遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
ダブル・アップ・チャンス
【速攻魔法】
(1):モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を対象として発動できる。
このバトルフェイズ中、そのモンスターはもう1度だけ攻撃できる。
この効果でそのモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力は倍になる。
都「ご存じZEXALの最初と最後を飾ったスペシャルカード! 攻撃を無効にされた時、パワーアップして追撃できるよ!」
ポーラ「……無効を相手頼みにすると腐りやすい、できるだけ自分で無効にするのが望ましい」
都「『ホープ・ダブル』を始めサポートカードも増えたし自分で無効にできるカードも増えた、一撃必殺の大ダメージを狙って勝ちに行こう!」
LP 1
手札:1枚(『RUM-アージェント・カオス・フォース』)
フィールド
:CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー(ATK:2800・ORU:0)、No.99 希望皇龍ホープドラグーン(ATK:4000・ORU:1)
:魔法・罠無し
LP 100
手札:0枚
フィールド
:モンスター無し
:コールカード(永続魔法)、幻魔の王城(フィールド魔法・効果無効)
SIDE:黎
「もうやめろ、これ以上の戦いに意味など無い!」
火山への道で行われているデュエル、決着が目前となった段階で割り込んだのは、対戦相手の親友である白石光一だった。
染めたのは地毛なのかは知らない短めの金髪を携えたそいつの横には――
「……サー、言われた通り、連れて来た」
「こ、これは一体何事ナノーネ?」
「遊馬崎君、彼女に連れられて来てみたが、状況について説明をしてくれませんか」
俺の仲間『氷結界の舞姫』のポーラと、アカデミアの教師クロノス先生、そして校長の鮫島先生がいた。合計3人、俺の注文通りのメンツだ。
「どうもこうも無いですよ、先生方。高田が力欲しさに魂を売ってこの学園に攻撃したんです。現に」
ぬっ、と左手に持った『RUM-アージェント・カオス・フォース』のカードで道端に倒れているフィオを指す。
「彼女、神山フィオとその相棒フレイはあの野郎との戦いで傷つき倒れました。鮫島校長、貴方が参加してくれと願ったセブンスターズが行う闇のゲームによってね」
「……闇の、ゲーム」
「ええ。ダメージが実際に発生する、下手したら死にかねない危険なモノです。その証拠に」
今度は同じ手で高田を指す。
「俺の攻撃で高田の野郎はボロボロ、次の攻撃で奴は最悪死に至る」
「「「何(ですート)(だと)!?」」」
「嘘じゃあ無いのは、この周囲を見てくれれば分かるでしょう」
そしてカードで周囲を指し示す。
ヴォルカのマグマ攻撃、『ジャンク・アタック』で発生したデブリの流星群、互いのモンスターの衝突で起きた衝撃波etc.
それらは全て、周囲の地面を抉ったり焦がしたりといった形で痕跡を残している。最早『闇のゲームなど妄想だ』などという言葉で言い逃れできる状況では無い。
「鮫島校長、貴方が参加して欲しいと願った戦いです。その果てに人死にが出る事くらい、考えなかったワケでもありませんよね?」
「ぬ、ぬぅ」
「そして高田、お前の策は全て尽きた。頼みの綱たるジェノサイド・ドローもその体力じゃあ使えない。いや、普通のドローすら最早怪しい。諦めろ、お前では俺には勝てない」
「ぅ、ぐ……」
「結果は必然、テメェが何を譲れないのかは知らんが、所詮チンピラではこの程度だったというだけの話。テメェの実力も、信念も、格もな。ターンエンドだ」
LP 1
手札:1枚(『RUM-アージェント・カオス・フォース』)
フィールド
:CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー(ATK:2800・ORU:0)、No.99 希望皇龍ホープドラグーン(ATK:4000・ORU:1)
:魔法・罠無し
「俺の……、ター……」
フラフラな手と足で何とかドローを試みる高田。だがすぐに膝をつき、空っぽの両手を地面について崩れ落ちた。脂汗は相変わらず酷く、すぐにでも休息と治療が必須なのは万人の目に明々白々、火を見るより明らか。
されども高田は、生まれたての小鹿よりもガタガタと震える手足で必死にデュエル続行の意思を見せる。
「ま、だだ……! まだ俺のライフは……、残って、いる……!」
「だが墓地で使えるカードは0、フィールド魔法は無効、モンスターも0、手札も0、『コールカード』で2枚に増えて、どうするんだ? まさか俺が効果ダメージ対策を怠っているなんて無駄な期待はしてねぇよな?」
「それ、でも……、俺は……、ブルーに、いてぇんだよぉぉぉぉぉぉおおおっ!」
夜中の火山に響く、たった一人の、孤独な少年の咆哮。もしかしたら今頃火口の中でデュエルしている十代達にも聞こえたかも知れない。
こいつの魂を青に縛り付けているのが何か、その正体は恐らく……。
「もうよせ、もう闘うな、高田! これ以上はお前の体が危険だ!」
今、俺の後ろで叫び声をあげて奴を静止させようとしている、白石だ。
「だ、まれ白石ィ……! 裏切り者の、テメェに……、俺の何が、分かる……っ!」
「分かる、分かるさ、分かるとも! 私も同じ、お前と共に中等部からアカデミアに来て青くなった者だ。赤や黄色に落ちるのは苦しいだろう! だがそれがどうした! ならばあの万丈目の様に這い上がって……」
「違ぇ! 俺は、そんな事を……、ゲブッ!?」
ビジャビジャッ!
黒く染まった青から落ちる、俺の服と同じ色の鮮やかな血液。奴の肉体は、最早完全に限界を迎えている。
正直、奴が生きようが死のうが俺には興味は無い。そこまで親しい間柄でも無く、そして何より奴はフィオとフレイに手をかけた。
俺は大切な人に手をかける奴は全て敵だと思っている。敵は、例え命乞いしようが殺す。生き残ればそいつの運だが、だからと言って容赦も見逃しもしない。
怨敵必殺。
見敵殲滅。
我敵全屠。
それが俺のやり方、そこに慈悲は無い。
……たった一つの例外を除いて。
「ならば何故……!」
「俺はよぅ、白石……。俺は嫌われ者だ……。こうしてやっていて、初めて気付いた……。今は、青にお前がいる……。でもよ……、俺は、お前以外に友達も、仲間もいねぇんだ……。座水の奴らは単につるんでるだけ……、ゲボッ! ブルーじゃなくなったら、あいつらは簡単に手ェ……切るだろ……。
イエローやレッドになっちまったら、俺はどうなる……。レアカードも、ブルーの栄光も、お前との絆も……、全部無くなっちまう……。
いや、この際カードや栄光はどうでも良い……。俺は、お前との歴史を否定されたく、ねぇんだよ白石……」
「た、かだ……」
「俺は……、お前の親友だと……、思って……」
そこまで言の葉を紡いで、高田から聞こえる音はゼロになった。
もう喋るだけの力も無いのか、気絶したのか、はたまた死んでしまったのか。
朦朧とする意識の中で吐露した真意、プライドを削いで日の目を見た奴の弱々しい本音。
成り行きを見守っていた俺達の視界の中で、白石が地毛らしい金髪を夜の微風に靡かせながら、高田の隣で跪いた。
「高田、莫迦だお前は……」
「…………」
「そんな程度で、私がお前を見限るとでも思ったのか」
白石は懐から紙を1枚取り出すと、持っていたペンで何かをサラサラと書き、それを鮫島校長に手渡した。
「校長先生、高田が降格した際にはこれの受理を」
「これは……」
「降格届けです」
降格届け……、それがもし休学届けや退学届けと同様の物であるならば、白石の意思は……。
「自分は、高田の親友です。属性デッキ六人衆よりも大切な存在、もし彼がブルーでいられなくなる事で私の友達で無くなるなら、私もブルーで無くなります。
私にとって、高田という男は、階級よりも大切な存在なのです」
ペコリ、と頭を下げる白石。
地位よりも友情を取るその姿は、もしかしたらブルーの中では最も異端で、けれども人として最も輝かしい存在なのかも知れなかった。
そして白石は高田を肩で担ぎ上げながら俺に問う。
「遊馬崎、デュエルを取りやめる事はできるか? これ以上は高田がもう限界なんだ」
「……そいつが仕掛けて来たゲームだ、そいつがぶっ倒れた今、このゲームは続行に難ありと認識されるだろう。すぐにこの闇の霧も晴れるだろうよ」
その言葉と共に、俺達を中心に渦巻く嫌な気配の黒い霧が、少しずつ消えて行く。
元々闇のゲームとは種類が多々あれども、その在り方は凡そにして『相手を地獄へ叩き落とすため』か『何某かへの生贄を捧げるための儀式』として利用される。今回は前者だ。故にホストたる高田の意識が途切れた今、もうこのゲームは成立しないのだろう。
「鮫島校長、クロノス先生」
「はい?」「ナノーネ?」
「これが、階級制度の生み出した結果です」
俺の言葉に、2人は息を呑んだ。
今回はたまたま高田は助かった。だがしかし次もそうなるかと聞かれれば、答えは絶対に『NO』だ。
この一件は階級制度によって生まれた歪んだ人の心が源。『友を失う』という事がトリガーとなって生まれた悲劇。犠牲者はごくごく僅か。されど無視して良いものでも無く、或いは死者が出ていたかも知れないのだ。教育者として、このデュエルアカデミアという法人団体の現地責任者として、何より子供を正しい方向へと導かなくてはならない大人として、責任は免れない。
「この件は海馬さんに報告させて頂きます。『オベリスクブルーの生徒一名が階級制度を苦に刃傷沙汰を起こした』とね。校長、そしてブルーの寮監たるお二人の責任は必至です」
「そ、それは……」
「勘弁して欲しい? 駄目です、責任逃れは大人としてどうなんです?」
「な、なんとかならないノーネ……?」
「弁護はしますが……、減俸で済めば良いですね」
正直、この一件、隠蔽させるつもりは無い。高田はどうでも良いが、フィオとフレイが負傷したのだ。それを知らぬ存ぜぬで通させるなら、俺の怒りは爆発しかねないだろう。
階級制度が諸悪の根源とは言わない。だが負の側面を上に立つ教師が対処しないのなら、それは怠慢であり彼らの非だ。
「……そう、ですね。これは我々の監督不届き、責任は私達にあります」
「階級制度は確かに向上心を生み出します。しかし行き過ぎればもうそれは差別しか生みません。現状のように、ね」
「ナノーネ……」
自分の責任を2人が実感しつつ、高田を背負った白石を迎え入れようとした、その時。
『全く、使えん男だとは思っていたが、まさかここまでとはな!』
突如として地の底から、まるで背骨の中を直接這うように響く声。
この声は……!
「ラース、何の用だ……! もう決着はついた、テメェの出る幕はもう無いぞ!」
先刻、高田に怪しげな力を渡した男、ラースだ。
『フン、そうはいかんな』
その言葉と共に黒い塵が俺達の前方に集い、同時に闇のゲームの根幹たる黒い霧も復活して行く。塵はやがて黒いスーツへと姿を変え、筋骨隆々の男をその中へと作り出す。
スポーツ刈りのように短い髪、彫りの深い顔立ち、怒りを示す眼。最後の護衛、ラースがその姿を露わにした。
「このデュエル、我が引き継がせてもらおうか」
ラース:LP 100
引き継ぎ……、チッ、ホストの権利が奴に移ってデュエルが続行されるわけか……!
デュエルの引き継ぎ自体は俺がさっきやった事だから否定も物言いも出来ねぇ!
「さて、貴様は既にターンエンドだったな?」
「クッ……!」
「では行くぞ我のターン、『ジェノサイド・ドロー』! 魔法カード『邪天使の施し』を発動! 互いのプレイヤーはカードを3枚ドローし、貴様だけ2枚墓地に送る! トリプル『ジェノサイド・ドロー』!」
ここで手札補強か……! 墓地へと呑み込まれて行く『RUM-アージェント・カオス・フォース』ともう1枚のカードを視界の端に収めながら、俺は歯噛みした。
計算が完全に役に立たない状況になった今、俺は全力を賭して闘う必要がある。分身とは言え、最強の護衛。気を抜けば俺は負ける!
「鮫島校長、クロノス先生、白石、よく見てろ……。これが、闇だ!」
「更に『コールカード』の効果発動! このカードを墓地に送り、そのまま墓地から『コールカード』自身をデッキへ戻し、1枚ドロー! 『ジェノサイド・ドロー』!」
こいつも『ジェノサイド・ドロー』を連打して……!
「更に我は魔法カード『ジェノサイド・バックアーツ』を発動! 自分フィールドにフィールド魔法が存在する時、墓地の“ジェノサイド”モンスターを1体選択し、召喚条件を無視して特殊召喚する! 復活せよ、『ジェノサイド・オミナス・ドラゴン』!」
『GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!』
ATK 3500
「そしてその復活したモンスターと同じレベル扱いとして、フィールド魔法とそのモンスターでエクシーズ召喚を行う!」
「何、フィールド魔法でエクシーズ召喚だと!?」
ジェノサイド・バックアーツ(オリジナル)
【通常魔法】
(1):自分フィールドにフィールド魔法が表側表示で存在する時に発動できる。
自分の墓地から「ジェノサイド」モンスターを召喚条件を無視して1体特殊召喚し、フィールド魔法をその特殊召喚したモンスターと同じレベル扱いとして、その「ジェノサイド」モンスターとフィールド魔法を素材にXモンスター1体をX召喚する。
「『オミナス』のレベルは10、よってレベル10の『ジェノサイド・オミナス・ドラゴン』と『幻魔の王城』で、オーバーレイ!」
☆10×☆10=★10
「エクシーズ召喚! 来るが良い、ランク10『ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン』!」
『オォォォォォォオオオオオオオオオオオオオンッ!』
ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン:ATK 4600
「攻撃力、4600……!」
使えなくなったフィールド魔法を即座に切り捨て、新しいモンスターに書き換えるとは。
しかもあの三つ首の黒龍、攻撃力が高すぎる。素の打点で勝てるモンスターは俺のデッキにはいないぞ……。
「バトル! 『ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン』で『ホープレイ・ヴィクトリー』を攻撃!
この瞬間、オーバーレイ・ユニットを1つ消費し効果発動! 相手モンスターの効果を無効にし、攻撃力を0とする! そしてこの効果を受けたモンスターの攻撃力は元に戻らない! 更にこのカードは貴様のカード効果を受け付けない!」
「何!?」
「これで死ね! “ラース・トゥキープ・フロムキリング”!」
「させるか、俺は墓地の『超電磁タートル』の効果発動! このカードを墓地から除外し、バトルフェイズを終了させる!」
ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)
ランク10
闇属性/ドラゴン族
ATK 4600/DEF 3900
レベル10モンスター×2
(1):このカードは相手の効果を受けず、戦闘によって発生する自分へのダメージは0となる。
(2):このカードの攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
攻撃対象となった相手モンスターの効果は無効となり、攻撃力は0となる。
超電磁タートル(効果モンスター)
星4
光属性/機械族
ATK 0/DEF 1800
相手ターンのバトルフェイズ時に墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。
そのバトルフェイズを終了する。
「超電磁タートル」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン:ORU 2→1
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー:ATK 2800→0
ドラゴンの三つ口から巨大なビームが放たれ、俺のモンスターを狙う。咄嗟に電磁バリアを張ってこれを何とか攻撃は凌いだが……、『超電磁タートル』の効果は2度は使えない。
このままじゃあジリ貧で負けちまう。ハンディキャップデュエルを勝手に乗っ取られて、まさに『
「フン、その場凌ぎだな。我はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
ラース:LP 100
手札:1枚
フィールド
:ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン(ATK 4600・ORU:1)
:伏せカード2枚
「俺の、ターン!」
……良し、来てくれたか!
グズグズしてると押し負ける、行くぜ!
【推奨BGM:柳の下のデュラハン】
「俺は『ホープドラグーン』の効果発動! 復活せよ、『ヴォルカザウルス』!」
No.61 ヴォルカザウルス:DEF 1000
「魔法カード『エクシーズ・トレジャー』を発動! フィールドのエクシーズモンスターは今4体! よって俺は、カードを4枚ドローする!」
この4枚に賭ける。残ったライフは100、奴の盤面が整う前に潰す!
「手札から『アバンドン・バーン』を発動! 自分フィールドのエクシーズモンスターを1体選んで墓地へ送り、その攻撃力分のダメージを相手に与え、フィールドのカードを1枚破壊する! 俺は『ホープレイ・ヴィクトリー』を墓地に送り、お前の伏せカードを破壊しつつ、2800のダメージをテメェに叩き込む! これで終わりだ!」
「温いわ! カウンター罠、発動! 『ジェノサイド・ミラーシールド』! 効果ダメージの発生を無効にして破壊! 更に貴様のモンスター全てはその攻守を0とし、我がジェノサイドモンスター1体の攻撃力をその数値分だけ上げる!」
「何!?」
アバンドン・バーン(オリジナル)
【通常魔法】
(1):自分フィールドに表側表示で存在するXモンスター1体を墓地に送って発動する。
相手にそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与え、フィールドのカードを1枚破壊する。
ジェノサイド・ミラーシールド(オリジナル)
【カウンター罠】
(1):発生した効果ダメージを無効する。
このカードの効果解決処理時、自分フィールドに「ジェノサイド」モンスターが存在する場合、全ての相手モンスターの攻撃力と守備力は0となり、その攻撃力の合計値分だけ自分の「ジェノサイド」モンスター1体の攻撃力をアップさせる。
No.99 希望皇龍ホープドラグーン:ATK 4000→0
No.61 ヴォルカザウルス:DEF 1000→0
ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン:ATK 4600→11100
「こ、攻撃力11100ナノーネ!?」
「……サー、頑張って……!」
閃光となって突進する『ヴィクトリー』。しかしその勢いは瞬時に鏡の盾に吸収されてしまった。
おまけに攻撃力アップに利用されるというおまけつき。だが……。
「大丈夫だ、計算の範囲内さ」
そう、目的はこっちだ!
「俺は『スパイラル・エクシード・アセンション』を発動! 自分の墓地とフィールドの同じランクのエクシーズモンスター2体を素材とし、墓地の同じランクのエクシーズモンスターをエクシーズ召喚する! 俺は墓地の『ホープレイV』とフィールドの『ヴォルカザウルス』でオーバーレイ!」
★5×★5=★5
「エクシーズ召喚! 万象を網羅し、再び勝利を掴め! 『CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』!」
「チィッ! 狙いはそっちか!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー:ATK 2800
スパイラル・エクシード・アセンション(オリジナル)
【通常魔法】
(1):自分の墓地とフィールドの同じランクのXモンスター2体を選択して発動する。
選択した2体のモンスターを素材として、墓地の同じランクのXモンスター1体をX召喚扱いとして特殊召喚する。
再度姿を現す勝利の希望。こっちもライフ1を守るためにいい加減に精神を消耗している。長期戦になればなる程、その戦いは不利へと傾く。
もう余裕は無いに等しい。このまま片を付けさせてもらう!
「今度こそ最後だ、ラース! 行け、『ヴィクトリー』! 『ジェノサイド・トライヘッド・ドラゴン』を攻撃! この瞬間、モンスター効果発動! お前のモンスターの効果は無効にならなくても、魔法・罠は発動できず、攻撃力もアップする! “ヴィクトリー・チャージ”!」
「だが『トライヘッド・ドラゴン』とのバトルでは、我はダメージを受けぬ!」
「それでも、破壊はさせて貰おうか!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー:ORU 2→1/ATK 2800→13900
『ホァアアアアアアアアアアアッ!』
『ギャォオオオオオオオオオオッ!』
クッソ、上手く行ったと思ったんだがな……!
簡単には仕留められないか……!
「『ホープドラグーン』を守備表示に変更」
No.99 希望皇龍ホープドラグーン:ATK 0→DEF 0
「俺はカードを3枚伏せて、ターンエンド! 『ヴィクトリー』の攻撃力は元に戻る!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー:ATK 10200→2800
黎:LP 1
手札:2枚
フィールド
:No.99 希望皇龍ホープドラグーン(DEF:0・ORU:1)、CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー(ATK 2800・ORU:1)
:伏せカード3枚
「中々やるな、“騎士”の魂」
「……」
「だが、所詮はここまでだ! 貴様のターンの終わりに罠発動、『
「何!? 俺のモンスターを召喚素材にするだと!?」
殲滅の合星(オリジナル)
【通常罠】
このカードは自分フィールド上にモンスターが存在せず、自分のXモンスターが相手によって破壊されたターンの終了時にのみ発動できる。
(1):相手フィールドに存在するXモンスター2体を対象として発動する。
その2体のモンスターをX素材として、破壊されたXモンスターよりランクが1つ高い「ジェノサイド」Xモンスターを1体、X召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「我は、貴様の『ホープレイ・ヴィクトリー』と『ホープドラグーン』で、オーバーレイ!」
★5×★10=★10+1=★11
漆黒の光に包まれ、俺の白い騎士と龍が天空へと吸い込まれる。夜空に描かれた銀河の渦が光を飲み込み、ドス黒い光を伴う爆発を巻き起こした。
これで、俺のモンスターは全滅か……!
「これぞ我が力の化身! ランク11!」
そして浮かび上がる、666の、数字……!
「吼えよ天地人を砕く悪鬼! 怒りの権化、今ここに現れる! 屍よ、現世に牙剥く悪魔を呼び寄せ、憤怒の焔で天地を蹂躙せよ! エクシーズ召喚! 『No.666』ッ! 『ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル』ゥッ!」
『AAAAAAAAAAAAああああああああアアアアアアアアアアアアァァアアアァアああaaaAAあァアアッ!』
No.666 ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル:ATK 4800
「攻撃力4800ですと!?」
「何という、輝かしさと対極にある禍々しさだ……!」
「……しかも、こんなナンバーズ、見た事無い!」
「107を超えるナンバーズ……!」
順に鮫島校長、白石、ポーラ、俺。
その姿、正しく聖書に出て来る悪魔そのもの。暗い赤で彩られた大鎌に、頭には山羊の頭蓋骨。黒いマントを羽織り、首には人の頭蓋骨で作られたネックレス。山羊の骨で顔は下半分しか見えないが、そのからは鋭い八重歯と称するには余りにも長い牙が口の端から、そして眼孔からは赤くおどろおどろしい眼光が覗いていた。
だがその気配は余りにも異質。俺は邪神の気配を、背筋に流れる泥と表現するが、このモンスターの雰囲気もまたそれだ。
ナンバーズ、いや、数字を冠する事ですら烏滸がましい、そんな存在……。異質の中の、異質……!
「我のターン、『ジェノサイド・ドロー』! 消えろ、小僧! 『モールトゥース・ルキフェル』の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い、相手の場のカードを全て破壊する! 更にこの効果に相手はチェーン発動できず、破壊されたカードの効果は無効となって発動できなくなる! “ジェノサイド・ブレイズダウン”!」
「何だと!?」
No.666 ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル(エクシーズモンスター・効果モンスター)(オリジナル)
ランク11
闇属性/悪魔族
ATK 4800/DEF 4900
レベル11モンスター×2
相手プレイヤーはこのカードの特殊召喚、効果の発動に対し、カード効果を発動できない。
(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動する。相手フィールド上のカードを全て破壊する。この効果で破壊されたカードの効果は無効となる。
(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、相手プレイヤーは墓地のカードを除外できない。
振るわれる、巨木のように太く、それ以上の長い地獄の大鎌。それに伴って闇色の炎が俺の伏せたカード『リビングデッドの呼び声』、『逆さ眼鏡』、『神の宣告』を焼き尽くした。
これが、
「これで貴様を守る者はいなくなった! 『モールトゥース・ルキフェル』でダイレクトアタックだ! 今度こそ死ねぇ!」
「化物をナメるなあっ! 墓地の『虹クリボー』の効果発動! ダイレクトアタックが宣言された時、このカードを守備表示で復活させる事ができる!」
「何!?」
『クリクリ~』
DEF:100
「ならばその雑魚を消し去ってくれるわぁ!」
俺のディスクの墓地が光を放ち、青いボディに虹色に輝く角を持った球体モンスターが現れる。
『虹クリボー』は振り下ろされた鎌を七色に輝く障壁で防ぎきると、その姿を消した。
「助かったぜ、『虹クリボー』!」
「ひ、ヒヤヒヤしたぞ、今のは……」
だが、この効果を使用すれば『虹クリボー』は除外される。
これで防御の手段をまた1つ失った。
「フン、果たしてそれは
「ハッ、テメェの破滅への一手に決まっているだろ!」
「ならば我と、この『モールトゥース・ルキフェル』に勝ってみろ。カードを2枚伏せてターンエンド!」
ラース:LP 100
手札:0枚
フィールド
:No.666 ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル(ATK:4800・ORU:1)
:伏せカード2枚
「俺のタァーンッ!」
「諦めろ、どうやって我に勝つと言うのだ?」
まだだ、まだ負けてなんかいない。
デッキは俺の信念に、俺の思いに、俺の心に応えてくれている! なら俺が膝を折ってどうする!
「俺のドローしたカードは……、『RUM-
「ほう、ここで新たなランクアップ・マジックか。だが貴様の場にモンスターは存在しない!」
「不要だ! 『RUM-七皇の剣』、発動! このカードは、墓地かエクストラデッキから、101から107のナンバリングを持つナンバーズ、即ちオーバーハンドレッド・ナンバーズ1体を呼び出し、カオス化させる!」
「何!? 墓地かエクストラデッキのモンスターをカオス化だと!?」
RUM-七皇の剣
【通常魔法】
自分のドローフェイズ時に通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動できる。
「CNo.」以外の「No.101」~「No.107」のいずれかをカード名に含むモンスター1体を、自分のエクストラデッキ・墓地から特殊召喚し、そのモンスターと同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」と名のついたモンスターをその特殊召喚したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「RUM-七皇の剣」の効果はデュエル中に1度しか適用できない。
「エクストラデッキから現れろ、『No.101』! 満たされぬ魂を乗せた白き箱舟! 『
俺の右手にあるカードから紫の光が天へと飛び出て、空中に101の水色の数字を浮かび上がらせる。
闇を切り裂くように2つの比翼がついた大きな舟が、赤いコアを持って姿を露わにした。
No.101 S・H・Ark Knight:ATK 2100
「そしてランク4の『Ark Knight』で、オーバーレイ・ネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」
★4→★5
「満たされぬ魂の守護者よ、暗黒の騎士となりて偽りの光を貫き砕け! 現れろ、『CNo.101』! 『S・H・Dark Knight』!」
箱舟の赤いコアから飛び出す、黒い装束の騎士。箱舟から渡されたエネルギーが腕を、足を、そして赤い豪槍を生み出し、右足のスパイクに101の数字が光った。
これが俺のデッキの、最後の切り札だ!
CNo.101 S・H・Dark Knight:ATK 2800
No.101 S・H・Ark Knight(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
水属性/水族
ATK 2100/DEF 1000
レベル4モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターをこのカードの下に重ねてエクシーズ素材とする。
「No.101 S・H・Ark Knight」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
また、フィールド上のこのカードが破壊される場合、代わりにこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事ができる。
CNo.101 S・H・Dark Knight(エクシーズ・効果モンスター)
ランク5
水属性/水族
ATK 2800/DEF 1500
レベル5モンスター×3
1ターンに1度、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターをこのカードの下に重ねてエクシーズ素材とする。
また、エクシーズ素材を持っているこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に「No.101 S・H・Ark Knight」が存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。
その後、自分はこのカードの元々の攻撃力分のライフを回復する。
この効果で特殊召喚したこのカードはこのターン攻撃できない。
「ほう、そんなランクアップもあるのか……。だが攻撃力は2800、我が『モールトゥース・ルキフェル』には遠く及ばん!」
「デュエルにおいて、必ずしも相手に及ばせるのは攻撃力である必要は無い! 『Dark Knight』の効果発動! 1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を吸収し、このカードのカオス・オーバーレイ・ユニットにする! “ダーク・ソウル・ローバー”!」
「何!? 破壊も除外もバウンスも墓地送りもせず、ただオーバーレイ・ユニットとして吸収するだと!?」
黒き騎士の槍から放たれる赤い閃光が悪魔を射抜くと、その姿を金色に縁取った四芒星の菱形とも取れる星形の結晶へと変換した。
これで奴のモンスターはいなくなった。今度こそ……!
「バトル! 今度こそトドメだ! 『Dark Knight』で、ダイレクトアタック! “トリリオン・ファントム・スピア”!」
「そうはさせぬ! カウンター罠、発動! 『
「除外だと!?」
くっ、破壊じゃないから『Dark Knight』の復活効果も回復効果も使えない!?
白骨の享楽(オリジナル)
【カウンター罠】
(1):相手の直接攻撃宣言時に発動できる。
攻撃モンスターをゲームから除外し、その攻撃力の10倍の数値分だけライフを回復する。
ラース:LP 100→28100
「ククカカ、癒える癒える……。感謝するぞ、“騎士”の魂?」
「この、野郎……! メインフェイズ2で『召喚僧サモン・プリースト』を召喚! このモンスターは召喚と同時に守備表示になる!」
ATK 800→DEF 1600
「モンスター効果発動! 俺の手札から魔法カードを1枚墓地へ送り、デッキからレベル4のモンスターを特殊召喚できる! 出ろ、『アステル・ドローン』!」
『ハイッ!』
ATK 1600
ディスクが『ジャンク・アタック』を飲み込みつつ、デッキから星を描く魔法使いを呼び出す。
兎に角、少しでも戦況を引き寄せないと、マズい!
「レベル4の『アステル・ドローン』と『サモン・プリースト』でオーバーレイ・ネットワークを構築!」
☆4×☆4=★4
「エクシーズ召喚! 撃ち抜け、『ガガガガンマン』!」
『ガガッ!』
ガガガガンマン:DEF 2400
膝立ちで銃を構えるカウボーイ。この場では苦し紛れにもならないが……!
「『アステル・ドローン』の効果でカードを1枚ドロー! 更に『ガガガガンマン』の効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使って、お前に800ポイントのダメージを与える!」
ガガガガンマン:ORU 2→1
ガガガガンマン(エクシーズ・効果モンスター)
ランク4
地属性/戦士族
ATK 1500/DEF 2400
レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
このカードの表示形式によって以下の効果を適用する。
●攻撃表示:このターン、このカードが相手モンスターを攻撃するダメージステップの間、このカードの攻撃力は1000ポイントアップし、その相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。
●守備表示:相手ライフに800ポイントダメージを与える。
ガゥン!ダゥン! と響く銃声。しかし体に穴が開く様子も無く、ラースは涼しい顔をしている。
「フン、効かんな?」
ラース:LP 28100→27300
「まだだ! 魔法カード『埋葬呪文の宝札』! 墓地から『スパイラル・エクシード・アセンション』、『七皇の剣』、『ジャンク・アタック』を除外し、2枚ドローする!
そして『RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動! ランク4の『ガガガガンマン』で、カオス・エクシーズ・チェンジ!」
★4→★5
「死の恐怖よ、紋章の姿を得て仮初の姿となるが良い! 『CNo.69
『オォォォォォォォォオオオオオオオオオオッ!』
CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ:ATK 4000
暗い銀河の光から生まれる、禍々しい角の棘のような腕を持った死神。こいつは相手の攻撃宣言時に相手モンスターを全滅させる効果を持っているし、攻撃力も高い。時間稼ぎには最適だろう。
CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ(エクシーズ・効果モンスター)
ランク5
光属性/サイキック族
ATK 4000/DEF 1800
レベル5モンスター×4
相手モンスターの攻撃宣言時、相手フィールド上のカードを全て破壊できる。
また、このカードが「No.69 紋章神コート・オブ・アームズ」をエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
エンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力は選択したモンスターの元々の攻撃力分アップし、このカードは選択したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。
これで、俺のエクストラデッキのモンスターは全部だ……。
【黎のエクストラデッキ】
『No.39 希望皇ホープ』
『No.39 希望皇ホープ・ルーツ』
『CNo.39 希望皇ホープレイ』
『CNo.39 希望皇ホープレイV』
『CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー』
『No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ』
『No.99 希望皇龍ホープドラグーン』
『No.61 ヴォルカザウルス』
『No.22 腐乱健』
『CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ』
『No.101 S・H・Ark Knight』
『CNo.101 S・H・Dark Knight』
『ガントレット・シューター』
『ガガガガンマン』
『迅雷の騎士ガイアドラグーン』
計15枚
『カオス・オブ・アームズ』は『CNo.104 仮面魔踏師アンブラル』と迷った末の投入だ。攻撃抑制か魔法・罠破壊かだったが、リクルーターデッキを相手に想定していたため結局前者を選択させて貰ったワケである。
「俺はこれで、ターンエンド!」
黎:LP 1
手札:1枚
フィールド
:CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ(ATK:4000・CORU:2)
:魔法・罠無し
【BGM終了】
「逐一鬱陶しい小細工だ。我のターン、『ジェノサイド・ドロー』!
魔法カード『命数潰しの宝札』を発動。その効果で我は5枚カードをドローし、カード名を1つ宣言する。次の相手の通常ドローで引いたカードを確認し、カード名が宣言通りならば貴様に3000のダメージを与える。ただし不正解ならばターン終了時に我の手札は全てデッキに戻る」
「何!?」
「我が選択するのは『RUM-イーヴィル・フォース』だ、『ジェノサイド・ドロー』!」
な、に……? バカな、俺のデッキにそんな名前のカードは入ってなんか……?
「まあ慌てるな。まずは『死者蘇生』を発動。これで墓地から『No.666 ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル』を復活させる」
『オ゛ォォ……!』
No.666 ジェノサイド・スカル モールトゥース・ルキフェル:ATK 4800
「そして手札から『RUM-イーヴィル・フォース』を、発動! このカードは自分の場のエクシーズモンスターをカオス化させ、相手のオーバーレイ・ユニットを全て奪い、その数×300ポイント相手モンスターの攻撃力を下げる! 更にこの時、このカード自身と墓地の召喚素材となったモンスターをオーバーレイ・ユニットにできるが……、後者の方は今回は墓地からの復活のため使われん」
「という事は、奴もカオス化させて来るのか!」
「正解だ。我はランク11の『モールトゥース・ルキフェル』でオーバーレイ・ネットワークを再構築!」
暗い、昏い、黒い、闇の光となり、世界を塗り潰す山羊の頭骨を被った悪魔。その闇は渦巻いて開いた次元の渦の中へと飛び込み、見るだけで鳥肌を立たせるような光と共に、姿を変える。
「カオス・エクシーズ・チェンジ!」
★11→★12
「憤怒の爪牙、今こそ
我が力の根底、
怒りの力、其は人の悪たる
抗うべからざる根源、其は真の
刹那、この世界に響き渡る、空も、地も、次元の壁すらも砕きかねない、怒りと憎しみの、咆哮。
こちらを見下げ見下す赤々とした瞳、醜く頬まで割れる口の端、たった一振りで手を入れる事無く敵を屠る事ができるだろう双頭を持つ血色の大鎌、万物を食らい尽くす事ができるであろう大きな口、されどもどこか洗練され美しさすら醸し出す全身、あらゆる命を奪い取ろうとする禍々しいオーラ。背筋を通る泥を超えた、背骨を浸蝕する酸液のような不快感と吐き気。
「憎しみと怒りの象徴、『CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン』ッ!」
『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!』
素直に、こいつは評価できる。このモンスターは……、この世に存在してはならない!
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:ATK 5000
「攻撃力5000……!」
「『サイバー・エンド・ドラゴン』に匹敵する攻撃力の『カオス・オブ・アームズ』を上回るとは……!」
「そして『イーヴィル・フォース』はオーバーレイ・ユニットとなり、更に貴様の『カオス・オブ・アームズ』のオーバーレイ・ユニットを全て吸収する!」
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:CORU 2→4
CNo.69 紋章死神カオス・オブ・アームズ:CORU 2→0/ATK 4000→3400
「まだだ! 我は罠カード『邪神の買収』を発動! ライフを500支払い、貴様の墓地からエクシーズモンスターを5体、我がカオスエクシーズのカオス・オーバーレイ・ユニットにする!」
「な!? 俺の墓地から素材を!?」
俺の墓地から5枚のカード、『希望皇ホープレイV』、『ヴォルカザウルス』、『Ark Knight』、『ガイアドラグーン』、『ガントレット・シューター』が宙に浮いて奴の魔人の元へと飛び、結晶となった。
ラース:LP 27300→26800
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:CORU 4→9
い、一瞬でこっちの墓地アドを潰しつつ5つもカオス・オーバーレイ・ユニットを補充しやがった……!?
「そしてこれが貴様を屠る手だ、手札から魔法カード『トリップ・チープチップ』を発動! このカードはターンの終わりに我の墓地の魔法カードを1枚選び、貴様のデッキトップへ置く。そして次のターン、貴様はスタンバイフェイズに1枚ドローできる。当然、我はその効果で墓地の『イーヴィル・フォース』を貴様のデッキトップへ配置する!」
「って事は……!」
「次のターン、『命数潰しの宝札』の効果ーデ、彼は3000ポイントのダメージを受けて敗北してしまうノーネ!」
「だけでは無い! 『命数潰しの宝札』の効果によるダメージは無効にもゼロにする事も回復へ変換する事も相手へ押し付ける事もできん!」
「……それじゃあ、サーは次のターンに……!?」
「まだ『トリップ・チープチップ』の効果は終わっていない! その効果で、貴様の場のモンスターを1体、我がモンスターのエクシーズ素材として吸収する!」
「なん……、だと……!?」
命数潰しの宝札(オリジナル)
【通常魔法】
(1):デッキからカードを5枚ドローし、カード名を1つ宣言する。
次の相手ターンのドローフェイズ時に相手が通常ドローしたカードを確認し、宣言したカードであった場合、相手に3000ポイントのダメージを与える。
宣言したカードでは無かった場合、そのターンの終わりに自分の手札は全てデッキに戻る。
この効果で発生するダメージは無効にならず、0にもならない。
また回復に変える事もできず、別のプレイヤーへ与える事もできない。
RUM-イーヴィル・フォース(オリジナル)
【通常魔法】
(1):自分の場のXモンスター1体を選択して発動する。
この時、自分の墓地にそのモンスターのX素材が存在する場合、下に重ねてX素材とする事ができる。
選択したモンスターと種族、属性が同じでランクが1つ高い「CX」または「CNo.」と名のついたXモンスター1体をエクストラデッキからエクシーズ召喚扱いとして選択したXモンスターの上に重ねて特殊召喚する。
(2):この効果で特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するXモンスター1体を選択し、その下に重ねられているX素材を全て特殊召喚したモンスターの下に重ねる。
そのXモンスターは失ったX素材1つにつき300ポイント攻撃力がダウンする。
(3):発動後このカードは墓地には送られず、特殊召喚したモンスターの下に重ねてX素材とする。
邪神の買収(オリジナル)
【通常罠】
(1):ライフポイントを500払って発動する。
相手の墓地に存在するXモンスターを5体まで選択し、選択したモンスターを自分フィールドの「C」Xモンスターの下に重ねてX素材とする。
この効果で重ねたモンスターのカード名は、重ねられた「C」Xモンスターのテキストに記されているモンスターの名前として扱う事ができる。
トリップ・チープチップ(オリジナル)
【通常魔法】
(1):相手の場に表側表示で存在するモンスター1体を自分の場に存在するXモンスターの下に重ねてX素材とする。
このターンの終わりに自分の墓地に存在する「トリップ・チープチップ」以外の魔法カードを1枚選び、相手のデッキの1番上に置く。
相手は次の相手ターンのスタンバイフェイズにカードを1枚ドローできる。
「これで次の貴様のターンに敗北は決定した」
「……っ!」
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:CORU 9→10
「だが念には念だ。我は『イラムレクス・サタン』の効果発動! 1ターンに1度、カオス・オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、貴様の墓地・手札・場のカードを全て裏側表示で除外できる! 貴様の抵抗の一切を我は許可しない、貴様に希望は一片たりとて残しはしない! 無抵抗に殺されよ、クズ人間! “ジェノサイド・ダークバーン”!」
「そうはさせるか! 手札から『エフェクト・ヴェーラー』のモンスター効果、発動! 相手ターンのメインフェイズにこのカードを墓地に送り、相手モンスター1体の効果を、ターンの終わりまで無効にする!」
「ぬ……!」
エフェクト・ヴェーラー(チューナー・効果モンスター)
星1
光属性/魔法使い族
ATK 0/DEF 0
このカードを手札から墓地へ送り、相手フィールド上の効果モンスター1体を選択して発動できる。
選択した相手モンスターの効果をエンドフェイズ時まで無効にする。
この効果は相手のメインフェイズ時にのみ発動できる。
闇のエネルギーを体の中心部にある赤いコアへと集める巨躯の魔人。それを放とうとした瞬間、半透明のヴェールを羽織った少女が光の膜で魔人を覆い隠し、エネルギー波を掻き消した。
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:CORU 10→9
「か、間一髪だったな……」
「だが、それでどうする? 魔法カード『エフェクト・シャットアップ』を発動。これで無効化されているカード効果は全て復活し、2枚ドロー。更に我は次のターンに1枚ドローできる。
さて、貴様にはもう手札は無い。モンスターも、魔法も、罠も無い。更に『イラムレクス・サタン』はバトルフェイズ中、モンスター効果の発動を許さず、墓地のカードも除外させない。そしてフィールドのカード効果も全て掻き消す。次のターンなど待たぬ! ここで終わりだ!」
「主殿……!」「……サー……!」「遊馬崎君……!」「遊馬崎……!」「ドロップアウトガイ……!」
「っ……!」
エフェクト・シャットアップ(オリジナル)
【通常魔法】
(1):自分フィールド上に存在する効果が無効になっているカード効果は全て無効化されていない状態になり、カードを2枚ドローする。
次の自分のターンのドローフェイズ時、通常ドローで2枚ドローする。
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)
ランク12
闇属性/悪魔族
ATK 5000/DEF 5000
悪魔族またはアンデット族レベル12モンスター×3
このモンスターがフィールドに表側表示で存在する限り、相手プレイヤーは墓地のカードをゲームから除外できない。
(1):このカードはカード効果では破壊されない。
(2):このカードの攻撃宣言時、ダメージ計算終了時まで相手プレイヤーはモンスター効果・魔法・罠カードを発動できない。
(3):このカードが「CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン」をX素材にしている時、以下の効果を発動できる。
●1ターンに1度、X素材を1つ取り除いて発動できる。
相手の手札、フィールド、墓地のカードを全てゲームから裏側表示で除外する。
「さあ、今度こそ死ね! 『イラムレクス・サタン』で貴様にダイレクトアタック! “
「主殿ォ!」
「まだだ……、まだ俺は負けるワケにはいかないんだ! 相手プレイヤーのダイレクトアタック宣言時、墓地の罠カード『
「何!? 墓地からモンスターとして扱う罠の効果だと!?」
「頼む、『シャドーベイル』!」
幻影騎士団シャドーベイル:DEF 300
迫り来る処刑鎌を前に、俺は急いでディスクのボタンを押し、墓地のカードを選ぶ。
吐き出されたカードを慌ててディスクに叩き付けるようにしてセッティングし、その瞬間、俺の場に新たな壁となるモンスターが現れた。
墓地から出て来るこの効果は『カードの発動』では無く『効果の適用』。ギリギリ『イラムレクス・サタン』の適用範囲外だ。
「く……、『邪天使の施し』で墓地へ送っていたか……! ならばその雑魚を攻撃ィ!」
振るわれ直される大鎌によって、灰色の馬に乗った幻影の騎士は文字通り幻影のように消え去った。
「っ! この効果を使った後、『シャドーベイル』は墓地へは行かずに除外される……!」
幻影騎士団シャドーベイル
【通常罠】
(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。
(2):このカードが墓地に存在する場合、相手の直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードは通常モンスター(戦士族・闇・星4・攻0/守300)となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
これで、俺の墓地で発動できるカードは正真正銘使い切った。
エクストラデッキのカードも0、墓地発動も0、手札も0、フィールドも0。そして次のターン、俺の最初のドローは確定していて、そのカードのせいで敗北は確定。
どう足掻いても、新たな手も、逆転の手も、無い。
ディスティニードローも、できない。
「無意味な悪足掻きだな。これだから人間は醜く低俗なのだ、決められた死を前に浅ましく喚く害虫以下のカスめ」
「俺は化物だ、人間じゃない。俺を見て人間の価値を計るのはやめろ」
「屁理屈を。我はカードを2枚伏せてターンエンド。さあ、貴様の敗北だ!」
ラース:LP 26800
手札:1枚
フィールド
:CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン(ATK:5000・CORU:9)
:伏せカード2枚
ラースの墓地から俺のデッキへと光が飛び込み、カードが1枚増える。これが恐らく先程
ここまで、なのか……!
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーッ!」
まるで俺の絶望を嘲笑うかのような魔獣の咆哮が、草木も眠る夜に轟いた。
SIDE:フィオ
眠っている間、わたしは色々な事を思い出していた。
自分の本当の名前と正体。
途切れ途切れだった、自分が人外である事の証明たる記憶。
邪神とわたし、そして黎と都ちゃんの因縁。
そして、黎に謝らなくてはいけない『あの一件』の全貌。
わたしは、バカだ。
かつて、アストラル界で出会った知人は言った。『人の欲を取り除けないのならば、ランクアップはできない』と。
わたしはそれに反論した。『ランクアップのためだけに何かを次々と切り捨ててしまっては、本当に大切なものまで捨ててしまう』と。
なのにわたしは、『本当に大切なもの』を切り捨ててしまった。
勿論苦渋の決断、熟慮の末であった事は言うまでも無い。それでも、わたしは数えきれない程の人を救うために、黎と都ちゃんを切り捨てた。
そしてその結果がご覧の有様。わたしは間違っていたとしか言いようが無い。
だから、償わないと。
面と向かって、黎と、都ちゃんに、謝らないと……!
目を開けると、そこはデュエルの風景。
黎と向かい合うのはスポーツ刈りの筋骨隆々の男。そして傍らには鮫島校長、クロノス先生、白石君、高田、桜さん、ポーラ。わたしの隣にはほぼ透明で横たわるフレイ。
「我はカードを2枚伏せてターンエンド。さあ、貴様の敗北だ!」
言動から察するに、どうやらドローフェイズに何かあるらしい。
言う事を聞かない腕を何とか動かして電源が入りっぱなしのディスクをデュエルとリンクし、カードの詳細を確かめる。
……成程、ドローカードによる残存効果のバーンか。
それならば、わたしが力になれる。過去の闇と、未来の光。嘗ての怒りと憎しみと、これからの希望と夢。ならば君には、アストラル界が捨てた
「……っ、ぉ、ぉぉ……っ!」
「フィオ殿!?」
ガタつく、貧弱な人間の足に鞭を打って何とか立ち上がる。
「さあ、どうして小僧。貴様のターンだぞ?」
「ぐ……!」
「れ……、い……!」
クソ、人間の喉じゃあ声はまだ掠れてしまうか……!
「フィオ、お前起きたのか!?」
「……フィオ、まだ寝てないと!」
心配そうな目を向ける黎とポーラに、わたしは大丈夫だからと言う。
「だい、じょうぶ……。黎……、ドローを……!」
「だが……!」
「だいじょう、ぶ……! わたしを、信じて……、いっ、しょに……!」
「フィオ……」
よろよろと手を黎のデッキトップに導く。
わたしに残っている力よ……、彼に、この悲しき魔獣に、力を……!
SIDE:黎
生まれたての小鹿よりも酷い足取りで俺の元へとやって来たフィオは、ゆっくりと俺のデッキトップ、『RUM-イーヴィル・フォース』に手をかける。
そんな事をしても、『命数潰しの宝札』の効果で俺が負けるだけだ。
なのに、何故だろうか。俺はこの少女が輝かしい奇跡を起こすような気がしてならなかった。
何の根拠も無いのに、疑う気持ちが、浮かばない。心の底から信じられる。そんな予感が。
そして、その予感は――
キィィィィィィィィィィィィィィン!
的中する。
「うぉぉぉ、何だこの忌々しい光はぁ!?」
「フィオ、お前……」
「今は、何も聞かないで欲しい……。全部、終わったら……」
「フィオ殿、貴女は一体……」
「何と、神々しき光よ……」
「美しいノ~ネ……」
突如として産まれた眩い光。それは明け始めようと東の空がだんだん橙色に染まろうとしているこの夜空を切り裂く、月や星とはまた異なる輝き。
「黎、君の中に、今新しき力が芽生えた」
「新しい、力……」
「我が名は×××××……。君に光と闇の未来を、託す者だ……!」
そう言ってフィオは空いた左手で俺の右手を掴み、デッキへと導く。丁度俺とフィオの右手が重なり、二人一緒にドローできる具合に。
「信じるんだ、君の
「光と、闇……」
「黎、行くよ……、ドローだ!」
「……っ、おう!」
「俺と!」
「わたしの!」
「「タァーンッッ!」」
カードを表向きにするが、そこには禍々しい模様のランクアップ・マジックがあるだけ。
それでも、分かる。奇跡は起こると。
「ク、カハハ、ただの虚仮脅しか! 『命数潰しの宝札』の効果で3000のダメージを喰らい、貴様らは終わりだぁ!」
高らかに宣言するラース。だが、俺とフィオは声を揃えて言い放つ。
「「それはどうかな?」」
「何!?」
「「重なった光と闇は、世界を、希望の未来に再構築する!」」
『イーヴィル・フォース』が、光る……!
リ ・ コ ン ト ラ ク ト ・ ユ ニ バ ー ス !
瞬間、カードの表面が光の破片となって砕け散り、再度集まる。
そこには、全く絵柄も名前も違うカードが、あった。
「何ィ!? カードを書き換えただとぉ!?」
「「奇跡の光が卑しき闇を、正しき闇が忌まわしき光を払い、『RUM-イーヴィル・フォース』の、新たな姿を呼び覚ました!」」
「怒りと憎しみの俺の過去、希望と夢の新たな未来!」
「憤怒と憎悪たる『イーヴィル・フォース』、そして幸運と運命たるわたしの力!」
「「これが新たな『イーヴィル・フォース』の姿、『RUM-ケイオス・フォース』だ!」」
そう、元々邪神のカードは奴らの力によって生み出された、歪んだ理。そこに現世の正しい力が触れて、本来あるべき、そして新しく進化した俺達の希望を導くに相応しい姿へと変わったんだ!
「スタンバイフェイズに俺はもう1枚ドロー!」
引いたカードは……、困った時の『貪欲な壺』!
「魔法カード『貪欲な壺』! 墓地の『ホープ・ルーツ』、『トイナイト』、『ドドドウォリアー』、『ガガガマジシャン』、『アステル・ドローン』をデッキに戻してシャッフルし、2枚ドロー!」
新たに手札に加わったカードを見る。
そして、それらが全て、一本の光のラインで繋がった。
エクストラデッキからも、まるで呼応するかのように、新たな力を感じられる。
「……ラース、俺の、いや俺達の勝ちだ」
「何をバカな!? 我がライフは26800! そして攻撃力5000の『イラムレクス・サタン』を前に、貴様に勝ち目などあるものかぁ!」
「いや、勝つさ」
そのための第一歩!
「俺は『死者蘇生』を発動! 墓地から復活せよ、『No.39 希望皇ホープ』!」
『ホォォォォプ!』
No.39 希望皇ホープ:ATK 2500
再度姿を現す、希望の化身。
頼むぞ、俺の希望、未来の導き手!
「今更攻撃力2500を呼び戻したところで、何ができる!」
「見せてやるさ、俺の本当の希望を! 俺は『RUM-ケイオス・フォース』を発動! このカードは自分フィールドのモンスター1体を種族・属性が同じでランクが1つか2つ高いカオスエクシーズへと進化させる!
俺はランク4の『希望皇ホープ』でオーバーレイ!」
『ホォォォォォォ!』
俺の掛け声に合わせ、『ホープ』がその姿を金色の光へ変え、新たな銀河の渦へと飛び込む。
「1体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」
★4→★6
そして、爆発の彼方から現れる、俺自身の、光と闇の、集大成。
「果てなき銀河の彼方から!」
ここから始まるんだ、俺の本当の闘いが、生きるという事が。
偽りなどでは無い、この巡り会えた奇跡に感謝して。
「輝きと共に星の雲海を切り開け!」
四聖獣が如き白く、赤く、青く、黒く、黄色く、眩い鎧が暗示する未来と共に。
願いが祈りになるこの瞬間、天地開闢に羽ばたき俺達の存在を証明するために。
「混沌を従える希望の化身!」
何時からか笑えなくなっていた、俺と都。
空へと溶けた
「降臨せよ、『CNo.39』! 今、ここに我が混沌を証明する! 『希望皇ホープレイ・ネビュラ』!」
『ホァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK 3000
握りしめる拳。届かなかった叫び声を一纏めにした黒い翼。
緑に輝く瞳。絶望に染まっていた心のように顔を覆う五芒星のマスク。
威風堂々たる態度。まるで俺の涙を代わりに流したかのような赤く青い唐草のような模様。
白く眩い硬き鎧。あの時あいつから貰った笑顔を守るためのアーマー。
六本の鋭い刃。暗い運命を切り裂くための熱意を表す赤く白いブレード。
水色に光る39の数字。未来を照らし出す強い光の波動。
「……これが、サーの新たな可能性……」
「『CNo.39』……、『希望皇ホープレイ・ネビュラ』……。希望の光、銀河か……」
体躯の大きさこそ、『ネビュラ』は他のホープとそこまで変わらない。
だがそこから流れ出る混沌の気配は、他のカオスナンバーズとはまた何か違う気がした。
「ククククク、クーカカクカカハハハハハッ! 成程、ここに来てバランサーの能力が覚醒し新たな進化を遂げたか!」
「…………」
「だが、勝利するのは我だ! 罠発動、『ジェノサイド・レーザー・スコール』! 貴様がモンスターを特殊召喚した時、そのモンスターをデッキに戻し、攻撃力と守備力の合計値の20倍のダメージを与える! 折角の進化も無意味! これで貴様は終わりだぁ!」
ジェノサイド・レーザー・スコール(オリジナル)
【通常罠】
(1):相手がモンスターを特殊召喚した時に発動できる。
特殊召喚されたモンスターをデッキに戻し、その攻撃力と守備力の合計値の20倍のダメージを相手に与える。
このカードの発動と効果は無効にならない。
カードの輝きから放たれる赤い無数のレーザー。それが俺の新しい希望に次々と命中し、周囲を包み込み視界を閉ざす程の大爆発を生み出す。
「クカッハッハハハハハァ! どうだ、貴様の新たな希望が簡単に踏み躙られる気分は! これこそがデュエルの醍醐味! これこそが生きる至高! 人間の希望を絶望に塗り替える瞬間にこそ我が憤怒は晴れる! 所詮下等な貴様らが何をしようが、何も変える事は出来ぬ!」
ラースの煩い高笑いが響く中、煙が晴れて行く――
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK 3000/ORU:1
黎:LP 1
「何!? バカな、何故貴様のクズモンスターは無事なのだ!? 『ジェノサイド・レーザー・スコール』は効果も発動も無効にならんのだぞ!?」
「確かに……、発動も効果も無効にならない、こちらの力が及ばないカードなのだろう」
だが、『ネビュラ』の方ならどうだ?
「『ケイオス・フォース』の効果で特殊召喚されたモンスターは、次の相手のターンが終わるまで、相手の如何なるカードの効果も受け付けない! バウンスが通じなければ、ダメージも発生しない!」
「何、だと……!?」
RUM-ケイオス・フォース(オリジナル)(改訂版)
【通常魔法】
(1):自分フィールド上のXモンスター1体を対象にして発動できる。
選択したモンスターと同じ種族・属性でランクが1つまたは2つ高い「C」モンスター1体を対象のモンスターの上に重ねてエクストラデッキからX召喚する。
この効果で特殊召喚されたモンスターは、次の相手ターン終了時まで相手のカード効果を受けない。
「お前如きに砕く事なんて、できない」
「何?」
「『ネビュラ』は、俺一人の力じゃ無い。俺と、都、桜にポーラ、フレイ。そして何よりフィオの力もある。たった1人だけだったら負けていたかも知れない。僅かな心のシミは人を弱く堕落させる、個人で頑張れる限界は簡単にやって来る」
だが。
「俺は今、独りじゃ無い! 友がいる、仲間がいる、家族がいる! お前如きが踏み躙って壊れる程、ヤワじゃ無い!」
「ぐ……!」
「行くぞ、ラース! 『ホープレイ・ネビュラ』のモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを1つ使い……」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ORU 1→0
「俺の墓地とエクストラデッキから、それぞれ1体ずつまで『ホープ』の名を持つエクシーズモンスターをターンの終わりまで除外できる! 俺はエクストラデッキの『ホープ・ルーツ』と墓地の『ホープレイ・ヴィクトリー』を除外!
そしてこのターン、除外したモンスターの名前と効果をコピーし、更にバトルフェイズ中にオーバーレイ・ユニットが必要な効果を、消費無しで発動できる!」
「何ィ!?」
「……つまり、『ヴィクトリー』のパワーアップ効果と!」
「『ルーツ』の攻撃無効効果が使えるワケか!」
「バトル! 行け、『ネビュラ』! 『イラムレクス・サタン』を攻撃ィ! この瞬間、コピーしてある2体の効果を発動!」
「させぬぅ! 罠発動、『エフェクト・ダーティ』! バトルフェイズ中にモンスター効果が発動した時、そのターンのバトルフェイズを終了させる!」
「無駄だ! コピーした『ヴィクトリー』の効果により、『ネビュラ』が攻撃する時、相手は魔法も罠も発動できない!」
「何!? 永続効果までコピーすると言うのか!?」
「コピーした『ヴィクトリー』の更なる効果! 相手モンスターの攻撃力を、自分の攻撃力に加える! “ヴィクトリー・チャージ”!」
CNo.666 ジェノサイド・スカル イラムレクス・サタン:ATK 5000
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK:3000→8000
エフェクト・ダーティ(オリジナル)
【カウンター罠】
(1):相手モンスターの効果がバトルフェイズ中に発動した時に発動できる。
バトルフェイズを終了する。
「そして『ホープ・ルーツ』の効果! モンスターの攻撃を無効にし、それがエクシーズモンスターならば、そのランク×500ポイント攻撃力がアップする! “ルーツ・チャージ”!
『ネビュラ』のランクは6、よって攻撃力は3000ポイントアップだ!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK 8000→11000
「こ、攻撃力11000だと!? だが貴様のバトルは既に終わっている!」
「それはどうかな!」
「何!?」
そう、これが『ホープ・ルーツ』をコピーした理由。
お前の26800ポイントものライフを一撃で削り取るために必要な、必殺のカード!
「速攻魔法『ダブル・アップ・チャンス』、発動! モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターは攻撃力が2倍になり、再度攻撃できる!」
「何だとぉ!?」
ダブル・アップ・チャンス
【速攻魔法】
(1):モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を対象として発動できる。
このバトルフェイズ中、そのモンスターはもう1度だけ攻撃できる。
この効果でそのモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力は倍になる。
「行け、『ホープレイ・ネビュラ』! 『イラムレクス・サタン』に最後の攻撃だぁ! ここで再び『ヴィクトリー』の効果発動! “ヴィクトリー・チャージ”!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK 11000→16000
「そして『ダブル・アップ・チャンス』により、ダメージステップで攻撃力は更に倍になる!」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ:ATK 16000→32000
「こ、攻撃力32000、だと……ッ!?」
「これが俺達の、希望の力! お前達邪悪なる存在を打ち破る奇跡!」
「あ、有り得ぬ、有り得ぬぞぉ! この我が貴様らのような下等種族に負けるなど、あってはならぬのだぁ!
手札から『マレヴォレント』を墓地に送りモンスター効果発動! 我がモンスターの攻撃力は貴様のモンスターより500高い数値となり、更に貴様のモンスターを破壊すればその元々の攻撃力分のダメージを与える! 手札も墓地のカードも使い切り、『ケイオス・フォース』の力もこのカードには及ばぬ! 今度こそ最後だぁ!」
マレヴォレント(効果モンスター)(オリジナル)
星4
闇属性/悪魔族
ATK 1200/DEF 2000
(1):自分・相手のメインフェイズ時に、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを手札に戻す事ができる。
(2):自分の闇属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ時にこのカードを手札から墓地へ送って発動する。
エンドフェイズまでそのモンスターの攻撃力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力より500高い攻撃力となる。
この効果を受けた自分の闇属性モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
確かに、これを食らえば普通は終わり。だが……!
「無駄だ! 既に『ネビュラ』の効果は発動している! バトルフェイズ中は相手プレイヤーはどこからであっても、モンスター効果を発動できない! よって『マレヴォレント』の効果は使えない!」
「そ、そんなバカな事が……!?」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ネビュラ(エクシーズ・効果モンスター)(オリジナル)
ランク6
光属性/戦士族
ATK 3000/DEF 3000
レベル6モンスター×4
このカードのX召喚に成功した時、重ねられたX素材に「ホープ」と名のついたXモンスターが存在しない場合、このカードをエクストラデッキに戻す。
(1):このカードが表側表示で存在する限り、相手はバトルフェイズ中にモンスター効果を発動できない。
(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動する。
自分の墓地とエクストラデッキからそれぞれ「ホープ」と名のついたXモンスターを1体ずつまでターン終了時まで除外する。
ターン終了時まで、このカードはそのモンスターと同じ、元々のカード名・効果をそれぞれ得る。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(3):(2)の効果でX素材を取り除いて発動する効果は、バトルフェイズ中に発動する効果のみX素材を取り除かずに発動できる。
「これで、トドメだ!」
「う、うぉぉぉおおおおっ!?」
山の様に巨大な悪魔へと飛び掛かる輝く銀河の戦士。星のようなパーティクルを持つオーロラの光はそのまま4本の腕を模り、背中に差してあった6本組の剣の内4本を引き抜いた。
そして残った自前の腕で更に2本、合わせて6本の剣を抜いて斬りかかる!
「“ホープ剣”!」
オーラの腕が、菱形を描くような。
「“ダブル”!」
元々あった腕がTの字を描くような。
「“ギャラクシー”!」
全ての軌道を合わせ、Gの文字を不恰好ながらも描くような軌道で。
「“スラッシュ”ッッッ!」
禍々しい魔人を、叩き切った。
「う、がぁあ、ぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああぁぁアアアアアアアアァアAAAAAAAAあaaaaaaaaaaaアアアアアアアアアアぁあぁAああああああああああああああああああああああアあァァァーッッッ!!!??!?」
ラース:LP 26800→0
黎:WIN
ラース:LOSE
「俺達の、勝ちだぁ!」
to be continued