロー。……『天使の施し』を発動。……このカードの効果によりデッキから3枚をドローし、その後手札を2枚捨てる」
「ここで手札交換か……」
彼女の手札は1枚、ここでポーラが何を手札に残したかで勝負が決まる。
さあ、何を引いた。
「……魔法カード『死者蘇生』を発動」
な!?
「何ィ!? ここで『死者蘇生』だとぉ!?」
死者蘇生
【通常魔法】
(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
「……私は墓地から『フェルグラントドラゴン』を特殊召喚」
『アンギャァァァァァァッ!』
フェルグラントドラゴン:ATK 2800
ここでそのカードを引くとは驚きだぜ……! 金色に輝くその龍も、待ってましたとばかりに満を持して登場ってわけか。
「ふぇ、『フェルグラントドラゴン』って確か、フィールドから墓地に送らないと特殊召喚できないはずじゃあ……」
「送りましたよ、マスター。ええ、フィールドから」
「い、いつ!?」
「送っただろう、『エクサビートル』の効果で、装備カードとして」
「あ、あれで良いの!?」
「うむ、あくまで“フィールドから墓地へ送る”事が条件だからな。何のカードとして、は問わないのだ」
「で、でも攻撃力は『ニトロ・ウォリアー』と互角……!」
「……『フェルグラントドラゴン』の効果。……墓地から特殊召喚した時、私の墓地のモンスターを1体選び、そのレベル×200ポイント、攻撃力がアップする。……“グランド・チャージャー”」
「そ、そんなのアリ!?」
ブゥン、とポーラの墓地から『
あれは直前の『天使の施し』で捨てていたのか。
フェルグラントドラゴン:ATK 2800→4400
「……これで、『フェルグラントドラゴン』の方が攻撃力は高くなった」
「チィ……ッ!」
フェルグラントドラゴン(効果モンスター)
星8
光属性/ドラゴン族
ATK 2800/DEF 2800
このカードは墓地からの特殊召喚しかできず、フィールド上から墓地へ送られていなければ特殊召喚できない。
このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、自分の墓地のモンスター1体を選択して発動する。
このカードの攻撃力は、選択したモンスターのレベル×200ポイントアップする。
星8
闇属性/悪魔族
ATK 2800/DEF 200
(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。
その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードがモンスターゾーンに存在する限り、デュアルモンスターの召喚は無効化されない。
●1ターンに1度、自分の墓地のデュアルモンスター1体を除外し、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
「……バトル。……『フェルグラントドラゴン』で『ニトロ・ウォリアー』を攻撃。……“フェルグラント・バースト”!」
攻撃力の差はそのまま1600、俺のライフは1400、受ければ負ける!
「罠カードオープン、『スキル・サクセサー』! これで攻撃力を400アップさせるっ! ぐぅぉおおおおおおおおっ!」
ニトロ・ウォリアー:ATK 2800→3200
黎:LP 1400→200
力強いブレスによって燃え尽きる緑の爆薬戦士。
だが、俺のライフは辛うじて残っている。まだ俺は負けてない。
「……ターンエンド」
ポーラ:LP 2600
手札:0枚
フィールド
:フェルグラントドラゴン(ATK 4000)
:金剛真力(永続魔法)
「まだ決着はついていないぜ、ポーラ。俺のターン!」
「……まだ戦うの?」
「あたぼうよ。まだライフは残っている、負けを認めるのは最後だってできる。諦めるのはまだ早いってワケさ」
それに、このデッキは俺が信じて丹精込めて作り上げたもの。俺が信じずしてどうする。
熱く、強い思いに、デッキは必ず応えてくれる。これまでの戦いでは、全てそうだった。負けたくない、勝ちたいという心に応じてデッキはカードを導く。だからデュエリストは最後まで、どんな状況でも諦めてはいけないんだ。
一見するとそれはただの根性論。だが、根性というのはバカにならない。歴史を紐解いたって根性論が理論や緻密な戦略を打ち破った例は何度かある。
熱く燃える闘魂は、バカにならないのだ。
そう力説する俺を見て、ポーラは嘆息した。
「……サー、貴方は変わった。……昔はもっと暗くて、常に復讐や殺しの事ばかり。……今のサーの様に、希望に満ち溢れてなんていなかった。……もっとこう、絶望から生まれた、真っ黒でドロドロの、そう、殺人鬼みたいな感じだった」
「そっちの方が、お前は良かったのか?」
「……人としてなら、今の方が断然良いと思う。……でも……」
そこまで言って、彼女は首を振った。
「……今は、いいや。……デュエルを続けよう」
「分かった。ドロー!」
「……貴方の手札は1枚、それで攻撃力4400は攻略できない」
「それはどうかな?」
「!」
デュエリストが誰もが1度は言ってみたいセリフを吐きつつ、俺は引いたカードを右手に移した。
「ポーラ、このデュエル貰ったぞ!」
「……!」
「魔法カード『シンクロ・オーバーテイク』発動! エクストラデッキのシンクロモンスターを相手に見せて、その素材モンスターを手札に加えるか特殊召喚できる! 俺は『ジャンク・バーサーカー』を見せて、デッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加える!」
シンクロ・オーバーテイク
【通常魔法】
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):EXデッキのSモンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されているS素材モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選び、手札に加えるか特殊召喚する。
このカードを発動するターン、自分はSモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
「……それで出せるのはレベル5までのシンクロモンスター。……それじゃあ攻撃力4400は倒せない」
「ああ、だからこうする! ここで墓地の『ラッシュ・ウォリアー』を除外して効果発動、墓地から『シンクロン・キャリアー』を手札に戻し、通常召喚!」
シンクロン・キャリアー:ATK 0
「……? ……通常召喚しなければ『ジャンク・シンクロン』の効果は使えない、このターンはシンクロモンスター以外をエクストラデッキから召喚も出来ない。……何のつもり?」
「『シンクロン・キャリアー』の効果で、俺は“シンクロン”を追加で召喚できる」
「!」
ラッシュ・ウォリアー(効果モンスター)
星2
風属性/戦士族
ATK 300/DEF 1200
「ラッシュ・ウォリアー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の「ウォリアー」Sモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
その戦闘を行う自分のモンスターの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ倍になる。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「シンクロン」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。
シンクロン・キャリアー(効果モンスター)
星2
地属性/機械族
ATK 0/DEF 1000
「シンクロン・キャリアー」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「シンクロン」モンスター1体を召喚できる。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、このカード以外の「シンクロン」モンスターが戦士族または機械族SモンスターのS素材として自分の墓地へ送られた場合に発動できる。
自分フィールドに「シンクロントークン」(機械族・地・星2・攻1000/守0)1体を特殊召喚する。
「『ジャンク・シンクロン』、出て来い! 効果で墓地から『シンクロン・エクスプローラー』を特殊召喚!」
『ハッ!』
ジャンク・シンクロン:ATK 1300
シンクロン・エクスプローラー:DEF 700
金色に輝く『スピード・ウォリアー』の力で墓地から引き上げられ、場に出て来たクレーン車のような機械戦士。自身の通った召喚ゲートが閉じる前に腕のクレーンをその中に伸ばすと、眼鏡をかけた調律者が飛び出した。
橙色の調律者は今度は自力で召喚ゲートを開けると、内側から赤いビー玉を撃ち出しそうなマシンを呼び出す。
これでこのターンに召喚すべきモンスターの素材は揃った!
ジャンク・シンクロン(チューナー・効果モンスター)
星3
闇属性/戦士族
ATK 1300/DEF 500
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
「……まさか、手札0からモンスターが3体も出て来るなんて……!」
「俺はレベル2の『シンクロン・エクスプローラー』と『シンクロン・キャリアー』に、レベル3の『ジャンク・シンクロン』をチューニング! 集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す。光さす道となれ!」
☆2+☆2+☆3=☆7
腰のリコイル・スターターを引っ張ってエンジンをかけると、橙の戦士が3つの星に変わり、それが幾何学模様の緑のリングとなる。
一列に並んだ緑の輪の中心にクレーン車と玩具を模した小型機械が入り、輪郭線以外を残して消滅する。輪郭線の中にはレベルに応じた数の星があり、やがて輪郭線も消滅すると、合計4つの星だけが残り、大きな光の柱となった。
「シンクロ召喚! 吠えろ、『ジャンク・バーサーカー』!」
『グォォォォ、ガァァァッ!』
ジャンク・バーサーカー:ATK 2700
光の柱から咆哮と共に現れる一本角の魔人。焔を模したような赤と黄色のアーマーに、身の丈を超えるギザギザの刃の大斧。緑の瞳が力強く輝き、悪魔のような翼がはばたく。
……そこ、アニメでの事は言うな。
「『ジャンク・バーサーカー』の効果発動! 自分の墓地から“ジャンク”と名のついたモンスターを1体除外し、その攻撃力分、相手モンスター1体の攻撃力を下げる!」
ジャンク・バーサーカー(シンクロ・効果モンスター)
星7
風属性/戦士族
ATK 2700/DEF 1800
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
自分の墓地に存在する「ジャンク」と名のついたモンスター1体をゲームから除外し、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。
選択した相手モンスターの攻撃力は、除外したモンスターの攻撃力分ダウンする。
また、このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。
「俺は墓地から『ジャンク・シンクロン』を除外し、『フェルグラントドラゴン』の攻撃力を1300下げる! “バーサーク・ハウリング”!」
ガァァァァァッ! と地響きが海の果てまで届かんばかりに轟き、半透明の『ジャンク・シンクロン』が竜めがけて突進する。衝突した橙色のエンジニアは、そのまま金色の竜を弱らせた。
フェルグラントドラゴン:ATK 4400→3100
「……く、でも攻撃力は『ジャンク・バーサーカー』の方が低い、倒される事は無い。……お互いに手札は0枚の今、次のターンに持ち越せば、ライフ200の貴方に勝ち目は無い!」
「何か勘違いしてねぇか?」
「……え?」
「お前に次のターンは回って来ない! 『ジャンク・バーサーカー』の効果発動!」
「な!?」
「墓地から『ジャンク・デストロイヤー』を除外し、2600ポイント、攻撃力を削り取る! “バーサーク・ハウリング”!」
フェルグラントドラゴン:ATK 3100→500
再び響き渡る咆哮。自分の重さすら支えられなくなった金色の龍は、とうとう地面にへたり込んでしまった。
この弱体化効果、風変わりなコストを要求する反面、弱体化にタイムリミットが無い上に1ターン内の制限回数も無い。中々面白い効果だと思っている。
「攻撃力が500になっちゃった!」
「……でも、まだ」
「2700から500を引いても2200ダメージ、お前の2600ポイントのライフを削る事は出来ない。そう思ってるなら、お前はある事を忘れているぞ」
ディスクを操作し、墓地のカードを1枚指定する。
墓地から取り除かれたその赤いカードが、効果を発動するためにフィールドに表示されると同時、ポーラの目は分かりやすく見開かれた。
「墓地の『スキル・サクセサー』を除外し、効果発動。『ジャンク・バーサーカー』の攻撃力は800アップする」
ジャンク・バーサーカー:ATK 2700→3500
「……あ、ああ……、あ……っ!」
「攻撃力の差はこれで3000、お前のライフを上回った。……お前言ったな、互いに手札0だって」
墓地に不明なカードは無い、伏せカードも無し。
フィニッシュだ。
「バトル! 『ジャンク・バーサーカー』で『フェルグラントドラゴン』を攻撃! “バーサーク・アックス”!」
斬! 巨大な斧が一閃、金色の龍を正中線で真っ二つに切断する。
お約束の大爆発が発生し、ポーラを巻き込んで周囲を思う存分蹂躙した。
「く、あぁぁあぁあああああああああああああっ!」
ポーラ:LP 2600→0
黎:WIN
ポーラ:LOSE
「俺の勝ちだな」
「やったね、黎!」
「お見事です!」
「鮮やかな逆転だった!」
デュエルが終了し、仲間3人が俺に賛辞を贈る中、ポーラは俯いて黙ったままだった。
「……どうした、ポーラ?」
「……何でもない。……どうでも良いけど、語頭に三点リーダをつけると私と紛らわしい」
「知らんがな」
何をメタな事を言ってやがる、この娘は。
「……ありがとう、貴方の実力は分かった。……夕方にはここに陣が開けるから、また来て欲しい」
「分かった」
チラリと時計を見ると、昼休みもそろそろ終わる。教室までギリギリといった所か。
戻るか、と思った時、ポーラが俺を呼び止めた。
「……待って、サー。……一つだけ」
「何だ?」
「……私はこう見えて、占いなんかもやってる。……的中率はそれなりに高い」
ああ、舞姫だもんな。神楽舞台なんかで神を自分に降ろして、信託を伝えるのが役目だったか。
それがどうかしたか? 死相でも見えたか?
茶化して聞くと、ポーラは何故か悲しげに首を振った。
「……私は、占いが100%当たる時はそうだと分かる。……サー黎、貴方の未来に見えたのは……」
地獄よりも苦しい絶望と、幸福を根底から覆す死よ。
そんな無慈悲な、或いは何処かで予想していた、いやそれ以上の未来を宣言された。
俺は何故か、その予言に対し、安堵を憶えてしまっていた。
やっと、死ねるのか。やっと、全てに償えるのか。
そんな感情しか、湧いて来なかった。悲しみも戸惑いも、一切無かった。
to be continued
次回は閑話として新しく執筆しているストーリーを挟む予定です
過去に「負けられない戦いなら、今のインフレ環境のガチカード使えよ。相手に何もさせない制圧展開させないなら転生させた意味無いだろ」という突っ込みがあったので、そちらに自分なりの回答をする形でもあります