遊戯王GX~精霊の抱擁~   作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民

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黎「うん? 今回は最強カードのコーナーが無いのか?」

フィオ「わたし達の誰も登場しないからやらないんだって」





※今回はソリティア回です、グダグダと長いプレイングが続きます
※マジで殆どソリティアしかしてません、読み飛ばしても大丈夫です


閑話:問題児達を異世界から呼び寄せたようです 上

 

「どういう事ですか!」

 

 どこでもない空間で、声を荒げる者がいた。

 白くぼんやりと光る天使のような妙齢の女性だ。黎が死した後、都の魂が囚われた事を知らせたのもこの天使である。

 

「どうもこうも無い」

 

 対するは、同じく光を放つ天使。

 こちらは中年男性のようで、白い光も薄く黄色がかっている。女性の光がやや青白い感じがするのと対照的だ。

 

「あの世界について、邪神についてはわたしに一任されていた筈です! 何故、一体どういう権限で貴方がそこに手を出すのですか!」

「何、半年以上経過しているのに討伐できていない君の遅さに失望してね。上に掛け合ってボクにも手助けを出来るようにして貰っただけだよ」

「勝手な事を……!」

 

 彼らは神の眷属、或いは天使と呼ばれる存在。世界の均衡を監視し、或いは人間の手には負えない邪悪を打ち消し、時に人間として降り立つ力ある者達だ。

 女性の天使はある世界に干渉して作業をしていた所、男性の天使に横槍を入れられたようである。

 

「しかも死ぬ予定では無かった人を無理矢理転生させましたね……! 何を意味するか分からないとは言わせませんよ!」

「あーあー、知ってる知ってる。人間の転生は魂の調律や配分が~って奴だろう? そこら辺はしっかり理解しているさ、君と違ってボクは優秀なんでね」

 

 あまりにもあんまりな言い分に、女性の天使は言葉が詰まった。

 本来、黎のように人間を気軽に転生させるのはタブーとされている。何故なら世界にはルールやバランスというものが存在するからだ。それを超えて好き勝手やってしまうと、目に見えないエネルギーや幸不幸の領域で不具合が起きてしまう。

 不具合から世界を守るため、或いは調整するために自分達は存在するのであって、故に『バランサー』とも呼ばれるのだ。

 女性の天使が黎を転生させたのは邪神討伐のための特例であり、また外部の手によってだが都という近親者の前例が作られたから、被害が極微に抑えられるからでもある。それ故に黎は無問題では無くともスルーして構わない案件となり、かつ世界に不具合を起こさない存在となる。

 だがこの男の天使がやった事は違う。生きている命を天使の身勝手な理由で強制的に殺し、違う世界に移す。それはハッキリ言って横紙破りや越権どころではない、明確な違反行為だ。

 

「……貴方には重い罰が下るでしょう」

「有り得ない。何故ならボクはこの一手で邪神を討つためのチェックメイトを果たすからだ」

 

 

  ☆

 

 

──某所の街中・夕方

 

 

 ラースはその日も、邪神に捧げるための魂を狩るため人間の町を闊歩していた。

 狙うは出来る限り自意識の高い、つまりプライドの高い人間。後は何かを守ろうとしている人間も良い。そうした輩は敗北した時とびきりの『悔しい』という感情を生み出し、それが邪神復活の上質な糧となるのだ。

 喪服のような黒いスーツとテンガロンハットを身に着ける男は、今日の成果に眉をしかめる。

 

「……この辺りは粗方狩り尽くしてしまったか。まったく、これだから人間は下等なのだ。我らが邪神様を復活させるための生贄にすらなれぬ哀れで薄っぺらい人生ばかり送っている」

 

 凡百(ぼんぴゃく)の一般人ではコスパが悪い。

 こうして現世で活動するのも、カードに封印するのも、決してタダでは無いからだ。

 出来れば1人で2人分、可能なら10人分以上に匹敵する程に自尊心が無駄に膨れた増上慢な人間が望ましい。

 

「止む無し、次の狩場を探すか」

 

 とはいえ、簡単にそれと出会えれば邪神も封印なんぞ受けていなかっただろう。

 そうした心が悪と見られ、批判され、正されて来たからこそ、邪神は人間にとっての邪神足り得るのだ。

 はぁ、と勝手に失望した嘆息を吐き捨て、ラースは一歩前に踏み出し……。

 

「ほう」

 

 そこで止まった。

 

「男が2人に女が1人か、我に何用だ?」

「チッ、気付いてたのか」

「だから言ったっしょ、コソコソしてても意味無ぇって」

「まぁまぁ」

 

 日が沈みかけている物陰から、3人の男女が現れる。

 1人は粗暴そうな丸刈りの少年。年は15歳くらいか。

 1人は派手な化粧に七色に波打った色の髪を持つ女。二十歳前後だろう。

 1人はスーツを着込んだ眼鏡の青年。若い事以外は見た目からは年齢は分からない。

 

「人間はこの時間帯を相手の姿が見えぬ故に『誰そ彼(たそかれ)時』と呼び、やがて『黄昏時』となったそうだな。何者だ貴様らは」

 

 ラースは一目で判断していた。こいつらは弱くない、と。或いは黎と互角かそれ以上に強い、と。

 そして同時にこうも思っていた。『この3人、生贄として非常に適している』と。

 

「アァ? ンでテメェに名乗らねぇとならねぇんだよ」

「そう言わずに、これから倒される人の名前くらい覚えてから死んで貰いましょうよ」

「ウケる、冥途の土産って奴?」

 

 チンピラが1人、ギャルが1人、それをまとめているのが1人。

 ニヤ、とラースは笑った。

 

「成程、そこの男共の言う通りだ。我に名乗る必要も、名乗らせる必要も無い。墓も建てられぬ死人に名前があっても意味は無かろうよ」

「物分かり良いじゃねぇか」

「無論。だが敢えて我は名乗ろう、我はラース。邪神様の護衛の長にして最強の護衛、憤怒のラースである」

 

 黒いテンガロンハットを脱いで一礼をし、被り直す。

 邪悪な存在と思えない程の礼儀に、しかしガラの悪い男は鼻で嗤うだけだった。

 

「ヘッ、テメェがそうなのか。んじゃあとっととやろうや、テメェさえ片付ければテメェのボスまで一直線だからなぁ!」

 

 嘲うスキンヘッドの男がデュエルディスクを装着し、エネルギーリングが展開される。

 

「ほう……、変わった形のデュエルディスクだな」

 

 ラースは知る由も無いが、『遊戯王VRAINS』で広く使用されている腕輪型のデュエルディスクだ。

 

「あーあ、アクファのキュイーンって奴の方が好きだったなアタシ」

「良いじゃありませんか、こちらの方が軽くてコンパクトですよ」

 

 このタイプのデュエルディスクは、データとして内部にカードを所持しており盗難や紛失の恐れも無く、デッキの編集等も容易だ。

 ソリッドヴィジョンのシステムさえあれば、こういった事も可能なのである。

 

「察するに、我が主の邪神様を討伐するため派遣された天の遣いの尖兵か」

「そうだ! ここに来た転生者があんまりにもグズいんでな、別の神様がオレ達を呼んだんだよ!」

「ぶっちゃけGX時代程度なら、アタシらで蹂躙できるしね。このままこの世界でデュエリストのキングになるのもアリじゃね?」

「良いですねぇ。ではまず、目の前のこの害虫を退治しましょう。我々の栄光のロードはその先にしかありませんから」

 

 ギャル口調の派手な女と、スーツを着た男も同様に腕輪型のデュエルディスクを起動した。

 1対3でラースを倒すつもりなのだろう。

 だがしかし、黒服はそれを見て「フン」と鼻を鳴らして嘲笑した。

 

「驕るな、人間共。王将の前には歩、キングの前にはポーン、テレビゲームでもボスキャラの前には雑魚や中ボスが控えているものだ。我というボスキャラに挑みたくば、まずはこれらを相手にして貰おう」

 

 ラースはパチン、と指を鳴らした。途端に彼の影が悍ましい形に変化し波打ち、そして4つに千切れる。

 千切れた1つはラースの影の形に戻り、分離した3つはそのまま立体化され人の形を取った。

 

「な、何これ!?」

「これは……」

「今この場で作り出した我の分身、或いは眷属である。我と戦いたいのであれば、まずはこれを倒してからにして貰おう」

 

 分身は漆黒の影法師、そこからやがて色を得て人として形が固まる。

 1人は礼節の無い男の前に、軍人のような迷彩服を着て。

 

グリーフ(悲嘆)、身の程を教えてやれ」

「サー・イエッサー!」

 

 1人は虹色に輝く髪を持つ女の前に、仮面を着けた女の姿で。

 

ヴァニティ(虚栄)、空洞を暴け」

「御意のままに」

 

 1人はスーツの男の前に、肉の達磨のような見た目になって。

 

フィアー(恐怖)、徹底的に踏み躙れ」

「うぉおおおおおおおおおぉっ!」

 

 3人の転位者の前に、3人の新たな急造の護衛が立ちはだかる。同時にデュエルがやりやすいよう空間が広がり、狭かった筈の道がデュエルフィールドを3つ並べられる程に拡張された。

 手下を生み出した黒服の男は、ニヤリと笑うと自らを狩りに来た者達に粛々と告げる。

 

「我の首が欲しくば、こやつらを討ち取ってからだ。これに勝てぬようでは我に挑む資格も無いと思え。ククク、その場凌ぎで作った故、デュエルをする以外には何も出来ん。命乞いも話し合いも脅しも、何もかも無意味だ。精々無様な敗北をせぬようになぁ?」

 

 そうしてふっ、とラースは消えた。

 風に吹かれた煙のように、最初からいなかったかのように。

 見下されていると感じた3人は、隠す事もせず憤慨した。

 

「あの野郎、ナメやがって!」

「アタシああいうスカした奴嫌いなんだよね」

「自分が狩られる側という事を自覚させてあげましょう」

 

 スキンヘッドの少年は市街地でありながらも怒声を張った。彼はジュニア大会で優秀な成績を修めた男だった。

 虹色に輝く女は憎々しげに顔を顰めた。彼女はインターネット大会で準優勝を果たした女だった。

 努めて冷静にスーツの男は言った。彼は世界大会に進出できる程の猛者であった。

 

「グリーフつったか? 悪いがオレの敵じゃねぇんだ、速攻でブッ殺す!」

「……」

「ヴァニティ、ヴァニティねぇ? マジでダサくない?」

「……」

「フィアーか、暑苦しい見た目をしている。ボクの人生には要りませんね」

「……」

 

 ラースの「デュエル以外は何も出来ない」という言は本当だったらしく、3人のインスタント護衛は言葉を投げられても反応が無い。

 これが生きている人間なら挑発に乗るなり相手の言葉遣いの悪さを注意したりする等色々あるだろうが、グリーフ達にはそういった能力は備えられていないようだ。

 

「壁打ちでもさせるつもりなんですかねぇ、時間の不経済は嫌いなのですが」

「コイツ見てっと、大会でオレを負かせたクソを思い出すぜ。殴ってやろうと思ったら逃げたあの腰抜けをよぉ」

「アタシは何でも良いし。それよか実はフブキングと会いたいからさぁ、とっとと片付けよ」

 

 フィールドに22マスのカードゾーンが3つ半透明で浮かび上がり、戦いが始まる。

 

『『『デュエル!』』』

 

LP 4000 vs LP 4000

LP 4000 vs LP 4000

LP 4000 vs LP 4000

 

 

  ☆

 

 

 迷彩服の護衛グリーフと相対するのはスキンヘッドの少年。名を静稲檄人(しずいなげきと)と言った。

 

「オレのターンから行くぞ! オレは手札から『絶海のマーレ』を召喚!」

『ハァ!』

 

 

絶海のマーレ:ATK 1500

 

 

 眼前に配置された5枚のカードの内1枚を叩き、召喚のコマンドを指定。

 檄人の初手は青い肌の人魚。ただし魚のそれではなくアンコウや鮫のように海底を歩く生物に上半身が生えているような姿である。

 

「モンスター効果発動! デッキから水族モンスターを1体墓地に送る!」

 

 デュエルディスクに光の輪が表示され、そこからカードが1枚排出される。

 リングはすぐには消えずに回転し、排出されたカードは半回転程したリングの別口に呑み込まれた。

 

「この瞬間、墓地に送られた『ティアラメンツ・メイルゥ』の効果発動! 墓地のこのカードとフィールドの『絶海のマーレ』をデッキに戻し、融合召喚を行う! オレは『ティアラメンツ・キトカロス』を召喚!」

『フッ!』

 

 

ティアラメンツ・キトカロス:ATK 2300

 

 

 そのまま墓地に落とされた麗しい人魚姫と共に2体のモンスターは神秘の渦で混ざり合い、新たな人魚姫へと姿を変える。

 彼のデッキ【ティアラメンツ】では起点となり、また禁止カードにもなった強力なカードである。

 

「モンスター効果発動! このモンスターを特殊召喚した時、デッキから“ティアラメンツ”カードを手札に加えるか墓地に送る!」

 

 

 

絶海のマーレ(効果モンスター)

星4

水属性/水族

ATK 1500/DEF 1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「絶海のマーレ」以外の水族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):自分エンドフェイズに、このカードをリリースし、「絶海のマーレ」以外の自分の墓地の水族モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

 

 

 

ティアラメンツ・メイルゥ(効果モンスター)

星2

闇属性/水族

ATK 800/DEF 2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

 

ティアラメンツ・キトカロス(融合・効果モンスター)

星5

闇属性/水族

ATK 2300/DEF 1200

「ティアラメンツ」モンスター+水族モンスター

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「ティアラメンツ」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

(2):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

自分の手札・墓地から「ティアラメンツ」モンスター1体を選んで特殊召喚し、対象のモンスターを墓地へ送る。

(3):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

 

 

 

「オレは『壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)』をサーチし、そのまま発動!」

「……」

「ケッ、『増殖するG』も無し、『灰流うらら』も無し。終わってんなぁ、こんな程度に苦戦するとか前任はよっぽど雑魚なんだな」

 

 現代のデュエルはいかに相手をパーミッションやロック効果で制圧して展開を妨害するかに掛かっている。そのため先攻を取れなかったプレイヤーは手札誘発でどれだけ相手の動きを抑制できるかが勝負の鍵になる。それらが1枚も飛んで来ない状況であれば、檄人がグリーフを嘲るのも無理からん話と言えた。

 

「続けて手札から『ティアラメンツ・シェイレーン』の効果発動! このカードを手札から特殊召喚し、手札1枚とデッキの上から3枚を墓地に送る!

 この瞬間、永続魔法『壱世壊を劈く弦声』の効果発動! デッキの上からカードを3枚墓地に送り、ターン終了時まで相手モンスターの攻撃力を500ダウンさせる!」

 

 

ティアラメンツ・シェイレーン:DEF 1300

 

 

 【ティアラメンツ】の欠点の1つとして、自分自身がかける時間が非常に長い事がある。それだけ互いのターンで自由自在に、或いは節度も分別も無く動き回るカテゴリーなのだ。

 しかしこの世界に転移した事で檄人は頭の回転が加速した事を実感していた。転生特典、というものなのだろう。これなら普段よりずっと早くプレイを進める事が出来る。

 更に大会ではないため、制限時間も無し。この場に【ティアラメンツ】の動きを阻害する邪魔なルールは、無い。

 

 

 

ティアラメンツ・シェイレーン(効果モンスター)

星4

闇属性/水族

ATK 1800/DEF 1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札からモンスター1体を選んで墓地へ送る。

その後、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

 

壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合に、自分フィールドに「ティアラメンツ」モンスターまたは「ヴィサス=スタフロスト」が存在していれば発動できる。

自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

このターン、相手フィールドのモンスターの攻撃力は500ダウンする。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「ティアラメンツ」罠カード1枚を手札に加える。

 

 

 

 フィールドに次の人魚が現れ、2種類のカード効果でデッキが再び削られた。

 合計7枚のカードが墓地に送られ、檄人はニヤリと意地悪く笑う。

 

「墓地の『シャドール・ビースト』の効果発動、デッキから1枚ドロー! そして『古衛兵(こえいへい)アギド』と『古尖兵(こせんぺい)ケルベク』の効果も発動! 互いのデッキからそれぞれ5枚ずつ、合計20枚を墓地に送る! ヒャッハァ! 絶好調だぜ! オラァ、10枚落ちろやぁ!」

「こちらも10枚墓地へ送る」

「そして今、『ティアラメンツ・レイノハート』が墓地に行ったが……、今回は墓地に行った時の効果は使わないでおく」

 

 

 

古衛兵アギド(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 1500/DEF 1300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札・デッキからカードが相手の墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、自分の墓地から「古衛兵アギド」以外の天使族・地属性・レベル4モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

(2):このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動できる。

お互いのデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

その後、自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する場合、自分または相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る事ができる。

 

 

 

古尖兵ケルベク(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 1500/DEF 1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札・デッキからカードが相手の墓地へ送られた場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、対象のモンスターを持ち主の手札に戻す。

(2):このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動できる。

お互いのデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

その後、自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する場合、自分の墓地から罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットできる。

 

 

 

「まだまだぁ! 『ケルベク』の効果で『現世と冥界の逆転』が墓地に行った事により、追加効果によりオレは墓地の罠カードを1枚セットできる。墓地から『壱世壊に澄み渡る残響(ティアラメンツ・クライム)』をセット! これでテメェはカードを発動してもデッキに戻されるだけになったっつーワケだ!」

「……」

「ハッ、ほんっとつっまんねぇお人形だなぁ、オイ? 『アギド』の効果で墓地に送られた『ティアラメンツ・ハゥフニス』の効果発動! このカードと墓地の『沼地の魔獣王』をデッキに戻し、『ティアラメンツ・ルルカロス』を融合召喚だ!」

『ハァッ!』

 

 

ティアラメンツ・ルルカロス:ATK 3000

 

 

 海原を割り、フィールドに飛び出したのは凛々しい人魚の剣士。

 姫騎士という言葉がまさに合う、麗しの女戦士だ。

 

 

 

ティアラメンツ・ルルカロス(融合・効果モンスター)

星8

水属性/水族

ATK 3000/DEF 2500

「ティアラメンツ・キトカロス」+「ティアラメンツ」モンスター

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカード以外の自分の水族モンスターは戦闘では破壊されない。

(2):モンスターを特殊召喚する効果を含む効果を相手が発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

その後、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。

(3):融合召喚したこのカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを特殊召喚する。

 

 

 

「そして『キトカロス』の効果発動! 1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を墓地に送る代わりに、それとは違う“ティアラメンツ”を手札・墓地から特殊召喚できる! オレは墓地の『ティアラメンツ・レイノハート』を特殊召喚し、フィールドの『シェイレーン』を墓地に送る!」

『フッ!』

 

 

ティアラメンツ・レイノハート:ATK 1500

 

 

 大地が一瞬で海面に変わり、その中からこれまでとは違う悪辣な表情をした青い男が飛び出す。

 片手で真珠を弄び、刃のついた鞭を振るう、人魚世界の悪である。

 

「この瞬間、『レイノハート』と『シェイレーン』の効果発動! まずは『レイノハート』の効果! デッキから好きな“ティアラメンツ”カードを墓地に送る事が出来る! そして『シェイレーン』の効果で融合召喚を行う! オレは墓地の『シェイレーン』と『破壊神ヴァサーゴ』を素材に、『ミレニアム・アイズ・サクリファイス』を融合召喚!」

『オ゛ォォォ……!』

 

 

ミレニアム・アイズ・サクリファイス:DEF 0

 

 

 檄人のデッキから『壱世壊に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリーク)』が墓地に送られると同時、フィールドに無数の目を生やした黄土色の肉体を持つ魔神が現れる。全身を覆うような硬質な翼を広げ、ギョロリとした単眼を突き付けるようにグリーフを睨み付けながら、それ以外の全身の目も続々と見開いていった。

 

 

 

ティアラメンツ・レイノハート(効果モンスター)

星4

水属性/戦士族

ATK 1500/DEF 2100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「ティアラメンツ・レイノハート」以外の「ティアラメンツ」モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを特殊召喚し、自分の手札から「ティアラメンツ」カード1枚を選んで墓地へ送る。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

 

ミレニアム・アイズ・サクリファイス(融合・効果モンスター)

星1

闇属性/魔法使い族

ATK 0/DEF 0

「サクリファイス」+効果モンスター

(1):1ターンに1度、相手モンスターの効果が発動した時、相手のフィールド・墓地の効果モンスター1体を対象として発動できる。

その相手の効果モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(2):このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値分アップする。

(3):このカードの効果で装備したモンスターと元々のカード名が同じモンスターは攻撃できず、その効果は無効化される。

 

 

 

「終わらねぇぞぉ? 墓地に送られた『壱世壊に奏でる哀唱(ティアラメンツ・サリーク)』の効果発動、デッキから『ティアラメンツ・ハゥフニス』を手札に加える! 知ってるか雑魚野郎、『ハゥフニス』はテメェのモンスターの効果が発動した時に特殊召喚してデッキを削る事ができる。つまりまた融合できるってワケだ!」

 

 

 

ティアラメンツ・ハゥフニス(効果モンスター)

星3

闇属性/水族

ATK 1600/DEF 1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手がフィールドのモンスターの効果を発動した時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。

融合モンスターカードによって決められた、墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 

 

「だが念には念、お前に何かさせて足を掬われるのも面倒だ。オレはラノベの無能な追放野郎じゃねぇ、徹底的にテメェの目を潰す! 手札の『剣神官ムドラ』は、手札から別の地属性・天使族モンスターを捨てて特殊召喚できる! 手札の『宿神像ケルドゥ』を切って特殊召喚! そしてデッキから『墓守の罠』をオレの場に表側表示で置く!」

『ヌォオオ……!』

 

 

剣神官ムドラ:DEF 1800

 

 

 

剣神官ムドラ(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 1500/DEF 1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札から他の天使族・地属性モンスター1体を捨てて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、デッキから「墓守の罠」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く事ができる。

(2):自分・相手ターンに、フィールド・墓地のこのカードを除外し、自分・相手の墓地のカードを合計5枚まで対象として発動できる。

そのカードをデッキに戻す。

自分のフィールド及び墓地に「現世と冥界の逆転」が存在しない場合、この効果の対象は3枚までとなる。

 

 

 

宿神像ケルドゥ(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 1200/DEF 1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札から他の天使族・地属性モンスター1体を捨てて発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

その後、デッキから「現世と冥界の逆転」またはそのカード名が記されたカード1枚を手札に加える。

(2):自分・相手ターンに、フィールド・墓地のこのカードを除外し、自分・相手の墓地のカードを合計5枚まで対象として発動できる。

そのカードをデッキに戻す。

自分のフィールド及び墓地に「現世と冥界の逆転」が存在しない場合、この効果の対象は3枚までとなる。

 

 

 

墓守の罠

【永続罠】

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地に「現世と冥界の逆転」が存在する限り、相手は墓地のカードの効果を発動できず、墓地のモンスターを特殊召喚できない。

(2):お互いのメインフェイズに、手札を1枚捨てて発動できる。

デッキから「墓守」モンスターまたは天使族・地属性モンスター1体を手札に加える。

(3):このカードが表側表示で存在する場合、相手ドローフェイズのドローの前に、カード名を1つ宣言して発動する。

通常のドローをしたカードを確認し、宣言したカードの場合、墓地へ送る。

 

 

 

「オレはレベル4の『ムドラ』と『レイノハート』でオーバーレイ! 『深淵に潜む者』をエクシーズ召喚!」

『ギジャアアアアアア!』

「水属性の『レイノハート』をエクシーズ素材としている事で、オレの場の水属性モンスターは攻撃力が500アップ!」

 

 

 

深淵に潜む者(エクシーズ・効果モンスター)

ランク4

水属性/海竜族

ATK 1700/DEF 1400

レベル4モンスター×2

(1):このカードが水属性モンスターをX素材としている場合、自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

 

 檄人の手は休まらない。

 剣を構えた神官と人魚を銀河の渦で混ぜ合わせ、亀裂から青い龍を生み出す。

 黒い岩の中から上半身を覗かせた海底の生物は青いオーラを放ち、咆哮と共に味方のステータスを補助した。

 

 

ティアラメンツ・ルルカロス:ATK 3000→3500

深淵に潜む者:ATK 1700→2200

 

 

 これで檄人のフィールドのモンスターは4体。

 融合モンスターが3体にエクシーズモンスターが1体、しかもモンスター効果を激しく制限する効果ばかり。

 更に墓地には自身を除外して墓地のカードをデッキに戻すカードが眠っており、フィールドには相手だけ墓地の利用を大きく制限するカードと、伏せられたカウンター罠カードまである。

 現代のデュエルでここまで大きく制限されれば、最早勝利は絶対に不可能だ。

 

「この世界に先に来た奴がどんなチーレム(チートでハーレム)作ったかは知らねぇが、この程度に負けるようじゃあ底が知れるってモンだ。当然それに苦戦してるお前らもだよ」

「……」

「クソが、何言っても全然返さねぇ。怒りもしなければ笑いもしねぇ、マジでクズみてぇな人形だな、最近のAIの方が人間らしいんじゃねーの? オレはカードを1枚伏せて、ターン終了!」

 

 

 

静否檄人:LP 4000

手札:『ティアラメンツ・ハゥフニス』

フィールド

:ティアラメンツ・ルルカロス(ATK 3500・向かって左のEXモンスターゾーンに配置)

:ティアラメンツ・キトカロス(ATK 2300)、ミレニアム・アイズ・サクリファイス(DEF 0)、深淵に潜む者(ATK 2200)

:伏せカード2枚(内1枚は『壱世壊に澄み渡る残響(ティアラメンツ・クライム)』)、壱世壊を劈く弦声(ティアラメンツ・スクリーム)(永続魔法)、墓守の罠(永続罠)

 

 

 

「小官のターンであります、ドロー!」

「何をやろうが無駄だ、テメェはとっくに終わってんだよ!」

「メインフェイズに入る前に、発動しておきたいカードはあるでありますか」

「無視かよ、超ムカつくぜ……。とっとと足掻けよ、全部無駄だろうがなァ!」

「では手札から『嘆きのガーゴイル』を召喚!」

『ゴガァアア!』

 

 グリーフが筋肉の塊のような腕を動かし、指の間に挟んだカードをディスクに配置する。

 これにより召喚ゲートが開き、青い茨がまとわりついた石像が召喚された。

 

 

嘆きのガーゴイル:ATK 5000

 

 

「こ、攻撃力5000だと!?」

「このモンスターは召喚ターンに自ら攻撃を仕掛ける事は出来ない。また効果も無効にならず、特殊召喚も不可能であります」

 

 

 

嘆きのガーゴイル(効果モンスター)(オリジナル)

星1

闇属性/悪魔族

ATK 5000/DEF 5000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードの効果は無効にならず、通常召喚したターンは攻撃できない。

(2):このカードがゲームから除外された時に発動する。

フィールドの裏側表示のカードを全て裏側表示で除外する。

 

 

 

「チッ、虚仮脅しかよ驚かせやがって。そいつを盾にでもするつもりだろうが無駄だ、そんなモンいくらで潰せンだよ!」

 

 【ティアラメンツ】は強い。そして【イシズ】や【クシャトリラ】を混成する事で更に強いデッキになる。

 それは彼の参加した大会が証明していた。何せ一時期は大会参加者のデッキの殆どが【ティアラメンツ】デッキとなり、更に『【ティアラメンツ】に勝てるのは【ティアラメンツ】だけ』等という言葉まで生まれた程だ。

 何故そこまで強いのかと言えば、主な理由は『アクセスの太さ』と『破壊がメリットになる』事の2種類がある。

 多種多様なカードで自分・相手ターンを問わずに墓地に送る事ができる“ティアラメンツ”はそれだけで効果を発動でき、基本的に除去として使用される効果破壊でも別途効果を誘発する。戦闘破壊したくともフィールド魔法等で攻撃力がアップしていたり、強力なモンスターを出す前に対処したりと、妨害する事も容易い。更に混成される【イシズ】のカードは半ば墓地を封印する事ができるため、実質的にフィールドも墓地も握れる極めて強力なデッキとなるのだ。

 一応強力な火力を持つデッキや除外デッキには弱いが、それとて対抗手段を最初から備えているという破格のスペック。

 故に彼が陣形を整えきった状態で勝利を確信するのは至極当然と言える。

 ただし。

 それは『元の世界』での話である。

 『この世界』の話ではない。

 

 

  ☆

 

 

 仮面を被った女、ヴァニティと対するは虹色の髪の女。彼女の名は高街歩恵莉(たかまちふえり)、地方の短大に通うデュエリストだ。言うまでも無いが彼女の頭髪が七色に波打つのは生まれ付きではなく、転移時に天使から貰った特典である。

 

「先攻はアタシよ、自分の場にモンスターがいない時、『LL(リリカル・ルスキニア)-ターコイズ・ワーブラー』は特殊召喚できる!」

『とぁっ!』

「この特殊召喚に成功した事で、手札から『セレスト・ワグテイル』も特殊召喚!」

『たぁっ!』

「このカードを特殊召喚した時、デッキから“LL”カードを手札に加える効果を発動できる。アタシは『LL(リリカル・ルスキニア)-バード・コール』を手札に加えるじゃん」

 

 

LL-ターン・ワーブラー:DEF 100

LL-セレスト・ワグテイル:DEF 0

 

 

「アゲてくよ、ついて来い! レベル1の『ターコイズ・ワーブラー』と『セレスト・ワグテイル』で『LL-リサイト・スターリング』をエクシーズ召喚! 効果で攻撃力と守備力がエクシーズ素材の数×300アップ!」

『ハァッ!』

 

 女子大生が召喚したのは先までの小鳥より成熟した女性の姿の鳥人間。青いインナーカラーを持つ黒い翼を羽ばたかせ、フィールドに降り立つ。

 

「『リサイト・スターリング』の効果発動。アタシは『ターコイズ・ワーブラー』を墓地に送り、デッキから『サファイア・スワロー』を手札に加える」

 

 

LL-リサイト・スターリング:DEF 0→600/ORU 2→1

 

 

 

LL(リリカル・ルスキニア)-ターコイズ・ワーブラー(効果モンスター)

星1

風属性/鳥獣族

ATK 100/DEF 100

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。

自分の手札・墓地から「LL」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

 

 

LL-セレスト・ワグテイル(効果モンスター)

星1

風属性/鳥獣族

ATK 200/DEF 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「LL」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「LL」Xモンスター1体を対象として発動できる。

このカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。

 

 

 

LL-リサイト・スターリング(エクシーズ・効果モンスター)

ランク1

風属性/鳥獣族/攻 0/守 0

レベル1モンスター×2体以上

(1):このカードがX召喚に成功した場合、

フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力・守備力は、このカードのX素材の数×300アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキから鳥獣族・レベル1モンスター1体を手札に加える。

(3):X召喚したこのカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは相手も受ける。

 

 

 

「『サファイア・スワロー』は自分の場に鳥獣族モンスターがいる時、手札からレベル1の別の鳥獣族モンスターとセットで特殊召喚できる。『サファイア・スワロー』と『コバルト・スパロー』を手札から特殊召喚!」

『はぁっ!』

『たぁっ!』

「やっべ、超可愛い! ソリッドヴィジョン最高じゃん! 『コバルト・スパロー』の効果で、デッキから『鉄獣戦線(トライブリゲード)ナーベル』を手札に加えるっしょ!」

 

 

LL-コバルト・スパロー:DEF 100

LL-サファイア・スワロー:DEF 0

 

 

 『バード・コール』『ナーベル』を含め手札4枚を残しながら3体の小鳥をモチーフにした少女が並ぶ。雀、燕、椋鳥(ムクドリ)という小型の鳥をモデルにしているためステータスは低いが、LLお得意の大量展開を得意として更に別の強いモンスターにバトンタッチしていく。

 

「アタシはレベル1の『サファイア・スワロー』と『コバルト・スパロー』で2体目の『リサイト・スターリング』をエクシーズ召喚。その効果で『コバルト・スパロー』を切って、デッキから新しい『コバルト・スパロー』を手札に加える」

『フッ!』

 

 

LL-リサイト・スターリング:DEF 0→600/ORU 2→1

 

 

 これで黒い鳥の女性が2人並んだ。ステータスは低いが、それで終わるようなら“リリカルルスキニア”は歴史の闇に消えただろう。

 

「どうせこの世界に先に来た奴はヌルいデュエルしてたんでしょ、アタシが本当に強いデュエルってのを教えてやるっしょ! アタシはランク1のモンスター2体でオーバーレイ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)!」

『『ハァアアアア!』』

 

 椋鳥の女性2人が緑色の光になり、螺旋を描いて空高く飛び上がる。エクシーズモンスターに重ねるのではなく、エクシーズモンスターそのものを素材にする。本来なら有り得ない行為、されど極僅かな例外が存在する召喚。

 彼女らの所持していたオーバーレイ・ユニットは消滅したが、二条の光は銀河に飛び込み新しい命を爆誕させた。

 

「『FNo(フューチャーナンバーズ).0 未来皇ホープ』をエクシーズ召喚!」

『ホォォォプッ!』

「そしてこれを素材にオーバーレイ! アタシの本気ブチか・ま・す・ぜぇ~! 『FNo.0 未来龍皇ホープ』!」

『フッ! ホォオオオオオオオオォォォォッ!』

 

 一度生まれた命はすぐに光に変わり、より大きく変化する。

 翼は白く大きく輝き、剣は太く重く鋭くなり、龍皇の名に相応しい大柄な戦士が3つの光の星と共に女子大生の陣営に降り立った。

 

 

 

FNo.0 未来皇ホープ(エクシーズ・効果モンスター)

ランク0

光属性/戦士族

ATK 0/DEF 0

「No.」モンスター以外の同じランクのXモンスター×2

ルール上、このカードのランクは1として扱う。

(1):このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生するお互いの戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動できる。

その相手モンスターのコントロールをバトルフェイズ終了時まで得る。

(3):フィールドのこのカードが効果で破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。

 

 

 

FNo.0 未来龍皇ホープ(エクシーズ・効果モンスター)

ランク0

光属性/戦士族

ATK 3000/DEF 2000

「No.」モンスター以外の同じランクのXモンスター×3

ルール上、このカードのランクは1として扱い、このカード名は「未来皇ホープ」カードとしても扱う。

このカードは自分フィールドの「FNo.0 未来皇ホープ」の上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードは戦闘・効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、相手がモンスターの効果を発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

その発動を無効にする。

この効果でフィールドのモンスターの効果の発動を無効にした場合、さらにそのコントロールを得る。

 

 

 

「終わりにゃしねぇぜぇい、『鉄獣戦線(トライブリゲード) ナーベル』を召喚!」

『オラァッ!』

 

 

鉄獣戦線 ナーベル:ATK 0

 

 

「効果で墓地から『コバルト・スパロー』『サファイア・スワロー』『ターコイズ・ワーブラー』を除外して、EXデッキから『王神鳥シムルグ』を召喚!」

『キヒャアアァァァァァッ!』

 

 

王神鳥シムルグ:ATK 2400

LM:左下・下・右下

 

 

 5枚に増えた手札の1枚を指で弾き飛ばし、ペストマスクを装着した鳥人間を召喚ゲートから引きずり出す。3度もEXデッキから特殊召喚を行ったが、これでようやっと通常召喚である。

 鳥人間が墓地から動物達の魂を3つ釣り上げて中空に捧げると光が産まれ、その中からエメラルドグリーンに煌めく羽毛を持った巨大な鳥が飛び出した。

 

 

 

鉄獣戦線(トライブリゲード) ナーベル(効果モンスター)

星1

風属性/鳥獣族

ATK 0/DEF 2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。

除外した数と同じ数のリンクマーカーを持つ獣族・獣戦士族・鳥獣族リンクモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。

このターン、自分は獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターしかリンク素材にできない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「鉄獣戦線 ナーベル」以外の「トライブリゲード」モンスター1体を手札に加える。

 

 

 

王神鳥シムルグ(リンク・効果モンスター)

リンク3

風属性/鳥獣族

ATK 2400

【リンクマーカー:左下/下/右下】

鳥獣族モンスターを含むモンスター2体以上

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードはリンク素材にできない。

(1):このカード及びこのカードのリンク先の鳥獣族モンスターは相手の効果の対象にならない。

(2):このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに自分フィールドの「シムルグ」カード1枚を破壊できる。

(3):自分・相手のエンドフェイズに発動できる。

使用していない自分・相手の魔法&罠ゾーンの数以下のレベルを持つ、鳥獣族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。

 

 

 

「そして手札からマジックカード『バード・コール』を発動。デッキから“LL”モンスター1体を手札に加えるか墓地に送り、それとは違う名前の“LL”を手札から特殊召喚できる」

 

 

 

LL(リリカル・ルスキニア)-バード・コール

【通常魔法】

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「LL」モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

その後、そのモンスターとはカード名が異なる「LL」モンスター1体を手札から特殊召喚できる。

 

 

 

「デッキから『セレスト・ワグテイル』を手札に加え、先に手札に加えておいた『コバルト・スパロー』を特殊召喚」

 

 

コバルト・スパロー:DEF 100

 

 

 展開は終わらない。1ターン内に制限回数の無い特殊召喚を駆使し、更に更にモンスターは増えていく。

 より強いモンスターや欲しいモンスターを呼び出すために。

 

「まだまだ爆盛りすっから。アタシは『コバルト・スパロー』と『鉄獣戦線 ナーベル』で、『鉄獣戦線(トライブリゲード) 徒花(あだばな)のフェリジット』をリンク召喚!」

『ハァッ!』

「っしゃ来た来たマイフェイバリット!」

 

 

鉄獣戦線 徒花のフェリジット:ATK 1600

LM=左・左下

 

 

 登場したのは尖った猫耳を持つエンジニアの女性。彼女のデッキ【LL鉄獣】で比較的緩い素材と展開補助になる効果を持ったモンスターだ。

 

「『ナーベル』が墓地に行った事で、デッキから『キット』を手札に加える。んで『フェリジット』は1ターンに1度、手札からレベル4以下の獣・獣戦士・鳥獣族モンスターを1体特殊召喚できる。アタシはこの効果で今手札に加えた『鉄獣戦線 キット』を特殊召喚、ウェ~イ!」

『とぉっ!』

 

 

鉄獣戦線 キット:DEF 1000

 

 

 連続してモンスターが並ぶ歩恵莉のフィールド。

 ピンク髪の猫耳少女の後ろに新たにその妹の猫耳の少女が登場し、戦線の数を維持する。

 仲間を途切れさせない“LL”と“鉄獣戦線”の特徴を合わせた展開力だ。

 

 

 

鉄獣戦線 徒花のフェリジット(リンク・効果モンスター)

リンク2

地属性/獣族

ATK 1600

【リンクマーカー:左/左下】

獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター2体

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

手札からレベル4以下の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターしかリンク素材にできない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

自分はデッキから1枚ドローし、その後手札を1枚選んでデッキの一番下に戻す。

 

 

 

鉄獣戦線 キット(効果モンスター)

星2

炎属性/獣族

ATK 700/DEF 1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。

除外した数と同じ数のリンクマーカーを持つ獣族・獣戦士族・鳥獣族リンクモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。

このターン、自分は獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターしかリンク素材にできない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

デッキから「鉄獣戦線 キット」以外の「トライブリゲード」カード1枚を墓地へ送る。

 

 

 

「つーかこれだけやって『ニビル』も『エフェクト・ヴェーラー』も無しとか後攻の手札としては駄目駄目の駄目じゃん。手札誘発はガンガン入れるのが基本っしょ」

「……」

「はぁー、シカトとかマジガン萎えだわ。アタシは『キット』の効果発動。『セレスト・ワグテイル』と『ナーベル』を除外して、『戦華盟将(せんかめいしょう)-双龍』を特殊召喚」

『ヌンッ!』

「続けてリンク2の『フェリジット』と『キット』で、リンク3の『銀弾のルガル』をリンク召喚」

『ガルルァアアッ!』

「そして『キット』の効果でデッキから『鉄獣の邂逅(トライブリゲード・ランデブー)』を墓地に送り、『フェリジット』の効果で1枚ドローして1枚戻す」

 

 腕輪から再び光のリングが現れ、カードが2枚排出された。片方は手札に加わり、もう片方は光のリングの別の口に呑み込まれる。そして歩恵莉は目の前に合計4枚のカードが並ぶと、中から1枚を指で軽く叩いて弾いた。

 弾かれたカードはデッキに戻ったのだろう、デュエルディスクの腕輪に呑み込まれていく。

 

 

戦華盟将-双龍:ATK 1100→1600

LM:左下・右下

 

鉄獣戦線 銀弾のルガル:ATK 2300

LM:右・下・右下

 

 

 

戦華盟将-双龍(リンク・効果モンスター)

リンク2

風属性/獣戦士族

ATK 1100

【リンクマーカー:左下/右下】

風属性の「戦華」モンスターを含む獣戦士族モンスター2体

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「戦華」カード1枚を手札に加える。

(2):自分フィールドの「戦華」モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

(3):自分の手札・フィールドからカード1枚を墓地へ送り、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを持ち主の手札に戻す。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

 

鉄獣戦線 銀弾のルガル(リンク・効果モンスター)

リンク3

地属性/獣戦士族

ATK 2300

【リンクマーカー:右/下/右下】

獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター2体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手メインフェイズに発動できる。

自分の手札・墓地からレベル4以下の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を選んで特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに持ち主の手札に戻る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分フィールドのモンスターの種族の種類×300ダウンする。

 

 

 

鉄獣の邂逅(トライブリゲード・ランデブー)

【速攻魔法】

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのリンク状態の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。

(2):自分フィールドのリンク状態の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

 

 

「今引いた永続魔法『鉄獣の死線(トライブリゲード・デッドライン)』を発動。そんでもって『ルガル』の効果、墓地からもう1度『キット』を特殊召喚。

 『キット』と『ルガル』で『鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ』をリンク召喚! 『デッドライン』の効果で除外した『ナーベル』を手札に戻す!」

『ハァァッ!』

「くぅ~、かっけぇ! チョーヤバイ! 『シュライグ』をナマで見れる日が来るなんてテンションあげみざわよいちょまるだわ!」

 

 

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ:ATK 3000

リンクマーカー:左・右・左下・右下

 

 

 

鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ(リンク・効果モンスター)

リンク4

闇属性/鳥獣族

ATK 3000

【リンクマーカー:左/右/左下/右下】

獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター2体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、または自分フィールドにこのカード以外の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

フィールドのカード1枚を選んで除外する。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

除外されている自分の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターの数以下のレベルを持つ獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

 

 

鉄獣の死線(トライブリゲード・デッドライン)

【永続魔法】

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターが特殊召喚された場合、

除外されている自分の「トライブリゲード」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

(2):自分の「トライブリゲード」モンスターが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。

その相手モンスターを持ち主の手札に戻す。

 

 

 

 満を持して登場したのは大筒を構えた片翼の男。『ナーベル』同様にペストマスクで顔を隠し、しかし抑えきれない程のプレッシャーを以て圧倒的な存在感を放っていた。

 ビースト系デッキでは対象を取らない除外効果で場を荒らし高い攻撃力も持つ、切り札に相応しいモンスターである。

 

「カードを2枚伏せる。そして『王神鳥シムルグ』の効果発動、空いてる魔法・罠ゾーンの数以下のレベルの鳥獣族モンスターを特殊召喚する。レベル7の『霞の谷(ミスト・バレー)巨神鳥(きょしんちょう)』をデッキから特殊召喚!」

『ピィヤアアアーッ!』

 

 

霞の谷の巨神鳥:ATK 2700

 

 

「ターン終了。こんだけ展開する相手に初手G無しとか災難にも程があるでしょ」

 

 

 

高街歩恵莉:LP 4000

手札:1枚+『鉄獣戦線 ナーベル』

フィールド

:王神鳥シムルグ(ATK 2400・向かって右のEXモンスターゾーンに配置)

:FNo.0 未来龍皇ホープ(ATK 3000・ORU:3)、霞の谷の巨神鳥(ATK 2700・『王神鳥シムルグ』の左下にリンク状態)、鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ(ATK 3000・『王神鳥シムルグ』の下にリンク状態)、戦華盟将-双龍(ATK 1600・『王神鳥シムルグ』の右下にリンク状態)

:伏せカード2枚、鉄獣の死線(永続魔法)

 

 

 

 並んだモンスターは全部で5体。

 モンスターを除外する鳥男、どんなカードでもカウンターする金色の大鳥、決して破壊されずモンスター効果を無効にして奪う剣士、カードをバウンスする中華の武将、そして自身とリンク先の鳥獣族モンスターを対象に取らせない王の鳥。

 発動中の永続魔法の効果で戦闘を行ったモンスターはバウンスされる他、正体不明の伏せカードも2枚ある。

 

 

 

霞の谷(ミスト・バレー)巨神鳥(きょしんちょう)(効果モンスター)

星7

風属性/鳥獣族

ATK 2700/DEF 2000

このカードの効果は同一チェーン上では1度しか発動できない。

(1):魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの「ミスト・バレー」カード1枚を対象として発動できる。

その自分の「ミスト・バレー」カードを持ち主の手札に戻し、その発動を無効にし破壊する。

 

 

 

 フィールドの状況はあまりにも圧倒的。1ターンの制限時間が無い事、そして古いカードプールの環境である事が、彼女の才覚をより光らせる。

 レインボーカラーの頭髪という目を疑うセンスであっても、彼女の実力は真実一流であった。

 

下名(かめい)のターンでございます、ドロー」

「お、やっと喋ったじゃん。ダミ声だけど喉どーした、飴舐めるべ? なんつってオメェに食わせる飴なんざ無いんだけどさ、マジウケる」

「ドローフェイズとスタンバイフェイズを終了しますが、何かありますか?」

「シカトすんなしぃ。とっとと進めて」

「ではチューナーモンスター『無常を謳う一角獣』を召喚でございます。このカードはレベル5ですが、リリース無しで召喚出来るのでございます」

『オ゛ォォォ……』

 

 

無常を謳う一角獣:ATK 1550

 

 

 ヴァニティが手札から出したのは濁った眼をした、イッカクと呼ばれる北極等に生息する哺乳類。

 角の生えたジュゴンにも見えるが、実際には角では無く牙で、またハシビロコウのようにイッカクのみで属を構成している。

 

「妥協召喚した時、デメリットとして手札の魔法・罠を1枚捨てなくてはならず、また捨てたカードはこのターン効果が発動できません。下名は『貪欲な壺』を捨てます」

「変なデメリット、ぶっちゃけ使い辛くねソレ?」

 

 歩恵莉は鼻で嗤った。

 自分フィールドに存在しているのは強力なモンスターが5体。例え1体2体やられたとしても、それを補う手段はいくらでもある。あのモンスターはチューナーと言っていたが、他にモンスターがいないこの状況下でチューナーだけを出されても怖くも何とも無い。

 こちらの有利には変わらず、それは揺るがない。

 彼女はそう考えていた。

 実際、それは正しい。

 寧ろ、これだけ効果を無効にするモンスターが溢れる状況で弱腰になる方が難しいだろう。

 相手が『普通のデュエリスト』であれば、だが。

 

 

  ☆

 

 

「ボクのターンから行かせて頂きます、構いませんね?」

「…………」

「やれやれ暑苦しいだけでなく会話もしないとは、何とも無礼な人だ」

 

 細目を歪ませ、その奥から見下したような眼光を滲ませるスーツ姿の男。その名は阿玉春司(あだまはるし)

 一流の大学を卒業後に一流企業に入社し海外赴任が決まっていたエリートだが、デュエルも仕事も日常生活も他人より上に自分がいると安堵するための手段でしかない、典型的な誰も彼もを見下すタイプの人間だ。

 

「じゃ、行きますよ?」

 

 眼前の空間をなぞり、5枚のカードを表示させる。

 良いカードが揃っていたのか、眼鏡の奥にある眼を喜悦に歪ませながら男は笑った。

 

「ボクは手札から『苗と霞の春化精(はるけしょう)』の効果を発動。このカードと手札のモンスターを1枚捨てて、デッキから『丘と芽吹の春化精』を手札に加える。そして今捨てた『レッド・ガジェット』を特殊召喚します」

『ギギッ』

「効果で『イエロー・ガジェット』が手札に加わる」

 

 

レッド・ガジェット:DEF 1500

 

 

「続けて『丘と芽吹の春化精』の効果で、『イエロー・ガジェット』と共に捨てて『森と目覚の春化精』を手札に加える。そして今捨てた『イエロー・ガジェット』を特殊召喚します」

『ガガッ』

「そして『グリーン・ガジェット』を手札へ」

 

 

イエロー・ガジェット:DEF 1200

 

 

 

レッド・ガジェット(効果モンスター)

星4

地属性/機械族

ATK 1300/DEF 1500

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「イエロー・ガジェット」1体を手札に加える。

 

 

 

イエロー・ガジェット(効果モンスター)

星4

地属性/機械族

ATK 1200/DEF 1200

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「グリーン・ガジェット」1体を手札に加える。

 

 

 

グリーン・ガジェット(効果モンスター)

星4

地属性/機械族

ATK 1400/DEF 600

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「レッド・ガジェット」1体を手札に加える。

 

 

 

 フィールドに並び立つ、赤と黄色の歯車型のモンスター。

 古き良きガジェットデッキに用いられたカード達であり、その特性によりフィールドに2体現れながらも春司の手札の枚数を5枚にキープしている。

 本来ならモンスターと並べてサーチしつつエクシーズ素材等にするカードだが、“春化精”の効果を使い実質的に消費無しで展開したのだ。

 

 

 

苗と霞の春化精(効果モンスター)

星3

地属性/天使族

ATK 400/DEF 800

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードと、モンスター1体または「春化精」カード1枚を手札から捨てて発動できる。

デッキから「苗と霞の春化精」以外の天使族・地属性モンスター1体を手札に加える。

その後、自分の墓地から地属性モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

このターン、自分は地属性以外のモンスターの効果を発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「春化精」モンスター以外のフィールドのモンスターの攻撃力は600ダウンする。

 

 

 

丘と芽吹の春化精(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 200/DEF 2000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードと、モンスター1体または「春化精」カード1枚を手札から捨てて発動できる。

デッキから「丘と芽吹の春化精」以外の「春化精」カード1枚を手札に加える。

その後、自分の墓地から地属性モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

このターン、自分は地属性以外のモンスターの効果を発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの「春化精」モンスターは効果では破壊されない。

 

 

 

森と目覚の春化精(効果モンスター)

星4

地属性/天使族

ATK 900/DEF 1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードと、モンスター1体または「春化精」カード1枚を手札から捨てて発動できる。

通常召喚可能な地属性モンスター1体をデッキから墓地へ送る。

その後、そのモンスターとはカード名が異なる地属性モンスター1体を自分の墓地から選んで特殊召喚できる。

このターン、自分は地属性以外のモンスターの効果を発動できない。

(2):自分フィールドの「春化精」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで倍になる。

 

 

 

「レベル4のモンスター2体を素材に『御影志士(ミカゲシシ)』をエクシーズ召喚します」

『トァッ!』

「……逐一五月蝿いな、モンスター共が。このボイスってオフに出来ないのか?」

 

 

御影志士:ATK 2300

 

 

 春司の前で銀河の渦が巻き起こり、その中に橙色の光に変わって飛び込んだ2体のモンスターを素材として武士の黒い石像が姿を現す。石像でありながら刀を構えて動いているが、ゴーレムの一種なのだろう。

 

「『御影志士』の効果、『レッド・ガジェット』を消費して『ブロックドラゴン』を手札に加える」

 

 

 

御影志士(エクシーズ・効果モンスター)

ランク4

地属性/岩石族

ATK 2300/DEF 1800

レベル4モンスター×2

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから岩石族モンスター1体を手札に加える。

●手札から岩石族モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。

 

 

 

「続けて『森と目覚の春化精』の効果で自身と『ブロックドラゴン』を墓地に送り、デッキから『リバイバルゴーレム』を墓地に送る。そして墓地から『レッド・ガジェット』を蘇生し、『イエロー・ガジェット』をサーチ。

 更にデッキから墓地に送られた事で『リバイバルゴーレム』を墓地から、場に岩石族モンスターがいる事で『魔救の探索者(アダマシア・リサーチャー)』を手札から特殊召喚」

 

 

レッド・ガジェット:DEF 1500

リバイバルゴーレム:DEF 2100

魔救の探索者:DEF 2100

 

 

 花崗岩の武士、赤い歯車の機械、岩で出来たゴーレム、赤い髪の探索者の少女とあっと言う間に4体のモンスターが並び、戦線を築く。

 阿玉春司のデッキは【春化精アダマシア】。【地属性GS(グッドスタッフ)】や【地属性メタビート】とも呼ばれる、“春化精”と“アダマシア”の展開力を利用したデッキだ。

 

 

 

魔救の探索者(アダマシア・リサーチャー)(チューナー・効果モンスター)

星2

地属性/岩石族

ATK 100/DEF 2100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「魔救の探索者」以外の岩石族モンスターが存在する場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中からチューナー以外のレベル4以下の岩石族モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

 

 

 

リバイバルゴーレム(効果モンスター)

星4

地属性/岩石族

ATK 100/DEF 2100

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがデッキから墓地へ送られた場合、以下の効果から1つを選択して発動する。

●このカードを特殊召喚する。

●このカードを手札に加える。

 

 

 

「『リサーチャー』の効果発動。デッキの上から5枚確認し、中からレベル4以下の岩石族モンスターを特殊召喚します」

 

 ディスクの光のリングから5枚のカードが排出され、春司の前に展開される。

 欲しかったカードを見つけた眼鏡の男は迷う事無くそれを指で力任せにタップした。

 

「出ろ、『コアキメイル・ガーディアン』」

『……』

「ふん、空気くらい読めるか。そうだ喧しくせず、ボクの指示に従っていれば勝てるんだ。無能な奴に限って五月蝿いと相場が決まっているからね」

 

 

コアキメイル・ガーディアン:ATK 1900

 

 

 ズシン、と地響きと共に降り立った白い石巨人が何も言わないのを見て満足そうに頷く春司。

 石の模擬生命なので口が無いだけなのだが、彼にとっては寧ろ好印象らしい。

 

「しかし貴方、何も手札を使いませんねぇ。『無限泡影』の1枚すら飛んで来ない、手札事故ですか?」

「……」

「はぁ、やれやれ。後攻は手札誘発を使って先攻を牽制するのがデュエルの義務だと言うのにそれを怠るとは、何たる雑魚か。この程度の連中に苦戦していたなんて、先に来ていた人はどれだけ頭が悪いのやら」

「……」

「ま、良いでしょう。楽な仕事で報酬が貰えるならそれに越した事も無いですし。ボクは『コアキメイル・ガーディアン』『リバイバルゴーレム』『御影志士』『レッド・ガジェット』を素材に『鎖龍蛇(さりゅうじゃ)-スカルデット』をリンク召喚!」

『ギジャアアアアアアアアアア!』

「五月蝿い!」

 

 

鎖龍蛇-スカルデット:ATK 2800

LM:上・左下・下・右下

 

 

 回路に4つの光が宿り、中から飛び出た鉄鎖のドラゴンが咆哮を上げるが、春司はヒステリックに怒鳴りつけた。

 モンスターが召喚時に声を上げるのはよくある事なのだが、彼はそれが気に入らないようである。

 

「この世界のデュエル関連の企業は頭がおかしいんじゃないか、一々こんなに叫ばせて。ボクが世界を救ったらモンスターの声なんて全部削除してやる。そうすればコストもカット出来るし騒音に悩まされる事も無い。

 ……失礼、続けます。ボクは『スカルデット』の4枚ドローし手札3枚をデッキの底に戻す効果を使います。これにチェーンして手札から『コアキメイル・サプライヤー』を特殊召喚です」

 

 

コアキメイル・サプライヤー:DEF 1600

 

 

「『サプライヤー』の効果発動、デッキから2体目の『コアキメイル・ガーディアン』を手札に加えます」

 

 デッキから合計5枚のカードを引き込み、手札3枚を戻す春司。

 これで手札は6枚。中身もリフレッシュした事で展開の自由度も更に上がった。

 

 

 

鎖龍蛇(さりゅうじゃ)-スカルデット(リンク・効果モンスター)

リンク4

地属性/ドラゴン族

ATK 2800

【リンクマーカー:上/左下/下/右下】

カード名が異なるモンスター2体以上

(1):このカードは、このカードのリンク素材としたモンスターの数によって以下の効果を得る。

●2体以上:このカードのリンク先にモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。

そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

●3体以上:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

手札からモンスター1体を特殊召喚する。

●4体:このカードがリンク召喚に成功した時に発動できる。

自分はデッキから4枚ドローし、その後手札を3枚選んで好きな順番でデッキの下に戻す。

 

 

 

コアキメイル・サプライヤー(効果モンスター)

星4

地属性/岩石族

ATK 1400/DEF 1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの表側表示の岩石族モンスターが墓地へ送られた場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから「コアキメイル・サプライヤー」以外の「コアキメイルの鋼核」のカード名が記されたカードまたは「コアキメイルの鋼核」1枚を手札に加える。

 

 

 

「『魔救の探索者(アダマシア・リサーチャー)』がいる事で、ボクは手札から『魔救の追求者(アダマシア・シーカー)』を特殊召喚します」

『トォォォ、ハァッ!』

 

 

魔救の追求者:ATK 1200

 

 

「僕はレベル4の『コアキメイル・サプライヤー』にレベル2の『魔救の探索者』をチューニング。『氷結界の龍 ブリューナク』をシンクロ召喚」

『グルゥアアアアアッ!』

「チッ、こいつらもか」

 

 

氷結界の龍 ブリューナク:ATK 2300

 

 

 

魔救の追求者(アダマシア・シーカー)(チューナー・効果モンスター)

星2

地属性/岩石族

ATK 1200/DEF 1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「魔救の追求者」以外の「アダマシア」モンスターが存在する場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中からチューナー以外のレベル4以下の岩石族モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

 

 

 

氷結界の龍 ブリューナク(シンクロ・効果モンスター)

星6

水属性/海竜族

ATK 2300/DEF 1400

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札を任意の枚数墓地へ捨て、捨てた数だけ相手フィールドのカードを対象として発動できる。

そのカードを持ち主の手札に戻す。

 

 

 

「全く、どいつもこいつも騒ぐ事しか能が無い。無能は黙って有能に従っていれば良いのに、分かってないなぁ。少しは有能過ぎて耳が鋭すぎるボクを思いやる気持ちとか無いのか」

「……」

「おっと、愚痴を失礼。続けます。魔法カード『魔救の息吹(アダマシア・サイン)』を発動、墓地から『リサーチャー』を特殊召喚します」

『ふうっ!』

「そしてデッキからレベル2の『怒気土器(どきどき)』をデッキの1番上に置きます。更に『シーカー』の効果発動、デッキの上から5枚確認し、1番上に置いておいた『怒気土器』を特殊召喚」

 

 

 

魔救の息吹(アダマシア・サイン)

【通常魔法】

(1):自分の墓地の岩石族モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で「アダマシア」モンスターを特殊召喚した場合には、さらにデッキからレベル4以下の岩石族モンスター1体を選んでデッキの一番上に置く事ができる。

 

 

 

怒気土器(効果モンスター)

星2

地属性/岩石族

ATK 500/DEF 500

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札の岩石族モンスター1体を捨てて発動できる。

そのモンスターと元々の属性・レベルが同じ岩石族モンスター1体を、デッキから表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する。

 

 

 

「ボクは『怒気土器』の効果発動。手札から『コアキメイル・ガーディアン』を捨てて、デッキから『コアキメイル・オーバードーズ』を特殊召喚します」

『ゴガッ!』

 

 

怒気土器:DEF 500

コアキメイル・オーバードーズ:ATK 1900

 

 

 鎖を巻いたドラゴンの後ろに、青い短髪の青年、氷の魔龍、怒りの土器に潜む魔物、緑色の暴走生命ゴーレム、そして蘇生された赤髪の少女と、再びモンスターが複数並ぶ。

 しかしこれだけ展開をしておきながら、春司の手札は3枚も残っていた。

 

「レベル6の『ブリューナク』にレベル2の『リサーチャー』をチューニングし、『クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン』をシンクロ召喚。

 そしてレベル4の『オーバードーズ』とレベル2の『怒気土器』にレベル2の『シーカー』をチューニングし、『魔救の奇跡(アダマシア・ライズ)-ドラガイト』をシンクロ召喚です」

『ギィイイイイアアァアアアアアッ!』

『ジガァアアアアアアアアアアアッ!』

「くっ、また五月蝿い奴らが……」

 

 聴覚過敏の彼にとってモンスターの鳴き声程ストレスに感じるものは無いのだろう。

 水晶の翼の白い龍と青い鉱石の龍という強力なモンスター達を召喚しても、彼の関心はそちらにしか無かった。

 

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン(シンクロ・効果モンスター)

星8

風属性/ドラゴン族

ATK 3000/DEF 2500

チューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果が発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

この効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(2):このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。

このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

 

 

魔救の奇跡(アダマシア・ライズ)-ドラガイト(シンクロ・効果モンスター)

星8

水属性/岩石族

ATK 3000/DEF 2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中の岩石族モンスターの数まで相手フィールドのカードを選んで持ち主の手札に戻す事ができる。

めくったカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。

(2):自分の墓地に水属性モンスターが存在し、相手が魔法・罠カードの効果を発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

 

 

「どうです? ボクのフィールドには1ターンに1度ずつ魔法・罠とモンスター効果を無効に出来るモンスターが並びました。しかも『スカルデット』のリンク先に特殊召喚された事で、攻撃力が300アップしています」

 

 

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン:ATK 3000→3300

魔救の奇跡-ドラガイト:ATK 3000→3300

 

 

「……」

「ノーリアクションは傷付きますね。ボクは墓地の『ブロックドラゴン』の効果発動。地属性モンスター3体を除外し、このカードを特殊召喚です」

『ギュンッ!』

 

 

ブロックドラゴン:DEF 3000

 

 

 ディスクの光輪が回転し、“春化精”カード3枚が吐き出されて消える。それに続いてもう1枚カードが出て来ると、そこからレゴブロックで作られた龍が現れた。見た目は玩具だが、その能力は味方を守ったりサーチ能力を使ったりと制限カードにされた事もある程に強力だ。

 

「更に2体目の『シーカー』を召喚し、『ブロックドラゴン』にチューニング。『フルール・ド・バロネス』をシンクロ召喚します」

『ハァァァァァァ、タァァッ!』

「『スカルデット』のリンク先に召喚された事で、攻撃力が300アップ。そして『ブロックドラゴン』が場から墓地に送られた事で、デッキからレベルの合計が8になるよう岩石族モンスターを手札に加えます」

 

 

フルール・ド・バロネス:ATK 3000→3300

 

 

 新たに召喚ゲートから飛び出す百合の騎士。凛々しい騎兵が出陣すると同時にデッキからカードが数枚排出され、春司はそれを静かに受け取った。加わったカードは宣言していないが、フィアーがそれに言及する様子は無い。

 

 

 

フルール・ド・バロネス(シンクロ・効果モンスター)

星10

風属性/戦士族

ATK 3000/DEF 2400

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

(3):お互いのスタンバイフェイズに、自分の墓地のレベル9以下のモンスター1体を対象として発動できる。

このカードを持ち主のEXデッキに戻し、対象のモンスターを特殊召喚する。

 

 

 

ブロックドラゴン(特殊召喚・効果モンスター)

星8

地属性/岩石族

ATK 2500/DEF 3000

このカードは通常召喚できない。

自分の手札・墓地の地属性モンスター3体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの岩石族モンスターは戦闘以外では破壊されない。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。

レベルの合計が8になるように、デッキから岩石族モンスターを3体まで選んで手札に加える。

 

 

 

「僕は墓地から3体のモンスターを除外し、『ブロックドラゴン』を再び特殊召喚します」

『ギギギ』

「更に『スカルデット』の効果により、1ターンに1度手札からモンスターを特殊召喚可能。よって2体目の『リサーチャー』を特殊召喚します」

『タァッ!』

 

 

ブロックドラゴン:DEF 3000

魔救の探索者:DEF 2100

 

 

「レベル8の『ブロックドラゴン』にレベル2の『リサーチャー』をチューニング、レベル10の『相剣大公-承影(ショウエイ)』をシンクロ召喚です」

『ぬぅぅぅぅぅんっ!』

三度(みたび)、墓地から地属性3体を除外して『ブロックドラゴン』を特殊召喚」

『ギギガガガギ』

「『承影』の攻撃力・守備力は除外されたカードの枚数×100アップ、更に相手の攻守を同じだけ下げる。ボクは3度『ブロックドラゴン』を特殊召喚した事で合計9枚のカードを除外しました。よって……」

 

 

相剣大公-承影:ATK 3000→3900

ブロックドラゴン:DEF 3000

 

 

 

相剣大公-承影(ショウエイ)(シンクロ・効果モンスター)

星10

水属性/幻竜族

ATK 3000/DEF 3000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):除外されているカードの数×100だけ、このカードの攻撃力・守備力はアップし、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力はダウンする。

(2):このカードが効果で破壊される場合、代わりに自分の墓地のカード1枚を除外できる。

(3):カードが除外された場合に発動できる。

相手のフィールド及び墓地のカードをそれぞれ1枚ずつ選んで除外する。

 

 

 

「如何です? これがボクの実力です。強力なモンスターの軍団、相手より何枚も抜きん出たアドバンテージ。原始人の君達には分からないでしょうが、デュエルとは即ちサーチとサルベージの効率化と相手の制圧力にあります。どちらも許した者には敗者以外の道はありません」

 

 3種類の“ガジェット”と“コアキメル”モンスター達がそれぞれ除外され、2度続けてレゴブロックのドラゴンが地面の中から這い出て来る。同時に天空から赤い大剣を持った鎧武者も現れ、春司の利用できるモンスターカードゾーン6ヶ所全てを埋め尽くしたのだった。

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド。圧倒的な実力差を前にしてサレンダーする事は恥ではありません、さぁデッキに手を置きなさい」

 

 

 

阿玉春司:LP 4000

手札:2枚(どちらも岩石族モンスター)

フィールド

:鎖龍蛇-スカルデット(ATK 2800・向かって右のEXモンスターゾーンに配置)

:ブロックドラゴン(DEF 3000)、相剣大公-承影(ATK 3900)、フルール・ド・バロネス(ATK 3300・『鎖龍蛇-スカルデット』の左下にリンク)、クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン(ATK 3300・『鎖龍蛇-スカルデット』の下にリンク)、魔救の奇跡-ドラガイト(ATK 3300・『鎖龍蛇-スカルデット』の右下にリンク)

:伏せカード2枚

 

 

 

 彼がターンを終えるのと同時期、檄人が4体、歩恵莉が5体のモンスターを並べボードアドバンテージを確立していた。

 これが現代のデュエル。制限時間いっぱいを使ってモンスターを只管に並べ、カードを手繰り寄せ、相手に何もさせないよう手配する。

 高速化とカードプールの増加によって『カードで戦う』のでは無く『カードで制圧する』事を目的とした──謂わば勝負ではなく支配・壁打ち・一人遊び。それが彼らの住む世界での常識であった。

 春司もまた然り。相手をどれだけ待たせようと自分の盤面を盤石にする事だけを考え、これを突破できない相手こそ悪く、長い時間を掛ける己こそ正義であると考えている。

 一応間違ってはいない。カードの種類が増えた以上、そうなってしまうのはどうしても仕方ないのだ。長寿ゲームの宿命と言っても良い。

 

「ワシのターン、ドローじゃあぁあああああ!」

「っ、もう少し静かにしてくれませんかねぇ。そんな大声出さなくても聞こえてますよ」

「メインフェイズ1に移るぞぉおおっ!」

「ああもう五月蝿い! さっさとしなさい!」

「手札から『恐冷斬(オソレザン)』を召喚ッッッ!」

『ヒヒヒヒヒェエエエエエエエーッ!』

 

 

恐冷斬:ATK 0

 

 

 筋骨隆々とした大男、フィアーが召喚したのは彼とは真逆の痩せ細った小男。黒いローブと体格に見合わない大鎌が一般的にイメージさせる死神のようにも見えるが、あまりにも痩せぎす過ぎて逆に滑稽にすら見えた。

 

「何のモンスターを召喚したとしても無意味ですよ。ボクの『クリスタル・ウィング・シンクロ・ドラゴン』がモンスター効果を、『ドラガイト』が魔法・罠を、『フルール・ド・バロネス』が全ての種類のカードの効果を無効にします。更に『ドラガイト』と『ブロックドラゴン』は効果では破壊されない状態であり、『承影』は元々効果破壊に耐性があります。貴方の打つ手は全て潰せます、それともカードをプレイするだけ無駄だと理解出来ないのですか?」

 

 現在、春司はフィアーの効果に対して3回までカウンターが可能となる。

 仮にフィアーがカウンターを全て空振りにさせたとしても、フィアーが使えるカードは3枚にまで減少してしまい、耐性を持つ高い攻撃力を持つモンスター達に対抗するためのリソースが減ってしまう。そしてターンをそのまま春司に渡せば、また展開して来る事は確実だ。

 まさに制圧陣形、伏せカード2枚を控えた彼の戦線は完璧。仮に黎がここにいれば打つ手無しと判じて頭を抱え、降参するかも知れない。

 ただしそれは『元の世界のカードのデュエル』の話。

 『この世界のカードのデュエル』では無い事を、彼は分かっていなかった。

 

 

  ☆

 

 

 姿を消して人造護衛のデュエルを見ていたラースは、不敵に笑っていた。

 成程、腕利きのデュエリストなのは認めよう。

 恐らくあの男や姫君とは違う世界から呼び出した彼らは、強い。

 純粋なデュエルの腕前は過去に護衛達が戦った誰よりも上であり、急造した眷属より遥かに優れている。全く同じデッキを持たせれば自分も“騎士”の魂も、何度戦っても勝てないと分かる。

 それが彼らだ。

 元の世界では『ガチデッキ』や『環境デッキ』、『Tier1』と呼ばれる類を使っていた猛者共だ。

 この世界の一般社会に放り出せば、デュエルの価値観を書き換え、あらゆる大会を総ナメにし、優勝賞金だけで億万長者になる事は請け合いである。

 特にあの3人は勝利に対する執着心が強い。違う世界を渡るにあたり、自我の損耗が無い程に胴欲だ。

 静稲檄人(しずいなげきと)高街歩恵莉(たかまちふえり)阿玉春司(あだまはるし)。彼らを指定して転移させた何某の眼は間違っていない。

 

「だが、それだけだ」

 

 されども、1つだけ落とし穴がある事に彼らは気付いていなかった。

 

「所詮はお遊びの延長線上よ」

 

 彼らは知らない。勝てるデッキでは勝てない(・・・・・・・・・・・・)という残酷な世界の真実を。

 必要なのは愛着のあるデッキ(・・・・・・・・・・・・・)だと分かっていない。

 それが命運を分ける。

 

「ククク、残酷な事よ。世界を超えるために必要な強き()を持つ者にて増援としたであろうに、それが皮肉にも我らの糧となるのだからなぁ」

 

 

to be continued

 

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