遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
グリザイユの牢獄
【通常罠】
自分フィールド上にアドバンス召喚・儀式召喚・融合召喚したモンスターの内、いずれかが表側表示で存在する場合に発動できる。
次の相手ターンの終了時まで、お互いにシンクロ・エクシーズ召喚は行えず、フィールド上のシンクロ・エクシーズモンスターは効果が無効化され、攻撃できない。
黎「シンクロとエクシーズを封じるカードだな、気軽には使えないが拘束力は弱くない」
フィオ「儀式や融合デッキにピン刺しすると良いんじゃないかな、環境を見て採用するかどうか決めよう」
黎「似た効果に『次元障壁』がある。条件は緩いが期間が短かったり攻撃は出来る点等の差別化は可能なので、両方採用するのも場合によってはアリだ」
SIDE:黎
ラースとのデュエルも無事に終了。朝日が差し込み始める中、俺は煙が晴れて行くのを見届ける。
視線の先には……、良し、何もいない。さっきの攻撃で奴は吹き飛んだようだな。
俺の隣では新たな進化の証明、『希望皇ホープレイ・ネビュラ』が少しずつ実体を失って透明となっていっている。朝日に輝きながら俺を見下ろすその表情は、何かを伝えたがっているようにも見えた。
そんな『ネビュラ』に、俺は親指を立ててウィンクをくれてやった。
――俺はもう、大丈夫だ
――ちゃんと都を取り戻すし、邪神はぶっ飛ばす
――だからまた、俺に力を貸してくれよ?
そして墓地のカードをデッキに戻すためにカードを手に取る。その中で1枚だけ異彩を放つカードがあった。
「『RUM-ケイオス・フォース』……」
デュエル終了後も、このカードは俺の手元に残ったままだ。
まるで陰陽の両儀を示すように黒と白の二色の巴型の光が配置されており、その中心には配置を逆にして同様の光が存在している。
これはついさっきまで邪神のカードだった。今はあの背骨の裏側を得体の知れない軟体生物が這い回るような感触は無いが、代わりに俺の体に大きな負担をかけるようなオーラが漂っている。もう完全に別物と化したようだが、乱用は禁物か。
そしてこのカードの生成を成し遂げたのは……。
「くー……、すー……」
デュエル終了と同時に俺に向けて倒れて来た明るい茶髪の少女、神山フィオ。今も安らかな寝息を立てているこいつは一体何者なんだ? カードを書き換えるなんて普通出来る事じゃ無い。ZEXAL体じゃあるまいし。
それともこいつはアストラル世界の住人だったりするのか? いや、それにしては人間以外の気配を感じないし、そもそも合体だってしていなかった。ならば一体……?
「遊馬崎君」
そんな俺の後ろから鮫島校長が話しかけて来た。
「何でしょう」
「あれが、君の戦いですか?」
「序の口ですがね」
既にラースの分身は影も形も見当たらない。だが、周囲に残った攻撃の爪跡がその破壊力を生々しく物語っていた。抉れた地面、薙ぎ倒された木々、砕かれた岩石、濁る大気……。
俺はもう感性が麻痺してるが、それでも常人の感覚はある程度推察できる。この威力を生身で受ければただの生類では一溜りも無いだろう。俺は化物、高田は闇の力、フィオはフレイという精霊の加護があったからこそ生きているのだ。
もっとも、その無茶が過ぎれば俺だって包帯やらのお世話になるわけだが。
「君は……」
「何も言いっこナシです、校長。これは俺の問題、他の何某に首突っ込まれたくはありません」
「しかし……」
「大丈夫ですって。フィオとフレイは眠っただけ、俺は精神的に疲れただけ、桜とポーラは無傷、高田も休めば問題無いでしょう。それよりか……」
ぬ、と指を差す。その先には昇る朝日に照らされた火山の下り坂と、そしてそこに倒れている数名の男女。
「十代達の方が重傷です。俺よりあいつらをお願いします」
メンバーを見る限り、あっちも勝ったらしいな。ももえとジュンコもいるが、特に気しないでおこう。
急いで駆け寄る校長達の後ろ姿を見ながら、俺もちょっとだけ心配になって十代達の所へ――
ド ッ グ ン !
「――ッ!」
全身を走る、不快な激痛。肉が裂け、骨が砕け、魂が散り散りになるかのような錯覚。
本当に、俺は限界が近いらしいな……。
「主、殿?」
「……サー、大丈夫?」
「あ、ああ……」
心配する桜とポーラに、俺は咄嗟に嘘を吐いてしまった。
だがこれが正しい答えだろう。最早猶予は無い。すぐにでもラース達と戦えるだけの力を……!
視線の先で揺り起こされる十代や、すぐ傍で担がれる元・ダークネス、現・吹雪氏を見届けながら、俺は全身を駆け巡る強い痛みに耐える戦いを密かに独りで行っていた。
SIDE:フィオ
わたしは今、夢の中にいる。明晰夢という奴だ、自分が眠っている自覚がある。
大きなダメージを受けて、その上に『力』を使ったのだ、疲労で意識を失ったという事くらいの推測はつく。
しかし、勝利を得るためとは言え黎の目の前でカードの書き換えをしたのは不味かったかな。黎は妙に鋭い所があるから、わたしの正体に勘付くだろう。そうで無くとも恐らくわたしの事を訝しんでいる。
でもそれはも仕方ない話。遅かれ早かれ、私は身の上話を彼に、そして彼の
記憶を取り戻したらそうしようと、忘れる前のわたしは決めていたのだ。
例えそれで殺されようとも、文句は言えないし、言うつもりも無い。
だって、
全てが終わったら、或いは時が来たら、ちゃんと詫びよう。
その時までは、もう少しだけ君の味方でいさせてくれ、黎。どれだけ邪険に扱っても構わないし、わたしはそれを受け入れる。
それがこの神山フィオの、いや『 』の務めだから。
まだ発音できない自分の真の名を呟きながら、わたしは意識が覚醒するのを自覚し始めた。
起きたわたしに、黎はどんなリアクションをするだろうか。
ダメージで彼が満足に動けず、フレイも同様の理由でぐったりしている事を知ったわたしが、もっとしっかりなくてはと気合を入れなおすのはそれから数分後のお話。
――数日後、第二のヴァルハラ
SIDE:無し
高田、ラースとの戦いでの傷を癒すため、黎達は暫く治療に専念した。
セブンスターズに与した高田の進退については、これから決めるらしい。
ただラースという邪悪な存在が影にいた事、アカデミアの制度という環境の悪影響があった事等も加味されると鮫島校長は言っていた。彼にとって救いの無い未来だけは訪れない事を祈るばかりである。
セブンスターズと言えば、彼らが休んでいる間に湖から別の使者が現れクロノス教諭とデュエルを行ったとの事。
部屋で休んでいた黎とフィオにはどのような敵かという事は愚か、勝敗や使用するデッキの情報すら入って来なかった。
怪我人を慮って、緘口令を敷いたのだろう。少なくともフィオはそう思っている。
幸か不幸か、授業に出られない程の重傷である事が、彼女に事実を確認させるための唯一の手段を遮断していた。
さて、光と闇の混在という答えが垣間見えた黎は、ポーラに頼んで再び精霊界に転送して貰った。勿論フィオ達も一緒である。
こっちの負担も考えて欲しいと彼女は愚痴ったのだが、それが聞き入れられる事は無かったらしい。
敵の攻撃をガードできずにモロに浴びたフレイを桜が背負い、同様に体を強打したフィオを黎が背負って、黎が苦い敗北を喫した城へと一同は向かう。
今回はアテナ達の案内は無いが、元々ここに居を構えていたフレイの案内もあって迷う事は無かった。
「い~つも済まないねぇ~」
「それは言わない約束でしょ、って老夫婦か」
「ハハハハハ、ナイスツッコミ」
フィオのギャグに適当に返している黎の隣では、フレイが浮かない顔をしていた。
「守れません、でした。1万年生きてるくせにマスター1人守れないとは情けないです」
「仕方あるまいよ。デュエルの間中、我々はカードステータスに引っ張られるのだ。攻撃力100ではできる事も限られようよ」
「それでも、ですよ。こんなザマでは嘗ての歴戦の軍人の名が泣きます」
ハァ、と重苦しい溜息が桜の項をくすぐる。
1万年以上前の精霊界で勃発した大戦争、その最中にフレイは生まれ、軍人として活躍した。兄のような存在から様々な技や術を学び、百年が経過する時には英雄として、そして数百年を経た頃には最強として奉られていたのだった。
今でこそ退役し軍からは手を引いたものの、声をかければ軽く一個師団は集まる。それ程までにフレイの残した戦績は大きい。彼女の所属する光属性が戦時中最大の敵であった闇属性同様に大きな力を持っているのもそれが理由だろうか。
しかしやれ将軍だ英雄だ最強だと囃し立てられても、結局は一個人で攻撃力100のモンスターカード。土俵が違えば強さも変わる。関取がハッカーの土俵ではプロに負けるのと同じようなものだ。
「そう落ち込むな、フレイ。何時しかお主も活躍できる日が来るさ」
「だと良いんですけどねぇ、ハァ……」
「溜息吐くと、幸せが逃げるぞ」
「ならわたくしの幸せはとっくの昔に空っぽですよ……」
気落ちしているフレイを、残念ながら今は励ます術を黎達は持たなかった。そうするための言葉もキャリアもフレイには遥かに及ばなかったからだ。
さて、ポーラの作った転送ポータルからヴァルハラ城までは然程の距離があるわけでも無く、そんな無駄話をしている内に入口に辿り着いた。
前回とは異なりお出迎えが無かったため、扉は閉まっており前には門番が左右に2人並んでいる。それぞれ右が『魔法剣士ネオ』、左が『ガーディアン・オブ・オーダー』だ。
魔法剣士ネオ(通常モンスター)
星4
光属性/魔法使い族
ATK 1700/DEF 1000
武術と剣に優れた風変わりな魔法使い。
異空間を旅している。
ガーディアン・オブ・オーダー(効果モンスター)
星8
光属性/戦士族
ATK 2500/DEF 1200
自分フィールド上に光属性モンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
「ガーディアン・オブ・オーダー」は、自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
こちらの姿を認めるや否や、『ネオ』と『オーダー』は手にした剣を交差して扉の前を塞いだ。
「何者ぞ。我らこの城門を守りし者」
「許し無き者近寄る事叶わず」
「危害を目論むならばその命を代償とせよ」
「さあ、立ち去れ。或いはここで命を失うか」
何やら早々に物騒である。中に入ってさっさとジョーカーに会いたいのだが、困った事に近くにはアテナもルインもジョーカーもいない。見るからに話の通じなさそうな2人組をどう説得してやろうか黎が悩んでいると、唐突に桜の背中からフレイが話しかけた。
「おやおや、ネオとオーダーじゃあないですか。早とちり癖はまだ直って無いようですね」
「「きょ、教官っ!? 何故ここに!?」」
「何故も何も、わたくし今はとある方の下で守護精霊やってまして。ほら、彼の背中の少女の」
「ども」
フレイに指差され、フィオが片手を挙げて挨拶をする。
しかし何故か『ネオ』も『オーダー』もそんな気楽な言葉に反応する事もできないくらいに怯えていた。何が過去にあった事やら。
「で、何者と問いましたね? 彼ら彼女らはわたくしの仲間です。以上。通してくれますね?」
「「ハ、ハイお通りください!」」
「フレイ、お前本当に名の知れた奴だったんだな」
「ええ、そこそこ凄いですよ、わたくしは」
ケラケラと笑っていた小柄な少女は、一転して門番の2人をギロリと睨み付けた。
「ところで。普通、知人だからと言ってすんなり通しますかねぇ? んん? どうやらまだ修行が足りないようで?」
「「ひぃっ!?」」
「うわ、ヒッデェ言いがかり」
「わたしの精霊が鬼な件」
「……フレイ、穏便にお願い」
「分かってますよ。とはいえこの施設は割と重要なのです」
スタッ、とフレイは桜の背中から降りた。そのくらいならもう回復しているらしい。
そこには何時もの柔和でほわほわした雰囲気の慇懃な天使はいない。全身から覇気を滲ませている歴戦の武人がいた。
フレイは左腕を体の前に横に構えると、そこにデュエルディスクを召喚する。
「ほら、ちょっと叩いてやりますから、かかって来なさい」
「ね、ネオ、どーすんべぇ……。オラ、教官にダメージ与えた事無いだよ……!」
「アホ言うなや、オレは教官にダメージ与えた日にゃオーバーキルで3日寝込んだで!」
「とっと来る! こっちは暇じゃないのです! わたくしが怖いなら2人がかりで来なさい!」
「「は、はぃいいいいっ!?」」
「良いのかなぁ、お城の門番と勝手にこんな事して」
「良いじゃねーの、その辺はフレイが一番よく分かってるだろうし」
フレイの一喝に萎縮した2人はそのままディスクを腕に嵌めた。
どうやらジョーカーの前に一戦あるようである。
昔のフレイの戦い方に興味があるのか、同行していた黎達4人はそのまま見守る事にした。
(ま、有難いがな。まだ体がギシギシ言うし、もう少し体力回復の時間が欲しい)
ボソリと『ケイオス・フォース』の後遺症を呟くが、背負っているフィオにすら届く事は無かった。
青髪の天使がこちらを見てウィンクしたのは、果たしてそういう意味だったのだろうか。残念ながらテレパシーを持つ者がいないため不明である。
「さ、て。リハビリがてら、嘗ての教え子の成長具合を見させて頂きましょうか」
「オーダー、オレとお前のコンビならきっと勝てなくても多少はできるハズや!」
「うう、ネオぉ、オラ自身無いべよ……。きっと教官に昔みたいに負けるべ……」
「デュエル!」『デュエル……』
フレイ VS ネオ&オーダー
LP 8000 VS LP 8000
「このバトルロイヤルデュエル、先攻は貰いますよ。わたくしのターン、ドロー。
まずは手札から『汎神の帝王』を発動、“帝王”と名の付いた魔法・罠カードを1枚コストに2枚ドローします。墓地に『真源の帝王』を送り、2枚ドローです」
「フレイってどのくらい強いの?」
「めっちゃ強い。あの2人の反応を見るに昔は鬼軍曹だったんじゃないか?」
「そして墓地から『汎神の帝王』を除外して効果発動、デッキから“帝王”魔法・罠カードを3枚選択、相手に1枚選んで貰いそれを手札に加えます」
汎神の帝王
【通常魔法】
「汎神の帝王」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札の「帝王」魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「帝王」魔法・罠カード3枚を相手に見せ、相手はその中から1枚選ぶ。
そのカード1枚を自分の手札に加え、残りをデッキに戻す。
「デッキから選ぶのはこの3枚です」
『帝王の
『帝王の深怨』
『帝王の深怨』
「うわ同じカードが3枚だ」
「……相手に選ばせるサーチなら、このくらいは当然。……欲しいカードは自分で掴まないと」
「しかも全てサーチカードだぞあれ」
「1枚分とはいえデッキ圧縮も兼ねているワケだ、抜かりの無い女め」
「さ、どちらが選択しても構いませんよ?」
「「何の意味も無いっ!」」
「はーい、では『帝王の深怨』を1枚手札に加え、残りはデッキに戻します」
グルグルと回り始めたフレイのデッキ。先日使用していた【ジェネクス帝】より調子が良さそうな所を見ると、あの時は手加減していたのかも知れない。
これでフレイの手札は7枚となる。『強欲な壺』にも等しい性能を発揮したこの効果は凶悪の一言に尽きる。
「そして発動、『帝王の深怨』。手札から『爆炎帝テスタロス』を見せて、デッキから『真帝王領域』をサーチします。そしてそのまま発動します」
フレイのディスクがカードを読み込み、周囲に光が走る。
神殿や城ではなく黄泉の者の展開する領域なので、目に見えた変化が無いのだろう。
「フィールド魔法『真帝王領域』の効果発動。1ターンに1度、手札の帝モンスターと同じ攻守を持つモンスターのレベルを2つ下げます。さっき見せました『テスタロス』をレベル6に変更です」
帝王の深怨
【通常魔法】
「帝王の深怨」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札の攻撃力2400/守備力1000のモンスター1体または攻撃力2800/守備力1000のモンスター1体を相手に見せて発動できる。
デッキから「帝王の深怨」以外の「帝王」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
真帝王領域
【フィールド魔法】
(1):自分のエクストラデッキにカードが存在せず、自分フィールドにのみアドバンス召喚したモンスターが存在する場合、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(2):自分のアドバンス召喚したモンスターの攻撃力は、相手モンスターに攻撃するダメージ計算時のみ800アップする。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズにこの効果を発動できる。
自分の手札の攻撃力2800/守備力1000のモンスター1体を選び、そのモンスターのレベルをターン終了時まで2つ下げる。
「永続魔法『帝王の開岩』を発動し、続けて墓地の『真源の帝王』の効果。自分の墓地から別の“帝王”魔法・罠カードを1枚除外し、モンスター扱いとして自分フィールドに戻ります。『帝王の深怨』を除外し、特殊召喚します」
真源の帝王:DEF 2400
「そしてこれをリリースし、『爆炎帝テスタロス』をアドバンス召喚です」
『オォォォォォッ!』
爆炎帝テスタロス:ATK 2800
フレイのフィールドに灼熱の炎を背負った帝王が出現する。
燃え盛る焔は進化前より敵を焼くために磨かれたそれであり、フレイのデッキで敵の手を削るのには最適なカードと言えた。
「『帝王の開岩』の効果発動。アドバンス召喚に成功した時、デッキから召喚モンスターとは名前の一致しない帝ステータスのモンスターをサーチできます。わたくしはこの効果で『烈風帝ライザー』を手札に加えます」
上手いな、と全員舌を巻いた。
手札コストに使ったカードの効果を利用したアドバンス召喚補助、召喚コストのために除外したのは墓地から発動する効果の無い魔法カード、先攻1ターン目で出されたハンデスモンスター、次のターンに備えた巻き返し用のモンスター。流れるようにカードの連携が組み合わさっていく。しかも手札がこれでまだ5枚も残っている、恐るべきコンボである。
「『テスタロス』の効果発動、相手の手札を確認して1枚捨てます。
「ぐっ! オレかァ……!」
ネオの手札
『
『コズミック・サイクロン』
『
『
『ナイト・ドラゴリッチ』
彼のデッキは【相剣】。幻竜族モンスターを用いたシンクロ召喚のデッキだ。
チューナーは殆ど存在せず、モンスター効果で特殊召喚されるトークンをチューナーに一任する、稀有な特性を持った強力なカテゴリ。モンスター効果の封印が致命傷になりやすい反面、シンクロ召喚に成功すれば素材モンスターとシンクロモンスターの両方で幅広いアドバンテージを得られるため、展開を許すと悲惨な目に遭う。
「その手札なら『莫邪』一択ですね。捨てて下さい」
「くっ!」
「そしてモンスターカードが捨てられた場合、レベル×200のダメージを与えます」
「ぐべぁああああ!」
「あちちちちちち!」
ネオ&オーダー:LP 8000→7200
真源の帝王
【永続罠】
「真源の帝王」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、自分の墓地の「帝王」魔法・罠カード2枚を対象として発動できる。
そのカードをデッキに加えてシャッフルする。
その後、自分はデッキから1枚ドローする。
(2):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の「帝王」魔法・罠カード1枚を除外して発動できる。
このカードは通常モンスター(天使族・光・星5・攻1000/守2400)となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとして扱わない)。
帝王の開岩
【永続魔法】
このカードがフィールド上に存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
また、自分がアドバンス召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。
「帝王の開岩」のこの効果は1ターンに1度しか発動できない。
●アドバンス召喚したそのモンスターとカード名が異なる攻撃力2400/守備力1000のモンスター1体をデッキから手札に加える。
●アドバンス召喚したそのモンスターとカード名が異なる攻撃力2800/守備力1000のモンスター1体をデッキから手札に加える。
爆炎帝テスタロス(効果モンスター)
星8
炎属性/炎族
ATK 2800/DEF 1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚した場合に発動する。
相手の手札を確認し、その内の1枚を選んで捨てる。
捨てたカードがモンスターだった場合、そのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。
このカードが炎属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚した場合、その時の効果に以下の効果を加える。
●相手に1000ダメージを与える。
「カードを3枚セット。バトルロイヤルデュエルでは各プレイヤーは最初のターン攻撃できません、わたくしはこれでターンエンド」
フレイ:LP 8000
手札:2枚(内1枚は『烈風帝ライザー』)
フィールド
:爆炎帝テスタロス(ATK 2800)
:伏せカード3枚、帝王の開岩(永続魔法)、真帝王領域(フィールド魔法)
「さぁ、ネオ、オーダー。貴方達のターンですよ」
「わ、分かってます! オレから行きます、ドロー!」
フレイの指摘に答えるネオだが、残念ながら勇んで行ったドローも手が震えていては恰好がつかない。
「まずは手札から『コズミック・サイクロン』を発動! ライフを1000払って、魔法・罠カードを1枚除外する! 『真帝王領域』を除外です!」
ネオ&オーダー:LP 7200→6200
返しの相手ターン。パーティクルをまとった竜巻を魔法カードから放ち、フレイのフィールド魔法が撃ち抜かれる。地面に満ちていた光はこれにより消滅し、再利用はほぼ不可能となった。
『真帝王領域』は相手のEXデッキからの召喚をロックする効果がある、シンクロに比重を置くネオのデッキには、存在するだけでキツいため真っ先に除去したいと考えるのは当然である。
コズミック・サイクロン
【速攻魔法】
(1):1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを除外する。
「そして魔法カード『大霊峰相剣門』を発動! 墓地から『相剣師-莫邪』を特殊召喚します!」
『ヌンッ!』
「『莫邪』は召喚成功時、手札の“相剣”カードか幻竜族モンスターを見せて、チューナーのトークンを特殊召喚できる!」
相剣師-莫邪:DEF 1800
大霊峰相剣門
【通常魔法】
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の墓地の「相剣」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
自分フィールドにSモンスターが存在する場合、代わりに幻竜族モンスター1体を対象とする事もできる。
(2):このカードが除外された場合、自分フィールドの、「相剣」モンスターまたは幻竜族モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターのレベルをターン終了時まで1つ上げる、または下げる。
相剣師-莫邪(効果モンスター)
星4
水属性/幻竜族
ATK 1700/DEF 1800
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札の「相剣」カード1枚または幻竜族モンスター1体を相手に見せて発動できる。
自分フィールドに「相剣トークン」(幻竜族・チューナー・水・星4・攻/守0)1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したトークンが存在する限り、自分はSモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
フィールドに現れるのは、先刻墓地に落とされた青色の龍の力を宿す剣士。このままとあるシンクロモンスターに繋げる事で、手札を2枚増やす事ができる優れたモンスターである。
ネオの手札には既に『破面竜』『瑞相剣究』『ナイト・ドラゴリッチ』があり、チューナーの召喚に問題は無い。このまま手札から特殊召喚できるモンスターをサーチしてレベル10のシンクロを狙うのが【相剣】のよくある展開方法だが……。
「手札の『破面竜』を見せて、トークンを特殊召喚!」
「チェーンします。永続罠『連撃の帝王』を発動。相手ターンに1度、モンスターをアドバンス召喚します」
「何っ!?」
連撃の帝王
【永続罠】
(1):1ターンに1度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにこの効果を発動できる。
モンスター1体をアドバンス召喚する。
「『テスタロス』をリリースして、手札の『烈風帝ライザー』をアドバンス召喚。このカードはレベル8ですが、アドバンス召喚されたモンスター1体を素材に召喚可能となります」
「っ!?」
「チェーンの逆処理でトークンが召喚されるが……、『烈風帝ライザー』の効果は場合の任意効果、チェーン2で召喚されてもタイミングは逃さない」
「そういう事です」
烈風帝ライザー:ATK 2800
相剣トークン:DEF 0
ネオとフレイのフィールドに同時に召喚されるモンスター。片や『莫邪』を模した龍の力を宿す剣士、片や暴風を操る緑色の巨人。前者はチューナーである以外に特色は無いが、後者は時に【ふわんだりぃず】でも使用される強力なバウンス効果を持ったカードである。
「召喚成功時、『ライザー』と『帝王の開岩』の効果発動。まずはデッキから『冥帝エレボス』を手札に加えます。そして『ライザー』の効果でフィールドと墓地のカードを1枚ずつ持ち主のデッキの1番上に好きな順番で戻します。ネオの墓地の『コズミック・サイクロン』とフィールドの『相剣トークン』を選択しますね」
「……トークンに実体は無い、場を離れたら消える」
「うむ、『莫邪』の効果は召喚時のみに使える、これでトークンをもう1体用意する事は難しくなった」
「うげぇ」
烈風帝ライザー(効果モンスター)
星8
風属性/鳥獣族
ATK 2800/DEF 1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚と自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動する。
そのカードを好きな順番で持ち主のデッキの一番上に戻す。
このカードが風属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、その時の効果に以下の効果を加える。
●フィールドのカード1枚を対象として持ち主の手札に戻す事ができる。
先も述べたように、【相剣】デッキにとってモンスター効果の無効は完全に鬼門。またシンクロ召喚をしてから回転が始まる都合上、特にこうやって展開の初動を押さえられてしまうとリカバリーが非常に難しくなってしまう。このチューナー潰しもまた然り。
ネオはその対策の一環として『コズミック・サイクロン』を採用していたのだが、フレイはそれを見越してもう1枚抑制用のカードを用意していたようだ。
「さ、次の手をどうぞ」
「……カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
ネオ:LP 6200
手札:3枚
フィールド
:相剣師-莫邪(DEF:1800)
:伏せカード1枚
ターンが変わるタイミングで、フィオが黎の背中から話しかけてきた。
「黎、ネオの使ってるあのモンスター何? 変な種族だけど」
「幻竜族モンスターだ。ドラゴン族が幻想化した、精神的或いは概念的な存在が所属している種族だ」
「へぇ……」
「あれ以外にもサイキック族と言って、俺達の人間世界にはいない種族がある」
「機会があったら見せてくれるかい?」
「問題無い」
伏せられたカードは当然『瑞相剣究』。墓地の“相剣”カードか幻竜族モンスターを除外して自分のモンスターを強化する通常罠。しかしネオの墓地にいる該当するカードは1枚、帝モンスターの前には焼け石に水だろう。
このオーダーのターンで何とか出来なければ次のターンに負ける可能性とてあった。
「お、オラのターン!」
「手が震えてますよ。もう軍属では無いのですから、罰則も無いというのに何を尻込みしているのですか」
「ぐぅ……。スタンバイフェイズに速攻魔法『サイクロン』を発動! 『連撃の帝王』を破壊するっぺ!」
「『連撃の帝王』はメインフェイズとバトルフェイズでのみ使える、スタンバイフェイズで叩くのは理に適っているな」
「更に『強欲な壺』を発動し、2枚ドローするべ!」
ターンが回った上にドローソースで手札を増やしたオーダー。しかしその表情は険しい。決して手札が悪いというわけでは無く、フレイの持つ気迫と、彼女との過去が彼に大きなプレッシャーをかけているようだ。
穴が開きそうな程に手札のカードを見つめ続けた彼は、やがて1枚の緑のカードを手札から切ってディスクに差し込む。
「オラは手札からフィールド魔法『転回操車』を発動!」
オーダーが発動したフィールド魔法により、周囲の風景が一変する。楚々とした、或いは荘厳な城は姿を潜め、代わりに薄暗い巨大な汽車や貨物列車がグルリと並ぶ操車場になっている。
「『転回操車』の効果発動! オラは手札から『スキル・プリズナー』を墓地へ送り、デッキから『深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト』をサーチだがや!」
転回操車
【フィールド魔法】
「転回操車」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分フィールドに機械族・地属性・レベル10モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。
デッキから攻撃力1800以上の機械族・地属性・レベル4モンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚されたモンスターのレベルは10になる。
この効果の発動後、ターン終了時まで相手が受ける戦闘ダメージは0になる。
(2):自分の手札を1枚墓地へ送って発動できる。
デッキから機械族・地属性・レベル10モンスター1体を手札に加える。
「そして今手札に加えた『深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト』を召喚! このモンスターは元々の攻撃力を0にしてリリース無しで召喚できるべ!
更に地属性機械族モンスターが召喚または特殊召喚された時、ステータスを半分にして『重機貨列車デリックレーン』を手札から特殊召喚できるんだす! 現れろ、『ナイト・エクスプレス・ナイト』、『デリックレーン』!」
深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト(効果モンスター)
星10
地属性/機械族
ATK 3000/DEF 3000
このカードはデッキから特殊召喚できない。
また、このカードはリリースなしで召喚できる。
この方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は0になる。
重機貨列車デリックレーン(効果モンスター)
星10
地属性/機械族
ATK 2800/DEF 2000
「重機貨列車デリックレーン」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに機械族・地属性モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。
(2):X素材のこのカードがXモンスターの効果を発動するために取り除かれ墓地へ送られた場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト:ATK 3000→0
重機貨列車デリックレーン:ATK 2800→1400/DEF 2000→1000
オーダーの呼び掛けに応じ、現れるのは巨大な騎士の上半身の先頭部に乗せた急行列車と、クレーンを後部車両に乗せた黄色い貨物列車。流石に周囲の倉庫からは出て来なかったが、元々の大きさが大きさなので長身の黎ですら首が痛くなる程に大きなモンスターが横に並ぶ事となった。
だがこれだけでは終わらない。オーダーは更に1枚手札を切る。
「そして攻撃力1500以下のモンスターを特殊召喚した事で『地獄の暴走召喚』は発動できる! デッキから『デリックレーン』を更に2体、攻撃表示で特殊召喚!」
「何、ここで『地獄の暴走召喚』だと!?」
「これは、少し不味いな……」
地獄の暴走召喚
【速攻魔法】
相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。
その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。
相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。
オーダーの手によって更に生み出されるクレーン貨物列車。
『デリックレーン』の用途を考えるとやや危険な状況なのだが――
「ではこちらも、デッキからもう1体『ライザー』を特殊召喚します。このデッキには2枚しか入っていないので、3体目は召喚できません」
当のフレイは冷静に沈着に、ディスクのシステムによって召喚されないカードを証明して淡々と進める。
黎の背中に冷や汗が流れ(ついでに背負われているフィオが若干の不快感を得て)行く中、オーダーは引き攣っていながらも不敵な笑みを浮かべてエクストラデッキのケースに手を伸ばした。
烈風帝ライザー:ATK 2800
「行くべよ、教官!」
「どこからでも来なさい」
「オラはレベル10の『デリックレーン』2体で、そして同じくレベル10の『ナイト・エクスプレス・ナイト』と『デリックレーン』でオーバーレイ!
4体のモンスターで2つのオーバーレイ・ネットワークを構築!」
☆10×☆10=★10
☆10×☆10=★10
「エクシーズ召喚! まずは1体目、鉄路の彼方から地響きと共に出現せよ! 『超弩級砲塔列車グスタフ・マックス』!
そして2体目! 出でよ『No.81』! 鋼路の果てより天空を劈き、怒涛の力を今振るえ! 『超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ』!」
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス:ATK 3000
No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ:ATK 3200
「で、でかっ!?」
カード知識の薄いフィオが、あんぐりと口を開けて驚愕する。それもそのはず、さっきまでの列車達よりも更に大きな列車砲が二台も現れたのだ、無理も無い。片や、重そうな機体を3本のレールの上に滑らせる筒状のキャノン砲。そしてもう片方は無数の砲口に加えてまるで今にも変形ロボになって動き出しそうな巨体でもある。普通の戦車や重機などより遥かに大きいだろう。
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス(エクシーズ・効果モンスター)
ランク10
地属性/機械族
ATK 3000/DEF 3000
レベル10モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手ライフに2000ポイントダメージを与える。
No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ(エクシーズ・効果モンスター)
ランク10
地属性/機械族
ATK 3200/DEF 4000
レベル10モンスター×2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで、そのモンスター以外のカードの効果を受けない。
この効果は相手ターンでも発動できる。
全身から煙を吹いて今にも動き出しそうな二台の巨大な兵器。オーダーはその雄々しき勇士に満足そうに頷くと、指令を出すべく大きく息を吸った。
「オラは『スペリ――
だが、その言葉は最後まで紡がれない。突如として『グスタフ・マックス』と『スペリオル・ドーラ』が光に包まれたかと思うとそのまま消え去り、素材である4台の列車に戻ってしまった。
「な、何だべ!?」
「一体何が起きたんや!?」
「ソリッドヴィジョンは優秀かつ優しいですねぇ。まさかプレイヤーにそんなファンサービスを提供するなんて」
くすくす笑うフレイの場には、1枚の赤いカードが表側表示で存在していた。イラストにあるのは不気味なオーラを放つ、白と黒のモノトーンで描かれた1枚の絵画。
「わたくしは『地獄の暴走召喚』にチェーンして罠カード『グリザイユの牢獄』を発動していたのですよ」
「何っ!?」
「『グリザイユの牢獄』は自分フィールドにアドバンス召喚、儀式召喚、融合召喚されたモンスターのどれかが存在する時に発動できます。次の相手ターンが終わるまで、お互いにシンクロ及びエクシーズ召喚は禁止され、それに属するモンスターの効果と攻撃も封印されるのです。よって、オーダーはエクシーズ召喚できず、フィールドに弱体化した素材モンスターが残ったというワケです」
グリザイユの牢獄
【通常罠】
自分フィールド上にアドバンス召喚・儀式召喚・融合召喚したモンスターの内、いずれかが表側表示で存在する場合に発動できる。
次の相手ターンの終了時まで、お互いにシンクロ・エクシーズ召喚は行えず、フィールド上のシンクロ・エクシーズモンスターは効果が無効化され、攻撃できない。
「これでネオもオーダーもそれぞれ戦術は封印しました。大方、『デリックレーン』を消費しこちらのカードを2枚を破壊するつもりだったのでしょうが、そうは行きませんよ。……さ、対抗策はありますか?」
ネオの【相剣】もオーダーの【
「ま、魔法カード『
十種神鏡陣
【通常魔法】
(1):レベルの合計が10になるように、自分の手札・フィールド(表側表示)からモンスターを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。
自分は2枚ドローする。
「……オラは、カードを2枚伏せて、ターンエンドだべや!」
オーダー:LP 6200
手札:0枚
フィールド
:重機貨列車デリックレーン(ATK 1400)、重機貨列車デリックレーン(ATK 2800)×2
:伏せカード2枚、転回操車
(だ、大丈夫だ……。オラの墓地には『スキル・プリズナー』がある。対象を取るモンスター効果、帝に有効なカードだべ!)
「わたくしのターン、ドロー。永続魔法『冥界の宝札』を発動、2体以上リリースしてアドバンス召喚した時2枚ドローします」
スキル・プリズナー
【通常罠】
自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。
このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする。
また、墓地のこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。
このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
冥界の宝札
【永続魔法】
2体以上の生け贄を必要とする生け贄召喚に成功した時、デッキからカードを2枚ドローする。
「続けて速攻魔法『帝王の烈旋』を発動し、このターン1度だけ相手モンスター1体をアドバンス召喚のためのリリース素材にできます。ちなみに対象を取らず、何をリリースするかはアドバンス召喚時に改めて決めますので」
帝王の烈旋
【速攻魔法】
「帝王の烈旋」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(1):このターン、アドバンス召喚のために自分のモンスターをリリースする場合に1度だけ、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドのモンスター1体をリリースできる。
ゾクリ、とネオとオーダーは戦慄した。
フレイの表情は今もニコニコとしているが、これは嘗て彼女の教官時代『国潰しの蒼い羅刹』や『微笑みの魔神』と呼ばれた時のものだ。つまりは目が笑っていない状況。腹の奥で密かに爪を研いでいる時の相貌なのである。
「手札から『天帝従騎イデア』を召喚し効果発動、デッキから攻守の数値が同じモンスターを特殊召喚できます。おいでませ、『冥帝従騎エイドス』!」
『ヌンッ!』
『フゥッ!』
天帝従騎イデア:ATK 800
冥帝従騎エイドス:DEF 1000
天帝従騎イデア(効果モンスター)
星1
光属性/戦士族
ATK 800/DEF 1000
「天帝従騎イデア」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「天帝従騎イデア」以外の攻撃力800/守備力1000のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
このターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
(2):このカードが墓地へ送られた場合、除外されている自分の「帝王」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
冥帝従騎エイドス(効果モンスター)
星2
闇属性/魔法使い族
ATK 800/DEF 1000
「冥帝従騎エイドス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。
このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる。
(2):墓地のこのカードを除外し、「冥帝従騎エイドス」以外の自分の墓地の攻撃力800/守備力1000のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
このターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。
召喚ゲートを開き、登場するのは白い鎧をまとった細身の騎士。その登場に合わせ、隣に黒い刺々しい鎧の騎士が現れる。
白い方はどこか女性的なフォルムと優雅さを醸し出しているのに対し、黒い方は禍々しい悪魔のような印象を与えた。
「『エイドス』の効果でこのターン、通常召喚とは別にアドバンス召喚できます。わたくしは『イデア』、そして『帝王の烈旋』の効果によりそちらの『莫邪』をリリースします」
「ぐっ、オレのモンスターを!?」
「アドバンス召喚、『凍氷帝メビウス』。永遠に轟く氷河よ、無情の冷酷さを持ち大海を凍てつかせ君臨せよ!」
『ぬぅぅぅぅぅぅんっ!』
凍氷帝メビウス:ATK 2800
空中に現れた氷の塊の中から出現する氷河の皇帝。水色のマントを冷風に乗せ、見ているだけで凍えそうなその存在に、体感気温は少なくとも下がったように思えた。
「なっ!? 『エイドス』を召喚するんや無いんですかい!?」
「おや、わたくし1度でもそんな事を言いましたか? この瞬間、『凍氷帝メビウス』、『冥界の宝札』、『帝王の開岩』、『イデア』の効果が発動します。
まずはチェーン4、『冥界の宝札』の効果で2枚ドロー。
次にチェーン3、『イデア』の効果で除外された『真帝王領域』を手札に戻します。
更にチェーン2、『帝王の開岩』の効果でデッキから『怨邪帝ガイウス』を手札に加えます。
最後にチェーン1、『凍氷帝メビウス』の効果。アドバンス召喚成功時、フィールドの魔法・罠カードを3枚まで選択して破壊できます。そして水属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚された『メビウス』の選んだカードは発動できません、“ブリザード・デストラクション”!」
「ぐっ、まさか『莫邪』をそんな使い方するなんてぇ!」
「この瞬間、墓地の『スキル・プリズナー』を除外して効果発動だべ! チェーン5のこれで伏せカードの内の1枚を守る事で、『メビウス』の効果は無効になるんだがや!」
「リバースマジック、『禁じられた聖槍』。攻撃力を800下げ、『メビウス』は他の魔法・罠の影響を受けなくなります。よって『スキル・プリズナー』では無効になりません」
「何ぃっ!」
凍氷帝メビウス(効果モンスター)
星8
水属性/水族
ATK 2800/DEF 1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを3枚まで選択して破壊できる。
このカードが水属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、その時の効果に以下の効果を加える。
●この効果の発動に対して相手は選択されたカードを発動できない。
禁じられた聖槍
【速攻魔法】
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。
「り、『リミッター解除』を更にチェーン発動! これで機械族モンスターの攻撃力は倍になる!」
猛烈な吹雪が吹き荒れ、ネオとオーダーのカード『瑞相剣究』、『機関連結』、『リミッター解除』が破壊された。破壊から守れると踏んだカード達は、見事に全て凍って粉々にされたのであった。
『転回操車』は相手ターンでは発動できずターンの終わりにモンスターは全滅する。そして手札はゼロ。シンクロ・エクシーズ召喚はネオのターンまでできない。これでネオもオーダーも完全に八方塞がりである。
凍氷帝メビウス:ATK 2800→2000
重機貨列車デリックレーン:ATK 1400→2800
重機貨列車デリックレーン:ATK 2800→5600
重機貨列車デリックレーン:ATK 2800→5600
「おやおや、せめてもの壁にしては随分脆そうな。魔法カード『二重召喚』を発動、もう1度モンスターを召喚できます。墓地の『真源の帝王』の効果で、『帝王の烈旋』を除外してモンスター扱いで特殊召喚します」
真源の帝王:DEF 2400
「そして『真源の帝王』と『エイドス』をリリースし、先程手札に加えました『怨邪帝ガイウス』をアドバンス召喚です。暗き闇夜に蠢く怨念よ、万象の昏き闇を従え君臨せよ!」
『フッフッフッフ……、ハァッ!』
怨邪帝ガイウス:ATK 2800
その姿、まさに邪悪。黎達の目の前の空間にバギバギバギとヒビが入り、姿を覗かせた黒い帝王は放つ淀んだ覇気に、思わずネオとオーダーは身震いを隠し切れなくなり、足が震え始めた。
「『怨邪帝ガイウス』の効果発動。フィールドのカードを1枚除外し、相手に1000ポイントのダメージを与えます。この時闇属性モンスターを除外すれば、相手のフィールド以外の全ての場所から同名モンスターを除外でき、また召喚素材として闇属性モンスターをリリースしていれば、除外できる枚数が1枚増えます。よって攻撃力が高い方の『デリックレーン』を2体とも対象にします。
そしてここにチェーンして、『帝王の開岩』と『冥界の宝札』を発動。2枚ドローして、『剛地帝グランマーグ』をサーチします。そして『デリックレーン』2体を除外し1000ダメージを食らいなさい。“ダスキー・エクスクルージョン”!」
「「ごぉおおおおおおおおおおおおっ!!」」
ネオ&オーダー:LP 6200→5200
「さて、これで残ったモンスターは1体のみですね」
渦巻く闇にクレーン列車が呑み込まれ、漆黒の衝撃波が2人を襲う。
これで残るカードはターン終了時に自爆する『デリックレーン』1体のみ。ターンプレイヤーであるオーダーに手札も無い以上、防御の手は完全に消滅した。
「さて、これでわたくしのフィールドにはモンスターが3体、攻撃力の合計は7600。そちらには1体、攻撃力は2800。その差は4800と僅かにライフが残ります」
フレイが手札を1枚抜き取って見せる。『冥界の宝札』で引いたカードでも無く、『帝王の開岩』で引き寄せたカードでも無く、元々除外されていたフィールド魔法を。
「フィールド魔法『真帝王領域』を発動。これで、どうなるか分かりますよね」
「「ひっ!?」」
「貴方達、もう一度訓練生からやり直して来なさい、バトル! 『怨邪帝ガイウス』で攻撃! “デリーティング・ギガイーヴィル”!」
「ぐげぇっ!?」「もるっぱぁ!?」
怨邪帝ガイウス:ATK 2800→3600
ネオ&オーダー:LP 5200→4400
「これでトドメです。『凍氷帝メビウス』と『烈風帝ライザー』でダイレクトアタック! “インペリアル・ギガフリーズ”! “ギガ・タービュレンス・カノン”!」
「「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」」
ネオ&オーダー:LP 4400→2400→0
フレイ:WIN
ネオ&オーダー:LOSE
闇と氷と風によって派手に吹き飛んだネオとオーダー。デュエルが終了しても周囲にはまだ帝王達の攻撃の爪痕が残っており、フレイの実力の高さをありありと物語っていた。
「まったく、貴方達弱すぎですよ。戦術ミスはありませんでしたが、もうちょっと何とかならなかったんですか」
「す、すみません……」
「申し訳無いです……」
腰に手を当て、叩き起こして正座させられた2人に説教をかますフレイ。呆れた顔の底には、しかし何だか教え子達の成長を喜んでいるようにも黎達には見えた。
事実、フレイの表情は呆れているが、口調は全く怒っても嘆いてもいない。苦笑というのが一番合致するだろう。きっと彼らの成長が嬉しく、そして未だに自分を超えていない事に複雑な心境なのだろうか。
「……何をしている」
そんな時だった。城門が開いてジョーカーが現れたのは。
SIDE:フレイ
おや、ちょいとタイミングが不味い時に出て来られてしまいました。それともこのタイミングを見計らってましたかね。
「何をしていると聞いたんだよ、お前ら」
「えー……、ちょっと昔の教え子を鍛え直してました♪」
こういう時は大人の必殺技第一弾、苦笑い!
「ザっけんな! 仮にも重要な建造物の前で何やらかしてやがる!」
失敗!
ならば処世術第二弾、責任転嫁と論旨すり替え!
「しかしジョーカー、わたくし一人にフルボッコにされるとは、門番として如何なものかと思いますよ」
「誤魔化したつもりか! 第一、お前レベルの奴相手にフルボッコで済んでれば上出来だろうが!」
また失敗!
ここは第三弾、スルー!
「どーでも良い事はさて置きジョーカー、黎さんが貴方にリターンマッチを申し込むそうです。受けてくれますよね?」
「その前に申し開きは無いのかお前は!」
またまた失敗!
だったら――
「ええい、もう良い! 昔からお前はそうだ! 小さなミスは特に償おうとせずにやり過ごす! ちっとも変わってないな!」
「そりゃ三つ子の魂百まで、ですから。そう易々と変わると思ったら大間違いですよ!」
「や・か・ま・し・い!」
ドヤァとドヤ顔を見せつけてやると、いい加減キレたジョーカーは剣を抜いて構えました。
おや、流石に挑発が過ぎましたかね。ですがそっちがその気ならこちらも……。
ゴ ウ ッ
「!」
「剣を仕舞って下さい、ジョーカー。ここは戦場ではありません故。お詫びは後で正式に致します」
「……チッ」
ふう、わたくしもまだまだ青い。
後でちゃんと頭下げないといけませんね。
SIDE:黎
フレイの全身から吹き出た気迫、それは明らかに人や精霊が辿り着ける限界を超えていた。成程、これが1万の時を経て磨き上げられた実力か……。
その後、ジョーカーは渋々といった様子で俺達を城の奥地では無く、入口のエントランスとでもいうべき広い空間へと案内した。聖域の奥では無いからか、それとも克服したからか、例の激痛はやって来ない。
「精霊界は今、とある1つのデュエルの形式を試験的に導入している」
「……ある形式?」
和服美人のポーラが首を傾げた所を見ると、どうやらまだそんなに『試験的に導入された形式のデュエル』は広まっていないようだ。
「これだ」
ジョーカーがパチン、と指を鳴らすと石畳の地面に無数の光が浮き上がった。
よく見るとその造形は長方形の光の集まり、それも砂時計のように同じ群れの集まりを線対称にして組み合わせたものだ。
「これは……!」
「ペンデュラムゾーンとEXモンスターゾーンを同時に採用したフィールドだ。通称は精霊式マスタールール、まだ正式には決まってない仮名だが、許せ」
マジかよ……。
ジョーカーは「ルールだ」とホログラムの取扱説明書を取り出し、俺達に投げ渡す。
ざっと見た感じではペンデュラムゾーンのある新マスタールールって所だろう。融合モンスターなんかはメインモンスターゾーンに召喚でき、ペンデュラムは不可。しかもEXモンスターゾーンがあるって事は……。
「もしお前が自らの闇と真実向き合えたと言うのならば、この挑戦を受けて立つよな?」
ニィ、と笑うジョーカー。
この野郎、俺を誘ってやがる。未知のフィールドに俺がどう反応するのか、そして敵に有利な場で戦えるのか、と。
普通ならば躊躇う。何1つとして既知の存在が無い世界だ。尻込みしたって俺は少なくともそいつを責めない。
だが……。
「受けて立つ。ちょっとした縁でコレは知っているんでね」
「良いだろう」
ガシャン、と俺の左腕のデュエルディスクが展開しブレードが広がる。
一方でジョーカーもディスクを召喚し、剣と盾を背負って構えた。
「行くぞ、小僧。ここで負けたなら、もう貴様に挑む機会は与えられないと思え」
「上等。その上から目線の鼻っ柱、叩き折ってやるよ」
「フッ、行くぞ!」
「負けるなよ、主殿!」
「……サー、レッツリベンジ!」
「落ち着いて全力を発揮して下さいねー!」
「頑張れ、黎ー!」
「「デュエル!」」
黎 VS ジョーカー
LP 4000 VS LP 4000
to be continued
元々あったサルベージ分はこれで全て終了、今後は完全に新規展開です
(10年くらい前の段階でここまで書いてあったとも言う)
終わりが見え始めた頃なので、どうか皆様もう暫くお付き合い下さい